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訴状却下命令・訴え却下判決・請求棄却の違い―補正と不服申立ての確認事項(AI作成)

第1 最初に裁判書の主文・理由・形式を確認する

1 三つの判断を分ける

訴状に問題があると指摘されたときは,何を書き直すべきかだけでなく,問題となっているのが訴状の記載,訴えの適法性,請求権の有無のどれかを確認する。
「却下された」「認められなかった」という説明だけで,不服申立ての種類や期間を決めてはいけない。

判断主な対象裁判の形式・確認条文
訴状却下訴状の必要的記載事項の不備が補正されない場合裁判長の命令。民事訴訟法134条2項,137条
訴え却下訴えが不適法である場合判決。本記事では,補正不能の不適法な訴えを口頭弁論なしで却下できる140条を中心に扱う
請求棄却本案を判断した結果,原告の請求を認めない場合判決。請求権の存否の判断と,入口の適法性の判断を区別する

この表は代表的な判断を比較したもので,すべての却下をこの三つだけで説明するものではない。
手数料不納付による訴状却下には137条の2,呼出しに必要な費用の予納がない場合の訴え却下には141条の別の規定がある。

2 本記事の基準と使い方

本記事は,令和8年11月4日に確認した現行民事訴訟法を基準に,通常の民事訴訟で判断を取り違えないための確認事項を整理する。
具体的な事件では,適用される経過措置や特別法も確かめ,裁判書の主文,理由,告知・送達の記録を照合する。

電子化後の提出操作は,mintsの訴状訂正・補正の方法で扱っている。
本記事では,提出操作の前に必要となる,補正対象と裁判の種類の見極めを扱う。

第2 訴状の必要的記載事項と請求の証明を分ける

1 何を求める訴えかを特定する

民事訴訟法134条2項は,訴状に当事者及び法定代理人,請求の趣旨及び原因を記載することを求めている。
まず,誰が誰に対し,どのような判決を,どの請求について求めているのかを確認する。

例えば,金銭請求であれば,請求額と請求の対象となる取引等を照合する。
同じ相手との取引が複数あるときは,日付,対象,支払期等を整理し,どの取引に基づく請求なのかが曖昧になっていないかを点検する。
これらは請求の特定を確認するための実務上の整理であり,あらゆる事件に同じ記載項目を要求するものではない。

2 証拠が足りないことと訴状の不備は同じではない

請求が特定されていても,その請求を基礎付ける事実の主張や証明が足りず,本案で認められないことはある。
反対に,資料が多数添付されていても,何を請求しているのかが分からなければ,請求の趣旨及び原因の記載の問題は残る。

したがって,137条による訴状審査の対象と,本案での主張・立証の十分さを区別する。
134条2項の記載事項の欠缺を問題とするのか,特定された請求を認めるだけの主張・立証がないとするのかを,指摘された箇所に即して整理する必要がある。

第3 補正命令と訴状却下命令

1 補正を求められた箇所と期間を特定する

民事訴訟法137条1項は,訴状が134条2項に違反する場合,裁判長が相当の期間を定めて不備の補正を命じなければならないとする。
原告が補正しないときは,同条2項により,裁判長は命令で訴状を却下しなければならない。

対応するときは,補正命令の対象となった文言,命じられた内容,期間,実際に提出した補正書面を一つずつ対応させる。
書記官との連絡内容も保存し,正式な命令と事務連絡を取り違えないようにする。
法律が全国一律の補正日数を定めているという前提ではなく,その事件で定められた期間を確認する。

2 手数料不納付には別の手続がある

現行137条の2は,手数料不納付について,裁判所書記官による納付を命ずる処分と,納付されない場合の裁判長による訴状却下命令等を定めている。
同条3項の書記官の処分に対する異議と,同条7項の却下命令に対する即時抗告は,対象も要件も同じではない。

同条7項ただし書には,即時抗告をした者が,自ら相当と認める訴額に応じた手数料を納付しない場合の制限もある。
「訴状却下だから137条だけを読めばよい」と判断せず,不備の種類と根拠条文を確認する。
納付操作や計算については,mintsの訴状訂正・補正の方法の第5と,そこから案内する手数料の記事を参照されたい。

第4 訴え却下判決と請求棄却判決

1 補正不能の不適法な訴え

民事訴訟法140条は,訴えが不適法で,その不備を補正できないとき,裁判所が口頭弁論を経ないで判決で訴えを却下できると定める。
訴状の記載を補わせる137条と異なり,訴えの不適法と補正不能が問題となる。

口頭弁論が開かれていないという事実だけから,裁判長の命令であったと決め付けることはできない。
裁判書の形式と,どの不備が補正不能と判断されたのかを確かめる。

2 本案の請求を認めない判断

請求棄却は,原告の請求を本案で認めない判断である。
訴えを適法に提起できることと,請求権の存在が認められることは別の問題である。

民事訴訟法114条1項は,確定判決の既判力を,主文に包含するものに限って認めている。
不利な判断を受けた後に同じ請求をし直すことを考えるときは,前の裁判が何を判断し,何が確定したのかを確認する必要がある。
訴え却下なら常に何の制約もなく再提訴できる,あるいは証拠を追加すれば確定した請求棄却判決を回避できる,という整理は避ける。

第5 不服申立てと再提訴を検討するときの確認表

1 即時抗告と控訴の期間を混同しない

137条2項の訴状却下命令には,同条3項により即時抗告ができる。
即時抗告の期間は,332条により,裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間である。
これは,補正のために指定された期間とは別の期間である。

第一審の終局判決については,281条の要件の下で控訴を検討する。
現行285条の控訴期間は,電子判決書又は同条所定の電子調書の送達を受けた日から2週間の不変期間である。
特別法,経過措置,控訴しない旨の合意等の適用も確認し,あらゆる裁判に一律の不服申立てがあるとは考えない。

告知と送達,補正期間と不服申立期間を区別して記録する。
決定・命令の電子的な受領と期限管理については,mintsで決定・命令を受け取るときを参照されたい。

2 相談・受任時に資料をそろえる

確認対象保存・照合する資料
裁判の特定裁判書の全文,裁判所,事件番号,裁判日,主文と理由,根拠条文
補正の経過当初の訴状,補正命令,連絡記録,提出済みの補正書面と受付記録
不服申立て裁判の形式,告知・送達の記録,申立ての種類,適用される期間
再提訴却下理由が解消したか,前の裁判の確定と判断範囲,同じ請求か,別途問題となる時効・出訴期間

この確認表は,事件ごとの判断資料をそろえるためのものである。
不服申立てと再提訴のどちらを選ぶかは,裁判の理由,不備の補正可能性,確定の有無等を踏まえて検討する。

第6 出典・関連記事

1 法令

民事訴訟法(e-Gov法令検索)
134条2項,137条,137条の2,140条,141条,114条1項,281条,285条,332条。
令和8年11月4日時点の施行条文を参照した。

2 関連記事

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