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新型コロナウィルス感染症に準用されている感染症法,感染症法施行令及び感染症法施行規則の条文

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」といいます。)6条8項,7条1項及び66条に基づき制定された,
   新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年1月28日政令第11号)(ただし,リンク先は制定当時の条文です。)によれば,
   令和2年3月27日以降,新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)(以下「新型コロナウィルス」といいます。)について準用されている感染症法の条文は以下のとおりです(令和2年2月1日から施行されている条文は黒文字表記であり,2月14日から施行されている条文は赤文字表記であり,3月27日から施行されている条文は橙文字表記です。
○新型コロナウイルス感染症は一類感染症と似たような扱いです(一類感染症に関する8条3項,32条及び33条が準用されています。)。)。

新型コロナウィルス感染症に準用される感染症法の条文

(疑似症患者及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)
第八条 一類感染症の疑似症患者又は二類感染症のうち政令で定めるものの疑似症患者については、それぞれ一類感染症の患者又は二類感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。
(2項の準用はなし。)
3 一類感染症の無症状病原体保有者又は新型インフルエンザ等感染症の無症状病原体保有者については、それぞれ一類感染症の患者又は新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。
   

(医師の届出)
第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)
2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、その管轄する区域外に居住する者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、その者の居住地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
   
(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)
第十五条 都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
3 都道府県知事は、必要があると認めるときは、第一項の規定による必要な調査として当該職員に次の各号に掲げる者に対し当該各号に定める検体若しくは感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを求めさせ、又は第一号から第三号までに掲げる者の保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該各号に定める検体を提出し、若しくは当該各号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを求めさせることができる。
一 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者 当該者の検体
四 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者 当該動物又はその死体の検体
七 第一号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体
十 第四号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体   

(情報の公表)
第十六条 厚生労働大臣及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに当該感染症の予防及び治療に必要な情報を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により積極的に公表しなければならない。
2 前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。
   
(協力の要請)
第十六条の二 厚生労働大臣及び都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、感染症の患者の病状、数その他感染症の発生及びまん延の状況を勘案して、当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を定め、医師その他の医療関係者に対し、当該措置の実施に対する必要な協力を求めることができる。
   
第四章 就業制限その他の措置
(検体の採取等)
第十六条の三 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第一号に掲げる者に対し同号に定める検体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを勧告し、又はその保護者に対し当該検体を提出し、若しくは同号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを勧告することができる。ただし、都道府県知事がその行おうとする勧告に係る当該検体(その行おうとする勧告に係る当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を含む。以下この項において同じ。)を所持している者からその行おうとする勧告に係る当該検体を入手することができると認められる場合においては、この限りでない。
2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第一号に掲げる者に対し同号に定める検体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを勧告し、又はその保護者に対し当該検体を提出し、若しくは同号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを勧告することができる。ただし、厚生労働大臣がその行おうとする勧告に係る当該検体(その行おうとする勧告に係る当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を含む。以下この項において同じ。)を所持している者からその行おうとする勧告に係る当該検体を入手することができると認められる場合においては、この限りでない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該職員に当該勧告に係る第十五条第三項第一号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
4 厚生労働大臣は、第二項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該職員に当該勧告に係る第十五条第三項第一号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
5 都道府県知事は、第一項の規定による検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は第三項の規定による検体の採取の措置を実施する場合には、同時に、当該勧告を受け、又は当該措置を実施される者に対し、当該勧告をし、又は当該措置を実施する理由その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は検体の採取の措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
6 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該検体の提出若しくは採取の勧告又は検体の採取の措置の後相当の期間内に、当該勧告を受け、又は当該措置を実施された者に対し、同項の理由その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。
7 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体について検査を実施しなければならない。
8 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
9 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体の一部の提出を求めることができる。
10 都道府県知事は、第一項の規定により検体の提出若しくは採取の勧告をし、第三項の規定により当該職員に検体の採取の措置を実施させ、又は第七項の規定により検体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。
11 第五項及び第六項の規定は、厚生労働大臣が第二項の規定により検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は第四項の規定により当該職員に検体の採取の措置を実施させる場合について準用する。
   
(健康診断)
第十七条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し当該感染症にかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受け、又はその保護者に対し当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に健康診断を受けさせるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者について、当該職員に健康診断を行わせることができる。
   
(就業制限)
第十八条 都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知することができる。
2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。
3 前項の規定の適用を受けている者又はその保護者は、都道府県知事に対し、同項の規定の適用を受けている者について、同項の対象者ではなくなったことの確認を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による確認の求めがあったときは、当該請求に係る第二項の規定の適用を受けている者について、同項の規定の適用に係る感染症の患者若しくは無症状病原体保有者でないかどうか、又は同項に規定する期間を経過しているかどうかの確認をしなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、当該患者又は無症状病原体保有者の居住地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、当該協議会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。
6 前項ただし書に規定する場合において、都道府県知事は、速やかに、その通知をした内容について当該協議会に報告しなければならない。
   
(入院)
第十九条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告をする場合には、当該勧告に係る患者又はその保護者に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
4 第一項及び前項の規定に係る入院の期間は、七十二時間を超えてはならない。
5 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、第一項又は第三項の規定により入院している患者を、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
6 第一項又は第三項の規定に係る入院の期間と前項の規定に係る入院の期間とを合算した期間は、七十二時間を超えてはならない。
7 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は第三項の規定による入院の措置をしたときは、遅滞なく、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会に報告しなければならない。
   
第二十条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者であって前条の規定により入院しているものに対し十日以内の期間を定めて特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該入院に係る患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、十日以内の期間を定めて、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、十日以内の期間を定めて、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
3 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、前二項の規定により入院している患者を、前二項の規定により入院したときから起算して十日以内の期間を定めて、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
4 都道府県知事は、前三項の規定に係る入院の期間の経過後、当該入院に係る患者について入院を継続する必要があると認めるときは、十日以内の期間を定めて、入院の期間を延長することができる。当該延長に係る入院の期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。
5 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は前項の規定による入院の期間を延長しようとするときは、あらかじめ、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会の意見を聴かなければならない。
6 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をしようとする場合には、当該患者又はその保護者に、適切な説明を行い、その理解を得るよう努めるとともに、都道府県知事が指定する職員に対して意見を述べる機会を与えなければならない。この場合においては、当該患者又はその保護者に対し、あらかじめ、意見を述べるべき日時、場所及びその勧告の原因となる事実を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた当該患者又はその保護者は、代理人を出頭させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
8 第六項の規定による意見を聴取した者は、聴取書を作成し、これを都道府県知事に提出しなければならない。
   
(移送)
第二十一条 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前二条の規定により入院する患者を、当該入院に係る病院又は診療所に移送しなければならない。
   
(退院)
第二十二条 都道府県知事は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、当該入院している患者を退院させなければならない。
2 病院又は診療所の管理者は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、都道府県知事に、その旨を通知しなければならない。
3 第十九条若しくは第二十条の規定により入院している患者又はその保護者は、都道府県知事に対し、当該患者の退院を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による退院の求めがあったときは、当該患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
   
(最小限度の措置)
第二十二条の二 第十六条の三から第二十一条までの規定により実施される措置は、感染症を公衆にまん延させるおそれ、感染症にかかった場合の病状の程度その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。
   
(書面による通知)
第二十三条 第十六条の三第五項及び第六項の規定は、都道府県知事が第十七条第一項の規定による健康診断の勧告、同条第二項の規定による健康診断の措置、第十九条第一項及び第二十条第一項の規定による入院の勧告、第十九条第三項及び第五項並びに第二十条第二項及び第三項の規定による入院の措置並びに同条第四項の規定による入院の期間の延長をする場合について準用する。
   
(感染症の診査に関する協議会)
第二十四条 各保健所に感染症の診査に関する協議会(以下この条において「協議会」という。)を置く。
2 前項の規定にかかわらず、二以上の保健所を設置する都道府県において、特に必要があると認めるときは、二以上の保健所について一の協議会を置くことができる。
3 協議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 都道府県知事の諮問に応じ、第十八条第一項の規定による通知、第二十条第一項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による勧告及び第二十条第四項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による入院の期間の延長並びに第三十七条の二第一項の規定による申請に基づく費用の負担に関し必要な事項を審議すること。
二 第十八条第六項及び第十九条第七項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による報告に関し、意見を述べること。
4 協議会は、委員三人以上で組織する。
5 委員は、感染症指定医療機関の医師、感染症の患者の医療に関し学識経験を有する者(感染症指定医療機関の医師を除く。)、法律に関し学識経験を有する者並びに医療及び法律以外の学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。ただし、その過半数は、医師のうちから任命しなければならない。
6 この法律に規定するもののほか、協議会に関し必要な事項は、条例で定める。
   
(都道府県知事に対する苦情の申出)
第二十四条の二 第十九条若しくは第二十条の規定により入院している患者又はその保護者は、当該患者が受けた処遇について、文書又は口頭により、都道府県知事に対し、苦情の申出をすることができる。
2 前項に規定する患者又はその保護者が口頭で同項の苦情の申出をしようとするときは、都道府県知事は、その指定する職員にその内容を聴取させることができる。
3 都道府県知事は、苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知しなければならない。
   
(審査請求の特例)
第二十五条 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えるもの又はその保護者は、同条第二項又は第三項に規定する入院の措置について文書又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求(再審査請求及び再々審査請求を含む。以下この条において同じ。)をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の審査請求があったときは、当該審査請求があった日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る入院している患者が同条第二項又は第三項の規定により入院した日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
4 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、都道府県知事に審査請求をし、かつ、当該入院している患者の入院の期間が三十日を超えたときは、都道府県知事は、直ちに、事件を厚生労働大臣に移送し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
5 前項の規定により事件が移送されたときは、はじめから、厚生労働大臣に審査請求があったものとみなして、第三項の規定を適用する。
6 厚生労働大臣は、第二項の裁決又は第三項の裁決(入院の期間が三十日を超える患者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
7 第十九条第三項又は第五項の規定による入院の措置に係る審査請求については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。
   
第五章 消毒その他の措置
(検体の収去等)
第二十六条の三 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者に対し、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を提出すべきことを命ずることができる。
2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者に対し、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を提出すべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、第一項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を無償で収去させることができる。
4 厚生労働大臣は、第二項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を無償で収去させることができる。
5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体について検査を実施しなければならない。
6 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
7 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体の一部の提出を求めることができる。
8 都道府県知事は、第一項の規定により検体若しくは感染症の病原体の提出の命令をし、第三項の規定により当該職員に検体若しくは感染症の病原体の収去の措置を実施させ、又は第五項の規定により検体若しくは感染症の病原体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。
   
(検体の採取等)
第二十六条の四 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第四号に掲げる者に対し、同号に定める検体を提出し、又は当該職員による当該検体の採取に応ずべきことを命ずることができる。
2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第四号に掲げる者に対し、同号に定める検体を提出し、又は当該職員による当該検体の採取に応ずべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、第一項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第四号に規定する動物又はその死体から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
4 厚生労働大臣は、第二項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第四号に規定する動物又はその死体から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体について検査を実施しなければならない。
6 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
7 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体の一部の提出を求めることができる。
8 都道府県知事は、第一項の規定により検体若しくは感染症の病原体の提出の命令をし、第三項の規定により当該職員に検体若しくは感染症の病原体の収去の措置を実施させ、又は第五項の規定により検体若しくは感染症の病原体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。
   
(感染症の病原体に汚染された場所の消毒)
第二十七条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、当該患者若しくはその保護者又はその場所の管理をする者若しくはその代理をする者に対し、消毒すべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、市町村に消毒するよう指示し、又は当該都道府県の職員に消毒させることができる。
   
(ねずみ族、昆虫等の駆除)
第二十八条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域の管理をする者又はその代理をする者に対し、当該ねずみ族、昆虫等を駆除すべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域を管轄する市町村に当該ねずみ族、昆虫等を駆除するよう指示し、又は当該都道府県の職員に当該ねずみ族、昆虫等を駆除させることができる。
   
(物件に係る措置)
第二十九条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、その所持者に対し、当該物件の移動を制限し、若しくは禁止し、消毒、廃棄その他当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、市町村に消毒するよう指示し、又は当該都道府県の職員に消毒、廃棄その他当該感染症の発生を予防し、若しくはそのまん延を防止するために必要な措置をとらせることができる。
   
(死体の移動制限等)
第三十条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体の移動を制限し、又は禁止することができる。
2 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、火葬しなければならない。ただし、十分な消毒を行い、都道府県知事の許可を受けたときは、埋葬することができる。
3 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、二十四時間以内に火葬し、又は埋葬することができる。
   
(生活の用に供される水の使用制限等)
第三十一条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある生活の用に供される水について、その管理者に対し、期間を定めて、その使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命ずることができる。
2 市町村は、都道府県知事が前項の規定により生活の用に供される水の使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命じたときは、同項に規定する期間中、都道府県知事の指示に従い、当該生活の用に供される水の使用者に対し、生活の用に供される水を供給しなければならない。
   
(建物に係る措置)
第三十二条 都道府県知事は、一類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、厚生労働省令で定めるところにより、期間を定めて、当該建物への立入りを制限し、又は禁止することができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する措置によっても一類感染症のまん延を防止できない場合であって、緊急の必要があると認められるときに限り、政令で定める基準に従い、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について封鎖その他当該感染症のまん延の防止のために必要な措置を講ずることができる。
   
(交通の制限又は遮断)
第三十三条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。
   
(質問及び調査)
第三十五条 都道府県知事は、第二十六条の三から第三十三条までに規定する措置を実施するため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所若しくはあった場所、当該感染症を人に感染させるおそれがある動物がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した動物の死体がある場所若しくはあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所若しくは汚染された疑いがある場所に立ち入り、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者若しくは当該感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 都道府県知事は、第三十二条又は第三十三条に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合には、適当な場所に当該措置を実施する旨及びその理由その他厚生労働省令で定める事項を掲示しなければならない。
5 第一項から第三項までの規定は、市町村長が第二十七条第二項、第二十八条第二項、第二十九条第二項又は第三十一条第二項に規定する措置を実施するため必要があると認める場合について準用する。
6 第二項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
   
第六章 医療
(入院患者の医療)
第三十七条 都道府県は、都道府県知事が第十九条若しくは第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十六条の規定により入院の勧告又は入院の措置を実施した場合において、当該入院に係る患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)又はその保護者から申請があったときは、当該患者が感染症指定医療機関において受ける次に掲げる医療に要する費用を負担する。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 医学的処置、手術及びその他の治療
四 病院への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
2 都道府県は、前項に規定する患者若しくはその配偶者又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者が前項の費用の全部又は一部を負担することができると認められるときは、同項の規定にかかわらず、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。
3 第一項の申請は、当該患者の居住地を管轄する保健所長を経由して都道府県知事に対してしなければならない。
   
(感染症指定医療機関)
第三十八条 (1項及び2項の準用はなし。)
3 感染症指定医療機関は、厚生労働大臣の定めるところにより、前二条の規定により都道府県が費用を負担する感染症の患者及び新感染症の所見がある者の医療を担当しなければならない。
4 特定感染症指定医療機関は、第三十七条第一項各号に掲げる医療のうち新感染症の所見がある者並びに一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に係る医療について、厚生労働大臣が行う指導に従わなければならない。
5 第一種感染症指定医療機関は、第三十七条第一項各号に掲げる医療のうち一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
6 第二種感染症指定医療機関は、第三十七条第一項各号に掲げる医療のうち二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
(7項及び8項の準用はなし。)
9 感染症指定医療機関が、第三項から第七項までの規定に違反したとき、その他前二条に規定する医療を行うについて不適当であると認められるに至ったときは、特定感染症指定医療機関については厚生労働大臣、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関及び結核指定医療機関については都道府県知事は、その指定を取り消すことができる。
   
(他の法律による医療に関する給付との調整)
第三十九条 第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定により費用の負担を受ける感染症の患者(新感染症の所見がある者を除く。)が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定による負担をすることを要しない。
   
(診療報酬の請求、審査及び支払)
第四十条 感染症指定医療機関は、診療報酬のうち、第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定により都道府県が負担する費用を、都道府県に請求するものとする。
2 都道府県は、前項の費用を当該感染症指定医療機関に支払わなければならない。
3 都道府県知事は、感染症指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、かつ、感染症指定医療機関が第一項の規定によって請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
4 感染症指定医療機関は、都道府県知事が行う前項の規定による決定に従わなければならない。
5 都道府県知事は、第三項の規定により診療報酬の額を決定するに当たっては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会、国民健康保険法に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
6 都道府県は、感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生労働省令で定める者に委託することができる。
7 第三項の規定による診療報酬の額の決定については、審査請求をすることができない。
   
(診療報酬の基準)
第四十一条 感染症指定医療機関が行う第三十七条第一項各号に掲げる医療又は第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療に関する診療報酬は、健康保険の診療報酬の例によるものとする。
2 前項に規定する診療報酬の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。
   
(緊急時等の医療に係る特例)
第四十二条 都道府県は、第十九条若しくは第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)若しくは第四十六条の規定により感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所に入院した患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)が、当該病院若しくは診療所から第三十七条第一項各号に掲げる医療を受けた場合又はその区域内に居住する結核患者(第二十六条において読み替えて準用する第十九条又は第二十条の規定により入院した患者を除く。以下この項において同じ。)が、緊急その他やむを得ない理由により、結核指定医療機関以外の病院若しくは診療所(第六条第十六項の政令で定めるものを含む。)若しくは薬局から第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療を受けた場合においては、その医療に要した費用につき、当該患者又はその保護者の申請により、第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定によって負担する額の例により算定した額の療養費を支給することができる。第十九条若しくは第二十条若しくは第四十六条の規定により感染症指定医療機関に入院した患者が感染症指定医療機関から第三十七条第一項各号に掲げる医療を受けた場合又はその区域内に居住する結核患者が結核指定医療機関から第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療を受けた場合において、当該医療が緊急その他やむを得ない理由により第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の申請をしないで行われたものであるときも、同様とする。
2 第三十七条第三項の規定は、前項の申請について準用する。
3 第一項の療養費は、当該患者が当該医療を受けた当時それが必要であったと認められる場合に限り、支給するものとする。
   
(報告の請求及び検査)
第四十三条 都道府県知事(特定感染症指定医療機関にあっては、厚生労働大臣又は都道府県知事とする。次項において同じ。)は、第三十七条第一項及び第三十七条の二第一項に規定する費用の負担を適正なものとするため必要があると認めるときは、感染症指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員に感染症指定医療機関についてその管理者の同意を得て実地に診療録その他の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができる。
2 感染症指定医療機関が、正当な理由がなく、前項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、都道府県知事は、当該感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払を一時差し止めるよう指示し、又は差し止めることができる。
   
(厚生労働省令への委任)
第四十四条 この法律に規定するもののほか、第三十七条第一項及び第三十七条の二第一項の申請の手続、第四十条の診療報酬の請求並びに支払及びその事務の委託の手続その他この章で規定する費用の負担に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
   
第七章 新型インフルエンザ等感染症
(新型インフルエンザ等感染症の発生及び実施する措置等に関する情報の公表)
第四十四条の二 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等感染症が発生したと認めたときは、速やかに、その旨及び発生した地域を公表するとともに、当該感染症について、第十六条の規定による情報の公表を行うほか、病原体であるウイルスの血清亜型及び検査方法、症状、診断及び治療並びに感染の防止の方法、この法律の規定により実施する措置その他の当該感染症の発生の予防又はそのまん延の防止に必要な情報を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により逐次公表しなければならない。
2 前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。
   
(感染を防止するための協力)
第四十四条の三 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し、当該感染症の潜伏期間を考慮して定めた期間内において、当該者の体温その他の健康状態について報告を求めることができる。
2 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により報告を求めた者に対し、同項の規定により定めた期間内において、当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることができる。
3 前二項の規定により報告又は協力を求められた者は、これに応ずるよう努めなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の規定により協力を求めるときは、必要に応じ、食事の提供、日用品の支給その他日常生活を営むために必要なサービスの提供又は物品の支給(次項において「食事の提供等」という。)に努めなければならない。
5 都道府県知事は、前項の規定により、必要な食事の提供等を行った場合は、当該食事の提供等を受けた者又はその保護者から、当該食事の提供等に要した実費を徴収することができる。
   
(新型インフルエンザ等感染症に係る経過の報告)
第四十四条の五 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症に関し、この法律又はこの法律に基づく政令の規定による事務を行った場合は、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
2 前項の規定は、市町村長が、新型インフルエンザ等感染症に関し、第三十五条第五項において準用する同条第一項に規定する措置を当該職員に実施させた場合について準用する。
   
(市町村の支弁すべき費用)
第五十七条 市町村は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 第二十七条第二項の規定により市町村が行う消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
二 第二十八条第二項の規定により市町村が行うねずみ族、昆虫等の駆除(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
三 第二十九条第二項の規定により市町村が行う消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
四 第三十一条第二項の規定により市町村が行う生活の用に供される水の供給(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
   
(都道府県の支弁すべき費用)
第五十八条 都道府県は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 第十四条、第十四条の二、第十五条(第二項及び第五項を除く。)、第十五条の二から第十六条まで、第十六条の三第一項、第三項若しくは第七項から第十項まで又は第四十四条の七第一項、第三項若しくは第五項から第八項までの規定により実施される事務に要する費用
二 第十七条又は第四十五条の規定による健康診断に要する費用
三 第十八条第四項、第二十二条第四項(第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十八条第四項の規定による確認に要する費用
四 第二十一条(第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による移送に要する費用
四の二 第二十六条の三第一項若しくは第三項の規定による検体若しくは感染症の病原体の受理若しくは収去(これらが第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)又は第二十六条の三第五項から第八項まで(これらの規定を第五十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により実施される事務に要する費用
四の三 第二十六条の四第一項若しくは第三項の規定による検体の受理若しくは採取(これらが第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)又は第二十六条の四第五項から第八項まで(これらの規定を第五十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により実施される事務に要する費用
五 第二十七条第二項の規定による消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
六 第二十八条第二項の規定によるねずみ族、昆虫等の駆除(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
七 第二十九条第二項の規定による措置(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
八 第三十二条第二項の規定による建物に係る措置(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
九 第三十三条の規定による交通の制限又は遮断(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
十 第三十七条第一項の規定により負担する費用
(11号の準用はなし。)
十二 第四十二条第一項の規定による療養費の支給に要する費用
   
(都道府県の負担)
第五十九条 都道府県は、第五十七条第一号から第四号までの費用に対して、政令で定めるところにより、その三分の二を負担する。
   
(国の負担)
第六十一条(1項の準用はなし。)
2 国は、第五十八条第十号の費用及び同条第十二号の費用(第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療に係るものを除く。)に対して、政令で定めるところにより、その四分の三を負担する。
3 国は、第五十八条第一号から第九号まで及び第十四号並びに第五十九条の費用に対して、政令で定めるところにより、その二分の一を負担する。
   
(費用の徴収)
第六十三条 市町村長は、第二十七条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症に係る死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所を消毒させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該患者若しくはその保護者又はその場所の管理をする者若しくはその代理をする者から消毒に要した実費を徴収することができる。
2 市町村長は、第二十八条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等を駆除させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該ねずみ族、昆虫等が存在する区域の管理をする者又はその代理をする者からねずみ族、昆虫等の駆除に要した実費を徴収することができる。
3 市町村長は、第二十九条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件を消毒させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該飲食物、衣類、寝具その他の物件の所持者から消毒に要した実費を徴収することができる。
4 前三項の規定は、都道府県知事が、第二十七条第二項に規定する消毒、第二十八条第二項に規定するねずみ族、昆虫等の駆除又は第二十九条第二項に規定する消毒の措置を当該職員に実施させた場合について準用する。
   
第十三章 雑則
(厚生労働大臣の指示)
第六十三条の二 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、この法律(第八章を除く。)又はこの法律に基づく政令の規定により都道府県知事が行う事務に関し必要な指示をすることができる。
   
(保健所を設置する市又は特別区)
第六十四条 保健所を設置する市又は特別区にあっては、第三章から前章までの規定(第十四条第一項及び第五項、第十四条の二第一項及び第七項、第三十八条第一項、第二項、第五項、第六項、第八項及び第九項(同条第二項、第八項及び第九項の規定にあっては、結核指定医療機関に係る部分を除く。)、第四十条第三項から第五項まで、第四十三条(結核指定医療機関に係る部分を除く。)、第五十三条の二第三項、第五十三条の七第一項、第五十六条の二十七第七項並びに第六十条を除く。)及び前条中「都道府県知事」とあるのは「市長」又は「区長」と、「都道府県」とあるのは「市」又は「区」とする。
2 特別区にあっては、第三十一条第二項及び第五十七条(第四号の規定に係る部分に限る。)中「市町村」とあるのは、「都」とする。
   
(不服申立て)
第六十五条 この法律に規定する事務のうち保健所を設置する市又は特別区の長が行う処分(地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務(次項及び次条において「第一号法定受託事務」という。)に係るものに限る。)についての審査請求の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。
2 保健所を設置する市又は特別区の長が第六十四条の規定によりその処理することとされた事務のうち第一号法定受託事務に係る処分をする権限をその補助機関である職員又はその管理に属する行政機関の長に委任した場合において、委任を受けた職員又は行政機関の長がその委任に基づいてした処分につき、地方自治法第二百五十五条の二第二項の再審査請求の裁決があったときは、当該裁決に不服がある者は、同法第二百五十二条の十七の四第五項から第七項までの規定の例により、厚生労働大臣に対して再々審査請求をすることができる。
   
(権限の委任)
第六十五条の三 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
   
(経過措置)
第六十六条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
   
*0 罰則について定める感染症法第14章は,新型コロナウイルス感染症について政令で準用することはできない(感染症法7条1項参照)ものの,令和2年3月27日以降,新型コロナウイルス感染症の病原体は四種病原体等に指定されました(感染症法施行令3条3号)から,感染症法第14章の適用があります。
   
*1 黒文字表記は,新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年1月28日政令第11号)及び新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年1月31日政令第22号)に基づき,令和2年2月1日から準用されている条文です。

*2 赤文字表記は,新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年2月13日政令第30号)に基づき,令和2年2月14日から準用されている条文です。
   新たに準用される感染症法の主な条文は,無症状病原体保有者についても患者とみなすという条文です。

*3 新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年3月26日政令第60号)に基づき,令和2年3月27日から準用されている条文です。
   新たに準用される感染症法の主な条文は以下のとおりです。
① 生活の用に供される水の使用制限等(31条)
② 建物に係る措置(32条)
③ 交通の制限又は遮断(33条)
④ 新型インフルエンザ等感染症の発生及び実施する措置等に関する情報の公表(44条の2)
⑤ 感染を防止するための協力(44条の3)
⑥ 建物に係る措置等の規定の準用(44条の4)

*4 新型コロナウイルス感染症に準用される感染症法施行令の条文は以下のとおりです。
(建物に係る措置の基準)
第八条 法第三十二条第二項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 一類感染症の建物の外部へのまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、当該措置を実施する建物の構造及び設備の状況その他の事情を考慮して適切な方法で行うこと。
二 法第三十二条第二項に規定する緊急の必要がなくなったときに、できる限り原状回復に支障をきたさない方法で行うこと。

(交通の制限又は遮断の基準)
第九条 法第三十三条の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 一類感染症の広範囲の地域にわたるまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、当該措置を実施する場所の交通の状況その他の事情を考慮して適切な方法で行うこと。
二 法第三十三条に規定する緊急の必要がなくなったときは、定められた期間内であっても、速やかに当該措置を解除すること。
三 当該措置の対象となる者の人権を尊重しつつ行うこと。

(都道府県の負担)
第二十五条 法第五十九条の規定による都道府県の負担は、各年度において法第五十七条第一号から第四号までの規定により市町村が支弁した費用の額から、その年度におけるその費用のための寄附金その他の収入の額を控除した額につき、厚生労働大臣が定める基準に従って行う。
2 前項の規定により控除しなければならない額が、その年度において市町村が支弁した費用の額を超過したときは、その超過額は、後年度における支弁額から控除する。

(国の負担)
第二十七条 法第六十一条第二項の規定による国の負担並びに法第五十八条第一号から第九号まで及び第十四号の費用に係る法第六十一条第三項の規定による国の負担は、各年度において法第五十八条の規定により都道府県が支弁した費用の額から、その年度におけるその費用のための寄附金その他の収入の額を控除した額につき、厚生労働大臣が定める基準に従って行う。
2 法第五十九条の費用に係る規定による法第六十一条第三項の規定による国の負担は、各年度において都道府県が負担した費用の額から、その年度におけるその費用のための寄附金その他の収入の額を控除した額につき、厚生労働大臣が定める基準に従って行う。
3 第二十五条第二項の規定は、第一項の場合に準用する。

*5 新型コロナウイルス感染症に準用される感染症法施行規則の条文は以下のとおりです。
(医師の届出)
第三条 法第十二条第一項に規定する厚生労働省令で定める場合は、次のとおりとする。
一 診断した患者及び当該感染症について同項による届出が既になされていることを知っている場合
二 診断した結核の無症状病原体保有者について結核医療を必要としないと認められる場合
第四条 法第十二条第一項第一号に掲げる者(新感染症(法第五十三条第一項の規定により一類感染症とみなされるものを除く。次項において同じ。)にかかっていると疑われる者を除く。)について、同項の規定により医師が届け出なければならない事項は、次のとおりとする。
一 当該者の職業及び住所
二 当該者が成年に達していない場合にあっては、その保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)の氏名及び住所(保護者が法人であるときは、その名称及び主たる事務所の所在地)
三 感染症の名称及び当該者の症状
四 診断方法
五 当該者の所在地
六 初診年月日及び診断年月日
七 病原体に感染したと推定される年月日(感染症の患者にあっては、発病したと推定される年月日を含む。)
八 病原体に感染した原因、感染経路、病原体に感染した地域(以下「感染原因等」という。)又はこれらとして推定されるもの
九 診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
十 その他感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項
(2項以下は省略)

(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)
第八条 都道府県知事は、次に掲げる場合に、法第十五条第一項の規定を実施するものとする。
一 一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者が発生し、又は発生した疑いがある場合
二 五類感染症の発生の状況に異状が認められる場合
三 国内で発生していない感染症であって国外でまん延しているものが発生するおそれがある場合
四 動物が人に感染させるおそれがある感染症が発生し、又は発生するおそれがある場合
五 その他都道府県知事が必要と認める場合
2 都道府県知事は、法第十五条第一項の規定を実施するときは、採取した検体、検査結果を記載した書類その他の感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするために必要な物件の提出を求めるものとする。
3 法第十五条第一項に規定する感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者その他の関係者は、同項の規定の迅速かつ的確な実施を確保するため、動物又はその死体が感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると認めたときは、速やかに、その旨を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に報告しなければならない。この場合において、前項に規定する物件があるときは、添付しなければならない。
4 都道府県知事は、前項前段の規定による報告の内容が、感染原因等、感染症のまん延の状況その他の事情を考慮して重要と認めるときは、厚生労働大臣に報告するものとする。この場合においては、同項後段の規定を準用する。

第四章 就業制限その他の措置
(検体の採取を行う場合の通知事項)
第十条 法第十六条の三第五項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は検体の採取の措置を実施する理由
二 検体の提出又は採取の勧告をする場合にあっては、検体を提出し、又は検体の採取に応じさせるべき期限
三 検体の採取の措置を実施する場合にあっては、検体の採取を行う日時、場所及びその方法
四 検体の提出又は採取の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に検体の採取の措置を実施することがある旨
五 その他必要と認める事項
2 法第十六条の三第六項に規定する厚生労働省令で定める事項は、前項各号に規定する事項とする。

(検査及び報告)
第十条の二 第八条第五項第一号及び第二号の規定は、法第十六条の三第七項の検査について準用する。
2 法第十六条の三第八項に規定する報告は、検査の結果の判明後速やかに行うものとする。
3 法第十六条の三第八項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 患者の氏名、性別、年齢及び住所
二 当該患者を診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の所在地)を管轄する保健所名及び当該保健所所在地の都道府県名

(厚生労働大臣が検体の採取を行う場合の通知事項)
第十条の三 第十条の規定は、法第十六条の三第十一項において同条第五項及び第六項の規定を準用する場合について準用する。

(就業制限)
第十一条 法第十八条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 当該届出の内容のうち第四条第一項第三号、第四号及び第六号に掲げる事項に係る内容
二 法第十八条第二項に規定する就業制限及びその期間に関する事項
三 法第十八条第二項の規定に違反した場合に、法第七十七条第四号の規定により罰金に処される旨
四 法第十八条第三項の規定により確認を求めることができる旨
五 その他必要と認める事項
2 法第十八条第二項の厚生労働省令で定める業務は、次に掲げる感染症の区分に応じ、当該各号に定める業務とする。
一 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病及びラッサ熱 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び他者の身体に直接接触する業務
二 結核 接客業その他の多数の者に接触する業務
三 ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。以下単に「重症急性呼吸器症候群」という。)、新型インフルエンザ等感染症、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。以下単に「中東呼吸器症候群」という。)、痘とうそう、特定鳥インフルエンザ及びペスト 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び接客業その他の多数の者に接触する業務
四 法第六条第二項から第四項までに掲げる感染症のうち、前三号に掲げるもの以外の感染症 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務
3 法第十八条第二項の厚生労働省令で定める期間は、次に掲げる感染症の区分に応じ、当該各号に定める期間とする。
一 結核、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群及び特定鳥インフルエンザ その病原体を保有しなくなるまでの期間又はその症状が消失するまでの期間
二 前号に掲げるもの以外の感染症 その病原体を保有しなくなるまでの期間

(入院患者の移送)
第十二条 法第二十一条に規定する移送は、当該移送を行う患者に係る感染症がまん延しないよう配慮して行わなければならない。

(健康診断の勧告を行う場合等の通知事項)
第十三条 法第二十三条において準用する法第十六条の三第五項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施する理由
二 健康診断の勧告をする場合にあっては、健康診断を受け、又は受けさせるべき期限
三 健康診断の措置を実施する場合にあっては、健康診断を行う日時、場所及びその方法
四 健康診断の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に健康診断の措置を実施することがある旨
五 入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長をする理由
六 入院の勧告又は入院の措置をする場合にあっては、入院すべき期限及び医療機関
七 入院すべき期間又は入院の措置の延長をする期間
八 入院の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に入院の措置をすることがある旨
九 法第二十二条第一項に規定する退院に関する事項
十 法第二十二条第三項の規定により退院を求めることができる旨
十一 法第二十五条に規定する審査請求の特例に関する事項
十二 その他必要と認める事項
2 前項の規定は、法第二十六条において法第二十三条の規定を準用する場合について準用する。

第五章 消毒その他の措置
(検体の収去等の方法)
第十三条の二 第十条の二第一項の規定は、法第二十六条の三第五項及び第二十六条の四第五項の検査について準用する。
2 第十条の二第二項及び第三項の規定は、法第二十六条の三第六項及び法第二十六条の四第六項の報告について準用する。

(消毒の方法)
第十四条 法第二十七条第一項及び第二項に規定する消毒は、次に掲げる基準に従い、消毒薬を用いて行うものとする。
一 対象となる場所の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、十分な消毒が行えるような方法により行うこと。
二 消毒を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

(ねずみ族及び昆虫等の駆除の方法)
第十五条 法第二十八条第一項及び第二項に規定する駆除は、次に掲げる基準に従い行うものとする。
一 対象となる区域の状況、ねずみ族又は昆虫等の性質その他の事情を勘案し、十分な駆除が行えるような方法により行うこと。
二 駆除を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

(物件に係る措置の方法)
第十六条 法第二十九条第一項及び第二項に規定する物件の移動の制限及び禁止、消毒、廃棄その他必要な措置(以下この条及び第十九条において「物件措置」という。)は、次に掲げる基準に従い行うものとする。
一 対象とする物件の状況、感染症の病原体の性質、次に掲げる措置の基準その他の事情を勘案し、当該物件措置の目的を十分に達成できるような方法により行うこと。
イ 消毒にあっては、消毒薬、熱水消毒、煮沸消毒等により行うこと。
ロ 廃棄にあっては、消毒、ハに規定する滅菌その他の感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な処理をした後に行うこと。
ハ 物件措置としての滅菌(次号において「滅菌」という。)にあっては、高圧蒸気滅菌、乾熱滅菌、火炎滅菌、化学滅菌、ろ過滅菌等により行うこと。
二 消毒及び滅菌にあっては、消毒又は滅菌を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

(建物に係る措置の方法及び期間)
第十七条 法第三十二条第一項に規定する建物への立入りの制限又は禁止は、対象となる建物の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、適切と認められる方法により行うものとする。

(質問及び調査に携わる職員の身分を示す証明書)
第十八条 法第三十五条第二項に規定する身分を示す証明書は、別記様式第二による。

第六章 医療
(入院患者の医療に係る費用負担の申請)
第二十条 法第三十七条に規定する申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を提出して行うものとする。
一 患者の住所、氏名、生年月日、性別及び個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)
二 申請者が患者の保護者の場合にあっては、当該保護者の住所、氏名(保護者が法人であるときは、当該法人の主たる事務所の所在地及び名称)及び個人番号並びに患者との関係
三 患者が法第三十九条に規定する者に該当する場合にあっては、その旨
2 前項の申請書には、次に掲げるものを添付しなければならない。ただし、第二号に掲げる書類については、都道府県知事は、当該書類により証明すべき事実を公簿等によって確認することができるときは、当該書類を省略させることができる。
一 法第二十三条(法第二十六条において準用する場合を含む。)において準用する法第十六条の三第五項の規定による通知の写し
二 当該患者並びにその配偶者及び民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者の当該費用の負担能力を把握するために都道府県知事が必要と認める書類

(都道府県知事の指導)
第二十一条 都道府県知事は、感染症指定医療機関であって大学の付属病院その他教育又は研究を主たる目的とするものに対し、法第三十八条第五項、第六項又は第七項に規定する指導を行うに当たっては、これらの教育又は研究に不当に関与しないよう配慮するものとする。

(診療報酬の請求及び支払)
第二十二条 都道府県知事が法第四十条第三項の規定により医療費の審査を行うこととしている場合においては、感染症指定医療機関は、療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和五十一年厚生省令第三十六号)又は介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する省令(平成十二年厚生省令第二十号)の定めるところにより、当該感染症指定医療機関が行った医療に係る診療報酬を請求するものとする。
2 前項の場合において、都道府県は、当該感染症指定医療機関に対し、都道府県知事が当該指定医療機関の所在する都道府県の社会保険診療報酬支払基金事務所に設けられた審査委員会、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める特別審査委員会、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会、同法第四十五条第六項に規定する厚生労働大臣が指定する法人に設置される診療報酬の審査に関する組織又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百七十九条に規定する介護給付費等審査委員会の意見を聴いて、決定した額に基づいて、その診療報酬を支払うものとする。

(療養費支給の申請)
第二十三条 法第四十二条に規定する申請は、当該医療を受けた後一月以内に、第二十条第一項各号又は第二十条の三第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した申請書を提出して行うものとする。
一 支給を受けようとする療養費の額
二 法第四十二条第一項後段に規定する場合に係るものにあっては、緊急その他やむを得ない理由
2 前項の申請書には、第二十条第二項各号又は第二十条の三第二項各号に掲げるもののほか、当該医療に要した費用を証明する書類を添付しなければならない。

第七章 新型インフルエンザ等感染症
(健康状態についての報告)
第二十三条の三 都道府県知事は、法第四十四条の三第一項の規定により報告を求める場合には、その名あて人又はその保護者に対し、求める報告の内容、報告を求める期間及びこれらの理由を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで健康状態について報告を求めるべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、できる限り速やかに、同項の書面を交付しなければならない。

(感染の防止に必要な協力)
第二十三条の四 都道府県知事は、法第四十四条の三第二項の規定により協力を求める場合には、その名あて人又はその保護者に対し、求める協力の内容、協力を求める期間及びこれらの理由を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで感染の防止に必要な協力を求めるべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、できる限り速やかに、同項の書面を交付しなければならない。

(経過の報告)
第二十三条の五 法第四十四条の五第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する報告は、厚生労働大臣の求めに応じて行うものとする。

(権限の委任)
第三十二条 法第六十五条の三第一項の規定により、次に掲げる厚生労働大臣の権限は地方厚生局長に委任する。ただし、厚生労働大臣が当該権限を自ら行うことを妨げない。
一 法第四十三条第一項に規定する厚生労働大臣の権限

*6 新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令案に関する内閣法制局説明資料を以下のとおり掲載しています。
・ 令和2年1月令和2年2月令和2年3月及び令和2年9月

国内感染期において緊急事態宣言がされた場合の政府行動計画(新型インフルエンザの場合)

   新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」といいます。)附則第1条の2第1項及び第2項の規定に基づき,同法は新型コロナウィルス感染症についても適用されます。
   そして,国内感染期において適用される,新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)61頁ないし71頁は以下のとおりであります(緊急事態宣言がされている場合の措置については赤文字表記とし,注番号については,特措法の条番号に変えています。)ところ,いわゆるロックダウン(都市封鎖)と比べると,かなり制限は緩いのであって,例えば,外出自粛要請の対象から,生活の維持に必要な場合の外出は除外されています(特措法45条1項)。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)

国内感染期
・ 国内のいずれかの都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態。
・ 感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。
・ 国内でも、都道府県によって状況が異なる可能性がある。
(地域未発生期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生していない状態。
(地域発生早期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生しているが、全ての患者の接触歴を疫学調査で追うことができる状態。
(地域感染期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追うことができなくなった状態(感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。)。
目的:
1) 医療体制を維持する。
2) 健康被害を最小限に抑える。
3) 国民生活及び国民経済への影響を最小限に抑える。
対策の考え方:
1) 感染拡大を止めることは困難であり、対策の主眼を、早期の積極的な感染拡大防止から被害軽減に切り替える。
2) 地域ごとに発生の状況は異なり、実施すべき対策が異なることから、都道府県ごとに実施すべき対策の判断を行う。
3) 状況に応じた医療体制や感染対策、ワクチン接種、社会・経済活動の状況等について周知し、個人一人一人がとるべき行動について分かりやすく説明するため、積極的な情報提供を行う。
4) 流行のピーク時の入院患者や重症者の数をなるべく少なくして医療体制への負荷を軽減する。
5) 医療体制の維持に全力を尽くし、必要な患者が適切な医療を受けられるようにし健康被害を最小限にとどめる。
6) 欠勤者の増大が予測されるが、国民生活・国民経済の影響を最小限に抑えるため必要なライフライン等の事業活動を継続する。また、その他の社会活動をできる限り継続する。
7) 受診患者数を減少させ、入院患者数や重症者数を抑え、医療体制への負荷を軽減するため、住民接種を早期に開始できるよう準備を急ぎ、体制が整った場合は、できるだけ速やかに実施する。
8) 状況の進展に応じて、必要性の低下した対策の縮小・中止を図る。

(1) 実施体制
(1)-1 基本的対処方針の変更
   国は、基本的対処方針等諮問委員会の意見を聴いて、その時点での基本的対処方針を変更し、国内感染期に入った旨及び国内感染期の対処方針を公示する。(内閣官房、厚生労働省、その他全省庁)
(1)-2 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 市町村は、緊急事態宣言がなされた場合、速やかに市町村対策本部を設置する(特措法34条)。
② 地方公共団体が新型インフルエンザ等のまん延により緊急事態措置を行うことができなくなった場合においては、特措法の規定に基づく他の地方公共団体による代行、応援等の措置の活用を行う(特措法38条及び39条)。

(2) サーベイランス・情報収集
(2)-1 国際的な情報収集
   国は、海外での新型インフルエンザ等の発生状況、各国の対応について、引き続き国際機関・諸外国等を通じて必要な情報を収集する。(厚生労働省、外務省)
(2)-2 サーベイランス
   国は、全国での患者数が数百人程度に増加した段階では、新型インフルエンザ等患者等の全数把握については、都道府県ごとの対応とする。また、学校等における集団発生の把握の強化については通常のサーベイランスに戻す。(厚生労働省、文部科学省)
(地域未発生期、地域発生早期の地域(都道府県)における対応)
① 国は、引き続き、新型インフルエンザ等患者の全数把握を実施する。
(厚生労働省)
(地域感染期の地域(都道府県)における対応)
① 国は、新型インフルエンザ等患者の全数把握は中止し、通常のサーベイランスを継続する。(厚生労働省)
② 国は、引き続き、国内の発生状況をリアルタイムで把握し、都道府県等に対して、発生状況を迅速に情報提供する。都道府県等は、国と連携し、必要な対策を実施する。(厚生労働省)
(2)-3 調査研究
   国は、引き続き、感染経路や感染力、潜伏期等の情報を収集・分析するほか、新型インフルエンザ迅速診断キットの有効性や、特に重症者の症状・治療法と転帰等、対策に必要な調査研究と分析を速やかに行い、その成果を対策に反映させる。(厚生労働省)

(3) 情報提供・共有
(3)-1 情報提供
① 国は、引き続き、国民に対し、利用可能なあらゆる媒体・機関を活用し、国内外の発生状況と具体的な対策等を、対策の決定プロセス、対策の理由、対策の実施主体とともに詳細に分かりやすく、できる限りリアルタイムで情報提供する。(関係省庁)
② 国は、引き続き、特に個人一人一人がとるべき行動を理解しやすいよう、都道府県の流行状況に応じた医療体制を周知し、学校・保育施設等や職場での感染対策についての情報を適切に提供する。また、社会活動の状況についても、情報提供する。(厚生労働省、関係省庁)
③ 国は、引き続き、国民からコールセンター等に寄せられる問い合わせや地方公共団体や関係機関等から寄せられる情報の内容も踏まえて、国民や関係機関がどのような情報を必要としているかを把握し、次の情報提供に反映する。(厚生労働省)
(3)-2 情報共有
   国は、地方公共団体や関係機関等との、インターネット等を活用したリアルタイムかつ双方向の情報共有を継続し、対策の方針を伝達するとともに、都道府県単位での流行や対策の状況を的確に把握する。(内閣官房、厚生労働省)
(3)-3 コールセンター等の継続
① 国は、国のコールセンター等を継続する。(厚生労働省)
② 国は、都道府県・市町村に対し、状況の変化に応じたQ&Aの改定版を配布し、コールセンター等の継続を要請する。(厚生労働省)

(4) 予防・まん延防止
(4)-1 国内でのまん延防止対策
① 国及び都道府県等は、業界団体等を経由し、または直接住民、事業者等に対して次の要請を行う。
・ 住民、事業所、福祉施設等に対し、マスク着用・咳エチケット・手洗い・うがい、人混みを避ける、時差出勤等の基本的な感染対策等を強く勧奨する。また、事業所に対し、当該感染症の症状の認められた従業員の健康管理・受診の勧奨を要請する。(厚生労働省)
・ 事業者に対し、職場における感染対策の徹底を要請する。(関係省庁)
・ ウイルスの病原性等の状況を踏まえ、必要に応じて、学校・保育施設等における感染対策の実施に資する目安を示すとともに、学校保健安全法に基づく臨時休業(学級閉鎖・学年閉鎖・休校)を適切に行うよう学校の設置者に要請する。(文部科学省、厚生労働省)
・ 公共交通機関等に対し、利用者へのマスク着用の励行の呼びかけなど適切な感染対策を講ずるよう要請する。(厚生労働省、国土交通省)
② 国は、都道府県等や関係機関に対し、病院、高齢者施設等の基礎疾患を有する者が集まる施設や、多数の者が居住する施設等における感染対策を強化するよう引き続き要請する。(厚生労働省)
③ 国は、都道府県等と連携し、医療機関に対し、地域感染期となった場合は、患者の治療を優先することから、患者との濃厚接触者(同居者を除く。)への抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を原則として見合わせるよう要請するとともに、患者の同居者に対する予防投与については、その期待される効果を評価した上で継続の有無を決定する。(厚生労働省)④ 都道府県等は、地域感染期となった場合は、患者の濃厚接触者を特定しての措置(外出自粛要請、健康観察等)は中止する。
(4)-2 水際対策
   国内発生早期の記載を参照
(4)-3 予防接種
   国は、国内発生早期の対策を継続し、ワクチンを確保し、速やかに供給するとともに、国は特定接種を、市町村は予防接種法第6条第3項に基づく新臨時接種を進める。(厚生労働省、内閣官房、関係省庁)
(4)-4 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 新型インフルエンザ等緊急事態においては、患者数の増加に伴い地域における医療体制の負荷が過大となり、適切な医療を受けられないことによる死亡者数の増加が見込まれる等の特別な状況において、都道府県は、基本的対処方針に基づき、必要に応じ、以下の措置を講じる。
・ 都道府県は、特措法第 45 条第1項に基づき、住民に対し、期間と区域を定めて、生活の維持に必要な場合を除きみだりに外出しないことや基本的な感染対策の徹底を要請する。
・ 都道府県は、特措法第 45 条第2項に基づき、学校、保育所等に対し、期間を定めて、施設の使用制限(臨時休業や入学試験の延期等)の要請を行う。要請に応じない学校、保育所等に対し、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措法第 45 条第 3 項に基づき、指示を行う。
   都道府県は、要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
・ 都道府県は、特措法第 24 条第9項に基づき、学校、保育所等以外の施設について、職場を含め感染対策の徹底の要請を行う。特措法第 24 条第9項の要請に応じない施設に対し、公衆衛生上の問題が生じていると判断された施設(特措法施行令第 11 条に定める施設に限る。)に対し、特措法第 45条第2項に基づき、施設の使用制限又は基本的な感染対策の徹底の要請を行う。特措法第 45 条第2項の要請に応じず、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措法第 45 条第3項に基づき、指示を行う。
   都道府県は、特措法第 45 条に基づき、要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
② 国は、国内発生早期の対策を継続し、ワクチンを確保し、速やかに供給するとともに、特措法第 46 条に基づく住民に対する予防接種を進める。(厚生労働省、内閣官房、関係省庁)

(5) 医療
(5)-1 患者への対応等
   国は、都道府県等に対し、以下を要請する。(厚生労働省)
(地域未発生期、地域発生早期の地域(都道府県)における対応)
① 引き続き、帰国者・接触者外来における診療、患者の入院措置等を実施する。
② 必要が生じた際には、感染症法に基づく入院措置を中止し、帰国者・接触者外来を指定しての診療体制から一般の医療機関でも診療する体制とする。
(地域感染期の地域(都道府県)における対応)
① 帰国者・接触者外来、帰国者・接触者相談センター及び感染症法に基づく患者の入院措置を中止し、新型インフルエンザ等の患者の診療を行わないこととしている医療機関等を除き、原則として一般の医療機関において新型インフルエンザ等の患者の診療を行う。
② 入院治療は重症患者を対象とし、それ以外の患者に対しては在宅での療養を要請するよう、関係機関に周知する。
③ 医師が在宅で療養する患者に対する電話による診療により新型インフルエンザ等への感染の有無や慢性疾患の状況について診断ができた場合、医師が抗インフルエンザウイルス薬等の処方箋を発行し、ファクシミリ等により送付することについて、国が示す対応方針を周知する。
④ 医療機関の従業員の勤務状況及び医療資器材・医薬品の在庫状況を確認し、新型インフルエンザ等やその他の疾患に係る診療が継続されるように調整する。
(5)-2 医療機関等への情報提供
   国は、引き続き、新型インフルエンザ等の診断・治療に資する情報等を医療機関及び医療従事者に迅速に提供する。(厚生労働省)
(5)-3 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄・使用
   国は、国及び都道府県における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量の把握を行い、また、各都道府県の抗インフルエンザウイルス薬の流通状況を調査し、患者の発生状況を踏まえ、抗インフルエンザウイルス薬が必要な地域に供給されているかどうかを確認するとともに、都道府県の要請等に応じ、国備蓄分を配分する等の調整を行う。(厚生労働省)
(5)-4 在宅で療養する患者への支援
   市町村は、国及び都道府県と連携し、関係団体の協力を得ながら、患者や医療機関等から要請があった場合には、在宅で療養する患者への支援(見回り、食事の提供、医療機関への移送)や自宅で死亡した患者への対応を行う。
(5)-5 医療機関・薬局における警戒活動
   国は、引き続き、医療機関・薬局及びその周辺において、混乱による不測の事態の防止を図るため、必要に応じた警戒活動等を行うよう都道府県警察を指導・調整する。(警察庁)
(5)-6 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 医療機関並びに医薬品若しくは医療機器の製造販売業者、販売業者等である指定(地方)公共機関は、業務計画で定めるところにより、医療又は医薬品若しくは医療機器の製造販売等を確保するために必要な措置を講ずる(特措法47条)。
② 都道府県等は、国と連携し、区域内の医療機関が不足した場合、患者治療のための医療機関における定員超過入院(医療法施行規則10条)等のほか、医療体制の確保、感染防止及び衛生面を考慮し、新型インフルエンザ等を発症し外来診療を受ける必要のある患者や、病状は比較的軽度であるが在宅療養を行うことが困難であり入院診療を受ける必要のある患者等に対する医療の提供を行うため、臨時の医療施設を設置し(特措法48条1項及び2項)、医療を提供する。臨時の医療施設において医療を提供した場合は、流行がピークを越えた後、その状況に応じて、患者を医療機関に移送する等により順次閉鎖する。(厚生労働省)

(6)国民生活及び国民経済の安定の確保
(6)-1 事業者の対応
   国は、全国の事業者に対し、従業員の健康管理を徹底するとともに職場における感染対策を講じるよう要請する。(関係省庁)
(6)-2 国民・事業者への呼びかけ
   国は、国民に対し、食料品、生活必需品等の購入に当たっての消費者としての適切な行動を呼びかけるとともに、事業者に対しても、食料品、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また買占め及び売惜しみが生じないよう要請する。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
(6)-3 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
(6)-3-1 業務の継続等
① 指定(地方)公共機関及び特定接種の実施状況に応じ登録事業者は、事業の継続を行う。その際、国は、当該事業継続のための法令の弾力運用について、必要に応じ、周知を行う。(関係省庁)
② 国は、各事業者における事業継続の状況や新型インフルエンザ等による従業員のり患状況等を確認し、必要な対策を速やかに検討する。(関係省庁)
(6)-3-2 電気及びガス並びに水の安定供給
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-3 運送・通信・郵便の確保
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-4 サービス水準に係る国民への呼びかけ
   国は、事業者のサービス提供水準に係る状況の把握に努め、国民に対して、まん延した段階において、サービス提供水準が相当程度低下する可能性を許容すべきことを呼びかける。(内閣官房、関係省庁)
(6)-3-5 緊急物資の運送等
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-6 物資の売渡しの要請等(特措法55条)
① 都道府県は、対策の実施に必要な物資の確保に当たっては、あらかじめ所有者に対し物資の売渡しの要請の同意を得ることを基本とする。なお、新型インフルエンザ等緊急事態により当該物資等が使用不能となっている場合や当該物資が既に他の都道府県による収用の対象となっている場合などの正当な理由がないにもかかわらず、当該所有者等が応じないときは、必要に応じ、物資を収用する。
② 都道府県は、特定物資の確保のため緊急の必要がある場合には、必要に応じ、事業者に対し特定物資の保管を命じる。
(6)-3-7 生活関連物資等の価格の安定等
① 国、都道府県、市町村は、国民生活及び国民経済の安定のために、物価の安定及び生活関連物資等の適切な供給を図る必要があることから、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また、買占め及び売惜しみが生じないよう、調査・監視をするとともに、必要に応じ、関係事業者団体等に対して供給の確保や便乗値上げの防止等の要請を行う(特措法59条)。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
② 国、都道府県、市町村は、生活関連物資等の需給・価格動向や実施した措置の内容について、国民への迅速かつ的確な情報共有に努めるとともに、必要に応じ、国民からの相談窓口・情報収集窓口の充実を図る。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
③ 国は、米穀、小麦等の供給不足が生じ、または生じるおそれがあるときは、備蓄している物資の活用を検討する。(農林水産省、関係省庁)
④ 国、都道府県、市町村は、生活関連物資等の価格の高騰又は供給不足が生じ、または生ずるおそれがあるときは、それぞれその行動計画で定めるところにより、適切な措置を講ずる。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
(6)-3-8 新型インフルエンザ等発生時の要援護者への生活支援
   国は、市町村に対し、在宅の高齢者、障害者等の要援護者への生活支援(見回り、介護、訪問診療、食事の提供等)、搬送、死亡時の対応等を行うよう要請する。(厚生労働省)
(6)-3-9 犯罪の予防・取締り
   国内発生早期の記載を参照。
(6)-3-10 埋葬・火葬の特例等(特措法56条)
① 国は、都道府県を通じ、市町村に対し、火葬場の経営者に可能な限り火葬炉を稼働させるよう、要請する。(厚生労働省)
② 国は、都道府県を通じ、市町村に対し、死亡者が増加し、火葬能力の限界を超えることが明らかになった場合には、一時的に遺体を安置する施設等を直ちに確保するよう要請する。(厚生労働省)
③ 国は、新型インフルエンザ等緊急事態において、埋葬又は火葬を円滑に行うことが困難であり、緊急の必要があると認めるときは、当該市町村長以外の市町村長による埋葬又は火葬の許可等の埋葬及び火葬の手続の特例を定める。(厚生労働省)
④ 都道府県は、遺体の埋葬及び火葬について、墓地、火葬場等に関連する情報を広域的かつ速やかに収集し、遺体の搬送の手配等を実施する。
(6)-3-11 新型インフルエンザ等の患者の権利利益の保全等(特措法57条)
   国は、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別の措置に関する法律に基づく措置の必要性を検討し、必要な場合には、行政上の権利利益に係る満了日の延長に関する措置、期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置等の特例措置のうち当該新型インフルエンザ等緊急事態に対し適用すべきものを指定する。(内閣官房、関係省庁)
(6)-3-12 新型インフルエンザ等緊急事態に関する融資(特措法60条)
① 政府関係金融機関等は、あらかじめ業務継続体制の整備等に努め、新型インフルエンザ等緊急事態において、償還期限又は据置期間の延長、旧債の借換え、必要がある場合における利率の低減その他実情に応じ適切な措置を講ずるよう努める。
② 日本政策金融公庫等は、新型インフルエンザ等緊急事態において、影響を受ける中小企業及び農林漁業者等の経営の維持安定を支援するため、特別な融資を実施するなど実情に応じ適切な措置を講ずるよう努める。
③ 日本政策金融公庫は、新型インフルエンザ等緊急事態において、株式会社日本政策金融公庫法第 11 条第2項の主務大臣による認定が行われたときは、同項で定める指定金融機関が、当該緊急事態による被害に対処するために必要な資金の貸付け、手形の割引等の危機対応業務を迅速かつ円滑に実施できるよう、危機対応円滑化業務を実施する。
(6)-3-13 金銭債務の支払猶予等(特措法58条)
   国は、新型インフルエンザ等緊急事態において、経済の秩序が混乱するおそれがある場合には、その対応策を速やかに検討する。
(6)-3-14 通貨及び金融の安定(特措法61条)
   日本銀行は、新型インフルエンザ等緊急事態において、その業務計画で定めるところにより、我が国の中央銀行として、銀行券の発行並びに通貨及び金融の調節を行うとともに、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を通じ、信用秩序の維持に資するため必要な措置を講ずる。

*0 以下の資料を掲載しています。
・ 新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案 説明資料(令和2年3月の,内閣官房新型コロナウイルス感染症対策法案準備室の文書)
*1 新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)8頁及び9頁の記載
   新型インフルエンザ等による社会への影響の想定には多くの議論があるが、以下のような影響が一つの例として想定される。
・ 国民の 25%が、流行期間(約8週間)にピークを作りながら順次り患する。り患者は1週間から 10 日間程度り患し、欠勤。り患した従業員の大部分は、一定の欠勤期間後、治癒し(免疫を得て)、職場に復帰する。
・ ピーク時(約2週間)に従業員が発症して欠勤する割合は、多く見積もって5%程度と考えられるが、従業員自身のり患のほか、むしろ家族の世話、看護等(学校・保育施設等の臨時休業や、一部の福祉サービスの縮小、家庭での療養などによる)のため、出勤が困難となる者、不安により出勤しない者がいることを見込み、ピーク時(約2週間)には従業員の最大 40%程度が欠勤するケースが想定される。
*2 令和2年4月4日現在,山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信HP「5つの提言」の記載
提言1 今すぐ強力な対策を開始する
   ウイルスの特性や世界の状況を調べれば調べるほど、新型ウイルスが日本にだけ優しくしてくれる理由を見つけることが出来ません。検査数が世界の中でも特異的に少ないことを考えると、感染者の急増はすでに始まっていると考えるべきです。対策は先手必勝です。中国は都市封鎖をはじめとする強硬な対策をとりましたが、第1波の収束に2か月を要しました。アメリカの予想では、厳密な自宅待機、一斉休校、非必須の経済活動停止、厳格な旅行出張制限を続けたとして、第1波の収束に3か月かかると予測しています。
   わが国でも、特に東京や大阪など大都市では、強力な対策を今すぐに始めるべきです。一致団結して頑張り、ウイルスに打ち克ちましょう!
*3 医療法施行規則10条
 病院、診療所又は助産所の管理者は、患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させるに当たり、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。ただし、第一号から第四号までに掲げる事項については、臨時応急のため入院させ、又は入所させるときは、この限りでない。
一 病室又は妊婦、産婦若しくはじよく婦を入所させる室(以下「入所室」という。)には定員を超えて患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。
二 病室又は入所室でない場所に患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。
三 精神疾患を有する者であつて、当該精神疾患に対し入院治療が必要なもの(身体疾患を有する者であつて、当該身体疾患に対し精神病室以外の病室で入院治療を受けることが必要なものを除く。)を入院させる場合には、精神病室に入院させること。
四 感染症患者を感染症病室でない病室に入院させないこと。
五 同室に入院させることにより病毒感染の危険のある患者を他の種の患者と同室に入院させないこと。
六 病毒感染の危険のある患者を入院させた室は消毒した後でなければこれに他の患者を入院させないこと。
七 病毒感染の危険ある患者の用に供した被服、寝具、食器等で病毒に汚染し又は汚染の疑あるものは、消毒した後でなければこれを他の患者の用に供しないこと。
(昭二九厚令一三・平一〇厚令九九・平一三厚労令八・平二八厚労令一一〇・一部改正)
*4 日弁連HPに掲載されている,新型インフルエンザ等対策特別措置法案に反対する会長声明(平成24年3月9日付)の記載(ただし,令和2年4月4日現在の日弁連の意見は不明です。)
① 政府の新型インフルエンザ対策行動計画(2011年9月20日)によれば、新型インフルエンザの被害想定の上限値は、受診患者数2500万人、入院患者数200万人、死亡患者数64万人という極めて大規模なものとされ、このような被害想定が、『万が一に備える』との考え方により安易に用いられれば、本法案の上記要件を充足するものとたやすく判断されてしまうおそれがある。そもそも、この被害想定は、1918年(大正7年)に発生したスペインインフルエンザからの推計であるが、当時と現在の我が国の国民の健康状態、衛生状況及び医療環境の違いは歴然としており、こうした推計に基づく被害想定が科学的根拠を有するものといえるのか疑問である。
② 特に、多数の者が利用する施設の使用制限等(45条)は、集会の自由(憲法21条1項)を制限し得る規定であるが、その要件は、「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるとき」(45条2項)という抽象的かつ曖昧なものであり、その対象も、「政令で定める多数の者が利用する施設」とされているのみで、極めて広範な施設に適用可能な規定となっている。
   他方で、一時的な集会などを制限することが感染拡大の防止にどの程度効果があるのかについては十分な科学的根拠が示されておらず、効果が乏しいとの意見もあるところであり、制限の必要性にも疑問がある。そのため、感染拡大の防止という目的達成に必要な最小限度を超えて集会の自由が制限される危険性が高い。
③ 本法案は、上記のとおり、科学的根拠に疑問がある上、人権制限を適用する要件も極めて曖昧なまま、各種人権に対する過剰な制限がなされるおそれを含むものである。
*5 42期の村田斉志最高裁判所総務局長は,令和2年4月16日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています。
 最高裁といたしましても、感染拡大防止措置を徹底しつつ裁判所として必要な機能を維持することは極めて重要であるというふうに考えております。
 そこで、緊急事態宣言の対象地域に所在する裁判所におきましては、裁判所における新型インフルエンザ等対応業務継続計画に基づきまして、令状に関する事務ですとかいわゆるDV事件に関する事務など、特に緊急性の高い事件に関する事務を継続する体制とすることにいたしまして、裁判所として必要な機能を維持できる範囲に業務を縮小いたしまして、裁判所を利用する当事者あるいは職員の移動等をできる限り回避するというようなこととしております。
 裁判所職員の勤務体制につきましては、緊急の事態であることに鑑みまして、このような業務を行う上で必要な職員のみが裁判所に来て職務をし、それ以外の職員につきましては自宅において勤務をしているというところでございます。
 裁判所としては、今後とも、日々刻々と変化する状況を注視しつつ、適切な対応を取ることができるように検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

日弁連の令和2年度役員就任公告

○令和2年4月1日付の官報公告の本文は以下のとおりです。

日本弁護士連合会令和2年度役員が下記のとおり就任したので公告する。
令和2年4月1日     日本弁護士連合会

会 長
荒   中(仙  台)
副会長
冨田 秀実(東  京) 寺前  隆(第一東京)
岡田 理樹(第二東京) 延命 政之(神奈川県)
關本 喜文(山 梨 県) 川下  清(大  阪)
白浜 徹朗(京  都) 山下 勇樹(愛 知 県)
西村 依子(金  沢) 舩木 孝和(広  島)
上田 英友(福 岡 県) 鎌田 健司(仙  台)
狩野 節子(秋  田) 大川 哲也(札  幌)
五葉 明徳(愛  媛)
理 事
伊藤 茂昭(東  京) 緒方 孝則(東  京)
秋田  徹(東  京) 山内 一浩(東  京)
木村 英明(東  京) 田中みどり(東  京)
米田 龍玄(東  京) 吉岡  剛(東  京)
三原 秀哲(第一東京) 長尾  亮(第一東京)
相原 佳子(第一東京) 芳仲美惠子(第一東京)
日下部真治(第二東京) 緑川 由香(第二東京)
藤井 麻莉(第二東京) 剱持 京助(神奈川県)
野崎  正(埼  玉) 真田 範行(千 葉 県)
小沼 典彦(茨 城 県) 澤田 雄二(栃 木 県)
久保田寿栄(群  馬) 白井 正人(静 岡 県)
深澤  勲(山 梨 県) 中嶌 知文(長 野 県)
水内 基成(新 潟 県) 田中  宏(大  阪)
三木 秀夫(大  阪) 澤田 有紀(大  阪)
櫛田 和代(大  阪) 日下部和弘(京  都)
道上  明(兵 庫 県) 友廣 隆宣(兵 庫 県)
宮坂 光行(奈  良) 西川真美子(滋  賀)
山崎 和成(和 歌 山) 井口 浩治(愛 知 県)
竹内 裕美(愛 知 県) 中西 正洋(三  重)
山田  徹(岐 阜 県) 八木  宏(福  井)
宮西  香(金  沢) 西川 浩夫(富 山 県)
足立 修一(広  島) 上田 和義(山 口 県)
猪木 健二(岡  山) 野口 浩一(鳥 取 県)
鳥居 竜一(島 根 県) 多川 一成(福 岡 県)
上地 和久(福 岡 県) 富永 洋一(佐 賀 県)
中西 祥之(長 崎 県) 吉田 祐治(大 分 県)
鹿瀬島正剛(熊 本 県) 新倉 哲朗(鹿児島県)
成見 暁子(宮 崎 県) 村上 尚子(沖  縄)
十河  弘(仙  台) 槇  裕康(福 島 県)
阿部 定治(山 形 県) 大和久政也(岩  手)
山口 謙治(秋  田) 竹中  孝(青 森 県)
樋川 恒一(札  幌) 砂子 章彦(札  幌)
堀田 剛史(函  館) 林  孝幸(旭  川)
岩田 圭只(釧  路) 徳田 陽一(香 川 県)
志摩 恭臣(徳  島) 松本 隆之(高  知)
森本 明宏(愛  媛)
監 事
加納小百合(東  京) 長沢美智子(第二東京)
海老原夕美(埼  玉) 三野 岳彦(京  都)
浅井 直美(岐 阜 県)

東亜由美裁判官(42期)の経歴

生年月日 S37.9.13
出身大学 慶応大
定年退官発令予定日 R9.9.13
R8.3.18以降 ~ 高松高裁長官
R7.2.15 ~ 東京高裁24民部総括
R5.9.25 ~ R7.2.14 大阪高裁6民部総括
R4.7.5 ~ R5.9.24 甲府地家裁所長
R4.4.1 ~ R4.7.4 東京高裁4民判事
R2.4.1 ~ R4.3.31 国税不服審判所長
H28.7.29 ~ R2.3.31 東京地裁15民部総括
H28.4.1 ~ H28.7.28 東京高裁15民判事
H25.8.25 ~ H28.3.31 神戸地裁2民部総括(行政部)
H23.4.1 ~ H25.8.24 東京高裁1民判事
H22.4.1 ~ H23.3.31 法務省大臣官房行政訟務課長
H21.4.21 ~ H22.3.31 法務省大臣官房財産訟務管理官
H19.4.1 ~ H21.4.20 法務省大臣官房参事官
H16.4.1 ~ H19.3.31 東京法務局訟務部副部長
H14.4.9 ~ H16.3.31 東京地裁判事
H14.4.1 ~ H14.4.8 東京地裁判事補
H13.1.6 ~ H14.3.31 法務省大臣官房租税訟務課付
H11.4.1 ~ H13.1.5 法務省訟務局付
H9.4.1 ~ H11.3.31 法総研教官
H6.4.1 ~ H9.3.31 東京法務局訟務部付
H6.3.25 ~ H6.3.31 東京地裁判事補
H5.4.1 ~ H6.3.24 横浜地裁判事補
H3.4.1 依願退官
H2.4.10 ~ H3.3.31 横浜地裁判事補

*1 公認会計士・税理士大橋誠一事務所HP「【0049】国税不服審判所の4月異動」には,「例えば、国税不服審判所本部所長は、歴代法務省から裁判官が2年交代で離着任され、令和2年4月1日付けの人事異動によって、脇博人さんが東京高裁判事に転じられ、東京地裁第15民事部部総括判事でいらした東亜由美さんが着任されています。」と書いてありますところ,国税不服審判所本部所長は法務省出向中の裁判官出身者が占めるポストになっています。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 歴代の高松高裁長官
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 歴代の国税不服審判所長
 令和元年7月採用の国税審判官の研修資料
・ 国税庁長官及び東京国税局長の事務引継資料(令和元年7月頃の文書)
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁



司法修習生に対する修習資金及び修習専念資金の貸与・返済状況等に関するデータの提供について(日弁連事務総長に対する,令和2年11月16日付の最高裁総務局長回答)の別紙です。


杜下弘記裁判官(48期)の経歴

生年月日 S44.1.31
出身大学 京大
定年退官発令予定日 R16.1.31
R4.4.1 ~ 東京地裁民事部部総括(37民→20民(倒産部))
R3.4.1 ~ R4.3.31 最高裁情報政策課長
R2.4.1 ~ R3.3.31 最高裁情報政策課長 兼 最高裁審議官
H30.9.18 ~ R2.3.31 東京地裁6民判事
H27.10.19 ~ H30.9.17 司研第一部教官
H26.4.1 ~ H27.10.18 東京地裁1民判事
H23.4.1 ~ H26.3.31 最高裁総務局参事官
H22.4.1 ~ H23.3.31 さいたま地家裁川越支部判事
H19.4.1 ~ H22.3.31 知財高裁第4部判事
H18.4.11 ~ H19.3.31 那覇地家裁石垣支部判事
H17.5.1 ~ H18.4.10 那覇地家裁石垣支部判事補
H13.4.1 ~ H17.4.30 最高裁総務局付
H11.4.1 ~ H13.3.31 東京地裁判事補
H10.4.1 ~ H11.3.31 日産自動車(研修)
H10.3.27 ~ H10.3.31 東京地裁判事補
H8.4.11 ~ H10.3.26 福岡地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 歴代の最高裁判所審議官
・ 歴代の最高裁判所情報政策課長
・ 裁判所の情報化の流れ
 裁判所における主なシステム
 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等
 裁判官の民間企業長期研修等の名簿
・ 判事補の外部経験の概要


*2 裁判所HPの「タイ王国法務省法執行局の職員らのビジネス・コート来庁」48期の杜下弘記裁判官の顔写真が載っています。

検察終局処分起案の考え方

目次
1 検察終局処分起案の考え方のバックナンバー
2 関連記事

1 検察終局処分起案の考え方のバックナンバー
・ 検察終局処分起案の考え方(令和 6年版)
・ 検察終局処分起案の考え方(令和 元年版)
・ 検察終局処分起案の考え方(平成28年版)
・ 検察終局処分起案の考え方(平成24年版)


2 関連記事
・ 司法修習開始前に送付される資料
・ 司法修習生の司法修習に関する事務便覧
・ 新65期以降の白表紙発送実績
・ 修習教材の電子データ化の弊害が分かる文書は存在しないこと

文書提出命令に関する最高裁判例

目次
1 民事訴訟法219条(書証の申出)に関する最高裁判例
2 民事訴訟法220条3号(法律関係文書)に関する最高裁判例
3 除外事由としての民事訴訟法220条4号ロ(公務秘密文書)に関する最高裁判例
4 除外事由としての民事訴訟法220条4号ハ(職務上知り得た事実で黙秘すべきもの,技術又は職業の秘密に関する文書)に関する最高裁判例
5 除外事由としての民事訴訟法220条4号ニ「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に関する最高裁判例
6 除外事由としての民事訴訟法220条4号ホ(刑事事件に係る訴訟に関する書類)に関する最高裁判例
7 民事訴訟法223条1項に関する最高裁判例
8 民事訴訟法223条6項(インカメラ手続)に関する最高裁判例等
9 民事訴訟法223条7項(即時抗告)に関する最高裁判例等
10 文書提出命令に関する下級審判例
11 民事訴訟法の条文
12 関連記事その他

1 民事訴訟法219条(書証の申出)に関する最高裁判例
・ 地方公共団体は,その機関が保管する文書について,文書提出命令の名宛人となる文書の所持者に当たります(最高裁平成29年10月4日決定)。

2 民事訴訟法220条3号(法律関係文書)に関する最高裁判例
(1) 総論
・ 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等の名誉,プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができます(最高裁平成16年5月25日決定)。
・ 公務員の職務上の秘密に関する文書であって,その提出により公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものについては,民訴法220条3号に基づく提出義務を認めることはできなません(最高裁平成16年2月20日決定)。
・ 捜査に関して作成された書類の写しが民訴法220条1号所定の引用文書又は同条3号所定の法律関係文書に該当し,当該写しを所持する都道府県による提出の拒否が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができます(最高裁平成31年1月22日決定)。
(2) 該当する例
・ 警察官が文書提出命令の申立人の住居等において行った捜索差押えに係る捜索差押許可状及び捜索差押令状請求書は,いずれも,当該警察官が所属し,上記各文書を所持する地方公共団体と文書提出命令申立人との間において,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当します(最高裁平成17年7月22日決定)。
・ 検察官が被疑者の勾留請求に当たって刑訴規則148条1項3号所定の資料として裁判官に提供した告訴状及び被害者の供述調書は,いずれも,上記各文書を所持する国と上記請求により勾留された者との間において,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当します(最高裁平成19年12月12日決定)。
・  鑑定のために必要な処分としてされた死体の解剖の写真に係る情報が記録された電磁的記録媒体は,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当します(最高裁令和2年3月24日決定)。

3 除外事由としての民事訴訟法220条4号ロ(公務秘密文書)に関する最高裁判例
(1) 総論
・ 民訴法220条4号ロにいう「公務員の職務上の秘密」とは,公務員が職務上知り得た非公知の事項であって,実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいいます(最高裁平成17年10月14日決定。なお,先例として,最高裁昭和52年12月19日決定及び最高裁昭和53年5月31日決定参照)ところ,上記「公務員の職務上の秘密」には,公務員の所掌事務に属する秘密だけでなく,公務員が職務を遂行する上で知ることができた私人の秘密であって,それが本案事件において公にされることにより,私人との信頼関係が損なわれ,公務の公正かつ円滑な運営に支障を来すこととなるものも含まれます(最高裁平成17年10月14日決定)。
・ 民訴法220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」とは,単に文書の性格から公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず,その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要です(最高裁平成17年10月14日決定)。
・ 民訴法220条4号ロにいう「公務員」には,国立大学法人の役員及び職員も含まれます(最高裁平成25年12月19日決定)。
・ 最高裁平成25年4月19日決定の田原睦夫裁判官の補足意見には,公務秘密文書のことが詳しく書いてあります。
(2) 該当する例
・ 県が漁業協同組合との間で漁業補償交渉をする際の手持ち資料として作成した補償額算定調書中の文書提出命令申立人に係る補償見積額が記載された部分は,具体的事情によっては,民訴法220条4号ロ所定の文書に該当します(最高裁平成16年2月20日決定)。
・ 外務省が外国公機関に交付した照会文書の控え及び同機関が同省に交付した回答文書は,具体的事情によっては,民訴法223条4項1号の「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があり同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の監督官庁の意見に相当の理由があると認められます(最高裁平成17年7月22日決定)。
・ 全国消費実態調査の調査票情報を記録した準文書は,具体的事情によっては,民訴法231条において準用する同法220条4号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たります(最高裁平成25年4月19日決定)。
・ 検察官による取調べの録音録画記録媒体(最高裁令和6年10月16日決定
(3) 該当する例及び該当しない例
・ 労働災害が発生した際に労働基準監督官等の調査担当者が労働災害の発生原因を究明し同種災害の再発防止策等を策定するために調査結果等を踏まえた所見を取りまとめて作成した災害調査復命書に,(1)当該調査担当者が事業者や労働者らから聴取した内容,事業者から提供を受けた関係資料,当該事業場内での計測,見分等に基づいて推測,評価,分析した事項という当該調査担当者が職務上知ることができた当該事業者にとっての私的な情報のほか,(2)再発防止策,行政指導の措置内容についての当該調査担当者の意見,署長判決及び意見等の行政内部の意思形成過程に関する情報が記載されていること,(1)の情報に係る部分の中には,上記聴取内容がそのまま記載されたり,引用されたりしている部分はなく,当該調査担当者において,他の調査結果を総合し,その判断により上記聴取内容を取捨選択して,その分析評価と一体化させたものが記載されていること,調査担当者には,事業場に立ち入り,関係者に質問し,帳簿,書類その他の物件を検査するなどの権限があることなど判示の事情の下においては,上記災害調査復命書のうち,(2)の情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の文書に該当しないとはいえないが,(1)の情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しません(最高裁平成17年10月14日決定)。
    なお,「(1)の情報に係る部分の中には,(a)上記聴取内容がそのまま記載されたり,引用されたりしている部分はなく,当該調査担当者において,他の調査結果を総合し,その判断により上記聴取内容を取捨選択して,その分析評価と一体化させたものが記載されていること,(b)調査担当者には,事業場に立ち入り,関係者に質問し,帳簿,書類その他の物件を検査するなどの権限があること」という裁判要旨に関して,最高裁平成17年10月14日決定の調査官解説には「本決定は,本件事案に即して(a),(b)の2点を考慮要素として挙げたが,そのいずれかが欠ければ直ちに公務の遂行に著しい支障が生ずるおそれが存在すると判断すべきことをいうものではないであろう。」と書いてあります(平成17年度の最高裁判所判例解説(民事篇)718頁)。

4 除外事由としての民事訴訟法220条4号ハ(職務上知り得た事実で黙秘すべきもの,技術又は職業の秘密に関する文書)に関する最高裁判例
(1) 総論

ア 民訴法197条1項2号所定の「黙秘すべきもの」とは,一般に知られていない事実のうち,弁護士等に事務を行うこと等を依頼した本人が,これを秘匿することについて,単に主観的利益だけではなく,客観的にみて保護に値するような利益を有するものをいいます(最高裁平成16年11月26日決定)。
イ 民訴法197条1項2号は,法定専門職にある者が,その職務上,依頼者等の秘密を取り扱うものであり,その秘密を保護するために法定専門職従事者等に法令上の守秘義務が課されていることに鑑みて,法定専門職従事者等に証言拒絶権を与えたものです(最高裁令和3年3月18日決定)。
ウ 民訴法197条1項3号所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいいます(最高裁平成12年3月10日決定)。
(2) 該当しない例
・ 破たんした保険会社につき選任された保険管理人が,金融監督庁長官から,保険業法(平成11年法律第160号による改正前のもの)313条1項,242条3項に基づき,当該保険会社の破たんについての旧役員等の経営責任を明らかにするために弁護士,公認会計士等の第三者を委員とする調査委員会を設置して調査を行うことを命じられたため,上記命令の実行として弁護士及び公認会計士を委員とする調査委員会を設置し,当該調査委員会から上記調査の結果が記載された調査報告書の提出を受けたという事実関係の下では,当該調査報告書は,民訴法220条4号ハ所定の「第197条第1項第2号に規定する事実で黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書」に当たりません(最高裁平成16年11月26日決定)。
・ A,Bを当事者とする民事訴訟の手続の中で,Aが金融機関Cを相手方としてBとCとの間の取引履歴が記載された明細表を対象文書とする文書提出命令を申し立てた場合において,Bが上記明細表を所持しているとすれば民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず提出義務が認められること,Cがその取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえないことなど判示の事情の下では,上記明細表は,同法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえず,同法220条4号ハ所定の文書に該当しません(最高裁平成19年12月11日決定)。
・ 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が行った顧客の財務状況等についての分析,評価等に関する情報が記載された文書につき,具体的事情によっては,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しません(最高裁平成20年11月25日決定)。

5 除外事由としての民事訴訟法220条4号ニ「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に関する最高裁判例
(1) 総論
・ ある文書が,その作成目的,記載内容,これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯,その他の事情から判断して,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていない文書であって,開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど,開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には,特段の事情がない限り,当該文書は民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たります(最高裁平成11年11月12日決定)。
・ 国立大学法人が所持し,その役員又は職員が組織的に用いる文書についての文書提出命令の申立てには,民訴法220条4号ニ括弧書部分が類推適用されます(最高裁平成25年12月19日決定)。
(2) 該当する例
・ 仙台市議会の議員が所属会派に交付された政務調査費によって費用を支弁して行った調査研究の内容及び経費の内訳を記載して当該会派に提出した調査研究報告書及びその添付書類は,具体的事情によっては,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たります(最高裁平成17年11月10日決定)。
・ 名古屋市議会の会派が市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に各議員から諸経費と使途基準中の経費の項目等との対応関係を示す文書として提出を受けた報告書及びこれに添付された領収書は,具体的事情によっては,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たります(最高裁平成22年4月12日決定)。
・  弁護士会の綱紀委員会の議事録のうち「重要な発言の要旨」に当たる部分は,具体的事情によっては,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に該当します(最高裁平成23年10月11日決定)。
(3) 該当しない例
・ 信用金庫の会員が代表訴訟において信用金庫の貸出稟議書につき文書提出命令の申立てをしたことは,当該貸出稟議書が民訴法二二〇条四号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない特段の事情とはいえません(最高裁平成12年12月14日決定)。
・ 信用組合の貸出稟議書は民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないことがあります(最高裁平成13年12月7日決定)。
・ 銀行の本部の担当部署から各営業店長等にあてて発出されたいわゆる社内通達文書であって一般的な業務遂行上の指針等が記載されたものは,具体的事情によっては,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たりません(最高裁平成18年2月17日決定)。
・ 介護サービス事業者が介護給付費等の請求のために審査支払機関に伝送する情報を利用者の個人情報を除いて一覧表にまとめた文書は,具体的事情によっては,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たりません(最高裁平成19年8月23日決定)。
・  銀行が,法令により義務付けられた資産査定の前提として,監督官庁の通達において立入検査の手引書とされている「金融検査マニュアル」に沿って債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たりません(最高裁平成19年11月30日決定)。
・ 岡山県議会の議員が県から交付された政務調査費の支出に係る1万円以下の支出に係る領収書その他の証拠書類等及び会計帳簿は,具体的事情によっては,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たりません(最高裁平成26年10月29日決定)。

6 除外事由としての民事訴訟法220条4号ホ(刑事事件に係る訴訟に関する書類)に関する最高裁判例
・  検察官等から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定に関して作成し若しくは受領した文書等又はその写しは,民訴法220条4号ホに定める刑事事件に係る訴訟に関する書類又は刑事事件において押収されている文書に該当します(最高裁令和2年3月24日決定)。

7 民事訴訟法223条1項に関する最高裁判例
・ 1通の文書の記載中に提出の義務があると認めることができない部分があるときは,特段の事情のない限り,当該部分を除いて提出を命ずることができます(最高裁平成13年2月22日決定)。
・ 裁判所は,財務諸表等の監査証明に関する省令(平成12年総理府令第65号による改正前のもの)6条に基づき監査調書として整理された記録又は資料のうち,貸付先の一部の氏名,会社名等の部分を除いて文書提出命令を発することができます(最高裁平成13年2月22日決定)。

8 民事訴訟法223条6項(インカメラ手続)に関する最高裁判例等
(1) 最高裁判例
・ 事実審である抗告審が民訴法223条6項に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ,これを閲読した上でした文書の記載内容の認定は,それが一件記録に照らして明らかに不合理であるといえるような特段の事情がない限り,法律審である許可抗告審において争うことができません(最高裁平成20年11月25日決定)。
・ 情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において,不開示とされた文書を目的とする検証を被告に受忍義務を負わせて行うことは,原告が検証への立会権を放棄するなどしたとしても許されず,上記文書を検証の目的として被告にその提示を命ずることも許されません(最高裁平成21年1月15日決定)。
・ 電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書について,当該通信の内容にかかわらず,検証の目的として提示する義務を負いません(最高裁令和3年3月18日決定)。
(2) 調査官解説の記載
・ 最高裁平成17年10月14日決定に関する最高裁判所判例解説には,「本決定(山中注:最高裁平成17年10月14日決定)によれば,「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ」は,その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要というのであるから,裁判所は,当該文書の記載内容について,インカメラ手続又はボーンインデックス方式等によって,その具体的内容を十分に把握した上で判断すべきものである。」と書いてあります(平成17年度の最高裁判所判例解説(民事篇)728頁)。

9 民事訴訟法223条7項(即時抗告)に関する最高裁判例等
(1) 最高裁判例
・ 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては,当該必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできません(最高裁平成12年3月10日決定)。
・ 文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は抗告の利益を有しません(最高裁平成12年12月14日決定)。
・ 文書提出命令の申立てを却下する決定に対し,口頭弁論終結後に即時抗告をすることはできません(最高裁平成13年4月26日決定)。
(2) 判例タイムズの論文の記載
・ 「文書提出命令の審理・判断における秘密保護と真実発見」(寄稿者は55期の中武由紀)には以下の記載があります(判例タイムズ1444号(2018年3月号)31頁)
① 最高裁は,4号ロ,ハ前段,ニの判断において,ハ後段において用いられるような,証拠としての重要性や代替証拠の有無等との比較衡量を用いるかどうかについて明らかにしていない
② 別表一覧表の【22】(抗告審)(山中注:高松高裁平成27年2月27日決定(判例秘書掲載))は,原審が証拠調べの必要性を認めて文書提出命令を発令した事案において,ハ該当性判断のための比較衡量の際に,証拠調べの必要性が高くない旨を述べて,一部提出義務の存否を検討することなく提出義務を否定したものであるが,抗告審が証拠調べの必要性について原審とは異なる心証をもった結果ではないかと推測できる。

10 文書提出命令に関する下級審判例
(1) 民事訴訟法220条1号関係

ア 札幌高裁令和2年8月11日決定は,黒塗り文書の引用文書該当性に関して以下の判示をしています(改行を追加しています。)。
     民訴法220条1号が訴訟において引用した文書を自ら所持するときにその提出義務を負うとした趣旨は,当該文書の秘密保持の利益を放棄したと解されること及び相手方当事者に当該文書を利用させ,反論の機会を与えることが公平にかなうことにあると解される。
 基本事件におけるYの主張内容等に照らすと,Yは,基本事件で陳述した答弁書,各準備書面において,本件黒塗り部分について,本件処分の処分理由が真実であるとの心証を裁判所に抱かせるために言及しているとはいえず,秘密保持の利益を放棄したとはいえない。
     また,Yが本件聞き取り調書に言及している態様に加え,本件黒塗り部分の類型的性質が明らかにされているにとどまるため,本件聞き取り調書の証拠価値には限界があることに照らすと,Xに本件黒塗り部分を開示して利用させ,反論の機会を与えなければ,裁判所に一方的な心証を抱かせる危険性があるとはいえず,公平にかなわないとはいえない。
    結局,本件の事実関係の下では,Yが本件文書の存在及び本件黒塗り部分の内容を引用したとは認められない。
イ 最高裁令和3年5月20日決定は,「所論の点に関する原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。」と判示してXの許可抗告を棄却しました(判例時報2516号11頁)。
(2) 民事訴訟法220条2号関係
ア 交通事故の損害賠償請求事件において、事故車両となった都営バスが事故時に設置していたドライブレコーダー映像は,基本事件原告が基本事件被告(東京都)に対し,東京都情報公開条例に基づき引渡し又は閲覧を求めることができるため,民事訴訟法220条2号に掲げる準文書に該当すると解されています(東京高裁令和2年2月21日決定(判例時報2480号7頁以下)参照)。
     都営バスの交通事故の場合,東京都の代表者は公営企業管理者東京都交通局長となります(地方公営企業法8条1項本文及び東京都公営企業組織条例2条,並びにWikipediaの「地方公営企業」参照)。
イ 東京高裁令和2年10月30日決定は,基本事件において不動産媒介契約に基づく仲介手数料の支払をY(株式会社)に求めるXが,債権者として会社法上の閲覧等請求権を有すると主張し,民訴法220条2号に基づきYの株主名簿,株主総会議事録及び計算書類等(以下「本件各文書」といいます。)の提出を求めた文書提出命令の申立てに関して,Yの債権者であることの一応の証明をしたXは本件各文書につき会社法125条2項,318条4項及び442条3項に基づき閲覧等請求権を有するということで,文書提出命令が発令された事案です。
     最高裁令和3年2月2日決定は,「所論の点に関する原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。」と判示してYの許可抗告を棄却しました(判例時報2516号10頁)。
(3) 民事訴訟法220条3号関係
・ 大阪地裁令和5年9月19日決定(判例タイムズ1516号(2024年3月号))は以下の事例です。
① 申立人(基本事件の原告)が被告人となった刑事事件(申立人については無罪判決が確定)において,申立人の共犯者とされた者の取調べ録音録画につき,民事訴訟法220条3号後段所定の法律関係文書に該当するとされた事例
② 上記取調べ録音録画のうち,申立人の刑事裁判の公判に提出された部分について,閲覧制限事由はなく文書提出義務を認めることに支障はないとされた事例
③ 上記取調べ録音録画のうち,申立人の刑事裁判の公判に提出されなかった部分について,刑事訴訟法47条に基づきその提出を拒否したことが,保管検察官の裁量権の範囲を逸脱し又は濫用するものとされた事例
(4) 民事訴訟法220条4号関係
ア 広島高裁令和2年11月30日決定は,中学生の自死に関して生徒又は教職員からアンケート又は事情聴取により得られた情報が記載された文書に関する文書提出命令の申立てについて,要旨以下のとおり判断して一部の文書については申立てを却下し,他の文書については,自殺したA以外の生徒の具体的な特定につながる部分等を除いて提出することを命じました。
(a) 生徒及び教員を対象とするアンケートの回答用紙原本については,開示すると将来の同様の調査で協力が得られず,真実解明を阻害する具体的なおそれがあり,公務遂行支障性が認められる。
(b) 同アンケートの回答を転記,集約した文書については,①回答者である生徒や教員は回答内容がプライバシーに配慮した方法で公表されることは予期していたといえること,②個人の特定につながる部分をマスキングすれば情報の匿名性が高まること,③生徒の自死という問題の重要性等に照らせば,聴取内容がプライバシーに配慮した方法で提出されたからといって,将来の同様の調査で協力が得られなくなる具体的なおそれがあるとはいえないこと等及び証拠としての重要性を考慮すると,個人の特定につながる部分をマスキングすれば公務遂行支障性は認められない。
(c) 生徒及び教員からの聴取内容を要約,集計等した文書の一部については,事情聴取に当たり,明示に非公開の約束がされていたとは認められないこと,前記(b)の②及び③の事情並びに証拠としての重要性を考慮すると,個人の特定につながる部分をマスキングすれば公務遂行支障性は認められない。
     最高裁令和3年6月3日決定は,「所論の点に関する原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。」と判示して許可抗告を棄却しました(判例時報2516号11頁及び12頁)。
イ 国際郵便小包の配達証及び同控えは,追跡用番号が付され郵便事故の際の追跡調査に資する面はあるとしても法律関係文書に該当しませんし,開示されると通信の秘密や個人のプライバシーが侵害されるおそれがあるものといえますから,事故利用文書に該当します(高松高裁平成25年9月26日決定)ところ,当該決定は最高裁平成26年1月16日決定によって支持されました(判例時報2291号8頁)。

11 民事訴訟法の条文
(1) 219条(書証の申出)
    書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。

(2) 220条(文書提出義務)
    次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書


(3) 223条(文書提出命令等)
① 裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。
② 裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。
③ 裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。
④ 前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。
一 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
二 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
⑤ 第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。
⑥ 裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。
⑦ 文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。


12 関連記事その他
(1) 判例タイムズ1444号(平成30年3月1日付)に「捜査機関が所持する解剖関係の鑑定書の文書提出命令」及び「文書提出命令の審理・判断における秘密保護と真実発見」が載っています。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 即時抗告,執行抗告,再抗告,特別抗告及び許可抗告の提出期限
・ 最高裁判所における違憲判決の一覧
 最高裁判所大法廷の判決及び決定の一覧
 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧
 民事事件の判決原本の国立公文書館への移管
・ 日本国憲法外で法的効力を有していたポツダム命令

略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

目次
第1 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布
第2 関連記事その他

・ 平成30年
罰金4万1214人(うち,100万円は41人,50万円以上は6979人,30万円以上は1万5245人,20万円以上は8659人,10万円以上は1万264人,5万円以上は16人,3万円以上は0人,1万円以上は1人),略式不能等は9人
・ 平成29年
罰金4万3480人(うち,100万円は54人,50万円以上は7140人,30万円以上は1万5958人,20万円以上は9326人,10万円以上は1万966人,5万円以上は35人,3万円以上は1人),略式不能等は13人
・ 平成28年
罰金4万5019人(うち,100万円は43人,50万円以上は7034人,30万円以上は1万6365人,20万円以上は9642人,10万円以上は1万1910人,5万円以上は23人,3万円以上は2人),略式不能等は10人
・ 平成27年
罰金4万6224人(うち,100万円は56人,50万円以上は7057人,30万円以上は1万6658人,20万円以上は1万123人,10万円以上は1万2305人,5万円以上は24人,3万円以上は1人,1万円以上は0人,1万円未満は0人),略式不能等は15人
・ 平成26年
罰金4万7913人(うち,100万円は61人,50万円以上は7119人,30万円以上は1万6959人,20万円以上は1万584人,10万円以上は1万3178人,5万円以上は11人,3万円以上は0人,1万円以上は1人,1万円未満は0人),略式不能等は11人
・ 平成25年
罰金5万392人(うち,100万円は54人,50万円以上は7531人,30万円以上は1万7717人,20万円以上は1万969人,10万円以上は1万4104人,5万円以上は16人,3万年以上は0人,1万円以上は0人,1万円未満は1人),略式不能等は11人
・ 平成24年
罰金5万2248人(うち,100万円は60人,50万円以上は7575人,30万円以上は1万8359人,20万円以上は1万1494人,10万円以上は1万4742人,5万円以上は14人,3万円以上は2人,1万円以上は2人,1万円未満は0人),略式不能等は9人
・ 平成23年
罰金5万3485人(うち,100万円は54人,50万円以上は7607人,30万円以上は1万8468人,20万円以上は1万1964人,10万円以上は1万5363人,5万円以上は24人,3万円以上は2人,1万円以上は3人,1万円未満は0人),略式不能等は16人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表145→図表140がデータの出典です。
2 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
④ 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
⑤ 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
⑥ 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布

目次
第1 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
第2 関連記事その他

第1 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
・ 平成30年
罰金844人(うち,100万円は59人,50万円以上は476人,30万円以上は171人,20万円以上は110人,10万円以上は28人),略式不能等は3人
・ 平成29年
罰金932人(うち,100万円は58人,50万円以上は550人,30万円以上は185人,20万円以上は109人,10万円以上は30人),略式不能等は2人
・ 平成28年
罰金920人(うち,100万円は71人,50万円以上は511人,30万円以上は183人,20万円以上は120人,10万円以上は35人),略式不能等は3人
・ 平成27年
罰金1055人(うち,100万円は52人,50万円以上は596人,30万円以上は229人,20万円以上は144人,10万円以上は28人,5万円以上は1人),略式不能等は5人
・ 平成26年
罰金1080人(うち,100万円は74人,50万円以上は599人,30万円以上は232人,20万円以上は135人,10万円以上は38人),略式不能等は2人
・ 平成25年
罰金1204人(うち,100万円は92人,50万円以上は668人,30万円以上は255人,20万円以上は151人,10万円以上は35人),略式不能等は1人
・ 平成24年
罰金1192人(うち,100万円は76人,50万円以上は632人,30万円以上は302人,20万円以上は151人,10万円以上は31人),略式不能等は3人
・ 平成23年
罰金1357人(うち,100万円は97人,50万円以上は738人,30万円以上は326人,20万円以上は167人,10万円以上は29人),略式不能等は4人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表145→図表140がデータの出典です。
2(1) 過失運転致死罪につき,平成30年の場合,正式裁判(通常第一審と同じです。)の対象人員が1359人であり,略式手続の対象人員が847人です(合計で2206人)から,約38%が略式手続の対象人員となっています。
(2) 裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断49頁及び50頁には「致死事件においては、示談成立・遺族の宥恕が公判請求・略式処理の分水嶺となる、かなり重要な考慮事情となっていると思われ、その意味で積極的に宥恕等を得るとの起訴前弁護活動が重要であることが指摘できよう。」と書いてあります。
3 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
④ 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
⑤ 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
⑥ 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

目次
第1 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
・ 平成30年

懲役・禁錮2744人(うち,全部執行猶予は2584人であり,執行猶予率は98.6%),罰金は121人,無罪は2人,その他は53人
・ 平成29年
懲役・禁錮2836人(うち,全部執行猶予は2646人であり,執行猶予率は98.7%),罰金は154人,無罪は3人,その他は57人
・ 平成28年
懲役・禁錮2717人(うち,執行猶予は2654人であり,執行猶予率は97.8%),罰金は117人,無罪は8人,その他は65人
・ 平成27年
懲役・禁錮2821人(うち,執行猶予は2735人であり,執行猶予率は97.0%),罰金は169人,無罪は6人,その他は56人
・ 平成26年
懲役・禁錮3015人(うち,執行猶予は2880人であり,執行猶予率は95.5%),罰金は145人,無罪は11人,その他は61人
・ 平成25年
懲役・禁錮3030人(うち,執行猶予は2883人であり,執行猶予率は95.2%),罰金は134人,無罪は9人,その他は71人
・ 平成24年
懲役・禁錮3264人(うち,執行猶予は3071人であり,執行猶予率は94.1%),罰金は141人,無罪は4人,その他は78人
・ 平成23年
懲役・禁錮3339人(うち,執行猶予は3138人であり,執行猶予率は94.0%),罰金は178人,無罪は4人,その他は93人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表144→図表139がデータの出典です。
2 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
3 「その他」は,控訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等です。
4 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
④ 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
⑤ 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
⑥ 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

目次
第1 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
・ 平成30年
懲役・禁錮1352人(うち,全部執行猶予は1277人であり,執行猶予率は95.5%),罰金は8人,無罪は4人,その他は7人
・ 平成29年
懲役・禁錮1339人(うち,全部執行猶予は1261人であり,執行猶予率は95.0%),罰金は11人,無罪は4人,その他は5人
・ 平成28年
懲役・禁錮1468人(うち,執行猶予は1390人であり,執行猶予率は95.4%),罰金は14人,無罪は5人,その他は7人
・ 平成27年
懲役・禁錮1439人(うち,執行猶予は1351人であり,執行猶予率は94.3%),罰金は26人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成26年
懲役・禁錮1496人(うち,執行猶予は1395人であり,執行猶予率は94.1%),罰金は20人,無罪は5人,その他は13人
・ 平成25年
懲役・禁錮1611人(うち,執行猶予は1447人であり,執行猶予率は91.2%),罰金は11人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成24年
懲役・禁錮1658人(うち,執行猶予は1496人であり,執行猶予率は92.2%),罰金は14人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成23年
懲役・禁錮1726人(うち,執行猶予は1568人であり,執行猶予率は92.3%),罰金は11人,無罪は7人,その他は19人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表144→図表139がデータの出典です。
2(1) 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
(2) 「その他」は,公訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等です。
3(1) 過失運転致死罪につき,平成30年の場合,正式裁判(通常第一審と同じです。)の対象人員が1359人であり,略式手続の対象人員が847人です(合計で2206人)から,約38%が略式手続の対象人員となっています。
(2) 裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断49頁及び50頁には「致死事件においては、示談成立・遺族の宥恕が公判請求・略式処理の分水嶺となる、かなり重要な考慮事情となっていると思われ、その意味で積極的に宥恕等を得るとの起訴前弁護活動が重要であることが指摘できよう。」と書いてあります。
4 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
④ 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
⑤ 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
⑥ 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)

目次
第1 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
・ 平成30年
懲役総数292人(うち,10年以下は0人,5年以下は5人,3年は21人,2年以上は68人,1年以上は160人,6月以上は38人であり,全部執行猶予率は92.3%),無罪が0人,その他が4人
・ 平成29年
懲役総数341人(うち,10年以下は2人,5年以下は6人,3年は20人,2年以上は61人,1年以上は208人,6月以上は44人であり,全部執行猶予率は92.5%),無罪が2人,その他が3人
・ 平成28年
懲役総数338人(うち,10年以下は2人,5年以下が4人,3年が16人,2年以上が84人,1年以上が206人,6月以上が26人であり,執行猶予率は91.9%),無罪が0人,その他が1人
・ 平成27年
懲役総数327人(うち,10年以下は2人,5年以下が9人,3年が14人,2年以上が93人,1年以上が181人,6月以上が28人であり,執行猶予率は86.7%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成26年
懲役総数233人(うち,10年以下は1人,5年以下が6人,3年が21人,2年以上が63人,1年以上が130人,6月以上が12人であり,執行猶予率は81.4%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成25年
懲役総数163人(うち,10年以下は4人,5年以下が7人,3年が19人,2年以上が55人,1年以上が77人,6月以上が1人であり,執行猶予率は79.6%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成24年
懲役総数169人(うち,10年以下は1人,5年以下が7人,3年が16人,2年以上が54人,1年以上が88人,6月以上が3人であり,執行猶予率は73.9%),無罪が0人,その他が1人
・ 平成23年
懲役総数168人(うち,10年以下は2人,5年以下が7人,3年が13人,2年以上が54人,1年以上が92人であり,執行猶予率は82.4%),無罪が0人,その他が2人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表143→図表138がデータの出典です。
2 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
3 「その他」は,公訴棄却,移送等です。
4(1) 平成26年5月20日,自動車運転死傷行為処罰法の制定により,危険運転致死傷罪の成立範囲が広がりましたから,従前は自動車運転過失致傷罪で起訴されていたものの一部が危険運転致傷罪で起訴されるようになりました。
(2) 法務省HPの「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会 第1回会議(令和6年2月21日)」「危険運転致傷罪等の改正の経緯」が載っています。
5 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
④ 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
⑤ 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
⑥ 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)

目次
第1 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
・ 平成30年
懲役総数17人(うち,20年以下は4人,10年以下は8人,5年以下は4人,3年は1人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成29年
懲役総数31人(うち,20年以下は4人,10年以下は18人,5年以下は6人,3年は3人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成28年
懲役総数37人(うち,30年以下は2人,20年以下は2人,10年以下は20人,5年以下は11人,3年は2人,執行猶予率は50%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成27年
懲役総数32人(うち,30年以下は1人,20年以下は6人,10年以下は15人,5年以下は8人,3年は2人,執行猶予率は50%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成26年
懲役総数17人(うち,20年以下は1人,10年以下は11人,5年以下は4人,3年は1人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成25年
懲役総数32人(うち,20年以下は3人,10年以下は19人,5年以下は5人,3年は5人,2年以上は0人であり,執行猶予率は20%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成24年
懲役総数23人(うち,20年以下は4人,10年以下は16人,5年以下は3人,3年以下は0人),無罪は0人,その他は0人
・ 平成23年
懲役総数17人(うち,20年以下は2人,10年以下は8人,5年以下は4人,3年は1人,2年以上は2人であり,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は0人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表143→図表138がデータの出典です。
2 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
3 「その他」は,公訴棄却,移送等です。
4 平成26年5月20日,自動車運転死傷行為処罰法の制定により,危険運転致死傷罪の成立範囲が広がりましたから,従前は自動車運転過失致死罪で起訴されていたものの一部が危険運転致死罪で起訴されるようになりました。
5 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
④ 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
⑤ 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
⑥ 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

目次
1 総論
2 刑事裁判係属中の刑事記録に関する記事
3 確定した刑事記録に関する記事
4 不起訴となった刑事記録に関する記事
5 その他の記事
6 自動車運送事業者が提出する自動車事故報告書
7 関連資料その他

1 総論
・ 検番等の入手方法等
・ 謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所

2 刑事裁判係属中の刑事記録に関する記事
・ 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)
・ 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)

3 確定した刑事記録に関する記事
・ 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法

4 不起訴となった刑事記録に関する記事
・ 不起訴事件記録の開示範囲の拡大
・ 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法
→ 被害者代理人として入手する場合と,加害者代理人として入手する場合の両方について説明しています。

5 その他の記事
・ 実況見分調書作成時の留意点
・ 交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点
・ 検察庁における交通事故事件に関する記録閲覧等の概況
・ 刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯

加療期間が約3週間以下の場合に作成される実況見分調書の書式です。
6 自動車運送事業者が提出する自動車事故報告書
(1)ア トラック又はバスが死者又は重傷者を伴う交通事故を起こした場合,運輸支局長を経由して国土交通大臣に自動車事故報告書を30日以内に提出する必要があります(道路運送法29条及び貨物自動車運送事業法24条のほか,自動車事故報告規則3条1項)ところ,当該報告書は情報公開請求の対象になります(不開示部分については平成29年度(行情)答申第347号(平成29年11月27日答申)が参考になります。)。
イ 軽トラックの場合,自動車事故報告書の提出義務はありません。
ウ 国土交通省北陸信越運輸局新潟運輸支局HPに「自動車事故に係る報告書等の書式例」が載っていて,例えば,自動車事故報告書の記載例も載っています。
(2) 自動車事故報告書に虚偽の記載をした場合,60日車(1台の事業用車両を60日間動かせなくなること。)に処せられます(自動車総合安全情報HP「行政処分の基準」に載ってある,「違反事項ごとの行政処分等の基準」(乗合,貸切,乗用及び貨物があります。)参照)。
(3) 自動車事故報告書の保管期間は3年間です全日本トラック協会HP「「自動車事故報告書等の取扱要領」の一部改正について(国土交通省)」に載ってある自動車事故報告書等の取扱要領(令和4年3月23日最終改正)7項)。


7 関連資料その他
(1)ア 被疑者ノートは,逮捕・勾留された被疑者が取調べの状況を記録する書き込み式のノートでありますところ,日弁連HPの「被疑者ノート」から誰でもダウンロードできます。
イ 元検事が執筆した取調べに関する書籍としては,例えば以下のものがあります。
・ 自動車事故の供述調書作成の実務(2016年11月15日付)
・ 取調べハンドブック(2019年2月4日付)
(2) 道路の損傷を伴う交通事故の場合,原因行為者に対する損害賠償請求の関係で道路管理者が事故報告書を作成していますところ,当該報告書は情報公開請求の対象になります。
(3) 国土交通省の「自賠責保険ポータルサイト」にはパンフレット「交通事故にあったときには」及び交通事故被害者ノートが載っています。
イ 国土交通省の自動車総合安全情報HP「運転者に対する教育」に以下の資料が載っています。
① 旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年12月3日国土交通省告示第1676号)
② 貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年8月20日国土交通省告示第1366号)
③ 自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル
→ トラック(概要編及び本編),バス(概要編及び本編)及びタクシー(概要編及び本編)についてあります。
(4) 交通事故でけが人がいる場合,119番通報を優先する必要があります(愛知県春日井市HPの「交通事故でけが人がいる場合、119番通報と110番のどちらを優先するのですか?」参照)。
(5)ア 東弁リブラ2022年12月号に「「犯罪被害者支援」について考える ─犯罪被害者支援の現状─」が載っています。
イ 法科学鑑定研究所HP「裁判に強い!!最新科学解析を用いた交通事故鑑定」には,ドライブレコーダー解析・EDR解析等が載っています。
(6) 刑法等の一部を改正する法律(令和4年6月17日法律第67号)に基づき,令和7年6月17日までに懲役刑及び禁錮刑が廃止されて「拘禁刑」として単一化されます(鴻和法律事務所HPの「拘禁刑の創設(懲役刑・禁錮刑の廃止)」参照)。
(7)ア
 以下の資料を掲載しています。
・ 「過失運転致傷等事件に係る簡約特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)
・ 「過失運転致傷等事件に係る特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)
→ 被疑者供述調書につき,「本籍、住居、職業、氏名、生年月日、年齢」,前科前歴及び運転免許を記載する欄があります(犯罪捜査規範220条参照)。
→ ①被害者が処罰を望む意思を明確に示していて,かつ,警察に提出した診断書記載の治療期間が約1週間を超える場合,原則として特例書式の刑事記録が作成されますし,
    ②警察に提出した診断書記載の治療期間が約2週間を超える場合,原則として特例書式の刑事記録が作成されますし,
    ③警察に提出した診断書記載の治療期間が約3週間を超える場合,必ず特例書式又は通常事件の書式で刑事記録が作成されます。
・ 司法警察職員捜査書類基本書式例
→ 通常事件の書式を定めたものでありますところ,第1回の被疑者供述調書(様式第8号の供述調書)には,犯罪捜査規範178条1項所定の事項を記載することが前提となっています。
・ 被害者等通知制度の解説→平成25年10月及び同年11月の検察月報からの抜粋
・ 人身交通事故事件捜査報告書等の書式の制定について(平成12年12月25日付の大阪府警察本部の例規)
・ 物件事故処理要領について(平成4年2月14日付の警察庁交通局交通指導課長等の通達)
・ 大阪府警察の,警察証明事務取扱要領(昭和41年1月18日制定。平成29年12月25日最終改正)
・ 信号表示秒数照会事務処理要領(平成17年8月24日付の大阪府警察交通部交通規制課長の文書)
・ 警察庁交通局事務分掌表(平成29年度)
・ 犯罪被害者等の権利利益の尊重について(平成26年10月21日付の次長検事通達)
・ 「犯罪被害者等の権利利益の尊重について(依命通達)」の発出について」(平成26年10月21日付の最高検察庁総務部長及び公判部長の通達) 
イ 検察事務官向けの法務総合研究所の教材を以下のとおり掲載しています。
・ 事件事務解説
・ 執行事務解説
・ 証拠品事務解説
・ 徴収事務解説
・ 記録事務解説
・ 犯歴事務解説

* 簡約特例書式で使用される被害者供述調書です。

最高裁総務局・人事局・情報政策課との座談会

目次
1 日本裁判所書記官協議会と,最高裁総務局・人事局・情報政策課との座談会
2 平成16年7月成立の日本裁判所書記官協議会
3 全国裁判所書記官協議会と,最高裁総務局・人事局との座談会(昭和56年から平成16年までの分)
4 平成27年7月まで続いていた,郵便切手を巡る不適切事案
5 関連記事その他

1 日本裁判所書記官協議会と,最高裁総務局・人事局・情報政策課との座談会
(1)ア 会報書記官に載っているものですが,日本裁判所書記官協議会と,最高裁総務局・人事局・情報政策課との座談会のバックナンバーは以下のとおりです。
(令和時代)
令和 元年
(平成時代)
平成17年平成18年平成19年平成20年
平成21年平成22年平成23年平成24年
平成25年平成26年平成27年平成28年
平成29年平成30年
イ 以下の年度については開催されていません。
令和2年令和3年
(2)ア 平成17年度の座談会は「最高裁総務局・人事局との座談会」という名称であり,平成18年度以降の座談会は「最高裁総務局・人事局・情報政策課との座談会」という名称です。
イ 平成29年3月10日当時,日本裁判所書記官協議会側の出席者の氏名及び肩書は不開示情報でしたし,座談会の議事録は最高裁判所に存在しませんでした(「日本裁判所書記官協議会との座談会(平成28年6月2日開催)に関する決裁文書」及び平成29年度(最情)答申第22号(平成29年7月24日答申)参照)。
ウ 平成29年度の座談会から,誰の発言であるかがわからなくなりました。

2 平成16年7月成立の日本裁判所書記官協議会
(1)ア 平成16年7月,全国裁判所書記官協議会と裁判所書記官研修所富士見同窓会が統合し,日本裁判所書記官協議会(略称は「日本書協」です。)となりました(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス「全国裁判所書記官協議会」参照)。
イ 全国裁判所書記官協議会会報第167号40頁には以下の記載があります。
    全国書協は,富士見同窓会と来る7月24日(土)に開催される設立総会において,長年の懸案でありました両組織の統合を図ることを予定しております。司法制度改革の実現を目指すこの時期に,裁判所の基幹職種である裁判所書記官の新しい組織として再出発をして,所期の目的を達成すべく努力を傾けてまいる所存であります。
(2) 座談会の出席者欄を見る限り,日本裁判所書記官協議会の会長は最高裁判所大法廷首席書記官みたいです。

3 全国裁判所書記官協議会と,最高裁総務局・人事局との座談会(昭和56年から平成16年までの分)
(1) バックナンバーは以下のとおりです。
(平成時代)
平成元年平成2年平成3年平成 4年平成 5年平成 6年
平成7年平成8年平成9年平成10年平成11年平成12年
平成13年平成14年平成15年平成16年
(昭和時代)
昭和56年昭和57年昭和58年昭和59年
昭和60年昭和61年昭和62年昭和63年
(2) 昭和56年以降の座談会の名称は以下のとおりです。
昭和56年~平成 3年:最高裁総務局・人事局各課長,参事官を囲む
平成 4年~平成12年:最高裁総務局・人事局各課長,参事官を囲む座談会
平成13年~平成16年:最高裁総務局・人事局との座談会


4 平成27年7月まで続いていた,郵便切手を巡る不適切事案
(1)ア 最高裁判所事務総局が作成した,郵便切手を巡る不適切事案に係る調査報告書には以下の記載があります。
(2頁の記載)
    東京地簡裁での不適切事務の判明を受けて,平成27年7月以降,全国959庁の民事事件・家事事件担当部署に所属する全職員(調査時点の状況につき回答した職員数は1万0571名)を対象に,予納郵便切手として適切に管理されていない記録外の郵便切手(以下「記録外郵便切手」という。)の有無及びその保管状況,不適切事務や私的流用の有無等について調査を行い,さらに,その部署における事務の状況や記録外郵便切手の額等に鑑み,過去に不適切事務が行われていた可能性を否定することができない部署については,過去に当該部署に所属した職員を遡って対象者とし,不適切事務の有無等についての調査を行った。
(2頁及び3頁の記載)
2 調査の結果
(1) 記録外郵便切手の確認状況
    職員に対する調査によって確認された記録外郵便切手のうち,①その由来となった事件ないし当事者等を客観的に特定することができたものが3万9331円(保管者数10名),②その由来を客観的に特定することができなかったものが747万8425円(保管者数693名)であった。
    なお,①及び②とは別に,調査時点の職員等が自費で購入したと認められたものが約400万円あった(保管者数約2200名)。
イ ①その由来となった事件ないし当事者等を客観的に特定することができた記録外郵便切手は保管者1人あたり3933円であり,②その由来を客観的に特定することができなかった記録外郵便切手は1人あたり1万791円です。
(2) 平成28年6月2日開催の最高裁総務局・人事局・情報政策課との座談会には以下の記載があります(会報書記官第48号60頁及び61頁)。
佐藤総務局第三課長
    昨年,複数の裁判所で不適切な郵便切手の管理が発覚し, それに対する調査結果を本年3月28日に公表しました。調査に当たって多くの書記官に協力していただいたことに,まず謝意を表したいと思います。調査結果報告書は裁判所ホームページに掲載されており,すでに一読していただいていると思います
(中略)
    ところで,この郵券問題を通して書記官事務に関して,本質的な問題がいくつか浮かび上がりました。
    第1に,一見細々とした事務を適正に処理することの重要性です。郵便切手の管理は煩瑣であるというのが多くの番記官の本音だと思いますが,書記官事務の第一義は手続の適正さの確保にあり,いかに煩瑣な事務であっても,それを適正に処理することが書記官の本分です。
(中略)
     第2に,当事者の便宜や事務処理の迅速は金科玉条ではないということです。郵券問題において,当事者の便宜や事務処理の迅速を理由として.記録外の郵便切手で両替したり立て替えたりしたという事例が散見されました。一見するともっともな理由のように思えるのが危険なところです。記録外の郵便切手を事務処理に使用することは,銀行の預金担当者が顧客から受領した金銭をポケットマネーと交換するようなものであり,適正さを著しく害することは言うまでもありません。いかに当事者の便宜や事務処理の迅速のためであっても,公正中立さや適正さを害してはいけないのです。
(中略)
     第3に,悩みを共有して解決するために現場からの発信が必要であるということです。郵券問題では,前任者から事実上受け継いだ記録外の郵便切手の処理に困っていたので,調査を通じて報告・相談することができて良かったという感想が複数の書記官から寄せられました。
(3)ア 日本公認会計士協会HPの「リスク・アプローチ」には,リスク・アプローチの説明として以下の記載があります。
監査を効果的・効率的に進めるための手法。
監査の人員や時間などの監査資源が有限であるため、すべての項目に対して総括的に監査を行うのではなく、経済環境、会社の特性などを勘案して、財務諸表の重要な虚偽表示に繋がるリスクのある項目に対して重点的に監査資源を投入し、効果的・効率的に監査を行う手法。
イ Senses Lab.HPの「営業組織をブチ壊したい人必見!サボタージュマニュアルとは?」には,CIAの前身だったOSS(戦略諜報局)が70年ほど前に作成した,組織のパフォーマンスめちゃ下げマニュアルからの引用として例えば,以下の記載があります。
6.些細なことにも高い完成度を要求せよ。わずかな間違いも繰り返し修正させ小さな間違いも見つけ出せ。
8.もっともらしくペーパーワークを増大させよ。
10.すべての規則を隅々まで厳格に適用せよ。
11.何事をするにも「通常のルート」を通して行うように主張せよ。決断を早めるためのショートカットを認めるな。
16.あらゆる決断の妥当性を問え。ある決定が自分たちの管轄にあるのかどうか、また組織上層部のポリシーと相反しないかどうかなどを問題にせよ。

5 関連記事その他
(1) 予納郵便切手の交換に関する事務の取扱いについて(平成28年3月28日付の最高裁判所総務局長及び経理局長の通達)を掲載しています。
(2) 以下の記事も参照してください。
(秘書課関係)
・ 歴代の最高裁判所秘書課長兼広報課長
・ 裁判所の情報公開に関する通達等
 司法行政文書に関する文書管理
(情報政策課関係)
 歴代の最高裁判所情報政策課長
・ 最高裁判所事務総局情報政策課
・ 最高裁判所事務総局情報政策課の事務分掌
 裁判所における主なシステム
・ 裁判所の情報化の流れ
(総務局関係)
・ 歴代の最高裁判所総務局長
・ 最高裁判所事務総局総務局の事務分掌
・ 民事事件の裁判文書に関する文書管理
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
・ 司法行政文書の国立公文書館への移管
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携
(人事局関係)
・ 歴代の最高裁判所人事局長
・ 最高裁判所事務総局人事局の事務分掌
・ 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
・ 裁判所の指定職職員
・ 裁判所の指定職職員の名簿
・ 級別定数の改定に関する文書
・ 裁判所における一般職の職員
・ 指定職未満の裁判所一般職の級
・ 裁判所書記官の役職
 家庭裁判所調査官の役職