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令和4年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した39項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和4年司法試験・知的財産法第1問について,公式資料を基に独自抽出した39の評価項目と模範解答を示す。
5段階の重みは記事独自の分析であり,法務省の公式採点基準・配点ではない。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和4年司法試験の選択科目問題の知的財産法第1問である。
出題の趣旨と採点実感を参照し,物と製法を区別して,立証,技術的範囲,明確性,公然実施及び拡大先願を検討する。
評価項目は39,重み合計は157,重み5は14項目である。

本答案は,物同一性によりY商品が技術的範囲に属し,構造の明確性を理由にXが反論できるとする。
出願前の陳列は米の構造を分析できることを前提に物の公然実施に当たる一方,工程αの判別可能性は別に検討する。
βの抽象的記載だけでは85~95%という具体的な構造の開示は認め難いとする。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

公式資料の要求を,一項目につき一つの判定対象となるよう具体化した。
必須,高評価,負例,許容分岐は重みと独立した分類であり,条件付きの別構成を全答案へ累積して要求するものではない。
出典の頁はPDF物理頁であり,趣旨は31~32頁,採点実感は23~27頁の第1問部分を指す。
一般的な要求からの具体化は「間接」とし,法務省が本表の文言や数値を定めたという意味ではない。

負例は正しい記載の裏返しである場合には対応項目にまとめた。
例えば発明類型の取り違えは番号8,明確性の条文の取り違えは番号15の正しい記載に含める。
104条の2の相当の理由という例外は法令上の補足であり,公式資料が個別に取り上げていないため39項目の集計に含めない。

2 5段階の重み付けの基準

重み5は評価の分かれ目又は答案の骨格,4は出題の趣旨が検討を求め採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項,3は一方が明示する中核の理由付け,2は軽い補強又は典型的な誤り,1は控えめな指摘とする。
重み4の「取り上げた」は,すべてが高評価事項であるという意味ではない。
各段階への件数の割当てはせず,重み1が0件であることもその結果である。

第3 本問の概要

Xは,第5層の表層側を除き85~95%と第6層を残す米の物の特許と,工程αを含む製法の特許を持つ。
Y商品は第5層の90%と第6層からなる。
設問1は構造・製法の主張に対する否認,設問2は液体で表層部分を溶かす別製法,設問3は出願2日前の出荷と翌日の店頭販売,設問4は1か月前の第三者出願βを扱う。

各設問は独立する。
設問3の出願前販売を設問1の非公知性へ持ち込んだり,設問2のYの製法を設問3の確定事実にしたりしない。

第4 評価項目と重み

1 設問1⑴:具体的態様の明示義務

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】具体的態様を否認する相手方の明示義務を104条の2により示す。431頁・2(具体的態様の明示義務)23頁・2採点方針等(1)(特許法第104条の2)
2【必須】Xの購入分析に基づく具体的な構造の主張に対し,Yの単なる否認は原則として義務を果たさないと当てはめる。431頁・2(物(Y商品)の構造)23頁・2採点方針等(1)(本問の事実関係を当てはめているもの)

2 設問1⑵:生産方法の推定

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
3【必須】物を生産する方法の特許につき104条の生産方法の推定を選ぶ。531頁・3(法第104条についての基本的な理解)25頁・3採点実感等(1)(生産方法の推定(特許法第104条))
4【高評価】Xが米自体の新規性を調査して判断した事実を非公知性の当てはめに使う。431頁・3(X発明1の新規性について調査)25頁・3採点実感等(1)(調査の上判断していること)
5【必須】出願前に国内で公然知られた物でないとの要件を,第三者の製造販売も公表刊行物記載もなかった客観的事実へ接続する。531頁・3(同条に即して簡潔に説明)25頁・3採点実感等(1)(その調査結果が客観的にも事実)
6【必須】Yが認めた90%残存の構造を,推定の前提となる同一物へ当てはめる。431頁・3(Yは争っていない)23頁・2採点方針等(1)(本問の事実関係を当てはめているもの)
7【必須】推定によりY側が別製法の立証を負う効果まで示す。431頁・3(Yの側が立証責任を負う)25頁・3採点実感等(1)(生産方法の推定)

3 設問2⑴:物の技術的範囲

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
8【必須】請求項1を,製法記載を含む物の発明(PBPクレーム)と分類する。531頁・4(プロダクト・バイ・プロセス)23頁・2採点方針等(1)(まずもって指摘する必要)
9【必須】70条1項と最高裁平成27年6月5日判決を踏まえ,同一構造・特性の物として技術的範囲を定める。531頁・4(同最判の示した規範)26頁・3採点実感等(1)(特許法第70条第1項)
10【高評価】第1~4層除去,第5層表層側を除く90%と第6層という具体的構造を85~95%の範囲へ当てはめる。431頁・4(説得的に述べる)25頁・3採点実感等(1)(同一であるといえるか)
11【高評価】削取りと溶解の製法の違いが,特定された米の構造に影響しないことを理由付ける。5記載なし(対象範囲実読済み)25頁・3採点実感等(1)(製造方法の違いが米の構造に対して影響を与えない)
12【負例】文言による範囲の検討を省いて,製法相違から直ちに均等侵害へ進まない。3記載なし(対象範囲実読済み)25頁・3採点実感等(1)(直ちに均等侵害を論じる)
13【許容分岐】製法限定説を採る場合も,最高裁判決を踏まえて立論する。(製法限定説を採り文言侵害を否定する枝のみ)3記載なし(対象範囲実読済み)26頁・3採点実感等(1)(製法限定説を採る場合であっても)
14【許容分岐】製法限定説で文言侵害を否定する場合は,均等の5要件と事実の当てはめを示す。(製法限定説を採り文言侵害を否定する枝のみ)3記載なし(対象範囲実読済み)26頁・3採点実感等(1)(均等の5要件や当てはめ)

4 設問2⑵:明確性とXの反論

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
15【必須】明確性要件違反から36条6項2号,123条1項4号,104条の3第1項を正しくつなぐ。531頁・5(明確性要件)23頁・2採点方針等(1)(無効の抗弁)
16【必須】第三者の予測可能性の保護を理由に,不可能・非実際的事情を要求する最高裁の規範を示す。531頁・5(不可能又はおよそ実際的でない)26頁・3採点実感等(1)(上記最判の趣旨から)
17【必須】層の残存状態で直接特定しやすい事実を評価し,根拠なく不可能・非実際的事情を認めない。431頁・5(直接特定することが容易)26頁・3採点実感等(1)(当てはめをきちんと行うべき)
18【高評価】Xから,請求項の構造が一義的に分かり第三者利益を不当に害さないとして,明確性違反を否定する具体的反論を示す。531頁・5(第三者の利益が不当に害されるほどに不明確)26頁・3採点実感等(1)(このような観点からの指摘)
19【許容分岐】訂正の再抗弁を採る場合は,どのように訂正するかを具体化する。(訂正の再抗弁を選択する枝のみ)3記載なし(対象範囲実読済み)26頁・3採点実感等(1)(どのような訂正を行うか)
20【許容分岐】訂正の再抗弁を採る場合は,その成立要件まで論じる。(訂正の再抗弁を選択する枝のみ)3記載なし(対象範囲実読済み)26頁・3採点実感等(1)(再抗弁の成立要件)
21【負例】本問の示唆を欠く進歩性・新規性の議論で明確性問題を置き換えない。2記載なし(対象範囲実読済み)26頁・3採点実感等(1)(明確性要件について検討すべき)

5 設問3:公然実施

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
22【必須】両特許について29条1項2号,123条1項2号,104条の3第1項の抗弁を立てる。531頁・6(公然実施による新規性喪失)23頁・2採点方針等(1)(公然実施による新規性喪失)
23【必須】物の発明について店頭での譲渡の申出を2条3項1号の実施と特定する。431頁・6(法第2条第3項第1号)23頁・2採点方針等(1)(実施行為のどれに当てはまるのか)
24【必須】生産方法の発明について,その生産物の譲渡の申出も2条3項3号の実施と特定する。431頁・6(同項第3号)23頁・2採点方針等(1)(それぞれにつき)
25【必須】公然実施を公開への代償という制度趣旨から定義し,実施行為と公然性を分ける。431頁・6(趣旨を踏まえ検討)24頁・2採点方針等(1)(趣旨及び関連する裁判例)
26【必須】未購入という事実だけでは公然実施を否定できないことを述べる。4間接:31頁・6(それらが「公然」なされたといえるのか)23頁・2採点方針等(1)(出願前になされた行為)
27【高評価】物について,当業者が利用可能な分析技術により請求項の構造該当性を判別できるかという基準を示す。5間接:31頁・6(公然実施)26頁・3採点実感等(1)(当業者の技術常識(技術水準)に基づく分析)
28【高評価】物の層構造と店頭での入手可能性を結び付け,分析可能性を具体的に評価する。4間接:31頁・6(物の発明であるX発明1)26頁・3採点実感等(1)(物の構造が当然に明らかになるわけではなく)
29【高評価】製法について,出願時に当業者が製品から方法を知る分析手段の有無・利用可能性・程度を別に検討する。5間接:31頁・6(分析手段の利用可能性の有無や程度)26頁・3採点実感等(1)(分析手段の有無)
30【高評価】具体的な工程αと製品構造からの情報を対比し,製法が知られ得るかを事実に応じて論証する。431頁・6(X商品の構造からX発明2の方法を知る)26頁・3採点実感等(1)(X商品の構造からX発明2の方法)
31【許容分岐】新規性喪失の例外に触れる場合は,自己の行為に起因する公開と1年以内の出願を示す。(30条の例外を論じる場合)3記載なし(対象範囲実読済み)26頁・3採点実感等(1)(特許法第30条第2項)
32【負例】30条2項を論じる場合は,出願時の申出・30日以内の証明書という3項の手続を留保し,近接した出願日だけで例外を認めない。3記載なし(対象範囲実読済み)26頁・3採点実感等(1)(同法第30条第3項)

6 設問4:拡大先願

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
33【必須】29条の2違反から123条1項2号,104条の3第1項の抗弁を組み立てる。532頁・7(拡大先願)24頁・2採点方針等(1)(同法第123条第1項第2号)
34【必須】βの先行出願,X出願後公開及び第三者出願という時系列を29条の2へ当てはめる。432頁・7(本設問の事実関係の下)24頁・2採点方針等(1)(条文に則して論述)
35【負例】当初明細書に記載された発明との比較を,請求対象の競合を扱う39条の問題と混同しない。2記載なし(対象範囲実読済み)27頁・3採点実感等(1)(先願違反(特許法第39条)ではなく)
36【負例】X出願時にβが未公開であることを,29条による新規性判断と区別する。2記載なし(対象範囲実読済み)27頁・3採点実感等(1)(新規性(同法第29条)の問題でもない)
37【必須】比較対象が先願の当初明細書等であり,炊飯発明の記載中の米も検討対象になると述べる。432頁・7(十分な「発明」の開示)27頁・3採点実感等(1)(明細書に記載された発明)
38【高評価】先願公開の技術的貢献と重複特許防止という趣旨から,当初記載・技術常識により具体的に開示された発明との同一性を判断する規範を示す。532頁・7(拡大先願制度の趣旨を踏まえて)27頁・3採点実感等(1)(趣旨から規範を定立)
39【高評価】「ほとんど」と85~95%及び追加記載がない事実を対比し,範囲の包含だけで十分な開示・同一性を認めないと反論する。532頁・7(十分な「発明」の開示)24頁・2採点方針等(1)(具体的に論じる答案)

7 重みの分布

重み1は0項目,2は3項目,3は7項目,4は15項目,5は14項目である。
総項目数N=0+3+7+15+14=39,重み合計W=0+6+21+60+70=157である。
これは公式得点,合格可能性又は難易度を示す数値ではない。

重み5は,番号3,番号5,番号8,番号9,番号11,番号15,番号16,番号18,番号22,番号27,番号29,番号33,番号38,番号39の14項目である。
生産方法推定の入口,PBPの分類・規範,明確性抗弁と具体的反論,公然実施の入口と分析可能性,拡大先願の入口・趣旨・具体的開示という骨格又は評価差を示す事項に付した。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

2022年5月11日の試験時を基準に,2022年4月1日施行版の特許法を用いる。
答案は2164字(空白・改行を除く)である。
各設問の独立性を守り,物同一性説と構造が明確であるという反論を採った一例を示す。
物の分析可能性は問題の構造からの推論であり,製法を特定できる分析手段の有無によって設問3の結論は変わり得る。

2 答案

1 設問1

(1) 特許法104条の2は,侵害行為を組成するとして権利者が主張する物又は方法の具体的態様を否認する相手方に,自己の行為の具体的態様の明示を義務付ける。
Xは購入・分析によりY商品の構造を具体的に主張している。
Yは,明らかにできない相当の理由がない限り,自己の商品の構造を示すべきであり,単なる否認では義務を果たさない。

(2) Xは104条の生産方法の推定を主張すべきである。
同条は,物を生産する方法の特許について,その物が出願前に国内で公然知られた物でないとき,同一の物をその方法で生産したと推定する。
X発明2は米の生産方法であり,Xはその生産物たる米自体の新規性を調査している。
客観的にも,出願時まで第三者による製造販売も刊行物記載もなく,国内非公知の要件を満たす。
Yが認めた90%残存の構造は85~95%という範囲に含まれ,同一物といえる。
したがってY商品はX発明2の方法による生産と推定され,Yが別製法によることを立証しなければならない。

2 設問2

(1) 技術的範囲は特許請求の範囲に基づいて定める(70条1項)。
請求項1は米という物を製法で特定するPBPクレームである。
最高裁平成27年6月5日判決によれば,この場合も,記載された製法により製造された物と構造・特性等が同一の物として技術的範囲を確定する。
物の発明の保護が製法の選択で失われるべきではないからである。
Y商品は第1~4層を除去し,第5層の表層側を除いた90%と第6層のみを残す。
90%は85~95%の範囲内であり,削取りと溶解はいずれも同じ表層部分を除く作用であって,本問で特定された残存層の構造に相違を生じさせない。
よってY商品は技術的範囲に属する。

(2) Yは36条6項2号の明確性要件違反を無効理由(123条1項4号)とする104条の3第1項の抗弁を主張する。
製法で物を特定すると,それが示す構造・特性や権利範囲が不明になり,第三者の予測可能性を害し得る。
上記最高裁判決によれば,明確性要件を満たすのは,出願時に構造又は特性による直接特定が不可能又はおよそ実際的でない事情がある場合に限られる。
本問では層の残存状態で容易に直接特定でき,その事情はないというのがYの主張である。
Xは,最高裁判決の趣旨を踏まえ,製法記載があっても,表す構造・特性が一義的に明らかなら第三者の利益を不当に害さず,明確性要件を満たすと反論すべきである。
本問の請求項は,第1~4層がなく,第5層の表層側を除く85~95%と第6層のみが残る構造を示す。
したがって明確性違反とはいえず,抗弁は認められない。

3 設問3

(1) Yは両特許につき,29条1項2号違反による無効(123条1項2号)を理由に104条の3第1項の抗弁を主張する。
新たな技術の公開に独占権を与える制度上,既に公衆が知り得る技術への独占権付与は不要である。
公然実施とは,実施により発明の内容を不特定の者が知り得る状態となることであり,実施品の存在だけでは足りない。

(2) X特許権1について,店頭での販売は譲渡の申出という実施(2条3項1号)である。
Xが未購入を指摘しても,不特定の者が購入して内容を知り得る以上,購入の現実化は不要である。
ただし,物が流通しても構造が当然に知られるわけではない。
当業者が利用可能な分析技術で,請求項の構造への該当性を判別できることを要する。
本問の米の残存層と割合は通常の構造分析で識別できると考えられ,出願前にその機会が与えられたため,公然実施に当たる。
もっともXは,自己の出荷に起因する公開から1年以内の出願として30条2項を援用し得る。
ただし出願時の申出及び出願から30日以内の証明書提出という3項の手続が必要であり,履践した場合に限り抗弁を排斥できる。

(3) X特許権2についても,その方法による生産物の譲渡の申出は実施である(2条3項3号)。
しかし,製法の公然性は別に判断する。
Xは,層構造の判別から具体的な工程αを知ることはできないと反論できる。
出願時の当業者が利用できる分析手段の有無・利用可能性・程度を検討すべきであり,単に米が店頭に置かれたことだけで工程αの開示を認めることはできない。
本問には具体的な工程を判別できる分析手段の存在をうかがわせる事実がなく,方法の公然実施は認め難い。
もっとも,そのような分析が可能だったと認められるなら結論は異なる。

4 設問4
Yは29条の2違反を無効理由(123条1項2号)とする104条の3第1項の抗弁を主張する。
βは第三者が1か月先に出願し,X出願後に公開された。
比較対象は当初明細書等に記載された発明であり,炊飯方法の請求項だけに限られない。
請求対象が競合する39条の問題でも,X出願前の公知性を要する29条の問題でもない。
拡大先願制度は,先願公開により既に開示される技術と同一の発明に重ねて特許を与えても新たな技術公開の価値がないため,後願を排除する。
したがって当初記載と技術常識から当業者が把握できる具体的な発明との同一性が必要である。
Xは,βの「ほとんど」は85~95%を含み得るだけで,他に米の構造・精米方法の記載がなく,その具体的範囲を開示しないと反論すべきである。
包含だけで同一性は認められず,この抗弁は認められない。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

設問1では番号1~7,設問2では番号8~21,設問3では番号22~32,設問4では番号33~39を対応させる。
条件付きの番号13・14は製法限定説を採る場合,番号19・20は訂正の再抗弁を採る場合にのみ適用する。
これらを採用しない本答案の欠落とは数えない。

(2) 設問1・2の要点

番号5の非公知性は,Xの調査判断だけでなく,第三者の製造販売と刊行物記載がなかった客観的事実まで使う。
番号11は,同じ米だという結論だけでなく,削取りと溶解の違いが特定された層構造を変えないと説明する点にある。
番号15~18では,技術的範囲と明確性を別の問題として扱い,不可能・非実際的事情を安易に認めず,構造が一義的に分かることから反論する。

製法限定説を選ぶ場合も最高裁判決との関係を説明し,文言侵害を否定した後に均等の5要件をコンパクトに当てはめる必要がある。
訂正の再抗弁を選ぶなら,層の残存構造で物を直接特定する訂正の内容,適法な訂正であること,無効理由の解消及び訂正後の範囲へのY商品の属否を具体的に論じる。
これらは採用する場合の追加経路であり,単なる名前の記載では足りない。

(3) 設問3・4の要点

番号25・27・29は,実施品が存在することと,技術内容を知り得ることを分けるための項目である。
物については当業者の利用可能な分析技術による構造の判別を,方法については具体的工程の判別をそれぞれ検討する。
別製法があり得ることだけでは,工程αを分析できないという結論は導けない。

番号38は,拡大先願の趣旨から必要な開示の程度を定める項目である。
「ほとんど」という上位の表現に85~95%が含まれるだけでは,その数値範囲が具体的に開示されたとはいえない。
他に構造や精米方法の記載がないという限定も使い,同一性の判断を説明する。

(4) 答案の弱点と扱わなかった事項

問題文は工程αの詳細な分析技術を与えていないため,設問3の方法に関する結論には判断の幅がある。
答案はその限界と反対の結論になる条件を示した。
30条の例外も手続履践が与件にないため,当然に適用されるとはしていない。
損害賠償,間接侵害及びハブ記事の集計は本問の答案の対象ではない。

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第7 出典及び確認状態

1 公式資料

法務省「令和4年司法試験論文式試験問題(選択科目)」:PDF物理20~21頁の知的財産法第1問。
法務省「令和4年司法試験論文式試験問題出題趣旨」:31頁と32頁冒頭の第1問部分。
法務省「令和4年司法試験の採点実感(選択科目)」:23~24頁の第1問採点方針,25~27頁の第1問採点実感。

2 法令

e-Gov法令検索・特許法(2022年4月1日施行版):本則2,29,29条の2,30,36,39,68,70,100,104,104条の2,104条の3,123条を確認した。

3 裁判例

最高裁平成27年6月5日・平成24年(受)1204号:4~6頁の法廷意見。技術的範囲と明確性を区別する。
最高裁同日・平成24年(受)2658号:4~6頁。発明の要旨認定に関する判断。
知財高裁平成29年12月21日・無洗米事件:14~18頁。構造・特性が一義的に明らかな場合の明確性。
東京地裁平成17年2月10日・ブラニュート顆粒事件:19~21頁,特に21頁の公然実施と分析可能性の判断。

4 確認状態

公式資料の記載と法令・判決原文の確認,及び本問への当てはめとしての推論を分けている。
裁判例は上記の部分を実読したものであり,全文の検証をしたとの意味ではない。
評価項目と重み及び模範解答は独自の分析であり,法務省の公式答案や公式採点基準ではない。