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外国での認知と日本の戸籍・認知無効―成立準拠法,方式,出訴期間を分ける(AI作成)

第1 最初に分ける事項

外国で子を認知した場合には,親子関係が実体法上成立するか,認知の方式が適法か,日本の戸籍への報告が必要かを分けて検討する。
外国の証明書があること,又は日本の戸籍に記載されたことだけで,どの国の法でも同じ父子関係が成立し,争うこともできなくなるとはいえない。

本記事は令和8年10月14日現在の日本の法令を基準に,任意の認知と認知無効の確認順序を整理する。
父母の婚姻による嫡出推定,裁判による身分関係の確定,国籍取得にはそれぞれ別の規律があるため,どの制度による親子関係が問題かを先に確定する。

第2 認知による親子関係の成立準拠法

1 国籍と連結時点を記録する

嫡出でない子の父子関係の成立について,通則法29条1項前段は子の出生時の父の本国法を定める。
認知については同条2項により,その法のほか,認知時の認知者又は子の本国法によることもできる。
父と子の現在の国籍だけでなく,出生時と認知時の国籍を記録する必要がある。

確認する法連結点基準時
通則法29条1項前段父の本国法子の出生時
同条2項の追加候補認知者の本国法認知時
同条2項の追加候補子の本国法認知時

死亡が先行している場合には同条3項の時点の修正を確認する。
重国籍の場合には通則法38条により本国法を特定し,日本国籍を含む重国籍者の本国法は日本法とする。

2 承諾要件と反致を別に点検する

選択的に法を適用できることから,子や第三者の承諾・同意を省略できるわけではない。
通則法29条1項後段及び2項後段は,認知時の子の本国法が承諾・同意を要件とする場合の保護を定めている。
どの候補法によって成立させるかと,併せて必要となる承諾要件を区別する。

外国の本国法を指定する場合は,通則法41条の反致が成立するかも確認する。
試験問題が反致の検討を除外していても,実際の案件で同じ前提を置くことはできない。

第3 外国での方式と戸籍への報告

1 行為地法に適合する方式

通則法34条1項は,親族関係についての法律行為の方式を実質的成立準拠法によらせ,同条2項は行為地法に適合する方式も有効とする。
外国の登録官への意思表示,署名,証書の作成等が現地法上の方式を満たすかを,その国の法令と証書から確認する。
方式が有効であることと,血縁や承諾等の実質的成立要件を満たすことは別問題である。

2 日本の戸籍への報告

戸籍法41条は,外国に在る日本人が現地の方式で届出事件に関する証書を作らせた場合,原則として3か月以内に在外公館へ証書の謄本を提出すること等を定めている。
外国で成立した身分行為の報告と,日本で初めて認知を成立させる届出を混同してはならない。
戸籍の記載,外国の身分登録及び日本国籍取得の手続は別々に確認する。

証書の原本又は謄本,認知日,作成機関,翻訳及び当事者の国籍資料をそろえ,対象者に応じた届出先と必要書類を確認する。
日本人でない当事者の手続を,戸籍法41条の文言だけから一律に決めない。

第4 認知無効と既存の父子関係

1 一つの法の無効原因だけで終えない

認知による親子関係の成立を選択的に認める仕組みの下では,ある一つの法に無効原因があっても,他の成立準拠法が親子関係を維持する可能性がある。
無効を検討する場合も,通則法29条の候補法,承諾要件,無効原因及び権利行使期間を対応させる必要がある。
外国法上の期間制限が実質的要件としてどう働くかと,日本で行う訴訟手続を区別する。

2 別の父との関係がある場合

出生や別の認知等によって他の父との法律上の親子関係が成立している場合には,その関係と,争われている認知による関係をそれぞれ独立に調べる。
血縁上の父が判明したことだけを理由に,従前の認知が当然に消えると扱わない。
各関係の成立と効果を並べ,矛盾がある場合の調整の根拠を,適用する外国法の内容と子の利益を踏まえて検討する。

DNA等の血縁資料は重要であるが,法律上の親子関係を争う制度,訴えを提起できる者及び期間制限を代替するものではない。
嫡出推定が及ぶ場合は,認知無効の問題として処理する前に,嫡出否認等の制度を区別する。

第5 日本法の認知無効と経過措置

1 改正後の7年の期間

日本法が準拠法となる場合,改正後民法786条1項の認知無効の訴えは,原則として次の起算点から7年以内に限られる。
胎児認知の場合には同項の括弧書による出生時の起算も確認する。

訴えを提起する者原則の起算点主な注意点
子又はその法定代理人子又はその法定代理人が認知を知った時子自身による訴えには同条2項の例外がある
認知をした者認知時単なる撤回と無効を区別する
子の母母が認知を知った時子の利益に関する制限を確認する

子が認知者と認知後に継続して同居した期間(複数あるときは最長の期間)が3年を下回る場合,同条2項により,子は21歳に達するまで提訴できることがある。
認知者の養育状況に照らした利益に関するただし書と,法定代理人にはこの例外が適用されない同条3項も確認する。
認知者による取消しを禁ずる民法785条と,認知について反対の事実を理由とする無効の訴えは同一の制度ではない。

2 出生年月日と認知日を混同しない

令和4年法律第102号附則5条2項は,改正後民法786条を令和6年4月1日以後にされる認知に適用し,それより前にされた認知に対する反対の事実の主張は従前の例によると定めている。
認知無効の新旧規定は,子の出生年月日だけで振り分けず,認知日を確認する。
施行前の認知に現在の7年の期間を機械的に当てはめることも,現在の認知に改正前の規律をそのまま使うことも避ける。

第6 相談前にそろえる資料

①子の出生証明書と,父母・認知者・子の出生時及び認知時の国籍資料。
②父母の婚姻・離婚の証明,戸籍,外国の身分登録及び既存の親子関係を示す裁判・証書。
③認知の証書,認知日,届出・報告の記録,子又は母が認知を知った時期の資料。
④承諾・同意の資料,必要に応じた血縁資料,同居・養育の経緯。
⑤対象時点の外国法原文,施行日・経過措置,信頼できる翻訳及び当該制度の説明。

日本で裁判を行う場合には,親子関係の成立準拠法とは別に,日本の国際裁判管轄,訴えの当事者及び必要な手続を確認する。
複数の法や関係を検討した結果を,一つの認知証書又は鑑定結果だけで置き換えないことが重要である。

第7 関連記事と一次資料

1 関連する制度

国際親子関係の準拠法―嫡出推定・嫡出否認・重国籍・出訴期間
DNA鑑定で兄弟・親子関係と相続は変わるか
令和5年司法試験国際関係法(私法系)第2問の模範解答と評価項目

最後の模範解答は試験当時の法令と問題文の仮想国法を前提にするものであり,現在の個別案件へその結論を直接当てはめるものではない。

2 法令

法の適用に関する通則法29条・34条・38条・41条。
戸籍法41条。
民法785条・786条及び令和4年法律第102号附則5条2項。
人事訴訟法による国際裁判管轄と当事者等の手続規定。

上記の認知日,国籍及び適用時点を定めた上で各国の法内容を確認する必要があり,外国の認知制度が日本と同じであることを前提にしていない。