日弁連の女性理事

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目次
1 日弁連の女性理事の人数等
2 日弁連の男女共同参画推進基本計画
3 弁護士会における女性会長の選任状況
4 第二東京弁護士会における副会長クオータ制
5 役員の選任に関する日弁連会則の定め
6 性別による差別的取扱い等の防止
7 クオータ制等に対する一般社会の意見
8 令和3年4月から日弁連の女性理事クオータ制の導入が検討されること
9 関連記事

1 日弁連の女性理事の人数等
(1)ア 日弁連理事の定員は71人です(日弁連会則56条1項3号)。
イ 日弁連の女性理事は,平成25年度が6人,平成26年度が8人,平成27年度が9人,平成28年度が7人,平成29年度が6人,平成30年度が11人,平成31年度が9人です。
ウ 令和3年4月から女性理事クオータ制により4人の女性理事が増員されるため,日弁連理事の定員は75人となります。
(2)ア 東京三弁護士会,大阪弁護士会及び愛知県弁護士会の会長は日弁連副会長を兼務しているのに対し,残り47弁護士会の会長は日弁連理事を兼務しています(「兼務理事」といいます。)。
   そのため,71人の日弁連理事のうち,非兼務理事は24人となります。
イ 非兼務理事24人のうち,5人は①東京弁護士会,②第一東京弁護士会若しくは第二東京弁護士会,③大阪弁護士会,④愛知県弁護士会又は⑤福岡県弁護士会の副会長です。
   また,3人は⑥関東弁護士会連合会,⑦近畿弁護士会連合会又は⑧北海道弁護士会連合会の理事長です。
   そのため,24人の非兼務理事のうち,宛て職でない非兼務理事は16人となります。
ウ 平成31年度における,宛て職でない非兼務理事としての女性は,東京,第一東京,第二東京及び京都の4人です。
(3) 日弁連理事の職務は,日弁連副会長と異なり,日弁連の重要事項の審議であるため(日弁連会則59条),日弁連の業務量が増えても,理事の人数を増やして分担できるというものではないです。

 日弁連の男女共同参画推進基本計画
(1) 日弁連HPの「男女共同参画(男女共同参画推進本部)」に載ってある第三次日本弁護士連合会男女共同参画推進基本計画(平成30年1月19日付)15頁には「更なる参画拡大のためには,積極的改善措置(ポジティブ・アクション) を実行するとともに,より高い数値目標を目指して,最低限これをやり切るという決意が必要である。」と書いてあり,18頁には,目標として,「2022年度までに,副会長及び理事の女性割合を20%以上とする。」と書いてあります。
(2) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話(平成31年1月17日付)には「2018年12月19日、世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダーギャップ指数」について、世界経済フォーラムから報告書が発表された。日本は149か国中110位であり、主要7か国(G7)中最下位である。」と書いてあります。
(3) 日弁連における女性弁護士の割合は以下のとおり推移しています(日弁連HPの「弁護士人口」参照)。
平成 元年3月31日: 5.3%
平成 6年3月31日: 6.3%
平成11年3月31日: 8.4%
平成16年3月31日:12.1%
平成21年3月31日:16.8%
平成30年3月31日:18.6%
(4) 日弁連HPに「社外役員をお探しの企業の方へ~女性弁護士の候補者名簿ご案内~」,及び「社外役員に就任している女性弁護士インタビュー」が載っています。

 弁護士会における女性会長の選任状況
(1) 弁護士会における女性会長の選任状況は以下のとおりです。
昭和44年度:鳥取県
昭和52年度:秋田
昭和53年度:秋田
昭和59年度:岐阜県,青森県
昭和60年度:岩手,高知
昭和61年度:岩手
昭和63年度:秋田
平成 4年度:京都
平成 5年度:奈良,宮崎県
平成 6年度:神奈川県,岐阜県
平成 7年度:島根県
平成 8年度:茨城県,滋賀,広島,高知
平成 9年度:千葉県,福島県
平成10年度:高知
平成11年度:岡山
平成12年度:福島県,青森県
平成13年度:(なし。)
平成14年度:奈良,島根県
平成15年度:(なし。)
平成16年度:和歌山
平成17年度:第二東京,大分県,秋田,愛媛
平成18年度:京都
平成19年度:滋賀
平成20年度:埼玉,兵庫県,島根県
平成21年度:福井
平成22年度:神奈川県,熊本県,秋田
平成23年度:栃木県
平成24年度:奈良,滋賀,鳥取県,島根県,宮崎県
平成25年度:(なし。)
平成26年度:千葉県,長野県,大阪,兵庫県,島根県,高知
平成27年度:神奈川県,金沢,鳥取県
平成28年度:第二東京,奈良,岡山,福岡県,秋田
平成29年度:東京,愛知県,岐阜県,広島,青森県,高知
平成30年度:神奈川県,奈良,大分県,秋田,青森県
平成31年度:三重,鹿児島県,旭川
(2) 平成30年度までのデータの出典は,弁護士白書2018年版18頁です。
(3) 昭和44年度鳥取県弁護士会会長は,日本初の女性弁護士3人のうちの1人として,昭和15年に弁護士登録をした中田正子弁護士です。
(4) 弁護士坂野真一の公式ブログの「日弁連副会長の女性枠について」(平成29年8月7日付)には以下の記載があります。
 私は、説明委員の方に、これまで日弁連は男女共同参画について積極的に推進してきたはずであり、特に女性の会員が副会長になれないような不都合な状況が存在するのか、女性で日弁連副会長になりたいのに日弁連の制度等の問題でなれないという人が現実に何人も存在しているのか、と聞いてみた。
 説明委員によれば、そのいずれもない(少なくとも説明員は聞いたことはない)とのお答えだった。

4 第二東京弁護士会における副会長クオータ制
(1) 第二東京弁護士会は,平成27年度から副会長について女性2名クオータ制を導入しています(第二東京弁護士会HPの「「クオータ制導入のお知らせ」」参照)。
(2) 「第二東京弁護士会における副会長選任に関するクオータ制について」(平成26年10月29日付)には,「本制度に対しては,選挙という民主的な過程を排除するものである,女性会員に負担を与えるものである,女性会員が副会長として活動できる環境整備が先である等,消極意見も根強いものがありました。」と書いてあります。

5 役員の選任に関する日弁連会則の定め
   日弁連会則14条は「弁護士会の役員の選任は、人格識見ある者が衆望を担って当たることができるように民主的でかつ公明な方法によってなされなければならない。」と定めています。

6 性別による差別的取扱い等の防止
(1) 性別による差別的取扱い等の防止に関する規則(平成24年3月15日規則第152号)2条1号によれば,性別による差別的取扱いとは,会員の事務所における活動、本会、弁護士会及び弁護士会連合会における会務活動その他の職務等に関する一切の活動において行われる生物学的又は社会的な性差を理由とする差別的取扱いをいいます。
(2) 性別による差別的取扱い等の防止に関する指針1条(性別による差別的取扱い等に関する認識の周知等)は以下のとおりです。
   本会は、性別による差別的取扱い等を防止するため、会員が次に掲げる事項を認識することが重要であることを確認し、積極的にその認識を持つことを会員に周知し、啓発しなければならない。
(1) 何人も、性別によらず、人格と個性が尊重されるべきであること。
(2) 何人も、性別にかかわらず、対等であること。
(3) 弁護士としてのあらゆる活動の場において他者を性的な対象として見ることは不適切であること。
(4) 人の性別に基づき、固定的な役割分担をさせることは不適切であること。

7 クオータ制等に対する一般社会の意見
(1) 上
場企業におけるクオータ制に対する反対理由としては,①男性にとっての不利益が生じる逆差別である,②下駄を履かされてまで人の上に立ちたくない,③企業の負担や競争力低下につながるといったものがあります(外部ブログの「「クォータ制」で真の女性活躍は進むか?その功罪を考える」(平成30年3月21日付)参照)。
(2) livedoor NEWS「なかなか増えない女性管理職「おじさんたち」の嫉妬が原因か」に以下の記載があります。
(注:女性管理職に対して)もっと悪意がある場合は、「彼女は本来、管理職にはなれないレベルだけれど、会社として女性の活躍を推進しなければならないので、特例で昇進した」などと言う人もいますが、そんなことを言われたら部下をコントロールすることが難しくなります。結果的にマネジメントがうまくいかず「言ったとおりだろ。女性は管理職に向いていない」となるわけです。

8 令和3年4月から日弁連の女性理事クオータ制が導入されること
(1) 日弁連理事の定員を71人から75人に増員した上で,増員した4人は女性理事とする女性理事クオータ制は,令和元年12月6日臨時総会決議による改正後の日弁連会則56条3項及び4項は令和3年4月から施行される予定です。
(2) 関谷文隆日弁連副会長は,令和元年12月6日の日弁連臨時総会において以下の発言を含む趣旨説明をしています。
   本議案で提案する女性理事クオータ制により会則第56条第3項を改正し、当連合会の理事における女性割合の目標値を30%と定め、そのための環境整備に努めることを明記し、その上で当面の中間目標である20%を達成するための具体的な方策として、弁護士会会長を兼務しない理事、いわゆる非兼務理事に関する推薦クオータの要請と定数クオータの創設、二つの手段によって女性理事の増加を目指すことを基本的な枠組みとした制度提案を行う発想に至った次第である。
   推薦クオータの要請とは、これまでの71人の理事候補者の推薦に当たり、理事候補者の推薦母体である弁護士会連合会及び弁護士会に対し、自主的な女性候補者の積極的推薦方策の検討を具体的に要請するものである。
   一方、定数クオータの創設とは、女性弁護士会長の増加や推薦クオータの要請に基づいて、推薦される女性理事候補の増加によっても、いまだ不足すると想定される部分について、必ず女性が選ばれる仕組みを構築しようとするものであり、今回の提案で会則会規の改正を求める部分である。
   具体的には、会則第56条第1項第3号を改正し、理事の人数を4人増員して75人とした上で、同条第4項と役員選任規程を改正して、増員した4人を全て女性に割り当てるというものである。
   その4人の推薦方法としては、役員選任規程に第4条の3を新設し、4人の理事候補者を推薦する四つの弁護士会連合会を決定することを任務とする男女共同参画推進特別措置実施のための理事候補者推薦に関する協議会を設置することとした。具体的にどの弁護士会連合会が本制度による理事候補者を推薦するのかについては、各弁護士会連合会の代表者から構成するこの推薦協議会の中で決定、検討することを想定している。

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