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科料40万円の略式命令と非常上告―最高裁令和8年7月10日判決(AI作成)

第1 判決の結論

最高裁第二小法廷令和8年7月10日判決(令和7年(さ)第1号)は,性的姿態等撮影未遂事件について出された略式命令のうち,科料刑を科した部分を破棄した。
適用される法定刑に科料が含まれていなかったためである。

一方,最高裁は,改めて罰金40万円を言い渡してはいない。
最高裁は,刑訴法458条1号本文により違法な部分を破棄するにとどめ,同号ただし書による新たな判決はしなかった。

第2 どのような略式命令が問題になったか

判決本文1頁によれば,所沢簡易裁判所は,令和7年8月22日,性的姿態等撮影未遂1件について,被告人を科料40万円とし,完納できないときは5000円を1日に換算して労役場に留置する略式命令を出した。
同命令は同年9月10日に確定した。

本記事でいう科料は刑罰としての科料である。
最高裁の主文は科料刑で処断すべきものとした部分の破棄であり,犯罪事実について無罪を言い渡したという内容ではない。

第3 科料刑を科した部分が破棄された理由

判決が本件に適用した性的姿態撮影等処罰法2条2項・1項と附則2条による法定刑は,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金であり,科料の定めがなかった。
最高裁は,この点の法令違反を認めた。

科料の金額を40万円とした点と,労役場留置の換算額を1日5000円とした点についても,判決は違法とした。
ただし,それらは,法定刑にない科料刑を選択した違法に伴って生じたものと整理している。

ここでの懲役という表記は,本判決が本件に適用した法令の説明である。
現在の別の行為に適用される法定刑を示すものではない。

第4 罰金40万円を新たに言い渡さなかった理由

判決2頁は,刑訴法458条1号ただし書の適用を検討している。
同ただし書の要件は,元の認定事実に正しい法令を適用した新しい判決が,元の判決より被告人に有利になることが,法律上明らかな場合と説明されている。

最高裁は,本件で正しい法令を適用して新たに言い渡すとすれば,罰金40万円と,その不完納時の労役場留置を定めるのが相当とした。
しかし,罰金刑より科料刑の方が軽い。
そのため,元の略式命令は,その罰金刑と比べて被告人に不利益なものではないとして,ただし書を適用しなかった。

新たに言い渡すべき罰金40万円と原略式命令の科料40万円は金額が同じであり,判決は刑の種類として科料刑の方が軽いことを理由に挙げている。
最高裁は,同号本文により科料刑の部分を破棄するにとどめた。

なお,刑訴法459条は,非常上告の判決は,同法458条1号ただし書によるものを除き,その効力を被告人に及ぼさないと定めている。
本判決は同号本文による破棄であるから,その効力は被告人に及ばないことになる。

第5 尾島明判事の関与と判決の読み方

判決2頁末尾に記載された裁判長は高須順一判事で,三浦守,岡村和美,尾島明の各判事が加わっている。
裁判官全員一致の判決であり,尾島判事の個別意見は付されていない。

したがって,この判決を尾島判事一人の判断として紹介することは適切でない。
人物の経歴は尾島明裁判官(37期)の経歴を参照されたい。

第6 よくある質問

1 科料40万円が罰金40万円に変更されたのか

本判決は,そのような変更をしたものではない。
科料刑で処断すべきものとした部分を破棄し,新たな罰金刑は言い渡していない。

2 最高裁は無罪を言い渡したのか

主文は科料刑の部分を破棄するというものであり,無罪判決ではない。
科料を定めた略式命令が違法であることと,犯罪事実の成否を分けて読む必要がある。

3 この事件の裁判長は尾島明判事か

裁判長は高須順一判事である。
尾島明判事は全員一致の判断に加わった裁判官の一人である。

第7 出典・関連記事

最高裁第二小法廷令和8年7月10日判決全文1頁の事実経過・違法判断,2頁の刑訴法458条1号ただし書の検討・裁判官名に基づく。

非常上告を含む制度全体と通常の上訴との関係は,刑事事件の上訴及び不服申立て-控訴・上告・抗告等の期間と手続で説明している。