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デジタル遺品・オンラインアカウントは相続人がどこまで処理できるか―端末・クラウド・SNS・暗号資産の違い(AI作成)

第1 結論―「アカウントを相続する」と一括りにしない

デジタル遺品について,相続人ができることは一律ではない。
スマートフォン又はパソコンという端末の所有権,サービスの利用契約,クラウド上の写真及び文書,メール又はメッセージの通信内容,売掛金又はポイント等の財産的利益,暗号資産並びに購入コンテンツの利用権を分けて確認する必要がある。

相続人であることだけから,被相続人のID及びパスワードを使ってあらゆるサービスへログインできるとは限らない。
サービスの利用規約,生前に設定された意思表示,提供事業者の死亡者向け公式手続,アクセス制御の状態,通信相手の秘密及び相続財産の管理に必要な範囲を確認し,公式手続で取得又は閉鎖できるものはその手続を先に用いる方が安全である。

本記事は,日本における一般的な論点と主要サービスの令和8年9月22日時点の公式案内を整理するものであり,個別サービスの権利移転又はログインの適法性を一律に断定するものではない。

第2 最初に端末・契約・データ・財産価値を分ける

1 端末

スマートフォン,パソコン,外付け記録媒体及び認証用の機器は有体物であり,相続財産としての所有関係を検討できる。
しかし,端末を所有することと,端末内又はクラウド上の暗号化データを復号し,第三者のサービスへログインできることは別である。

2 オンラインアカウント及び利用契約

オンラインアカウントは,単なる「物」ではなく,サービス事業者との契約上の地位,認証情報及び利用機能の組合せである。
死亡時の終了,譲渡禁止,遺族による閉鎖又は指定連絡先への限定的なデータ提供等が利用規約及び公式手続で定められていることがある。

3 保存データ及び通信内容

写真,文書及びバックアップのような保存データと,電子メール又はメッセージの内容を分ける。
通信内容には被相続人だけでなく,送信者,受信者その他の第三者の秘密又は個人情報が含まれるため,相続財産の調査に必要であるというだけで,無制限に閲覧・共有してよいとはいえない。

4 金銭債権及び暗号資産

アカウントに紐づく預り金,売上金,返金請求権又は暗号資産は,ログイン機能とは別に財産的価値の承継を検討する。
暗号資産交換業者の口座については事業者の相続手続を確認し,自己管理型ウォレットについては秘密鍵又は復元フレーズの所在と利用権限を慎重に確認する。

第3 死亡直後に行う確認と避ける操作

最初に,端末,契約書,請求明細,メールアドレス一覧,二要素認証端末,パスワード管理サービス,暗号資産交換業者からの通知及び定期課金を一覧化する。
端末の初期化,アプリの削除,アカウントの閉鎖,回線の即時解約又は大量のファイル移動は,認証手段,証拠又は財産の手掛かりを失わせることがあるため,目的と影響を確認してから行う。

次に,各項目について,①財産の発見,②契約の終了,③データの取得,④証拠保全,⑤第三者への通知のどれが目的かを記録する。
その上で,戸籍等の相続関係資料,死亡を証する資料,遺言,遺産分割協議,遺言執行者の権限及びサービス所定書類を準備し,事業者の公式窓口を利用する。

請求停止を急ぐ場合も,アカウント全体を閉鎖する前に,データ取得,売上金の受領,税務資料の保存及び他サービスの認証への影響を確認する。
一人の相続人が独断で消去又は処分すると,ほかの共同相続人との紛争又は証拠喪失を招くことがある。

第4 日本法上の主な論点

1 相続の対象はサービスごとに異なる

民法896条は,相続人が相続開始時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するとし,被相続人の一身に専属したものを除外している。
他方,民法85条は「物」を有体物と定める。したがって,端末,契約上の地位,金銭債権,著作権,ライセンス及び保存データを同じ方法で処理することはできず,各権利の性質と契約条項を確認する必要がある。

2 パスワードを知っていることとアクセス権限は同じではない

不正アクセス行為の禁止等に関する法律は,アクセス制御機能,識別符号及び権限のない利用を対象としている。
相続人による利用が常に不正アクセスになるとも,常に許されるとも一括りにはできない。被相続人の認証情報を知っていることだけで,提供事業者からログイン権限を与えられたことにはならないため,利用規約及び死亡者向け手続を先に確認する。

3 通信内容には第三者の秘密も含まれる

メール,チャット及びSNSのダイレクトメッセージには,通信相手が非公開を前提として送った内容が含まれる。
電気通信事業法4条の通信の秘密,サービス事業者の守秘義務及び第三者のプライバシーを考慮し,財産調査又は訴訟上必要な範囲を超えて閲覧,複製又は共有しない運用が必要である。

4 証拠保全と共同相続人の調整

事業,取引,税務,債権債務又は紛争に関するデータは,削除前に日時,取得方法,保存範囲及び原本性を記録する。
共同相続の場合,民法898条及び899条との関係を踏まえ,誰がどの目的で取得し,原本をどこに保管し,第三者の秘密をどのように遮蔽するかを合意しておくことが望ましい。

第5 主要サービスの公式手続

1 Apple Account

Appleは,生前に「故人アカウント管理連絡先」を追加する仕組みを用意している。
管理連絡先は,アクセスキー及び死亡証明書類等を提出して承認されると,写真,メッセージ,メモ,ファイル,ダウンロードしたアプリ及びデバイスのバックアップ等にアクセスできると案内されている。

ただし,故人が購入した映画,音楽又はブック,サブスクリプション,並びにキーチェーンに保存された支払情報,パスワード及びパスキー等は対象外とされる。日本では死亡の記載がある戸籍謄本等が必要と案内されている。
管理連絡先が指定されていない場合の請求又は端末の再利用についても別の公式手続があり,端末の消去が必要になる場合がある。

2 Googleアカウント

Googleは,本人が生前に「アカウント無効化管理ツール」を設定し,一定期間利用がない場合の通知先,データ共有又はアカウント削除を指定できる仕組みを提供している。
死亡後は,近親者又は代理人が,アカウントの閉鎖,資金の請求又はデータ取得について所定フォームから申請できるが,Googleはパスワードその他のログイン情報を提供しないと案内している。

閉鎖すると,Gmail,Googleドライブその他のデータへのアクセス可能性を失うため,必要な請求を先に整理し,閉鎖を最後に検討する方がよい。

3 Facebook

Facebookは,死亡が確認されたアカウントを追悼アカウントへ移行し,又は適格な遺族からの申請により削除する仕組みを設けている。
追悼アカウントには誰もログインできず,生前に追悼アカウント管理人を指定していた場合も,行える操作はプロフィール管理等の限定された範囲である。

したがって,家族がパスワードを使って本人になり代わる方法ではなく,追悼又は削除の公式手続を用いる。

第6 暗号資産・購入コンテンツ・継続課金

暗号資産は,相続税の課税対象になり得る。国税庁のFAQは,相続又は遺贈により取得した暗号資産の評価について,活発な市場が存在する場合の交換業者の公表価格等を示している。
もっとも,課税対象であることと,秘密鍵を利用して移転できることは別であり,交換業者の相続手続,ウォレットの管理形態及び遺言・遺産分割を確認する必要がある。

電子書籍,動画,音楽,ゲーム内コンテンツ又はソフトウェアは,購入代金を支払っていても,所有権ではなく本人限りの利用許諾であることがある。
購入履歴,利用規約,ファミリー共有,返金及びサービス終了時の取扱いを確認し,「購入したから当然に相続できる」とは扱わない。

継続課金は,カード又は銀行口座の支払停止だけで終わらせず,契約終了,データ取得,返却機器及び未払・過払の精算を確認する。

第7 米国RUFADAAとの比較

米国のUniform Law Commissionが公表するRevised Uniform Fiduciary Access to Digital Assets Act(RUFADAA)は,遺言執行者,管財人,後見人その他のfiduciaryによるデジタル資産の管理を扱う統一州法モデルである。
本人がオンラインツール又は遺言等で示した指示,利用規約及びfiduciaryの権限を調整し,電子通信の内容については本人の同意がない限りアクセスを制限する構造を持つ。

RUFADAAは日本法ではなく,日本の相続人のアクセス権を直接決めるものではない。
しかし,財産的データと通信内容を分け,生前の本人意思及びサービスの仕組みを先に確認するという比較素材として参考になる。

第8 相続人及び生前の本人が残す実務資料

相続人側では,アカウント名,サービス事業者,目的,財産価値,課金の有無,認証手段,死亡者向け窓口,申請日,回答,取得データ,閉鎖日及び証拠保全の有無を台帳にする。
パスワード又は秘密鍵の本文を通常の台帳へ書き込まず,保管場所と管理者だけを分けて記録する。

本人側では,①利用サービスの一覧,②財産価値のあるアカウント,③端末及び二要素認証の所在,④Appleの故人アカウント管理連絡先又はGoogleのアカウント無効化管理ツール等の設定,⑤データを取得させたい人,⑥削除してほしい情報,⑦事業又は税務上保存すべき資料,⑧暗号資産の管理方法を残す。
ただし,遺言書へパスワード又は秘密鍵を直接書くと,閲覧範囲,更新及び漏えいの問題が生じるため,別の安全な保管方法を検討する。

国民生活センターは,スマートフォンやパソコンのパスワード,ネット上の資産及びサブスクリプションについて,家族が把握できずトラブルになる「デジタル終活」の注意点を案内している。
端末の解錠方法だけでなく,誰に何を渡し,何を消し,どの公式手続を使うかまで決めておくことが重要である。

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第10 出典・参考資料

e-Gov法令検索「民法」85条,896条,898条及び899条
e-Gov法令検索「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」2条及び3条
e-Gov法令検索「電気通信事業法」4条
④Apple「Apple Accountの故人アカウント管理連絡先を追加する方法」及び「亡くなった家族のApple Accountへのアクセスを申請する方法
⑤Google「Google アカウントの無効化管理ツールについて」及び死亡したユーザーのアカウントに関する公式申請手続
⑥Facebookヘルプセンター「追悼アカウントについて
⑦国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)
⑧国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』
⑨Uniform Law Commission「Revised Uniform Fiduciary Access to Digital Assets Act」(日本法ではなく,比較法資料)
本記事の検討の端緒となったX投稿(論点発見資料であり,法的結論又は市場規模の根拠には用いていない。)