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オンライン診療の法的ルール―初診・処方の制限と令和8年の受診施設制度(AI作成)

第1 オンライン診療で確認すべき制度の全体像

オンライン診療は,初診であるという理由だけで一律に禁止されるものではない。
ただし,患者が希望し,アプリで予約できるというだけで実施できるわけでもない。
医師が必要な情報を集め,オンラインで適切な診療ができると判断し,処方の制限や対面診療への切替えに対応する必要がある。

令和8年4月1日から,医療法にオンライン診療及びオンライン診療受診施設の規定が設けられた。
本記事は,令和8年10月26日現在の医療法,医療法施行規則及び厚生労働省の指針に基づき,患者,医療機関及び受診場所を提供する事業者が確認すべき基本事項を説明する。
診療報酬の個別の点数・算定要件や,各疾患の治療方法は対象としない。

1 法律・省令と指針を区別する

医療法2条の2及び14条の3~14条の5は,オンライン診療の定義や実施の仕組みを定めている。
医療法施行規則9条の6の2以下には,患者の意思確認,医師の判断,処方,診療計画,安全管理等の基準がある。
同法14条の4により,オンライン診療を行う医療機関の管理者には,その医師又は歯科医師が省令の基準に従って実施するための措置を講ずる義務がある。

これに加え,厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和8年4月)を確認する必要がある。
指針中の最低限遵守する事項と推奨される事項を区別し,指針の記述すべてを同じ法律上の義務として説明しないことが重要である。

2 映像と音声による診療が基本となる

医療法上のオンライン診療は,医師又は歯科医師が情報通信機器を通じ,患者の状態を映像及び音声で相互に認識しながら診察し,診断等を行うものである。
したがって,この制度でいうオンライン診療と,電話だけの対応,メール又はチャットだけの相談は区別する必要がある。

厚生労働省は,新型コロナウイルス感染症に伴う電話・情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いが令和6年3月末で終了したことを案内している。
過去の特例の記事を,現在も電話だけで初診から処方を受けられる一般的な根拠として使わないことが必要である。
現行資料の入口は,厚生労働省の「オンライン診療に関するホームページ」である。

第2 初診から受けられる場合と対面診療への切替え

1 患者の希望と医師の判断の双方が必要である

オンライン診療は,患者の明示的な希望を踏まえ,医師と患者が合意して行う。
医療機関側の都合だけでオンラインに固定したり,患者の希望だけで実施の可否を決めたりする仕組みではない。
本人確認,オンラインでは得られる情報に限界があることの説明及び対面診療と組み合わせる体制も必要となる。

初診では,かかりつけの医師による実施が基本となる。
かかりつけの医師以外が実施する場合も,診療情報提供書,診療録,健康診断の結果等から必要な情報を把握できるかを確認する。
十分な情報がない場合には,映像・音声を用いた診療前相談等を通じ,症状や医学的情報を把握し,オンライン診療が可能かを判断することになる。

診療前相談は,オンライン診療の適否を判断するための過程であり,単なる予約受付と同じものではない。
医師が把握した情報や判断の根拠を記録し,診療計画について説明した上で診療につなげる必要がある。
初診の情報把握には診療チームや代診に関する例外もあるため,具体的な運用では施行規則9条の6の10と指針の初診に関する項目を併せて確認する。

2 オンラインに適さないときは中止・受診案内が必要となる

触診,検査その他の対面での診察が必要な場合や,得られた情報だけでは適切な判断ができない場合には,オンライン診療を続けることが適切とは限らない。
医師は,オンラインでの実施が適切でないと判断した場合に,中止して対面診療を案内するなどの対応を取る必要がある。
緊急時の連絡先や受診先も,利用前に確認しておくべき事項である。

患者としては,①症状が急に変わった場合の連絡方法,②対面診療が必要とされた場合の受診先,③通信が切れた場合の対応を確認するとよい。
医療機関としては,オンラインで対応できる範囲を示し,切替えの判断と案内を診療録等に残す運用が考えられる。
これらの確認事項は,医師による個別の診療判断を置き換えるものではない。

第3 初診時の処方制限と診療計画

1 薬の種類と患者の情報によって制限が異なる

医療法施行規則9条の6の13第3項には,オンライン診療で行う処方等の制限がある。
まず,初診から行うオンライン診療では,麻薬及び向精神薬を処方できない。
さらに,基礎疾患等の情報を把握できていない患者については,特に安全管理が必要な医薬品の処方と,8日分以上の処方が制限される。

このため,オンライン診療の薬はすべて7日分までである,という説明は正確ではない。
処方の対象となる薬,患者の基礎疾患等の把握状況,初診かどうか及び対面で診察した症状に関する診療かどうかを分けて確認する必要がある。
同項には,初診ではなく,かつ,対面で診察した症状に関するオンライン診療についての除外がある。
再診というだけでこの制限から外れるわけではない。

処方可能な範囲に入る場合も,患者が指定した薬を必ず処方しなければならないわけではない。
医師は,得られた診療情報を踏まえ,薬の適応や安全性を判断することになる。
利用案内や広告を作成する際も,診察を経ずに特定の薬の処方が確約されているように読める説明は避けるべきである。

2 診療計画の保存と診療録の保存を混同しない

オンライン診療では,疾患,治療内容,対面診療との組合せ,急変時等の対応その他必要な事項を含む診療計画を作成し,患者に説明して合意を得ることが求められる。
ただし,初診からオンライン診療を行う場合には,診察後に以後の診療方針等を患者に説明する。
オンライン診療を継続して行う場合又は継続の見込みがある場合には,可及的速やかに診療計画を定め,保存する必要がある(施行規則9条の6の4第2項)。

施行規則9条の6の4第1項に定める診療計画の2年間の保存は,診療録全体の保存期間を2年とする規定ではない。
診療計画,診療録その他の書類について,それぞれの保存義務を区別する必要がある。

第4 オンライン診療受診施設の新制度

1 自宅で受ける場合と,事業者が場所を提供する場合を分ける

医療法2条の2第2項のオンライン診療受診施設は,オンライン診療を行う医師又は歯科医師が勤務する病院,診療所,介護老人保健施設又は介護医療院に対し,患者が診療を受ける場所を業として提供する施設である。
患者が自宅から受診することを理由に,自宅について一律に受診施設の届出が必要になる制度ではない。

厚生労働省の令和8年3月のQ&A問8・問9は,受診施設が必要になる場面や,既存の医療機関・自宅等との区別を説明している。
診療所を開設するのか,場所を提供する受診施設として運営するのかによって確認すべき制度が異なる。
同Q&A問13は,医師を配置して診療を行う場合や入院させる場合の扱いも示しているため,単にオンライン用ブースという名称を付ければ足りるわけではない。

2 届出だけで安全管理が完了するわけではない

オンライン診療受診施設の設置者は,施設を設置した日から10日以内に,所定の事項を施設所在地の都道府県知事等(保健所設置市では市長,特別区では区長)に届け出る必要がある。
施設の運営では,患者の安全,プライバシー,通信及び情報の安全管理等について,法令・指針に沿った体制を整える必要がある。
患者が利用する場所の管理と,医師が行う診療の管理をそれぞれ確認することが重要である。

受診場所を提供する事業者の実務では,提携する医療機関と,①施設・機器の管理担当,②本人確認や操作支援を行う範囲,③急変・通信障害時の連絡経路,④患者情報を取り扱う範囲を具体的に確認することが考えられる。
これは役割分担を明確にするための運用上の提案であり,契約に書けば患者に対する責任が当然に免除されるという意味ではない。

3 既存医療機関の経過措置は届出に関するものである

令和8年4月1日の施行時に既にオンライン診療を行っている医療機関については,令和9年3月31日までの届出に関する経過措置がある。
この期間を,オンライン診療の基準全体を守らなくてよい猶予期間と理解してはならない。
根拠と具体的な届出の扱いは,令和8年3月27日医政発0327第5号通知の第2及び改正省令の附則により確認できる。

第5 責任の分担と,関連する制度との区別

1 オンラインという形式だけで適法性や責任は決まらない

医師法20条は,自ら診察せずに治療,診断書・処方箋の交付等をすることを制限している。
オンライン診療は,この規定との関係でも適切な診察として実施される必要があり,機器を使ったというだけで当然に適法となり,診療上の責任がなくなるものではない。

厚生労働省のQ&A問14は,事故等の責任は個別事案に応じて判断されるとした上で,受診施設の設置者と,診療を行う医師・医療機関の管理者等の役割を説明している。
施設で起きた事故はすべて医師の責任になる,あるいは場所の提供者には責任がない,と一律に説明することはできない。
問題が生じた場合には,診療の判断,施設・機器の状態,説明内容,支援者の対応及び記録を具体的に確認することになる。

2 死亡診断書の取扱いには別の確認が必要である

日常の診療をオンラインで行うことと,情報通信機器を用いて死亡診断等を行うことは,対象となる場面や確認事項が異なる。
一般のオンライン診療の説明だけから,死亡診断書の交付の可否を判断しないことが必要である。
死亡診断書・死体検案書の区別,医師法20条ただし書及び死亡診断等の取扱いは,弁護士のための死亡診断書の実務を参照されたい。

平成30年4月の診療報酬改定におけるオンライン診療料の新設は,平成30年4月の厚生労働省制度変更の記事で扱っている。
当時の点数・要件と,本記事で説明した令和8年の実施基準及び受診施設制度は,時点と対象を区別して読む必要がある。

第6 出典

① 医療法2条の2,8条2項,14条の3~14条の5等
② 医療法施行規則9条の6の2以下及び令和8年厚生労働省令第46号の附則
③ 医師法20条

④ 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和8年4月)の適用範囲,基本理念,初診,診療計画及び医薬品処方・管理に関する項目
⑤ 厚生労働省「オンライン診療に関するQ&A」(令和8年3月作成)問7~問14
⑥ 厚生労働省令和8年3月27日医政発0327第5号通知第1・第2
⑦ 厚生労働省「オンライン診療に関するホームページ」