弁護士業界

弁護士の登録関係手続に関する不服申立て方法

1 日弁連への審査請求
(1) 弁護士名簿への登録又は登録換えの請求をした者は,入会しようとする弁護士会によってその進達を拒絶されたときは,日弁連に対し,行政不服審査法による審査請求をすることができます。
請求後3ヶ月を経ても弁護士会がその進達をしないときも,進達を拒絶されたものとみなして,同様に審査請求をすることができます(弁護士法12条4項)。
日弁連はこの審査請求については資格審査会の審査に付して(日弁連会則65条2項),その議決に基づいて裁決を行います(弁護士法12条の2)。
(2) 弁護士会による登録取消しの請求があった場合,対象となった弁護士は,その通知を受けた日の翌日から起算して60日以内に,日弁連に対し,異議を申し出ることができます(弁護士法14条1項)。
日弁連は,異議の申出を受けた場合,資格審査会の議決に基き,その申出に理由があると認めるときは,弁護士会に登録取消の請求を差し戻し,その申出に理由がないと認めるときは,これを棄却します(弁護士法14条2項)。
(3) 日弁連がした処分については,行政不服審査法による不服申立てはできません(弁護士法49条の3)。

2 訴えの提起
(1) ①日弁連に対する不服申立が却下・棄却された者,又は②弁護士会から登録又は登録換えの請求の進達をされたにもかかわらず日弁連によってこれを拒絶された者は,その取消しを求めて,東京高等裁判所に対して訴えを提起できます(弁護士法16条1項)。
不服申立て後,又は進達後,日弁連において3ヶ月を経ても結論が出ないときは,同様に否定されたものとみなして,東京高等裁判所に対して訴えを提起できます(弁護士法16条2項)。
(2) 登録又は登録換えの請求の進達の拒絶に関しては,これについての日弁連の裁決に対してのみ,取消しの訴えを提起することができます(弁護士法16条3項)。

弁護士登録の取消し

目次
1 弁護士登録の取消し事由
2 弁護士登録の取消事由の報告
3 関連記事

1 弁護士登録の取消し事由
① 弁護士本人の請求によるもの(弁護士法17条2号・11条)
・ 弁護士がその業務をやめようとするときは,所属弁護士会を経由して,日弁連に対し,弁護士名簿登録取消請求書を提出する必要があります(弁護士法11条,日弁連会則22条)。
    ただし,登録換えの場合と同様,懲戒の手続に付されている弁護士は,その手続が結了するまで登録取消しの請求ができません(弁護士法62条1項)。
② 客観的事実の発生によるもの(弁護士法17条1号,4号)
・ (a)禁固以上の刑に処せられた場合(弁護士法7条1号・17条4号)なり,(b)弁護士が死亡した場合(弁護士法17条4号)なりがあります。
③ 懲戒処分によるもの(弁護士法17条3号の退会命令及び除名の場合)
④ 弁護士会からの請求によるもの(弁護士法17条3号・13条)
・ 弁護士が,登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由について虚偽の申告をしていたことが判明したときは,弁護士会は,資格審査会の議決に基づき,日弁連に対し,登録取消しの請求をすることができます。
    その趣旨は,弁護士会がその事実を知っていれば,本来,登録又は登録換えの請求の進達を拒絶していたであろうと思われる場合について,事後的に登録の取消し請求をすることを認める点にあります。


2 弁護士登録の取消事由の報告 
・ 弁護士会は,所属の弁護士に弁護士名簿の登録取消の事由があると認めるときは,日本弁護士連合会に,すみやかに,その旨を報告する必要があります(弁護士法18条)。
    具体的には,登録取扱規則所定の,「弁護士名簿登録取消し事由報告書」(「死亡」の場合と,「その他」の場合があります。)を提出します。

3 関連記事
・ 弁護士登録の請求
・ 個人事業主の廃業に関するメモ書き
・ 弁護士登録番号と修習期の対応関係

弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会

目次
1 弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由
2 資格審査会
3 関連記事

1  弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由
(1) 弁護士会は,日弁連に対する登録又は登録換えの請求を受けても,その会の会員として,弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれのある者については,その進達を拒絶することができます(弁護士法12条)。
    また,日弁連は,弁護士会から登録又は登録換えの請求の進達を受けても,独自に登録又は登録換えを拒絶することができます(弁護士法15条)。
(2) 登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由は以下のとおりです(弁護士業務ハンドブック(平成24年)12頁及び13頁参照)。
① 弁護士会の秩序又は信用を害するおそれがある者(弁護士法12条1項前段)
・ 弁護士となる資格を有する者でも,刑事事件又は懲戒処分の有無にかかわらず,著しい非行があった者,非弁護士活動をしていた者,登録請求前の勤務先や登録請求前の弁護士会において非行や紛議があった者等が,これに該当する可能性があります。
・ 禁固以上の刑に処せられたが,執行猶予期間の満了によって弁護士となる資格となる回復した者であっても,その犯罪事実が弁護士業務に関連する非行である場合,事案の性格,執行猶予期間満了後の事情等を考慮されて,直ちに登録が認められる例は少ないです。
    これらの場合,弁護士会の指導監督に服することが期待できず,弁護士会の信用をも害することが予想されるからです。
・ 登録の請求の進達を求める者について,弁護士会の統制を乱すおそれがある場合,著しい非行がある場合,その者の入会によって一般会員の体面を損なうおそれがある場合その他あらゆる事由が,審査の対象となりえます(東京高裁平成3年9月4日判決)。
② 心身に故障があって,弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者(弁護士法12条1項後段1号)
・ 精神的又は身体的な機能の欠陥が,依頼者又は裁判所等に対する弁護士としての職責を全うできない程度に著しい場合をいいます。
・ 適当な介添人を付するなどして身体的障害を補える場合,12条1項後段1号に該当しません(東京高裁昭和53年2月21日判決参照)。
③ 懲戒の処分によって除名等された者が,その処分を受けた日から3年を経過して請求したときに,弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者(弁護士法12条1項後段2号)
・ これらの懲戒処分を受けた者は,3年を経過するまでは弁護士となる資格がない(弁護士法7条3号)ところ,その期間経過後でも処分の理由となった事案の性格,処分後の事情等によって,依然として弁護士の職務を行わせることがふさわしくない場合,進達を拒絶されます。
④ 登録又は登録換えの請求前1年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であった者で,その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠くおそれがある者(弁護士法12条2項)
・ これは,主として裁判官,検察官がその勤務地において相当な社会的知名度を得てから辞職し,直ちに弁護士を開業して,その在官当時の影響力を不当に利用したりすることがないように配慮したものであり,弁護士としての職務の公正さを保持しようとするとともに,公務員の在官中の職務の公正さを担保しようとするものです。
(3) 弁護士会は,弁護士法に基づいて,国の機関の指揮及び監督を受けることなく(同法第3章,第5章,第7章,第8章参照),弁護士等に対する指導及び監督等に関する事務を行う法人であり,弁護士会の資格審査会は,弁護士名簿登録請求の進達拒絶という公権力の行使に関わる機関として弁護士法によって設置されたものであるところ,弁護士会の会長は同会の代表者であり(同法35条1項),また,資格審査会の会長は同資格審査会の会務を総理する者であって(同法54条1項),いずれも刑法その他の罰則の適用については法令により公務に従事する職員とみなされていること(同法35条3項,54条2項)を併せ考えると,弁護士会の会長及び弁護士会の資格審査会の会長として弁護士名簿登録請求の進達拒絶に関与する行為は,国家賠償法1条1項にいう「公共団体の公権力の行使にあたる公務員」としての行為に該当すると解されています(大阪高裁平成22年5月12日判決)。
    そのため,弁護士会の会長及び弁護士会の資格審査会の会長は個人として不法行為責任を負うことはないと解されています(大阪高裁平成22年5月12日判決。なお,公務員個人が不法行為責任を負わないことに関する最高裁昭和30年4月19日判決最高裁昭和53年10月20日判決参照)。


2 資格審査会
(1) ①進達の拒絶,②請求の拒絶又は③弁護士会による登録取消しの請求をする場合,当該弁護士会又は日弁連は,資格審査会の議決に基づいてする必要があります(弁護士法12条1項,13条1項,15条1項)。
   この場合,速やかに本人にその旨及び理由を書面により通知されます(弁護士法12条3項,13条2項及び15条2項)。
(2) 大阪弁護士会資格審査会については,大阪弁護士会資格審査手続規程(会規第38号)で定められています。
(3) 日弁連資格審査会については,資格審査手続規程で定められています。
(4) 資格審査会の委員は,弁護士,裁判官,検察官及び学識経験のある者の中から,それぞれ日弁連又は弁護士会の会長が委嘱します(弁護士法52条3項前段)。
   この場合,①裁判官又は検察官である委員はその地の高等裁判所若しくは地方裁判所又は高等検察庁検事長若しくは地方検察庁検事正の推薦に基づき,②その他の委員は総会の決議に基づき,委嘱する必要があります(弁護士法52条3項後段)。
   ただし,任期が2年であること(弁護士法52条4項)とあいまって,予備委員の選任(弁護士法53条)も含めて,毎年5月の定時総会決議において,選任に関する事項は理事会又は常議員会に白紙委任されています。


3 関連記事
・ 弁護士登録の請求
 弁護士登録番号と修習期の対応関係
 判事補及び検事の弁護士職務経験制度
 日弁連の会費及び特別会費

弁護士の登録換えの請求

目次
1 登録換えが必要となる場合
2 登録換えの手続
3 登録換えの制限
4 関連記事その他

1 登録換えが必要となる場合
・ 弁護士は法律事務所を所属弁護士会の地域内に設けなければならず(弁護士法20条2項),いかなる名義をもってしても,2個以上の法律事務所を設けることができません(弁護士法20条3項本文)。
    そのため,その主たる活動地域は自ずから制限されることとなりますから,主たる活動地域に変化が生じて,新たな活動地域に事務所を設けようとする場合,所属弁護士会を変更する必要があります。

2 登録換えの手続
・ 登録換えの請求は,所属している弁護士会に対し,他の弁護士会への登録換えを請求する旨を届け出るとともに(弁護士法10条2項),入会しようとする弁護士会を経由して,日弁連に対し,以下の書類を提出する必要があります(日弁連会則20条)。
① 弁護士名簿登録換え請求書
② 弁護士法10条2項に規定する届出に関する書面(=弁護士名簿登録換え届書)
③ 弁護士法12条2項に掲げる事項に関する書面

3 登録換えの制限
・ 懲戒の手続(綱紀委員会における手続が含まれることにつき弁護士法58条2項参照)に付された弁護士は,その懲戒の手続が結了するまでは登録換えの請求をすることができません(弁護士法62条1項)。
    その趣旨は,登録換えによって懲戒処分を免れようとする行為を防止する点にあります。

4 関連記事その他
(1) 登録換の請求の場合,新規登録の請求の場合と異り,請求人の弁護士たる資格そのものが問題になるわけではないから,弁護士法12条の規定する弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞があるか否かを判断するに当つては,登録換の請求を認容することが特に右のような弊害を生ずる原因となる虞があるか否かを基準とすべきものと解されています(東京高裁昭和50年1月30日判決(判例秘書に掲載))。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士登録の請求
 弁護士登録番号と修習期の対応関係
 弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会

弁護士登録の請求

目次
第1 一般の場合
1 総論
2 大阪弁護士会の取扱い
第2 弁護士職務経験の判事補又は検事の場合
1 3万円の登録料の納付猶予
2 3万円の登録料等の免除
3 その他
第3 弁護士登録の公告に関する弁護士法及び日弁連会則の条文
第4 収入印紙の形式
第5 弁護士登録関係費用は開業費(繰延資産の一種です。)になると思われること
1 弁護士登録関係費用は開業費に該当すると思われること
2 開業費の計上方法等
3 開業費の償却方法
4 法律書等の書籍代及び勉強会参加費の取扱い
5 同業者団体等の加入金の取扱い
第6 関連記事その他


第1 一般の場合
1 総論
(1) 弁護士となるためには,入会しようとする弁護士会を経由して,日弁連に対し,以下の書類を提出する必要があります(日弁連会則19条1項)。
① 弁護士名簿登録請求書
・ 登録免許税として,収入印紙6万円を貼付する必要があります登録免許税法別表第一の三十二「人の資格の登録若しくは認定又は技能証明」(三))。
② 履歴書
③ 戸籍謄本(外国籍の者にあっては,外国人登録原票記載事項証明書)
・ 戸籍謄本については,(a)戸籍抄本又は(b)氏名・本籍及び生年月日の記載を証明する戸籍記載事項証明書をもって代えることができます(日弁連会則19条2項)。
④ 弁護士となる資格を証明する書面
・ 司法修習終了後引き続き登録する者の場合,最高裁判所が発行する一括証明書がこれに当たります。
⑤ 弁護士法7条各号(欠格事由)のいずれにも該当しない旨の証明書
・ 身分証明書(禁治産・準禁治産宣告の通知,後見登記の通知,破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないことを証明する書類)がこれに当たるのであって,本籍地の市町村役場の戸籍係が発行します。
・ 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(令和元年6月14日法律第37 号)(略称は「成年後見制度適正化法」です。)が施行されてから,登記されていないことの証明書(成年被後見人・被保佐人等に該当しないことを証明する書類であり,各都道府県の法務局の本局が発行するもの(後見登記等に関する法律10条1項参照))は不要となりました。
⑥ 弁護士法12条1項各号及び2項に掲げる事項(登録請求の進達の拒絶事由)に関する書面
・ 誓約書がこれに当たります。
⑦ 写真
(2) 司法修習生が弁護士登録をする場合の手続については,日弁連HPの「修習生の皆様へ」に掲載されています。
(3) 大阪府摂津市HPに「身分証明書(後見・破産・禁治産及び準禁治産に関する証明)」が載っています。


2 大阪弁護士会の取扱い
(1) 大阪弁護士会で弁護士登録をするためには,以下のお金を支払う必要がありますから,前述した6万円の登録免許税を含めると,合計で52万円のお金が必要になります。
   ただし,弁護士登録をするときに支払う必要があるお金は,①登録免許税6万円,②日弁連登録料1万円及び③大阪弁護士会入会金3万円の合計10万円です。
① 日弁連の分(平成26年4月1日以降の金額)
(a) 登録料:3万円(日弁連会則23条1項1号)
→ 司法修習を終え引き続き登録する者は1万円です。
   また,平成25年12月6日臨時総会決議(平成26年4月1日施行)による改正前の登録料は原則として6万円であり,司法修習を終え引き続き登録する場合は3万円でした。
② 大阪弁護士会の分
(a) 入会金:3万円(大阪弁護士会会則17条1項)
(b) 会館負担金会費:40万円(大阪弁護士会各種会費規程3条の2第1項)
→ 司法修習生の修習を終了後1年以内に大阪弁護士会に入会する弁護士である会員は,財務委員会の議を経て,分納,又は分納の延納をすることができます(各種会費規程3条の2第2項)。
   分納の場合,登録時に20万円を納付し,半年後に残金20万円を納付します。
   分納の延納の場合,登録1年後に10万円を,登録2年後に10万円を,登録3年後に10万円を,登録4年後に10万円を納付します。
(2) 大阪弁護士会に入会しようとする者は,日弁連に対する書類とは別に,入会申込書正副各1通を提出して入会の申込みをする必要があります(大阪弁護士会会則16条1項)。
(3) 大阪弁護士会の会長は,入会申込書等を受理したときは,速やかに,登録又は登録換えの請求の進達の可否について,常議員会の審議に付する必要があります(大阪弁護士会会則21条1項)。
   大阪弁護士会の会長は,常議員会が登録又は登録換えの請求の進達を可とするときは,速やかに,日弁連に進達の手続をとる必要があります(大阪弁護士会会則21条2項)。
   大阪弁護士会の会長は,常議員会が登録又は登録換えの請求の進達を可としないときは,資格審査会に対し,審査を請求する必要があります(大阪弁護士会会則21条3項)。
(4) 常議員会は,弁護士法に基づく機関ではありませんが,大阪弁護士会を含む各地の弁護士会において,総会に次ぐ意思決定機関とされています(法令における使用例につき,組合等登記令14条1項3号参照)。
(5) 大阪弁護士会の会長は,資格審査会が,登録又は登録換えの請求の進達を可とするときは,速やかに,進達の手続をとり,登録又は登録換えの請求の進達を拒絶すべきものとしたとしたときは,速やかに,請求者にその旨及びその理由を書面により通知する必要があります(大阪弁護士会会則22条)。


第2 弁護士職務経験の判事補又は検事の場合
1 3万円の登録料の納付猶予

   判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律(=弁護士職務経験法)に基づき,判事補又は検事(修習終了後10年以内の人に限られています。)が弁護士となる場合,弁護士となる資格を証する書面の提出に代えて以下の書面を提出し(日弁連会則19条4項),かつ,3万円の登録料の納付を猶予されます(日弁連会則23条2項,弁護士名簿の登録料納付の免除等に関する規程4条,弁護士名簿等の登録料納付等に関する免除等の基準(平成24年12月21日理事会議決)3条1項)。
① 判事補の場合
    最高裁判所事務総局人事局長の,当該登録請求者が弁護士職務経験法の規定により弁護士となってその職務を行う予定の者である旨の書面
② 検事の場合
    法務省大臣官房人事課長の,当該登録請求者が弁護士職務経験法の規定により弁護士となってその職務を行う予定の者である旨の書面


2 3万円の登録料等の免除
   弁護士職務経験法に基づき,判事補又は検事が弁護士となった場合,以下の書面を提出することで,3万円の登録料の納付を免除されます(日弁連会則23条2項,弁護士名簿の登録料納付の免除等に関する規程4条,弁護士名簿等の登録料納付等に関する免除等の基準(平成24年12月21日理事会議決)3条2項)。
   また,大阪弁護士会の場合,①3万円の入会金,②毎月8000円の会館特別会費及び③40万円の会館負担金会費の納付を免除されます(①につき大阪弁護士会会則17条4項,②につき大阪弁護士会各種会費規程2条7項,③につき大阪弁護士会各種会費規程3条の2第3項1号。判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律及び総合法律支援法の規定により本会に入会する者等に対する入会金等の免除又は猶予に関する運用準則3条1項)。
① 判事補の場合
    最高裁判所事務総長の,当該登録請求者が弁護士職務経験法の規定により弁護士となってその職務を行う者である旨の書面
② 検事の場合
    法務省事務次官の,当該登録請求者が弁護士職務経験法の規定により弁護士となってその職務を行う者である旨の書面


3 その他
(1) ①判事補については,判事補の弁護士職務経験に関する規則(平成16年11月1日最高裁判所規則第19号)により,②検事については,検事の弁護士職務経験に関する省令(平成16年10月1日法務省令第67号)により,細目が定められています。
(2) 弁護士職務従事職員(弁護士職務経験法2条7項)である判事補は裁判所事務官の身分を有し(弁護士職務経験法2条3項,5条1項),弁護士職務従事職員である検事は法務事務官の身分を有し(弁護士職務経験法2条6項),受入先弁護士法人等との間で雇用関係が成立しています(弁護士職務経験法4条1項,5条1項)。
(3) 弁護士職務従事職員は,当該受入先弁護士法人等との間の雇傭契約上の地位を失ったり,戒告等の懲戒処分を受けたりした場合,速やかに,当該弁護士職務経験を終了します(判事補につき弁護士職務経験法7条2項及び判事補の弁護士職務経験に関する規則5条,検事につき弁護士職務経験法7条3項及び検事の弁護士職務経験に関する省令4条)。


第3 弁護士登録の公告に関する弁護士法及び日弁連会則の条文
1 弁護士登録の公告に関する弁護士法及び日弁連会則の条文は以下のとおりです。
① 弁護士法19条(登録等の通知及び公告)
   弁護士名簿の登録、登録換及び登録取消は、すみやかに、日本弁護士連合会から当該弁護士の所属弁護士会に通知し、且つ、官報をもつて公告しなければならない。
② 日弁連会則25条(登録等の公告)
   本会は、弁護士名簿の登録、登録換え及び登録取消しをしたときは、速やかに、官報に公告する。弁護士の氏名についての変更の届出があったとき、又は職務上の氏名が使用され、若しくは変更されたときも、同様とする。
2 インターネット版官報に掲載される弁護士登録の情報は,自由と正義に掲載される弁護士登録の情報より1ヶ月以上,早いです。


第4 収入印紙の形式
1 収入印紙の形式は,印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和23年7月12日法律第142号)2条2項に基づき,財務大臣が,収入印紙の形式を定める件(昭和23年2月大蔵省告示第39号)において定めています。
2 平成に入ってからは,平成5年7月1日及び同年10月1日に収入印紙の形式改正があり,平成6年4月1日に8000円の収入印紙が追加され,平成30年7月1日に再び収入印紙の形式改正がありました(「収入印紙の形式改正について」(平成30年6月1日付)参照)。


第5 弁護士登録関係費用は開業費(繰延資産の一種です。)になると思われること
1 弁護士登録関係費用は開業費に該当すると思われること

(1) 弁護士登録関係費用については,所得税法2条1項20号(繰延資産の意義)・所得税法施行令7条(繰延資産の範囲)1項3号ホの「イからニまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用」に該当するものとして,弁護士業の開業費(繰延資産の一種です。)として必要経費になると思います所得税基本通達2-29の4参照)。
(2) 所得税基本通達2-29の4は以下のとおりです。
   同業者団体等(社交団体を除く。)に対して支出した加入金(その構成員としての地位を他に譲渡することができることとなっている場合における加入金及び出資の性質を有する加入金を除く。)は、令第7条第1項第3号ホに掲げる費用に該当するものとする。
2 開業費の計上方法等
(1) 弁護士業の開業日は弁護士登録をした日以後になると思われますところ,事業所得があるとは限らない勤務弁護士となった日と,事業所得を生ずべき弁護士業を開業した日は異なると思います。
   そのため,修習終了直後の12月に弁護士登録をした場合であっても,即独又は軒弁でない限り,開業日は翌年1月以降になることが多いと思います。
(2) 開業日を翌年1月以降とした場合,開業費は翌年1月以降に計上することとなります。
(3) 開業日は,個人事業の開業・廃業等届出書(いわゆる「開業届」です。)に記載する日付でありますところ,開業届については,国税庁HPの「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」に書式が載っています。
3 開業費の償却方法
・ 開業費の償却方法につき,国税庁HPの「償却期間経過後における開業費の任意償却」には以下の記載があります。
 繰延資産(開業費)の償却費の計算については、60か月の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によることとされています(所得税法施行令第137条第1項第1号、第3項)。
 任意償却は、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるもので、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。
 また、繰延資産となる費用を支出した後60か月を経過した場合に償却費を必要経費に算入できないとする特段の規定はないことから、繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。
 なお、支出した開業費の内容及びその開業費の額が過年分において必要経費に算入されていないことを明らかにしておく必要があります。
4 法律書等の書籍代及び勉強会参加費の取扱い
(1) 繰延資産とは,不動産所得,事業所得,山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関し個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいいます(所得税法2条1項20号)。
(2) 繰延資産の一種としての開業費とは,不動産所得,事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいいます(所得税法施行令7条1項1号)。
    そのため,法律書等の書籍代及び勉強会参加費は,弁護士業の開業準備のために特別に支出する費用に該当するとまではいえない場合,開業費に該当しないこととなります。
(3) ミツモアMediaに「個人事業主の「開業費」の範囲は?開業費に関する基礎知識」が載っています。
5 同業者団体等の加入金の取扱い
・ 国税庁HPの「タックスアンサーNo.5382 同業者団体等の加入金と会費の取扱い」には以下の記載があります。
加入金
(1) 構成員としての地位を他に譲渡することができることとなっているものおよび出資の性質を有するもの
譲渡または脱退するまで資産に計上します。
(2) (1)以外のもの
繰延資産に該当し、償却期間は5年となります。
ただし、支出金額が20万円未満の場合には損金経理により全額損金算入することができます。


第6 関連記事その他
1 「弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければならない。」と定める弁護士法8条,及び「弁護士となるには、入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録の請求をしなければならない。」と定める弁護士法9条は憲法22条1項に違反しません(最高裁平成4年7月9日判決)。
2 弁護士法が弁護士資格を,原則として司法修習生の修習を終えた者に限ったのは,弁護士の職務内容が国の裁判制度と不可分の関係にあり,その公職的性格が顕著であることによるものです(最高裁昭和43年11月15日判決)。
3 弁護士会の会費は,税理士会,公認会計士協会,司法書士会及び行政書士会と比べて非常に高いです(節約投資のすすめHP「弁護士会の会費が鬼高い!税理士会の会費などその他士業の会費と比較してみた」参照)。
4 以下の記事も参照してください。
・ 司法修習終了翌年の確定申告
 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金
・ 弁護士登録番号と修習期の対応関係
・ 弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会
・ 弁護士登録番号と修習期の対応関係
・ 判事補及び検事の弁護士職務経験制度
・ 弁護士会別期別の弁護士数の一覧表
・ 弁護士再登録時の費用
・ 日弁連の会費及び特別会費

各地の弁護士会

目次
1 各地の弁護士会
2 弁護士会の目的
3 東京三弁護士会
4 ひまわり基金法律事務所及び都市型公設事務所
5 強制加入団体としての弁護士会の活動範囲に関する参考裁判例
6 関連記事

1 各地の弁護士会

(1) 各地の弁護士会につき,日弁連HPの「弁護士会・弁護士会連合会紹介ページ」を参照して下さい。
(2) 各地の弁護士会の会長及び副会長の住所は,弁護士会の法人登記簿に載っています(弁護士法34条2項4号)。
(3) 弁護士会又は日弁連の登記については,商業登記法の規定が準用されます(弁護士会登記令15条)。

2 弁護士会の目的
(1) 弁護士会は,弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ,その品位を保持し,弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため,弁護士及び弁護士法人の指導,連絡及び監督に関する事務を行うことを目的としています(弁護士法31条1項)。
(2) 弁護士の「品位を保持」するための「指導」,「監督」としては,綱紀・懲戒,紛議調停等があります。
弁護士の「事務の改善進歩を図る」ための「指導」,「連絡」としては,弁護士向けの研修があります(第二東京弁護士会HPの「弁護士会について」参照)。


3 東京三弁護士会
(1)ア 大正11年,東京弁護士会の会長選挙を巡って紛争が生じ,当時の東京弁護士会を脱会した385名の弁護士によって,大正12年5月,第一東京弁護士会が設立されました。
   また,東京弁護士会又は第一東京弁護士会から脱退した176名の弁護士によって,大正15年3月,第二東京弁護士会が設立されました(職業史としての弁護士および弁護士団体の歴史93頁及び94頁。なお,第二東京弁護士会HPの「弁護士会について」参照)。
イ 河野真樹の弁護士観察日記HP「なぜ東京に三つの弁護士会?」に以下の記載があります。
経緯はこういうことです。もともと一つだった東京弁護士会(東弁)では、明治12年(1879年)以降、小会派連合で多数派の桃李倶楽部が会の役員を統一候補として決定する支配体制を確立していました。これに対し、大正2年(1913年)、少壮の若手弁護士たちが立ち上がり、その後の対立期を経て、大正11年(1922年)、桃李倶楽部の長老派が推す岩田宙造に対し、少壮派の新緑会などが推した乾政彦がついに当選、これを機に長老一派が分裂に動いたのです。
    長老派の働きかけで出された100人の同意で、新弁護士会を立ち上げられるとする法案は、日本弁護士協会が反対するなか成立、大正12年(1923年)、原嘉道ら384人が脱会し、第一東京弁護士会(一弁)を設立しました。その後、桃李倶楽部の東明会と新緑会の脱会組の真野毅、海野晋吉、第一東京弁護士会の知新会のメンバーが東明会の仁井田益太郎の呼びかけで、大正15年(1926年)に第二東京弁護士会(二弁)を立ち上げました。
ウ 第一東京弁護士会HPの「理念と歴史」には,「第一東京弁護士会は、1923年(大正12年)5月8日に創立され」と書いてあります。

(2) 第二東京弁護士会HPに「二弁のあゆみ」が載っています。
(3) 東京三弁護士会は,「弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設立しなければならない。」とする弁護士法32条の例外であって(弁護士法89条1項),何時でも合併又は解散することができます(弁護士法89条2項)。
(4) 東京三弁護士会の合併を訴える任意団体として,「二弁設立の趣旨を守る会」(代表は道本幸伸弁護士(二弁))があります(合併.com「「二弁設立の趣旨を守る会」ニュース」参照)。
(5) 弁護士法人かごしま上山法律事務所ブログ「東京3会 統合の夢」(平成30年3月7日付)が載っています。
(6) 東京弁護士会のLIBRAは平成13年1月創刊であって,それ以前は毎月1回発行の「東弁新聞」(昭和50年7月創刊)でした(東弁リブラ2011年7月号の「お薦めの一冊 「東弁新聞 縮刷版」 東弁の歴史が見える」参照)。

4 ひまわり基金法律事務所及び都市型公設事務所
(1) 平成30年10月1日現在,44のひまわり基金法律事務所が運営されています(日弁連HPの「ひまわり基金法律事務所(公設事務所)の概要と紹介」参照)。
(2) 平成28年10月1日現在,全国で13の都市型公設事務所が,弁護士会又は弁護士会連合会の支援により設置,運営されています(弁護士白書2016の「3 弁護士会等の支援による公設事務所(都市型公設事務所)の設置状況」参照)。

5 強制加入団体としての弁護士会の活動範囲に関する参考裁判例
(1)   税理士会が政党など規正法上の政治団体に金員の寄付をすることは,たとい税理士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するためのものであっても,税理士法49条2項で定められた税理士会の目的の範囲外の行為であり,右寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の決議は無効です(最高裁平成8年3月19日判決南九州税理士会事件判決))。
そのため,同じく強制加入団体である弁護士会が政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をすることはできないと思います。
(2) 司法書士会は,司法書士の品位を保持し,その業務の改善進歩を図るため,会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とするものであるが(司法書士法14条2項),その目的を遂行する上で直接又は間接に必要な範囲で,他の司法書士会との間で業務その他について提携,協力,援助等をすることもその活動範囲に含まれます(最高裁平成14年4月25日判決群馬司法書士会事件判決))。
   そのため,同じく強制加入団体である弁護士会が他の弁護士会との間で業務その他について提携,協力,援助等をすることもその活動範囲に含まれると思います。

6 関連記事
① 弁護士会館
② 弁護士会の会派

各地の弁護士会連合会

目次
1 総論
2 8つの弁護士会連合会
3 関弁連
4 近弁連
5 平成29年度の弁連大会
6 関連記事

1 総論
(1) 同じ高等裁判所の管轄区域内の弁護士会は,共同して特定の事項を行うため,弁護士会連合会(「弁連」といいます。)を設けています(弁護士法44条)。
(2) 弁護士会連合会は,日弁連及び弁護士会と異なり法人格が認められていないため,その性格については権利能力なき社団であると解されています。

2 8つの弁護士会連合会
・ 8つの高等裁判所に対応して,以下の8つの弁護士会連合会があります。
①   関東弁護士会連合会(略称は関弁連)
②   近畿弁護士会連合会(略称は近弁連)
③   中部弁護士会連合会(略称は中弁連又は中部弁連)
④   中国地方弁護士会連合会(略称は中弁連又は中国弁連)
⑤   九州弁護士会連合会(略称は九弁連)
⑥   東北弁護士会連合会(略称は東北弁連)
⑦   北海道弁護士会連合会(略称は道弁連)
⑧   四国弁護士会連合会(略称は四弁連)

3 関弁連
(1) 関弁連HPに,東京高裁管内の,
「各地方裁判所周辺ガイドマップ」(地家裁の本庁及び支部の他,簡易裁判所を含む。)が載っています。
(2) 関弁連所属の弁護士会のうち,東京三弁護士会以外の10個の弁護士会は関東十県会を構成しています(弁護士法人リバーシティ法律事務所HPの「関東十県会 夏期研究会」参照)。

4 近弁連
(1) 近弁連は,奇数年に近弁連大会を開催し,偶数年に近弁連人権大会を開催しています(近弁連HPの
「近弁連大会・近弁連人権大会シンポジウム」参照)。
(2) 平成17年以降の開催状況は以下のとおりです。
ア 近弁連大会
27回:平成17年11月25日(金) ホテル日航奈良
28回:平成19年11月30日(金) 大阪弁護士会館
29回:平成21年11月27日(金) 京都全日空ホテル
30回:平成23年11月25日(金) 大阪弁護士会館
31回:平成25年 9月20日(金) ANAクラウンプラザホテル神戸
32回:平成27年11月27日(金) 琵琶湖ホテル
33回:平成29年12月 1日(金) ホテルアバローム紀の国
イ 近弁連人権擁護大会
24回:平成18年11月17日(金) シーサイドホテル舞妓ビラ神戸
25回:平成20年11月28日(金) 琵琶湖ホテル
26回:平成22年11月19日(金) ホテルアバローム紀の国
27回:平成24年11月30日(金) ホテル日航奈良
28回:平成26年11月28日(金) 大阪弁護士会館
29回:平成28年11月25日(金) ANAクラウンプラザホテル京都
30回:平成30年11月30日(金) 大阪弁護士会館

5 平成29年度の弁連大会
・ 平成29年度に開催された全国8ブロックの弁連大会は以下のとおりでした。
①   7月 7日(金)東北弁連大会(秋田市)
②   7月28日(金)道弁連大会(函館市)
③   9月29日(金)関弁連大会(沼津市)
④10月13日(金)中国弁連大会(広島市)
⑤10月20日(金)中部弁連大会(富山市)
⑥10月27日(金)九弁連大会(大分市)
⑦11月10日(金)四弁連大会(徳島市)
⑧12月 1日(金)近弁連大会(和歌山市)

6 関連記事
・ 弁護士会連合会別の,日弁連の歴代副会長(平成15年度以降)
・ 日弁連理事
・ 日弁連の女性理事
・ 日弁連の理事会及び常務理事会

個人型確定拠出年金(iDeCo)

目次
1 総論
2 国民年金基金と共通するメリット
3 国民年金基金にはないメリット
4 掛金の取扱い
5 必要な費用
6 確定拠出年金の受給方法
7 昭和63年改正前の証券投資税制
8 投資助言・代理業
9 関連記事その他


1 総論
(1) 個人型確定拠出年金(愛称は「iDeCo」です。)は,確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。
(2)ア 平成29年1月から,基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が加入できるようになりました。
イ 令和5年5月以降,国民年金への任意加入をしている第1号被保険者は,65歳までの間,個人型確定拠出年金に任意加入できるようになります(auカブコム証券HP「iDeCoが新しくなる!加入年齢が65歳まで延長に」(2020年9月18日付)参照)。
(3) 個人型確定拠出年金に加入する場合,金融機関,保険会社等の運営管理機関経由で加入手続をします。
(4) 公式の説明として以下のHPがあります。
① iDeCo公式サイト「iDecoってなに?」
② 厚生労働省HP「iDecoの概要」


2 国民年金基金と共通するメリット
・ 個人型確定拠出年金の場合,国民年金基金と同様に以下のメリットがあります。
① 毎月の掛金が所得控除の対象になります。
② 年金として受け取る場合,公的年金等控除の対象となります(一時金として受け取る場合,退職所得控除の対象となります。)。


3 国民年金基金にはないメリット
(1) 個人型確定拠出年金の場合,国民年金基金と異なり以下のメリットがあります。
① 個人単位の運用であるため,新規加入者であることを理由に不利に取り扱われることはありません。
② 自分以外の加入者の運用失敗等に起因する繰越不足金の問題はありません。
③ 自分の運用次第で年金受取金額を増やすことができますし,インフレリスクに対応することができます。
④ 10年以上加入した後に60歳になれば,一時金としてまとめて引き出すことができます(年金として分割払いで受け取ることもできます。)。
(2) 自分の運用次第では年金受取金額が掛金全額を下回ることがあります。
   ただし,国民年金基金の平成31年4月改定の基本ポートフォリオは,グローバル債券が52%であり,グローバル株式が48%です(国民年金基金HP「資産運用状況」参照)から,国民年金基金も結構,ハイリスクハイリターンな運用をしていると思います。
(3) 通算拠出期間が3年を超えるか,又は個人別管理資産が25万円を超えた場合,それだけで60歳未満で脱退一時金を請求することはできなくなります(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。
(4) マネーの達人HP「国民年金基金の合併の背景にある「古参が得で新参が損」という構造」(平成28年8月3日付)には以下の記載があります。
    現在は平成の初めの頃のように、高い予定利率は期待できない時代ですから、新参にとっては好むと好まざるとにかかわらず、国民年金基金より個人型の確定拠出年金の方が老後資金作りの有力な選択肢になると思うのです。


 掛金の取扱い
(1)ア 国民年金基金の掛金の場合,国民健康保険料と同様に社会保険料控除として,生計を同一にする配偶者やその他親族の分の掛金も所得控除の対象となります(国税庁HPの「No.1130 社会保険料控除」参照)。
イ 個人型確定拠出年金の掛金の場合,小規模企業共済等掛金控除として,自分の分の掛金しか所得控除の対象となりません(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。
(2) 個人型確定拠出年金の掛金の変更は,国民年金基金の掛金と同様に,年に1回,可能です(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。
(3) 日本弁護士国民年金基金HP「個人型確定拠出年金」に以下の記載があります。
   個人型確定拠出年金に、2002年(平成14年)1月4日から加入できることとなりました。確定拠出年金には、労使合意に基づく企業拠出による「企業型」と、加入者個人の拠出による「個人型」があります。60歳未満の自由業・自営業者等は、月額6万8000円(年額81万6000円)から国民年金基金等の掛け金を控除して残額がある場合、この残額を拠出限度額として、個人型に加入することができます。


5 必要な費用
(1) 確定拠出年金に係る手数料は以下の5種類です(りそな銀行HPの「いくらかかる? なぜかかる? 確定拠出年金の手数料」参照)。
① 加入時・移管時手数料
② 口座管理手数料
③ 給付事務手数料
④ 還付事務手数料
⑤ 信託報酬
(2) iDecoナビの「商品によって手数料が違うけど、何を参考にすればよいの?」に,信託報酬ランキングが載っています。


6 確定拠出年金の受給方法
(1) 企業年金連合会HP「確定拠出年金統計資料(2002年3月末~2018年3月末)」が載っています。
    リンク先の4頁及び11頁によれば,2018年3月末時点における5万8742人の老齢給付金の受給者のうち,2万2141人が年金方式を選択し,5万6444人が一時金方式を選択していますから,併給者を含めた場合,約96%の人が一時金方式を選択していることになります。
(2) 確定拠出年金を受給する場合,以下の3点を気にした方がいいみたいです(ZUU online「確定拠出年金の「ベスト」な受け取り方 年金、一時払いどっち?」参照)。
① 退職金を年金で受け取る場合,想定運用利回りは実勢金利よりどれぐらいいいか。
② 確定拠出年金内で運用を続けた場合,税制面及び運用商品の手数料等でどのようなメリットがあるか。
③ 退職所得控除を最も無駄なく利用するためにはどうしたらいいか。
(3)ア 退職所得の金額は,原則として以下のとおり計算式されます(国税庁HPのタックスアンサーの「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」参照)。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
イ 他の所得と分離して,退職所得の金額に所得税率を掛けることで所得税及び特別復興所得税が算出されます(国税庁HPの「退職金と税」参照)。


7 昭和63年改正前の証券投資
・ 最高裁昭和59年3月16日判決は,昭和63年12月30日法律第109号及び関連政令による改正前の証券投資税制について以下のとおり判示しています(年間の売買回数が49回以下であり,かつ,売買をした株数が20万株未満の場合,一律に非課税所得となっていました。)
    所得税法九条一項一一号イは、有価証券の譲渡による所得のうち非課税とされない所得として「継続して有価証券を売買することによる所得として政令で定めるもの」と規定し、これを受けた所得税法施行令二六条は、一項において「法第九条第一項第十一号イ(非課税所得)に規定する政令で定める所得は、有価証券の売買を行なう者の最近における有価証券の売買の回数、数量又は金額、その売買についての取引の種類及び資金の調達方法、その売買のための施設その他の状況に照らし、営利を目的とした継続的行為と認められる取引から生じた所得とする。」と規定し、二項において「前項の場合において、同項に規定する者のその年中における株式又は出資の売買が次の各号に掲げる要件に該当するときは、その他の同項に規定する取引に関する状況がどうであるかを問わず、その者の有価証券の売買による所得は、同項の規定に該当する所得とする。一 その売買の回数が五十回以上であること。二 その売買をした株数又は口数の合計が二十万以上であること。」と規定している。



8 投資助言・代理業
(1)ア 投資助言業とは,投資顧問契約を締結し、当該投資顧問契約に基づき、助言を行うことをいいます(金融商品取引法2条8項11号)。
イ 代理業とは,投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介をいいます(金融商品取引法2条8項13号)。
ウ 一般社団法人日本投資顧問業協会(JIAA)HP「投資運用業および投資助言・代理業入門」が載っています。
(2)ア 投資顧問契約とは,有価証券の価値等又は金融商品の価値等に関して,口頭、文書(新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものを除く。)その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約をいいます(金融商品取引法2条8項11号)。
イ 投資一任契約とは,当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約をいいます(金融商品取引法2条8項12号ロ)。
(3) 投資助言業務(金融商品取引法29条の2第6項)を営むためには,投資助言・代理業に関する財務局長又は財務支局長の登録を受ける必要があります(金融商品取引法29条の2第3項・29条並びに194条の7第1項及び同条第6項)。
(4) 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の「VII. 監督上の評価項目と諸手続(投資助言・代理業)」には「② 投資助言・代理業に該当しない行為」として以下の記載があります。
イ. 不特定多数の者を対象として、不特定多数の者が随時に購入可能な方法により、有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断(以下「投資情報等」という。)を提供する行為
    例えば、以下aからcまでに掲げる方法により、投資情報等の提供を行う者については、投資助言・代理業の登録を要しない。
    ただし、例えば、不特定多数の者を対象にする場合でも、インターネット等の情報通信技術を利用することにより個別・相対性の高い投資情報等を提供する場合や、会員登録等を行わないと投資情報等を購入・利用できない(単発での購入・利用を受け付けない)ような場合には登録が必要となることに十分に留意するものとする。
a. 新聞、雑誌、書籍等の販売
(注)一般の書店、売店等の店頭に陳列され、誰でも、いつでも自由に内容をみて判断して購入できる状態にある場合。一方で、直接業者等に申し込まないと購入できないレポート等の販売等に当たっては、登録が必要となる場合があることに留意するものとする。
b. 投資分析ツール等のコンピュータソフトウェアの販売
(注)販売店による店頭販売や、ネットワークを経由したダウンロード販売等により、誰でも、いつでも自由にコンピュータソフトウェアの投資分析アルゴリズム・その他機能等から判断して、当該ソフトウェアを購入できる状態にある場合。一方で、当該ソフトウェアの利用に当たり、販売業者等から継続的に投資情報等に係るデータ・その他サポート等の提供を受ける必要がある場合には、登録が必要となる場合があることに留意するものとする。
c. 金融商品の価値等について助言する行為
(注)有価証券以外の金融商品について、単にその価値やオプションの対価の額、指標の動向について助言し、その分析に基づく投資判断についての助言を行っていない場合、又は報酬を支払うことを約する契約を締結していない場合には、当該行為は投資助言業には該当しない。
    例えば、単に今年の日本の冬の平均気温について助言するのみでは、投資助言業には該当しない。


(5)ア 投資系YouTuberが個別銘柄を推奨した場合であっても,利用者との関係では無償であって,もっぱら広告収入を目的として助言を提供するのであれば,不特定手数の者を相手方とし,かつ,相手方からの報酬の支払がないわけですから,投資助言・代理業の登録は不要です。
    そのため,投資系YouTuberの「投資は自己責任」という発言につき,何らかの法律上の規制に基づくわけではないと思います。
イ 有償の会員制のオンラインサロンにおいて個別銘柄を推奨する場合,不特定多数の者が随時にその推奨情報を購入できるわけではありませんから,投資助言・代理業の登録が必要です。
(6) 投資助言業務に関して顧客の損失の全部又は一部を補てんすることは禁止されています(金融商品取引法41条の2第5号)。
(7) 平成19年9月30日までは,有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(昭和61年5月27日法律第74号)に基づく規制がされていました。


9 関連記事その他
(1) 弁護士法人栄光 栄光綜合法律事務所HP「iDeCo(個人型確定拠出年金制度)」が参考になります。
(2) 一般社団法人投資信託協会HP「確定拠出年金(個人型・企業型)のQ&A」には以下の記載があります。
    自営業の人はiDeCoと国民年金基金は併用が可能です。ただし、毎月拠出できる掛金の上限額はiDeCoと国民年金基金の両方を合計して月額6万8000円までとなっています。iDeCoが運用商品を自分で選び、その運用成績によって給付額が変動するのに対し、国民年金基金は自分が運用の指図をすることはなく、掛金に応じて給付額が決まっています。「自分の手で増やしたい」という人にはiDeCoが向いています。
(3)ア 駒澤大学経済学部 小林正人’sホームページ「円相場(対ドル)の推移 1973-2002」が載っています。
イ PayPayアセットマネジメント株式会社HP「米国株投資を代表するNASDAQ100、ダウ平均、S&P500の過去30年間のパフォーマンスを見てみよう!」が載っています。
(4) 証券会社の担当者が,顧客の意向と実情に反して,明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど,適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは,当該行為は不法行為法上も違法となります(最高裁平成17年7月14日判決)。
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 日本弁護士国民年金基金
・ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移
・ 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
・ 弁護士の社会保険

弁護士職務基本規程

○平成17年4月1日施行の,弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)の条文は以下のとおりです。

第一章   基本倫理(第一条ー第八条)
第二章   一般規律(第九条ー第十九条)
第三章   依頼者との関係における規律
第一節   通則(第二十条ー第二十六条)
第二節   職務を行い得ない事件の規律(第二十七条・第二十八条)
第三節   事件の受任時における規律(第二十九条ー第三十四条)
第四節   事件の処理における規律(第三十五条ー第四十三条)
第五節   事件の終了時における規律(第四十四条・第四十五条)
第四章   刑事弁護における規律(第四十六条―第四十九条)
第五章   組織内弁護士における規律(第五十条・第五十一条)
第六章   事件の相手方との関係における規律(第五十二条ー第五十四条)
第七章   共同事務所における規律(第五十五条―第六十条)
第八章   弁護士法人における規律(第六十一条―第六十九条)
第九章   他の弁護士との関係における規律(第七十条ー第七十三条)
第十章   裁判の関係における規律(第七十四条―第七十七条)
第十一章   弁護士会との関係における規律(第七十八条・第七十九条)
第十二章   官公署との関係における規律(第八十条・第八十一条)
第十三章   解釈適用指針(第八十二条)


弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする。
その使命達成のために、弁護士には職務の自由と独立が要請され、高度の自治が保障さている。
弁護士は、その使命を自覚し、自らの行動を規律する社会的責任を負う。
よって、ここに弁護士の職務に関する倫理と行為規範を明らかにするため、弁護士職務基本規程を制定する。

 第一章  基本倫理 
 (使命の自覚)
第一条 弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。
(自由と独立)
第二条 弁護士は、職務の自由と独立を重んじる。
 (弁護士自治)
第三条 弁護士は、弁護士自治の意義を自覚し、その維持発展に努める。
 (司法独立の擁護)
第四条 弁護士は司法の独立を擁護し司法制度の健全な発展に寄与するように努める
(信義誠実)
第五条 弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。
 (名誉と信用)
第六条 弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める。
 (研鑽)
第七条 弁護士は、教養を深め、法令及び法律事務に精通するため、研鑽に努める。
 (公益活動の実践)
第八条 弁護士は、その使命にふさわしい公益活動に参加し、実践するように努める。
 第二章   一般規律
 (広告及び宣伝)
第九条 弁護士は、広告又は宣伝をするときは、虚偽又は誤導にわたる情報を提供してはならない。
2 弁護士は、品位を損なう広告又は宣伝をしてはならない。
 (依頼の勧誘等)
第十条 弁護士は、不当な目的のため、又は品位を損なう方法により、事件の依頼を勧誘し、又は事件を誘発してはならない。
 (非弁護士との提携)
第十一条 弁護士は、弁護士法第七十二条から第七十四条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる 相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
 (報酬分配の制限)
第十二条 弁護士は、その職務に関する報酬を弁護士又は弁護士法人でない者との間で分配してはならない。ただし、 法令又は本会若しくは所属弁護士会の定める会則に別段の定めがある場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
 (依頼者紹介の対価)
第十三条 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。
 (違法行為の助長)
第十四条 弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。
 (品位を損なう事業への参加)
第十五条 弁護士は、公序良俗に反する事業その他品位を損なう事業を営み、若しくはこれに加わり、又はこれらの事業に 自己の名義を利用させてはならない。
 (営利業務従事における品位保持)
第十六条 弁護士は、自ら営利を目的とする業務を営むとき、又は営利を目的とする業務を営む者の取締役、執行役その他 業務を執行する役員若しくは使用人となったときは、営利を求めることにとらわれて、品位を損なう行為をしてはならない。
 (係争目的物の譲受け)
第十七条 弁護士は、係争の目的物を譲り受けてはならない。
 (事件記録の保管等)
第十八条 弁護士は、事件記録を保管又は廃棄するに際しては、秘密及びプライバ シーに関する情報が漏れないように注意しなければならない。
 (事務職員等の指導監督)
第十九条 弁護士は、事務職員、司法修習生その他の自らの職務に関与させた者が、その者の業務に関し違法若しくは不当な 行為に及び、又はその法律事務所の業務に関して知り得た秘密を漏らし、若しくは利用することのないように指導及び監督を しなければならない。
第三章   依頼者との関係における規律
第一節   通則
 (依頼者との関係における自由と独立)
第二十条 弁護士は、事件の受任及び処理に当たり、自由かつ独立の立場を保持するように努める。
 (正当な利益の実現)
第二十一条 弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように 努める。
 (依頼者の意思の尊重)
第二十二条 弁護士は、委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うも のとする。
2 弁護士は、依頼者が疾病その他の事情のためその意思を十分に表明できないときは、適切な方法を講じて依頼者の意思の 確認に努める。
 (秘密の保持)
第二十三条 弁護士は、正当な理由なく、依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は利用してはならない。
 (弁護士報酬)
第二十四条 弁護士は経済的利益事案の難易時間及び労力その他の事情に照らして 適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。
 (依頼者との金銭貸借等)
第二十五条 弁護士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は自己の債務について依頼者に保証を依頼し、 若しくは依頼者の債務について保証をしてはならない。
 (依頼者との紛議)
第二十六条 弁護士は、依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じないように努め、紛議が生じたときは、所属弁護士会の 紛議調停で解決するように努める。
 第二節   職務を行い得ない事件の規律
 (職務を行い得ない事件)
第二十七条 弁護士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第三号に 掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一   相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二   相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三   受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四   公務員として職務上取り扱った事件
五   仲裁、調停、和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手続実施者として取り扱った事件
 (同前)
第二十八条 弁護士は、前条に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行っては ならない。ただし、第一号及び第四号に掲げる事件についてその依頼者が同意した場合、第二号に掲げる事件についてその 依頼者及び相手方が同意した場合並びに第三号に掲げる事件についてその依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合は、この限りでない。
一   相手方が配偶者、直系血族、兄弟姉妹又は同居の親族である事件
二   受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供を約している者を相手方とする事件
三   依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
四   依頼者の利益と自己の経済的利益が相反する事件
第三節   事件の受任時における規律
 (受任の際の説明等)
第二十九条 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事 件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなけ ればならない。
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。
3 弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任 してはならない。
 (委任契約書の作成)
第三十条 弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、これを作成する。
 2 前項の規定にかかわらず、受任する事件が、法律相談、簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくもの であるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。
 (不当な事件の受任)
第三十一条 弁護士は、依頼の目的又は事件処理の方法が明らかに不当な事件を受任してはならない。
 (不利益事項の説明)
第三十二条 弁護士は、同一の事件について複数の依頼者があってその相互間に利害の対立が生じるおそれがあるときは、 事件を受任するに当たり、依頼者それぞれに対し、辞任の可能性その他の不利益を及ぼすおそれのあることを説明しなければ ならない。
 (法律扶助制度等の説明)
第三十三条 弁護士は、依頼者に対し、事案に応じ、法律扶助制度、訴訟救助制度 その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、裁判を受ける権利が 保障されるように努める。
 (受任の諾否の通知)
第三十四条 弁護士は、事件の依頼があったときは、速やかに、その諾否を依頼者に通知しなければならない。
第四節   事件の処理における規律
 (事件の処理)
 第三十五条 弁護士は、事件を受任したときは、速やかに着手し、遅滞なく処理しなければならない。
 (事件処理の報告及び協議)
第三十六条 弁護士は、必要に応じ、依頼者に対して、事件の経過及び事件の帰趨に影響を及ぼす事項を報告し、依頼者と 協議しながら事件の処理を進めなければならない。
 (法令等の調査)
第三十七条 弁護士は、事件の処理に当たり、必要な法令の調査を怠ってはならない。
2 弁護士は事件の処理に当たり必要かつ可能な事実関係の調査を行うように努める
(預り金の保管)
第三十八条 弁護士は、事件に関して依頼者、相手方その他利害関係人から金員を 預かったときは、自己の金員と区別し、預り金であることを明確にする方法で保 管し、その状況を記録しなければならない。
 (預り品の保管)
第三十九条 弁護士は、事件に関して依頼者、相手方その他利害関係人から書類その他の物品を預かったときは、善良な管理者 の注意をもって保管しなければならない。
 (他の弁護士の参加)
第四十条 弁護士は、受任している事件について、依頼者が他の弁護士又は弁護士法人に依頼をしようとするときは、正当な理由なく、 これを妨げてはならない。
 (受任弁護士間の意見不一致)
第四十一条 弁護士は、同一の事件を受任している他の弁護士又は弁護士法人との間に事件の処理について意見が一致せず、 これにより、依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、依頼者に対し、その事情を説明しなければならない。
 (受任後の利害対立)
第四十二条 弁護士は、複数の依頼者があって、その相互間に利害の対立が生じるおそれのある事件を受任した後、 依頼者相互間に現実に利害の対立が生じたときは、依頼者それぞれに対し、速やかに、その事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
 (信頼関係の喪失)
第四十三条 弁護士は受任した事件について依頼者との間に信頼関係が失われ かつ、その回復が困難なときは、その旨を説明し、辞任その他の事案に応じた適 切な措置をとらなければならない。
第五節   事件の終了時における規律
 (処理結果の説明)
第四十四条 弁護士は委任の終了に当たり事件処理の状況又はその結果に関し 必要に応じ法的助言を付して、依頼者に説明しなければならない。
 (預り金等の返還)
第四十五条 弁護士は、委任の終了に当たり、委任契約に従い、金銭を清算したうえ、預り金及び預り品を遅滞なく返還しなければならない。
第四章 刑事弁護における規律
 (刑事弁護の心構え)
第四十六条 弁護士は、被疑者及び被告人の防御権が保障されていることにかんがみ、その権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努める。
 (接見の確保と身体拘束からの解放)
第四十七条 弁護士は、身体の拘束を受けている被疑者及び被告人について、必要な接見の機会の確保及び身体拘束からの解放に努める。
 (防御権の説明等)
第四十八条 弁護士は、被疑者及び被告人に対し、黙秘権その他の防御権について適切な説明及び助言を行い、防御権及び弁護権に対する違法又は不当な制限に対し、 必要な対抗措置をとるように努める。
 (国選弁護における対価受領等)
第四十九条 弁護士は、国選弁護人に選任された事件について、名目のいかんを問わず、被告人その他の関係者から報酬その他の対価を受領してはならない。
2 弁護士は、前項の事件について、被告人その他の関係者に対し、その事件の私選弁護人に選任するように働きかけてはならない。 ただし、本会又は所属弁護士会の定める会則に別段の定めがある場合は、この限りでない。
第五章 組織内弁護士における規律
 (自由と独立)
第五十条 官公署又は公私の団体(弁護士法人を除く。以下これらを合わせて「組織」という)において職員若しくは使用人となり、 又は取締役、理事その他の役員となっている弁護士(以下「組織内弁護士」という)は、弁護士の使命及び弁護士の本質である自由と 独立を自覚し、良心に従って職務を行うように努める。
 (違法行為に対する措置)
第五十一条 組織内弁護士は、その担当する職務に関し、その組織に属する者が業務上法令に違反する行為を行い、又は行おうとしている ことを知ったときは、 その者、自らが所属する部署の長又はその組織の長、取締役会若しくは理事会その他の上級機関に対する説明又は 勧告その他のその組織内における適切な措置をとらなければならない。
第六章 事件の相手方との関係における規律
 (相手方本人との直接交渉)
第五十二条 弁護士は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接 相手方と交渉してはならない。
 (相手方からの利益の供与)
第五十三条 弁護士は、受任している事件に関し、相手方から利益の供与若しくは供応を受け、又はこれを要求し、若しくは約束をしてはならない。
 (相手方に対する利益の供与)
第五十四条 弁護士は、受任している事件に関し、相手方に対し、利益の供与若しくは供応をし、又は申込みをしてはならない。
第七章   共同事務所における規律
 (遵守のための措置)
第五十五条 複数の弁護士が法律事務所(弁護士法人の法律事務所である場合を除く)を共にする場合(以下この法律事務所を「共同 事務所」という)において、その共同事務所に所属する弁護士(以下「所属弁護士」という)を監督する権限のある弁護士は、所属 弁護士がこの規程を遵守するための必要な措置をとるように努める。
 (秘密の保持)
第五十六条 所属弁護士は、他の所属弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らし、又は利用してはならない。 その共同事務所の所属弁護士でなくなった後も、同様とする。
 (職務を行い得ない事件)
第五十七条 所属弁護士は、他の所属弁護士(所属弁護士であった場合を含む)が、第二十七条又は第二十八条の規定により職務を行い 得ない事件については、職務を行ってはならない。ただし、職務の公正を保ち得る事由があるときは、この限りでない。
 (同前ー受任後)
第五十八条 所属弁護士は、事件を受任した後に前条に該当する事由があることを知ったときは、 速やかに、依頼者にその事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
 (事件情報の記録等)
第五十九条 所属弁護士は、職務を行い得ない事件の受任を防止するため、他の所属弁護士と共同して、取扱い事件の依頼者、相手方及 び事件名の記録その他の措置をとるように努める。
 (準用)
第六十条 この章の規定は、弁護士が外国法事務弁護士と事務所を共にする場合に準用する。この場合において、第五十五条中「複数の 弁護士が」とあるのは「弁護士及び外国法事務弁護士が」と、「共同事務所に所属する弁護士(以下「所属弁護士」という。)」とある のは「共同事務所に所属する外国法事務弁護士(以下「所属外国法事務弁護士)という。)」と、「所属弁護士が」とあるのは「所属 外国法事務弁護士が」と、第五十六条から第五十九条までの規定中「他の所属弁護士」とあるのは「所属外国法事務弁護士」と、 第五十七条中「第二十七条又は第二十八条」とあるのは「外国特別会員基本規程第三十条の二において準用する第二十七条又は第二十八条」と 読み替えるものとする。
 第八章   弁護士法人における規律
 (遵守のための措置)
第六十一条 弁護士法人の社員である弁護士は、その弁護士法人の社員又は使用人である弁護士(以下「社員等」という)及び使用人で ある外国法事務弁護士がこの規程を遵守するための必要な措置をとるように努める。
 (秘密の保持)
第六十二条 社員等は、その弁護士法人、他の社員等又は使用人である外国法事務弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密を正当な 理由なく他に漏らし、又は利用してはならない。社員等でなくなった後も、同様とする。
 (職務を行い得ない事件)
第六十三条 社員等(第一号及び第二号の場合においては社員等であった者を含む)は、次に掲げる事件については、職務を行っては ならない。ただし、第四号に掲げる事件については、その弁護士法人が受任している事件の依頼者の同意がある場合は、この限りでない。
一 社員等であった期間内に、その弁護士法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であって、自らこれに関与したもの
二 社員等であった期間内に、その弁護士法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであって、自らこれに関与したもの
三 その弁護士法人が相手方から受任している事件
四 その弁護士法人が受任している事件(当該社員等が自ら関与しているものに限る)の相手方からの依頼による他の事件
 (他の社員等との関係で職務を行い得ない事件)
第六十四条 社員等は、他の社員等が第二十七条、第二十八条又は第六十三条第一号若しくは第二号のいずれかの規定により職務を行い得ない事件については、職務を行ってはならない。ただし、職務の公正を保ち得る事由が あるときは、この限りでない。
2   社員等は、使用人である外国法事務弁護士が外国特別会員基本規程第三十条の二において準用する第二十七条、第二十八条又は第六十三条第一号若しくは 第二号のいずれかの規定により職務を行い得ない事件については、職務を行ってはならない。 ただし、職務の公正を保ち得る事由があるときは、この限りでない。
 (業務を行い得ない事件)
第六十五条 弁護士法人は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その業務を行ってはならない。ただし、第三号に規定する事件については受任している事件の依頼者の同意がある場合及び第五号に規定する事件についてはその職務を行い得ない社員がその 弁護士法人の社員の総数の半数未満であり、かつ、その弁護士法人に業務の公正を保ち得る事由がある場合は、この限りでない。
一   相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二   相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三   受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四   社員等又は使用人である外国法事務弁護士が相手方から受任している事件五 社員が第二十七条、第二十八条又は第六十三条第一号若しくは第二号のいずれかの規定により職務を行い得ない事件
 (同前)
第六十六条 弁護士法人は、前条に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当する事件については、その業務を行ってはならない。 ただし、第一号に掲げる事件についてその依頼者及び相手方が同意した場合、第二号に掲げる事件についてその依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合並びに第三号に掲げる事件についてその依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一   受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供を約している者を相手方とする事件
二   依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件
三   依頼者の利益とその弁護士法人の経済的利益が相反する事件
 (同前ー受任後)
第六十七条 社員等は、事件を受任した後に第六十三条第三号の規定に該当する事由があることを知ったときは、速やかに、依頼者にその事情を告げ、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
2 弁護士法人は、事件を受任した後に第六十五条第四号又は第五号の規定に該当する事由があることを知ったときは、速やかに、依頼者にその事情を告げ、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
 (事件情報の記録等)
第六十八条 弁護士法人は、その業務が制限されている事件を受任すること及びその社員等若しくは使用人である外国法事務弁護士が 職務を行い得ない事件を受任することを防止するため、その弁護士法人、社員等及び使用人である外国法事務弁護士の取扱い事件の 依頼者、相手方及び事件名の記録その他の措置をとるように努める。
 (準用)
第六十九条 第一章から第三章まで(第十六条、第十九条、第二十三条及び第三章中第二節を除く)第六章及び第九章から第十二章までの規定は弁護士法人に準用する。
第九章   他の弁護士との関係における規律
 (名誉の尊重)
第七十条 弁護士は他の弁護士、弁護士法人及び外国法事務弁護士(以下弁護士等という)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。
 (弁護士に対する不利益行為)
第七十一条 弁護士は、信義に反して他の弁護士等を不利益に陥れてはならない。
 (他の事件への不当介入)
第七十二条 弁護士は、他の弁護士等が受任している事件に不当に介入してはならない。
 (弁護士間の紛議)
第七十三条 弁護士は、他の弁護士等との間の紛議については、協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努める。
第十章   裁判の関係における規律
 (裁判の公正と適正手続)
第七十四条 弁護士は、裁判の公正及び適正手続の実現に努める。
 (偽証のそそのかし)
第七十五条 弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。
 (裁判手続の遅延)
第七十六条 弁護士は、怠慢により又は不当な目的のため、裁判手続を遅延させてはならない。
 (裁判官等との私的関係の不当利用)
第七十七条 弁護士は、その職務を行うに当たり、裁判官、検察官その他裁判手続に関わる公職にある者との縁故その他の私的関係があることを不当に利用してはならない。
第十一章 弁護士会との関係における規律
 (弁護士法等の遵守)
第七十八条 弁護士は、弁護士法並びに本会及び所属弁護士会の会則を遵守しなければならない。
 (委嘱事項の不当拒絶)
第七十九条 弁護士は、正当な理由なく、会則の定めるところにより、本会、所属弁護士会及び所属弁護士会が弁護士法 第四十四条の規定により設けた弁護士会連合会から委嘱された事項を行うことを拒絶してはならない。
第十二章 官公署との関係における規律
 (委嘱事項の不当拒絶)
第八十条 弁護士は、正当な理由なく、法令により官公署から委嘱された事項を行うことを拒絶してはならない。
 (受託の制限)
第八十一条 弁護士は、法令により官公署から委嘱された事項について、職務の公正を保ち得ない事由があるときは、 その委嘱を受けてはならない。
第十三章 解釈適用指針
 (解釈適用指針)
第八十二条 この規程は、弁護士の職務の多様性と個別性にかんがみ、その自由と独立を不当に侵すことのないよう、 実質的に解釈し適用しなければならない。第五条の解釈適用に当たって、刑事弁護においては、被疑者及び被告人の 防御権並びに弁護人の弁護権を侵害することのないように留意しなければならない。
2 第一章並びに第二十条から第二十二条まで、第二十六条、第三十三条、第三十七条第二項、第四十六条から 第四十八条まで、第五十条、第五十五条、第五十九条、第六十一条、第六十八条、第七十条、第七十三条及び 第七十四条の規定は、弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めたものとして解釈し適用しなければならない。
 附則

この規程は、平成17年4月1日から施行する。

*1 制定時の質疑応答が,日弁連HPの「臨時総会(2004年11月10日)議事概要」に載っています。
*2 日弁連弁護士倫理委員会が作成した解説「弁護士職務基本規程」第3版(2017年12月発行)は,日弁連審査部審査第二課で販売されています(日弁連HPの「解説「弁護士職務基本規程」第3版」参照)。
*3 弁護士職務基本規程の施行に伴い廃止された,「弁護士倫理」(平成2年3月2日日弁連臨時総会決議)が日弁連HPに載っています。

平成13年2月当時の,弁護士任官に対する最高裁判所の考え方

目次
1 平成13年2月当時の,弁護士任官に対する最高裁判所の考え方
2 関連記事その他

1 平成13年2月当時の,弁護士任官に対する最高裁判所の考え方
裁判官制度の改革について平成13年2月19日開催の第48回司法制度改革審議会配布資料)には以下の記載があります。

(1)弁護士任官の推進
   裁判官に多様な人材を確保するためには,従来から行われている弁護士の任官を,今後さらに推進していくことが,最も現実的であり,意義のある方策でもある。より多くの優れた弁護士が裁判官を希望するようになるためには,弁護士事務所の共同化・大規模化等,弁護士側の態勢の整備が重要であるが,裁判所としては,次のような諸方策を検討したい。

①   任官者の経験,希望に応じて,特定の専門的分野,例えば倒産事件,知的財産権事件,家庭事件等の特化した領域の裁判事務を担当する形態での任官を推進する。こうした事件に経験や関心が深い弁護士にとって,任官することの魅力や任官し易さが増すのではないかと思われる。また,これにより,裁判官の専門化にも資することになろう。
②   弁護士任官者の配置については,これまでは,例えば,最初は比較的入りやすいと考えられる保全事件などを担当しながら,通常部で陪席を務めるといった形で,裁判官の仕事や生活への移行の円滑化を図ってきたが,弁護士任官をさらに組織的に進めるという観点から,弁護士から任官した後相当年数の経験を経た裁判官を部総括とする部を設け,弁護士任官者をまずその部に配置するなど,移行を円滑化できるための方策を採用することが考えられる。
③   弁護士任官者に対する研修は,数年前から司法研修所において実施しているが,弁護士任官者の意見を聞き,さらにこれを充実していきたい。
    なお,任地,報酬等の任官条件については,現在の弁護士任官要領においても,弁護士経験15年以上の者については,その希望により居住地またはその周辺の裁判所を任地とすることになっており,報酬についても同期の裁判官に準ずることとされているので,これ以上の優遇は難しい。
(注)英米においては充実した年金制度が裁判官任官の魅力の一つであるとされているようであるが,現在の国家公務員の退職共済年金は掛金制度であるから,在任が短期間の場合の適用には困難な問題があろう。退職手当も,永年勤続に対する報償的性格が強いとされているので,同様の問題がある。

2 関連記事その他
1 26期の中山隆夫最高裁判所総務局長は,平成14年2月28日の参議院法務委員会において,毎年10人は弁護士任官で裁判官になって欲しいという趣旨の答弁をしています。
2 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
・ 弁護士任官者研究会の資料
・ 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
・ 法曹一元
 平成11年11月までの弁護士任官の状況
・ 我が国の裁判官制度に関する,平成12年4月当時の説明
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 修習終了後3年未満の判事補への任官
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿

弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)

目次
第1 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
第2 関連記事

第1 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
・ 平成13年12月7日付の「弁護士任官等に関する協議の取りまとめ」は以下のとおりです。

   最高裁判所と日本弁護士連合会とは,裁判官の給源の多様化・多元化を図り,21世紀の我が国社会における司法を担う質の高い裁判官を安定的に確保するため,弁護士からの裁判官任官を大幅に拡大することが極めて重要であるとの基本認識の下に,任官することの魅力と任官しやすさを増し,弁護士任官制度を実効あらしめるための具体的方策について,本年4月から,おおむね月2回のペースで協議を重ねた結果,当面講ずべき措置について,以下のとおり協議が整った。

1 日本弁護士連合会の任官推薦基準及び推薦手続
   日本弁護士連合会は,別紙1「任官推薦基準及び推薦手続」を策定するとともに,同記載の「推薦基準」に基づき,同記載の「推薦手続」を経ることを通じて,司法制度改革審議会が示したような多様で豊かな知識・経験と人間性を備えた裁判官となり得る資質,能力を有する弁護士が,できる限り多く裁判官候補者として推薦されるよう努めるものとし,最高裁判所はこれを了承する。
2 最高裁判所の採用手続
   最高裁判所は,日本弁護士連合会から上記手続を経て任官希望者の申込書類が提出された場合には,日本弁護士連合会を通じて提出された資料,実際の訴訟活動等を通じて収集された任官希望者の法律実務家としての資質・能力等裁判官としての適格性に関する資料及びその他の資料を判断材料として,任官希望者の採否について,能力,識見,人柄等を考慮し,総合的に見て裁判官としてふさわしいか否かという観点から検討するものとし,日本弁護士連合会はこれを了承する。
   なお,不採用の場合には,本人から申し出があれば,書面により,その理由を本人に対し開示するものとする。
3 日本弁護士連合会が行う弁護士任官推進のための環境整備方策
   日本弁護士連合会は,弁護士が裁判官に任官しやすくするための環境をより一層整備するとの観点から,以下の方策を推進する。
(1)各弁護士会又は弁護士会連合会に「弁護士任官適格者選考委員会」を設置し,弁護士任官希望者の推薦手続を行う体制を整備する。また,この推薦手続を継続的に行うことができるようにするために,任官希望者名簿の整備を進める。
(2)弁護士任官に伴う事件の引継に関する支障を除去するために,今般の弁護士法の一部を改正する法律に基づく法律事務所の法人化及び共同化を進めることにより,弁護士任官を促進するための環境整備を図る。
(3)任官に伴う受任事件の引継を円滑に行うとともに,退官後の弁護士への復帰を容易にするなどの観点から,弁護士任官希望者や弁護士任官の退官者で,特に必要のある者が在籍することができる事務所の設置,運営を促進する等,弁護士任官を推進するための制度の整備を進める。
4 最高裁判所が行う弁護士任官推進のための環境整備方策
   最高裁判所は,弁護士が裁判官に任官しやすくするための環境をより一層整備するとの観点から,以下の方策を推進する。
(1)「弁護士からの裁判官採用選考要領」を別紙2のとおり改訂する。
   なお,この改訂について,最高裁判所から以下のとおりの説明がされ,日本弁護士連合会はこれを了承した。
ア 従前の「弁護士からの裁判官採用選考要領」3のただし書きの関係について
は,平成19年3月31日までの間の任官者については,引き続き従前と同様の取扱いをするものとする。なお,その間の弁護士任官及びその受入れ側の状況によっては,この期限を更に延長するか否かについて協議する。
イ 「弁護士からの裁判官採用選考要領」5の「採用の形態」については,本人の希望を踏まえ,積極的に取り組むものとする。すなわち,
①短期間の任官については,本人の希望を踏まえ,積極的に取り組む。
②倒産事件,知的財産権事件,商事事件,家庭事件等の専門的分野へ
の任官についても,本人の希望を踏まえ,積極的に取り組む。
   なお,本人の専門的識見の程度によっては,①の場合よりも短期間であっても採用可能な場合もあり得る。
ウ 「弁護士からの裁判官採用選考要領」6(2)のただし書きについては,4月1日付けの採用を原則とするが,平成19年10月までの間は,事情によっては,例外的に10月1日付けの採用も行うものとする。この場合においては,当面は,当年1月10日までに採用申込みをした者を対象に検討するものとする。なお,その間の弁護士任官及びその受入れ側の状況によっては,この期限を更に延長するか否かについて協議する。
(2)本年8月1日,京都地方裁判所において弁護士任官者を中心とする部を発足させたが,今後とも,弁護士任官者の配置の在り方等を工夫,改善し, O.J.T.の充実を図る。
(3)弁護士任官者に対する研修について,より一層の充実を図る。
(4)日本弁護士連合会から,非常勤裁判官の制度化を検討すべきである旨の考えが示され,これに対し,最高裁判所から,この構想の制度化については,憲法上の問題点等が指摘されているが,常勤の裁判官への任官を促進する機能も期待できるので,民事調停事件及び家事調停事件の分野について,いわゆる非常勤裁判官制度を導入する方向で具体的に検討を開始したい,また,その他の非訟事件についても,導入できる分野がないか研究したい旨の説明がされ,日本弁護士連合会はこれを了承した。
5 判事補が裁判官の身分を離れて弁護士の職務経験を積む制度を実効あらしめるための方策
   最高裁判所と日本弁護士連合会は,判事補が裁判官の身分を離れて弁護士の職務経験を積む制度について,司法制度改革推進本部等の関係機関と協力し,司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとった制度設計がされ,その実施に必要な制度の整備がされるように努力する。
6 協議の継続
   最高裁判所と日本弁護士連合会は,弁護士任官の推進,判事補に弁護士の職務経験を積ませる制度及び恒常的協力体制の整備等について,今後とも継続して協議する。

別紙1 任官推薦基準及び推薦手続

日本弁護士連合会は,全国の各地域の弁護士会連合会又は弁護士会において,「推薦基
準」(以下「1」に記載)に従った「推薦手続」(以下「2」に記載)が行われ,司法制度改革審議会が示したような多様で豊かな知識・経験と人間性を備えた裁判官となりうる資質を有する,多数の候補者が推薦されるよう努めるものとする。
1 推薦基準
(1)形式的基準は以下のとおりとする。
①弁護士経験10年以上の判事任官が望ましいが,当面弁護士経験3年以上の判事補任官も可とする。
②年齢55歳位までの者を基本とする。
③懲戒処分を受けたことがないこと
(2)実質的基準は以下のとおりとする。
①法律家としての能力,識見
a. 事実認定能力,識見
b. 法令の解釈適用上の法技術能力
c. 事件処理に必要な理論上及び実務上の専門的知識能力
d. 幅広い教養に支えられた視野の広さ
e. 人間性に対する洞察力
f. 社会事象に対する理解力
②人物・性格面
g. 廉直さ
h. 公正さ
i. 寛容さ
j. 忍耐力
k. 決断力
l. 慎重さ
m. 注意深さ
n. 独立の気概
o. 精神的勇気
p. 協調性
q. 積極性
r. 柔軟性
s. 基本的人権と正義を尊重する心情
t. 自己管理能力・自己評価能力
u. 思思いやり・親切心
③その他
推薦にあたっては,任官希望者の人種,信条,性別,社会的身分,門地,宗教については,これを考慮しない。
2 推薦手続
(1)所属弁護士会に対する推薦の申込
①他薦の場合は本人の承諾を前提とする。
②自薦,他薦を問わず,推薦者がある場合には,推薦書を添付する。
(2)所属弁護士会又は弁護士会連合会の「弁護士任官適格者選考委員会」による選考
手続
①本人から質問票への回答及び関連資料の提出を受ける。a 質問票は,情報収集のための照会先に関する事柄を含む。b 質問票は,弁護士としての実績や任官基準の適否に関する事柄が理解できる内容のものとする。c 関連資料は,取り扱った主要事件や弁護士会会務に関して作成した書面,論文及び随筆等,質問票への回答書記載の事実が認定できるものを含む。
②上記の回答に基づいて,次のうちの複数の関係者に質問票を送付する。
a. 同一事務所の所属弁護士
b. 同一弁護士会の所属弁護士
c. 司法修習の同期生
d. 事件を共同して担当した弁護士
e. 事件の相手方であった弁護士
f. 事件の審理を担当した検察官
g. 事件の審理を担当した裁判官
h. その他
③弁護士会から以下の事項に関する資料の提出を受ける。
i. 会務,役職等に関する経歴
j. 賞罰,倫理に関する事項
④上記の資料に基づいて,本人に対する面接を行う。
⑤上記の結果に基づいて,推薦の可否を答申する。
(3)所属弁護士会又は弁護士会連合会による推薦
所属弁護士会又は弁護士会連合会は,上記答申を尊重し,推薦の可否を決定する。
(4)最高裁判所への申込方法上記推薦手続に基づく任官希望者は,日本弁護士連合会を経由し,上記推薦手続を行った弁護士会又は弁護士会連合会の推薦書及び資料等を添付して,最高裁判所事務総局人事局に所定の申込書を提出する。
(5)推薦手続を経ない任官申込みの取扱い
任官希望者から最高裁判所に直接申込みがなされた場合,最高裁判所において,上記推薦手続が存在することを教示し,その手続を経る機会を与える。

別紙2 弁護士からの裁判官採用選考要領

1 選考を受けることができる者
   5年以上弁護士の職にあり,裁判官として少なくとも5年程度は勤務しうる者であって,年齢55歳位までの者。なお,当面,3年以上弁護士の職にある者も選考の対象とする。
2 報酬
   法曹としての経験年数を考慮して決定する。
3 任地
   初任地は,本人の希望,家族の状況,受入れ部署の充員状況等を考慮して決定し,その後の任地は,同期の裁判官の例に準ずる。
4 選考の内容
(1)書面及び面接による考査人物及び専門的素養について,書面及び面接による考査を行う。
(2)健康診断裁判官の職務に耐えられるかどうかについて行う。
(3)身上調査選考を受けることができる資格の有無及び申込書記載事項の真否について行う。
5 採用の形態
(1)短期間の任官本人の希望があれば,10年に満たない期間を勤務期間として予定した任官を妨げない。ただし,少なくとも5年程度であることを要する。
(2)専門的分野への任官専門的分野,例えば倒産事件,知的財産権事件,商事事件,家庭事件等の特化した領域の裁判事務を担当する形態での任官希望については,当該分野に関する本人の知識・経験,受入れ部署の実情等を踏まえ検討する。その後の任地,配置についても,同様とする。
6 申込方法
1. (1)申込書類を,最高裁判所事務総局人事局に,日本弁護士連合会を経由し又は直接提出する。
2. (2)申込受付期間随時。ただし,原則として4月1日付けの採用になるので,当面は,前年の7月1日までに申し込むものとする。
3. (3)申込書類
ア 申込書(所定の様式による。)
イ 履歴書
ウ 弁護士登録期間を証する証明書
エ 戸籍謄本
オ 写真
7 その他
   この要領1に該当しない者からの裁判官の採用については,従前のとおりとする。

(以上までが引用です。)

第2 関連記事その他
1 26期の中山隆夫最高裁判所総務局長は,平成14年2月28日の参議院法務委員会において,毎年10人は弁護士任官で裁判官になって欲しいという趣旨の答弁をしています。
2 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士任官者研究会の資料
・ 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
・ 法曹一元
 平成11年11月までの弁護士任官の状況
・ 我が国の裁判官制度に関する,平成12年4月当時の説明
・ 平成13年2月当時の,弁護士任官に対する最高裁判所の考え方
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 修習終了後3年未満の判事補への任官
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿

弁護士任官希望者に関する情報収集の実情

目次
第1 弁護士任官希望者に関する情報収集の実情
第2 関連記事その他

第1 弁護士任官希望者に関する情報収集の実情
○平成15年7月14日開催の下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第3回)議事要旨のうち,弁護士任官希望者に関する情報収集の実情に関する記載(リンク先の2頁ないし13頁)は以下のとおりです。
○■は委員長,○は委員,●は庶務,▲は説明者です。

庶務から,審議資料4に基づき,3の「弁護士からの任官」の部分について説明された。

■:
弁護士任官希望者については,裁判官としての職務を行うのに必要な資質・能力を備えているか否かに関する情報収集が重大な課題になる。事務当局から実情を説明してもらいたい。
▲:
判事の再任の場合は,過去10年間の執務の状況に基づく評価があり,司法修習生から判事補への任官の場合,修習中の成績,教官・指導官からの評価・情報があるが,弁護士任官者の場合は,裁判官としての職務を行うのに必要な資質・能力を備えているか否かに関する資料・情報をまとまった形で入手することが難しい。現在は,裁判官採用選考申込書,日弁連を通じて提出された資料のほか,二回試験等の修習成績や実際の訴訟活動等から窺われる法律実務家としての資質・能力に関する資料等により判断されているが,十分とはいえない。弁護士任官した裁判官の現状について問題がないわけではなく,問題を指摘される弁護士任官者も少なくない。問題点としては,基本的な法律知識・実務知識,決断力,リーダーシップ,積極的な意欲が不足していると指摘されることが多い。弁護士任官者の採用に当たっては,このような問題を生じる可能性のある者をチェックし,排除していくことが不可欠だが,これまでの採用の検討資料では,十分にできなかったと言わざるを得ない。判事補や若手判事クラスであれば,修習当時の成績が有用な情報となるが,もう少しベテランになれば,修習時の成績も出発点の資料として意味はあるが,むしろ,その後の実務経験を通じてどう能力が向上し,法律実務家としての力量を備えたかを判定するのが重要である。そこで,最近の訴訟活動の状況,とりわけ裁判官の目から見たものが重要になるが,現状では,その情報が十分に把握し切れておらず,過去には年収が低く弁護士活動が十分に行われておらず,経済的な安定が任官動機ではないかと疑われる事例もあった。今後,この委員会で的確な審査をしていただくためには,弁護士任官希望者自身から最近の訴訟活動について担当した事件を網羅的に記載したリストを出してもらったり,客観的に年収を示す資料を提出してもらう等の工夫をしていくことが必要ではないかと考えている。
■:
弁護士任官の際に,指名適否に必要な資料をどのように集めるのか御意見を伺いたい。
○:
議論の前提として,日弁連や各地の弁護士会がどのような選考をしているのかを説明したい。平成13年12月に日弁連と最高裁が弁護士任官についての合意をする前は,申込書に資料を付けず,日弁連も審査をせずに経由するだけで申し込んでいた。
現在は,よい人を選ぶ,できるだけ資料をつけて最高裁が判断しやすくするという観点から,近畿弁護士会連合会から始まって,8つのブロックの連合会全てが,弁護士任官適格者選考委員会を運営するようになった。例えば,近畿弁護士会連合会の委員会は,24名のうち8名は市民委員で構成されている。まず,自薦又は他薦があると,小委員会が面接及び資料のチェックを行った後,全体の委員会で決めることになる。したがって,面接は通常2回行うことになる。「裁判官応募者のための調査質問票(自己評価票)」の質問事項を見ると,弁護士業務の特徴,得意分野,自己評価,論文等があればその内容等,かなり詳細な事項を記載するようになっている。収入も書かせている例もある。「裁判官応募者推薦のための評価調査票(第三者評価票)」は,第三者が記載する秘密の調査票である。適切な方を選んで,弁護士の能力等を記載してもらっている。資料としては,申込書,推薦書2通,自己評価票,第三者評価票,準備書面,関係した判決,掲載された論文等がある。3,4か月かけて選考されている。これで万全とは言えないが,従前に比べると充実してきている。弁護士任官者に対し,否定的な評価があることは否定しないが,どのような裁判官像を求めるかによって,評価が変わってくると思う。判決を書く力や法律実務知識はキャリア裁判官に追いつけないかもしれないが,法律実務家として培ったものをどう評価の対象としていくのか,弁護士任官の良さというものを併せて議論していく中で,弁護士任官の審査のスタンスを決めていただきたい。
▲:
確かに,最近は,御説明いただいたような資料が弁護士会から出ているが,それでも能力を判断するのは難しい。自己評価票を見ても,廉直さ,公正さといった項目ごとに,aとかbに丸をつけておられるが,そう評価する根拠は何も書かれていないので,客観的にその評価が正しいのか判定するよすががない。他の弁護士による評価でも,法曹としての能力,弁護士としての評判,裁判官としての適性という項目ごとにaとかbに丸が付けられているが,それがどのような根拠で判定されたのか何も書かれていないことが多いので,よくわからない。裁判官としてやっていける能力の持ち主なのかどうかの判断は,更に資料が充実しないとできない。
○:
弁護士任官した場合のサポート体制はどうなっているのか。
▲:
まず,弁護士任官者がスムーズに裁判官としての仕事に入っていけるよう,それぞれの個性に応じ,最初からいきなり単独裁判を担当してもらうのではなく,地裁の保全事件を担当してもらったり,高裁の陪席裁判官をしてもらったり,配置についてできるだけの配慮をしている。現在は特定分野に限っての任官も受け入れているので,例えば,本人が家事事件を希望する場合には,家裁に配置するなどの配慮もしている。また,弁護士任官者が2名いる部を作るという試みもしている。さらに,弁護士任官者を集めて司法研修所で一定期間の研修も行っている。
○:
「裁判官応募者推薦のための評価調査票(第三者評価票)」は,検察官からも個人的に意見を聴くのか。
○:
そのとおりであり,組織的なものではまったくない。
○:
日弁連が申込書に添付した資料も,当委員会に提出されるのか。
●:
最終的には当委員会に提出されることになるものと思われる。
■:
現在の議論は,地域委員会が弁護士任官者にどのような資料をどう出してもらうかという議論である。審議資料4の3(2)の地域委員会における情報収集のところには,裁判所に対しても指名候補者の名簿を提供し,裁判官が有する情報を提出してもらったらどうかと記載されているが,この点についてはどうか。
○:
弁護士任官適格者選考委員会は,地域委員会に対応する8ブロックの弁護士会連合会に設置されているので,念のため付加しておく。
○:
検察官からも情報収集しているのか。
●:
弁護士任官したい人,あるいは推薦した人から,情報を収集してほしい同僚弁護士,相手方弁護士,裁判官,検察官の名前を挙げてくるので,「裁判官応募者推薦のための評価調査票(第三者評価票)」を出すことになると聞いている。
○:
弁護士任官の場合には,法廷や和解の席などで情報を得ることになるが,東京の場合など,数が多いとなかなか把握しにくい。少なくとも過去3年間に,どんな事件に関与したかという一覧表は出してもらいたい。それをもとにして,どういう訴訟活動を行ってきたかを調査すればよい。弁護士会からの情報だけでなく,もう少し客観的な情報も得たいので,そういう面で地域委員会が果たすべき役割は大きい。
○:
当委員会や地域委員会では,できるだけ多くの情報を得て,実質的な審査を行うべきである。そういう意味で,弁護士任官の場合に,3年間の事件リストを出すのは相当である。弁護士任官の場合に事件リストを提出させるのと同様に,裁判官の再任等の場合にも,裁判官が担当した事件リストも提示してもらいたい。
○:
再任の場合と弁護士任官の場合とは違う。弁護士任官の場合はゼロからのスタートであるが,再任の場合には10年間の実績があり,それを踏まえて何が問題かを審査することになる。ただ,事件だけを見ても把握できないことがある。もう少し何か資料を検討した方がよいのではないか。例えば,弁護士事務所に勤務していた場合ならば,その事務所のトップの弁護士や同僚の弁護士からの推薦状なども1つの資料である。また,収入も有力な資料となろう。
○:
収入と実力とが相関関係にあるかと言えば,必ずしもそうとは限らない。社会的に重要な事件があり,持ち出しをして事件に集中している弁護士の収入が高いはずはない。また,弁護士会の委員会活動をしている者も同様である。弁護士として収入が少ないから裁判官になるというのは問題だと思うが,それを防止するために,収入にこだわりすぎるのは間違っている。
○:
収入が多いからよいとまでは思っていない。今問題なのは,何も活動していない,収入のない人をどう評価するかである。
○:
3年間程度の事件リストを出してもらって裁判所から評価することはよいと思う。弁護士の場合,そこから潜在的な質を評価することができる。収入と評価とが,直接,表裏一体になっているわけではなく,収入が低くても立派な仕事をしている弁護士は多い。そういう人にまで,おしなべて収入報告書を提出させれば,弁護士の裁判官任官への意欲を失わせ,疎外感を感じさせてしまう。むしろ,裁判所等から得られる情報に基づいて,必要がある場合に限って,面接するなり,収入を報告させるようにするべきである。
○:
手弁当で立派な仕事をしている人もいる。必要に応じて年収を出させるのが妥当である。
○:
これまで弁護士から任官された例で,望ましくない人がどれくらい裁判官に任官したのかを把握しているか。
▲:
昭和63年から直近までで判事として51名,判事補として10名の合計61名が任官した。そのうち望ましくない例を具体的な数でいうのは難しい。
○:
弁護士会から推薦があった任官希望者は全員採用されたのか。
▲:
そうではない。不採用になった例もあるし,面接をした結果,その状況などから本人が希望を取り下げた例もある。
○:
それにもかかわらず,問題のある事例があるのか。
▲:
推薦という制度が採用されたのは,ごく最近のことであり,この制度の下で採用された者についての分析はまだできていない。問題があるというのは,昭和63年からの過去の弁護士任官者を全体として見た場合の状況である。
○:
弁護士任官の良さや,弁護士任官者に求められる裁判官像について,お伺いしたい。
○:
弁護士任官に求められる裁判官像としては,上から下を見下ろさないとか,思いやりがあるとか,人間味があふれる裁判官であろう。また,和解がうまいとか,当事者を納得させることができるという長所もある。判決を書く能力が劣っていても,生の社会経験を通じて,裁判官になっていただくことで,弁護士任官の制度が意味のあるものとなり,これまでもそういう人たちを送り出していると思っている。
▲:
我々も弁護士任官を推進したいと考えている。判事補から判事になる者だけというのでは,どうしても均質化しすぎるので,もう少し,多様性を持った方々が裁判官になるのがよい。弁護士が裁判官になることによって,それぞれのバックグラウンドを活かして,いろいろな場面で活躍していただけると思う。ただ,裁判官になった以上,最低限,事件をきちんと処理していただかなくては,当事者に迷惑がかかり,国民にも納得されないであろう。
○:
弁護士任官で,大変能力が高い人もいる。弁護士としての経験を活かして,事件の表には出てこないことを加味して判断することができることもある。ただ,弁護士からの任官者は和解が上手というが,そうとは限らない。和解は,最終的な判断をきちんと決めた上で行わなければならないが,一方当事者の話にのめり込んでしまうという面,ある種の長所というか欠点があるようである。また,判決文がなかなかうまく書けるようにならないとか,判断ができないという面もある。また,通常,裁判官は当事者の供述だけでは簡単に事実認定をしないが,当事者の言葉を信じて間違った認定をしてしまうという面もある。
■:
地域委員会に対して,どういう資料を収集していただくかという面と,我々が当委員会で判断する場合に,地域委員会で収集された資料に基づいてどう判断するかという面がある。
○:
収入についても資料として収集するかどうかを決めた方がよい。私としては,収入が少ない場合や,多い場合に,その理由を説明してもらえれば,説得力のある資料であり,無駄な資料でもないし,圧力にもならないので,必要と考える。
○:
反対である。多くても少なくても説明を求めることは本末転倒であり,何よりも弁護士任官者の意欲をなくしてしまう。3年間の事件リストさえあれば,その力量を判断することができる。一律に収入を明らかにすることは反対である。
○:
私も重ねて反対である。収入というものは,その人にとってはプライバシーの問題でもあり,最初から裸になれというのはいかがなものか。疑問のある人だけでよい。いずれにしても,収入で直接,人の質を量ることに抵抗がある。
○:
事件リストをきちんと出してもらえば,それで大体把握できる。法廷活動が非常に重要である。確定申告書は抵抗が大きいかもしれないが,必要な場合には提出してもらうことが考えられる。
■:
地域委員会は,弁護士任官の場合には,裁判所に対しても問い合わせをすることになるので,過去3年分の事件リストを出してもらう。地域委員会では,集まった情報を整理してとりまとめをすることになるが,その責任で,追加資料として,収入に関する資料が必要と判断した場合には,提出させることとしてはどうか。弁護士任官希望者全員に収入に関する資料を提出させるのは,プライバシーの問題もあり適切ではないのではないか。
○:
検察官は転勤が多いので,必要な場合には他の地域委員会からも情報が得られるようにしてもらいたい。
■:
前回,裁判官の再任の際にも議論されたことであるが,地域委員会での情報収集をどこまで広げるかという問題であろう。
○:
弁護士からの任官の場合,担当した事件のリストを渡されて,それで意見を求められたとしても,特殊な悪い情報は集まるであろうが,その人の裁判官としての適格性に関する情報はなかなか集まらないのではないかという懸念がある。例えば,事件に関与した裁判官や検察官,相手方の弁護士などに対し,フォーマットを決めて,その人の裁判官としての適格性に関するアンケートを実施したりすることはできないか。
○:
悪い情報ばかり集まるということはないと思う。この人は事案に即したいい準備書面を書いているとか,和解交渉の際に誠実に対応していたなどの良い情報は集まるであろう。そういった特徴のない,普通の人については何も情報がないかもしれないが,そういう人は不適とするような人ではないと思う。
○:
審査をする際に,不適格な人を排除するのか,それとも裁判官として適格かどうかを審査するのかの考え方にもよると思うが,先ほど述べたように,事件に関与した者に意見を聞くことはできないのか。
●:
小さな庁ならともかく,例えば,東京では,この人についてということで聞かれても,事件と結びつかないため,答えることは難しいと思う。事件リストがあれば,「ああこの事件か。」ということになり,その記録の中から準備書面を見るなどして,その人の資質・能力を判断できるが,アンケートということになれば,印象点のようなものになりがちで,その基礎にどのような事実関係があるかということが分からないので,指名の適否の判断の資料とし得ないのではないかと思う。
○:
「この事件に関与した方として御意見をお聞かせください。」という方式であれば可能か。
●:
具体的にこれこれの事実に基づいてというように情報の的確性を吟味することができるようなものが書かれるのであれば,可能だと思う。
○:
「この事件に関与したこの人が裁判官になりたいということである。」ということでアンケートを実施することはできないか。
○:
数人の弁護士が関与している場合には,そこで議論し,検討した上で裁判所に書面を出しているという実情もあるようなので,個人の資質に着目してアンケートを実施するというのは困難ではないか。
○:
弁護士会は,従来の弁護士任官適格者選考委員会をまず行い,それに通過した者を弁護士任官希望者として最高裁に提出するというシステムを従来どおり維持するのか。
○:
そうである。
○:
そうなると,地域委員会が情報収集する際には,個々の弁護士には意見を聞くけれども,弁護士会には意見を聞かないということになると思われるが,従来のシステムを変えることは考えていないのか。
○:
地域委員会が動き出したときの状況を見て,手直しが必要かもしれないとは思っている。
○:
弁護士会の任官適格者選考委員会にかかるのはいやだが,裁判官には任官したいというような人もいるかもしれない。円滑に任官を推進するようなシステムを考えることが望ましいと思う。
○:
任官希望者が非常にたくさんいて,各ブロックの連合会がそれを絞るというのであれば問題はないと思うが,そもそもの希望者が少ない状況で,選考委員会も行い,地域委員会の審査も行うということでは大変なのではないかと思う。
■:
平成16年4月に任官予定の弁護士任官希望者について動き出しているようである。
その実情を受けて,地域委員会に何を求めるべきか検討することが相当と思われるので,庶務からそのあたりの実情を説明してもらいたい。


第2 関連記事その他
1 「メリットセレクションの視点からみた下級裁判所裁判官指名諮問委員会」(筆者は弘前大学人文学部准教授の飯孝行)には以下の記載があります(自由と正義2009年10月号17頁)。
(山中注:下級裁判所裁判官指名諮問委員会の)審議の基本資料は、新任(司法修習生からの判事補任官)の場合は司法研修所の2回試験の成績、裁判教官の意見書と採用面接結果の要約、裁判官再任(判事補の判事任官と判事の再任)の場合は各年の人事評価(所属庁の所長・長官による)の10年分の要約報告書、弁護士任官の場合は司法修習中の成績(弁護士経験10年未満の場合)、過去3年間の事件担当裁判官を含む関係者からの情報、候補者に対する最高裁判所事務総局の局長面接結果報告書で、裁判所の内部情報が主体である。重点審議者も、裁判所内部資料で絞られた後に、弁護士などから寄せられる外部情報に応じて追加される。
2 東弁リブラ2025年6月号「第1回 民事調停官・裁判官を経験して」には以下の記載があります。
    弁護士任官の手続は、応募してから任官するまで、約 1 年間かかります。
    応募書と関連書類を単位会に提出し、弁護士会による審査を経て推薦を可とされると、最高裁判所に任官の申込書を提出します。
    裁判所では、下級裁判所裁判官指名諮問委員会の地域委員会が申込者について情報収集を行った上で、最高裁判所事務総局の全局長による面接を受け、その結果を総合して下級裁判所裁判官指名諮問委員会での審査及び最高裁判所裁判官会議を経て、採否が決められます。
3 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士任官者研究会の資料
・ 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
・ 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
・ 法曹一元
・ 特例判事補
・ 職務代行裁判官

弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況

目次
1 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
→ 平成16年4月以降の分をすべて載せています。
2 下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申における適当・不適当の推移
3 弁護士任官者数の推移
4 弁護士任官推進への影響
5 関連記事その他

1 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
* 開示文書のファイル名は「令和3年4月期の弁護士任官希望者に対する面接及び健康診断の連絡」といったものです。

◯令和7年10月任官
・ 指名候補者1人につき,指名することは適当でないとされました(令和7年7月11日の第121回議事要旨3頁)。
◯令和7年4月任官
・ 令和6年9月5日付の文書によれば,令和6年11月8日に6人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者6人のうち,3人について指名することが適当とされました(令和6年12月6日の第117回議事要旨4頁)。
→ 51期の岡田さなゑ弁護士(大弁),59期の石堂一仁弁護士(大弁)及び64期の加藤正佳弁護士(札幌弁)でした。

◯令和6年4月任官
・ 令和5年8月30日付の文書によれば,令和5年11月13日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者3人のうち,1人について指名することが適当とされました(令和5年12月4日の第112回議事要旨4頁)。
→ 70期の新井宏基弁護士(東弁)でした。

◯令和5年10月任官
・ 指名候補者4人のうち,3人について指名することが適当とされました(令和5年7月7日の第110回議事要旨3頁)。
→ 59期の内海雄介弁護士(東弁)及び63期の石本恵弁護士(福岡県弁)でした。
◯令和5年4月任官
・ 令和4年9月30日付の文書によれば,令和4年11月7日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者3人のうち,1人について指名することが適当とされました(令和4年12月2日の第106回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 49期の丸山水穂弁護士(仙台弁)でした。

(令和4年4月及び同年10月任官はなし。)

◯令和3年4月任官
・ 令和3年3月31日付の開示文書によれば,令和2年11月9日に2人,同月10日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者5人のうち,2人について指名することが適当とされました(令和2年12月4日の第96回議事要旨3頁)。
→ 50期の柴田義人弁護士(二弁),55期の元芳哲郎弁護士(二弁)及び58期の西村甲児弁護士(奈良弁)でした。
なお,弁護士任官等推進センターニュース 弁護士任官・弁護士職務経験(2022年1月)第9号(日弁連委員会ニュース2022年1月号16頁)には以下の記載があります。
 2021年に常勤裁判官に採用された弁護士任官者は、4月期の応募者5名に対して2名(第二東京55期、奈良58期)及び2020年の留保者1名(第二東京50期)の合計3名でした。

◯令和2年10月任官
・ 指名候補者2人のうち,2人について指名することが適当とされました(令和2年7月3日の第94回議事要旨3頁)。
→ 1人は48期の真田尚美弁護士(大阪弁)であり、もう1人は同年4月期任官の留保者であり,令和3年4月に任官した50期の柴田義人弁護士(二弁)であると思います。
◯令和2年4月任官
・ 令和2年2月4日付の開示文書によれば,令和元年11月8日に3人,同月11日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者6人のうち,3人については指名することが適当とされ,2人については指名することが適当でないとされ,1人については今回は指名の適否について意見を述べることは留保されました令和元年12月6日開催の第91回委員会議事要旨2頁及び3頁)。
→ 55期の糸井淳一弁護士(神奈川県弁)63期の河野申二郎弁護士(東弁)及び63期の豊平(塩谷)真理絵弁護士(埼玉弁)です。
・   保留とされた1人については採用願いを撤回しました(令和2年2月21日第93回議事要旨2頁)。

◯令和元年10月任官(任官者なし。)
・ 指名候補者3人のうち,2人については指名することが適当でないとされ,1人については追加の情報収集を行った上で更に審議する必要があるため,指名の適否について意見を述べることは留保されました(令和元年7月5日開催の第89回委員会議事要旨3頁)。
・ 結果として,令和元年10月に弁護士任官した人はいませんでした。
◯平成31年4月任官
・ 平成30年12月10日付の開示文書によれば,平成30年11月12日に3人の健康診断があったみたいです。
・ 1人が任官希望を取り下げたため,指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成30年12月7日開催の第86回委員会議事要旨2頁及び3頁)。
→ 54期の廣瀬一平弁護士(大阪弁)です。

◯平成30年10月任官
・ 指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成30年7月6日の第84回議事要旨3頁)。
→ 新61期の木上(相井)寛子弁護士(熊本弁)です。
◯平成30年4月任官
・ 平成29年12月11日付の開示文書によれば,平成29年11月11日に2人の健康診断があったみたいです。
・ 指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成29年12月1日の第81回議事要旨3頁)。
→ 44期の大場めぐみ弁護士(大弁)です。

◯平成29年4月期任官
・ 指名候補者6人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成28年12月2日の第76回議事要旨3頁)。
→ 58期の矢向孝子弁護士(二弁)及び新63期の今城智徳弁護士(大弁)です。
・ 平成29年6月12日付の開示文書によれば,平成28年11月11日に4人の健康診断及び面接があり,同月14日に2人の健康診断及び面接があったみたいです。

◯平成28年4月期任官
・ 指名候補者8人のうち,3人についてだけ指名することが適当とされ(平成27年12月4日の第71回議事要旨3頁),平成27年12月16日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 50期の安部朋美弁護士(兵庫弁),50期の金久保茂弁護士(東弁)及び58期の杉森洋平弁護士(東弁)です。

◯平成27年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされ(平成26年12月5日の第65回議事要旨3頁),平成26年12月10日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 57期の大塚博喜弁護士(東弁)です。

◯平成26年10月期任官
・ 指名候補者2人のうち,2人について指名することが適当とされ(平成26年6月27日の第63回議事要旨3頁),平成26年7月2日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 42期の岸本寛成弁護士(大弁)及び55期の南部潤一郎弁護士(旭川弁)です。
・ 法テラスHPに「Article25 裁判官になったスタッフ弁護士 東京高等裁判所判事 南部潤一郎」が載っています。
◯平成26年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされ(平成25年12月9日の第60回議事要旨3頁),平成25年12月11日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 59期の石上興一弁護士(愛知弁)及び61期の津田裕弁護士(兵庫弁)です。

◯平成25年10月期任官
・ 指名候補者6人のうち,3人についてだけ指名することが適当とされ(平成25年7月8日の第58回議事要旨3頁),平成25年7月10日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 45期の山田健男弁護士(二弁),51期の山本健一弁護士(二弁)及び53期の黒澤圭子弁護士(東弁)です。
◯平成25年4月期任官
・ 指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされ(平成24年12月10日の第55回議事要旨3頁),平成24年12月12日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 54期の山田兼司弁護士(一弁)です。

◯平成24年4月期任官
・ 指名候補者7人のうち,5人についてだけ指名することが適当とされました(平成23年12月2日第50回議事要旨3頁)。
→ 48期の榎本康浩弁護士(岡山弁),49期の中尾隆宏弁護士(東弁),51期の清野英之弁護士(東弁),54期の木山智之弁護士(大弁)及び59期の山根良実弁護士(福岡弁)です。
* 平成24年10月17日に再び裁判官となった57期の岡部絵理子裁判官は弁護士任官者ではないです。

◯平成23年4月期任官
・ 指名候補者8人のうち,5人についてだけ指名することが適当とされました(平成22年12月3日第45回議事要旨4頁)。
→ 36期の泉薫弁護士(大弁),44期の遠藤曜子弁護士(二弁),54期の大畑道広弁護士(大弁),54期の吉田祈代弁護士(東弁)及び56期の長丈博弁護士(熊本弁)です。

◯平成22年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成21年12月1日第40回議事要旨3頁)。
→ 57期の塩原学弁護士(東弁)です。

◯平成21年4月期任官
・ 指名候補者8人のうち,6人についてだけ指名することが適当とされました(平成20年12月5日第35回議事要旨3頁)。
→ 43期の菅野正二朗弁護士(一弁),46期の野上(小滝)あや弁護士(大弁),47期の渡辺力弁護士(栃木弁),48期の片岡早苗弁護士(二弁),51期の下嶋崇弁護士(千葉弁)及び56期の圓道至剛弁護士(一弁)です。
・   1人だけ保留とされましたが,その後,指名することが不適当とされました(平成20年12月19日第36回議事要旨2頁)。

◯平成20年10月期任官
・ 指名候補者3人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成20年6月27日第33回議事要旨2頁)。
→ 34期の上田日出子弁護士(兵庫弁)及び39期の大沼和子弁護士(東弁)です。
◯平成20年4月期任官
・ 指名候補者5人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成19年12月7日第30回議事要旨3頁)。
→ 48期の本多哲哉弁護士(東弁)及び51期の佐々木愛彦弁護士(広島弁)です。
   ただし,本多哲哉弁護士は平成20年6月1日任官です。

◯平成19年10月期任官
・ 指名候補者7人のうち,4人についてだけ指名することが適当とされました(平成19年6月29日第28回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 39期の片山昭人弁護士(二弁),39期の本多久美子弁護士(奈良弁),42期の藤岡淳弁護士(二弁)及び45期の塚原聡弁護士(東弁)です。
   ただし,42期の藤岡淳弁護士は平成20年1月16日任官です。
◯平成19年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成18年12月8日第25回議事要旨4頁)。
→ 41期の河野匡志弁護士(東弁)及び42期の小倉真樹弁護士(奈良弁)です。

◯平成18年10月期任官
・ 指名候補者3人のうち,1人について指名することが適当とされ,1人について9月6日の次回の指名諮問委員会において面接を行った上で指名の適否の判断を行うこととされました(平成18年7月7日第22回議事要旨3頁)。
→ 40期の浅井隆彦弁護士(大弁)(平成18年10月1日任官)です。
→ 保留とされた1人については,その後,任官希望を取り下げました(平成18年9月6日第23回議事要旨2頁)。
◯平成18年4月期任官
・ 指名候補者6人のうち,4人についてだけ指名することが適当とされ,1人について保留とされました(平成17年12月9日第19回議事要旨4頁)。
→ 31期の山崎恵弁護士(東弁),32期の江守英雄弁護士(東弁),47期の寺澤(水岸)真由美弁護士(福岡弁)及び51期の前原栄智弁護士(愛知弁)です。
   ただし,47期の寺澤真由美弁護士は平成18年6月1日任官であり,51期の前原栄智弁護士は平成18年9月1日任官です。
→ 保留とされた1人については,その後,任官希望を取り下げました(平成18年2月6日第20回議事要旨2頁)。

◯平成17年10月期任官
・ 指名候補者4人のうち,3人についてだけ指名することが適当とされました(平成17年6月10日第16回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 28期の熊谷光喜弁護士(兵庫弁),32期の藤本博史弁護士(一弁)及び42期の嶋末和秀弁護士(一弁)です。
◯平成17年4月期任官
・ 指名候補者1人について指名することが適当とされました(平成16年12月3日第13回議事要旨3頁及び4頁)。
→ 49期の青木裕史弁護士(東弁)です。

◯平成16年10月期任官
・ 指名候補者1人について指名することが適当とされました(平成16年6月18日第9回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 50期の土井文美弁護士(兵庫弁)です。
◯平成16年4月期任官
・ 指名候補者11人のうち,7人についてだけ指名することが適当とされました(平成15年12月2日第6回議事要旨3頁及び4頁)。
→ 29期の渡邉康弁護士(二弁),31期の間部泰弁護士(横浜弁),33期の鯉沼聡弁護士(東弁),38期の藤田光代弁護士(熊本弁),39期の田口紀子弁護士(二弁),44期の山口格之弁護士及び49期の尾﨑康弁護士(埼玉弁)です。
    ただし,44期の山口格之弁護士は平成16年7月1日任官です。


2 下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申における適当・不適当の推移
(1) 弁護士任官をした年度を基準とした場合、平成16年度以降の推移は以下のとおりです。
令和 7年度:適当3人,不適当4人
令和 6年度:適当1人,不適当2人
令和 5年度:適当4人、不適当3人
令和 4年度:(答申なし。)
令和 3年度:適当2人,不適当3人
令和 2年度:適当5人,不適当2人,留保1人
令和 元年度:適当1人,不適当3人,留保1人,取下げ1人
平成30年度:適当2人,不適当2人
平成29年度:適当2人,不適当4人
平成28年度:適当3人,不適当5人
平成27年度:適当1人,不適当2人
平成26年度:適当4人,不適当1人
平成25年度:適当4人,不適当4人
平成24年度:適当5人,不適当2人
平成23年度:適当5人,不適当3人
平成22年度:適当1人,不適当2人
平成21年度:適当6人,不適当2人
平成20年度:適当4人,不適当4人
平成19年度:適当6人,不適当4人
平成18年度:適当5人,不適当2人,留保2人
平成17年度:適当4人,不適当1人
平成16年度:適当8人,不適当4人
(2)ア 平成16年4月任官から令和5年10月任官までの指名候補者は130人,「適当」の合計は72人,「不適当」の合計は53人,「留保」の合計は4人,「取下げ」は1人でしたから,「適当」の割合は55%です。
    ただし,「留保」とされた4人のうちの1人は翌年に任官しましたから,令和3年度の任官者は3人になっています。
イ 令和5年度につき,「適当」とされた人は4人ですが,同年度の任官者は3人でした。

3 弁護士任官者数の推移
(1) 平成16年度以降の弁護士任官者数の推移は以下のとおりであり,令和7年度時点で合計75人です。
(令和時代15人)
令和 元年度:1人,令和 2年度:4人,令和 3年度:3人
令和 4年度:0人,令和 5年度:3人,令和 6年度:1人
令和 7年度:3人,
(平成時代60人)
平成16年度:8人,平成17年度:4人,平成18年度:5人
平成19年度:6人,平成20年度:4人,平成21年度:6人
平成22年度:1人,平成23年度:5人,平成24年度:5人
平成25年度:4人,平成26年度:4人,平成27年度:1人
平成28年度:3人,平成29年度:2人,平成30年度:2人
(2) 平成24年度の弁護士任官者数につき,日弁連の基礎的な統計情報(2017年)「5 弁護士任官等の実績状況」以前は6人でしたが,日弁連の基礎的な統計情報(2018年)「5 弁護士任官等の実績状況」以降は5人となっています(57期の岡部絵理子裁判官が除外されたと思います。)。


4 弁護士任官推進への影響
(1) 「座談会 下級裁判所裁判官指名諮問委員会発足後の三年間を振り返って」には,「弁護士任官推進への影響」として以下の発言があります(発言者は日弁連弁護士任官等推進センター・事務局長。自由と正義2006年10月号89頁)。
    はっきり言って、指名諮問委員会ができてから、任官推進の萎縮効果を歴然と感じます。最初の年に一一人中四名が不適格で非常にショックでした。その後も不適格者が出たり、事実上取り下げた方もいらっしゃいます。そういう数を考えますと、相当な萎縮効果が出ています。制度に対しては評価すべき点もありますが、任官推進の立場からは、検討してもらいたい点がいくつかあります。先ほど、弁護士任官者の資料が少ないと。それは再任との比較だと思いますが、彼らは一〇年間の蓄積があり、たくさんの資料があるでしょうけれども、弁護士は「任官します」と手を挙げてから一年がかりで一生懸命集めるわけです。そのへんの資料の多寡についてもご理解いただきたい。弁連の推薦委員会にも市民委員が入って、法曹と一緒になって適否を判断して、この人なら推薦できるということで挙げているのに、同じような構成をとっているこの委員会で同じ人が不適格になる。この差がどこで出てくるのかは、やはり検討しなければいけないだろうと思います。
    今、私たちが一番課題だと思っているのは、こちら側で用意した資料は分かっています。しかし、裁判所側が集めた資料は分からない。中央の委員会で、われわれの知らない証拠も一緒に判断されて、それが重要な証拠となって逆の判断になると十分推認される事例がいくつかあります。そういうときに、当該候補者も、一体どのような資料が出たのか知らず、その資料に対する弁明の機会もなければ、反対尋問も経ていない。それで一方的に判断されて最後のところでひっくり返されるのは非常に問題だと思いますし、手続としてもルール違反だろうと思っています。ですから、弁護士任官者は面接をしてほしいわけです。
    今のところ非常勤裁判官から不適とされた人はいません。この人たちは、裁判所がたくさんの情報を集めるチャンスのある方たちです。ですから、そのへんで非常に評価が高いのだろうと思います。裁判所の集めた資料がかなり優越して、弁護士会が集めた外部情報は証拠価値が少上低いのかなとも感じます。弁護士からの資料については、弁護士会内部でも、色々な失敗を重ねながら、ずいぶん工夫を重ねてきて、色々な点で変更しております。しかし、まだ少し違和感が残っているところが今の課題だろう。そのためには、指名諮問委員会、弁護士会の任官推進側双方が考えていることを相互理解する機会は、ぜひあったほうがいいと私は思っております。
 (2) 「座談会:下級裁判所裁判官指名諮問委員会の6年間」には以下の発言があります(自由と正義2009年10月号)。
・ 32頁の記載
    弁誰士任官について考えてみますと、弁護士任官で各ブロックが推薦した人は推薦委員会の推薦を得ている。推薦委員会には市民の代表といわれるような人がおられて、そのような人たちも参加した推薦委員会で推薦した人たちが40%不適にされている。これはどちらを信じていいのだろうという戸惑いがあります。
    それから、委員会で面接が行われていないことが採用を不適とされた人たちにとって少し納得できないのではないか。ぜひ面接の問題は考えて頂きたいと思います。
    もう一つは、システムとしての透明性はあるかもしれませんが、弁護士任官志望者にとっては透明とはいえないのではないか。というのは、不適だといわれた場合に、どうしてだめなのですかと理由の開示を求める.そのときに通りいつぺんの答えで、理由の開示が不十分だとの印象をもっています。
・ 33頁及び34頁の記載
    再任の拒否率と弁護士任官の拒否率を比べると、後者がうんと高い。さらに深刻なのは、再任されなかった人の中で弁護士任官者の比率が非常に高いことを考えておかなければなりません。
    ただ、私は裁判所が「実務処理能力」に斜傾しすぎているように思う。確かに「実務処理能力」は極めて重要だと思うが、もう少し人間味・人柄も重視してもらいたいと思う。それは訴訟への納得の点だけでなく、事実認定にもかかわる。また、同質集団を形成しすぎて、同じようなタイプの人ばかり選んでいるようにも思う。少し型破りであっても、裁判所に新しい風を吹き込む強い個性をもった人を、裁判所にとってリスクがあるかもしれないが、思い切って採用してほしい。


5 関連記事その他
(1) 下級裁判所裁判官指名諮問委員会は,下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則(平成15年5月1日施行)により設置される委員会です。
(2)ア 平成29年4月任官以降については,最高裁判所裁判官会議議事録記載の採用内定者が開示されなくなりました(最高裁判所裁判官会議の議事録参照)。
イ 日弁連HPの「司法シンポジウム」「第19回司法シンポジウム報告(2002年11月15日・弁護士会館クレオ)」が載っていますところ,そこには「弁護士任官というのは弁護士・弁護士会にとって非常に重い課題であるが、1年2か月ほどの準備期間に50名の任官者を確保するという高い目標を自らに課し、地道な活動をおこなってきた結果、目標には及ばなかったものの32名を送り出す準備が整ったと書いてあります。
(3)ア 弁護士白書2017年版に含まれる「5 弁護士任官等の実績状況」によれば,2012年の弁護士任官者数は6人(うち,関東弁護士会連合会は3人)となっているものの,弁護士白書2018年版に含まれる「5 弁護士任官等の実績状況」によれば,2012年の弁護士任官者数は5人(うち,関東弁護士会連合会は2人)ととなっています。
イ 平成23年6月30日に依願退官して弁護士登録をした後,平成24年10月17日に広島地家裁判事補に任命された57期の岡部絵理子裁判官を,弁護士任官者から除外したためと思います。
(4)ア 東弁リブラ2017年11月号の「弁護士任官制度~あなたも裁判官に~」が載っています。
イ 弁護士任官等推進センターニュース 弁護士任官・弁護士職務経験(2022年1月)第9号(日弁連委員会ニュース2022年1月号16頁)には以下の記載があります。
 2021年に常勤裁判官に採用された弁護士任官者は、4月期の応募者5名に対して2名(第二東京55期、奈良58期)及び2020年の留保者1名(第二東京50期)の合計3名でした。
(5) 日本弁護士国民年金基金に加入している弁護士が弁護士任官した場合,同基金の加入員資格を喪失しますから,同基金に対し,「国民年金基金 氏名・住所・変更届 資格喪失届」を提出する必要があります。
(6)ア 26期の中山隆夫最高裁判所総務局長は,平成14年2月28日の参議院法務委員会において,毎年10人は弁護士任官で裁判官になって欲しいという趣旨の答弁をしています。
イ 日弁連委員会ニュース2023年2月号8頁の「2022年弁護士任官等の状況」には以下の記載があります。
    2022年に常勤裁判官に採用された弁護士はいませんでした。現行制度が開始された2004年以降、弁護士任官者が一人も出なかった年はありません。2022年の採用分については応募者すら出てこなかったのですから、いまや弁護士任官離れと形容せざるを得ません。
(7) 以下の記事も参照してください。
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 判事補採用願等の書類,並びに採用面接及び採用内定通知の日程
・ 新任判事補研修の資料
 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
・ 弁護士任官者研究会の資料
 弁護士任官希望者に関する情報収集の実情
 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
 法曹一元
・ 修習終了後3年未満の判事補への任官
・ 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧

 

弁護士登録番号と修習期の対応関係

目次
1 弁護士登録番号と修習期の対応関係
2 57期以降の,弁護士の一斉登録日
3 日弁連による弁護士登録番号の付番
4 再登録請求をした場合における弁護士登録番号
5 司法修習の終了者名簿
6 弁護士名簿の登録及び登録取消の情報
7 弁護士検索
8 官報
9 関連記事その他
   
1 弁護士登録番号と修習期の対応関係
(1) 弁護士登録番号と修習期の対応関係は以下のとおりです。
77期 65652~
76期 64288~
75期 62970~
74期 61635~
73期 60110~
72期 58641~
71期 57151~
70期 55618~
69期 53898~
68期 52212~
67期 50339~
66期 48314~
65期 46237~
64期 44085~(新64期は44264~)
63期 41985~(新63期は42206~)
62期 39704~(新62期は40052~)
61期 37429~(新61期は38015~)
60期 35165~(新60期は36445~)
59期 33724~
58期 32581~
57期 31381~
56期 30348~
55期 29408~
54期 28497~
53期 27748~
52期 27091~
51期 26427~
50期 25761~
(2) 59期弁護士である私の登録番号は33861です。


2 57期以降の,弁護士の一斉登録日
76期:令和 5年12月14日(木)
75期:令和 4年12月 8日(木)
74期:令和 4年 4月21日(木)
73期:令和 2年12月17日(木)
72期:令和 元年12月12日(木)
71期:平成30年12月13日(木)
70期:平成29年12月14日(木)
69期:平成28年12月15日(木)
68期:平成27年12月17日(木)
67期:平成26年12月18日(木)
66期:平成25年12月19日(木)
65期:平成24年12月20日(木)
64期:平成23年 8月25日(木),12月15日(木)
63期:平成22年 8月26日(木),12月16日(木)
62期:平成21年 9月 3日(木),12月17日(木)
61期:平成20年 9月 3日(水),12月18日(木)
60期:平成19年 9月 5日(水),12月20日(木)
59期:平成18年10月 3日(火)
58期:平成17年10月 4日(火)
57期:平成16年10月 2日(土)


3 日弁連による弁護士登録番号の付番
(1)ア 日本弁護士沿革史317頁及び318頁には,昭和24年9月1日の設立直後の,日弁連による弁護士登録番号の付番について以下の記載があります。
   新弁護士法の実施と共に弁護士登録の事務は日本弁護士連合会で取扱うこととなる。そこで従来登録事務を管掌していた法務府としても、これが書類の整理を急いでいたと思われるが、連合会は九月一〇日法務総裁に対して、弁護士名簿等登録関係書類の引継請求書を提出し、同月十二日大部分の引継を受け、二八日残部全部の引継を完了した。もっとも連合会は、その創立発足前から、登録名簿の整理に着手し、連合会発足と同時に、全力を挙げて整理を急いでいたが、これが法務府より引継いだ人員と弁護士会側の報告による整理との間に著しい喰違いがある等のこともあり、更に弁護士会に照会して慎重な確立を期したのであった。これは一方会則第二九条二項において、「弁護士はその職務を行う場合には、本会の制定した記章を帯用しなければならない」と定めているので、これが記章作成の上からも名簿整理は早くから完成される必要があった。
   九月二七日に至って登録名簿並に記章(バッジ)番号の整理を完了し、全国五九一八名の会員登録番号を連合会登録番号に切換え、そうして右記章は翌二八日から交付を開始し、一〇月八日完了したのであった。
イ 関係する弁護士法附則の条文は以下のとおりです。
(従前の弁護士名簿の登録)
第八十四条 従前の規定による弁護士名簿の登録は、この法律による弁護士名簿の登録とみなす。
(従前の弁護士名簿等の引継)
第八十七条 法務府は、従前の規定により同府に備えられた弁護士名簿その他弁護士及び弁護士会に関する関係書類を、日本弁護士連合会の求めにより、これに引き継がなければならない。
(2) 東洋経済ONLINEの日本の”ナンバーワン”弁護士は誰だ!?知られざる”番号登録”の歴史には,「1951年版、1952年版、それに採番のし直しがされた1953年版のいずれでも1番が付与されていたのは、東京弁護士会所属の津田義治弁護士だった。」と書いてあります。


4 再登録請求をした場合における弁護士登録番号
(1) いったん弁護士登録を取り消した弁護士が平成27年4月1日以降に再登録請求をした場合,従前の登録時に付与されていた登録番号を再び付与されるようになりました(日弁連HP「2015年4月1日以降に弁護士登録(再登録)される方へ」参照)。
(2) 弁護士職務経験をしていた判事補又は検事が退官後に弁護士登録をする場合,弁護士職務経験をしていたときに付与されていた登録番号を再び付与されます。
   

5 司法修習の終了者名簿
   以下の修習期について,官報公告を貼り付けています。
現行60期新60期
現行61期新61期
現行62期新62期
現行63期新63期
現行64期新64期
65期66期67期68期69期
70期71期72期73期74期
75期76期


6 弁護士名簿の登録及び登録取消の情報
(1) 弁護士名簿の登録情報は以下のとおりです。
2020年2021年2022年2023年
2024年
(2) 弁護士名簿の登録取消情報は以下のとおりです。
2020年2021年2022年2023年
2024年


7 弁護士検索
(1) 日弁連HPの「弁護士を探す」「弁護士検索」(修習期は掲載されていません。)及び「弁護士情報提供サービス ひまわりサーチ」(一部の弁護士しか掲載されていません。)が載っています。
(2) 大阪弁護士会HPに「弁護士検索」が載っています。


8 官報に関するメモ書き
(1) 官報の電子化
ア 官報の発行に関する法律(令和5年12月13日法律第85号)に基づき,令和7年6月までに官報が電子化されます。
イ 令和5年3月14日から同年9月28日までの間,官報電子化検討会議が開催されました(内閣府HPの「官報について」参照)。
ウ 内閣府HPの「官報の電子化について」(2023年12月14日付)には以下の記載があります。
    明治16年の官報創刊以来、官報の発行に関する法律はありませんでした。また、法令の公布を官報をもって行うことについても、昭和22年の日本国憲法の施行の際に「勅令」が廃止されて以降、このことを明文で定めたものはなく、慣行として行われてきました。
    こうした中、我が国のデジタル化の象徴として、官報を電子化するため、ウェブサイトによる官報の発行方法等を定める法律が成立しました 。
    これにより、これまで掲示場や官報販売所等を通じて閲覧・販売されていた官報が、今後はウェブサイトで「いつでも・どこでも・無料で」閲覧することが可能となります。
(2) 官報による法令公布の意味
ア 官報による法令公布の意味については,最高裁大法廷昭和32年12月28日判決,及び最高裁大法廷昭和33年10月15日判決裁判官入江俊郎(元衆議院法制局長)の補足意見は法令の施行時期について詳しい説明をしています。)が非常に参考になります。
イ 最高裁大法廷昭和33年10月15日判決によれば,当時一般の希望者が官報を閲覧し,又は購入しようとすればそれをなし得た最初の場所である大蔵省印刷局官報課又は東京都官報販売所において閲覧又は購入が可能になった時点で,法令が公布されたこととなります。
ウ 大審院昭和14年2月28日判決は,官報を一般に頒布する発送手続が完了した時をもって公布があったものとする発送主義に近い判示をしているため,最高裁大法廷昭和33年10月15日判決とは異なる判示をしていました(法曹時報10巻3号143頁参照)。
(3) その他
・ 官報及び法令全書に関する内閣府令1条(官報)は「官報は、憲法改正、詔書、法律、政令、条約、内閣官房令、内閣府令、デジタル庁令、省令、規則、庁令、訓令、告示、国会事項、裁判所事項、人事異動、叙位・叙勲、褒賞、皇室事項、官庁報告、資料、地方自治事項及び公告等を掲載するものとする。」と定めています。


9 関連記事その他
(1) あおい法律事務所ブログ「ニセモノ「弁護士」を見破る方法について」には,あやしい「弁護士」がいた場合,登録番号,所属弁護士会,修習期等を聞けばいいと書いてあります。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 二回試験の不合格発表
・ 二回試験不合格時の一般的な取扱い
・ 弁護士会別期別の弁護士数の一覧表
・ 65期以降の二回試験の不合格発表及びその後の日程
・ 二回試験不合格と,修習資金貸与金の期限の利益との関係
・ 60期以降の二回試験の不合格者数及び不合格率(再受験者を除く。)
・ 二回試験の科目別不合格者数
・ 二回試験再受験者の不合格率の推移
・ 二回試験の不合格体験に関するブログ
・ 司法修習終了翌年の確定申告

弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修に関する規則(平成16年3月18日 日弁連規則第95号)

目次
第1 弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修に関する規則
第2 関連記事

第1 弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修に関する規則
・ 弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修に関する規則(平成16年3月18日日弁連規則第95号)は以下のとおりです。

(目的)
第一条 この規則は、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第五条の規定による弁護士業務についての研修を日本弁護士連合会(以下「本会」 という。 )が実施するために必要な事項を定めることを目的とする。
(研修受講者の資格要件)
第二条 研修を受講する者(以下「研修生」 という。 )は、弁護士法第五条各号のいずれかに該当しなければならない。
(研修受講の手続)
第三条 研修の受講を申請する者は、次に掲げる書面を提出しなければならない。
一 受講申請書
二 誓約書
2 研修の受講を申請する者は、本会の会長の定めた研修費用を申請時に支払わなければならない。
3 研修費用は、研修生がその都合により研修を途中で中断した場合でも返還しない。
(研修の内容)
第四条 研修は、集合研修及び実務研修とする。
2 集合研修は、本会が指定する場所において行う講義及び起案講評による研修をいう。
3 実務研修は、本会の会長が委嘱する弁護士(以下「実務研修担当弁護士」という。 )の法律事務所において行う研修をいう。
(研修の通知)
第五条 本会は、研修が実施される三十日前までに、研修生に対し研修の期間、場所等を通知する。
2 集合研修の実施にあたっては、次に掲げる事項を通知する。
一 研修の内容
二 講師名
三 受講クラス
四 会場
3 実務研修については、配属される弁護士会及び実務研修担当弁護士名(職務上の氏名を使用している者については、職務上の氏名をいう。 )を通知する。
(秘密の保持)
第六条 研修生は、研修にあたって知り得た秘密を漏らしてはならない。
(研修の実施)
第七条 研修の企画運営、教材作成、講師の選任その他研修の実施のために必要な事務は、研修委員会(以下「委員会」 という。 )の意見を聴いて、 日弁連総合研修センター(以下「総合センター」 という。 )が行う。
2 総合センターは、前項の事務の一部を公益財団法人日弁連法務研究財団に委託することができる。この場合において、委託費用は本会が負担する。
(集合研修の履修状況の報告)
第八条 集合研修の講師は、研修終了後、速やかに、研修生の履修状況を本会に報告しなければならない。
(実務研修の委嘱)
第九条 本会の会長は、実務研修担当弁護士を委嘱する。
2 実務研修担当弁護士は、本会が定める実務研修における指導指針に則って指導を行う。
3 実務研修担当弁護士は、実務研修終了後、速やかに、研修生の研修の履修状況を本会に報告しなければならない。
(履修状況の評価)
第十条 本会は、研修生の履修状況の評価をするため、研修修了審査会議(以下「会議」という。 )を設置する。
2  会議は、本会の会長、副会長、委員会の委員及び総合センターの構成員の中から会長が指名する者をもって構成する。
3  会議は、弁護士法第五条の三第二項に規定する研修の履修の状況の評価を決定する。
4 会議は、前項に規定する決定に当たり、別に定める基準により総合センターが決定する評価及び意見を聴く。この場合において、会議は、必要に応じて当該研修を担当した講師及び実務研修担当弁護士から事情を聴取することができる。
5 会議は、第三項に規定する決定をしたときは、速やかに、本会の会長にその内容を報告する。
(履修状況の報告)

第十一条 本会の会長は、弁護士法第五条の三第二項に基づき、前条の意見等を、遅滞なく、法務大臣に書面をもって報告する。

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