弁護士山中理司

梅本圭一郎裁判官(42期)の経歴

生年月日 S36.10.22
出身大学 一橋大
退官時の年齢 64歳
R7.12.28 依願退官
R5.5.7 ~ R7.12.27 東京高裁12民部総括
R4.3.9 ~ R5.5.6 福岡高裁2民部総括
R2.11.16 ~ R4.3.8 大分地家裁所長
H31.4.1 ~ R2.11.15 東京簡裁司掌裁判官
H30.9.20 ~ H31.3.31 東京地裁25民部総括
H29.7.7 ~H30.9.19  東京地裁42民部総括
H27.4.1 ~ H29.7.6 東京高裁2民判事
H24.4.1 ~ H27.3.31 広島地裁3民部総括
H21.12.21 ~ H24.3.31 司研民裁教官
H19.4.1 ~ H21.12.20 東京地裁17民判事
H16.4.1 ~ H19.3.31 総研調研部教官
H16.3.22 ~ H16.3.31 調研教官
H12.4.10 ~ H16.3.21 盛岡地家裁一関支部判事
H12.4.1 ~ H12.4.9 盛岡地家裁一関支部判事補
H9.4.1 ~ H12.3.31 金沢地家裁判事補
H7.4.1 ~ H9.3.31 東京地裁判事補
H4.4.1 ~ H7.3.31 法務省人権擁護局付
H4.3.23 ~ H4.3.31 東京地裁判事補
H2.4.10 ~ H4.3.22 福岡地裁判事補

*0 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 司法研修所教官会議の議題及び議事録
・ 司法修習生指導担当者協議会
 司法研修所民事裁判教官の名簿
・ 裁判所職員総合研修所の研修実施計画
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
*1 42期の梅本圭一郎裁判官は,令和8年1月28日,33期の小坂敏幸公証人の後任として,東京法務局所属の銀座公証役場の公証人に任命されました。
*2の1 42期の梅本圭一郎裁判官及び55期の小河好美裁判官は,判例タイムズ1526号(2025年1月号)に「婚姻費用・養育費審理の課題と展望」を寄稿しています。
*2の2 42期の梅本圭一郎大分地家裁所長は,令和4年2月2日の最高裁判所裁判官会議により福岡高裁2民部総括になることが決まりましたところ,同月17日に特別保存の対象となっていた民事裁判6件の記録が大分地裁で廃棄されました(産経新聞HPの「特別保存の記録6件廃棄 大分地裁、照会で判明」(2022年11月25日付)参照)。
*2の3 裁判官が記録を紛失した場合,分限裁判により懲戒されることがあります(「裁判官の記録紛失に基づく分限裁判」参照)。


*3 47期の小野寺真也最高裁判所総務局長は,令和4年10月27日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① 委員お尋ねに係ります事件記録(山中注:平成9年2月から5月にかけて神戸市須磨区で発生した神戸連続児童殺傷事件(別名は「酒鬼薔薇聖斗事件」です。)の事件記録)がいつまで保存されており、これがいつまで、いつ廃棄されたかにつきましては、神戸家裁におきまして当該記録の廃棄年月日を記載した事件簿や廃棄に関する書類が残ってございません。そういう意味でははっきり分からないというところでございます。
もっとも、神戸家裁におきまして旧事件処理システムのデータが見付かりましたことから、その内容を確認しましたところ、当該少年の事件記録の廃棄年月日に関するデータとして、平成二十三年二月二十八日と記録されていることが確認できました。これは正式な書類に基づくものではございませんが、事件記録の廃棄年月日は当該データに記載された日であった可能性が高いものと考えております。

② 事件記録等保存規程におきましては、史料又は参考資料となるべきものについては保存期間満了後も保存に付するというふうにされておるところでございます。
 これを特別保存というふうに私ども呼称しておりますけれども、最高裁の通達(山中注:事件記録等保存規程の運用について(平成4年2月7日付の最高裁判所事務総長依命通達)のこと。))におきましては、その特別保存の対象になり得るものとして、重要な憲法判断が示された事件、重要な判例となった裁判がされた事件など、重要な判例となった裁判がされた事件など法令の解釈運用上特に参考になる判断が示された事件、世相を反映した事件で史料的価値の高いもの、全国的に社会の耳目を集めた事件又は当該地方における特殊な意義を有する事件で特に重要なもの等を挙げております。
 特別保存に付すべきか否かの判断につきましては、原則として、当該事件記録を保存している第一審裁判所の裁判官会議の判断によるということになります。もっとも、通常は、そうした司法行政上の判断は各裁判所の所長に委任されていることも多いものというふうに承知しております。


*4 東京高裁令和6年1月17日判決(裁判長は42期の梅本圭一郎)は,仙台高裁の岡口基一裁判官(職務停止中)の3つのネット投稿をめぐり,平成27年11月にあった女子高生殺害事件の遺族が名誉を毀損されたなどとして165万円の損害賠償を求めていた裁判において,岡口判事に44万円の損害賠償を命じた一審・東京地裁判決を支持し,遺族側の控訴を棄却しました。ただし,発端となった女子高生殺害事件の判決文を紹介する投稿について一審とは異なり不法行為を構成すると認定したものの,消滅時効が完成しているとして賠償額は増額しませんでした(auoneの「岡口判事のSNS投稿、追加で「違法」認定 時効完成で賠償額変わらず 東京高裁」参照)。

小野寺真也裁判官(47期)の経歴

生年月日 S44.5.11
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R16.5.11
R7.7.15 ~ 前橋地裁所長
R3.7.5 ~ R7.7.14 最高裁総務局長
H31.4.1 ~ R3.7.4 東京高裁事務局長
H30.1.16~ H31.3.31 東京地裁31民判事
H26.9.12 ~ H30.1.15 東京地裁8民判事(商事部)
H25.7.17 ~ H26.9.11 東京高裁9民判事
H23.9.1 ~ H25.7.16 最高裁総務局第一課長
H21.8.1 ~ H23.8.31 最高裁総務局第二課長
H19.4.1 ~ H21.7.31 盛岡地家裁判事
H18.8.1 ~ H19.3.31 東京地裁判事
H15.8.1 ~ H18.7.31 最高裁総務局付
H15.4.1 ~ H15.7.31 東京地裁判事補
H13.6.15 ~ H15.3.31 釧路家地裁帯広支部判事補
H13.1.6 ~ H13.6.14 国交省鉄道局総務課課長補佐
H11.4.1 ~ H13.1.5 運輸省鉄道局総務課補佐官
H11.2.1 ~ H11.3.31 最高裁民事局付
H7.4.12 ~ H11.1.31 東京地裁判事補

*0 47期の小野寺真也裁判官と47期の小野寺優子裁判官の勤務場所は似ていません。
*1の1 以下の記事も参照して下さい。
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 歴代の最高裁判所総務局長
・ 司法行政を担う裁判官会議,最高裁判所事務総長及び下級裁判所事務局長
・ 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等
・ 行政機関等への出向裁判官
*1の2 以下の書籍の共著者です。
・ 新・類型別会社非訟(2020年4月24日付)
*2 47期の小野寺真也裁判官が東京高裁事務局長として参加した関東弁護士会連合会主催の法曹連絡協議会に関する資料を掲載しています。
・ 令和元年度
→ 開催案内出欠票議題出席者名簿着席図回答案及び速記録の校正(回答)が含まれています。
・ 令和2年度
→ 開催案内議題出席者名簿着席図回答案及び速記録の校正(回答)が含まれています。


*3の1 47期の小野寺真也最高裁総務局長は,令和5年5月25日,平成9年の神戸連続児童殺傷事件などの重大少年事件の記録が永久保存されず廃棄されていた問題に関して記者会見を開きました(産経新聞HPの「裁判記録の保存・廃棄、最高裁が報告書」参照)ところ,神戸新聞HPの「<成人未満・第4部 少年事件記録の行方>最高裁の謝罪。深々と頭を下げる裁判官たち。長い沈黙が流れた」には「実際、中央に座った小野寺真也総務局長も、両脇を固めた同局の南宏幸参事官や川瀬孝史第二課長も、全員が裁判官だ。だが裁判と違った。3人は起立し、謝罪する。深々と頭を下げた時間は約15秒。記者が戸惑うほど長い沈黙が流れた。」と書いてあります。
*3の2 裁判所HPに「裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査報告書について」が載っています。
*3の3 以下の資料を掲載しています。
・ <令和版>事件関係帳簿諸票の保存及び廃棄の手引(令和元年12月の京都地裁の文書)


*4 自由と正義2024年7月号に「対談 弁護士任官について~調停官制度と常勤弁護士任官への期待~」(対談者は47期の小野寺真也最高裁総務局長及び42期の谷眞人 日弁連前事務総長)が載っています。

家令和典裁判官(43期)の経歴

生年月日 S36.3.18
出身大学 東大
退官時の年齢 65歳
R8.3.18 定年退官
R5.12.12 ~ R8.3.17 東京高裁4刑部総括
R4.1.3 ~ R5.12.11 静岡家裁所長
R2.4.26 ~ R4.1.2 横浜地裁1刑部総括
H28.1.1 ~ R2.4.25 東京地裁13刑部総括
H25.1.8 ~ H27.12.31 千葉地裁5刑部総括
H22.4.1 ~ H25.1.7 横浜地裁3刑判事
H18.4.1 ~ H22.3.31 最高裁刑事調査官
H16.4.1 ~ H18.3.31 東京高裁5刑判事
H15.4.1 ~ H16.3.31 東京地裁判事
H13.4.9 ~ H15.3.31 福岡地家裁判事
H11.4.1 ~ H13.4.8 福岡地家裁判事補
H8.3.25 ~ H11.3.31 書研教官
H5.4.1 ~ H8.3.24 京都家地裁判事補
H3.4.9 ~ H5.3.31 福岡地裁判事補

*0 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説
・ マル特無期事件
→ 「マル特無期事件」に指定された受刑者の場合,終身又はそれに近い期間,服役させられることとなる点で,事実上の終身刑となっています。


*1 東京地裁平成28年7月5日判決(裁判長は43期の家令和典)は,私生活でトラブルになった弁護士の男性(43)の局部をはさみで切り落としたなどとして,傷害と銃刀法違反の罪に問われた元慶応大法科大学院生に対し,懲役4年6月(求刑は懲役6年)の実刑を言い渡しました(産経新聞HPの「小番被告に懲役4年6月の実刑判決 「酌むべき事情あるが結果は重大」 東京地裁」参照)。
*2 産経新聞HPに「【判決要旨全文】3人殺害の元看護師に無期懲役判決 責任能力を認めつつ、死刑回避の理由は 旧大口病院事件」(2021年11月9日付)が載っています。
*3 あなたの静岡新聞HPの「静岡家庭裁判所長に就任した 家令和典さん【時の人】」(2022年1月29日付)に顔写真が載っています。



*4の1 東京高裁令和6年7月18日判決(裁判長は43期の家令和典)(最高裁令和4年11月21日判決の他,産経新聞HPの「講談社元次長、差し戻し控訴審も懲役11年 妻殺害で無罪主張退ける」参照)は,平成28年に被告人が自宅において妻の頸部を圧迫して殺害したとされる事案につき,第1審で懲役11年の有罪判決が宣告された後,差戻前控訴審判決もこれを維持したものの,上告審が妻の顔面や両手への血液付着の有無等の審理不足を指摘して差し戻したため,再度の事実取調べを経て,尿失禁や唾液混じりの血痕,頸部索条痕や被告人の右腕の表皮剥奪痕,前額部挫裂創の発生時期と出血量,階段や寝室など計28か所に及ぶ血痕分布,さらに被告人の供述とその整合性などを検討した結果,被告人が妻を殺害したと認める原判決の推認を覆すまでには至らないと判断し,併せて訴訟手続の法令違反も否定した上で,新たに確認された合計13か所の血痕を含む状況にも照らしても妻の自殺説を根拠付ける具体性は乏しいとし,又は妻が自らジャケットを用いて首をつったとの説明について,手すりに繊維や尿斑が認められない点が不自然であることや追加の血痕数も自殺を裏付けるには足りないなどとした上で,事実誤認の主張を退けて本件控訴を棄却するとともに,差戻前控訴審での未決勾留日数中600日を刑に算入する旨を言い渡したものです(ChatGPT o1 pro作成の要約をベースにした記載です。)。
*4の2 Yahooニュースに「講談社元社員「妻殺害」裁判で最高裁決定が!朴被告に接見し、その母親を訪ねた」(2025年3月16日付)が載っています。
*5 東京高裁令和7年2月4日判決(裁判長は43期の家令和典)(産経新聞HPの「日産自動車役員報酬過少記載 ケリー被告、2審も一部有罪 東京高裁、1年分のみ共謀認定」参照)は,A株式会社の代表取締役等であった被告人が,同社代表取締役会長B及び秘書室長Cらと共謀して,役員としての職務執行の対価に当たる未払の報酬額を有価証券報告書に記載すべきにもかかわらず支払済額のみを開示した結果,金融商品取引法上の重要事項に関して虚偽の記載がある報告書を提出したと認められる部分(平成29年度)については被告人の故意及び共謀を肯定して有罪とする一方,それ以外の年度では被告人が未払報酬の具体的金額が決定されていることを認識していたとまではいえず故意の立証が不十分とされたとして無罪の判断を維持し,検察官及び弁護人の控訴趣意についても不告不理違反や訴訟手続の法令違反は認められないとしつつ,結局は平成29年度分の有罪部分を除いて被告人を無罪とした原判決の結論を是認して本件各控訴を棄却したものであり,この過程で未払報酬の開示義務や虚偽記載の範囲,代表取締役としての被告人がBやCと共謀に至ったか否かなどが詳細に検討され,最終的に被告人は平成29年度以外の公訴事実については無罪が確定し,控訴審での主張も退けられたとされる内容であり,同時に当該判決は,不真正不作為犯の成否や不告不理違反を巡る弁護人の主張も排斥したものです(ChatGPT o1 pro作成の要約をベースにした記載です。)。
*6 東京高裁令和7年5月8日判決(裁判長は43期の家令和典)は,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のテストイベント計画立案等業務委託契約等における受注調整に関し,被告会社及びその従業者であった被告人が,組織委員会関係者や他の事業者と共謀の上,受注予定事業者を決定し基本的に当該事業者のみが入札を行うことなどを合意し,これに基づき受注予定事業者を決定するなどして公共の利益に反して競争を実質的に制限したとする原判決の判断を全面的に支持し,事業者間における意思連絡及び本件基本合意の成立,当該合意が事業活動を拘束し一定の取引分野(テストイベント計画立案業務のみならず,その後の実施業務及び本大会運営業務を含む)における競争を実質的に制限したとの原審の認定は,最高裁判例にも整合する規範解釈のもと種々の間接事実を総合的に評価したものであり不合理な点は認められないとして,事実誤認ないし法令適用の誤りを主張する被告会社及び被告人の控訴をいずれも棄却したものです(Gemini2.5Pro作成の要約をベースにした記載です。)。

山田明裁判官(41期)の経歴

生年月日 S34.7.18
出身大学 早稲田大
退官時の年齢 65歳
R6.7.18 定年退官
R2.12.14 ~ R6.7.17 大阪高裁1民部総括
H31.4.1 ~ R2.12.13 釧路地家裁所長
H30.4.1 ~ H31.3.31 大阪高裁3民判事
H27.9.12 ~ H30.3.31 大阪地裁7民部総括(租税・行政部)
H25.4.1 ~ H27.9.11 東京地裁45民部総括
H24.4.1 ~ H25.3.31 大阪地裁2民部総括(租税・行政部)
H21.4.1 ~ H24.3.31 大阪地裁2民判事(租税・行政部)
H18.4.1 ~ H21.3.31 司研民裁教官
H14.4.1 ~ H18.3.31 大阪地裁判事
H11.4.11 ~ H14.3.31 広島地家裁判事
H11.4.1 ~ H11.4.10 広島地家裁判事補
H8.3.25 ~ H11.3.31 奈良地家裁判事補
H6.4.1 ~ H8.3.24 東京地裁判事補
H5.4.1 ~ H6.3.31 富士ゼロックス(研修)
H5.3.25 ~ H5.3.31 東京地裁判事補
H3.4.1 ~ H5.3.24 那覇地家裁判事補
H1.4.11 ~ H3.3.31 東京地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 司法研修所民事裁判教官の名簿
・ 司法研修所教官会議の議題及び議事録
・ 司法修習生指導担当者協議会
・ 裁判官の民間企業長期研修等の名簿
・ 判事補の外部経験の概要
*2 大阪地裁令和3年4月27日判決(裁判長は47期の山地修)及びその控訴審である大阪高裁令和4年1月18日判決(裁判長は41期の山田明は, 総務大臣が発出した「特別定額給付金給付事業費補助金交付要綱について」の定めのうち特別定額給付金の給付対象者を一定の基準日において住民基本台帳に記録されている者等と定めた部分は,憲法14条1項に違反しないと判示しました。
*3 大阪高裁令和5年4月14日判決(裁判長は41期の山田明)は, 物価下落率を指標として生活扶助基準を調整するデフレ調整等による生活扶助基準の改定(本件改定)に係る厚生労働大臣の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとは認められないとして、本件改定に基づく保護費減額決定の取消請求及び国家賠償請求をいずれも理由がないとした事例です。

深沢茂之裁判官(40期)の経歴

生年月日 S33.3.11
出身大学 専修大
退官時の年齢 65歳
R5.3.11 定年退官
R4.1.22 ~ R5.3.10 仙台高裁刑事部部総括
H31.4.1 ~ R4.1.21 山形地家裁所長
H27.12.18 ~H31.3.31  横浜地裁1刑部総括
H25.4.1 ~ H27.12.17 東京高裁12刑判事
H22.4.1 ~ H25.3.31 甲府地裁刑事部部総括
H19.4.1 ~ H22.3.31 東京地裁15刑判事
H16.4.1 ~ H19.3.31 長野地家裁上田支部長
H14.4.1 ~ H16.3.31 長野家地裁上田支部判事
H11.4.1 ~ H14.3.31 東京地裁判事
H10.4.12 ~ H11.3.31 松山地家裁西条支部判事
H8.4.1 ~ H10.4.11 松山地家裁西条支部判事補
H5.4.1 ~ H8.3.31 東京地裁判事補
H2.4.1 ~ H5.3.31 山形地家裁判事補
S63.4.12 ~ H2.3.31 名古屋地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2の1 仙台高裁令和5年2月16日判決(裁判長は40期の深沢茂之)は,福島県三春町で令和2年5月に男女2人をトラックではねて殺害したとして殺人罪などに問われた男性の被告人に対し,福島地裁郡山支部の裁判員裁判の死刑判決を破棄し,無期懲役を言い渡しました(河北新報HPの「福島・三春ひき逃げ殺人 二審は無期懲役 仙台高裁が一審裁判員裁判の死刑判決破棄」参照)ところ,最高裁令和6年5月27日決定によって支持されました。
*2の2 仙台高裁令和5年2月16日判決(裁判長は40期の深沢茂之)は一般論として以下の判示をしています。
    死刑が他の刑罰とは異なり、被告人の生命そのものを永遠に奪い去るという、あらゆる刑罰のうちで最も冷厳で誠にやむを得ない場合に行われる究極の刑罰であることから、その適用は慎重に行われなければならず、また、このような死刑の適用に当たっては、公平性の確保にも十分に意を払わなければならない。その上で、死刑の科刑が是認されるためには、死刑の選択をやむを得ないと認めた裁判体の判断の具体的、説得的な根拠が示される必要があり、控訴審としては、第一審のこのような判断が合理的なものといえるか否かを審査することとなる(最高裁平成25年(あ)第1127号、平成27年2月3日第2小法廷決定・刑集69巻1号1頁参照)。

古川龍一裁判官(36期)の経歴

生年月日 S27.6.6
出身大学 早稲田大
退官時の年齢 48 歳
H13.4.24 依願退官
H9.4.1 ~ H13.4.23 福岡高裁2刑判事(H13.3.30戒告)
H6.4.13 ~ H9.3.31 金沢地家裁判事
H4.4.1 ~ H6.4.12 金沢地家裁判事補
H2.4.1 ~ H4.3.31 最高裁刑事局付
H1.4.1 ~ H2.3.31 東京海上火災保険(研修)
H1.3.27 ~ H1.3.31 東京地裁判事補
S61.4.1 ~ H1.3.26 青森地家裁弘前支部判事補
S59.4.13 ~ S61.3.31 東京地裁判事補

*1 福岡高裁判事妻ストーカー事件(平成13年3月14日付の最高裁判所調査委員会の調査報告書参照)に関して,最高裁大法廷平成13年3月30日決定により戒告となりましたところ,同事件については,江田五月ブログ「福岡事件について」に一通りの資料が載っています。
*2 ストーカー行為をしていた福岡高裁判事妻は,福岡地裁平成13年12月19日判決により懲役2年の実刑(求刑は懲役3年)となりました(司法の病巣47頁)。
*3 日弁連HPに「福岡地検の捜査情報漏洩事件に対する会長声明」(平成13年3月2日付)が載っています。
*4 平成15年3月に弁護士登録をして,平成23年12月に四谷タウン総合法律事務所(東京都新宿区四谷)に入所し,平成31年2月に株式会社協和コンサルタンツ監査役に就任しました(どんぶり会計HP「株式会社協和コンサルタンツ 役員の略歴 (2018年11月期) 監査役 古川龍一」参照)。
*5 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の民間企業長期研修等の名簿
・ 判事補の外部経験の概要
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

最高裁判所の事件記録符号規程

目次
1 最高裁判所の事件記録符号規程(平成31年3月現在)
2 関連記事その他

1 最高裁判所の事件記録符号規程(平成31年3月現在)① 民事事件記録符号規程(平成13年1月31日最高裁判所規程第1号)
② 行政事件記録符号規程(昭和38年10月1日最高裁判所規程第3号)
③ 刑事事件記録符号規程(平成13年2月7日最高裁判所規程第2号)
④ 没収の裁判の取消事件記録符号規程(昭和38年7月23日最高裁判所規程第2号)
⑤ 家庭事件記録符号規程(昭和26年9月15日最高裁判所規程第8号)
⑥ 医療観察事件記録符号規程(平成17年6月29日最高裁判所規程第6号)
⑦ 法廷等の秩序維持に関する法律違反事件記録符号規程(昭和27年10月20日最高裁判所規程第15号)
⑧ 裁判官の分限事件記録符号規程(昭和24年2月1日最高裁判所規程第3号)


2 関連記事その他
(1) 令和5年度(最情)答申第3号(令和5年10月3日答申)には以下の記載があります。
    事件番号は、各裁判所において、事件を受理した日の属する年、当該事件の種類ごとに付される符号及び事件を受理するたびに同符号ごとに付される一連の番号によって構成されるものであり、同一の裁判所において、同一の事件番号が重複して付されることはないことが認められる。このような事件番号の性質に照らすと、当該事件が係属する裁判所名とその事件番号という情報から、対象となる事件を確実に特定することが可能となる。
(2) 以下の記事も参照してください。
 裁判所における主なシステム
 裁判所の情報化の流れ
・ 裁判統計報告
・ 最高裁判所が作成している事件数データ

最高裁判所調査官室が購入した書籍のタイトル

目次
1 最高裁判所調査官室が購入した書籍のタイトルが分かる文書
2 平成29年中に最高裁判所調査官室が購入した書籍
3 関連記事

1 最高裁判所調査官室が購入した書籍のタイトルが分かる文書
(令和時代)
令和元年分令和2年分令和3年分令和4年分
令和5年分令和6年分
(平成時代)
平成29年分平成30年分
* 「最高裁判所調査官室が購入した書籍のタイトルが分かる文書(令和5年分)」といったファイル名です。

2 平成29年中に最高裁判所調査官室が購入した書籍
・ 平成29年中に最高裁判所調査官室が購入した書籍のタイトルが分かる文書によれば,平成29年中に最高裁判所調査官室が購入した書籍は以下のとおりです。

1 A.I . P. P. I
2 NBL
3 季刊 刑事弁護
4 季刊 労働法
5 季報 情報公開・個人情報保護
6 警察学論集
7 刑事法ジャーナル
8 刑法雑誌
9 月刊 税務事例
10 検察統計年報
11 現代消費者法
12 国会制定法律集(国会制定法審議録)
13 国会便覧
14 国家学会雑誌
15 自治研究
16 ジュリスト
17 旬刊 商事法務
18 政経研究
19 税務弘報
20 税理
21 選挙時報
22 捜査研究
23 時の法令
24 日本弁護士連合会会員名簿
25 日本労働法学会誌
26 判例時報
27 判例タイムズ
28 比較法雑誌
29 法学セミナー
30 法曹時報
31 法律時報
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平成の代替わりに伴う大嘗祭等に関する裁判例

目次
1 平成の代替わりに伴う大嘗祭等に関する最高裁判例
2 大分県主基斎田抜穂の儀参列違憲訴訟
3 鹿児島県大嘗祭参列違憲訴訟
4 神奈川県即位儀式・大嘗祭参列違憲訴訟
5 平成の代替わりに伴う儀式に関する下級裁判所の裁判例(裁判所HPの「裁判例情報」に最高裁判決が掲載されていないもの)
6 政教分離原則に関する最高裁判決の裁判要旨(大嘗祭等の合憲性に関係すると思われるもの)
7 大嘗祭等
8 天皇の行為に関する内閣法制局長官の答弁等
9 下級審裁判官が既存の最高裁判例に反する裁判をなす場合
10 大嘗祭の合憲性に関する内閣答弁書及び内閣法制局の資料
11 大嘗祭及び即位の礼に関する中坊公平日弁連会長の所信表明
12 名古屋家裁裁判官に関する,平成31年3月13日付の産経新聞の報道
13 関連記事その他

1 平成の代替わりに伴う大嘗祭等に関する最高裁判例
   裁判所HPの「裁判例情報」に掲載されている,平成の代替わりに伴う大嘗祭等に関する最高裁判例は以下の三つです(首相官邸HPの「第2回 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会 議事次第」「資料6 平成の御代替わりに伴う儀式に関する最高裁判決(PDF/398KB)参照)。
① 大分県主基斎田抜穂の儀参列違憲訴訟(H14.7.9第3小法廷
② 鹿児島県大嘗祭参列違憲訴訟(H14.7.11第1小法廷
③ 神奈川県即位儀式・大嘗祭参列違憲訴訟(H16.6.28第2小法廷

2 ①大分県主基斎田抜穂の儀参列違憲訴訟
(1) 最高裁平成14年7月9日判決の裁判要旨は以下のとおりです。
   知事,副知事及び県農政部長が県内で行われた主基斎田抜穂の儀に参列した行為は,主基斎田抜穂の儀が皇位継承の際に通常行われてきた皇室の伝統儀式である大嘗祭の一部を構成する一連の儀式の一つであること,他の参列者と共に参列して拝礼したにとどまること,参列が公職にある者の社会的儀礼として天皇の即位に祝意,敬意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。
(2)ア 第一審判決は大分地裁平成6年6月30日判決(担当裁判官は24期の丸山昌一,36期の金光健二及び42期の大崎良信)です。
イ 控訴審判決は福岡高裁平成10年9月25日判決(担当裁判官は17期の小長光馨一25期の小山邦和及び36期の長久保尚善)でした。
(3) 弁護士法人おおいた市民総合法律事務所HP「4.大嘗祭,抜穂の儀違憲訴訟」に,大分県主基斎田抜穂の儀参列違憲訴訟のことが書いてあります。

3 ②鹿児島県大嘗祭参列違憲訴訟
(1) 最高裁平成14年7月11日判決の裁判要旨は以下のとおりです。
   知事が大嘗祭に参列した行為は,大嘗祭が皇位継承の際に通常行われてきた皇室の伝統儀式であること,他の参列者と共に参列して拝礼したにとどまること,参列が公職にある者の社会的儀礼として天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。
(2)ア 第一審判決は鹿児島地裁平成4年10月2日判決(担当裁判官は19期の宮良允通30期の原田保孝及び40期の宮武康)です。
イ 控訴審判決は福岡高裁宮崎支部平成10年12月1日判決(担当裁判官は18期の海保寛36期の多見谷寿郎及び40期の水野有子)です。
(3) 鹿児島大学リポジトリの以下の資料(なぜか<資料>大嘗祭違憲訴訟(1)ないし(4)が見当たりません。)に,鹿児島県大嘗祭参列違憲訴訟のことが非常に詳しく書いてあります。
① <資料>大嘗祭違憲訴訟 (5) 〔控訴審編その 3〕 : 鹿児島県知事の大嘗祭出席についての住民訴訟の記録 
②  <資料>大嘗祭違憲訴訟 (6) 〔控訴審編その 4〕 : 鹿児島県知事の大嘗祭出席についての住民訴訟の記録 
③  <資料>大嘗祭違憲訴訟 (7) 〔控訴審編その 5〕 : 鹿児島県知事の大嘗祭出席についての住民訴訟の記録 
④ <資料>大嘗祭違憲訴訟 (8) 〔上告審編その 1〕 : 鹿児島県知事の大嘗祭出席についての住民訴訟の記録 
⑤ 大嘗祭違憲訴訟(九・完)〔上告審編その2〕 : 鹿児島県知事の大嘗祭出席についての住民訴訟の記録

4 ③神奈川県即位儀式・大嘗祭参列違憲訴訟
(1) 最高裁平成16年6月28日判決の裁判要旨は以下のとおりです。
① 県知事及び県議会議長が即位礼正殿の儀に参列した行為は,即位礼正殿の儀が皇室典範24条の規定する即位の礼の一部を構成する伝統的な皇位継承儀式であること,参列が公職にある者の社会的儀礼として他の参列者と共に天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。
② 県議会議長が大嘗祭に参列した行為は,大嘗祭が即位の礼に際しての皇室の伝統儀式であること,参列が公職にある者の社会的儀礼として他の参列者と共に天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。
(2)ア 第一審判決は横浜地裁平成11年9月27日判決(担当裁判官は26期の岡光民雄28期の近藤壽邦及び51期の平山馨)です。
イ 控訴審判決は東京高裁平成14年9月19日判決(担当裁判官は20期の森脇勝28期の中野信也及び35期の藤下健)です。

5 平成の代替わりに伴う大嘗祭等に関する下級裁判所の裁判例(裁判所HPの「裁判例情報」に最高裁判決が掲載されていないもの)
(1) 大阪高裁平成7年3月9日判決(担当裁判官は10期の山中紀行16期の武田多喜子及び31期の井戸謙一)
ア 事件名は,即位の礼・大嘗祭国費支出差止等請求控訴事件でした。
イ 傍論として,「現実に実施された本件即位礼正殿の儀(即位の礼の諸儀式・行事のうち、本件諸儀式・行事に含まれるのは、即位礼正殿の儀のみである)は、旧登極令及び同附式を概ね踏襲しており、剣、璽とともに御璽、国璽が置かれたこと、海部首相が正殿上で万歳三唱をしたこと等、旧登極令及び同附式よりも宗教的な要素を薄め、憲法の国民主権原則の趣旨に沿わせるための工夫が一部なされたが、なお、神道儀式である大嘗祭諸儀式・行事と関連づけて行われたこと、天孫降臨の神話を具象化したものといわれる高御座や剣、璽を使用したこと等、宗教的な要素を払拭しておらず、大嘗祭と同様の趣旨で政教分離規定に違反するのではないかとの疑いを一概に否定できないし、天皇が主権者の代表である海部首相を見下ろす位置で「お言葉」を発したこと、同首相が天皇を仰ぎ見る位置で「寿詞」を読み上げたこと等、国民を主権者とする現憲法の趣旨に相応しくないと思われる点がなお存在することも否定できない。」などと判示したものの,結論としては,個人の思想等の形成,維持に具体的かつ直接的に影響を与えたとはいえないということで,請求棄却判決でした。
ウ 多面体Fブログの「スタートした即位大嘗祭違憲訴訟の会」には,大阪高裁平成7年3月9日判決に関して,「かつてない裁判所の判断だし、しかも高裁判決として温存したほうがよいと考え、全国の控訴人とも相談のうえ最高裁への上告は行わなかった。」と書いてあります。
エ 東京新聞HPの「<代替わり考 皇位継承のかたち>(4) 大嘗祭に国費 違憲可能性」(平成31年1月11日付)には以下の記載があります。
   一九九五年三月、大阪高裁は一審と同様、原告の慰謝料請求などを退けた。ただし、判決の結論に影響しない「傍論」で、大嘗祭と即位礼正殿の儀への国費支出を「ともに憲法の政教分離規定に違反する疑いは否定できない」と指摘した。
 判決原案を書いたのは、主任裁判官の井戸だった。あえて傍論で憲法判断に踏み込んだ理由を「結論に関係がなくとも、できる範囲で答えるべきだと考えた」と明かす。裁判長ら三人の合議でも異論は出なかったという。
 国を相手に儀式への国費支出の合憲性を争う集団訴訟は他になく、全国の千人以上が原告として参加した。原告側は「実質勝訴」として上告せず、判決を確定させた。このため国費支出の合憲性について最高裁の判断は出されていない。
オ 未来政治塾HPの「井戸謙一」には,「退官後は、滋賀県弁護士会でいわゆる「マチ弁護士」として、「自分が正しいと信じることを貫くこと」を理念に、憲法9条問題や原発問題に取り組み、大飯原発の運転差し止め訴訟等の画期的判決を勝ち取る。 」などと紹介されています。
カ 第一審判決は大阪地裁平成4年11月24日判決(担当裁判官は16期の福富昌昭,36期の小林元二及び43期の大藪和男)です。
(2) 東京高裁平成16年4月16日判決(担当裁判官は21期の相良朋紀,31期の三代川俊一郎及び33期の野山宏
ア 事件名は,即位の礼・大嘗祭違憲住民訴訟請求控訴事件でした。
イ 第一審判決は東京地裁平成11年3月24日判決(担当裁判官は26期の青柳馨39期の増田稔及び49期の篠田賢治)です。
ウ 上告審判決は最高裁平成17年12月8日判決であるかもしれません(レファレンス協同データベースHP「平成17年(2005年)12月8日に最高裁判所第一小法廷で判決が下された、「都知事が大嘗祭に参列したことを合憲」とした判例を探している。」で始まる記事参照)。

6 政教分離原則に関する最高裁判決の裁判要旨(大嘗祭等の合憲性に関係すると思われるもの)
(1) 津地鎮祭訴訟に関する最高裁大法廷昭和52年7月13日判決(破棄自判・合憲判決)の裁判要旨(抜粋)
   市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式は、宗教とかかわり合いをもつものであることを否定することはできないが、その目的が建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従つた儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果が神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものとは認められない判示の事情のもとにおいては、憲法二〇条三項にいう宗教的活動にあたらない。
(2) 愛媛玉串訴訟に関する最高裁大法廷平成9年4月2日判決(上告棄却・違憲判決)の裁判要旨(抜粋)
   愛媛県が、宗教法人靖国神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である例大祭に際し玉串料として九回にわたり各五〇〇〇円(合計四万五〇〇〇円)を、同みたま祭に際し献灯料として四回にわたり各七〇〇〇円又は八〇〇〇円(合計三万一〇〇〇円)を、宗教法人愛媛県護国神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である慰霊大祭に際し供物料として九回にわたり各一万円(合計九万円)を、それぞれ県の公金から支出して奉納したことは、一般人がこれを社会的儀礼にすぎないものと評価しているとは考え難く、その奉納者においてもこれが宗教的意義を有する者であるという意識を持たざるを得ず、これにより県が特定の宗教団体との間にのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないのであり、これが、一般人に対して、県が当該特定の宗教団体を特別に支援しており右宗教団体が他の宗教団体とは異なる特別のものであるとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ないなど判示の事情の下においては、憲法二〇条三項、八九条に違反する。
(3) 靖国参拝違憲訴訟に関する最高裁平成18年6月23日判決(上告棄却・合憲判決)の裁判要旨
   内閣総理大臣の地位にある者が靖國神社に参拝した行為によって個人の心情ないし宗教上の感情が害されたとしても,損害賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったとはいえない。
(補足意見がある。)
(4) 白山ひめ神社訴訟に関する最高裁平成22年7月22日判決(破棄自判・合憲判決)の裁判要旨
   神社の鎮座2100年を記念する大祭に係る諸事業の奉賛を目的とする団体の発会式に地元の市長が出席して祝辞を述べた行為は,地元にとって,上記神社が重要な観光資源としての側面を有し,上記大祭が観光上重要な行事であったこと,上記団体はこのような性質を有する行事としての大祭に係る諸事業の奉賛を目的とするもので,その事業自体が観光振興的な意義を相応に有していたこと,上記発会式は,市内の一般の施設で行われ,その式次第は一般的な団体設立の式典等におけるものと変わらず,宗教的儀式を伴うものではなかったこと,上記市長は上記発会式に来賓として招かれて出席したもので,その祝辞の内容が一般の儀礼的な祝辞の範囲を超えて宗教的な意味合いを有するものであったともうかがわれないことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。

7 大嘗祭等
(1) 平成2年11月に挙行された大嘗祭についての政府の説明
   第8回皇室典範に関する有識者会議(平成17年8月30日開催)「資料3 皇位の継承に係わる儀式等(大嘗祭を中心に)について」によれば,平成2年11月に挙行された大嘗祭についての政府の説明は以下のとおりです。
① 皇室典範に即位(践祚)と即位の礼を規定し、大嘗祭を規定しなかった理由

・ 即位の礼に関しましては、今回制定せられまする典範の中にやはり規定が設けてありまして、実質において異なるところはございませんので、大嘗祭等のことを細かに書くことが一面の理がないわけではありませんが、これはやはり信仰に関する点を多分に含んでおりまするが故に、皇室典範の中に姿を現わすことは、或は不適当であろうと考えておるのであります。……
(昭和21年12月5日 衆議院本会議皇室典範案第一読会 金森徳次郎国務大臣)
・ 現行の皇室典範の二十四条というものは、天皇の即位に伴いまして国事行為たる儀式として即位の礼を行うことを予定したものと解されますが、大嘗祭には宗教的な面があるということも考えまして、これに関する規定は制定当時設けなかった、将来の慎重な検討にゆだねる、こういうことのように考えております。
(平成2年5月24日 参議院内閣委員会 工藤敦夫内閣法制局長官)
② 大嘗祭の意義
・ 大嘗祭は、稲作農業を中心とした我が国の社会に古くから伝承されてきた収穫儀礼に根ざしたものであり、天皇が即位の後、初めて、大嘗宮において、新穀を皇祖及び天神地祇にお供えになって、みずからお召し上がりになり、皇祖及び天神地祇に対し安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家・国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式である。それは、皇位の継承があったときは、必ず挙行すべきものとされ、皇室の長い伝統を受け継いだ、皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式である。
(平成元年12月21日 閣議口頭了解(「即位の礼」・大嘗祭の挙行等について)の別紙より)
③ 大嘗祭の儀式の位置付け
・ 大嘗祭は、前記のとおり、収穫儀礼に根ざしたものであり、伝統的皇位継承儀式という性格を持つものであるが、その中核は、天皇が皇祖及び天神地祇に対し、安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家・国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式であり、この趣旨・形式等からして、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することができず、また、その態様においても、国がその内容に立ち入ることにはなじまない性格の儀式であるから、大嘗祭を国事行為として行うことは困難であると考える。……
(平成元年12月21日 閣議口頭了解(「即位の礼」・大嘗祭の挙行等について)の別紙より)
④ 大嘗祭の費用
・ 大嘗祭を皇室の行事として行う場合、大嘗祭は、前記のとおり、皇位が世襲であることに伴う、一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式であるから、皇位の世襲制をとる我が国の憲法の下においては、その儀式について国としても深い関心を持ち、その挙行を可能にする手だてを講ずることは当然と考えられる。その意味において、大嘗祭は、公的性格があり、大嘗祭の費用を宮廷費から支出することが相当であると考える。
(平成元年12月21日 閣議口頭了解(「即位の礼」・大嘗祭の挙行等について)の別紙より)
(2) 大嘗祭の沿革
   平成2年に宮内庁が報道機関等に配布した資料には,「大嘗祭の沿革」として以下の記載があったみたいです(第8回皇室典範に関する有識者会議(平成17年8月30日開催)「資料3 皇位の継承に係わる儀式等(大嘗祭を中心に)について」参照)。
   大嘗祭の沿革をたどると、その起源は、新嘗の祭に由来する。新嘗の祭については、我が国最古の歴史書である古事記(712年に撰進)や日本書紀(720年に撰進)において、皇祖天照大神が新嘗の祭を行われたことや上古の天皇が新嘗の祭を行われたことの記述が見られるように、その起源は、それらの歴史書が編纂された奈良時代以前にまで遡ることができる。
   なお、新嘗の祭が、我が国の社会に古くから伝承されたものであることは、常陸国風土記(720年ごろに完成)に引く説話や万葉集(8世紀半ば過ぎに編纂)の歌によっても明らかである。
   7世紀中頃までは、一代に一度行われる大嘗祭と毎年行われる新嘗祭との区別はなかったが、第40代天武天皇の時(御在位673年~686年)に、初めて、大嘗祭と新嘗祭とが区別された。爾来、大嘗祭は一世に一度行われる極めて重要な皇位継承儀式とされ、歴代天皇は、即位後必ずそれを行われることが皇室の伝統となった。
   なお、歴代天皇のうち大嘗祭を行われなかった若干の例があるが、それは、大嘗祭を行われる前に退位されたり、或いは相次ぐ兵乱などのために経費の調達が困難であったことにより、大嘗祭を挙行することができなかったという特殊事情があったからである。
(3) 訴訟で知事等の参列が問題となった,主基斎田抜穂の儀及び大嘗宮の儀
ア ①大分県主基斎田抜穂の儀参列違憲訴訟で参列が問題となった主基斎田抜穂の儀は,斎田で新穀の収穫を行うための儀式であり,平成2年10月10日に大分県で行われた儀式です。
イ ②鹿児島県大嘗祭参列違憲訴訟及び③神奈川県即位儀式・大嘗祭参列違憲訴訟で参列が問題となった,大嘗祭の一部である「大嘗宮の儀」は,天皇が即位した後,大嘗宮の悠紀殿及び主基殿において初めて新穀を皇祖及び天神地祇に供えられ,自らも召し上がり,国家・国民のためにその安寧と五穀豊穣などを感謝し,祈念される儀式です。
ウ それぞれの儀式の内容については,宮内庁HPの「ご即位・大礼の主な儀式・行事」が参考になります。
エ 東京地裁平成11年3月24日判決63頁には,「本件諸儀式(注:即位の礼及び大嘗祭の関連諸儀式のこと。)のうち「即位礼正殿の儀」、「祝賀御列の儀」及び「饗宴の儀」は、国により国事行為として挙行され、一方、それ以外の諸儀式については、その儀式の宗教性及び態様から、皇室による私的な代替わりの儀式として挙行されたものであり、後者の儀式の挙行については、国が費用を負担するなど一定の事務的な援助の措置を講じている」と書いてあります。
オ 公益財団法人協和協会HP「大嘗祭が合憲・合法であることの法的論拠」(平成2年11月提出)には,大嘗祭を国事行為として行っても違憲ではないという主張が書いてあります。
(4) 即位礼正殿の儀及び大嘗祭の日程
ア 平成の代替わりでは,即位礼正殿の儀は平成2年11月12日に実施され,大嘗祭は同年11月22日及び同月23日に実施されました。
イ 令和の代替わりでは,即位礼正殿の儀は同年10月22日に実施され,大嘗祭は同年11月14日及び同月15日に実施されました(宮内庁大礼委員会「議事次第」「資料2 大嘗祭関係資料」参照)。
(5) 平成の即位の礼関連の閣議決定及び閣議口頭了解
   第2回 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会(平成30年2月20日開催)「平成の御代替わり時における式典の挙行内容に関する閣議決定等(PDF/459KB)」に以下の閣議決定及び閣議口頭了解等が載っています。
① 剣璽等承継の儀を国の儀式として行うことについて(昭和64年1月7日閣議決定)
② 即位後朝見の儀を国の儀式として行うことについて(昭和64年1月7日閣議決定)
③ 「即位の礼」・大嘗祭の挙行等について(平成元年12月21日閣議口頭了解)
④ 「即位の礼」の挙行について〔大綱〕(平成2年1月19日即位の礼委員会決定・閣議口頭了解)
⑤ 即位礼正殿の儀を国の儀式として行うことについて(平成2年1月19日閣議決定)
⑥ 祝賀御列の儀を国の儀式として行うことについて(平成2年1月19日閣議決定)
⑦ 饗宴の儀を国の儀式として行うことについて(平成2年1月19日閣議決定)
(6) 過去の代替わりに関する宮内庁作成の資料
   第2回 天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会(平成30年2月20日開催)に以下の資料が載っています。
① 資料1(歴史上の実例)
→ 文化14年(1817年)3月22日,光格天皇(47歳)が仁孝天皇(18歳)に譲位した事例が書いてあります。
② 資料2(天皇皇后両陛下の平成御大礼時の御日程について)
(7) その他
   平成31年4月30日放送のNHKスペシャル「日本人と天皇」では,NHKが再現したところの大嘗祭が放送されました。

8 天皇の行為に関する内閣法制局長官の答弁等
(1) 横畠裕介内閣法制局長官は,平成31年3月13日の参議院予算委員会において以下の答弁をしています。
   天皇の行為は、①国家機関としての行為である国事行為、②象徴としての地位に基づいて公的な立場で行われる公的行為、③その他の行為の三つに分類されます。
 まず、国事行為は、国家機関としての天皇の行為であり、その内容は、憲法第四条第二項、第六条及び第七条に規定されているとおりでございます。
 また、憲法第四条第一項におきまして「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを」行うと定められており、憲法第三条において「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」と定められているところでございます。
 もっとも、言うまでもなく、天皇は、国家機関としての国事行為を行う以外にも、自然人として様々な事実行為を行うことがございます。
 ②の天皇の公的行為は、このような事実行為のうち、憲法第一条に規定する「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」としての地位に基づいて公的な立場で行われるものであり、憲法上の明文の根拠はありませんが、象徴としての地位にある天皇の行為として当然に認められるものと解されます。
 天皇の公的行為は、国事行為ではないので、憲法に言う内閣の助言と承認は必要ではなく、あくまでも天皇の御意思を基として行われるべきものでありますが、象徴としての地位に基づいて公的な立場で行われるものであることから、当然、内閣は、これが憲法の趣旨に沿って行われるよう配慮すべき責任を負っております。
 具体的に申し上げますと、天皇の公的行為については、①国事行為におけるのと同様に、国政に関する権能が含まれてはならない、すなわち、政治的な意味を持つとか、あるいは政治的な影響を持つものが含まれてはならない、②象徴たる性格に反するものであってはならない、③内閣が責任を負うものでなければならないという制約があると考えられ、直接には宮内庁が、最終的には内閣がその責任において配慮しているところでございます。
 ③のその他の行為でございますけれども、天皇の自然人としての事実行為のうち公的行為以外のものでございますけれども、そのような行為である限りは基本的に内閣が関与するということではございませんが、政治的な意味を持つものが含まれてはならないといった制約はあると考えられているところでございます。
(2) 「法の番人として生きる――大森政輔 元内閣法制局長官回顧録」164頁には以下の記載があります。
 宮内庁は(山中注:大嘗祭を)宮廷費で賄えるという面では公的性格があるんだという部分を捉えまして、大嘗祭以後は、宮内庁は天皇の行為を三分類ではなくて四分類にしてしまいました。国事行為、公的行為、そしてその他の行為に二種類あって、その経費を宮廷費で賄う公的性格を有するものと、全くそういう色彩のないまさに内廷費で賄うものです。前閣議口頭了解は、法制局としては、決して天皇の行為を四分類にしたつもりはなかったのですね。「その意味において」というところは、四分類ではなくて、金の出し方だけ、ということだったのですが、勝手読みをされて、少なくとも宮内庁においては四分類説がもう成立してしまっているのです。
(3) 参議院議員浜田聡君提出国葬、国葬儀、合同葬儀の違い等に関する質問に対する答弁書(令和4年8月15日付)には以下の記載があります。
① 日本国憲法第七条第十号に規定する儀式は、いずれも国の儀式として行われている。また、宮内庁法第二条第八号に規定する儀式については、そのうち日本国憲法第七条第十号に規定する儀式に該当するものが国の儀式として行われている。
② お尋ねの「内閣儀式等において、天皇が国事行為、公的行為又はその他の行為を行った事例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、直近の内閣の行う行事である令和四年四月十八日に行われた第十六回みどりの式典への天皇陛下の御臨席等は、天皇の自然人としての事実行為のうち象徴としての地位に基づいて公的な立場で行われる公的行為に該当するものと考えている。

9 下級審裁判官が既存の最高裁判例に反する裁判をなす場合
(1) 「刑事実務と下級審判例」(著者は11期の小林充裁判官)が載ってある判例タイムズ588号の12頁及び13頁には以下の記載があります。
 次に、特殊な場合として下級審裁判官が既存の最高裁判例(または大審院判例-裁判所法施行令5条参照)に反する裁判をなす場合につき若干考察しておく。
 まず、それがまったく容認され得ないものでないことはいうまでもない。最高裁判所の拘束力の根拠は、当該事件に関する国の裁判所としてのあるべき法解釈の推測資料として、最高裁が同種事件についてなした法解釈が重要な意味をもつということにあった。すなわち、そこで重要なのは、最高裁判例それ自体ではなく、国家機関としてのあるべき法解釈ということにあるといわなければならない。ところで、法解釈は社会情勢の変化等に対応して不断に生成発展すべき性質をも有するものであり、最高裁判例も、常にあるべき法解釈を示すとは限らない。このことは、刑訴法410条2項において最高裁自体によって既存の最高裁判例が変更されることが予定されていることから明らかであろう。そして、下級審裁判官としては、あるべき法解釈が既存の最高裁判例と異なると信ずるときには、既存の最高裁判例と異なる裁判をなすことが容認されるといい得るのである。
 ただ、あるべき法解釈というのが、既に述べたように、当該裁判官が個人的に正当であると信ずる法解釈ではなく、国の裁判所全体としてのあるべき法解釈、換言すれば、当該事件が最高裁判所に係属した場合に最高裁が下すであろう法解釈を意味するものであるとすれば、下級裁判所裁判官が右のように信じ得るのは、当該事件が最高裁に係属した場合に最高裁が従前の判例を変更し自己の採った法解釈を是認することが見込まれる場合ということにほかならない。そして、最高裁判例の変更が見込まれるということの判断がしかく容易にされるものではないことは明らかである。その意味では、下級審裁判官が最高裁の判例に従わないことは例外的にのみ許容されるといってよいであろう。下級審裁判官としてただ単に最高裁判例に納得できないということが直ちにこの判断と結びつくものではないことはもとより、最高裁判例に従わない所以を十分の説得力をもって論証できると考えるときも、そのことから直ちに右判例の変更が見込まれるということはできないであろう。下級審裁判官として、最高裁判例の変更が見込まれるかどうかの判断に当たっては、当該判例につき、最近に至るまで何回も同趣旨の判例が反復して出されているか古い時期に一度しか出ていないものであるか、大法廷の判例であるか小法廷の判例であるか、少数意見の有無およびその数の多少、同種の問題につき他の判例と調和を欠くものでないか、それが出された後これに反する下級審判決が現われているか等を、慎重に勘案すべきであろう。
(2) 35期の元裁判官である弁護士森脇淳一HP「裁判官の身分保障について(3)」(平成31年2月21日付)には,「刑事実務と下級審判例」(著者は11期の小林充裁判官)は,裁判官国家機関説(一審の裁判官たるものは,高裁や最高裁がするであろう判断と異なる判断をしてはならないとする説)を裁判官全体に浸透させるのに大いに力があったという趣旨のことが書いてあります。

10 大嘗祭の合憲性に関する内閣答弁書及び内閣法制局の資料
(1) 衆議院議員小森龍邦君提出即位の礼、大嘗祭に関する質問に対する答弁書(平成2年11月20日付)は以下のとおりです。
一について
 高御座は、歴史上、伝統的皇位継承儀式の中核であるいわゆる即位礼において用いられるのが常とされ、皇位と密接に結びついた、古式ゆかしい調度品として伝承されてきたという、文化的・伝統的な面を有しており、今回の即位礼正殿の儀に際し、高御座のこのような面に着目してこれを用いたものであるから、高御座の使用は、憲法上の天皇の地位をゆがめるものではないと考える。
二について
 大嘗祭は、天皇陛下が、御即位の後、初めて、大嘗宮において、新穀を皇祖及び天神地祇にお供えになって、みずからもお召し上がりになり、皇祖及び天神地祇に対し、安寧と五穀豊穰などを感謝されるとともに、国家・国民のために安寧と五穀豊穰などを祈念される儀式であると認識している。なお、御指摘のような記述のあることは承知しているが、それは当時の特殊事情によるものと考える。
三について
 御指摘のいわゆる寝座は、皇祖がお休みになられるために見立てられた神座であると承知している。
四について
 御指摘の采女は、天皇陛下が神饌を御親供になる際にお手伝いをすると承知している。
五について
 大嘗祭の中核である大嘗宮の儀は、深夜、厳粛かつ静寂な中で、悠紀殿及び主基殿において、天皇陛下が皇祖及び天神地祇に安寧と五穀豊穰などを感謝し、祈念される儀式であり、儀式の性格上、その公開にはおのずから制約があるものと承知している。
(2) 内閣法制局の資料を以下のとおり掲載しています。
① 大嘗祭の合憲性に関する内閣法制局の国会用資料等
② 大嘗祭の合憲性に関する内閣法制局の国会答弁の抜粋

11 大嘗祭及び即位の礼に関する中坊公平日弁連会長の所信表明
 中坊公平日弁連会長は,平成2年10月24日,「大嘗祭と即位の礼について」と題して,以下の所信を表明しました。
   来る11月に挙行される「大嘗祭」と「即位の礼」について、日本弁護士連合会会長として、次のとおり所信を表明する。
   現行憲法は、国民主権を基本原則とし、象徴天皇制と政教分離の原則を採用している。これは、大日本帝国憲法下の天皇主権、神格天皇の原理とは、基本的に異なることを意味している。
   まず「大嘗祭」は、極めて宗教性の強い儀式であるので、国が関与し宮廷費を支出することは、その目的及び効果から見ても、現行憲法の政教分離の原則に抵触するものと言わざるを得ない。
   そこで「大嘗祭」に国が関与し、宮廷費を支出することがないよう、政府に強く要望する。
   また、「即位の礼」は、既に廃止された大日本帝国憲法下の「登極令」を踏襲することなく、国民主権、政教分離の原則に基づき、象徴天皇制にふさわしい儀式として挙行するよう期待する。

12 名古屋家裁裁判官に関する,平成31年3月13日付の産経新聞の報道
(1) 産経新聞HPの「昭和の日を「無責任の日」と批判 判事、過激派参加団体で活動も」(平成31年3月13日付)には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 4月末の天皇陛下の譲位を前に、名古屋家裁の男性判事(55)が「反天皇制」をうたう団体の集会に参加していたことが12日、明らかになった。
   判事は平成21年以降、少なくとも3つの団体で活動。反皇室、反国家、反権力などを掲げ、中には過激派活動家が参加する団体もあった。
② 「反天皇制運動連絡会」(反天連、東京)などが呼びかけた「代替わり」反対集会では、皇室を批判する激しい発言が繰り返される。
判事は昨年、こうした反天連による別の集会に複数回にわたって参加し、自らも「批判的に考察していきたい」などと発言していた。
③ 関係者によると、判事は津地家裁四日市支部勤務だった21年、広島県呉市で行われた反戦団体「ピースリンク広島・呉・岩国」(呉市)の集会に参加。実名でスピーチした。
   その後、広島地家裁呉支部に異動し、同団体の活動に参加した。
④ 名古屋家裁に異動すると、反戦団体「不戦へのネットワーク」(名古屋市)に参加。会報に「夏祭起太郎」の名前で論考を寄稿した。
⑤ 産経新聞は今年2月、判事に複数回、直接取材を申し込んだが、いずれも無言で足早に立ち去った。
⑥ 名古屋家裁には昨年11月に判事の政治運動疑惑を伝え、見解を質問した結果、書面で「承知していない」「仮定の質問にはお答えできない」との回答があった。
    今年2月に再度取材したが、家裁は判事に事情を聴くなどの調査をしたかについても明らかにせず、「お答えすることはない」とした。
(2) その余の詳細については,「柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容」を参照してください。

13 関連記事その他
(1) 天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ,天皇には民事裁判権が及びませんから,天皇を被告とする訴えは,訴状却下命令(民訴法137条2項)の対象となります(最高裁平成元年11月20日判決。ただし,第一審は訴え却下判決(民訴法140条)を出し,原審はこれを維持していました。)。
(2) 瓜生順良宮内庁次長は,昭和38年3月29日の衆議院内閣委員会において以下の答弁をしています。
    こういう問題(山中注:名誉毀損の問題)は、親告罪でございまするから、(山中注:皇太子妃)御本人のお気持できまることでございまするが、われわれがまあ推察いたしますると、皇族という御身分の方が一般の国民を相手どって原告・被告で法廷で争われるというようなことは、これは事実問題としては考えさせられる点が非常に多いですから、まああまりないと思います。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 国葬儀

芦高源裁判官(40期)の経歴

生年月日 S33.12.16
出身大学 同志社大院
R5.12.16 定年退官
R3.12.21 ~ R5.12.15 大阪高裁6刑部総括
R2.10.19 ~ R3.12.20 熊本家裁所長
H31.3.28 ~ R2.10.18 福岡高裁宮崎支部刑事部部総括
H29.4.1 ~ H31.3.27 神戸地裁1刑部総括
H26.1.29 ~ H29.3.31 大阪地裁1刑部総括
H25.4.1 ~ H26.1.28 大阪高裁3刑判事
H22.4.1 ~ H25.3.31 広島地裁2刑部総括
H18.4.1 ~ H22.3.31 大阪高裁5刑判事
H15.4.1 ~ H18.3.31 広島高裁第1部判事
H14.4.1 ~ H15.3.31 広島地裁判事
H11.4.1 ~ H14.3.31 京都地裁判事
H10.4.12 ~ H11.3.31 鳥取地家裁判事
H8.4.1 ~ H10.4.11 鳥取地家裁判事補
H5.4.1 ~ H8.3.31 神戸地家裁姫路支部判事補
H2.4.1 ~ H5.3.31 岡山地家裁判事補
S63.4.12 ~ H2.3.31 大阪地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2の1 京都地裁平成18年12月13日判決(担当裁判官は30期の氷室眞49期の武田正及び58期の八槇朋博)は,ファイル共有ソフトWinnyを開発していた者のインターネットを介したWinnyの提供行為が著作権法違反幇助に問われたWinny事件(平成16年5月9日にWinnyの作成者が逮捕されました。)において,罰金150万円の有罪判決となりました。
    ただし,当該判決は大阪高裁平成21年10月8日判決(担当裁判官は27期の小倉正三40期の芦高源及び41期の飯畑正一郎)によって取り消されて被告人は無罪となり,最高裁平成23年12月19日決定によって検察官の上告は棄却されました。
*2の2 最高裁平成23年12月19日決定の裁判要旨は以下のとおりです。
    適法用途にも著作権侵害用途にも利用できるファイル共有ソフトWinnyをインターネットを通じて不特定多数の者に公開,提供し,正犯者がこれを利用して著作物の公衆送信権を侵害することを幇助したとして,著作権法違反幇助に問われた事案につき,被告人において,(1)現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながらWinnyの公開,提供を行ったものでないことは明らかである上,(2)その公開,提供に当たり,常時利用者に対しWinnyを著作権侵害のために利用することがないよう警告を発していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,例外的とはいえない範囲の者がそれを著作権侵害に利用する蓋然性が高いことを認識,認容していたとまで認めることも困難であり,被告人には著作権法違反罪の幇助犯の故意が欠ける。

裁判文書及び司法行政文書がA4判・横書きとなった時期

目次
1 裁判文書の場合
2 司法行政文書の場合
3 関連記事その他

1 裁判文書の場合
(1)   平成13年1月1日からA4判・横書きとなるとともに,参考書式の仕様は1行37文字・1頁26行・左余白30㎜・上余白35㎜とされました(日弁連HPの「裁判文書」参照)。
(2) 平成12年12月31日までは,かつての民事訴訟規則(平成10年1月1日廃止)6条が「訴訟書類には、できる限り、日本工業規格B列四番の用紙を二つに折ったもの又は日本工業規格B列五番の用紙を使用しなければならない。ただし、図面、統計表その他これに準ずるものについては、この限りでない。」と定めていたため,B判・縦書きでした。
(3) 日弁連HPの「裁判文書」には,「その他(平成12年11月16日日弁連企第231号)」として以下の記載があります。
    弁護士会から最高裁事務総局に照会しました結果は以下のとおりです。
・ 印刷仕様は片面印刷
・ A3判の袋とじは使用せず、A4判によるものとする。
・ 複数枚の文書の綴じ方は左綴じとし、左余白30㎜以内のところで、ホチキスにより2か所をとめる。
・ 使用文字の大きさは12ポイントの文字で、見出しの文字の大きさを変更するのは任意である。
・ 読点の種類について裁判文書は「,」に統一しているので、「,」の使用する。ただし「、」を使用されている文書も用いることができる。
・ 裁判所書式の一部改正について
(平成30年11月12日日弁連法2第223号)
    平成30年10月17日から、証人等尋問調書の様式が一部改正されています。被害者または証人等の秘匿情報管理の観点から、証人等尋問調書の様式の住居欄、年齢欄および職業欄を削除したとのことです。
(4) 45期の門田友昌最高裁判所民事局長は,令和4年4月3日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
    裁判官が個別の事案において判決書をどう起案するかについては、各裁判官の判断と責任に委ねられているところでございまして、最高裁判所が個別事案における裁判官の判決起案の在り方やその過程について調査、検証等の対応を取ることは、裁判官の職権行使の独立との関係で相当ではないと考えているところでございます。
    したがって、最高裁としては、今回報道されました判決の起案過程において、いわゆるコピペが行われたかどうかについて調査、検証することは難しいということを御理解いただければと存じます。
(5)ア 裁判文書の表記方法につき以下の記事が参考になります
・ 裁判文書作成の技術HP「裁判文書表記法」
・ 実務の友HP「裁判文書(裁判所提出書類)の標準的な書式,表記法」
イ 以下の文書を掲載しています。
・ 判決書の書式等の標準的な設定について(平成29年7月24日付の最高裁判所総務局長等の書簡)
・ 判決書の書式等の標準的な設定に従った参考書式等の送付について(平成29年7月24日付の最高裁判所総務局第一課長,民事局第一課長,刑事局第一課長等の事務連絡)


2 司法行政文書の場合
(1) 昭和61年1月1日,縦書きから左横書きとなりました。
(2) 平成 7年1月1日,以下の通達に基づき,A判の用紙が使用されるようになりました。
① 司法行政文書の用紙規格及び左横書きについて(平成6年9月1日付の最高裁判所事務総長依命通達)
② 司法行政文書の用紙規格及び左横書き実施要領について(平成6年9月1日付の最高裁判所事務総局秘書課長依命通達)
(3) 例えば,最高裁判所裁判官会議議事録に「部の事務を総括する裁判官の名簿」についていえば,昭和62年度分(昭和61年12月作成)からB判・横書きとなり,平成8年度分(平成7年12月作成)からA4判・横書きとなりました。
(4) 以下の資料を掲載しています。
・ 一元的な文書管理システム教材の改訂版(令和2年3月24日付の配布文書)
・ 文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)
・ 公文書の左横書きについて(昭和47年12月22日付の内閣法制局の文書)
・ 閣議関係文書のA4判化等について(平成5年11月25日付の内閣法制局長官総務室第一課の連絡文書)


文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)
からの抜粋です。

3 関連記事その他
1 文化庁HPの「「公用文作成の考え方」について(建議)」「公用文作成の考え方(令和4年1月7日付の文化審議会の建議)」が載っていますところ,前書きには「昭和26年に当時の国語審議会が建議した「公用文作成の要領」は、翌27年に内閣官房長官依命通知別紙として各省庁に周知されてから約70年を経ている。基本となる考え方は現代にも生きているものの、内容のうちに公用文における実態や社会状況との食い違いがあることも指摘されてきた。」と書いてあります。
2 以下の記事も参照して下さい。
・ 新様式判決
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
・ 司法行政文書に関する文書管理
・ 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携

上告審から見た書記官事務の留意事項

目次
1 上告審から見た書記官事務の留意事項
2 上告審から見た書記官事務の指導ポイント
3 関連記事その他

1 上告審から見た書記官事務の留意事項
(令和時代)
令和 元年分令和 2年分令和 3年分
令和 4年分令和 5年分令和 6年分
(平成時代)
平成24年分平成25年分平成26年分
平成27年分平成28年分平成29年分
平成30年分


2 上告審から見た書記官事務の指導ポイント
・ 上告審から見た書記官事務の指導ポイント(平成29年11月 1日付)
・ 上告審から見た書記官事務の指導ポイント(平成28年10月13日付)
→ 平成28年10月13日付の文書には,「本書面は,平成23年から平成27年までに送付された上告等事件記録から,書記官として,適正かつ効率的な事務を確保していく上で留意すべき事項を抽出し,根拠条文や参考となる判例等を補足したものです。また,年度欄に複数年記載されている事項は,誤りやすい事項であり,事務処理をするに当たって,注意を要する事項でもあります。」と書いてあります。

3 関連記事その他
(1) 口頭弁論調書に不備がある場合,上告理由として主張できることが分かります。
(2)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 訟廷首席書記官付各係の事務分掌(平成22年2月1日時点)
・ 高等裁判所における上告提起事件及び上告受理申立て事件の処理について
→ 上告審から見た書記官事務の留意事項(令和3年分)に含まれている資料です。
イ 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携
・ 最高裁判所における民事事件の口頭弁論期日
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
・ 民事事件の裁判文書に関する文書管理
・ 裁判所書記官の処分に対する異議申立て
・ 書記官事務等の査察

書記官事務等の査察

目次
1 裁判所における査察の種類
2 最高裁判所による査察の種類
3 大阪高裁の査察結果報告書
4 書記官事務査察とは裁判官査察のこととする意見
5 組織のパフォーマンスめちゃ下げマニュアルからの引用
6 関連記事その他

1 裁判所における査察の種類
(1) 裁判所は毎年,以下の事務について査察を行っています(書記官事務等の査察について(昭和61年6月30日付の最高裁判所事務総長通達))。
① 書記官事務
② 速記官事務
③ 訟廷事務
④ 書記官事務に関連する会計事務
⑤ 訟廷事務に関連する会計事務
(2) 書記官事務,速記官事務及び訟廷事務の査察の場合,査察事務担当者は,高裁及び地裁の民事首席書記官及び刑事首席書記官,並びに家裁の首席書記官です。
   書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務の査察の場合,査察事務担当者は,高裁の事務局次長,並びに地裁及び家裁の事務局長です。
(3) 書記官事務,速記官事務及び訟廷事務の査察の場合,査察実施事務代理者は,高裁及び地裁の民事次席書記官及び刑事次席書記官,並びに家裁の次席書記官です。
   書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務の査察の場合,査察実施事務代理者は,高裁の会計課長等,並びに地裁及び家裁の事務局次長等です。
(4) 査察事務担当者及び査察実施事務代理者は,査察実施事務を行うにあたり,被査察庁の全体的な事務処理の状況を把握し,是正又は改善を要する事務の発見及びその事務が執られていた原因の究明に努めるとともに,従前の査察において是正又は改善を要すると指摘された事務について,その後適正な措置が執られているかどうかを調査します。
(5) 査察事務担当者は,査察実施事務が終了した時は,所属の裁判所に対し,速やかに被査察庁ごとに査察の結果を書面により報告します。
(6) 査察庁は,管内の査察実施事務の終了した後2か月以内に,書記官事務,速記官事務及び訟廷事務の査察については総務局長あてに,書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務の査察については経理局長あてに,それぞれ査察の結果を被査察庁ごとに取りまとめた上,これに対する所見を付して,書面により報告します。


2 最高裁判所による査察の種類
(1) 最高裁判所は毎年,高等裁判所の以下の事務について査察を行っています(最高裁判所による書記官事務等の査察について(平成13年9月4日付の最高裁判所事務総長通達))。
① 書記官事務
② 速記官事務
③ 訟廷事務
④ 書記官事務に関連する会計事務
⑤ 訟廷事務に関連する会計事務
(2) 査察事務担当者は,大法廷首席書記官,小法廷首席書記官及び訟廷首席書記官であり,大法廷首席書記官が査察事務を統括します。
   書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務についての査察事務担当者は,経理局長です。
(3) 査察事務担当者及び査察実施事務代理者は,査察実施事務を行うにあたり,被査察庁の全体的な事務処理の状況を把握し,是正又は改善を要する事務の発見及びその事務が執られていた原因の究明に努めるとともに,従前の査察において是正又は改善を要すると指摘された事務について,その後適正な措置が執られているかどうかを調査します。
(4) 査察事務担当者は,最高裁判所に対し,査察の結果を速やかに報告します。


3 大阪高裁の査察結果報告書
(1)ア 大阪高裁管内の裁判所を対象とした,査察結果報告書を掲載しています。
① 平成28年度書記官事務等査察の査察結果報告書
② 平成28年度書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務査察結果報告書
イ ②の報告書の作成者が大阪高裁事務局次長となっていますから,大阪高裁が査察庁として実施したものであることが分かります。
(2) 東京高裁管内の裁判所を対象とした,令和元年度書記官事務等査察の査察結果報告書を掲載しています。


4 書記官事務査察とは裁判官査察のこととする意見
(1) 法は国民のために~FLORALAWブログフローラ法律事務所(愛知県豊川市。代表者は43期の早川真一 元裁判官)が運営しているみたいです。)の「1633 名古屋高裁管内にもあった原本に基づかない民事判決言渡しの裁判官(依願退官),当時の支部長の依願退官は詰め腹?」(2019年2月8日付)に以下の記載があります。

【書記官事務査察とは裁判官査察のこと】
20年,30年前の,この種の裁判官があちこちで見つかったことの反省からか
年に2回ほど書記官事務査察というのが励行されています。
本庁の幹部クラスが,全ての裁判記録を目を皿のようにして見てチェックをし,併せて書記官に指導をもするのです。
ただ,この書記官事務査察というのは,名ばかりで
実は裁判官のお仕事振りをチェックするという隠れた目的があるのです。
憲法では裁判官の独立が保障されていますので,裁判官に外部から影響を与えるのは表向き拙いとされています。
それで便宜上「書記官」事務査察と呼ばれているのです。
査察内容や問題点等は,上席裁判官とか所長裁判官にも知らされます。
支部のヒラ裁判官に問題があれば,支部長にも知らされるはずです。

(2) 「42期の山崎秀尚岐阜地家裁判事に対する懲戒処分(戒告)」には以下の記載があります。
   被申立人は,平成26年4月1日から平成30年3月31日まで名古屋地方裁判所岡崎支部判事の職にあった者であるが,その在任期間中の平成29年4月17日から平成30年3月30日までの間に,36件の民事訴訟事件について,民事訴訟法252条に違反して,判決書の原本に基づかずに判決を言い渡したものである。


5 組織のパフォーマンスめちゃ下げマニュアルからの引用
・ Senses Lab.HPの「営業組織をブチ壊したい人必見!サボタージュマニュアルとは?」には,CIAの前身だったOSS(戦略諜報局)が70年ほど前に作成した,組織のパフォーマンスめちゃ下げマニュアルからの引用として例えば,以下の記載があります。
6.些細なことにも高い完成度を要求せよ。わずかな間違いも繰り返し修正させ小さな間違いも見つけ出せ。
8.もっともらしくペーパーワークを増大させよ。
10.すべての規則を隅々まで厳格に適用せよ。
11.何事をするにも「通常のルート」を通して行うように主張せよ。決断を早めるためのショートカットを認めるな。
16.あらゆる決断の妥当性を問え。ある決定が自分たちの管轄にあるのかどうか、また組織上層部のポリシーと相反しないかどうかなどを問題にせよ。


6 関連記事その他
(1) 書記官事務査察は,最高裁判所事務総局総務局第三課が担当していますところ,同課には平成26年4月1日現在,訟廷企画係,訟廷調査第一係(民事関係),訟廷調査第二係(刑事関係)及び訟廷調査第三係(家事及び少年関係)があります。
(2) 最高裁判所の令和4年度概算要求書(説明資料)227頁には「裁判所法第80条第2号に規定された監督権に基づく高等裁判所による管内の地方・家庭裁判所に対する査察,指導等及び裁判所法第80条第3号・4号に規定された監督権に基づく地方・家庭裁判所による管内の支部に対する査察,指導等」と書いてあります。
(3)ア 以下の資料も参照してください。
・ 民事上訴事件記録の送付事務について(令和3年6月18日付の最高裁判所訟廷首席書記官の事務連絡)
・ 民事上訴事件記録の送付事務について(令和3年7月20日付の東京高裁民事首席書記官の事務連絡)
・ メモに類する書面(記録外書面)の管理方法等について(平成29年2月2日付の東京高裁民事首席書記官の事務連絡)
・ 刑事上訴等事件記録送付要領について(令和3年6月25日付の東京高裁刑事首席書記官の事務連絡)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 上告審から見た書記官事務の留意事項
・ 最高裁判所事務総局総務局の事務分掌
・ 最高裁総務局・人事局・情報政策課との座談会
・ 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携
 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)

戦前の裁判文書の保存

1(1) 大審院並裁判所書類保存規程(明治18年10月24日司法省丁第21号達)により,裁判記録が他の政府の記録と別の法制度の下で保存されるようになりました(「司法資料の保存と現代的課題」74頁等参照)。
   これにより大審院については明治8年創設の時からの書類,控訴裁判所については明治8年の上等裁判所設置の時からの書類,始審裁判所については明治9年の地方裁判所に改称された時からの書類が保存されることとなりました。
(2) 大審院並裁判所書類保存規程では,事件記録については有期保存とし,それぞれの保存期間が定められたほか,民事及び刑事の判決原本については永久保存とされました。
(3) 司法省の文書の保存については,司法省文書保存規程(明治18年12月28日司法省第6195号達)で定められました。
   

2 民刑訴訟記録保存規程(大正7年6月3日司法省法務局庶第7号訓令)により,民事及び刑事の判決原本は永久保存となり,民事記録及び刑事記録は有期保存となりました。

3(1) 戦前の裁判文書については,民事記録及び刑事記録の両方が裁判所で保管されていました。
(2) 明治15年1月1日施行の治罪法(明治13年7月17日太政官布告第37号),及び明治23年11月1日施行の刑事訴訟法(明治23年10月7日法律第96号)には,刑事記録の保存に関する規定がありました。
   しかし,大正13年1月1日施行の刑事訴訟法(大正11年5月5日法律第75号)には,刑事記録の保存に関する規定はありませんでした。

4 「刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯」も参照してください。

司法行政文書の国立公文書館への移管

目次
1 総論
2 実務レベルでの申合せ
3 司法行政文書に関する公文書等移管計画
4 歴史資料として重要な公文書等として内閣総理大臣に移管すべき司法行政文書の類型
5 関連記事その他
   
1 総論
(1) 裁判所及び国会は,内閣総理大臣と協議して定めることにより,歴史公文書の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとされています(公文書管理法14条1項)。
   内閣総理大臣は,裁判所及び国会との合意により,歴史公文書の移管を受けることができます(公文書管理法14条2項)ところ,あらかじめ国立公文書館の意見を聴くことができます(公文書管理法14条3項)。
(2) 内閣総理大臣及び最高裁判所長官は,平成21年8月5日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」という申合せをしました(改正前の国立公文書館法15条1項参照)。
   これにより, 裁判所の過去の主要な活動を跡づけるために必要な,司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定等が記録された司法行政文書について保存期間が満了した場合,国立公文書館に移管されることとなりました(国立公文書館HPの「司法府から国立公文書館への公文書の移管について」参照)。
   
2 実務レベルでの申合せ
(1) 内閣府大臣官房長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」という申合せをしました(公文書管理法14条1項参照)。
(2) 当該申合せでは,保存期間が満了した以下の司法行政文書が国立公文書館に移管されることとなりました。
ア   司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定を行うための決裁文書(当該決裁文書と一体不可分の記録であって,当該決裁文書の内容又は当該意思決定に至るまでの審議,検討若しくは協議の過程が記録されたものを含む。)
イ   司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定に基づく裁判所の事務の実績が記録されたもの
ウ   次のいずれかに該当するもの
①   保存されている期間が30年以上である文書(保存期間が30年未満であっても,当該文書の保存期間及び保存期間の満了する日を延長した結果として30年以上となるものを含む。)
②   最高裁判所がその施策等を一般に周知させることを目的として作成した広報誌,パンフレット,ポスター,ビデオ等の広報資料
③   予算,決算に関する送付文書等の毎年又は隔年等に定期的に作成される文書のうち,(2)エの規定により,内閣総理大臣が最高裁判所長官と移管について協議し,包括的な合意に達したもの
④   (2)オの規定により,合意した特定の国政上の重要事項等に関連して作成された文書であって,内閣総理大臣が最高裁判所長官と移管について協議し,合意に達したもの
エ   裁判所の保有する司法行政文書であって,アからウまでのいずれにも該当しないもののうち,結果として司法制度上多大な影響を及ぼすこととなった事項について記録されたものその他内閣総理大臣が国立公文書館において保存することが適当であると認めるものであって,内閣総理大臣が最高裁判所長官と移管について協議し,合意に達したもの
(3) 内閣府大臣官房公文書管理課長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局第一課長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の内閣総理大臣への移管手続について」という申合せをしました。
   
3 司法行政文書に関する公文書等移管計画
(1) 内閣総理大臣が最高裁判所長官に通知した,司法行政文書に関する公文書等移管計画を以下のとおり掲載しています。
・ 令和 6年度分(令和 7年3月11日付)
・ 令和 5年度分(令和 6年3月28日付)
・ 令和 4年度分(令和 5年3月24日付)
・ 令和 3年度分(令和 4年3月31日付)
・ 令和 2年度分(令和 3年3月31日付)
・ 令和 元年度分(令和 2年3月24日付)
・ 平成30年度分(平成31年3月27日付)
・ 平成29年度分(平成30年3月30日付)
・ 平成28年度分(平成29年3月30日付)
・ 平成27年度分(平成28年3月22日付)
・ 平成26年度分(平成27年3月30日付)
・ 平成25年度分(平成26年3月31日付)
・ 平成24年度分(平成25年3月28日付)
・ 平成23年度分(平成24年3月22日付)
* 「令和3年度公文書等移管計画について(令和4年3月31日付の内閣総理大臣通知)」といったファイル名です。
(2) 公文書等移管計画は,歴史資料として重要な公文書等を移管する計画を年度ごとに定めた文書であり,「国立公文書館での保存を適当と認めるファイル」が載っています。
4 歴史資料として重要な公文書等として内閣総理大臣に移管すべき司法行政文書の類型
・ 「内閣総理大臣への司法行政文書の移管に関する事務の取扱いについて」(平成22年3月30日付の最高裁判所事務総長依命通達)別表によれば,歴史資料として重要な公文書等として内閣総理大臣に移管すべき司法行政文書の類型は以下のとおりです。
① 規則,規程等関係
(1) 最高裁判所規則及び最高裁判所規程の制定及び改廃に関する文書
(2) 通達及び通知のうち重要なもの
(3) 規定の解釈及び運用基準に関する文書
(4) (1)に掲げる文書に係る各府省庁との申合せに関する文書
② 裁判官会議等関係
(1) 裁判官会議に関する文書
(2) 常置委員会に関する文書
③ 予算,決算関係
(1) 予算書及び予算参考書に関する文書
(2) 予算要求に関する文書
(3) 決算書及び決算参照書に関する文書
(4) 決算の説明に関する文書
(5) 歳入主計簿及び歳出主計簿に関する文書
(6) 国有財産に関する文書
④ 基本計画等関係
・ 司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事務の方針及び計画に関する文書
⑤ 国際条約等関係
(1) 条約その他の国際約束の署名及び締結に関する文書
(2) 国際会議の取決めに係る記録のうち重要なもの
⑥ 組織,定員関係
(1) 組織の設立,変更及び廃止に関する文書
(2) 定員の変更及び廃止に関する文書
⑦ 審議会等関係
(1) 規則制定諮問委員会の諮問,答申,建議,意見及び議事録のうち重要なもの
(2) その他委員会,研究会等の報告書及び議事録のうち重要なもの
⑧ 事務総局会議関係
・ 事務総局会議に関する文書のうち重要なもの
⑨ 国会関係
(1) 国会答弁に関する文書
(2) 国会提出に関する文書
⑩ 争訟関係
・ 行政不服審査に関する文書
⑪ 統計関係
(1) 統計の企画及び公表資料の作成に関する文書
(2) 統計を作成するための調査に関する文書
⑫ 人事関係
(1) 職員の任免,身分,賞罰,恩給及び給与その他の人事に関する内規を定めた文書のうち特に重要なもの
(2) 審議会等の委員の任免関係に関する文書
⑬ 栄転,表彰関係
・ 叙位,叙勲,褒章及び各種表彰に関する文書のうち重要なもの
⑭ 事故等関係
・ 震災等自然災害関係等に関する文書のうち重要なもの
⑮ 調査,研究関係
(1) 司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な意思決定又はその遂行に反映させるために実施した調査又は研究の経緯に関する文書
(2) 司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な意思決定又はその遂行に反映させるために実施した調査又は研究の結果報告書
⑯ 司法行政に係る重要な政策関係
・ 司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な意思決定及び当該意思決定に基づく司法行政事務の実績が記録されたもの
⑰ その他
・   最高裁判所長官と内閣総理大臣が合意して移管の対象と認める国政上重要なもの又はそれに準じるもの
   
5 関連記事その他
(1) 内閣府HPの「公文書管理制度」「法令・通知等」があります。
(2) 「行政機関におけるコンプライアンス確保のための取組について」(平成30年8月3日の研修資料)が分かりやすいです。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館
・ 裁判関連文書は国立公文書館への移管が予定されていないこと
・ 司法行政文書に関する文書管理
・ 歴史資料として重要な公文書等として内閣総理大臣に移管すべき司法行政文書
・ 民事事件の判決原本の国立公文書館への移管
・ 公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館