第1 懲戒事由が明白でも,処分前に分けて確認する事項
1 懲戒解雇,退職金及び解雇予告は別の問題である
懲戒解雇事由に明らかに該当する社員であっても,社内の手続を省略し,退職金を当然に全額不支給としてよいとは限らない。
人事・法務担当者は,①懲戒の根拠と処分の相当性,②本人の弁明と社内決裁,③退職金の不支給・減額,④解雇予告又は予告手当,⑤解雇通知の到達を分けて確認する必要がある。
労働契約法15条は懲戒権の濫用,同法16条は解雇権の濫用を規制する。
非違行為の存在が明白であることと,その社員に対する懲戒解雇や長年の勤続に対応する退職金の全額不支給が相当であることは,同じ判断ではない。
本記事は,令和8年10月3日現在の法令及び確認した判決本文を基に,会社側の手続上の留意点を説明するものである。
2 最初に確保する資料と担当者
人事担当者は,行為時・処分時の就業規則,退職金規程,懲戒委員会規程,労働協約,雇用契約書及び各規程の周知資料を確保する。
調査担当者は,認定する行為,日時,関係者,証拠,争いのある点を一覧にし,法務担当者は適用条項,決裁権者,弁明方法,解雇予告及び通知方法を確認するという分担が考えられる。
勾留中であれば,現在の収容先,移送・釈放の可能性,刑事弁護人との適法な連絡経路及び接見等禁止決定の具体的な範囲も確認する。
逮捕情報だけを根拠とする処分や,連絡不能を本人の自認とみなす処理は避ける。
第2 規程の根拠と社内手続を確認する
1 懲戒規定の事前整備と周知
最高裁判所第二小法廷平成15年10月10日判決(フジ興産事件)(平成13年(受)第1709号)は,懲戒の種別・事由の事前の定めと,就業規則の周知を必要とした(判決理由4,2頁)。
労働基準監督署への届出を済ませたことだけで,社員への周知が確認されたことにはならない。
適用対象,施行日,改定履歴,閲覧・交付の実態を確認し,問題行為の後に新設した懲戒条項を当然に適用しない。
退職金規程が就業規則と別冊になっている場合も,不支給条項の内容と周知を確認する。
2 委員会,労働組合及び決裁権者
自社の規程・労働協約が定める委員構成,利害関係者の除外,定足数,弁明,補助者,組合との協議又は同意,決裁権者を確認する。
これらが全企業に一律に法律上要求されるわけではないが,自社に適用される手続を,行為が明白であることだけを理由に省略しない。
東京地方裁判所平成17年1月31日判決(平成15年(ワ)第20194号)は,当該規程に合議の形式の定めがなかったことを踏まえ,電話や持回りによる意思決定も許されるとした(第3の3(2)エ,7頁)。
この判断から,委員会が必要な会社でも常に委員会を省略できる,又は全ての会社で持回り決裁が可能であるとはいえない。
3 処分時に認定する理由を特定する
最高裁判所第一小法廷平成8年9月26日判決(山口観光事件)(平成8年(オ)第752号)は,処分当時に使用者が認識していなかった非違行為について,特段の事情がない限り,その懲戒を根拠付ける理由にできないとした(1頁)。
調査報告,委員会資料,決裁書及び通知書において,対象行為と適用条項を対応させ,後から別の行為を付け足せば当初の処分が有効になるという前提で進めない。
第3 本人が実際に利用できる弁明の機会を設ける
1 弁明条項がある場合と,ない場合
就業規則等に弁明の機会を与える定めがあれば,その内容に従って実施する。
定めがない場合について,上記東京地裁平成17年1月31日判決は,弁明の機会を与えなかったことだけでは直ちに懲戒解雇が無効にならないとしたが,実際には解雇直前の事情聴取も認定されている(第3の3(1)及び(2)イ,7頁)。
したがって,「条項がなければ一切説明を求めなくてよい」という運用を勧めるものではない。
事実の誤認,動機,役割,被害回復,処分の均衡及び退職金の減額で足りる事情を確認するため,処分前に説明の機会を設けることが実務上望ましい。
2 質問事項,回答方法及び期限
問題とする行為の日時・場所・概要,適用を検討する条項及び予定する処分を,本人が争点を理解できる程度に示す。
退職金の全額不支給を検討する場合も,その根拠と対象を知らせ,不支給・減額に関する事情を説明できるようにすることを勧める。
被害者のプライバシーや報復防止に配慮しながら,説明に必要な具体性を確保する。
東京高等裁判所平成29年3月9日判決(平成28年(ネ)第1730号,第3767号)は,具体的な顧客名等を示さずにされた質問では情報漏えいについて弁明の機会を与えたとはいえないと判断している(30頁)。
同判決は,手続だけでなく処分の相当性等も検討している。
回答期限を全国一律に何日と決める法的基準は,本記事で確認した資料からは示せない。
資料量,通信方法,休日,勾留・接見禁止の制約及び弁護人への相談に要する時間を踏まえ,書面回答,面談,補助者の関与及び延長の申出方法を用意する。
3 回答がない場合の評価
通知した質問と期限,本人に届いた経過,利用可能な回答方法,延長や補助の申出及び会社の対応を記録する。
回答がない場合も,本人が説明を拒否したのか,接見禁止・通信制限や体調等により回答できなかったのかを区別し,無回答を直ちに自認又は弁明権の放棄と扱わない。
小田急電鉄事件では,会社関係者の勾留先での接見等を踏まえ,自主的な弁明機会の放棄が認定された(後記判決4頁)。
接見禁止により説明できない社員について,同じ結論をそのまま当てはめることはできない。
第4 接見禁止付きで勾留されている社員への対応
1 禁止決定の内容と施設の取扱い
(1) 禁止決定の範囲
刑事訴訟法81条は,勾留中の被告人の接見や書類等の授受を禁止する決定を定め,同法207条1項により被疑者の勾留でも関係規定が適用される。
刑事施設か警察の留置施設かによって処遇の規定も異なるため,単に「接見禁止」と聞くだけで,会社の面会,質問書の交付,返信及び解雇通知の授受が全て同じ取扱いになると判断しない。
(2) 施設との連絡と一部解除の検討
人事・法務担当者は,適法に確認できる範囲で,現在の収容先,決定の対象者・書類・期間,施設への郵送方法及び交付結果を確認する。
必要な範囲の一部解除等を検討する場合は,刑事弁護人を通じて具体的な手続を相談し,会社に当然の申立権がある,又は必ず許可されるという前提にしない。
2 刑事弁護人と会社側弁護士の役割
刑事訴訟法39条1項の接見交通は,弁護人又は弁護人となろうとする者の地位に基づく。
会社の代理人が弁護士であるというだけで,接見禁止の例外として本人に面会し,会社の通知を渡せるわけではない。
刑事弁護人に連絡を取り,依頼の受否,本人の意思,接見等禁止の範囲及び弁護活動との関係を確認しながら,質問の伝達や本人の回答を得る方法を相談することが考えられる。
刑事弁護人が会社の連絡窓口になったことから,解雇通知の受領代理権まで当然に生じるものではない。
会社側弁護士が形式的に弁護人となろうとする者を装って接見する方法は勧められない。
3 勾留中の弁明を扱った裁判例の射程
大阪地方裁判所令和7年9月12日判決(令和6年(ワ)第7652号,判例秘書L08050659)は,教員の懲戒解雇に関し,勾留中の書面による回答や面談の経過を検討し,弁明の機会を認めた(第3の2(1)ウ・エ)。
判決本文によれば,弁明通知は勾留中に届き,刑事弁護人への提出や郵送による回答方法が提示されているが,接見禁止決定の存在・範囲は認定されていない。
解雇通知の到達は保釈後であり,接見禁止中に会社の解雇通知が施設に届けば本人にも到達したとする判例ではない。
また,この事件では退職金全額不支給の適否が判断されたわけでもない。
勾留中でも利用可能な回答方法を具体的に確保するという参考になるが,禁止決定を無視して同じ面談方法を採用できる根拠にはならない。
第5 退職金全額不支給の判断と決裁を明確にする
1 不支給条項と功労抹消の程度
退職金規程の支給要件,計算方法,不支給・減額条項,決定権者及び支払時期を確認する。
退職金の性質,勤続期間,役職,会社への貢献,非違行為の故意・反復性,業務との関係,会社の損害及び一部減額では足りない理由を,懲戒解雇の理由とは別に整理する。
東京高等裁判所平成15年12月11日判決(小田急電鉄事件)(平成14年(ネ)第6224号)は,懲戒解雇を有効としつつ,退職金の3割の支給を認めた(5頁~6頁)。
全事案に3割の最低保障を設けた判決ではなく,長期勤続,退職金の性質及び職務外の行為と会社との関係を評価した事例である。
これに対し,大阪地方裁判所平成17年7月13日判決(平成15年(ワ)第9907号)は,重要な地位にあった者の重大な背任行為による会社への直接的損害等を踏まえ,全額不支給を認めた(第3の2(2)ウ,13頁~14頁)。
私生活上の犯罪と会社に対する重大な背任を,行為の名称だけで同列に扱わない。
2 別の評価を残すことと,別決議が必須であることは異なる
懲戒解雇と退職金不支給の根拠・理由・権限を分けて記録することを勧めるが,必ず二つの会議又は二通の通知書が必要であるという一律の要件ではない。
上記大阪地裁平成17年7月13日判決は,明示的な不支給決議がなかったものの,諭旨退職から懲戒解雇に変更した取締役会決議と具体的事情から,不支給の判断も含まれると認定している(第3の2(2)エ,14頁~15頁)。
もっとも,黙示の決定に依存すれば,後に何が決定されたかが争われやすい。
同じ決裁書・通知書を使う場合でも,解雇の根拠と効力発生日,退職金の算定額,不支給・減額の条項,評価理由,決定者及び支払う金額を区別して記載するという運用が考えられる。
3 退職後に発覚した非違行為と不支給条項
退職後に在職中の非違行為が発覚した場合は,雇用関係が終了した後の懲戒解雇と,既に発生した退職金請求権に不支給条項等を適用できるかを分ける。
規程が実際に懲戒解雇された者だけを対象とするのか,懲戒解雇相当事由がある者も対象とするのか,退職後の発覚や返還を明記しているのかを確認する。
後から処分日を遡らせることで,この問題を解決できるものではない。
名古屋地方裁判所昭和59年6月8日判決(昭和53年(ワ)第2295号)は,退職後の発覚について規程に定めがないため,自己都合退職による退職金請求権の発生自体は影響を受けないとした(理由第一の三,7頁)。
その上で,長年の勤続の功を抹消するほど重大な背信行為があれば請求権の行使が権利濫用になるとしたが,この事件では各原告の権利濫用を否定し,退職金の支払を命じた(理由第一の五・六,8頁~15頁)。
東京地方裁判所平成6年6月21日判決(IKB事件)(平成5年(ワ)第12356号)は,実際に懲戒解雇された場合の不支給と,非違行為が退職原因となった場合の減額を区別した。
懲戒解雇相当事由がある者を不支給対象とする定めがなく,懲戒解雇及び非違行為が退職原因であることの主張立証もないとして,会社の不支給・減額の抗弁を認めなかった。
リンク先で確認したのは判決理由の抜粋であり,判決全文ではない。
他方,大阪地方裁判所平成14年1月31日判決(平成12年(ワ)第6716号,第11261号,判例秘書L05750015)は,退職後,支払前に発覚した行為を在職中に知っていれば明らかに懲戒解雇したと考えられる場合について,不支給条項の解釈又は請求権行使の権利濫用による支払拒絶を認める考え方を示した(第3の3(2))。
ただし,元常務取締役の事件であり,従業員としての退職金請求権を先に否定した上での仮定的な判断である。役員退職慰労金と従業員退職金も区別する必要があり,通常の従業員について不支給条項を常に退職後まで拡張できる根拠としては使えない。
以上のように,下級審の考え方は一律ではない。
人事・法務担当者は,規程の文言,退職時と発覚時の関係,認定できる行為,勤続功労及び不支給・減額の程度を整理し,条項の適用と権利濫用の主張を混同しないことが必要である。
4 支給済み退職金の返還は別に検討する
東京地方裁判所平成23年10月21日判決(平成19年(ワ)第30603号)は,退職後に発覚した在職中の非違行為につき,退職前に判明していれば減額・不支給になったはずの金額と比べた過払いが,不当利得となる場合があるとした(第3の4(1),34頁~35頁)。
しかし,その行為を在職中に知っていても懲戒解雇が権利濫用になる場合には返還を求められないとし,具体的な顧客奪取行為について損害賠償を一部認めながら,元従業員2人に対する退職一時金の返還請求はいずれも認めなかった(同(2)・(3),35頁~36頁)。
非違行為や会社の損害が認められることだけで,支給済み退職金の全額返還まで当然に認められるわけではない。
未払退職金の不支給,支給済み金銭の不当利得返還及び非違行為による損害賠償は,それぞれの根拠と金額を整理する。
第6 解雇予告と解雇通知の到達を確認する
1 懲戒解雇でも解雇予告が原則必要である
(1) 予告又は予告手当
労働基準法20条は,原則として30日前の予告又は30日分以上の平均賃金の支払を要求し,予告日数と予告手当を組み合わせて不足日数を補う方法も認めている。
懲戒解雇という社内の処分名だけで,予告も予告手当も不要になるわけではない。
(2) 除外認定と別の解雇制限
労働者の責めに帰すべき事由を理由に予告を除外する場合は,同条3項による労働基準監督署長の認定が問題となる。
厚生労働省「解雇予告の除外について」の説明を参照し,申請したことと認定を得たことを区別する。
認定は,懲戒解雇の私法上の有効性,退職金全額不支給又は通知の到達まで保証するものではない。
業務上の傷病による療養休業中等の解雇制限(同法19条),適用除外(同法21条)及び有期契約の途中解雇(労働契約法17条)に該当する事情も別に確認する。
即時処理が必要な場合も,予告手当を支払う方法と除外認定を求める方法の条件を確認して選択する。
2 施設の受領と本人への到達を混同しない
会社の解雇通知は,民法97条1項により,原則として相手方に到達した時に効力を生ずる。
本人が実際に読み終えたことが一律の条件になるわけではないが,郵便を発送した日,又は施設の受付が受け取った日だけから,本人に到達したと断定することもできない。
収容先,通知書の内容,配送・返送の経過,施設内で本人が知り得る状態に置かれたか,適法な受領代理人への交付があったかを示す資料を確保する。
刑事弁護人や家族への交付を利用する場合も,連絡窓口であることと通知受領の代理権を区別して確認する。
民事訴訟法99条3項の施設長送達は,裁判所が行う訴状等の送達の規定である。
これを会社の私的な解雇通知にそのまま用いて,「施設長に渡したから本人への到達も完了した」と判断しない。
所在地や収容先が分かるのに連絡が難しいという事情だけで,民法98条の公示による意思表示を当然に利用できるともいえない。
3 接見禁止中の通知を扱う裁判例の確認範囲
宇都宮地方裁判所平成14年1月17日判決(平成12年(ワ)第596号,労働判例823号84頁,判例秘書L05751403)は,接見・文書授受が禁止されていた期間中に,本人が休職期間の延長通知を平成12年5月4日に,解職予告を遅くとも同月28日までに確認した経過を認定している。
当初の休職辞令を同居の配偶者に渡した手続についても,配偶者が本人の休暇届を会社に提出した事情と,その後の延長通知・予告が解職前に本人へ到達した事情等を踏まえ,瑕疵の主張を退けた。
ただし,確認した掲載資料は判決概要と判決理由の引用を含む資料であり,主文は掲載されていない。
本人が延長通知・予告を確認できた具体的経路は示されておらず,実際の解職通知について,施設又は刑事弁護人への交付だけで到達を認める一般則を示したものではない。配偶者の受領代理権が常にあるともいえない。
東京地方裁判所昭和52年4月8日判決(昭和51年(ヨ)第2413号,鈴江内外国特許事務所事件,判例秘書L03230071)では,解雇の意思表示の到達日は争いのない事実として扱われている。
これとは別の予告手当等の支払を知らせる郵便について,警察側が受領しても接見禁止により釈放日まで本人の目に触れなかった事情が認定されている。これを,解雇通知自体の到達時期についての争いを直接判断した判例として引用しない。
令和8年10月3日の追加調査では,接見禁止中の私人の解雇通知について,到達経路・時期を争点として直接判断した日本の裁判例を確認できていない。
これは該当裁判例が存在しないという意味ではなく,上記の近接する裁判例から,「施設の受領で足りる」「刑事弁護人への交付で足りる」と一般化しないという確認範囲の説明である。
第7 支払,証明書及び処分記録を仕上げる
1 退職金の支払時期と争いのない金額
退職金の支払期日は,就業規則・退職金規程等の定めを確認する。
沖縄労働局の解雇に関するQ&Aは,支払期日が定められている退職手当について,その期日に支払えばよいと説明している。
他方,労働基準法23条は,退職した労働者の請求があった場合の7日以内の金品清算と,争いがある場合の異議のない部分の支払等を定める。
全ての退職金が退職から7日以内となる,又は一部に争いがあれば最終給与まで全額保留できるという処理は避け,請求の有無,規程上の期日,対象金銭及び争いの範囲を分けて確認する。
会社が損害賠償請求権を持つことと,賃金に当たる金銭から一方的に控除できることは別であり,労働基準法24条の全額払の原則も確認する。
損害賠償請求と給与・退職金の清算は,それぞれの根拠と手続で処理する。
2 通知書と証明書を区別して保存する
解雇通知書には,対象行為,適用条項,解雇の種類,効力発生日及び予告・予告手当の取扱いを明示し,退職金の判断も前記第5に従って区別することを勧める。
解雇通知書と,労働者の請求に応じて交付する労働基準法22条の証明書は別の書類である。
証明書は遅滞なく交付し,労働者が請求していない事項を記載しない。
規程の版と周知資料,証拠の原本・写し,質問・回答,連絡不能の経過,委員会の構成・議事,決裁,退職金試算,予告手当,通知の到達資料及び支払記録を一つの処分記録として保存する。
退職届が既に出ている場合,退職日が迫っている場合又は退職後に初めて問題が判明した場合は,雇用関係の終了時点と規程の文言を基に別途検討し,処分日を過去に遡らせて処理しない。
第8 関連記事
①懲戒解雇でも退職金は全額不支給になるか―私生活上の犯罪・飲酒運転と功労抹消(AI作成)
②逮捕されたら会社にばれるか-職場での逮捕,欠勤,懲戒及び解雇(AI作成)
③接見禁止中の被告人への訴状送達と仮差押え-施設長送達・一部解除・執行期限(AI作成)
④就業規則とは―記載事項・作成届出・周知・変更・懲戒の基本(AIリライト)
第9 出典・参考資料
1 法令及び行政資料
①e-Gov法令検索・労働契約法7条,9条,10条,15条~17条
②e-Gov法令検索・労働基準法19条~24条,89条,90条,106条
③e-Gov法令検索・民法97条,98条,627条
④e-Gov法令検索・刑事訴訟法39条,81条,207条
⑤e-Gov法令検索・民事訴訟法99条3項
⑥e-Gov法令検索・刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律115条,134条,135条,216条,221条,222条,286条
⑦厚生労働省「解雇予告の除外について」及び沖縄労働局「解雇について」(前記本文のリンク参照)
2 裁判例と確認範囲
①最高裁判所第二小法廷平成15年10月10日判決(平成13年(受)第1709号)――理由4。原判決破棄・差戻しであり,差戻し後の結論は追加調査でも確認できていない。
②最高裁判所第一小法廷平成8年9月26日判決(平成8年(オ)第752号)――理由1頁。
③東京地方裁判所平成17年1月31日判決(平成15年(ワ)第20194号)――第3の3,7頁。
④東京高等裁判所平成29年3月9日判決(平成28年(ネ)第1730号,第3767号)――冒頭・主文及び30頁~34頁の関連判示を確認した。
⑤東京高等裁判所平成15年12月11日判決(平成14年(ネ)第6224号)――4頁~6頁。
⑥大阪地方裁判所平成17年7月13日判決(平成15年(ワ)第9907号)――第3の2(2),13頁~15頁。
以上の判決本文は,前記本文中の裁判所ウェブサイトのPDFで参照できる。
⑤及び⑥は,令和8年10月3日に判例秘書でも本文を確認した(それぞれL05820139,L06050236)。
⑦大阪地方裁判所令和7年9月12日判決(令和6年(ワ)第7652号)――判例秘書L08050659の判決本文を確認した。
本記事では裁判所ウェブサイト上の公開本文を確認できていないため,本文第4の3は同データベース掲載本文に基づく紹介である。
追加調査で確認した上訴経過は次項のとおりである。接見禁止中の私人の解雇通知の到達に関する裁判例の確認範囲は,前記第6の3を参照されたい。
個々の判決の事実関係と判断対象を区別し,社内書面の作成・連絡方法に関する本記事の提案を,全国一律の法定様式又は期限と理解しないよう留意されたい。
3 引用した判決の上訴経過と未確認部分
小田急電鉄事件は,東京地裁平成14年11月15日判決(平成14年(ワ)第2003号,判例秘書L05730854)で退職金請求が退けられた後,前記東京高裁平成15年12月11日判決で原判決が一部変更され,退職金の3割に当たる276万2535円の支払が命じられた。
この控訴審判決後の上告・上告受理申立て及び確定の有無は確認できていない。
前記東京高裁平成29年3月9日判決の第一審は,東京地裁平成28年2月26日判決(平成24年(ワ)第29263号,判例秘書L07130412)である。
控訴審は会社側の控訴と労働者側の慰謝料請求に関する附帯控訴をいずれも棄却した。地位確認と賃金請求の判断を,賞与や慰謝料を含む全請求の認容と混同しない。この控訴審後の上訴・確定は未確認である。
東京地裁平成17年1月31日判決,大阪地裁平成17年7月13日判決及び大阪地裁令和7年9月12日判決については,判例秘書の本文・審級表示を確認し,最初の事件については判例タイムズ1185号214頁の解説も確認したが,その後の上訴・確定を裏付ける記載は確認できていない。
データベースに審級リンクがないことだけを理由に,控訴されなかった又は確定したとは扱わない。
フジ興産事件については,大阪地裁平成12年4月28日判決,大阪高裁平成13年5月31日判決(平成12年(ネ)第2113号)から,最高裁平成15年10月10日の破棄差戻しまでの審級関係を照合したが,差戻し後の裁判・和解等の帰結は未確認である。
今回追加した退職後発覚・通知に関する下級審についても,上訴後の経過と確定まで確認したものではない。判決の判断と確認できた審級経過を,それぞれの範囲で利用されたい。
4 追加調査の出典
①名古屋地裁昭和59年6月8日判決(昭和53年(ワ)第2295号,労働判例447号71頁,判例秘書L03950361)――裁判所公開本文の理由第一の三・五・六と,判例秘書の書誌・本文を照合した。
②東京地裁平成6年6月21日判決(平成5年(ワ)第12356号,労働判例660号55頁)――全国労働基準関係団体連合会の判例検索に掲載された判決理由の抜粋を確認した。
③大阪地裁平成14年1月31日判決(平成12年(ワ)第6716号,第11261号,金融商事判例1161号37頁,判例秘書L05750015)――第3の3。
④東京地裁平成23年10月21日判決(平成19年(ワ)第30603号)――裁判所公開本文の第3の4・5,34頁~36頁。
⑤宇都宮地裁平成14年1月17日判決(平成12年(ワ)第596号)――判例秘書L05751403に掲載された判決概要・判決理由引用部分。主文の掲載はない。
⑥東京地裁昭和52年4月8日判決(昭和51年(ヨ)第2413号,判例時報867号112頁,判例秘書L03230071)――第1の3,第3の一及び二(六)。