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再審請求前に刑事記録・証拠品の保存を求めるには―請求先,対象,保存期間と開示との違い(AI作成)

第1 再審の準備では,開示と並行して保存を確認する

再審のために必要な資料があると考えても,所在の調査や開示の協議が続いている間に,保管期間が満了するおそれがある。
そのため,資料の内容を見せてもらう手続と,資料を失わせないための保存の手続を分けて進めることが重要である。

刑事確定訴訟記録法3条2項は,再審の請求をしようとする者にも,保管記録の再審保存を請求することを認めている。
再審請求書を裁判所に提出してからでなければ保存を求められない,という制度ではない。
ただし,記録についての法定の保存請求と,検察庁が保管する証拠品についての申入れでは,根拠と対象が異なる。

第2 刑事確定訴訟記録の再審保存を請求する

1 請求先は保管検察官である

刑事確定訴訟記録法2条1項による保管検察官は,原則として,当該被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官である。
上訴審の裁判所や,現在の居住地の検察庁を,当然の請求先と考えることはできない。
まず,確定判決,第一審の事件番号,被告人の氏名,訴訟の終結時期等を伝え,現在の記録の保管先と担当窓口を確認する。

2 再審を請求する予定の段階でも請求できる

同法3条2項の請求者は,再審の請求をしようとする者,再審の請求をした者,又は刑事訴訟法440条1項により選任された弁護人である。
単に事件に関心がある第三者全員に,この請求権が認められているわけではない。
弁護士が請求する場合は,再審のための弁護人選任関係を整理しておく必要がある。

保管検察官は,再審の手続のため保存の必要があると認めるときは,保存すべき期間を定め,通常の保管期間満了後も再審保存記録として保存する(同条1項)。
請求しただけで,必要性の判断を経ずに無期限の保存が決まるものではない。

3 請求書には事件と保存の必要性を具体化する

刑事確定訴訟記録法施行規則5条は,様式第1号の再審保存請求書を保管検察官に提出することを定めている。
その所定様式を用いることを前提に,対象事件,請求者の資格,保存を必要とする記録,必要性を説明する資料を整理する。
以下は,理由の説明を具体化するための例であり,所定様式の代わりとなる書式ではない。

整理する事項記載・添付を検討する内容
事件の特定第一審の裁判所・事件番号,被告人の氏名,確定裁判の日付,罪名等
保存対象当該事件の保管記録を特定し,特に確認を要する鑑定書,供述調書,写真等があれば明示する
保存の必要性確定判決のどの認定を,どの資料により検証する予定かを説明する
必要な期間鑑定準備,資料調査等の予定と,保存を希望する期間の理由を説明する
連絡事項現在の保管期間の満了日,決定・通知の連絡先,関連する証拠品の担当との連絡を確認する

例えば,「確定判決の認定に用いられた鑑定の検証を予定しており,原資料と検証に必要な記録の照合を要する。対象事件の保管記録について,再審の手続のための保存を請求する。保存を必要とする期間及びその理由は添付資料のとおりである。」と説明し,具体的な調査予定や資料を添えることが考えられる。
対象が一部の書類だけで足りるか,関連する記録も必要かは,事件に即して検討する。

第3 証拠品の保管は,記録とは別に確認する

1 証拠品事務規程の対象を確かめる

証拠品事務規程89条1項は,再審の請求が行われることが予測されるとき,同規程88条1項に規定する証拠品を期間を定めて保管することを定める。
88条1項の対象には,原判決に係る被告事件の証拠品で,没収の裁判,所有権放棄又は刑事訴訟法499条3項により国庫に帰属したものが含まれる。
また,電磁的記録に係る権利が放棄された記録媒体等についても,同項の定めがある。

したがって,すべての押収物,警察保管資料又は既に還付された物に,この規程による同一の保管措置が当然に及ぶとはいえない。
証拠品の品名・数量,押収や領置の番号,現在の保管先,国庫帰属・還付・廃棄等の処分状況を,分かる範囲で特定して申し入れる。
証拠品事務規程は検察庁の事務を定める訓令であり,刑事確定訴訟記録法3条2項と同じ形の証拠品保存請求権を定めた規定として扱うことはできない。

2 記録担当と証拠品担当の連絡を求める

記録事務規程9条4項は,再審の請求が予測される旨を,記録担当事務官から証拠品担当事務官へ速やかに通知する場合を定める。
証拠品事務規程89条2項・4項にも,この通知の報告と,証拠品担当側から記録担当側への通知の定めがある。
記録と現物が別の部署や検察庁にある場合は,両方の担当,対象,保管期間及び連絡の状況を分けて確認することが実務上有用である。

対象根拠と手続の違い
刑事確定訴訟記録記録法3条による再審保存請求を保管検察官に行う。保存の要否の決定と請求者への通知がある
規程88条1項の証拠品再審請求が予測されることと対象証拠品を具体化し,規程89条の保管措置を申し入れる。記録担当との連絡も確認する
警察保管の不提出資料等保管主体と適用される取扱いを調べ,所在調査・開示と併せて保存を申し入れる。上記2制度が当然に適用されるとは扱わない

第4 保存の決定,期間と延長を管理する

1 記録の保存に関する通知を受ける

刑事確定訴訟記録法3条3項によれば,請求があったとき,保管検察官は保存するかどうかを決定し,請求者にその旨を通知しなければならない。
既に再審保存することとされている記録については,その旨の通知で足りる。
施行規則6条による通知は書面で行い,保存しない旨の通知には理由を付記する。
記録事務規程7条にも,決定書及び通知書の取扱いが定められている。

請求書を送ったこと,窓口が受け取ったこと,保存する旨の決定を受けたことを区別し,送付・受領・通知の記録を残す。
通常の保管期間が迫っている場合は,その満了日を確認し,判断が済むまでの取扱いについても具体的に連絡する。
申入れ又は請求の提出だけで廃棄が自動的に停止すると考えず,現在の保存状況を確認する必要がある。

2 保存期間の満了前に延長を検討する

再審保存記録の保存期間は延長することができ,保存請求・決定・通知の規定が準用される(記録法3条4項)。
施行規則7条により,延長の請求には様式第2号の再審保存期間延長請求書を用いる。
証拠品についても,証拠品事務規程89条5項は保管期間の延長を認めているが,記録の延長請求と同じ書式の法定請求手続ではない。

弁護側では,記録と証拠品のそれぞれについて,保存対象,決定又は回答の日,保存期間,次回の確認日及び延長を求める理由を管理する。
再審請求が行われた後は,規程88条1項の証拠品について,再審請求に対する裁判が確定するまでの保管が定められる。
再審開始決定が確定した場合は,同規程90条により,再審の裁判が確定するまで保管する。
これらは,対象となる証拠品の範囲を前提とした定めである。

第5 保存と閲覧・開示は別の手続である

再審保存が決まっても,その決定だけで記録の閲覧・謄写や証拠品の開示・鑑定が実現するわけではない。
再審保存記録の閲覧には,刑事確定訴訟記録法5条及び施行規則9条による別の請求と取扱いがある。
閲覧を求める資格,閲覧の制限,謄写の方法を,保存の問題と区別して確認する。

通常の保管記録の入手は,判決確定後の刑事記録(刑事確定訴訟記録)の入手方法――閲覧・謄写の手続と法的根拠(AIリライト)を参照されたい。
警察保管証拠の所在調査,任意開示及び一覧表については,再審で警察保管証拠の開示を求める実務―任意開示,証拠一覧表,所在調査と主張訂正(AI作成)で説明している。

第6 保管状況の回答を分けて記録する

所在の照会に対して回答がない場合は,「不存在」と記録せず,回答待ち又は調査未了と記録する。
回答を得た場合も,現に保管中,別部署へ移管,既に還付,既に廃棄,調査した範囲では見つからない,保管はあるが開示しない,という違いを残す。
物が存在することだけでなく,保存された範囲,試料の残量,複写データや鑑定資料の有無など,予定する検証に必要な状態を確認する。

証拠品事務規程2条は,紛失,滅失,毀損又は変質等を防ぎ,証拠価値の保全に努めることを定める。
弁護側の申入れでも,検証に必要な現物・記録の状態を具体的に説明することが有用である。
特定の保存設備,検査方法又は開示方法まで,当然に指定できるとする趣旨ではない。

第7 出典と説明の範囲

①刑事確定訴訟記録法2条・3条・5条:
https://laws.e-gov.go.jp/law/362AC0000000064

②刑事確定訴訟記録法施行規則5条~7条・9条及び様式第1号・第2号:
https://laws.e-gov.go.jp/law/362M50000010041

③法務省「記録事務規程」7条・9条(令和7年5月29日改正):
https://www.moj.go.jp/content/001399010.pdf

④法務省「証拠品事務規程」2条・88条~90条(令和8年3月23日改正):
https://www.moj.go.jp/content/000110750.pdf

本記事は,令和8年10月14日時点の法令及び公表規程を基礎に,保存請求と保管申入れの違いを説明したものである。
請求書に添える資料,担当への連絡及び期限の管理についての説明には,実務上の提案を含む。
個別事件での保存の必要性,現に残っている資料の範囲及び開示の可否は,対象と保管状況に即して確認する必要がある。