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公用車の情報公開―車種・車検証・契約書の開示と警備上の不開示(AI作成)

第1 公用車の情報は一律に非公開ではない

1 最高裁判所長官車と法務大臣車の違い

最高裁判所長官車については,令和元年の開示により,車種・取得価格・取得年月日,車検証の一部,売買契約書の一部等が明らかになった。
一方,法務大臣車の契約書・車検証をめぐる令和2年度(行情)答申第286号では,車種を特定し得る情報や装備・仕様に関する情報について,より広い範囲の不開示が妥当とされた。

両者を比べるときは,対象機関,利用者の職責,対象文書,不開示とされた具体的な項目を分けて読む必要がある。
公用車であるという理由だけで,すべて開示又はすべて不開示になるわけではない。

2 本記事の原資料

最高裁判所長官車の情報提供資料・車検証(令和元年6月21日付け通知を含む):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/最高裁判所長官の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf

最高裁判所長官車の売買契約書(令和元年9月18日付け開示通知を含む):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/09/最高裁判所長官の公用車に関する売買契約書(平成25年12月24日付).pdf

令和2年度(行情)答申第286号(令和2年9月29日):
https://www.soumu.go.jp/main_content/000708563.pdf

第2 裁判所の開示申出と情報公開法を区別する

1 裁判所は行政機関情報公開法の対象機関に含まれない

裁判所の公式案内は,裁判所が行政機関情報公開法の対象機関に含まれないことを明記したうえで,司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱に基づく手続を案内している。
裁判所の開示申出を,同法に基づく行政機関への開示請求と同一の手続として説明するのは正確ではない。

司法行政文書の開示手続(裁判所公式):
https://www.courts.go.jp/about/jouhoukoukai_kojinjouhouhogo/sihougyouseibunsyokaijitetuduki/index.html

2 通知書にある「不開示情報に相当する」の意味

長官車の車検証に関する開示通知書(PDF実頁3頁)は,車両番号等について,行政機関情報公開法5条4号・6号に定める不開示情報に相当すると説明している。
ここでは「同法が裁判所に直接適用された」と書き換えず,裁判所の通知書が示した基準と理由として読む。

裁判所の開示に関する取消訴訟と処分性は,別の記事で扱っている。
https://yamanaka-bengoshi.jp/2018/01/14/hukaiji/

第3 長官車の開示例で分かる部分開示

1 車検証の車両番号等

長官車の通知書は,車両番号等について,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれと,警備上の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれを示している。
開示された車検証には黒塗り部分がある一方,車名,型式,乗車定員,寸法,重量等を読める部分もある。

この開示例は,当該通知時点の当該文書についての取扱いである。
他の機関,同じ機関の別の車,又は現在の車について,同じ範囲が必ず開示されると保証するものではない。

2 契約書の代表者印影

売買契約書の開示通知書(PDF実頁1頁)は,受注者の代表者の印影について,法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報であり,行政機関情報公開法5条2号イの不開示情報に相当するとしている。
車両番号等に関する警備上の理由と,代表者印影に関する法人の利益の理由は,別のものとして整理する。

第4 法務大臣車に関する答申第286号

1 何が争われたか

対象は,法務大臣が使用する公用車の契約書の写しと自動車検査証である。
審査請求人は,最高裁判所長官車等の開示例を挙げて,法務大臣車についても不開示範囲の一部を開示すべきであると主張した。

答申の実頁4〜5頁は,争われた不開示部分について,契約の相手方名・契約金額,品名・規格,付属品等の項目や金額,車検証の車名・型式・寸法・重量等の具体的な範囲を確認している。
契約書や車検証の全体が同じ理由で非公開になったとまとめることはできない。

2 法務省の説明と審査会の判断

答申実頁5頁の第5の2の(2)のアは,審査会事務局職員が諮問庁に確認した補足説明を記載した部分である。
法務省の任務や法務大臣の職責を列挙した説明を,それだけで審査会自身の判示として引用しないことが必要である。

審査会自身の検討は,続くイ・ウに示されている。
審査会は,法務大臣の職責,対象文書の見分結果等に照らし,車種を特定し得る情報や装備・仕様が明らかになることで,テロ等の犯罪を誘発し又は容易にするおそれがある旨の説明を否定し難いとした。

3 結論は5条4号であり,6号の判断はしていない

答申実頁6頁の結論は,争われた部分が情報公開法5条4号に該当し,同条6号について判断するまでもなく不開示が妥当である,というものである。
処分庁が4号・6号を挙げたことと,審査会が両号の該当性をそれぞれ判断したことは区別しなければならない。

また,この答申の結論を,すべての大臣車や裁判所車両についての一律の基準に広げることも適切ではない。
最高裁判所の開示例があることだけで,法務大臣車について同じ結論になるとはされなかった点が重要である。

第5 開示資料を調べる際に整理する項目

1 文書と項目を具体的にする

調達価格を知りたい場合は契約書だけでなく取得価格を示す別紙,車両の諸元を知りたい場合は車検証,調達方法を知りたい場合は入札説明書というように,調べたい事項と文書を対応させる。
開示・不開示の範囲も,文書名だけでなく,欄名や不開示部分ごとに整理すると比較しやすい。

2 不存在と内容の不開示を分ける

令和元年5月17日付けの最高裁判所の通知は,裁判官が乗車する公用車の運転手の注意事項が書いてある文書について,作成又は取得していないため保有していないとするものである。
これは,当該申出に対応する文書の保有についての通知であり,運転上の注意や指示が一切ないことまで証明するものではない。

運転手の注意事項に関する通知書:
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/05/R010517-不開示通知書(最高裁判所裁判官が乗車する公用車の運転手の注意事項が書いてある文書).pdf

第6 関連記事

役職別の車種・取得価格の一覧:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/06/25/public-car/

最高裁判所の警備と情報開示をめぐる裁判例:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/04/21/saikousaisaibankan-shuugeki-osore/

後者は庁舎等の情報に関する裁判例を扱う記事であり,公用車の答申と同一の事件ではない。
裁判所の警備上の事情を考えるための関連記事として参照されたい。