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クイック実行更新サポート(KB5002907)でOffice 2016・2019が「ライセンスのない製品」になったとき―購入時のMicrosoftアカウントの探し方,プロダクトキー及び試用版の扱い(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 対象と基準日

本記事は,Windows Updateを通じて提供された更新プログラム「KB5002907」の後に,買い切り版のOffice 2016又はOffice 2019が「ライセンスのない製品」と表示され,又はOfficeが見当たらなくなった場合の復旧の手順を整理する。
マイクロソフトの案内は,令和8年9月29日に同社のサポートページで原文を確認したものである。
同社の日本語版のページには機械翻訳とみられる文言があるため,本記事では日本語版の文言をそのまま引用し,必要に応じて意味を補って説明する。
会社や組織がボリュームライセンス等でOfficeを一括管理している場合は,組織のIT管理者の指示が優先する。

2 結論

①マイクロソフトは,KB5002907をインストールした後に,Office 2016又はOffice 2019の一部の端末で予期しない結果が生じたとの報告を受け,この更新プログラムの提供を一時停止している。
この更新プログラムは,Windows Updateの更新の履歴に「クイック実行更新サポート」という名前で表示されたとの報告がある。

②同社が示す解決策は,製品がライセンスのないように見える場合は購入した製品のライセンス認証をし直すこと,製品が削除された場合は購入した製品を再インストールすることの2つである。
新たにMicrosoft 365を購入することは,解決策として示されていない。

③小売店等で購入した買い切り版のOfficeは,プロダクトキーを使った時点でMicrosoftアカウントに関連付けられ,パソコンに最初から入っていたOfficeも,関連付けられたMicrosoftアカウントで再インストールする仕組みである。
ただし,日本で企業向けに販売された「Office プレインストール済み PC (企業向け)」のOfficeは,ライセンス認証に個人用のMicrosoftアカウントを必要とせず,プロダクトキー又はMicrosoft Storeのデジタル製品で再インストールする仕組みである。
認証し直すときは,Officeを購入し,又は最初に設定したときに関連付けたMicrosoftアカウントでサインインする。
Officeの画面に別のアドレスでサインインしていると表示されていても,そのアドレスにライセンスが付いているとは限らない。

④どのアカウントにライセンスが付いているかは,Microsoftアカウントのページの「サービスとサブスクリプション」で,候補のアドレスごとに確かめられる。
新しいMicrosoftアカウントを作っても,そのアカウントに以前のライセンスは付いていない。

⑤関連付けたアカウントが見つかれば,25文字のプロダクトキーが手元になくても,サインインによる認証や再インストールができる見込みが高い。
企業向けのプレインストール版では,逆に,プロダクトキーのカード又はMicrosoft Storeのデジタル製品が手掛かりになる。
アカウントもプロダクトキーも見つからない場合は,購入の記録を用意してマイクロソフトのサポート等に相談することになる。

⑥システムの復元,更新プログラムの削除及びOfficeの修復は,マイクロソフトがKB5002907の解決策として挙げたものではない。

⑦Office 2016とOffice 2019のサポートは,令和7年10月14日に終了している。
今回の不具合を直すことと,サポート終了に対応することは,分けて考える。

第2 何が起きたか

1 KB5002907の本来の対象

マイクロソフトの説明によれば,KB5002907は,古くなったMicrosoft 365 Appsを最新の状態にするための任意の更新プログラムである。
同社は,「このオプションの更新プログラムは、90 日以上経過しており、最新チャネルまたは月次エンタープライズ チャネルを使用している、Microsoft 365 Apps がインストールされている Windows PC でのみ利用可能です。」と説明している。
また,「Windows オペレーティング システムの更新プログラムではなく、自動的にインストールされません。」とも説明している。
Windows Updateの画面で提供されるものの,Windowsそのものの更新プログラムではないことになる。

この更新プログラムは,Windows Updateの更新の履歴に「クイック実行更新サポート」(英語版では「Click-to-Run Update Support」)という名前で表示されたとの報告がある(例として,マイクロソフトのQ&Aサイトに寄せられた利用者の質問)。
マイクロソフトのKB5002907の案内ページには,この表示名は書かれていない。
国内でも,事業者が自社のOffice 2016の端末について,令和8年9月24日の8時23分に「クイック実行更新サポート(KB5002907)」のインストールが成功し,9時13分にExcelの起動時にライセンス認証の異常を確認したという時系列を公表し,「元のライセンスを再入力すると復旧した」と報告している(令和8年9月25日の株式会社ニイムのXへの投稿)。
更新の履歴で「クイック実行更新サポート」がインストールされた日と,Officeの表示が変わった時期が重なる場合は,本記事の手順が当てはまるかを検討する。

2 マイクロソフトが認めた不具合と提供の一時停止

マイクロソフトは,KB5002907の案内ページの冒頭で,次のとおり告知している。
「Microsoft は、この更新プログラムをインストールした後、Office 2016 または Office 2019 を実行している一部のデバイスで予期しない結果が発生するという報告を受け取りました。」
「その他のデバイスが影響を受けないようにするために、この更新プログラムのロールアウトを一時停止しました。」

同じページは,影響を受けた端末について,次の2つの場合を挙げている。
「場合によっては、製品がライセンスなしのように見える場合があります。」
「まれに、製品が削除されている場合があります。」
案内ページには,一時停止を始めた日付や,提供を再開する時期は書かれていない。

マイクロソフトが対象として挙げるのはOffice 2016とOffice 2019であるが,パソコン販売店のアプライドは,令和8年9月24日に公式のXアカウントで,「Officeが消えた」「ライセンス認証を求められる」という問い合わせが多発しているとし,トラブルを確認した製品として,Office 2019とOffice 2016のほか,「Microsoft office Home&Business Premium(2013)」を挙げていた。
投稿の時点では,原因については情報を収集中としていた。

3 ライセンスのない製品になると何ができなくなるか

マイクロソフトは,ライセンス認証に失敗すると,アプリのタイトルバーに「ライセンスのない製品」等が表示され,ほとんどの機能が無効になると説明している。
同社のサブスクリプションに関するお知らせの案内ページは,通知に応答しないまま進んだ場合について,最終的に機能制限モードになり,「ドキュメントを開いて印刷することはできますが、編集したり新規に作成したりすることはできません。」と説明している。
この状態になっても,作成済みのファイルが削除されるとの案内はない。

第3 マイクロソフトが示す解決策

1 ライセンス認証をし直す

製品がライセンスのないように見える場合について,マイクロソフトは,「ユーザーは購入した製品を再度ライセンス認証する必要があります。」としている。
同社が求めているのは,購入済みの製品の認証をし直すことであり,新たな製品の購入ではない。
具体的な手順は,第4で説明する。

2 再インストールする

製品が削除された場合について,マイクロソフトは,「ユーザーは購入した製品を再インストールする必要があります。」としている。

(1) 個人向けの買い切り版

再インストールは,Microsoftアカウントのページにサインインし,Officeのアプリの一覧からインストールする方法で行う。
このときも,第4で探すライセンスの付いたMicrosoftアカウントが必要になる。
なお,同社は,買い切り版のOfficeは1回のインストールだけが許諾されていると注意している。

(2) 企業向けのプレインストール版

マイクロソフトは,事業者向けの商用版のOffice Home & Business等について,再インストールの手順が異なる場合があるとし,別の案内ページを設けている。
その案内ページは,「日本では、Office プレインストール済み PC (企業向け) に含まれる Office 永続的製品には、Office アプリのライセンス認証を行うために個人用の Microsoft アカウントは必要ありません。」としている。
再インストールの手順は,パソコンにプロダクトキーのカードが含まれているか,デジタルのOffice製品が含まれているかで異なる。

①プロダクトキーのカードが含まれている場合(同社によれば,カードを含む企業向けのパソコンは2023年まで販売されていた)は,Officeのセットアップのサイト(https://setup.office.com )でMicrosoftアカウントでサインインし,プロダクトキーを入力してインストーラーを取得する。
同社は,この場合のプロダクトキーは「デバイス ベースのライセンス キー」と認識されるため,Microsoftアカウントにリンクされることはないと説明している。
②デジタルのOffice製品が含まれている場合(同社によれば,2022年から)は,Microsoft Storeアプリの「ライブラリ」から再インストールし,その際はStoreアプリからMicrosoftアカウントをサインアウトしておくよう案内されている。
③Office 2016又はOffice 2019のインストールメディア(DVD)がある場合は,DVDから再インストールし,プロダクトキーを入力して認証する。

したがって,企業向けのプレインストール版では,第4のアカウント探しによっては解決しない見込みが高く,プロダクトキーのカード又はMicrosoft Storeのデジタル製品の有無を確かめることが先になる。
購入したパソコンが企業向けのプレインストール版に当たるかは,購入時の書類や販売店で確かめる。
ボリュームライセンス版など組織が管理しているOfficeであれば,組織のIT管理者に確認する。

3 公式の解決策として挙げられていない操作

システムの復元,Windowsの更新プログラムの削除及びOfficeの修復は,マイクロソフトがKB5002907の解決策として挙げた操作ではない。

(1) システムの復元

マイクロソフトによれば,「システムの復元は、システム ファイル、レジストリ設定、インストールされているプログラムを、復元ポイントの作成時の状態に戻します。」とされ,個人用ファイルには影響を与えない。
他方で,システムの復元でOfficeのライセンス認証が戻るとは,同社は案内していない。
システムの復元を行う前に,第4のアカウントの確認を先に行うのが合理的である。

(2) 更新プログラムの削除

前記のとおり,マイクロソフトは,KB5002907をWindowsそのものの更新プログラムではないと説明している。
同社は,Windowsの更新プログラムを削除する方法でこの不具合を直せるとは案内していない。

(3) Officeの修復

マイクロソフトの一般的な案内では,Officeのコピーが複数インストールされているとライセンス認証が失敗することがあるとされ,「2 つインストールしていると、ライセンス認証の競合が発生する可能性があります。」と説明されている。
同社は,使っていないバージョンをアンインストールし,それでも認証されない場合にオンライン修復を試す手順を示している。
もっとも,修復は正しいアカウントでのサインインに代わるものではないので,第4の確認と併せて行う。

第4 ライセンスの付いたMicrosoftアカウントを探す

1 買い切り版はMicrosoftアカウントに結び付いている

マイクロソフトは,小売店やオンラインストアで購入したOfficeについて,Microsoftアカウントでサインインしてプロダクトキーを入力するよう案内し,「キーを使用すると、Office にアカウントがリンクされるため、この操作を行う必要があるのは 1 回のみです。」と説明している。
パソコンに最初から入っていたOfficeについても,「Office がプレインストールされていて、同じデバイスまたは新しいデバイスに再インストールする必要がある場合は、Office のコピーに関連付けられている Microsoft アカウントが必要です。」としている。
したがって,復旧の鍵は,最初の設定のときにOfficeを関連付けたMicrosoftアカウントがどれかを突き止めることにある。
ただし,日本の企業向けのプレインストール版は,第3の2の企業向けの項のとおりMicrosoftアカウントに関連付けない仕組みなので,この第4の方法の対象外と考えられる。

2 職場又は学校のアカウントとの区別

マイクロソフトは,「職場または学校アカウントとは、organization によって割り当てられたメール アカウントのことです。」と説明している。
買い切り版の再インストールについて,同社は,「このバージョンの Office に関連付けた Microsoft アカウントを使用してサインインします。」と案内している。
Officeの画面に,事務所や会社のアドレスでサインインしていると表示されていても,そのアドレスが買い切り版のライセンスを関連付けたアカウントであるとは限らない。
同じアドレスが個人用のMicrosoftアカウントと職場又は学校のアカウントの両方に登録されていることもある。
マイクロソフトは,個人用のMicrosoftアカウントでサインインしようとしているのに,職場又は学校のアカウントで既にサインインしている場合は,サインアウトしてから正しいアカウントでサインインする必要があるとしている。

3 候補のアドレスを洗い出す

マイクロソフトは,「別のメール アドレスで Office を購入している場合のために、個人用のメール アドレスをすべて使用してサインインを試してください。」と案内している。
候補は,次の順に洗い出すと効率がよい。
①Windowsの設定画面の「アカウント」の項目に表示される,そのパソコンにサインインしているMicrosoftアカウント
②Officeの「ファイル」→「アカウント」の画面に表示されているアカウント
③事務所や個人のメールで「Microsoft アカウント」「Office」「プロダクト キー」等の語を検索して見つかる,マイクロソフトからの通知の宛先
④パソコンの初期設定を業者に依頼した場合に,業者が控えている登録用のアドレス
⑤事務所や会社で複数のパソコンに共通して使っているアドレス

②の画面に表示されるアカウントは,不具合の後には買い切り版のライセンスとは別のものに変わっていることがあるので,表示されたアカウントも候補の一つとして次の方法で確かめる。

4 「サービスとサブスクリプション」で確かめる

マイクロソフトは,Microsoftアカウントの「サービスとサブスクリプション」にサインインすると,Office製品又はMicrosoft 365のサブスクリプションの一覧が表示されるとし,「表示されていない場合、そのメール アドレスでは Office にサインインできません。」と説明している。
候補のアドレスごとに,次の手順で確かめる。
①ブラウザーのプライベートな閲覧の窓(Microsoft Edgeでは「InPrivateウィンドウ」)を開く。
②Microsoftアカウントのページ(https://account.microsoft.com/ )を開き,候補のアドレスでサインインする。
③「サービスとサブスクリプション」を開き,一覧にOffice 2016又はOffice 2019の製品名があるかを見る。
④製品名があれば,そのアドレスがライセンスを関連付けたアカウントである。
製品の欄にプロダクトキーを表示する選択肢があれば,キーを控えておく。
⑤製品名がなければサインアウトして窓を閉じ,次の候補で①から繰り返す。

プライベートな閲覧の窓を使うのは,いつものブラウザーで別のアカウントに自動でサインインされ,どのアカウントを見ているのか分からなくなることを防ぐためである。
マイクロソフトも,職場又は学校のアカウントで既にサインインしている場合について,プライベートな閲覧セッションを開けば別のアカウントでサインインできると案内している。
アカウントが存在しない旨の表示が出たアドレスは,候補から外す目安になる。
パスワードを忘れていても,マイクロソフトには,Microsoftアカウントのパスワードをリセットする手続がある。

長く使っていないアカウントについて,マイクロソフトは,アカウントをアクティブに保つためには「少なくとも 2 年間 に 1 回は Microsoft アカウントにサインインする必要があります。」とし,非アクティブなアカウントを閉鎖する権利を留保している。
もっとも,同社は,Microsoftアカウントを使って現在のMicrosoft製品やサービスを購入し,又は購入を引き換えた場合等を,非アクティブとして閉鎖しない例外としている。
Officeのプロダクトキーを引き換えたアカウントがこの例外に当たるかを同社は個別に説明していないので,長く使っていないアカウントでサインインできない場合は,同社のアカウントの回復の手続やサポートへの相談を検討する。

5 Officeで認証し直す

ライセンスの付いたアカウントが見つかったら,ExcelやWordを開き,「ファイル」→「アカウント」から,現在のアカウントをサインアウトし,見つかったアカウントでサインインし直す。
マイクロソフトは,間違ったアドレスでサインインすると「Office 製品が見つかりませんでした」という趣旨のメッセージが出ると説明しているので,このメッセージが出たら別の候補を試す。
認証し直した後は,「ファイル」→「アカウント」の製品情報の欄で,買い切り版の製品名とライセンス認証済みの表示を確かめる。
認証されない場合や,Officeが削除されている場合は,同じアカウントでMicrosoftアカウントのページからOfficeを再インストールする(第3の2)。

第5 プロダクトキーがない場合

1 アカウントが見つかれば足りる

前記のとおり,プロダクトキーはMicrosoftアカウントにOfficeを関連付けるときに1回使えば足り,その後の再インストールやライセンス認証は,関連付けたアカウントでのサインインで行う仕組みである。
したがって,関連付けたアカウントが見つかれば,プロダクトキーのカードが手元になくても,復旧できる見込みが高い。
実際に,Microsoftアカウントの「サービスとサブスクリプション」で購入済みのOfficeを確かめたところプロダクトキーが表示され,それで認証できたという利用者の報告もある(令和8年9月24日の株式会社ニイムのXへの投稿)。
逆に,プロダクトキーのカードがあれば,Officeの画面にプロダクトキーを入力する選択肢が表示されている場合に,そこから入力して認証をし直せることがある。
企業向けのプレインストール版では,プロダクトキーのカード又はMicrosoft Storeのデジタル製品が再インストールの手掛かりになる(第3の2の企業向けの項)。

2 アカウントもプロダクトキーも見つからない場合

アカウントもプロダクトキーも見つからない場合は,パソコンの購入記録(領収書・納品書,機種名,製造番号)を用意して,マイクロソフトのサポートに相談することになる。
パソコンに最初からOfficeが入っていた場合は,パソコンの販売店や製造元にも相談先を確かめる。
もっとも,マイクロソフトは,「アカウントとそのコンテンツを保護するために、サポート エージェントはパスワード リセット リンクを送信したり、アカウントの詳細にアクセスして変更したりすることは許可されていません。」としている。
サポートに頼めば忘れたアカウントを教えてもらえる,とは期待しないほうがよい。

プロダクトキーの全体をパソコンの中から取り出せるとうたう無料ソフトもある。
しかし,アカウントに関連付けて認証する仕組みでは,25文字のキーの全体がパソコンに残っているとは限らず,出所の確かでないソフトを業務用のパソコンに入れることには別の危険がある。

第6 画面の選択肢の扱い

1 購入と試用版のボタン

ライセンスのない状態のOfficeを開くと,Microsoft 365の購入,無料試用版の開始,プロダクトキーの入力といった選択肢が表示されることがある。
マイクロソフトも,新しいパソコンに最初から入っていたOfficeが認証されていない場合の説明として,「[使ってみましょう] 画面に Office のプロダクト キーを使用した試用、購入、またはアクティブ化のオプションが表示されることもあります。」としている。
第3で述べたとおり,KB5002907の不具合の解決策として同社が示しているのは,購入した製品の認証のし直しと再インストールであり,Microsoft 365の購入や試用ではない。

試用版は,マイクロソフトの案内では,「サインアップから 30 日以内に Microsoft 365 試用版を取り消すことができます。」とされ,同社は「課金される前に」試用版を取り消す方法を案内している。
取消しを忘れると料金が発生し得るので,Microsoft 365へ移行すると決めた場合を除き,復旧の途中で試用版を始めることは勧められない。

2 新しいMicrosoftアカウントを作らない

新しいMicrosoftアカウントを作ってOfficeにサインインしても,新しく作ったアカウントには,以前にプロダクトキーで関連付けたOfficeのライセンスは付いていない。
新しいアカウントでは,第4の4の一覧にOffice 2016又はOffice 2019の製品名は表示されないので,認証の回復にはつながらない。

第7 業務を止めないための手当て

1 当面の入力手段

マイクロソフトは,ライセンスの問題が解決するまでの間の手段として,ブラウザーで使うOffice on the webを案内しており,「それまでの間、Web ブラウザーから無料の Office Online を使用できます。」としている。
ただし,ブラウザー版で編集するには,通常,ファイルをクラウドの保存領域に置くことになる。
法律事務所や会社の業務ファイルを,職員個人のMicrosoftアカウントのOneDriveへ置くと,アカウントの管理者,退職時の扱い及び守秘の管理が問題になる。
当面の入力は,ライセンスが有効な別のパソコンで行うか,事務所として契約しているクラウドの保存領域を使うのが望ましい。

2 保守業者に対応を依頼するとき

パソコンの保守を業者に依頼している場合は,次の点を確かめると,復旧までの遠回りを減らせる。
①マイクロソフトの公式の案内(KB5002907のページ)に沿った手順であるか
②ライセンスを関連付けたMicrosoftアカウント,プロダクトキー及び購入記録を,誰が持っているか(パソコンの初期設定を業者が行ったときの記録を含む)
③システムの復元等,公式の解決策に含まれない操作を行う場合は,効果の見込み,所要時間及び保存中のファイルへの影響
④復旧までの間の代わりの入力手段
⑤保守契約の範囲に,ソフトウェアのライセンスの管理や再インストールが含まれるか

パソコンやソフトウェアの買替えを勧められた場合は,今回の不具合の解決策としての提案か,第7の3のサポート終了への対応としての提案かを分けて検討する。
マイクロソフトの案内に照らせば,今回の不具合は,購入した製品の認証のし直し又は再インストールで直すよう案内されている。

3 サポート終了への対応

マイクロソフトは,「Office 2016 と Office 2019 のサポートは、2025 年 10 月 14 日に終了しました。」としている。
同社は,サポート終了後も,技術サポート,バグの修正及びセキュリティ修正プログラムを提供しなくなる可能性があると説明し,再インストールの案内では「拡張機能および拡張セキュリティ更新プログラムはありません。」としている。
Windows 10には拡張セキュリティ更新(ESU)の制度があるが(Windowsの基本操作とサポート期限を参照),Office 2016とOffice 2019には同様の制度がないことになる。

したがって,今回の不具合を認証のし直しで直した後も,Office 2016又はOffice 2019を使い続けることには,セキュリティ更新が提供されないという別の問題が残る。
移行先としては,Microsoft 365(サブスクリプション)と,サポート期間内の新しい買い切り版がある。
移行のときは,買い切り版かサブスクリプションか,ライセンスをどのアカウントに関連付けるか,そのアカウントを誰が管理するかを,最初に決めて記録しておく。

4 平時の備え

今回のような障害に備えて,事務所や会社のソフトウェアの管理表に,次の事項を記録しておくとよい。
①製品名と版(買い切り版かサブスクリプションか)
②ライセンスを関連付けたMicrosoftアカウント(パスワードは管理表に書かず,アクセスを制限した別の方法で管理する)
③プロダクトキーのカードの保管場所
④購入記録(購入日,購入先,機種名,製造番号)
⑤サポートの終了日

職員個人のアカウントでライセンスを登録すると,その職員の退職や異動の後に,事務所や会社がアカウントを把握できなくなるおそれがある。
業務用のライセンスは,事務所や会社が管理するアカウントに関連付けるのが望ましい。

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IT関係のメモ書き

第9 出典

1 マイクロソフトの案内

①Microsoft サポート「KB5002907: 古い Microsoft 365 Apps インストールに対するオプションの更新プログラム」
②Microsoft サポート「Office のライセンスのない製品というエラーとライセンス認証のエラー」
③Microsoft サポート「Office for Windows のライセンス認証を行う」
④Microsoft サポート「Office 2021、Office 2019、または Office 2016 をダウンロードしてインストールまたは再インストールする」
⑤Microsoft サポート「Microsoft 365 で使用する MS アカウントとパスワード忘却時の対応」
⑥Microsoft サポート「Microsoft 365 アプリケーションを開くとサブスクリプションに関するお知らせが表示される」
⑦Microsoft サポート「Microsoft 365 の無料試用版を取り消す」
⑧Microsoft サポート「システムの復元」
⑨Microsoft サポート「Office 2016 と Office 2019 のサポート終了」
⑩Microsoft Learn「Microsoft Office 2016(製品のライフサイクル)」
⑪Microsoft サポート「Office がプレインストールされた PC に Office を再インストールする (企業向け)」
⑫Microsoft サポート「Microsoft アカウント アクティビティ ポリシー」

2 その他の資料

①Microsoft Q&A「Office desktop applications were removed after Windows Update “Click-to-Run Update Support” on September 24, 2026.」(利用者の質問)
②アプライド【公式】のXへの投稿(令和8年9月24日)
③株式会社ニイムのXへの投稿(令和8年9月24日,同月25日)