目次
1 級別定数の改定に関する文書
2 定数配布に関する文書は不開示であること
3 級別定数表に関する最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申書の記載内容
4 関連記事その他
1 級別定数の改定に関する文書
(1) 最高裁判所が毎年度,裁判所職員臨時措置法・一般職の職員の給与に関する法律8条に基づき作成している級別定数の改定に関する文書を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和2年度,令和3年度,令和4年度,令和5年度,
令和6年度,
(平成時代)
平成27年度,平成28年度,平成29年度,平成30年度,平成31年度
* 「令和6年度の級別定数の改定について(最高裁判所)」といったファイル名です。
(2) 一般職の職員の給与に関する法律6条の2第1項及び8条1項に基づく人事院の意見は,人事院HPの「級別定数等に関する内閣総理大臣への意見」に載っています。
令和3年度級別定数の改定について(令和3年4月1日実施分)を添付しています。 pic.twitter.com/4CkJK8k8iI
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) May 22, 2021
2 定数配布に関する文書は不開示であること
・ 平成28年度(最情)答申第30号(平成28年10月24日答申)には,「2 本件対象文書の不開示情報該当性について」として以下の記載があります(本件対象文書とは,「具体的な職名,級についてどのような考え方に基づいて定数配付を行っているのかが分かる文書(最新版)」のことです。)。
(1) 原判断においては,本件対象文書は,全体として法5条6号ニに相当する不開示情報が記録されているものであるとして,標題も含めた全体を不開示としたところ,苦情申出がされたが,最高裁判所事務総長は,原判断を相当としているから,最高裁判所の職員の口頭説明の結果を踏まえ,検討する。
(2) 本件対象文書の見分の結果及び最高裁判所の職員の口頭説明の結果を総合すると,定数配布とは,級別定数の範囲内で適任者を適正に昇格させるために用いられる手法であると認められる。
そして,本件対象文書の見分の結果によれば,本件対象文書には,その手法に関する事項の一部が記載されているところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,具体的な手法の内容は,ごく一部の職員にしか知られることのない極めて機密性の高い性質のものであり,たとえ標題だけが知られることになったとしても,裁判所の人事管理に関して無用の憶測を呼ぶなどするおそれがあるとのことであり,当該説明が不合理とはいえない。
そうすると,人事管理に係る事務という公平性と機密性が要求される事務の性質上,本件対象文書に記録された情報については,標題も含めた全体について,これを公にすると,これを知った者に無用な憶測を生じさせたり,さらには,職員の適正かつ円滑な職務遂行に好ましくない影響が及ぶなどして,裁判所の人事事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって,本件対象文書に記録された情報は,標題も含めたその全体が法5条6号ニに規定する不開示情報に相当すると認められる。
3 級別定数表に関する最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申書の記載内容
・ 令和4年度(最情)答申第32号(令和5年2月27日答申)には以下の記載があります。
当委員会庶務を通じた確認の結果は、次のようなものである。まず、級別定数表とは、各年度の一般予算参照書の予算定員表に定められた職名別の定員の数値を基礎資料として、最高裁判所が予算の範囲内で職務の級の定数を設定するために毎年度作成されている文書であって、級別定数表における職務の級の定数は、裁判所職員定員法で定められている裁判所職員の定員(法律定員)を予算面から裏付けている予算定員の範囲内で、組織ごとに、俸給表別、職名別及び職務の級別に内訳の数が定められている。また、級別定数表の職名は予算定員表に定められた職名と一致し、特定の個別具体的な官職の職務内容は、それぞれの設置についての定めと関連付けて定められている。そして、例えば、最高裁判所の級別定数表の「職名」欄に記載されている「技術員」に該当する官職としては、工務検査官及び主任技官ほか複数の官職がある。
上記確認結果を踏まえれば、級別定数表の職名について、特定の個別具体的な官職の名称ではなく、複数の官職を総称するための代表的な官職又は包括的な官職の名称としているとする最高裁判所事務総長の説明は合理的である。これらの事実を踏まえれば、最高裁判所においては、特定の個別具体的な官職の設置の定めと関連付けて各官職の職務内容を定めているため、「級別定数表の職名として出てくる調査員」等又は「級別定数表の職名として出てくる技術員」等の職務内容が分かる文書は作成し、又は取得していないとする最高裁判所事務総長の上記説明の内容も不合理とはいえない。
4 関連記事その他
(1)ア 全司法新聞2327号(2020年2月)には,「昇格課題については、「『退職までに誰でも5級』の枠組みが厳しくなっているのではないか。4級昇格を確実に、そして早く発令するようなとりくみも必要ではないか」(香川)との問題提起がなされました。」と書いてあります。
イ 人事院HPに「級別定数等に関する内閣総理大臣への意見」が載っています。
(2) 令和4年9月9日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
級別定数表とは、最高裁判所が予算の範囲内で職務の級の定数を設定するために毎年度作成している文書であり、職名別に職務の級ごとの定数が記載され炉単ている。
級別定数表は、各年度の予算書のうち、裁判所職員予算定員及び俸給額表(以下「予算定員表」という場合はこの表を指す。)に定められた職名別の定員の数値を基礎資料として作成している。
(3) 令和4年10月17日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
級別定数表とは、各年度の一般会計予算参照書のうち予算定員及び俸給額表(以下「予算定員表」という場合はこの表を指す。)を基礎資料として、最高裁判所が予算の範囲内で職務の級の定数を設定するために毎年度作成している文書であり、裁判所職員定員法で定められている裁判所職員の定員(法律定員)を予算面から裏付けている予算定員の範囲内で、組織ごとに、俸給表別、職名別及び職務の級別に内訳の数が定められたものである。
(4)ア 以下の資料も参照してください。
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の標準的な官職を定める規則(平成21年3月31日最高裁判所規則第6号)
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の官職の属する職制上の段階等について(平成21年3月31日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の管理職員等の範囲に関する規則(昭和41年7月22日最高裁判所規則第6号)
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の管理職員等の範囲に関する規則の運用について(昭和63年9月30日付の最高裁判所事務総長依命通達)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
・ 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
・ 最高裁判所が作成している,高裁長官・地家裁所長等名簿
・ 裁判所における一般職の職員
・ 裁判所の指定職職員
・ 裁判所の指定職職員の名簿(一般職)
・ 指定職未満の裁判所一般職の級
・ 裁判所書記官の役職
・ 家庭裁判所調査官の役職
R020721 答申書(平成30年度予算における事務局長の級と地家裁の対応関係)を添付しています。 pic.twitter.com/d1vpa1telG
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) August 1, 2020
R020721 答申書(平成30年度予算における首席家裁調査官の級と家裁の対応関係)を添付しています。 pic.twitter.com/Uf2zEe9Hpk
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) August 1, 2020
R040909 最高裁の理由説明書(毎年度の級別定数表の「職名」別の予算定員と,毎年の裁判所データブックに載ってある定員の対応関係)を添付しています。 pic.twitter.com/Fhkpp27XOH
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) September 25, 2022