第1 審査結果は何を評価しているのか
中央大学の令和8年度公的支援見直し強化・加算プログラムでは,加算に係る総合評価はEとされた。
この評価は,学校が掲げた機能強化構想と取組の進捗を対象にするものであり,大学全体の教育の優劣を一つの文字で示したものではない。
入学者数だけの評価や,個人の進学先選びの順位に読み替えることも適切でない。
第2 基礎額・加算・配分率の内訳
| 項目 | 公表値 |
|---|---|
| 基礎額算定率 | 90% |
| 加算率 | 0% |
| 配分率 | 90% |
資料の配分率は基礎額算定率と加算率を合わせたものである。
加算率だけを見て公的支援全体の有無や,大学が受け取る補助金の総額を判断することはできない。
見直しの対象となる公的支援は,私立大学については,私立大学等経常費補助金の特別補助(法科大学院支援)における専任教員に係る補助額とされており,大学に対する補助金全体ではない(資料表示7頁(PDF8頁)の注記)。
資料には,予算の配分に当たっては予算の範囲内に収まるよう,必要に応じて一律の割合を乗じて加算額を調整する旨も注記されている。
第3 学校が掲げる機能強化構想
正課外の短答演習と,正課内で起案・添削を行う基礎演習を組み合わせ,未修者の知識と答案作成力の双方を育てる構想が記載されている。
中大法曹会との連携による実務研修教育,リカレント教育,アジア等諸外国の法曹養成機関との連携強化も構想の対象に含まれる。
これらは提出された構想・取組の説明であり,全ての目標が既に達成されたことを示す記載ではない。
第4 計画・目標・実績・総合評価を区別する
同プログラムは,令和6年度から令和10年度までの構想に,検証できる目標であるKPIを設定して進捗を評価する仕組みであるが,文部科学省は,令和8年度評価(令和9年度予算分)をもって廃止することとしている。
目標値を実績値として紹介したり,個別の取組の記載だけから総合評価の理由を推測したりしないことが重要である。
評価の背景を検討する場合には,対象年度の目標,実績,取組の重要度及び審査上の説明を対応させる必要がある。
第5 入学者の増減と別の角度から学校を見る
入学者が増えた学校でも,設定した目標の達成度が同じように改善したとは限らない。
入学者が減った学校で教育上の取組が評価されることもあり得る。
中央大学についても,入学動向と構想の進捗を別々に確認することで,人数の増減だけでは分からない課題と教育の方向性を検討できる。
第6 関連記事
① 法科大学院等特別委員会とは-役割,構成及び令和8年の審議課題
② 法科大学院等特別委員会の議事録に表れた関係者の本音-予備試験,未修者教育,地方偏在,認証評価及び公的支援
第7 出典
① 文部科学省高等教育局専門教育課「法科大学院の機能強化構想について~令和8年度法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム審査結果~」(資料1-12,令和8年3月10日,法科大学院等特別委員会第124回配布資料)(資料表示3~7頁(PDF4~8頁)の仕組み・評価・配分率,中央大学の構想は資料表示48頁(PDF49頁))。