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難民申請の出身国情報(COI)とは―米国国務省報告・入管庁資料の探し方と使い方(AI作成)

第1 出身国情報は何を確かめる資料か

難民申請でいう出身国情報(COI)は,出身国の政治,治安,人権状況など,保護の必要性を検討するための情報である。
国全体の情勢だけでなく,特定の地域,宗教,民族,政治活動などに関する情報も問題となる。
本記事では,資料の探し方と読み方を整理する(2026年11月2日時点)。

国についての報告と,申請者本人に起きた出来事とは,確かめる対象が異なる。
資料を読むときは,「その国で何が報告されているか」と「本人の事情がその報告にどう対応するか」を分けて整理する。
難民の要件については,難民条約上の難民とは|迫害・政治的意見・国家による保護の欠如(AI作成)を参照されたい。

第2 入管庁の資料から原文へたどる

資料を探す入口には,入管庁の国別の主な申立てに係る出身国情報や,米国国務省報告のページがある。
前者は入管庁が掲載日時点の出身国情報を収集・整理した資料を国別に掲載し,後者は米国国務省報告の仮訳を地域・国別に掲載している。
入管庁は,前者の資料について,トピックやテーマの網羅的な概要ではなく,特定の国や地域,トピックやテーマに関する同庁の見解を反映したものでもないと説明している。
掲載状況は閲覧時に確認し,目的の国・主題・期間に合う資料を選ぶ。
ページの紹介文だけで判断せず,個々の報告書の表紙,本文,注記まで開くことが出発点になる。

米国国務省の人権報告を探すときは「Country Reports on Human Rights Practices」,宗教の問題を調べるときは「Report on International Religious Freedom」という文書名に,国名と対象年を組み合わせる。
例えば,ecoi.netに掲載された米国国務省の2024年トルコ人権報告と,2023年パキスタン宗教自由報告は,別の主題・対象年の資料である。
これらは検索方法を示す例であり,各国について現在利用すべき最新版を指定するものではない。

仮訳を読む場合も,原文の文書名,対象年,該当節と対応させる。
入管庁も,掲載した翻訳は同庁の仮訳であり,「正確には原文に当たってください」と注記している。
結論を左右する語句,否定表現,人数,例外,発言の主体は,原文を併せて確認することを勧める。
原文を取得できない場合は,訳文との対応を確認済みとして引用しない。

第3 報告された事実と作成者の評価を分ける

政府が作成した報告書でも,他の団体や報道機関の情報を引用していることがある。
「誰が,どのような方法で確認したと記載しているか」を読み,重要な出来事については注やリンクから引用元へ戻る。
引用元にも別の出典がある場合は,確認できた範囲と,その先を確認できなかった範囲を分けて記録する。

英国政府の国別資料であるCPINには,出身国情報の部分と,英国の保護判断に関する政策評価であるAssessmentがある。
英国政府の作成方法の説明は,両者の役割を区別している。
この評価を紹介するときは英国側の評価として示し,日本の難民認定の結論と同一視しない。

記事や提出資料では,次の三つを分けて書くと出典を追いやすい。

区分書き分け方
原資料にある記載報告者,出来事,時期,場所と,記載が断定か伝聞かを示す。
原資料の作成者による評価どの機関・団体が,どの事実に基づいて評価したかを示す。
自分の当てはめ・提案本人の事情との関係や,追加調査の必要性を自分の検討として示す。

この表は資料を整理するための提案であり,特定の法定様式を示すものではない。

第4 日付と引用元の独立性を確認する

資料には,出来事の日付,情報収集の対象期間,報告書の公表日,ウェブページの更新日という異なる日付がある。
提出時にはこれらを控え,後の情勢変化を扱う資料も探す。
ページのURLに含まれる年だけで,本文の版を判断しない。

英国政府の作成方法の説明は,情報の関連性,信頼性,正確性,新しさ,追跡可能性などを検討するとしている。
複数の情報源が同じ(一次)情報源を引用しているだけの状態を,見せかけの裏付け(false corroboration)として避けるとも説明している。
報告書の数だけを数えず,元の情報源が共通していないかを調べる。

情報が食い違う場合には,一方を直ちに捨てず,調査時点,地域,対象者の属性,情報収集の方法を比べることを勧める。
同じ国の報告であっても,対象とした時期や集団が異なる可能性があるためである。

第5 本人の供述・資料とどう結び付けるか

出身国情報を集めた後は,本人が述べる出来事と対応させる。
例えば政治活動に関する主張なら,活動内容,公になった範囲,相手方が本人を認識した事情,危害の時期・場所を本人から確認した上で,対応する情報を探す。
国全体についての記述と本人の事情の間を,推測で埋めないことが大切である。

整理する事項記録する内容の例
本人の説明いつ,どこで,誰から,何をされたと述べているか。
本人に関する資料通信,写真,診療記録などが,どの出来事を示すか。
出身国情報対応する地域・時期・属性について,どの資料のどの箇所に何が記載されているか。
残る問題食い違い,未確認の点,資料を入手できない事情は何か。

これは主張と資料を対応させる整理例であり,列挙した書類を全て提出しなければならないという意味ではない。
面談から申請手続までの確認事項は,難民事件の初動―難民・補完的保護の主張立証と再申請時の送還リスク(AI作成)に整理している。

第6 資料に見当たらない場合の注意点

英国政府の作成方法の説明は,CPINの出身国情報部分にある出来事の記載がなくても,その出来事が起きた又は起きなかったことを意味しないとしている。
資料を探しても見つからないときは,調べた言語,期間,地域,検索先を記録し,報道や調査の制約がないかも検討する。
ただし,見つからないという事情だけで,本人の説明が正しいと確認できたことにもならない。

日本政府は,令和7年6月17日の答弁書で,難民該当性判断の手引のうち,迫害主体から政治的意見を有しているとみなされているか否かの判断に関する記載について,「申請者の供述を裏付けるために「客観的な証拠」を求め」ているわけではないと答弁している。
もっとも,手引の当該記載は,申請者の供述「のみならず、その裏付けとなる客観的な証拠、出身国情報等と照らし合わせながら」判断する必要があるとしている。
この答弁の対象は当該記載であり,「どの事件でも供述だけで認定される」と一般化することはできない。
供述,入手できた資料,出身国情報,入手できない事情を区別して整理することが有用である。

第7 資料を提出・引用する前の確認

文書名,作成主体,対象期間,公表日,原文のURL,該当頁又は節を控える。
外国語の原文と訳文を対照し,引用箇所だけでなく前後の留保や例外も確認する。
ウェブ資料の内容が変わる場合に備え,実際に参照した版と閲覧日が分かる形で保存することを勧める。

解説記事を利用する場合は,原資料の記載,解説者が付け加えた評価,自分の当てはめを区別する。
裁判例を引用する場合も,当事者の主張と裁判所の判断を区別し,判決の結論がどの問題についてのものかを原文で確かめる。
本記事は特定の国籍や属性について,認定の可否を示すものではない。

第8 主な出典

出入国在留管理庁・米国国務省報告

出入国在留管理庁・国別の主な申立てに係る出身国情報

英国政府・Purpose, methodology and use(2026年6月版)の2.4,3,4.1~4.4,5.1。

参議院・難民該当性判断の手引に関する質問に対する答弁書(令和7年6月17日)の一及び三。

出入国在留管理庁・難民該当性判断の手引(令和5年12月一部改訂)の14頁。

米国国務省・2024年トルコ人権報告(ecoi.net掲載)及び2023年パキスタン宗教自由報告(ecoi.net掲載)。本文では文書の種類と対象年を示す例として用いた。