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日本版DBSの確認結果・被害申告を受けた後の労務対応―接触回避・自宅待機・配置転換・解雇(AI作成)

第1 接触回避と雇用上の処分を分けて進める

1 確認結果と被害申告では出発点が異なる

日本版DBSの確認結果から特定性犯罪前科が判明した場合と,在籍するこども・保護者から従事者による被害の申出があった場合では,確認できている事実が異なる。
いずれもこどもの安全を守る対応が問題になるが,確認結果や申出だけで懲戒・解雇まで当然に有効になるわけではない。

公式の労務教材は,被害の申出があった場合,こどもとの接触を暫定的に回避した上で速やかに事実確認を行うことを説明している。
安全確保に必要な措置と,行為が認められるか,どの処分が適切かという判断を分けて進める必要がある。

2 施行時期と契約関係を確認する

本記事は,令和8年10月17日に確認した公式資料と判例に基づく,期間の定めのない労働契約を基本とする説明である。
有期契約の期間途中の解雇や雇止め等には,別の検討が必要になる。
こども性暴力防止法の主な施行日は令和8年12月25日であり,義務対象事業者か,認定を受ける事業者か,対象業務・従事者に当たるかを確認する。

派遣,業務委託,ボランティア,公務員については,契約・任用関係と権限を別に確認し,雇用の説明をそのまま当てはめない。
施行前でも,現行法や契約に基づく安全確保と労務管理は必要である。

第2 暫定措置は早く,事実認定は慎重に行う

1 確定的な措置を決めるまでの接触を回避する

特定性犯罪前科が判明し,法に基づく防止措置を講じる場面では,面談や配置先の調整に時間がかかることを理由に,こどもとの接触を続けさせることは適当でないと公式教材は説明している。
対象業務以外の業務への従事や自宅待機等による接触回避を,確定的な措置の検討と並行して行う。

在籍するこどもや保護者から被害の申出があった場面でも,必要な事実確認ができるまで,接触回避を暫定的に行う。
この段階で申出の内容が事実であると決めつけ,事実の存在を前提とする懲戒等を行わない。

2 命令の目的・範囲・期間を具体化する

自宅待機は,業務上の必要性がない場合や不当な動機・目的がある場合にも自由に命じられるものではない。
調査の必要性,接触や証拠へのアクセスを避ける必要性,代替業務の可能性を確認する。

実務上は,措置の目的,開始日,連絡先,待機中に求める対応,賃金の扱い及び見直し時期を整理して伝える。
結論が出ないまま漫然と延長せず,事情の変化に応じて必要性と方法を見直す。
これらの伝達・記録項目は実務上の例であり,国が一律に定める通知様式ではない。

3 調査のための面談とこどもの聴き取りを分担する

従事者には,確認の目的と必要な範囲を踏まえて説明を求め,回答や提出資料を記録する。
被害を受けた疑いのあるこどもへの聴き取りは,誘導や繰り返しによる負担を避け,警察等の専門機関との役割分担を検討する。

当事者を直接対面させて説明を争わせるような対応を,事実確認の当然の方法としない。
安全確保と聴き取りの留意点は,こども性暴力防止法の施行と弁護士の役割を参照されたい。

第3 自宅待機中の賃金を確認する

1 業務命令による待機を当然に無給にしない

公式教材は,事実調査のために自宅待機を命じる場合でも,原則として待機期間中の賃金を支払う必要があると説明し,民法536条2項を挙げている。
例外の有無は個別事情によるため,「疑いがある」「法対応である」という理由だけで無給としない。

業務命令としての自宅待機と,懲戒処分としての出勤停止は異なる。
名称だけを懲戒に変えて賃金の支払を免れようとせず,懲戒事由,事実,処分の相当性及び手続を別に検討する。

2 休業手当の6割を賃金請求の上限と考えない

労働基準法26条は,使用者の責めに帰すべき事由による休業について,平均賃金の6割以上の休業手当を定めている。
この最低基準の問題と,民法・労働契約等に基づく賃金請求がどの範囲で認められるかは,区別して検討する必要がある。

同条があるから常に6割だけ支払えば足りるという結論にはならない。
待機を命じた事情,労務提供の可能性,契約・規程の定め等を確認し,賃金計算と支払の根拠を明確にする。

第4 配置転換は命令できる権限から確認する

1 職種・業務を限定した合意の有無を確かめる

配置転換を検討する際は,必要性や不利益の比較に入る前に,その配置転換を命じる権限があるかを確認する。
最高裁令和6年4月26日第二小法廷判決は,職種や業務内容を特定のものに限定する合意がある場合,個別の同意なしに,その合意に反する配置転換を命じる権限はないとした。

この判決は日本版DBSの事案ではないが,権限の有無を先に検討する一般的な判断枠組みとして重要である。
就業規則に一般的な配転条項があることだけで終えず,採用時の書類,個別の説明・合意,従前の業務等を確認する。

2 権限がある場合も行使の適法性を検討する

命令権限がある場合でも,業務上の必要性,不当な動機・目的の有無,労働者の不利益等を踏まえた権利濫用の問題が残る。
こどもとの接触を避けられる具体的な業務があるか,その部署・施設でも対象業務に当たらないかを確かめる。

職種限定合意等により命令できない場合には,説明と個別同意を求める方法等を検討する。
同意が得られないことだけを理由に直ちに解雇できると扱わず,代替措置と解雇の要件を改めて検討する。

第5 内定取消し・懲戒・解雇を別々に検討する

1 内定取消しは募集・確認の経過まで戻って調べる

最高裁昭和54年7月20日第二小法廷判決(大日本印刷事件)は,事案の契約関係を踏まえ,留保された解約権の行使が許される範囲を限定した。
内定当時知ることができず,知ることも期待できない事実か,留保の趣旨・目的に照らして取消しが客観的に合理的で社会通念上相当かが問題となる。

同判決も日本版DBSや性犯罪前科の確認を直接扱ったものではない。
公式教材はこの判断枠組みを踏まえ,募集段階での採用条件の明示,前科の有無の明示的な確認,内定通知書等の取消事由の整備を説明している。

確認結果が判明したという一点で取消しを決めず,いつ,どの範囲の事項を質問し,応募者が何を回答し,どの条件で内定したのかを確かめる。
規程・募集書類の準備は,就業規則・誓約書の見直しも参照されたい。

2 採用後の誓約違反を採用時の経歴詐称へ置き換えない

採用時の質問に対する虚偽回答と,現職者に採用後提出させた誓約書への虚偽記載は,時点も意味も異なる。
公式Q&Aは,採用後の誓約書への虚偽記載について,「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」には該当しないと説明している。

他の規程違反等が問題になるかは,実際の規定,周知,行為及び事情に基づいて別に検討する。
後から作成した書式だけで,採用時の経歴詐称という事実を作り出すことはできない。

3 懲戒と解雇の相当性をそれぞれ審査する

労働契約法15条は懲戒について,16条は解雇について,客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当でない場合の無効を定めている。
就業規則に事由が書かれていることと,具体的な処分が有効であることは同じではない。

確認できた行為,規程上の根拠,職務との関係,説明の機会,代替措置その他の個別事情を整理する。
犯罪事実確認手続への不対応も,理由・経過を確認せず,前科があることや性暴力があったことと同一視しない。

第6 判断の記録と情報管理をつなぐ

1 何を根拠にどの措置を選んだかを残す

実務上は,情報を把握した日時・経路,確認済みと未確認の事項,安全措置,調査の担当・経過,契約・規程の確認,代替措置及び本人への説明を時系列で整理するとよい。
暫定措置を選んだ理由と,最終的な処分の理由を分けて記録する。

2 確認記録を人事関係者全員に配らない

法定の犯罪事実確認記録等には厳格な利用・提供制限があり,人事上の検討に必要というだけで自由に複製・共有できるわけではない。
被害申告の記録や本人から別に得た情報とも区別し,情報の種類,取扱権限及び保存・廃棄のルールを確認する。

労務紛争に備えることを理由に,法定の保存・消去ルールを一律に外すことはできない。
具体的な記録の扱いは,日本版DBSの犯罪事実確認記録の管理で説明している。

第7 出典と判例の確認範囲

1 こども家庭庁の公式資料

① 「こども性暴力防止法に基づく防止措置と労働法制等を踏まえた留意点」(令和8年9月29日掲載)。冊子10頁の内定取消し,配置転換等の解説,18頁の自宅待機,20~24頁の具体的対応を参照した。
同庁が掲載する弁護士作成の解説資料であり,個別事件の裁判所の判断そのものではない。
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fa291380-2996-450c-a3dd-6acf7f58fd3b/1ccf4472/20260928_policies_child-safety_efforts_koseibouhou_jigyousya_28.pdf

② 「こども性暴力防止法に関するQ&A」(令和8年9月29日版・応用編7-3),「施行ガイドライン」(同月)及び施行期日政令。
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/80127231-8582-476e-a6e7-9347e725ed96/379c2e9b/20260929_policies_child-safety_efforts_koseibouhou_100.pdf
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/80127231-8582-476e-a6e7-9347e725ed96/abc50df0/20260901_policies_child-safety_efforts_koseibouhou_72.pdf
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/80127231-8582-476e-a6e7-9347e725ed96/a0721197/20251225_policies_child-safety_efforts_koseibouhou_16.pdf

2 法令と判例

③ 労働契約法15条・16条及び労働基準法26条。
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049

④ 最高裁令和6年4月26日第二小法廷判決・令和5年(受)第604号,集民271号109頁(判例秘書番号L07910012)。裁判所公表の判決全文及び判例秘書の判決本文で確認した。
職種限定合意に反する配転命令の権限を扱ったものであり,日本版DBSの措置の適否を直接判示したものではない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-92928.pdf

⑤ 最高裁昭和54年7月20日第二小法廷判決・昭和52年(オ)第94号,民集33巻5号582頁(大日本印刷事件・判例秘書番号L03410098)。判例秘書の判決本文で確認した。
一般的な内定取消しの判断枠組みを参照しており,本記事で述べる日本版DBSの個別事案について処分の有効性を保証する判例ではない。
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