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法律事務所がパソコン・Office等を購入・納品してもらうときの確認事項―管理アカウント,プロダクトキー,保守記録及びサポート期限(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 対象と基準日

本記事は,法律事務所がパソコン,Officeその他の業務用ソフトウェアを販売店又は保守業者から購入し,設定済みの状態で納品してもらう場合に,発注前,納品時及び納品後に確認しておく事項を整理するものである。

確認基準日は令和8年(2026年)10月1日である。Microsoftの製品構成,価格,ライセンス条件,サポート期限及び画面は変わり得るため,実際の発注時には公式ページと見積書を改めて確認する必要がある。

本記事は,特定の製品を購入するよう勧めるものでも,販売店又は保守業者に一定の記録作成義務があると述べるものでもない。障害時に復旧できず,業務が止まる事態を避けるための実務上の確認事項である。

2 結論

パソコンの納品時には,機器が動くことだけでなく,次の四点を事務所が自ら確かめ,記録を受け取る必要がある。

  1. 製品名,版,ライセンスの種類,利用できる台数及びサポート期限
  2. ライセンスに関連付けた管理アカウント,回復手段及びプロダクトキー等の所在
  3. 正規のインストーラー又は再インストール経路,購入記録及び保守窓口
  4. 納品時の動作確認の結果と,その後に業者が行った保守作業の記録

アカウントのメールアドレスだけを一覧にしても足りない。パスワードや多要素認証の回復コードを同じ一覧へ平文で記載することは避け,閲覧者を限定した別の方法で管理する。

第2 発注前に決めること

1 製品とライセンスの種類

見積書の「Office付き」だけでは,障害時に必要な情報が分からない。少なくとも,製品名と版,個人向け買い切り版,企業向けプレインストール版,ボリュームライセンス版又はサブスクリプションの別,利用できる台数,商用利用の条件及び含まれるアプリを確認する。

例えば,Microsoftの日本向け公式ストアは,Office Home & Business 2024を2台のWindows PC又はMacで使用できる買い切り版とし,Word,Excel,PowerPoint,Outlook及びOneNoteを含むとしている。他方,Office Home 2024のアプリ一覧にOutlookは含まれていない。Outlookを業務メールに用いる場合は,価格だけで製品を選ばず,必要なアプリを見積書に明記してもらう。

2 誰のアカウントで管理するか

買い切り版のOfficeであっても,初回設定や再インストールにMicrosoftアカウントを使う製品がある。Microsoftは,購入済みのOfficeを再インストールする場合,購入時に使ったアカウント又は既に製品に関連付けられたアカウントでサインインするよう案内している。

職員個人のアカウント又は業者担当者のアカウントで登録すると,退職,異動又は担当変更の後に,事務所がライセンスを確認できなくなるおそれがある。事務所が継続して管理できるアカウントを使用し,管理責任者と代替担当者を決める。

3 サポート期限と移行方法

パソコンの使用予定期間と,Windows及びOfficeのサポート期限は別に確認する。Office 2016及びOffice 2019のサポートは令和7年(2025年)10月14日に終了している。買い切り版にもサポート期限があるため,「一度買えば安全に使い続けられる」という意味ではない。

見積時には,サポート終了日,終了後の移行先,既存文書の互換性,Outlookのメールデータ,アドイン,マクロ及び周辺機器への影響を確認する。

第3 納品時に受け取る記録

1 機器と購入の記録

次の事項を,納品書,設定報告書又は事務所の管理表へ記録する。

  1. メーカー,機種名,型番,製造番号又はサービスタグ
  2. 発注番号,注文番号,購入日,納品日,販売店及び請求書・納品書の所在
  3. Windowsの版,エディション及びサインインに使うアカウントの種類
  4. 保証期間,保守契約の範囲,連絡先及び受付時間

機器の識別番号と購入記録を結び付けておくと,複数台を同時期に購入した場合でも,どのライセンスや修理記録がどの端末に対応するかを確認しやすい。

2 Office等のライセンスの記録

Officeについては,次の事項を受け取る。

  1. 製品名,版,ライセンスの種類及び利用できる台数
  2. ライセンスに関連付けたMicrosoftアカウント又は組織アカウント
  3. プロダクトキーカード,購入メール又はデジタル製品の確認場所
  4. 初回設定をした日,設定者及びインストールした端末
  5. 公式の再インストール経路と,事務所又は業者のどちらが再インストールを担当するか
  6. サポート終了日,契約更新日及び解約・移行の担当者

Microsoftは,プロダクトキーをMicrosoftアカウントに関連付けた後は,そのアカウントへサインインしてOfficeをインストール・管理できるとする一方,購入の証明やサポート時の製品特定に役立つため,キーを安全な場所に保管するよう勧めている。Officeのアプリ画面にプロダクトキーの全25文字が表示されるとは限らないので,障害が起きてからパソコン内を探せば足りるとは考えない。

3 回復手段と多要素認証

アカウントの回復用メールアドレス及び電話番号が,業者担当者又は職員個人だけに届く設定になっていないかを確認する。多要素認証を使う場合は,誰の端末で承認するか,その端末を紛失した場合に誰が回復できるか,代替担当者へどの手順で引き継ぐかを決める。

ただし,パスワード,認証アプリの秘密情報及び回復コードを,端末管理表や設定報告書に平文で記載して多数の職員と共有してはならない。アカウントの存在・管理者・回復経路の所在と,実際の秘密情報を分けて管理する。

第4 納品時の動作確認

1 ライセンス認証と製品表示

納品担当者の説明だけで完了とせず,事務所側でもWord又はExcelを起動し,「ファイル」から「アカウント」を開いて,製品名,版及びライセンス認証の状態を確認する。Microsoft Store又はMicrosoftアカウントの「サービスとサブスクリプション」等,その製品の再インストール経路にも到達できることを確認する。

表示中のアカウントと,ライセンスを実際に保有するアカウントが同じとは限らない。アプリにメールアドレスが表示されていることだけで,そのアカウントに買い切り版のライセンスが付いていると判断しない。

2 通常業務のテスト

実際の業務を想定し,少なくとも次の動作を確かめる。

  1. Word及びExcelの新規作成,既存文書の閲覧・編集・保存
  2. PDFの作成,表示,印刷及びスキャン
  3. Outlookを使う場合の送受信,保存先及び過去メールの参照
  4. 複合機,ICカードリーダー,外部ディスプレイ等の周辺機器
  5. 事務所内サーバー,NAS,クラウドストレージ及びバックアップ先への接続
  6. Windowsを再起動した後のサインイン,Officeの起動及びライセンス認証

動作確認の結果は,確認日,確認者,対象端末及び未解決事項とともに記録する。

3 保存場所とバックアップ

文書の標準保存先,Outlookデータ,ブラウザーのダウンロード先及びスキャンデータの保存先を確認する。端末だけに保存される資料と,サーバー又はクラウドへ同期される資料を区別する。

初期化,再インストール,アカウント変更又は端末交換をする前に,保存場所とバックアップを確認する手順も納品時に決めておく。

第5 保守業者に作業を依頼するとき

1 作業前に残す事項

障害が起きたときは,結論だけでなく,次の事項を時系列で残す。

  1. 症状を初めて確認した日時と直前の正常動作
  2. 表示された文言,エラー番号及び画面の写真
  3. 製品名,版,ライセンスの種類及び現在表示されているアカウント
  4. 直前のWindows Update,Officeの更新,アプリの追加・削除及び設定変更
  5. 業務への影響と,代替端末又は代替手段の有無

2 作業前に業者へ確認する事項

業者が正規の担当者であることと,提案された操作がメーカーの公式な解決策であることは別の問題である。作業前に,根拠とする公式資料,見込まれる効果,所要時間,データへの影響,元に戻す方法及び追加費用を確認する。

アンインストール,再インストール,初期化,システムの復元等を行う前には,必要なアカウント,プロダクトキー,公式インストーラー及びバックアップを確保する。製品の所在が分からない段階で先に削除すると,復旧経路まで失うおそれがある。

3 作業中及び作業後の記録

遠隔操作を許可する場合は,支援範囲を決め,作業中の画面を確認し,終了時に接続と継続的なアクセス権を切る。パスワードや多要素認証の回復コードを業者へ伝えるのではなく,必要な認証操作は原則として事務所側で行う。

作業報告には,開始・終了時刻,実行した操作,インストール又は削除したアプリ,変更した設定,使用したアカウントの種類,確認した公式資料,作業後の動作確認及び未解決事項を記載してもらう。作業報告を機器の識別番号と結び付け,後の担当者が経過を追えるようにする。

第6 Officeの不具合で最初に分ける三つの状態

1 Officeは起動するが「ライセンスのない製品」と表示される

Officeが起動する場合は,購入済み製品のライセンス認証をし直す経路を先に確認する。新しいMicrosoftアカウントを作っても,既存のライセンスは自動的に移らない。購入時に使ったアカウント,プロダクトキーカード,企業向けプレインストール版又は組織管理のライセンスの別を確かめる。

2 ショートカットやアイコンが見当たらない

アイコンが消えただけでOffice本体が削除されたとは限らない。スタートメニューの検索と,Windowsのインストール済みアプリの一覧を確認する。インストール済みであれば,起動やショートカットの問題と,ライセンス認証の問題を分けて調べる。

3 Officeがインストール済みアプリにもない

Office自体が削除されている場合は,購入済み製品の正規の再インストール経路を使う。Microsoftアカウントから再インストールする製品,プロダクトキーカードを使う企業向けプレインストール版,Microsoft Storeのライブラリから取得するデジタル製品及び組織管理のライセンスでは,手順が異なる。

KB5002907後のOffice 2016・Office 2019の具体的な復旧手順は,クイック実行更新サポート(KB5002907)でOffice 2016・2019が「ライセンスのない製品」になったときで説明している。

第7 管理表に入れる項目

事務所の機器・ソフトウェア管理表には,次の項目を設けるとよい。

区分記録する事項注意点
端末メーカー,機種名,製造番号又はサービスタグ,利用者,設置場所購入記録・作業報告と同じ識別番号を使う
購入購入日,購入先,注文番号,納品書・請求書の所在保証・サポートへの照会に使えるようにする
OSWindowsの版,エディション,サポート期限Officeの期限と分ける
Office製品名,版,ライセンスの種類,利用可能台数「Office付き」だけで終わらせない
アカウントライセンスに関連付けたアカウント,管理責任者,代替担当者パスワードは管理表に記載しない
回復回復用連絡先の管理者,回復手順の保管場所回復コードはアクセスを制限して別管理する
キー等プロダクトキーカード,購入メール又はデジタル製品の確認場所キー自体の閲覧権限を限定する
再導入公式インストーラー又は再インストール経路,担当窓口不具合時に削除より先に確認する
保守契約範囲,連絡先,作業報告の所在,最終確認日遠隔操作の権限と終了確認も記録する

IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」は,情報セキュリティ対策に関する委託先との責任分界を明確にし,利用を認めるソフトウェアを一覧にして定期的に見直すことを挙げている。上記の管理表は,この一般的な考え方を,パソコンとOfficeの購入・納品・復旧へ具体化した実務上の例である。

第8 担当変更・端末廃棄時の引継ぎ

担当者が交代するときは,管理アカウント,回復手段,契約更新,支払方法及び保守窓口を引き継ぐ。個人の端末や電話番号に依存していないかを確認する。

端末を交換又は廃棄するときは,データの移行と消去,Office等のライセンスの扱い,ブラウザーに残る認証情報,遠隔操作ソフトの継続的なアクセス権及び保守契約の対象端末変更を確認する。ライセンスを別の端末へ移せるかは,製品のライセンス条件に従う。

第9 関連記事

第10 出典

  1. Microsoft サポート「KB5002907: 古い Microsoft 365 Apps インストールに対するオプションの更新プログラム」
  2. Microsoft Store「Office Home & Business 2024」
  3. Microsoft Store「Office Home 2024」
  4. Microsoft サポート「Office のプロダクト キーを入力する場所」
  5. Microsoft サポート「Microsoft 365 でのプロダクト キーの使用」
  6. Microsoft サポート「Office がプレインストールされた PC に Office を再インストールする(企業向け)」
  7. Microsoft Learn「Microsoft Office 2019」
  8. Microsoft Learn「Office 2024」
  9. 情報処理推進機構「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」