第1 2026年度は19人,前年と同じ人数である
南山大学法科大学院の2026年度入学者は19人で,前年と同じである。
ただし,複数年の推移を見ると,2022年度の4人から2023年度12人,2024年度16人へ増え,2025年度と2026年度は19人となっている。
本記事では,南山大学法務研究科が公表する過去の入試状況を用い,人数の回復と直近年度の動きを分けて確認する。
対象は年度ごとの入学者選抜の結果であり,在籍者全体や司法試験の受験者・合格者の人数ではない。
第2 複数年で見る入学者数の変化
| 入学年度 | 入学定員 | 志願者数 | 合格者数 | 入学者数 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 20人 | 37人 | 16人 | 9人 |
| 2022年度 | 20人 | 35人 | 14人 | 4人 |
| 2023年度 | 20人 | 51人 | 20人 | 12人 |
| 2024年度 | 20人 | 81人 | 26人 | 16人 |
| 2025年度 | 20人 | 96人 | 34人 | 19人 |
| 2026年度 | 20人 | 116人 | 38人 | 19人 |
上表の期間では,入学定員は20人で変わっていない。
2022年度から2026年度までの入学者増加は,定員の拡大によるものではない。
他方,2021年度の9人から2022年度の4人へは減少している。
したがって,長期間を一括して毎年増加と表現することは適切でない。
2022年度の低い水準から回復し,直近2年度は19人を維持した,という読み方が公表表に対応している。
第3 2025年度と2026年度の比較
1 入学者数は同じでも志願者・受験者は増えた
| 項目 | 2025年度 | 2026年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 志願者数 | 96人 | 116人 | +20人 |
| 受験者数 | 74人 | 91人 | +17人 |
| 合格者数 | 34人 | 38人 | +4人 |
| 入学者数 | 19人 | 19人 | 0人 |
| 大学公表の競争倍率 | 2.18倍 | 2.39倍 | +0.21倍 |
志願者数は約20.8%増え,受験者数と合格者数も増えている。
その一方,最終的な入学者数は変わっていない。
前年比の入学者数だけでは,選抜の入口から合格までの変化を捉え切れない。
大学は競争倍率を受験者数÷合格者数と定義し,既修者コースと標準修業コースを併願して既修者コースに合格した人を,標準修業コースの受験者数に含めない旨を注記している。
倍率は,大学が示したこの集計方法に沿って読む必要がある。
2 定員に対する入学者数は95%である
2026年度の入学者19人は,定員20人の95%である。
2022年度の4人は同じ定員の20%であり,その時点との比較では受入れ人数が大きく回復している。
もっとも,1学年20人規模では,入学者1人の違いが定員に対する割合を5ポイント動かす。
割合だけで大きな増減と評価せず,人数と併せて示すことが有用である。
第4 回復の事実と,その理由・成果を区別する
1 人数表だけで回復の原因は断定できない
公表された入試状況から確認できるのは,年度ごとの人数と倍率の推移である。
特定の教育改革,奨学金,入試日程又は他大学からの進学が回復をもたらしたとする因果関係までは,この表だけで特定できない。
合格者数に対する入学者数の割合も,2025年度は19÷34で約55.9%,2026年度は19÷38で50.0%となる。
志願者数の増加と,公表合格者数のうち入学に至る割合の変化が,必ず同じ方向になるわけではない。
本記事の計算による割合は,小数第2位を四捨五入して小数第1位まで示した。
2 入学者の回復と教育成果は別の指標である
入学者数が回復したことは,受入れ人数の動向として意味がある。
しかし,入学後の進級・修了や,司法試験の結果,修了後の活動を直接示すものではない。
進学先として検討する場合は,入試状況に加え,自分が希望するコースの教育内容,学修支援,費用及び修了までの見通しを確認することが有用である。
過去の人数の推移を,そのまま将来の合格可能性や教育成果の保証として扱うことはできない。
第5 南山大学の動向をどう捉えるか
南山大学法科大学院は,2022年度の入学者4人から,直近2年度は19人という水準に回復した。
2026年度は,入学者数が横ばいである一方,志願者・受験者・合格者の各人数が前年より増えている。
この動向は,単年の増減だけでなく,定員が変わらない中での複数年の推移と,選抜段階ごとの変化を組み合わせることで理解できる。
人数の回復と,その原因や教育成果についての評価を分けることが,学校の現状を読む上で重要である。
第6 関連記事
① 法科大学院等特別委員会とは-役割,構成及び令和8年の審議課題
② 法科大学院等特別委員会の議事録に表れた関係者の本音-予備試験,未修者教育,地方偏在,認証評価及び公的支援
第7 出典
① 南山大学法務研究科「受験生の方へ 過去の入試状況」,2021年度~2026年度の表及び倍率の定義・併願者の取扱いに関する注記。
https://depts.nanzan-u.ac.jp/grad/ls/admission/applicants.html
表の増減,志願者数の増加率,定員に対する割合及び合格者数に対する入学者数の割合は,公表人数から本記事で計算したものである。