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令和4年司法試験国際関係法(私法系)第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した34項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和4年司法試験の国際関係法(私法系)第2問について,公式資料から独自に抽出した34項目と完成答案を示す。
重みは1~5の5段階であり,法務省の公式採点基準や項目別配点ではない。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和4年司法試験論文式試験の選択科目問題の国際関係法(私法系)第2問(PDF実頁48~50)である。
出題の趣旨と採点実感の本問部分から評価項目を整理した。

本問は,物品売買の国際裁判管轄,契約方式と不当利得の準拠法,ウィーン売買条約の適用範囲を問う。
抽出した評価項目は34項目,重み合計は124であり,重み5は9項目である。

設問1では,甲国法による本来の物品引渡債務の履行地が日本となるため,法定の管轄原因がある。
民訴法3条の9の特別事情については双方の事情を衡量し,以下の答案は却下を否定する立場を採る。
設問2小問1は双方甲国内なら方式上無効,日甲に分かれるなら日本法によって方式が有効となる。
小問2の返還請求は甲国法で判断し,設問3の贈答用売買には条約を適用しない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

一項目には一つの判定対象を置き,必須,高評価,負例,許容分岐を区別した。
表の番号は記事全体で連続し,法務省の公式配点を示すものではない。
負例も重みを付けて分布に含めるが,許容分岐を選んでいない答案へ累積的に要求しない。

根拠欄の頁は合冊PDFの実頁である。
出題趣旨は43~44頁の第2問,採点実感は45頁の共通採点方針,48~49頁の3⑵及び49~50頁の共通注記を参照する。
「記載なし」は関連範囲を実読した結果であり,未閲覧を意味しない。

2 5段階の重み付けの基準

重み基準
5採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの
4出題の趣旨が検討を求め,採点実感も要求又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項
3どちらか一方が明示する中核の理由付け又は許容構成
2一方が軽い表現で触れる補強又は典型的な誤り
1一方が控えめに触れるだけの事項

本問では重み4を「両資料が取り上げた事項」の基準で付けている。
両資料が触れたことを「高く評価した」と言い換えてはいない。
重み5は,明示的な点差の情報がないため,主ルートを成立させる骨格を根拠とする。

第3 本問の概要

Xは日本に営業所を持ち,甲国のY社から絵皿500セットを購入して日本のA社へ転売する。
Y社は甲国内の自社営業所でのみ販売し,買主の費用で国外送付に応じる。
健康被害の報道を受けたA社の解除後,XはZ社の代替品を調達して赤字を負った。

設問1は,契約が解除まで有効であったとの前提で,日本の国際裁判管轄を問う。
設問2は署名書面がない契約の方式と,当初不発効を前提とする代金返還の準拠法を問う。
各問は独立しているので,設問1の有効仮定を設問2へ持ち込まない。

設問3は甲国を条約締約国・留保なしとし,配偶者への贈答用ティーカップ1セットの別契約を扱う。
条約1条・2条の適用を問うものであり,その他の条文や国内法による契約効力を論じる必要はない。

第4 評価項目と重み

1 設問1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1Y社の甲国本店から民訴法3条の2による日本の管轄を否定する。443頁・設問1(「民事訴訟法」の記述)48頁・設問1(「被告が外国に住所を有する場合」の記述)
2債務不履行損害賠償訴訟を民訴法3条の3第1号の対象とする。543頁・設問1(「債務の不履行による損害賠償の請求」の記述)48頁・設問1(「契約上の債務の不履行による損害賠償の請求」の記述)
3同号の合意履行地と選択法による履行地の二つの管轄要件を示す。443頁・設問1(「契約において選択された地の法によれば」の記述)48頁・設問1(「契約において定められた当該債務の履行地」の記述)
4損害賠償債務が本来債務の転化であることから「当該債務」を目的物引渡債務と説明する。543頁・設問1(「その不履行によって転化したもの」の記述)48頁・設問1(「順を追って明示的に論述」の記述)
5引渡地の合意がないとの与件を維持し,送付先から不適切な合意を補わない。443頁・設問1(「履行地(物品引渡地)の定めはない」の記述)48頁・設問1(「引渡地についての合意」の記述)
6当事者が選択した甲国法を同号の履行地決定に用いる。343頁・設問1(「準拠法として選択された甲国法」の記述)間接:48頁・設問1(「契約において選択された地の法」の記述)
7未特定の500セットをQ条上の不特定物引渡債務とする。343頁・設問1(「本件商品が不特定物」の記述)間接:48頁・設問1(「目的物引渡債務」の記述)
8Q条により債権者Xの日本営業所を履行地に連結する。343頁・設問1(「債権者Xの営業所が日本国内にある」の記述)間接:48頁・設問1(「当該債務の履行地が日本国内」の記述)
9民訴法3条の9の特別事情を本問の双方の事情で検討して最終結論を示す。543頁・設問1(「特別の事情」の記述)記載なし(関連範囲実読)
10事案との関連が薄い管轄原因を長々と列挙しない。(誤りの回避)2記載なし(関連範囲実読)48頁・設問1(「事案と関連性の薄い管轄原因を長々と」の記述)
11設問1でウィーン売買条約の適用を前提にせず,適用論を詳細に展開しない。(誤りの回避)2記載なし(関連範囲実読)48頁・設問1(「適用がないことが示されている」の記述)

2 設問2・小問1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
12P条を方式の問題と性質決定し,7条の成立・効力だけで処理しない。543頁・設問2小問1(「契約の方式の準拠法の決定」の記述)49頁・設問2小問1(「法律行為の成立及び効力」の記述)
13500セットの転売購入を消費者契約とせず10条へ進む。443頁・設問2小問1(「本件契約が消費者契約ではない」の記述)48頁・設問2小問1(「本件契約が消費者契約ではない」の記述)
147条の選択から甲国法を10条1項の方式準拠法とする。343頁・設問2小問1(「当事者が選択した甲国法」の記述)間接:48頁・設問2小問1(「契約成立の準拠法」の記述)
15双方甲国内の場合に10条2項の行為地法も甲国法とする。443頁・設問2小問1(「本件契約の締結地法(行為地法)は、甲国法」の記述)48頁・設問2小問1(「行為地法(同条第2項)」の記述)
16署名欠缺をP条へ当てはめ,選択的連結でも甲国内事案の方式が救われないと示す。343頁・設問2小問1(「方式要件に適合していない」の記述)間接:48頁・設問2小問1(「いずれかの方式に適合していればよい」の記述)
17日甲に分かれた場合,10条1項と4項の選択的連結を示す。544頁・設問2小問1(「申込み又は承諾の発信地法」の記述)48頁・設問2小問1(「同条第4項」の記述)
18当事者の便宜から申込み・承諾の双方を一体とし,個別累積でなく選択的な適合で足りる理由を示す。344頁・設問2小問1(「当事者の便宜の観点」の記述)記載なし(関連範囲実読)
19日本からの一方の発信と民法522条2項により口頭契約の方式を有効とする。344頁・設問2小問1(「民法第522条第2項」の記述)記載なし(関連範囲実読)

3 設問2・小問2

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
20契約当初不発効の給付返還を不当利得と性質決定して14条以下を使う。544頁・設問2小問2(「不当利得」の記述)49頁・設問2小問2(「通則法第14条以下」の記述)
2114条の原因事実発生地法という原則を示す。444頁・設問2小問2(「不当利得の原因事実発生地法」の記述)49頁・設問2小問2(「原因事実発生地」の記述)
22Xの損失が日本,Y社の利得が甲国という隔地的分布を示す。344頁・設問2小問2(「Xの損失が日本で、Yの利得が甲国」の記述)記載なし(関連範囲実読)
23隔地的不当利得で損失地法/利得地法の選択に規範的な理由を付ける。544頁・設問2小問2(「理由を付して解答」の記述)49頁・設問2小問2(「理由を示すことなく結論だけ」の記述)
2414条の原因事実を「不当利得の原因」の契約締結地と取り違えない。(誤りの回避)2記載なし(関連範囲実読)49頁・設問2小問2(「「不当利得の原因」の発生地」の記述)
25契約関連不当利得として15条の明らかにより密接な関係を検討する。444頁・設問2小問2(「当事者間の契約に関連して生じたもの」の記述)49頁・設問2小問2(「通則法第15条」の記述)
26契約準拠法への附従が当事者の合理的期待にかなうと説明する。344頁・設問2小問2(「当事者の合理的期待にかない」の記述)記載なし(関連範囲実読)
27契約法と返還法の不一致による調整問題を避けると説明する。344頁・設問2小問2(「調整問題の発生を回避」の記述)記載なし(関連範囲実読)
28返還を契約の効力と性質決定する別構成でも,7条以下から甲国法へ一貫して連結する。(許容分岐:この構成を採る場合)344頁・設問2小問2(「契約の効力」の記述)49頁・設問2小問2(「一定の評価が与えられた」の記述)

4 設問3

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
29条約1条1項(a)又は(b)の入口を確認してから2条の除外へ進む。544頁・設問3(「(a)又は(b)の条件」の記述)49頁・設問3(「第1条⑴⒜又は⒝」の記述)
30物品売買であり双方の営業所が日本・甲国に所在すると当てはめる。344頁・設問3(「営業所はそれぞれ日本と甲国」の記述)間接:49頁・設問3(「同条約第1条⑴⒜の条件」の記述)
31日本と甲国が締約国であるため1条1項(a)を満たすとする。344頁・設問3(「いずれも同条約締約国」の記述)間接:49頁・設問3(「第1条⑴⒜の条件を満たす」の記述)
32配偶者への贈答購入を2条(a)の家族用売買の除外に該当させる。544頁・設問3(「Xが家族用に購入」の記述)49頁・設問3(「本件商品を家族用に購入」の記述)
33用途告知からY社の認識を認定し2条(a)ただし書の再適用を否定する。444頁・設問3(「プレゼントである旨をYに伝えていた」の記述)49頁・設問3(「それを売主は知っていたはず」の記述)
34設問3の解答を省略しない。(誤りの回避)2記載なし(関連範囲実読)49頁・設問3(「〔設問3〕の解答ができていない答案」の記述)

5 重みの分布

重み1は0項目,重み2は4項目,重み3は13項目,重み4は8項目,重み5は9項目である。
総項目数は34,重みの単純合計は124となる。
件数や重み合計から公式得点,難易度又は合格可能性は算定できない。

重み5の事項は次のとおりである。
番号2:債務不履行損害賠償訴訟を民訴法3条の3第1号の対象とする。
番号4:損害賠償債務が本来債務の転化であることから「当該債務」を目的物引渡債務と説明する。
番号9:民訴法3条の9の特別事情を本問の双方の事情で検討して最終結論を示す。(3条の3等で日本の管轄を肯定する構成)
番号12:P条を方式の問題と性質決定し,7条の成立・効力だけで処理しない。
番号17:日甲に分かれた場合,10条1項と4項の選択的連結を示す。
番号20:契約当初不発効の給付返還を不当利得と性質決定して14条以下を使う。(不当利得構成を採る答案)
番号23:隔地的不当利得で損失地法/利得地法の選択に規範的な理由を付ける。(不当利得構成)
番号29:条約1条1項(a)又は(b)の入口を確認してから2条の除外へ進む。
番号32:配偶者への贈答購入を2条(a)の家族用売買の除外に該当させる。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

令和4年5月11日の試験実施時点の法令を基準とする。
答案は改行を除き2312字であり,設問順に規範・事実評価・結論を示す。
設問1の特別事情は却下否定説,設問2小問2は不当利得構成と利得地法・契約準拠法への附従を採る。
異なる構成の許容性は枠外の解説で説明する。

2 答案

1 設問1
(1)Y社の本店は甲国にあり,日本に営業所も財産もないので,民事訴訟法3条の2第3項による管轄はない。
本件訴えは契約上の債務不履行による損害賠償請求であり,3条の3第1号の対象となる。
同号は,契約で定められた当該債務の履行地,又は契約で選択された地の法による当該債務の履行地が日本国内にあることを要求する。

(2)「当該債務」は,不履行になったY社の本来の物品引渡債務である。
損害賠償債務は本来の債務が不履行によって転化したものであり,損害賠償金の支払場所だけを別に取り出して管轄を決めるべきではない。
本件では引渡地の合意はなく,送付先をXの住所としたことも,設問上,引渡地の合意を意味しない。
しかし,甲国法が選択されている。
甲国契約法Q条は,特定物引渡し以外の債務の履行地を債権者の現在の営業所としている。
Y社は500セットを特定しておらず,本件は不特定物の引渡債務であるから,債権者Xの日本の営業所が履行地となる。
したがって,3条の3第1号による管轄が認められる。

(3)もっとも,3条の9によれば,事案の性質,被告の応訴負担,証拠の所在地等を考慮し,日本での審理が当事者間の衡平を害し,又は適正・迅速な審理を妨げる特別の事情があれば,訴えを却下できる。
Y社は甲国の自社営業所だけで販売し,外国営業所や財産を持たず,国外で卸売も行うZ社とは事業形態が異なる。
Xも長年甲国へ赴いて取引し,送付費用を負担しており,今回のオンライン商談も特別対応である。
甲国法の適用や品質に関する証拠の所在と併せ,Y社の日本での応訴負担は重いと考えられる。
他方,Y社は日本のXへカタログを送り,本件では日本への送付を引き受けている。
Xの転売先A社,代替品の提供及び赤字に関する証拠は日本側にもある。
外国応訴の負担があるというだけで法定管轄を排除すべきではなく,本件の日本との結び付きも認識可能であった。
そこで,本答案は特別の事情を否定し,日本の裁判所が本件訴えを審理できると解する。

2 設問2
(1)小問1
ア P条は,意思表示を外部に表す方法として署名書面を要求する規定であり,効力不発生を定めていても,契約の方式の問題と性質決定する。
Xの500セット購入は転売事業のためなので,通則法11条の消費者契約特例ではなく10条による。
10条1項の方式準拠法は契約成立の準拠法であり,7条により当事者が選択した甲国法となる。
Xの署名がない以上,P条の方式要件は満たさない。

イ Xが甲国のホテルにいた場合,双方の意思表示は甲国内から行われており,10条2項の行為地法も甲国法である。
同条は実質準拠法と行為地法のいずれかへの適合で方式を有効とするが,本件では両者とも甲国法なので,契約は方式上無効であり,Xの主張は認められる。

ウ Xが日本の自宅にいた場合,法を異にする地に在る者の間の契約であり,10条4項が適用される。
即時に映像と音声が通じても,双方の現実の所在地が異なることは変わらない。
実質準拠法に加え,申込み又は承諾の通知の発信地法のいずれかに適合する方式は有効となる。
当事者の便宜のため,申込みと承諾を分解して別々の法への適合を求めず,契約の方式全体をいずれか一つの法で有効とすれば足りる。
どちらの意思表示が申込みかを決めなくても,日本から一方の通知が発信されている。
日本法は通常の売買契約に書面を要求しない(民法522条2項)から,本契約は方式上有効であり,Xの主張は認められない。

(2)小問2
契約が当初から効力を生じないとの前提では,代金返還請求を法律上の原因のない給付による不当利得返還請求と性質決定し,通則法14条以下による。
14条は,不当利得債権の原因事実発生地法を指定する。
本件ではXの日本所在口座からの出金による損失が日本で生じ,Y社の甲国所在口座への入金による利得が甲国で生じた。
この隔地的不当利得については,利益を受けた者の返還義務を規律し,その者が利得を取得した地の法への予測を尊重するため,利得地法を採るのが相当である。
よって,原則として甲国法による。

さらに,15条は契約関連性等から明らかにより密接な関係がある地の法によることを認める。
本件給付は甲国法を準拠法とする契約の履行として行われた。
その清算にも契約準拠法を適用することは当事者の合理的期待にかない,契約の効力と返還義務に異なる法を適用することによる調整問題を避けられる。
仮に14条では損失地の日本法を採る立場でも,15条によって甲国法に附従させるべきである。
したがって,日本の裁判所は甲国法を適用して返還請求の成否を判断する。

3 設問3
ウィーン売買条約1条1項は,営業所が異なる国に所在する当事者間の物品売買について,(a)双方の国が締約国である場合又は(b)国際私法の準則から締約国法の適用が導かれる場合に適用される。
ティーカップは物品であり,Xの営業所は日本,Y社の営業所は甲国にある。
日本と甲国はいずれも締約国なので,本契約は同項(a)の適用要件を満たす。
当事者の国籍や民事的・商事的性質は,1条3項により適用を決める要素ではない。

しかし,2条(a)は,個人用,家族用又は家庭用に購入された物品の売買を除外する。
Xは配偶者へのプレゼントとして1セットを購入しており,家族用の購入に当たる。
売主がその用途を知らず,知っているべきでもなかった場合には除外の例外となるが,Xは契約時に贈答目的をY社へ伝えていたため,この例外は働かない。
よって,Xが別途販売事業をしていても,本契約には条約を適用せず,方式不備の主張を同条約によって判断すべきではない。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

答案1(1)・(2)は番号1~8,1(3)は番号9に対応する。
答案2(1)は番号12~19,2(2)は番号20~27,答案3は番号29~33に対応する。
番号10・11・24・34の負例は回避し,番号28の別構成は本答案では採っていない。

(2) 管轄の対象債務と特別事情

損害賠償を請求しているという訴訟類型と,履行地を判定する本来の引渡債務を分けることが番号4の中核である。
損害賠償債務は本来債務の不履行による転化であり,賠償金の支払地だけで履行地管轄を作る説明は避ける。
送付先の指定と引渡地の合意も区別する。

民訴法3条の9の結論は公式資料で一意に指定されていない。
Y社の甲国に集中した経営方針,Xの従来の訪甲取引,外国応訴の負担,品質証拠を重く見て却下を肯定する立場も,必要な事実を具体的に衡量した理由付けが必要である。
上の答案は日本向け取引の認識と日本側の損害証拠を重く見て却下を否定している。

(3) 方式の選択的連結

P条が効力不発生を定めていても,署名書面の要求という外部的表示方法を規律する以上,方式の性質決定を先行させる。
日甲に分かれた場合は10条4項を使い,契約の方式全体を申込み又は承諾の発信地法のいずれか一つで有効とする。
申込みを甲国法,承諾を日本法という具合に分解して双方への適合を累積要求しない。

(4) 不当利得の連結点と許容される別構成

番号22・23では,日本の損失と甲国の利得という分布を示してから,なぜ一方の法を選ぶかを説明する。
本答案は利得者の返還義務と予測を理由として利得地法を採るが,損失地法を選ぶ説も理由を付けて論じ得る。
その上で番号25~27の契約関連性,合理的期待及び法の不一致による調整問題回避を検討する。

出題趣旨44頁と採点実感49頁は,返還を契約の効力と性質決定し,通則法7条以下によって当事者が選択した甲国法を適用する構成にも一定の評価を認めている。
これは番号28の条件付き許容分岐であり,不当利得構成の答案へ二つの構成を累積要求するものではない。
契約準拠法の指定と,不当利得構成での15条による附従は区別して説明する。

(5) 条約の入口と家族用売買の除外

番号29の1条の入口を通ってから,番号32・33の2条(a)本文とただし書を検討する。
同じ人物が販売事業をしていても,配偶者への贈答用である別個の購入の目的は変わらない。
売主への目的告知により,家族用購入を知らなかった場合の例外も働かない。

(6) 答案の弱点と扱わなかった事項

本答案の特別事情判断は,問題文から推認した証拠所在と応訴負担の衡量に依存する。
証拠がすべて甲国にあるといった事実を追加して結論を確定したものではない。
設問2小問2は適用すべき法を問うので,問題文に与えられていない甲国不当利得法の実体要件や全額認容の可否までは論じていない。
設問3では指定のない条約の方式自由規定等の検討を省いている。

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第7 出典及び確認状態

1 公式資料

問題:法務省・令和4年司法試験論文式試験選択科目(PDF実頁48~50の第2問)。
出題の趣旨:法務省(実頁43の第2問見出し以降~44頁)。
採点実感:法務省(実頁45の科目共通部分,48の第2問以降~49頁,49~50頁の共通注記)。
合冊の他科目と第1問の内容は本問の根拠に使用していない。

2 法令

民事訴訟法・試験日適用版3条の2・3条の3・3条の9等。
法の適用に関する通則法・試験日適用版7・10・11・14・15条。
民法522条2項(試験日適用版の法令API取得原文を確認)。
外務省・ウィーン売買条約1条・2条。

3 裁判例

本答案は法令原文,設問内の外国法及び公式資料に基づいて構成しており,本問に直接対応する裁判例の原文を独立確認したとは表示していない。
未発見を裁判例不存在とは扱わない。

4 確認状態

問題の与件,法令APIで指定した2022年5月11日適用版,公式PDFの対象部分を確認した。
甲国法P条・Q条は設問上の確定資料として用いている。
評価項目の原子化・重み・具体的な当てはめと特別事情の結論は独自の分析であり,公式記載そのものとは区別する。
他年度の法改正や後発判例で試験当時の答案要求を変更していない。