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刑事手続デジタル化はいつから始まるか―令和9年3月から7月までの地域・罪名別スケジュール(AI作成)

第1 刑事手続デジタル化は一斉には始まらない

刑事手続のデジタル化を定める「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」(令和7年法律第39号)は,令和7年5月16日に成立し,同月23日に公布された。
しかし,同法の規定は一度に全面施行されるのではなく,規定ごとに施行時期が異なる。

書類の電子化,電子令状,電子的な申立て・通知・送達及び証拠のオンライン授受等の主要規定は,令和9年3月31日までの間において政令で定める日に施行される。
さらに,主要規定の施行後も,電子的な方法の対象となる事件は,地域と罪名に応じて令和9年7月12日まで段階的に拡大される予定である。

したがって,「刑事手続デジタル化はいつからか」という質問には,法律上の施行日だけでなく,当該事件が対象事件となる日も確認しなければ答えられない。
本記事は,令和8年10月15日現在の日弁連会員向け資料に基づき,その判断順序を整理する。

第2 法律の施行日と対象事件の拡大日は異なる

法律の施行日は,改正規定が法的効力を持つ日である。
これに対し,対象事件の拡大日は,施行された規定のうち電子的な方法に関する部分が,どの地域・罪名の事件へ適用されるかを判断するための日である。

令和9年3月までに主要規定が施行される予定であっても,その日から全国の全事件で弁護人が同じ方法により電子申立てを行うわけではない。
施行段階,事件の地域,罪名,起訴前か起訴後か,公訴提起が紙でされたか電子的にされたかを分けて確認する必要がある。

また,裁判所の事件管理システム,検察庁の弁護人選任届・証拠開示等システム及び警察の告訴告発等システムは別のシステムである。
一つのシステムで利用者登録が済んだことから,他のシステムも利用できるとは限らない。

第3 令和9年3月から7月までの四段階

日弁連会員向け資料が示す段階的施行の予定は,次のとおりである。
第1段階の開始日は「令和9年3月」とされているため,具体的な政令日が公表されたときは,その日を改めて確認する必要がある。

段階期間全事件が対象となる地域覚醒剤単純使用・所持事件が対象となる地域
第1段階令和9年3月の主要規定施行日から同年5月9日までなし東京・神奈川・埼玉・千葉
第2段階令和9年5月10日から同年6月13日まで東京・神奈川・埼玉・千葉大阪・愛知・広島・福岡・宮城・北海道・香川を追加
第3段階令和9年6月14日から同年7月11日まで前記11地域全国
第4段階令和9年7月12日以降全国全国

第2段階では,東京都,神奈川県,埼玉県及び千葉県の全事件が対象となる。
これに加え,大阪府,愛知県,広島県,福岡県,宮城県,北海道及び香川県では,覚醒剤の単純使用・所持事件が対象となる。

第3段階では,これら11地域の全事件が対象となり,それ以外の地域でも覚醒剤の単純使用・所持事件が対象となる。
第4段階に入る令和9年7月12日以降は,全国の全事件が対象となる予定である。

第4 誰の電子申立てが義務になるか

1 検察官

対象事件については,検察官による裁判所への申立て等は電子的な方法によることが原則となる。
対象事件かどうかは,前記の段階,地域及び罪名によって判断する。

2 司法警察職員

司法警察職員による裁判所への申立て等については,電子的な方法を利用できるとしても,検察官と同じ範囲で直ちに電子的方法が義務になるわけではない。
警察のシステムの詳細は令和8年10月15日現在では十分に公表されていないため,実際の受付方法は対象事件と担当機関の案内を確認する必要がある。

3 弁護人及び被告人

弁護人の電子申立て義務は,主要規定の施行日から全国一律に始まるものではない。
日弁連資料によれば,第4段階では,紙によって公訴提起された事件等を除き,弁護人による申立て等も電子的方法によることが原則となる。

被告人本人による準抗告等についても,対象事件,公訴提起の方法及び経過措置を確認する必要がある。
弁護人が選任されていない事件を含め,誰のどの訴訟行為かによって電子化の取扱いが異なる。

第5 個別事件で確認する順序

個別事件について電子的方法が必要又は利用可能かを判断するときは,次の順序で確認する。

① 対象となる行為が,令状請求,起訴前の申立て,起訴後の申立て,証拠提出,証拠開示又は訴訟記録の閲覧のいずれであるか。
② その規定が施行済みか。
③ 手続を行う日が第1段階から第4段階までのいずれに当たるか。
④ 事件の地域と罪名がその段階の対象に含まれるか。
⑤ 起訴後の事件では,公訴提起が紙でされたか電子的にされたか。
⑥ 事件の併合,移送又は罪名変更がある場合,対象事件としての取扱いがいつから生じるか。
⑦ 裁判所,検察庁又は警察から個別事件について示された案内があるか。

対象事件ではなかった事件が対象事件と併合された場合,併合後の取扱いが問題となる。
もっとも,併合前に適法に行われた紙の手続が,併合により遡って無効になるわけではない。

第6 よくある質問

1 刑事手続のデジタル化はいつからですか

主要規定は令和9年3月31日までの政令日から施行される予定である。
ただし,対象事件は令和9年3月から同年7月12日まで,地域と罪名に応じて段階的に拡大される予定である。

2 令和9年3月から全国の事件が対象になりますか

全国の全事件が対象となる予定日は令和9年7月12日である。
令和9年3月の第1段階では,東京・神奈川・埼玉・千葉の覚醒剤単純使用・所持事件から始まる予定である。

3 紙で提出することはできなくなりますか

電子的方法の義務は,行為者,施行段階,事件の地域・罪名及び紙起訴か電子起訴かによって異なる。
紙による手続が直ちにすべて廃止されるわけではなく,経過措置と個別事件の案内を確認する必要がある。

4 すべての証拠をオンラインで受け取れますか

すべての証拠が一律にオンラインで開示されるわけではない。
証拠の内容・性質によっては,検察庁での閲覧その他の方法が残る。

第7 関連記事

刑事手続デジタル化の制度全体,電子令状,オンライン証拠開示及び裁判所システムの関係は,刑事手続のデジタル化とは―令和7年法律第39号の施行日,電子令状,オンライン証拠開示及びLinKage(AI作成)で説明している。

刑事記録の入手経路は,刑事記録の入手方法-捜査中・公判中・不起訴・確定後の手続(AIリライト)を参照されたい。

第8 出典

日弁連会員ページ「刑事手続のデジタル化」: https://member.nichibenren.or.jp/nichibenrenjoho/juyokadai/keiji_digital.html
日弁連会員向け資料「刑事デジタル法の概要について」: https://member.nichibenren.or.jp/nichibenrenjoho/juyokadai/keiji_digital/documentFile/260903_keiji_digital01.pdf
法務省「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」: https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00210.html
参議院「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」: https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/pdf/s0802170302170.pdf
e-Gov法令検索「刑事訴訟法」: https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131