弁護士業界

日本弁護士国民年金基金の実質赤字の割合等の推移

目次
第0 データの出典
第1 日本弁護士国民年金基金の責任準備金の推移
第2 日本弁護士国民年金基金の純資産額の推移
第3 日本弁護士国民年金基金の実質赤字の推移
第4 日本弁護士国民年金基金の2口目以降分責任準備金の推移
第5 日本弁護士国民年金基金の実質赤字の割合の推移
第6 職能型基金及び地域型基金の実質赤字の割合の推移
1 職能型基金の実質赤字の割合の推移(平均値)
2 地域型基金の実質赤字の割合の推移(平均値)
第7 関連記事その他

第0 データの出典
・ データの出典は,毎年11月から翌年1月頃に送られてくる「令和◯年度決算及び代議員会・理事会の審議結果等の御報告」(以下「決算報告」といいます。)です。

第1 日本弁護士国民年金基金の責任準備金の推移
1 責任準備金とは,将来の掛金収入として,標準掛金だけでなく特別掛金も含めて考えた場合に,将来の給付のために現時点で保有しておかなければならない積立金のことです(企業年金連合会HPの「責任準備金」参照)。
2 日本弁護士国民年金基金の責任準備金の推移は以下のとおりです。
平成23年度末: 831億4387万4000円
平成24年度末: 891億4631万7000円
平成25年度末: 953億 350万    円
平成26年度末:1011億7357万2000円
平成27年度末:1067億5425万6000円
平成28年度末:1124億6996万2000円
平成29年度末:1178億3944万5000円
平成30年度末:1238億2619万3000円
令和 元年度末:1292億5526万8000円
令和 2年度末:1340億7785万6000円
令和 3年度末:1389億7370万8000円
令和 4年度末:1432億2490万    円
* 決算報告に載ってある,貸借対照表(年金経理)の負債勘定の「責任準備金」を見れば分かります。

第2 日本弁護士国民年金基金の純資産額の推移
平成23年度末: 624億8961万8000円
平成24年度末: 724億 765万1000円
平成25年度末: 820億 922万7000円
平成26年度末: 948億6637万    円
平成27年度末: 947億5001万8000円
平成28年度末:1011億4682万5000円
平成29年度末:1079億3427万5000円
平成30年度末:1115億2166万9000円
令和 元年度末:1095億6090万9000円
令和 2年度末:1296億2469万9000円
令和 3年度末:1369億7048万6000円
令和 4年度末:1363億1256万9000円
* 決算報告に載ってある,「2 年金経理と業務経理の財政状況について」の「年金経理の財政状況」の(A)純資産額を見れば分かります。

第3 日本弁護士国民年金基金の実質赤字の推移
1 実質赤字は,純資産額-責任準備金によって計算されます。
2 日本弁護士国民年金基金の実質赤字の推移は以下のとおりです。
平成23年度末:206億5425万6000円
平成24年度末:167億3866万6000円
平成25年度末:132億9427万3000円
平成26年度末: 63億 720万2000円
平成27年度末:120億 423万8000円
平成28年度末:113億2313万7000円
平成29年度末: 99億 517万    円
平成30年度末:123億 452万4000円
令和 元年度末:196億9435万9000円
令和 2年度末: 44億5315万7000円
令和 3年度末: 20億 322万2000円
令和 4年度末: 69億1233万1000円
* 決算報告に載ってある,「2 年金経理と業務経理の財政状況について」の「年金経理の財政状況」の「⑤実質赤字」を見れば分かります。

第4 日本弁護士国民年金基金の2口目以降分責任準備金の推移
平成23年度末: 627億  89万9000円
平成24年度末: 672億2971万8000円
平成25年度末: 718億6319万8000円
平成26年度末: 762億9173万1000円
平成27年度末: 804億9021万6000円
平成28年度末: 847億8706万4000円
平成29年度末: 888億3882万3000円
平成30年度末: 934億3311万7000円
令和 元年度末: 975億5404万9000円
令和 2年度末:1012億1684万8000円
令和 3年度末:1049億6143万3000円
令和 4年度末:1082億5578万2000円
* 決算報告に載ってある,「2 年金経理と業務経理の財政状況について」の「年金経理の財政状況」末尾の「2口目以降分責任準備金」を見れば分かります。

第5 日本弁護士国民年金基金の実質赤字の割合の推移
1 実質赤字の割合は,実質赤字÷2口目以降分責任準備金によって計算されます。
2 日本弁護士国民年金基金の実質赤字の割合の推移は以下のとおりです。
平成23年度末:32.94%(日経平均株価は1万  83円)
平成24年度末:24.90%(日経平均株価は1万2397円)
平成25年度末:18.50%(日経平均株価は1万4827円)
平成26年度末: 8.27%(日経平均株価は1万9206円)
平成27年度末:14.91%(日経平均株価は1万6758円)
平成28年度末:13.35%(日経平均株価は1万8909円)
平成29年度末:11.15%(日経平均株価は2万1454円)
平成30年度末:13.17%(日経平均株価は2万1205円)
令和 元年度末:20.19%(日経平均株価は1万8917円)
令和 2年度末: 4,40%(日経平均株価は2万9178円)
令和 3年度末: 1.90%(日経平均株価は2万7821円)
令和 4年度末: 6.40%(日経平均株価は2万8041円)
* 決算報告に載ってある,「2 年金経理と業務経理の財政状況について」の「年金経理の財政状況」の「⑥2口目以降分についての積立度合」から100%を控除することで計算しています。


第6 職能型基金及び地域型基金の実質赤字の割合の推移
1 職能型基金の実質赤字の割合の推移(平均値)
平成23年度末:34.7%
平成24年度末:28.1%
平成25年度末:22.7%
平成26年度末:14.9%
平成27年度末:22.2%
平成28年度末:21.9%
平成29年度末:20.8%
平成30年度末:23.5%
令和 元年度末:19.8%
令和 2年度末: 4.7%
* 令和 3年度末については記載がありません。
2の1 地域型基金の実質赤字の割合の推移(平均値)
平成23年度末:35.9%
平成24年度末:28.1%
平成25年度末:21.2%
平成26年度末:13.0%
平成27年度末:20.8%
平成28年度末:21.3%
平成29年度末:20.4%
平成30年度末:23.0%
令和 元年度末:30.7%
2の2 全基金の1口目の実質赤字の割合の推移(平均値)
令和 2年度末:14.7%
令和 3年度末:13.3%
令和 4年度末:18.3%
* 第5及び第6の数字は,決算報告に載ってある,「2 年金経理と業務経理の財政状況について」の「国民年金基金連合会のまとめによると,令和2年度の責任準備金に対する積立度合いは1口目が共通で85.3%,2口目以降については全基金計81.6%, 当基金は95.6%,当基金を含む3つの職能型基金では95.3%のとのことです。」(令和2年度決算の記載)等を見れば分かります。


第7 関連記事その他
1(1) 国民年金基金の平成31年4月改定の基本ポートフォリオは,グローバル債券(国内外の債券)が52%であり,グローバル株式(国内外の株式)が48%です(国民年金基金HP「資産運用状況」参照)。
 そのため,株価が上昇した場合,繰越不足金の割合が減少するものの,株価が下落した場合,繰越不足金の割合が増加することとなります。
(2) 国民年金基金連合会の2022年度運用報告書4頁には以下の記載があります。
2022年度の修正総合利回りは、マイナス0.78%となりました。
また、長期(1997年度以降)の運用実績は、累積で年率4.14%となりました。
なお、積立金残高は4兆6,020億円(2023年3月末時点)となりました。
2 自由と正義2024年2月号22頁(筆者は日本弁護士国民年金基金参与(前常務理事))に以下の記載があります。
    当基金でも他の国民年金基金でも、設立以来、既加入者の掛金額を変更したことは一度もなく、財政再計算で影響を受けるのは、財政再計算の翌年度以降に新規加入・増口する場合の掛金額と考えてよい。
(中略)

    新規加入者の予定利率(現在1.5%)は、既加入者の予定利率(5.5%~1.5%)と同じかより低いため、新規加入者が増えるほど予定利率の平均値は下がる。つまり、新規加入者が増えるほど、資産運用における目標値を引き下げることができ、より安全確実な資産運用が可能になるというメリットが認められる。
3 以下の記事も参照して下さい。
・ 日本弁護士国民年金基金
・ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移
・ 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
・ 個人型確定拠出年金(iDeCo)
・ 弁護士の社会保険

弁護士会照会

目次
1 総論
2 弁護士会照会を受けた団体等の回答義務
3 日本郵便に対する弁護士会照会に関する判例
4 弁護士会照会で債務者の財産を調査する方法
5 損害保険料率算出機構に対する弁護士会照会
6 自由と正義の特集
7 関連記事その他

1 総論
(1) 弁護士会照会の流れは以下のとおりです(6訂 民事弁護における立証活動52頁参照)。
① 受任事件について,弁護士が所属弁護士会に対し,弁護士会から特定の公務所又は公私の団体(以下「公務所等」といいます。)に対して必要な事項の報告を求める照会を発すべきことを求める照会申出を行う。
② この照会申出を受けた弁護士会がその適否を判断する審査を行う。
③ 審査の結果,照会申出を適切と判断した弁護士会が特定の公務所等に対して報告を求める照会を行う。
④ 照会を受けた公務所等が弁護士会に対して所要の事項の報告を行う。
⑤ 弁護士会が公務所等からの報告事項を照会申出人である弁護士に通知する。
(2) 弁護士法23条の2に基づくことから,23条照会ともいいます。

2 弁護士会照会を受けた団体等の回答義務
(1) 弁護士会照会を受けた公務所又は公私の団体は,正当な理由がない限り,照会された事項について報告をすべきものと解されています(最高裁平成28年10月18日判決。なお,「弁護士会照会報告拒絶に対する損害賠償請求訴訟の最高裁判決に関する会長談話」(平成28年10月18日付の愛知県弁護士会会長談話)参照)。
(2) 弁護士会照会に対して自治体が前科及び犯罪経歴を回答した場合,国家賠償責任の問題となることがあります(最高裁昭和56年4月14日判決参照)。


3 日本郵便に対する弁護士会照会に関する判例
(1) 郵便法上の守秘義務を負う日本郵便が,弁護士法23条の2第2項に基づき照会された事項の報告を拒絶する正当な理由があるか否かは,照会事項ごとに,報告することによって生ずる不利益と報告を拒絶することによって犠牲となる利益を比較衡量することにより決せられるべきであるとし,照会事項のうち,①郵便物についての転居届の提出の有無,②転居届の届出年月日及び③転居届記載の新住所(居所)については,報告を拒絶する正当な理由がないが,転居届に記載された電話番号については正当な理由があるとされました(最高裁平成28年10月18日判決の差戻控訴審である名古屋高裁平成29年6月30日判決)。
    ただし,名古屋高裁平成29年6月30日判決の上告審判決である最高裁平成30年12月21日判決は,23条照会をした弁護士会が,その相手方に対し,当該照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法であると判示しました。
(2) 最高裁平成28年10月18日判決及び最高裁平成30年12月21日判決には「弁護士法23条の2第2項に基づく照会(以下「23条照会」という。)」と書いてあります。


4 弁護士会照会で債務者の財産を調査する方法
(1) 弁護士会照会で債務者の財産を調査する方法としては以下のものがあります(二弁フロンティア2021年11月号「弁護士会照会ってどんな場面で使えるの?」参照)。
① 金融機関に対する全店照会
② 通信会社に対する引落し口座照会
③ クレジットカード会社に対する引落し口座情報照会
④ 運輸支局等に対する車両の所有者等情報の照会
⑤ 生命保険会社等に対する解約返戻金予定額等の照会
(2) 一般社団法人生命保険協会は弁護士会照会の取次を終了したものの,一般社団法人日本損害保険協会.一般社団法人外国損害保険協会.一般社団法人日本少額短期保険協会及び一般社団法人日本共済協会は弁護士会照会の取次を継続しています(「弁護士会照会ハンドブック」(2018年7月2日付)104頁)。


5 損害保険料率算出機構に対する弁護士会照会
(1) 相手方の自賠責保険金の請求歴に関して損害保険料率算出機構に対する弁護士会照会をした場合,平成30年4月当時,以下の事項の回答だけがありました。
自賠責保険会社の名前,自賠責証明書番号
事故発生日時,事故発生場所,事故態様,相手方の傷病名,後遺障害認定の有無,認定時の等級
損害調査認定額(傷害による損害及び後遺障害による損害)
(2) 弁護士会照会に対する回答文として,以下の決まり文句がありました。
    今般、弁護士法第23条の2に基づく照会がなされましたが、弊機構では自賠責保険会社からの依頼に基づき自賠責保険の損害調査を行っており、調査が終了した後には、調査結果と共に、請求書類を自賠責保険会社に返却しています。そのため弊機構にはご希望の調査を満足する資料は保管されていません。また、弊機構は調査機関に過ぎず、自賠責保険に対する請求に応じるか否か等の最終決定権及び具体的な支払いをする権限は自賠責保険会社にあり、自賠責保険金支払いの有無については回答することが困難です。したがって、弊機構にて保有するデータから判明する範囲で回答させていただきますので、詳細につきましては、各保険会社にお問い合わせいただきますようお願いいたします。
    なお、以下の回答内容は、被害者名:「◯◯◯◯」,生年月日:「平成◯年◯月◯日」により検索した結果を示したものであり、今回ご照会頂いている◯◯◯◯様と同一人物であるか否かについてはわかりかねます。
(3) 中村真弁護士ブログに「【役立つ!】保険金取得歴の調査」が載っています。


6 自由と正義の特集
(1) 自由と正義2015年1月号の「特集1 弁護士会照会の今後」として以下の記事が載っています。
① 金融機関に対する照会について
② 弁護士会照会に対する報告拒否と不法行為責任
③ 弁護士会照会の審査体制,審査基準,審査の際の留意点
④ 制度を維持するために注意すべき点
⑤ 弁護士法第23条の2の改正について-弁護士法第23条の2の照会制度の実効性確保に向けて-
(2) 自由と正義2019年11月号の「特集 弁護士会照会に関する最高裁判決と今後の対応について」として以下の記事が載っています。
① 愛知県弁護士会と日本郵便との訴訟の経緯と意義
② 弁護士会照会最高裁判決と「それではどうしたらよいか」問題
③ 金融機関に対する全店照会の現状と最高裁判決が与える影響
④ 弁護士会照会制度の今後の改正に向けて


7 関連記事その他
(1) 弁護士会照会の回答書のコピーをシンポジウム参加者に配布して戒告の懲戒処分を受けた事例があります(自由と正義2009年6月号210頁)。
(2) 東弁リブラ2011年5月号に「第2回  通信会社に対する弁護士会照会の留意点」が載っていて,総務省HPに「電気通信番号指定状況 (電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)第1第4項による公表)」が載っています。
(3) 大阪高裁平成30年9月6日判決(私が訴訟代理人として取得したものです。)は「訴訟係属中の23条照会と調査嘱託及び文書送付嘱託との間に法律上の優劣関係の定めはなく,またそのように解釈すべき理由もない」と判示しています。
(4) 企業法務のための民事訴訟の実務解説(第2版)182頁には,民事訴訟法186条に基づく調査嘱託に関して以下の記載があります。
    法文上、嘱託先は「団体」 とされており、個人に対する調査嘱託はできませんが、実務上、裁判所の判断によって、例えば、個人開業の医師や弁護士に対しても病院・医院宛や法律事務所宛として調査嘱託を行うこともありますので、裁判所と相談すると良いでしょう。
(5)ア 二弁フロンティア2022年12月号「弁護士会照会ってどんな場面で使えるの?離婚事件における弁護士会照会事例」によれば,離婚事件における照会事例として以下のものが紹介されています。
① 財産分与の対象となる対象財産等の調査
・ 預貯金・株式等
・ 給与・退職金
・ 保険
② 不貞行為の調査
・ 不貞行為の相手方の特定
→ 携帯電話番号やメールアドレスの情報から,当該通信会社に対する照会により,不貞行為の相手方の契約者氏名や住所を特定することが可能とのことです。
・ 車両
・ ホテル宿泊の有無
・ ETC記録や交通系ICカード乗車券の利用履歴
イ 二弁フロンティア2024年8月・9月合併号「弁護士会照会の活用法 金融機関に対する全店照会」が載っています。
(6)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 外国人登録法の廃止に伴い回収された外国人登録原票に係る開示請求手続について(平成23年12月13日付の法務省入国管理局登録管理官の事務連絡)
・ 外国人登録法の廃止に伴い回収された外国人登録原票に係る開示請求手続について(平成24年3月21日付の日弁連事務総長の依頼)
・ 弁護士法23条の2の規定に基づく外国人登録原票の照会への対応について(平成24年7月30日付の法務省入国管理局出入国管理情報官付補佐官の事務連絡)
イ 以下の記事も参照して下さい。
・ 検番等の入手方法等
・ 厚生労働省労働基準局の,文書送付嘱託に対する対応(要旨)
・ 刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

弁護士会別期別の弁護士数の一覧表

目次
1 弁護士会別期別の弁護士数の一覧表
2 69期以降の一斉登録の状況
3 関連記事

1 弁護士会別期別の弁護士数の一覧表
(1) 弁護士会別期別の弁護士数の一覧表を以下のとおり掲載しています。
・ 令和7年 4月 1日時点
・ 令和5年12月14日時点
 令和4年12月 8日時点
・ 令和4年 4月21日時点
・ 令和2年12月17日時点
・ 令和元年12月12日時点
・ 平成30年12月13日時点
・ 平成29年12月14日時点
・ 平成28年12月15日時点
・ 平成27年12月17日時点
・ 平成26年12月18日時点
・ 平成25年12月19日時点
・ 平成24年12月21日時点
・ 平成23年12月下旬時点
・ 平成22年12月下旬時点
・ 平成21年12月下旬時点
・ 平成20年12月下旬時点
・ 平成19年12月下旬時点
・ 平成18年10月下旬時点
(2)ア   新司法修習になってからは,新人弁護士の一斉登録時期は12月中旬となっていますところ,弁護士会の会費は月単位で発生するため,年明けに弁護士登録をした方が12月分の弁護士会費を節約することができます。
   そのため,年明けに弁護士登録をする司法修習生が相当数います。
イ 毎年1月に弁護士登録をした司法修習生の人数は以下のとおりです。
・ 76期の場合,令和 6年1月30日時点で1127人が登録していますから,同日までに134人が弁護士登録したことになります。
・ 75期の場合,令和 5年1月31日時点で1100人が登録していますから,同日までに134人が弁護士登録したことになります。
・ 74期の場合,令和 4年5月30日時点で1226人が登録していますから,同日までに 90人が弁護士登録をしたことになります。
・ 73期の場合,令和 3年1月31日時点で1239人が登録していますから,同日までに193人が弁護士登録したことになります。
・ 72期の場合,令和 2年1月30日時点で1256人が登録していますから,同日までに224人が弁護士登録をしたことになります。
・ 71期の場合,平成31年1月31日時点で1268人が登録していますから,同日までに234人が弁護士登録をしたことになります。
・ 70期の場合,平成30年1月31日時点で1324人が登録していますから,同日までに249人が弁護士登録をしたことになります。
・ 69期の場合,平成29年1月31日時点で1472人が登録していますから,同日までに274人が弁護士登録をしたことになります。
・ 68期の場合,平成28年1月31日時点で1408人が登録していますから,同日までに277人が弁護士登録をしたことになります。
・ 67期の場合,平成27年1月31日時点で1532人が登録していますから,同日までに284人が弁護士登録をしたことになります。
・ 66期の場合,平成26年1月31日時点で1570人が登録していますから,同日までに284人が弁護士登録をしたことになります。
・ 65期の場合,平成25年1月31日時点で1649人が登録していますから,同日までに279人が弁護士登録をしたことになります。


2 69期以降の一斉登録の状況(77期以降の基準日は4月1日)
・ 77期一斉登録の状況(合計1455人。うち3月27日付の登録は751人)
東弁265人,一弁400人,二弁283人,神奈川県弁42人,埼玉弁21人,千葉県弁33人,茨城県弁2人,栃木県弁5人,群馬弁6人,静岡県弁10人,山梨県弁0人,長野県弁2人,新潟県弁3人
大阪弁140人,京都弁22人,兵庫県弁25人,奈良弁1人,滋賀弁2人,和歌山弁1人
愛知県弁60人,三重弁5人,岐阜県弁3人,福井弁2人,金沢弁2人,富山県弁1人
広島弁10人,山口県弁0人,岡山弁7人,鳥取県弁1人,島根弁1人
福岡県弁32人,佐賀県弁2人,長崎県弁1人,大分県弁2人,熊本県弁8人,鹿児島県弁5人,宮崎県弁3人,沖縄弁7人
仙台弁4人,福島県弁4人,山形県弁0人,岩手弁1人,秋田弁0人,青森県弁0人
札幌弁23人,函館弁0人,旭川弁1人,釧路弁0人
香川県弁4人,徳島弁1人,高知弁0人,愛媛弁2人
・ 76期一斉登録の状況(合計993人)

東弁201人,一弁269人,二弁168人,神奈川県弁23人,埼玉弁16人,千葉県弁18人,茨城県弁6人,栃木県弁4人,群馬弁8人,静岡県弁10人,山梨県弁1人,長野県弁4人,新潟県弁3人
大阪弁109人,京都弁16人,兵庫県弁15人,奈良弁1人,滋賀弁1人,和歌山弁1人
愛知県弁37人,三重弁4人,岐阜県弁2人,福井弁1人,金沢弁1人,富山県弁0人
広島弁6人,山口県弁5人,岡山弁6人,鳥取県弁1人,島根弁0人
福岡県弁24人,佐賀県弁1人,長崎県弁1人,大分県弁0人,熊本県弁5人,鹿児島県弁1人,宮崎県弁1人,沖縄弁2人
仙台弁0人,福島県弁0人,山形県弁0人,岩手弁1人,秋田弁0人,青森県弁1人
札幌弁11人,函館弁0人,旭川弁0人,釧路弁0人
香川県弁2人,徳島弁1人,高知弁1人,愛媛弁4人


・ 75期一斉登録の状況(合計966人)
東弁194人,一弁258人,二弁182人,神奈川県弁20人,埼玉弁14人,千葉県弁15人,茨城県弁5人,栃木県弁3人,群馬弁3人,静岡県弁5人,山梨県弁1人,長野県弁0人,新潟県弁3人
大阪弁93人,京都弁9人,兵庫県弁19人,奈良弁2人,滋賀弁3人,和歌山弁2人
愛知県弁38人,三重弁3人,岐阜県弁3人,福井弁1人,金沢弁1人,富山県弁1人
広島弁4人,山口県弁4人,岡山弁7人,鳥取県弁1人,島根弁0人
福岡県弁25人,佐賀県弁1人,長崎県弁0人,大分県弁1人,熊本県弁1人,鹿児島県弁6人,宮崎県弁0人,沖縄弁1人
仙台弁9人,福島県弁4人,山形県弁1人,岩手弁1人,秋田弁0人,青森県弁0人
札幌弁13人,函館弁0人,旭川弁0人,釧路弁0人
香川県弁7人,徳島弁0人,高知弁1人,愛媛弁1人


・ 74期一斉登録の状況 (合計1136人)
東弁199人,一弁290人,二弁222人,神奈川県弁36人,埼玉弁21人,千葉県弁24人,茨城県弁3人,栃木県弁8人,群馬弁9人,静岡県弁7人,山梨県弁0人,長野県弁3人,新潟県弁2人
大阪弁111人,京都弁17人,兵庫県弁14人,奈良弁4人,滋賀弁1人,和歌山弁3人
愛知県弁49人,三重弁1人,岐阜県弁1人,福井弁0人,金沢弁3人,富山県弁4人
広島弁9人,山口県弁1人,岡山弁8人,鳥取県弁0人,島根弁1人
福岡県弁30人,佐賀県弁0人,長崎県弁3人,大分県弁2人,熊本県弁2人,鹿児島県弁6人,宮崎県弁1人,沖縄弁4人
仙台弁10人,福島県弁4人,山形県弁1人,岩手弁0人,秋田弁2人,青森県弁2人
札幌弁10人,函館弁0人,旭川弁0人,釧路弁0人
香川県弁3人,徳島弁2人,高知弁0人,愛媛弁3人

・ 73期一斉登録の状況(合計1046人)

東弁173人,一弁257人,二弁228人,神奈川県弁31人,埼玉弁17人,千葉県弁16人,茨城県弁5人,栃木県弁5人,群馬弁7人,静岡県弁12人,山梨県弁2人,長野県弁3人,新潟県弁2人
大阪弁112人,京都弁14人,兵庫県弁20人,奈良弁3人,滋賀弁1人,和歌山弁0人
愛知県弁46人,三重弁2人,岐阜県弁1人,福井弁1人,金沢弁6人,富山県弁0人
広島弁4人,山口県弁4人,岡山弁4人,鳥取県弁0人,島根弁1人
福岡県弁29人,佐賀県弁1人,長崎県弁2人,大分県弁1人,熊本県弁2人,鹿児島県弁2人,宮崎県弁1人,沖縄弁3人
仙台弁7人,福島県弁1人,山形県弁1人,岩手弁0人,秋田弁0人,青森県弁1人
札幌弁15人,函館弁0人,旭川弁0人,釧路弁0人
香川県弁2人,徳島弁0人,高知弁0人,愛媛弁1人

・ 72期一斉登録の状況(合計1032人)
東弁166人,一弁231人,二弁199人,神奈川県弁38人,埼玉弁19人,千葉県弁16人,茨城県弁5人,栃木県弁4人,群馬弁8人,静岡県弁7人,山梨県弁0人,長野県弁2人,新潟県弁1人
大阪弁117人,京都弁16人,兵庫県弁16人,奈良弁0人,滋賀弁1人,和歌山弁2人
愛知県弁63人,三重弁4人,岐阜県弁1人,福井弁0人,金沢弁1人,富山県弁0人
広島弁14人,山口県弁3人,岡山弁10人,鳥取県弁2人,島根弁0人
福岡県弁36人,佐賀県弁1人,長崎県弁0人,大分県弁3人,熊本県弁1人,鹿児島県弁3人,宮崎県弁1人,沖縄弁3人
仙台弁8人,福島県弁3人,山形県弁2人,岩手弁1人,秋田弁0人,青森県弁3人
札幌弁13人,函館弁0人,旭川弁2人,釧路弁0人
香川県弁4人,徳島弁1人,高知弁0人,愛媛弁1人

・ 71期一斉登録の状況(合計1032人)
東弁188人,一弁242人,二弁178人,神奈川県弁29人,埼玉弁18人,千葉県弁21人,茨城県弁7人,栃木県弁7人,群馬弁7人,静岡県弁6人,山梨県弁1人,長野県弁3人,新潟県弁4人
大阪弁115人,京都弁17人,兵庫県弁17人,奈良弁2人,滋賀弁1人,和歌山弁3人
愛知県弁47人,三重弁3人,岐阜県弁1人,福井弁2人,金沢弁1人,富山県弁2人
広島弁6人,山口県弁1人,岡山弁12人,鳥取県弁1人,島根弁2人
福岡県弁36人,佐賀県弁1人,長崎県弁0人,大分県弁0人,熊本県弁4人,鹿児島県弁4人,宮崎県弁0人,沖縄弁5人
仙台弁7人,福島県弁5人,山形県弁1人,岩手弁0人,秋田弁0人,青森県弁0人
札幌弁17人,函館弁1人,旭川弁0人,釧路弁0人
香川県弁3人,徳島弁0人,高知弁2人,愛媛弁1人

・ 70期一斉登録の状況(合計1075人)
東弁210人,一弁199人,二弁198人,神奈川県弁34人,埼玉弁27人,千葉県弁25人,茨城県弁7人,栃木県弁5人,群馬弁13人,静岡県弁11人,山梨県弁1人,長野県弁0人,新潟県弁3人
大阪弁114人,京都弁18人,兵庫県弁16人,奈良弁2人,滋賀弁4人,和歌山弁1人
愛知県弁60人,三重弁3人,岐阜県弁2人,福井弁1人,金沢弁6人,富山県弁2人
広島弁4人,山口県弁3人,岡山弁9人,鳥取県弁2人,島根弁0人
福岡県弁43人,佐賀県弁0人,長崎県弁2人,大分県弁2人,熊本県弁4人,鹿児島県弁1人,宮崎県弁4人,沖縄弁2人
仙台弁8人,福島県弁2人,山形県弁1人,岩手弁1人,秋田弁0人,青森県弁0人
札幌弁19人,函館弁0人,旭川弁0人,釧路弁1人
香川県弁3人,徳島弁0人,高知弁0人,愛媛弁2人

 69期一斉登録(合計1198人)
東弁252人,一弁180人,二弁174人,神奈川県弁41人,埼玉弁22人,千葉県弁18人,茨城県弁9人,栃木県弁10人,群馬弁13人,静岡県弁14人,山梨県弁1人,長野県弁4人,新潟県弁5人
大阪弁134人,京都弁21人,兵庫県弁27人,奈良弁7人,滋賀弁0人,和歌山弁0人
愛知県弁75人,三重弁9人,岐阜県弁2人,福井弁1人,金沢弁6人,富山県弁3人
広島弁15人,山口県弁7人,岡山弁13人,鳥取県弁0人,島根弁2人
福岡県弁36人,佐賀県弁1人,長崎県弁3人,大分県弁4人,熊本県弁5人,鹿児島県弁9人,宮崎県弁5人,沖縄弁8人
仙台弁5人,福島県弁9人,山形県弁6人,岩手弁1人,秋田弁2人,青森県弁4人
札幌弁25人,函館弁0人,旭川弁3人,釧路弁0人
香川県弁3人,徳島弁0人,高知弁0人,愛媛弁1人


3 関連記事その他
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 修習開始時点における司法修習生の人数の推移
・ 本庁支部ごとの弁護士数の推移表(平成18年10月から平成30年4月まで)
・ 市区郡ごとの弁護士数の推移表(平成18年10月から平成30年4月まで)
・ 日弁連及び弁連別の期別弁護士数の推移表(平成18年10月から平成30年12月まで)
・ 近弁連及び管内単位会別の期別弁護士数の推移表(平成18年10月から平成30年12月まで)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士登録の請求
・ 司法修習終了翌年の確定申告
・ 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金
・ 弁護士登録番号と修習期の対応関係
・ 弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会
・ 判事補及び検事の弁護士職務経験制度
・ 弁護士再登録時の費用
・ 日弁連の会費及び特別会費

遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例

目次
第1 総論

1 遺言執行者が特定の相続人の代理人をすることが許される場合
2 遺言執行者代理人をした後に特定の相続人の代理人をすることが許される場合の取扱い
3 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する懲戒理由
4 東弁リブラの連載記載
5 令和元年7月1日施行の改正相続法においても日弁連の取扱いは変わらないと思われること(令和3年2月25日追加)
第2 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒処分例(22例)
第3 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒しない旨の決定を取り消した,日弁連の裁決例(1例)
第4 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒を取り消した,日弁連の裁決例(2例)
第5 日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に元破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないこと
1 遺言執行者と破産管財人の比較
2 日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に元破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないと思われること
3 解説「弁護士職務基本規程」の記載
第6 遺言執行者の職務執行が違法となる場合に関する高裁判例
第7 関連記事その他

第1 総論
1 遺言執行者が特定の相続人の代理人をすることが許される場合

(1) 解説「弁護士職務基本規程」(平成17年4月発行)54頁では,遺言執行者の職務内容に裁量の余地があるかどうかで分け,裁量の余地がない場合,執行終了後は遺留分減殺請求における受遺者の代理人になれるとされていました。
(2) 単位弁護士会の懲戒しない旨の決定を取り消した,平成18年1月18日付の日弁連裁決(自由と正義2006年4月号85頁及び86頁)により,相続人間に深刻な争いがあり話し合いによっては解決することが困難な状況がある場合,遺言執行者が特定の相続人の代理人になることは許されなくなりました。
(3)ア 現在の懲戒実務からすれば,遺言執行行為が終了した後に遺言執行者が特定の相続人の代理人をすることが許されるのは,具体的事案に即して実質的に判断したときに,遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地がなく,遺言執行者と懲戒請求者を含む各相続人との間に実質的にみて利益相反の関係が認められないような特段の事情がある場合に限られると思います(平成27年10月20日付の日弁連裁決(自由と正義2015年12月号99頁及び100頁)。なお,先例として,平成22年5月11日付の日弁連裁決(自由と正義2010年7月号140頁及び141頁))。
イ 解説「弁護士職務基本規程」(第3版)99頁にも同趣旨の記載があります。
2 遺言執行者代理人をした後に特定の相続人の代理人をすることが許される場合の取扱い
(1) 遺言執行者代理人をした後に特定の相続人の代理人をしたことに基づく懲戒処分の実例は確認できていません。
(2) 東弁リブラ2008年3月号の「弁護士倫理・ここが問題 第3回 弁護士が遺言執行者となる場合の問題点(その1)」には「現実に,自分では遺言執行者にならず,遺言執行者の代理人になるようにしているという考えの弁護士もかなりいて,遺言執行実務の現場は困惑しているようです。」と書いてあります。
3 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する懲戒理由
(1) 第2記載の懲戒処分例のうち,利益相反(弁護士職務基本規程27条及び28条参照)だけを理由とするものは以下のとおりです。
3例:1番,10番,14番
(2) 第2記載の懲戒処分例のうち,職務の中立性・誠実さ・公正さ等(つまり,利益相反以外)(弁護士職務基本規程5条及び6条参照)だけを理由とするものは以下のとおりです。
12例:2番,3番,4番,5番,6番,9番,11番,13番,17番,18番,19番,22番
(3) 第2記載の懲戒処分例のうち,利益相反及び職務の中立性・誠実さ・公正さ等の両方を理由とするものは以下のとおりです。
4例:7番,8番,12番,21番
(4) 第2記載の懲戒処分例のうち,具体的理由の記載がないものは以下のとおりです。
3例:15番,16番,20番
4 東弁リブラの連載記載
    東弁リブラ2008年4月号の「弁護士倫理・ここが問題 第3回 弁護士が遺言執行者となる場合の問題点(その2)」には以下の記載があります。
① そもそも受遺者でもなれる遺言執行者に,相続人への中立義務を課すのは疑問であるという有力な意見があります。
② 日弁連自身が,弁護士職務基本規程の解説で,執行終了後は,遺言執行者の職務内容が裁量の余地がない場合には,受遺者の代理人になれる,との見解を発表しているのに,その点を全く検討せずに,単位会の決定を覆して,懲戒までしているのは,行き過ぎではないかという意見もあります。
5 令和元年7月1日施行の改正相続法においても日弁連の取扱いは変わらないと思われること
(1) 改正前の相続法では,遺留分減殺請求権が行使された場合,当然に物権的効果が生じ,遺贈又は贈与の一部が無効となるとされていました(受贈者につき最高裁平成11年6月24日判決)から,遺言を執行する遺言執行者と受遺者等との利害が相反することになりました。
    これに対して令和元年7月1日施行の改正相続法では,遺留分侵害額請求権が行使された場合,通常の金銭債権が発生するとされています(民法1046条1項)から,遺言を執行する遺言執行者と受遺者等との利害が相反しなくなりました。
(2)ア 「実務家も迷う 遺言相続の難事件 事例式 解決への戦略的道しるべ」321頁ないし330頁には以下の趣旨の記載があります。
① 改正相続法施行後の事案につき,遺言執行が完了した後であれば,守秘義務違反の問題が生じない限り,将来の遺留分侵害額請求訴訟において被告となった特定の相続人の代理人となること自体は懲戒事由に該当しないと考えます。
② 現段階において民法改正を前提とした議決例は見当たりませんし,日弁連においては,「弁護士は、遺言執行者に就いたときは、当該財産に関する他の事件につき、職務を行ってはならない。その地位を離れた以後も同様とする」という規定を新設する(より厳格化する)という動きすらあります。
    よって,相続法改正後の日弁連のスタンスが明確になるまでは,従前同様,遺言執行者が一部の相続人の代理人となることは,遺言執行が完了しているか否かにかかわらず差し控えた方が安全であることは間違いありません。
イ(ア) 平成27年10月20日付の日弁連裁決は,以下のような事情を考慮して,遺言執行者が一部の相続人の代理人となることが例外的に懲戒事由に該当しないと判断しただけですから,改正相続法施行後の事案であっても,日弁連の取扱いは変わらないと個人的に思います
① 被相続人の遺言の趣旨は全財産を特定の相続人に相続させるというものであった。
② 相続財産の範囲につき相続人間に争いがあったことはうかがわれなかった。
③ 遺言執行者への就任を受諾した時点で,遺言に基づく相続はすべて完了したと理解しており,現に何らの執行行為も行わなかった。
④ 遺産相続における懲戒請求者の代理人であったA弁護士から,民法1008条に基づき,遺言書で遺言執行者と指定されている弁護士は遺言執行者になるべきだとの見解を表明しつつ就任を受諾するか否かの確答を求められ,これを受け入れないと不必要な混乱を起こすこととなるのでないかという危惧を持っていたために遺言執行者に就任したところ,後日,A弁護士から懲戒請求された。
(イ) 例えば,被相続人Xから全財産を相続させると遺言されたYに使途不明金がある場合,Yに対する不当利得返還請求権がXの相続財産に含まれるかどうかの争いが発生しますから,平成27年10月20日付の日弁連裁決の②の事情はないことになります。
    また,遺言執行者は,遅滞なく,相続財産目録を作成して,相続人に交付する必要があります(民法1011条1項)ところ,マイナスの財産となる使途不明金がある場合,相続財産目録における使途不明金の記載方法について,遺留分侵害額請求をした相続人との間で紛争が発生すると思います。

第2 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒処分例(21例)
1 平成19年10月30日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2008年2月号155頁)
   被懲戒者は、2002年2月14日、懲戒請求者から、同人の父Aを被相続人とする兄弟4名(内1名は代襲者)の相続事件について相談を受けた。Aは特定財産についての相続人の指定の他、長男Bの相続廃除を内容とする過言書を残していたため、懲戒請求者は被懲戒者に対し、遺産の調査と、Bに対しては相続放棄を求める内容での遺産分割協議を依頼し、同月28日に着手金50万円を、同日から同年5月21日までの間に出張旅費・日当として合計金22万5280円を支払った。
   被懲戒者は、同月22日、懲戒請求者に被懲戒者を候補者とする遺言執行者選任申立をさせ、同年7月5日に遺言執行者に選任され、一方、同年6月27日に開かれたAの遺言書の検認期日には懲戒請求者の代理人として出頭し、同年9月4日には、遺言執行者としてBの推定相続人廃除の申立(後日却下)を行った。
   その後、懲戒請求者から、2003年1月18日付手紙により、遺言執行者の辞任及び着手金の返還を求められ、被懲戒者は、同年3月27日、遺言執行者の辞任の許可の申立を行ったが、同年10月30日却下された。また、被懲戒者は、2005年6月6日、遺言執行者として、遺産分割調停を申し立てた。
   特定の相続人から依頼を受けた代理人弁護士は、当該相続人の利益をはかるべく行動する職務上の義務があり、一方、遺言執行者は特定の相続人の立場に偏することなく中立的立場で職務を遂行することが期待されており、両者の立場を同時に兼併することは利益相反であり、廃止前の弁護士倫理第26条第2号に反する。
   また、懲戒請求者に対し、上記の両者の立場の兼併について説明義務を尽くさず、その不利益を理解させないまま受任したことは不適切である。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項の弁護士として品位を失うべき非行に該当する。

2 平成20年4月7日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2008年7月号150頁)
    被懲戒者は、亡Aの相続に関し、Aの妻Bの代理人として2003年2月4日遺言の検認手続に出頭し、同月6日Bの依頼を受け、自らを候補者とする遺言執行者選任の申立てを行った。他方、いずれもAの他の相続人であって、Aの二女である懲戒請求者C及びその子でAの養子である懲戒請求者Dを申立人とし、Bを含む他の相続人を相手方とする遺留分減殺調停が同年3月27日に申し立てられていたが、被懲戒者は、同年5月14日に遺言執行者に選任された上で、B及び他の相続人Eの代理人として、同月27日の遺留分減殺調停期日に出頭し、2004年11月10日に当該調停が不成立に終わるまで、Bらの代理人として出頭し続けた。さらに被懲戒者は、上記調停係属中の同年5月31日、Bの委任を受けて他の相続人を相手方とする遺産分割の調停を申し立てるなどした。
    被懲戒者が遺言執行者に選任された遺言書には、Aの相続人の一人を相続から廃除する旨の記載があり、被懲戒者には、遺言執行者として、推定相続人の廃除の請求手続をする義務があったが、その手続はなされておらず、遺言執行者としての職務が終了していない事項に直接関係する紛争が相続人間で生じた場合に、特定の相続人から当該紛争に関し事件を受任することは、遺言執行者の解任事由ともなり得るのであるから、遺言執行者にはこれを回避すべき職務上の義務があり、その一環として、いずれの相続人に対する関係においても信頼関係上の距離感をもった中立的立場を保持すべき義務がある。
    それにもかかわらず、被懲戒者がBらから遺留分減殺調停等の事件を受任したのは、遺言執行者としての職務の中立性を害するものであり、被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項の品位を失うべき非行に該当する。

3 平成21年5月7日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2009年8月号205頁)→平成22年5月11日付の日弁連の裁決により取り消されたもの
(1) 被懲戒者は、1998年11月27日、Aの公正証書遺言の作成に関わり、遺言執行者に指定されていたが、2001年11月26日、Aは死亡した。被懲戒者は、相続人の1人であるBに対し共同事務所に所属する弁護士Cを紹介し、C弁護士は、懲戒請求者が申し立てた遺留分減殺請求調停において、Bを含む相手方当事者とされた相続人全員の代理人として訴訟活動を行った。
(2) 上記調停は不調となったが、相続人間の紛争が解決しないうちに、被懲戒者は、2004年12月16日、遺言執行者に就任する意思を示し、遺言執行を行った。
(3) 上記被懲戒者の行為のうち(1)のC弁護士を紹介した行為は、遺言執行者に就任する以前であったとしても、遺言執行者に指定された弁護士としての職務の公正中立さを害するものであり、(2)の行為は、遺言執行者としての職務の遂行につき、中立性ないし誠実・公正さを疑われるものであるから、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

 平成22年2月2日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2010年5月号129頁)→自由と正義2010年5月号131頁掲載の事案も同じ。
(1) 被懲戒者は、妻である同じ事務所の弁護士Aと共に、2004年8月ころ、Bの成年後見開始申立てについて、Bの子である懲戒請求者Cから依頼され、これを受任したが、報酬等の説明をせず、委任契約書も作成しなかった。
(2) 被懲戒者は、2001年5月ころ、B、C及びCの子Dらから、賃貸していた土地の更新料等についての契約締結交渉の委任を受け、交渉は概ね合意に達したが、Dらは合意書等に必要な署名押印をしなかった。被懲戒者は、Cらに対し、実際の作業期間が比較的短かったこと、被懲戒者らの事務所の報酬基準のみなし成功報酬規定の適用が疑問視されること等を併せて考えると、不当に高額と評価される着手金及びみなし成功報酬を請求した。
   また、被懲戒者は、2005年8月6日、Bが死亡したため、公正証書遺言の指定に従い、Bの遺言執行者に就任し、通言執行を行ったが、その途中でBの新たな自筆証書遺言の存在が明らかになり、後にこれを基にDからCらに対して提起された所有権移転登記手続請求訴訟の第一審判決でCらは敗訴判決を受けた。被懲戒者は、これらの事情やCらが被懲戒者の計算した金額を了解したとは認められないこと等から考えると不当に高額と評価される金額の遺言執行手数料を請求した。
(3) 被懲戒者は、Bの遺言執行者であったにもかかわらず、Bの相続人間の遺産をめぐる前記所有権移転登記手続請求訴訟について、Cらの訴訟代理人であるAと共にCらとの打合せに参加し、報酬についてCと交渉する等、代理人と同様の立場で関与した。
(4) 被懲戒者の上記(1)の行為は、弁護士職務基本規程第29条及び第30条に違反し、上記(2)の各行為は、同規程第24条に違反し、上記(3)の行為は、遺言執行の公正さを疑わしめる行為であり、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当し、懲戒請求が取り下げられている事情を考慮しても懲戒に処するのが相当である。

5 平成22年11月4日発効の,東京弁護士会の「業務停止2月」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2011年2月号121頁)
   被懲戒者は、2007年4月17日、遺言執行者に選任されたが、相続財産の目録の作成及び相続人に対する交付をせず、さらに、2009年7月10日、法定相続人Aの代理人として、法定相続人Bに対し、相続財産である土地に関し訴訟を提起した。
   被懲戒者の上記行為は、通言執行者としての義務に著しく反するとともに、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

6 平成23年3月23日発効の,茨城県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2011年7月号136頁)
   被懲戒者は、2005年1月14日、Aの遺言執行者に選任された。Aの相続人である懲戒請求者は、2007年10月29日、Aの相続人Bを相手方とする遺留分減殺請求調停を申し立てた。被懲戒者は、Bの代理人となり、同調停に出席し、代理人としての活動を行った。
   被懲戒者の上記行為は、遺言執行者の職務の中立、公正性に対する信頼を害するおそれがある行為であり、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

7 平成24年5月10日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2012年8月号115頁)
   被懲戒者は、2008年4月21日に遺言執行者に選任され、同年8月11日に相続財産である不動産について遺言執行を終えたが、その間、相続財産である建物について、相続人Aらの代理人として、他の相続人である懲戒請求者に対し、同年6月19日に占有移転禁止の仮処分の申立てを、同年7月8日に同仮処分決定に基づく保全執行を行い、さらに遺言執行を終えた後である2009年1月15日に明渡し等を求める本案訴訟を提起した。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第28条第3号、第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

8 平成24年7月3日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2012年10月号113頁)
   被懲戒者は、2010年5月頃、A及び懲戒請求者を相続人とする相続に関し、Aの代理人として、相続財産の調査を行い、懲戒請求者の代理人との間で懲戒請求者によるAに対する遺留分減殺請求についての協議を行った。
   しかし、被懲戒者は、2011年5月26日、家庭裁判所に対し、被相続人の自筆遺言証書について自己を遺言執行者に自薦する内容の遺言執行者の選任を申し立て、同年6月3日、遺言執行者に選任された。また、被懲戒者は、家庭裁判所から遺言執行者の辞任を求められたことから同年9月21日に遺言執行者の辞任許可の審判を申し立てたものの、辞任許可がなされる以前である同月22日に、Aの代理人として相続財産の調査等を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条、第6条及び第28条第3号に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

9 平成25年2月8日発効の,長野県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年5月号112頁)
   被懲戒者は、2007年8月24日、Aに全財産を相続させる旨のBの遺言の遺言執行者に就任したところ、その後、懲戒請求者から遺留分減殺請求を受けた。そこで、被懲戒者は、A及び懲戒請求者に対し、相続及び遺留分減殺請求によりA及び懲戒請求者が共有することとなった土地並びに建物を売却して代金を分配することを提案したが、最終的に懲戒請求者の同意が得られなかった。その後、被懲戒者は、Aから依頼を受け、2008年10月17日、上記土地について懲戒請求者を被告とする共有物分割請求訴訟を提起した。被懲戒者は、懲戒請求者の訴訟代理人から遺言執行者がAの代理人となることについての疑義を指摘され、同年12月1日にAの訴訟代理人を辞任したが、その後も上記訴訟は被懲戒者の主宰する法律事務所の勤務弁護士により追行された。被懲戒者は、2009年8月20日、上記訴訟の判決に基づき、Aの代理人として競売の申立てを行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

10 平成25年3月5日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年6月号128頁及び129頁)
(1) 被懲戒者は、2004年1月中頃、被相続人Aの遺言執行者に就任した。その後、相続人B及びCは、2005年3月9日、相続人Dに対し、遺留分減殺請求を行ったが、Dは、同月18日に死亡し、懲戒請求者らがDの相続人としての地位を相続した。B及びCは、同年5月9日、懲戒請求者らを相手方として遺産分割調停を申し立てた。被懲戒者は、懲戒請求者らから相談を受け、同じ法律事務所の他の所属弁護士に当該調停事件を受任させ、当該弁護士と共に相談を受けて事件処理に関与した。
(2) 被懲戒者は、上記調停事件が不成立となったためBが2007年4月6日に提起した懲戒請求者らを被告とする遺留分減殺請求訴訟について、遺産の評価額という具体的な利害対立が生じていたにもかかわらず、懲戒請求者らの訴訟代理人に就任し、当該訴訟を遂行した。
(3) 被懲戒者は、上記調停事件及び上記訴訟事件の弁護士費用をAの遺産から直接支出し、受領した。
(4) 被懲戒者の上記(1)及び(3)の行為は弁護士職務基本規程第5条及び第6条に、上記(2)の行為は弁護士職務基本規程第28条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

11 平成25年3月11日発効の,岡山弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年6月号129頁)
   被懲戒者は、懲戒請求者の父Aの通言執行者であったところ、Aの遺産をめぐる懲戒請求者と懲戒請求者の母Bらの間の争いについて、Bら側の代理人として訴訟活動を行っていた。被懲戒者は、Bの死亡により、2008年,4月21日、Bの通言執行者に就任し、A及びBの遺言執行者として職務を行うとともに、A及びBの遺産をめく.る懲戒請求者と他の相続人との争いにおいて他の相続人の代理人として訴訟を追行する等、相続人の一方の代理人となってその職務を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

12 平成25年7月12日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年10月号132頁)
(1) 被懲戒者は、2004年9月5日に死亡したAの遺言執行者であったところ、Aの遺産である土地を相続したBと上記土地上に建物を所有するAの相続人である懲戒請求者との間の建物収去土地明渡請求訴訟事件につき、2006年10月6日、Bの代理人に就任し、2007年9月25日に訴えを取り下げるまで訴訟を追行した。
(2) 被懲戒者は、Aの遺言執行者であったところ、Aが亡き妻から相続していた遺産に関する共有物分割等の審判事件につき、Bの代理人として、2006年10月3日の期日に出頭し、2007年9月14日に審判の申立てを取り下げるまで活動した。
(3) 被懲戒者の上記各行為は、いずれも弁護士職務基本規程第28条第3号に違反し、遺言執行者の中立性、公正性を損なうものであり、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

13 平成26年1月22日発効の,福岡県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2014年4月号106頁)
(1) 被懲戒者は、2010年11月2日に死亡したAの遺言執行者に就任したが、Aの相続人であるB及びBの代理人である懲戒請求者弁護士cらから、相続財産目録の交付を再三求められたにもかかわらず、相続財産目録を交付せず、遺言執行の状況の報告を行わなかった。
(2) 被懲戒者は、Aの遺言執行者であるにもかかわらず、BがAの相続人であるDを被告として2011年9月28日付けで提起した遺言書真否確認等請求訴訟において、Dの代理人として答弁書を提出した。
(3) 被懲戒者は、Aの遺言執行者であるにもかかわらず、BがAの相続人であるEを被告として2011年9月28日付けで提起した養子縁組無効確認請求訴訟において、Eの代理人として答弁書を提出した。
(4) 被懲戒者の上記(1)の行為は民法第1011条等に違反し、上記(2)及び(3)の行為は弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

14 平成26年5月8日発効の,愛知県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2014年8月号99頁)→平成27年10月20日付の日弁連の裁決により取り消されたもの
(1) 被懲戒者は、Aの公正証書遺言により遺言執行者に指定されていたところ、相続開始後にAの子である受遺者Bの代理人として、Aの子である懲戒請求者の代理人に対し、2011年12月7日付けの書面で、懲戒請求者のBに対する遺留分減殺請求に関し提案を行った。その後、被懲戒者は、懲戒請求者の代理人から遺言執行者に就任するか否かを尋ねられたのに対し、2012年2月10日付けの書面により遺言執行者に就任することを受諾する旨通知した。
(2) 被懲戒者は、遺言執行者就任後、懲戒請求者に対し財産目録を交付しなかった。
(3) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第28条第3号に、上記(2)の行為は民法第1011条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
* 愛知県弁護士会懲戒委員会の議決書には「本件遺言は, 「遺言者はその有する財産全部をCに相続させる」という内容であり,遺言の対象である「その有する財産全部」の確定において裁量の余地があり,本件遺言の内容が裁量の余地のない場合とはいえない。」と書いてあります(平成27年弁護士懲戒事件議決例集(第18集)66頁)。

15 平成26年6月17日発効の,沖縄弁護士会の「業務停止1月」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2014年9月号102頁及び103頁)
(1) 被懲戒者は、Aの成年後見人であったが、Aの死亡後、2011年5月17日に行われたA名義の遺言書の検認期日において、遺言書を預かった時期及び遺言書授受の相手方につき、その認識する事実とは異なる内容虚偽の事実を裁判所に申告した。
(2) 被懲戒者は、Aの死亡後、Aの法定相続人である懲戒請求者から、Aの成年後見人であった期間中のAの財産変動状況及び売却した不動産の売却価格につき報告を求められたにもかかわらず、これに何ら回答を行わなかった。
(3) 被懲戒者は、上記遺言の遺言執行者であったところ、上記遮言の効力を裁判で争う意向を示していたAの法定相続人である懲戒請求者らに対し、2011年9月7日付けの書面を送付し、懲戒請求者らが上記遺言の効力を訴訟で争った場合、懲戒請求者らが敗訴することがほとんど確実である旨を合理的な根拠もなく断定的に伝え、また、訴訟における弁護士費用を過大に伝えるなどし、懲戒請求者らが訴訟提起することを断念させようとした。
(4) 被懲戒者は、上記過言によってAの遺産全部の遺贈を受ける受遺者Bと懲戒請求者らとの間で、上記遺言の法的有効性をめぐって深刻な利害衝突のおそれがあったにもかかわらず、Bと相談の上、Aの遺産の一部を懲戒請求者らにも分配する案の立案に関与し、上記2011年9月7日付け書面にてこれを懲戒請求者らに提案し、もってBの利益に偏して遺言執行者としての職務を行った。
(5) 被懲戒者の上記各行為は、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

16 平成26年10月18日発効の,福島県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2015年1月号116頁)
   被懲戒者は、Aの夫である亡Bの遺産に関し、懲戒請求音を被告の一人として、相続人Cが提起した過産の返還及び確認を求める訴訟並びに相続人Aが提起した遺留分減殺請求訴訟において、A及びCの訴訟代理人としてそれぞれ職務を行った。被懲戒者は、Aの死亡後、Aの遺言執行者に就任したが、相続人間の紛争が話合いによって解決することが困難な状況にあることを認識しながら、亡Aの相続人の一人である懲戒請求者の代理人に対し、2012年2月17日及び同年3月3日、それぞれ相続人Cの代理人と明記した書面を送付した。また、被懲戒者は、懲戒請求者が原告の一人となりCに対して提起した遺言無効確認等請求訴訟において、Cの代理人として、同年8月23日、移送申立てを行い、2013年1月10日に裁判所に辞任届を提出するまで職務を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

17 平成28年3月21日発効の,長崎県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2016年7月号90頁)
   被懲戒者は、亡Aの遺言執行者として、2013年8月1日までに遺言執行の任務を終了したが、紛争の危険性に関する被懲戒者の認識の程度、遺産の額の多寡、Aの子である懲戒請求者のそれまでの対応等からみて、懲戒請求者とAの妻であるBとの間にAの遺産分割に関して深刻な争いがあり、話合いによる解決が困難な状況であることを認識しながら、同年9月13日、Bの代理人として、懲戒請求者らを相手方とする遺産分割調停を申し立て、同年12月10日から2014年11月4日までの間、合計7回の調停期日において、調停手続を続けた。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

18 平成28年3月29日発効の,岡山弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2016年7月号91頁)
   被懲戒者は、2012年3月3日に死亡したAの遺言執行者に就任したが、預貯金債権に関する遺言執行が完了していなかったにもかかわらず、相続人であるBの代理人として、取引履歴、領収書等を収集し、整理して、相続人である懲戒請求者に説明したり、2013年2月18日付け書面にて、懲戒請求者に対し、相続財産である不動産を処分して売却代金を分配することを提案し、また、Bらの訴訟代理人として、懲戒請求者に対し、2014年12月9日、上記不動産に関する共有物分割訴訟を提起した。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に照らし、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

19 平成28年9月2日発効の,第二東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2017年1月号106頁及び107頁)
   被懲戒者は、2012年7月には亡Aの遺言執行者に就任したが、亡Aの遺言は内容自体に相続人間の紛争、利益対立を十分に予想させるものであり、当事者間に深刻な争いがあり話合いによって解決することが困難な状況があったにもかかわらず、遺産分割調停申立事件において亡Aの相続人Bの代理人に就任し、懲戒請求者C及び懲戒請求者Dを含む他の相続人らを相手方として行動した。被懲戒者は、亡Aの遺言執行者でありながら、同年9月6日、亡Aから株式会社Eの全株式の遺贈を受けたFの代理人として、懲戒請求者C及び懲戒請求者Dが取締役を務めるE社取締役会宛てに株主総会招集の請求の通知書を発送し、FがE社の代表取締役に就任した後である2013年5月7日に、E社の代表取締役Fの代理人として、懲戒請求者Cの代理人弁護士に対し部屋の明渡し等に関する通知書を発送し、法律的な主張を含む交渉を行った。また、被懲戒者は、亡Aの遺言執行者でありながら、Bの代理人として、亡Aが所有していた不動産の地代等の精算に係る懲戒請求者Dを被告とする2件の訴訟事件において、訴訟活動を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

20 平成29年2月10日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2017年6月号124頁)
   被懲戒者は、2014年6月6日、亡Aの遺言執行者に選任されたが、同年8月以降、亡Aの相続人である懲戒請求者が求めた適留分減殺請求に関する価額弁償の額をめぐる紛争において、亡Aの相続人である妻B,娘C及び受遺者である亡Aの孫Dの代理人として、また、亡A名義の貸金庫の開披後に発見されたB及びC名義の預金債権についての遺留分に関する紛争において、B,C及びDの代理人兼遺言執行者として、懲戒請求者の代理人弁護士と交渉した。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

21 平成30年9月18日発効の,富山県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2019年1月号78頁)
    被懲戒者は、Aが全財産を次男Bに相続させる旨の自筆証書遺言書を作成した際、上記遺言において遺言執行者に指名され、Aが2010年8月27日に死亡した後、過言執行者に就任したところ、Aの長男である懲戒請求者Cから遺留分減殺請求の通知を受け、また、懲戒請求者CとBとの間で懲戒請求者C名義の金融資産がAの通産であるか否かが紛争となっているにもかかわらず、2016年5月11日、Bを被懲戒者の事務所の勤務弁護士Dと共に代理して、懲戒請求者Cに対する上記金融資産がAの遺産であるかを主要な争点とする損害賠償請求訴訟を提起し、被懲戒者が辞任した後もD弁護士に上記訴訟を担当させた。
    被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条、第6条及び第28条第3号に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

22 令和2年7月8日発効の,第二東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2020年12月号49頁)
    被懲戒者は、懲戒請求者の母Aの死亡後、公正証書遺言に基づき遺言執行者に就任し、2015年9月13日付けでその旨の通知を発したが、遺言執行業務が終了していないにもかかわらず、相続人の一人であるBの代理人として、同じく相続人である懲戒請求者を直接の相手方として、Aの相続財産の範囲を拡張すること及びB固有の利益の実現を図るために訴訟等の手続を行った。
    被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。


第3 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒しない旨の決定を取り消した,日弁連の裁決例(1例)
1 平成18年1月18日付の日弁連裁決(戒告)における「処分の理由の要旨」(自由と正義2006年4月号85頁及び86頁)→平成16年9月30日発効の,東京弁護士会の不処分決定を取り消したものです。
   被懲戒者は、5人の相続人のうちの1人であるAからの紹介で被相続人甲の公正証書遺言の作成業務を行い、自らが通言執行者となった。
甲の死亡後、遺言の成立、遺産の内容と範囲、遺留分の侵害等について、相続人間で深刻な争いが生じ、相続人のうちの3人である異議申出人らが、Aを含む他の2人の相続人を被告として通言無効確認請求訴訟を提起した。
   遺言執行者は、特定の相続人の立場に偏することなく、中立的立場でその任務を遂行することが期待されているのであり、相続人間に深刻な争いがあり話し合いによっては解決することが困難な状況がある場合は、遺言執行業務が終了していると否とにかかわらず、特定の相続人の代理人となって訴訟活動をすることは慎まなければならないというべきであるが、被懲戒者は、Aら2人の被告訴訟代理人となり、甲から前聞いていた事実を挙げて異議申出人に反対尋問をするなどの訴訟活動を行った。
   このような被懲戒者の行為は、旧弁護士倫理第26条第2号の「受任している事件と利害相反する事件」とはいえないとしても、遺言執行者としての職務の公正さを疑わしめ、遺言執行者に対する信頼を害するおそれがあり、ひいては弁護士の職務の公正さを疑わしめるおそれがあるというべきであり、旧弁護士倫理第4条及び第5条に反し、弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

第4 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒を取り消した,日弁連の裁決例(2例)
1 平成22年5月11日付の裁決における「裁決の理由の要旨」(自由と正義2010年7月号140頁及び141頁)→平成21年5月7日発効の,東京弁護士会の戒告を取り消したものです。
(1) 1998年11月27日、遺言者は、公正証書遺言を作成した。本件公正証書遺言は、遺言執行に際し、遺言執行者に裁量の余地のないものであった。また、同通言では審査請求人が遺言執行者に指定されていた。さらに、遺言者は、2000年2月8日、自筆証書遺言を作成した。
(2) 2001年11月21日、遺言者は死亡した。
審査請求人は、そのころ、審査請求人の事務所を訪れた相続人Aに、同事務所のB弁護士を紹介した。
(3) 2002年1月21日、B弁護士がAの代理人となり本件自筆証書遺言の検認申立がなされ、同年3月1日、検認手続が行われた。
(4) 同年7月31日、相続人Cから遺留分減殺請求調停の申立てがなされ、B弁護士がAの代理人となった。同事件は、2003年5月21日、取下げにより終了した。
(5) 同年2月6日、懲戒請求者から、相続人D、Aらを相手方として遺留分減殺請求調停の申立てがなされ、B弁護士が、D、Aらの代理人となった。同事件は、同年lO月29日、不成立により終了した。
(6) 審査請求人は、懲戒請求者から、2004年12月9日に到達した書面にて、過言執行者への就職承諾の催告を受け、催告期間の経過により同月19日に就職を承諾したとみなされるに至った(民法第1008条)。
   審査請求人は、遺言執行者に就職した当時、前記2件の遺留分減殺請求調停事件が取下げ又は不成立により終了してから相当期間経過しており、遺留分に関する紛争は既に終了したものと考えていた。
(7) 原弁護士会は、審査請求人がAの依頼に応じてB弁護士を紹介し、B弁護士が、Aらの代理人となって事件を担当したことは、弁護士としての職務の公正中立さを害するものであって、弁護士法第56条に規定する懲戒事由に該当するというべきであるとする。
   しかしながら、①遺言書の検認手続は、遺言執行手続とは利益相反の関係にはならないと解せられること、②遺言者が死亡したころに審査請求人がAにB弁護士を紹介したことは認められるが、審査請求人がB弁護士にAらの代理人となるよう自ら依頼したことを認定するに足りる証拠はないこと、③遺言執行者として指定された者は、就職承諾前は、遺言執行者としての権利義務を有しておらず、その行為に遺言執行者に求められるほどの公正さが要求されるわけではないと解せられること、からして審査請求人に、懲戒に付すべきほどの職務の公正さを害する非行が存したとまではいえないというべきである。
(8) また、原弁護士会は、B弁護士がAらの代理人として調停事件を担当した後、審査請求人が遺言執行者に就職することは、職務執行の中立性ないし誠実・公正さを疑われることになるとする。
   しかしながら、審査請求人が、遺言執行者に就職したのは2004年12月19日のことであり、その時点では、前記遺留分減殺請求調停事件が不成立により終了してから相当の期間が経過していることなどからして、審査請求人が遺言執行者に就職したことについて懲戒に付すべきほどの非行性を認めることはできないというべきである。
   さらに、原弁護士会は、遺言執行者である弁護士の事務所に所属する弁護士について弁護士職務基本規程第57条を類推適用するのが相当であるとする。
   しかしながら、遺言執行者と遺留分減殺請求調停事件の申立人である相続人との間に同規程第57条にいう利益相反の関係が存するかについては、具体的事案に即して実質的に判断すべきところ、本件公正証書遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地はなく、本件では審査請求人である遺言執行者と懲戒請求者を含む各相続人との間に実質的にみて利益相反の関係は認められないと解せられる。
(9) 以上のとおりであり、懲戒請求者に、職務の中立性、公平性につき不信感を抱かせた点で、審査請求人に懲戒請求者に対する配慮に欠けるところがあったとはいえ、懲戒処分に付するほどの、職務の公正さに反する行為を認めることはできない。
(10) よって、原弁護士会のなした懲戒処分(戒告)を取り消し、審査請求人を懲戒しない。

2 平成27年10月20日付の裁決における「裁決の理由の要旨」(自由と正義2015年12月号99頁及び100頁)→平成26年5月8日発効の,愛知県弁護士会の戒告を取り消したものです。なお,平成27年弁護士懲戒事件議決例集(第18集)72頁ないし79頁に議決書の全文が載っています。
(1) 審査請求人に係る本件懲戒請求事件につき、愛知県弁護士会(以下「原弁護士会」という。)は、審査請求人が、被相続人Aの相続人であるBの代理人でありながら、遺言執行者に就任したことは弁護士職務基本規程第28条第3号に違反し、遺言執行者就任後において財産目録の作成・提供をしなかったことは民法第1011条に規定する相続財産の目録の作成・交付義務に違反するものであって、弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行があるといわざるを得ないとして、戒告の処分とした。
(2) 相続人間の相続を巡る紛争において、遺言執行者たる弁護士が一部の相続人の代理人となることは許されず、たとえ遺言執行行為が終了した後であっても、遺言執行者としての職務の公正さを疑わしめ、遺言執行者に対する信頼を害するおそれがあり、ひいては弁護士の職務の公正さを疑わしめるおそれがあるため、懲戒処分を免れない場合もある。しかしながら、具体的事案に即して実質的に判断したときに、遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地がなく、遺言執行者と懲戒請求者を含む各相続人との間に実質的にみて利益相反の関係が認められないような特段の事情がある場合には、非行に当たらないと解すべきである。
   本件についてみるに、被相続人Aの遺言の趣旨は、全財産をBに相続させるというものであるところ、相続財産の範囲につき相続人間に争いがあったことはうかがわれない本件にあっては、遺言執行者たる審査請求人には裁量の余地はないというべきである。また、審査請求人が遺言執行者への就任を受諾した時点で、審査請求人は、遺言に基づく相続は全て完了していたと理解しており、現に何らの執行行為も行っていないのであるから、遺言執行者として行った職務の公正さが疑われる余地はない。さらに、審査請求人がc弁護士から遺言執行者に就任するよう迫られていると理解したのも無理からぬところがある。
   以上の点を考慮すると、本件で審査請求人が相続人Bの代理人でありながら遺言執行者に就任した点は、実質的にみて利益相反の関係は生じさせておらず、また行った職務の公正さを疑わしめる点もないというべきである。
(3) 民法第1011条は、過言執行者に対して相続財産目録を作成して相続人に交付する義務を定めているが、遺言執行の対象とならない相続財産についても目録を作成すべきであるかは定かでなく、これを肯定する裁判例も見当たらない。むしろ、遺言執行者には、遺言執行する余地のない相続財産についても目録を作成して相続人に交付すべき義務はないと解する余地があるというべきである。
   本件において、審査請求人が遺言執行者への就任を受諾した当時、審査請求人は、遺言内容は審査請求人による遺言執行行為を経ずに既に全て実現されており、審査請求人が遺言執行者として執行すべき未実現の相続財産はないと理解しており、その理解に誤りがあったことをうかがわせる証拠はない。そうであれば、相続財産目録を作成してこれを相続人に交付する必要がないとした審査請求人の判断には相応の根拠があり、少なくとも財産目録を作成して交付しなかったとの一事をもって、弁護士の品位を失うべき非行に当たると評価することはできない。
(4) 以上のとおり、審査請求人には弁護士の品位を失うべき非行があったと認めることはできず、審査請求は理由があるので、審査請求人を戒告に付した原弁護士会の処分は取り消すことが相当である。


第5 破産管財人が元破産者の訴訟代理人に就任した場合の取扱い
1 遺言執行者と破産管財人の比較
(1) 遺言執行者は,①必ずしも相続人の利益のためにのみ行為すべき責務を負うわけではありません(最高裁昭和30年5月10日判決)し,②受遺者としての相続人であっても就任できます。
(2) 破産管財人は,①裁判所の監督の下(破産法75条1項),総債権者の利益のために職務を行いますし,②職務の公正を保ち得ない事由がある弁護士が破産管財人に就任することはできません(弁護士職務基本規程81条参照)。
2 日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に元破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないと思われること
(1) 私が懲戒請求者Xの代理人として関与した,兵庫県弁護士会副会長経験のある20期台の弁護士についていえば,Xが破産債権者として提出した免責意見(個別の免責不許可事由の主張があるもの)について免責不許可事由の調査結果を全く報告しませんでしたし,大阪高裁の即時抗告棄却決定により免責許可決定が確定した後にXが提起した,非免責債権に関する損害賠償請求訴訟において元破産者の訴訟代理人に就任し,そのこと自体が元破産者との共同不法行為であるということで損害賠償請求が追加された後も元破産者の訴訟代理人であり続けました。
   しかし,兵庫県弁護士会懲戒委員会では,破産者が経済的余裕を有しなかった状態を前にして,他の弁護士を紹介するのでなく自ら受任する途を選択したという動機に特に悪意は見受けられないと評価できること等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当するとまでは言えないとされましたし,日弁連懲戒委員会では,全員一致で定型文により異議申出が棄却されました。
   そのため,日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないと思います(「弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)」参照)。

3 解説「弁護士職務基本規程」の記載
   解説「弁護士職務基本規程」(第3版)103頁には以下の記載があります。
    いずれの考え(山中注:利益相反の問題と考えるか,職務の公正さを保ちうるか否かの問題と考えるか)によるかについては,これまで十分な議論がなされているとはいえないが,破産管財人だけではなく,広く官公署から委嘱される職務について適用されるという点では,利益相反の問題とせずに,職務基本規程5条,6条あるいは81条の問題とする考えが相当ではないかと考える。

第6 遺言執行者の職務執行が違法となる場合に関する高裁判例
・ 広島高裁平成31年3月14日判決(判例時報2474号(2021年5月11日号)106頁ないし122頁)は,以下の判示をしています(改行を追加しています。)。
    遺言の執行が完了する前に、遺留分減殺請求権が行使された場合には、遺言執行者としては、遺言の公正な実現を図るとの職務を基本に据えつつも、遺留分権利者と受遺者の利害についても配慮した遺言の執行が期待されるところであるが、遺留分権利者と受遺者の利害に反して遺言を執行したからといって、直ちに違法な職務執行になるとは解されない。
    しかし、遺留分権利者や受遺者の意向、執行の方法等の事情に照らし、遺留分権利者や受遺者の利益を不当に侵害し、社会的相当性を逸脱するような執行を行ったときは、上記注意義務(山中注:民法1012条2項・644条に基づく善管注意義務)に違反した違法な職務行為として、遺留分権利者や受遺者に対する不法行為を構成するというべきである。

第7 関連記事その他

1 弁護士法25条1号に違反する訴訟行為及び同号に違反して訴訟代理人となった弁護士から委任を受けた訴訟復代理人の訴訟行為について,相手方である当事者は,裁判所に対し,同号に違反することを理由として,上記各訴訟行為を排除する旨の裁判を求める申立権を有します(最高裁平成29年10月5日決定)。
2(1)  弁護士職務基本規程57条に違反する訴訟行為について,相手方である当事者は,同条違反を理由として,これに異議を述べ,裁判所に対しその行為の排除を求めることはできません(最高裁令和3年4月14日決定)。
(2) 最高裁令和3年4月14日決定に関する判例評釈がジュリスト2022年2月号に載っています。
3 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士の懲戒事由
 弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例
 弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義
・ 弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文
 「弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(平成5年以降の分)
→ 令和元年の場合,審査請求の件数は30件であり,原処分取消は3件であり,原処分変更は1件です。
 弁護士会の懲戒手続
・ 弁護士の戒告,業務停止,退会命令及び除名,並びに第二東京弁護士会の名簿登録拒否事由
・ 弁護士の業務停止処分に関する取扱い
 弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(平成5年以降の分)
 弁護士の懲戒処分の公告,通知,公表及び事前公表
・ 弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)

弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)

目次
第1 本件事案の概要,及び日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
1 本件事案の概要
2 日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
第2 本件事案における懲戒請求事由の要旨等
1 本件事案における懲戒請求事由の要旨
2 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子
3 対象弁護士が関与した裁判例は判例秘書に掲載されていること
第3 本件事案における「異議申出の理由」の骨子
1 懲戒請求事由①が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
2 懲戒請求事由②が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
3 懲戒請求事由③が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
第4 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯等
1 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯
2 私は,とある高検の検事長を経験した弁護士と接触をしたことはないこと
第5 私が情報公開請求を開始した経緯
第6 私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている理由
第7 最高裁平成23年7月15日判決の個別意見の説示内容
1 裁判官竹内行夫の補足意見の説示内容
2 裁判官須藤正彦の補足意見の説示内容
3 裁判官千葉勝美の補足意見の説示内容
第8 表現の自由に関する弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと等
1 「表現の不自由展・その後」の展示中止
2 展示中止に関する東京弁護士会の会長声明
3 「表現の不自由展・その後」の展示物
4 証人の出自を侮辱する内容の発言をしたことに基づく東京弁護士会の懲戒処分例
5 弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと
6 弁護士会の懲戒処分が違法となる場合
第9 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位等
1 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位
2 公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項
3 最高裁平成17年6月16日判決が判示するところの,名誉毀損の違法性が阻却される場合
4 日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえなかったこと
5 弁護士懲戒事件議決例集
6 2020年6月11日付の酒井将弁護士の陳述書の記載
第10 本件事案における「異議申出の理由」の全文
第11 関連記事その他


第1 本件事案の概要,及び日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
1 本件事案の概要
   兵庫県弁護士会副会長を経験したことがある20期代のベテラン弁護士が破産管財人をした際,①不動産の任意売却で買主から取得した763万円以上の消費税について確定申告をしなかったり,②私が破産債権者代理人として免責意見を提出しているにもかかわらず,全く理由を記載せずに「免責不許可事由はない」とする免責に関する意見書を提出したり,③免責許可決定が出た後,私が破産者を被告として,非免責債権について損害賠償請求訴訟を提起した際に,破産者の訴訟代理人をしたりしたことについて,私が代理人として懲戒請求をしたというものです。
2 日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
(1) 弁護士懲戒事件議決例集の匿名化基準,及び情報公開請求における法務省の不開示基準等を参照しながらマスキングをした,本件事案に関する日弁連懲戒委員会の棄却の議決書(令和元年9月9日付)を以下のとおり掲載しています。



(2)ア 掲載している画像データと重複するものの,本件事案に関する日弁連懲戒委員会の議決書(令和元年9月9日付)の本文は以下のとおりです。
   異議申出人の対象弁護士に対する本件懲戒請求の理由及び対象弁護士の答弁の要旨は,いずれも兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書に記載のとおりであり,同弁護士会は同議決書記載の認定と判断に基づき,対象弁護士を懲戒しないこととした。
   本件異議の申出の理由は,要するに,前記認定と判断は誤りであり,同弁護士会の決定には不服であるというにある。
   当委員会が,異議申出人から当委員会に新たに提出された証拠も含め審査した結果,同議決書の認定と判断に誤りはなく,同弁護士会の決定は相当である。
   よって,本件異議の申出は理由がないので棄却するを相当とし,主文のとおり議決する。
イ 異議申出人は日常生活で通称名を使用しているために氏名に関する黒塗り部分が長くなっているものの,日本国籍の日本人です。
ウ 懲戒請求者は取消訴訟を提起することができません(「弁護士の懲戒処分と取消訴訟」参照)から,対象弁護士の不処分は日弁連の定型文の棄却裁決によって確定しました。
(3) 平成22年12月22日発効の日弁連裁決(自由と正義2011年2月号128頁及び129頁)の場合,懲戒委員会委員15人中7人の反対意見も掲載されています。
   そのため,日弁連懲戒委員会の場合,反対意見を表明できると思いますが,本件事案に関してはそのような反対意見は記載されていませんから,全員一致の判断であったと思います。
(4) 懲戒請求事件に関する日弁連会長の判断は,日弁連懲戒委員会の議決に拘束されますから,対象弁護士を懲戒しないという判断には全く関与していないと思っています。
(5) 令和元年6月3日付の審査開始通知書(日弁連)も掲載しています。

第2 本件事案における懲戒請求事由の要旨等
1 本件事案における懲戒請求事由の要旨
(1) 本件事案の概要と重複するところがありますが,本件事案に関する懲戒請求事由の要旨は以下のとおりです(平成31年3月18日付の兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書4頁参照)。
① 対象弁護士は,会社破産事件において破産管財人として破産財団に属する不動産の任意売却を行ったことについて,消費税の確定申告をしなかったが,これは消費税法に違反する行為であり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
② 対象弁護士は,個人破産事件において,破産管財人として,債権者である懲戒請求者の意見を全く無視して,免責不許可事由はない旨の意見書を提出したが,これは破産法第250条第1項(破産管財人の調査及び結果報告義務)等に違反する行為であり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
③ 対象弁護士は破産者の破産管財人をした後,懲戒請求者が元破産者を被告として提起した損害賠償請求訴訟において元破産者の訴訟代理人に就任し,同人の訴訟代理人として活動した。対象弁護士は,懲戒請求者の免責意見を無視した免責に関する意見書を提出した等の不正不備を隠匿する等の目的で元破産者の訴訟代理人に就任した可能性が高く,また,対象弁護士は,破産管財人でなければ知り得なかった事実を,元破産者のために利用する等の目的で元破産者の訴訟代理人に就任した可能性も高い。
   そのため,対象弁護士の元破産者訴訟代理人としての訴訟活動は,破産管財人として中立,公正に職務を遂行していたことに重大な疑念を生じさせるものであり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
(2) 平成25年2月13日付の日弁連の裁決(自由と正義2013年4月号115頁及び116頁)の以下の判断内容を考慮して,懲戒請求事由3を記載しました。
   成年後見人の職にあった者が一部相続人の代理人となり活動した場合に、非行に該当するか否かについて問題とされる場合は、①成年後見中の行為について、善管注意義務違反や後見報告書の内容の不正不備が存し、一部相続人からの受任が、それを隠匿する等の目的である場合、②相続人間で争いとなった内容について、成年後見人でなければ知り得なかった事実を、依頼相続人のために利用するような場合である。


2 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子等
(1) 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子
① 懲戒請求事由1について
   破産管財人の業務の相当性,正当性は裁判所の判断事項であること,裁判所が対象弁護士による消費税の申告の有無を問題にして対象弁護士に指示・指導をした事実は特に認められなかったこと等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当しない。
② 懲戒請求事由2について
   破産裁判所・抗告裁判所ともに,結論的に免責不許可事由はないと判断しており,対象弁護士の意見と同じ判断結果となっていること等からすれば,対象弁護士の「免責に関する意見書」は,内容的にも不当な意見の提出にはあたらないし,必要な調査を怠ったとは言えないので,この点でも,弁護士の品位を失うべき非行に該当する余地はない。
③ 懲戒請求事由3について
   対象弁護士が破産者から損害賠償請求訴訟の訴訟代理人を引き受けたのは,弁護士職務基本規程5条に照らして,安易な受任であったといわざるを得ないものの,破産者が経済的余裕を有しなかった状態を前にして,他の弁護士を紹介するのでなく自ら受任する途を選択したという動機に特に悪意は見受けられないと評価できること等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当するとまでは言えない。
(2) 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書に対するコメント
ア 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書における事実認定は全体として,対象弁護士に不利な客観的事実をかなり省略する一方で,懲戒請求者に不利な事実は結論とほぼ関係がなくても記載しています。
   例えば,対象弁護士は,破産裁判所に対し,破産手続開始に至った事情は「申立書記載のとおり」としか記載しませんでした(除斥期間経過につき懲戒請求事由とはしていません。)が,決議書では言及してもらえませんでした。
   これに対して結論とほぼ関係がない懲戒請求者の罰金前科について,略式命令が認定した「罪となるべき事実」(4行だけです。)すら把握せず,破産者が提出した「被害届」に書いてあることをそのまま決議書に記載されており,発生日及び罪名すら間違えられました。
イ 破産管財人が破産法人所有の課税資産の譲渡等(例えば,不動産の任意売却)を行った場合,消費税の納税義務を負うと解されています(名古屋高裁金沢支部平成20年6月16日判決(高裁判決は11頁までであって,12頁以下は福井地裁判決です。))し,国税庁HPの「破産財団に属する課税資産の処分に係る納税義務者」にも同趣旨の記載があります。
ウ 「A運転車両とB運転車両との交通事故に関して, A運転車両の同乗者からBを被告とする損害賠償請求事件を受任して訴訟を提起した審査請求人が,訴訟とは別に,A運転車両の自賠責保険会社に対する自賠責保険金請求を行い, 自賠責保険金を受領しながら,その旨を裁判所やBに告知せずに,受領済みの自賠責保険金を含む金額の和解を成立させた行為は,弁護士職務基本規程37条(法令等の調査)違反に該当するとされた事例」につき,大阪地裁平成29年2月10日判決では,弁護士の言動と相当因果関係のある懲戒請求者の財産的損害はないと判断されていますが,平成29年4月10日付の日弁連懲戒委員会の議決書では,損害そのものの不存在を認定したわけではないということで,業務停止3月の判断が維持されました(弁護士懲戒事件議決例集(第20集)22頁及び23頁参照)。
エ 相続人でもなれる遺言執行者を弁護士がしている場合,遺言執行の公正さを疑わしめる行為があれば直ちに懲戒対象となります「遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例」参照)。
オ 解説「弁護士職務基本規程」(第3版)103頁には以下の記載があります。
   いずれの考え(山中注:破産管財事件において,破産債権者の中に破産管財人弁護士の顧問先があるような場合,利益相反の問題と考えるか,職務の公正さを保ちうるか否かの問題と考えるか)によるかについては,これまで十分な議論がなされているとはいえないが,破産管財人だけではなく,広く官公署から委嘱される職務について適用されるという点では,利益相反の問題とせずに,職務基本規程5条,6条あるいは81条の問題とする考えが相当ではないかと考える。

3 対象弁護士が関与した裁判例は判例秘書に掲載されていること
(1) 「懲戒請求者が元破産者を被告として提起した損害賠償請求訴訟」に関する大阪地裁判決,大阪高裁判決及び最高裁決定(いわゆる三行半です。)は判例秘書に掲載されています。
(2) 大阪高裁判決の内容は,平成30年度(最情)答申第65号の別紙記載の以下の開示請求文書の存在を伺わせるようなものです。
① 刑事裁判につき,どのような場合に虚偽告訴を立証するために行った被告人の証拠調べの請求を全て却下した上で,虚偽告訴がされたことをうかがわせる証拠はないと判断して,被告人の控訴を棄却することになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
② 破産事件につき,どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責に関する意見を破産管財人が提出したとしても,破産裁判所がこれを容認することになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
③ 破産事件につき,どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責許可決定を出すことになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
④ 破産事件につき,どのような場合に不動産の任意売却で買主から消費税を受領した破産管財人が消費税の確定申告をしなくてもいいことになっているかが分かる裁判官の研修資料その他の文書
⑤ 最高裁昭和57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁は,破産手続における裁判及び破産手続における破産管財人に対する監督権限の行使等にも妥当すると書いてある裁判官の研修資料その他の文書
⑥ どのような場合に「虚偽の申告」を「虚偽の告訴」と読み替えた上で,虚偽の告訴状は提出していないという理由で損害賠償請求を棄却することになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
⑦ どのような場合に,控訴理由書における国家賠償請求に関する法的主張を1文字たりとも摘示せず,かつ,控訴理由に対する判断として「その他,控訴人の当審における主張・立証を勘案しても,上記認定・判断を左右するに足りない」等としか判決文には書かないことになっているかが分かる裁判官の研修資料その他の文書


第3 本件事案における「異議申出の理由」の骨子
1 懲戒請求事由1が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
(1) 対象弁護士は,任意売却の買主から受領した763万円以上の消費税(以下「本件消費税」といいます。)について確定申告をしていない。
(2) 本件消費税のように,破産手続開始決定後に破産管財人が財団帰属の財産を売却した場合の消費税は第3順位の財団債権であり,その他の財団債権は第4順位の財団債権である。
   そして,対象弁護士は,破産会社の破産管財人として,平成27年5月27日付の財団債権弁済報告書によれば,第3順位の財団債権について454万5300円を支払い(全額弁済),同年6月17日付の財団債権弁済報告書によれば,第4順位の財団債権について2631万8073円を支払っている(配当率は90.68%) ことから,相応の報酬を支払って税理士に依頼して本件消費税に関する確定申告を行い,本件消費税を支払うことは十分に可能であった。
2 懲戒請求事由2が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
(1) 異議申出人が提出した,平成26年6月25日付の免責意見は,免責不許可事由に該当する事情を個別具体的に記載し, 関係資料を添付した極めて詳細なものであった。
   そのため,対象弁護士としては,弁護士職務基本規程5条に基づき,破産管財人として,具体的にどのような理由により免責不許可事由に該当しないかを個別具体的に記載した免責に関する意見書を破産裁判所に提出することは当然の職務であったといえる。
   それにもかかわらず,対象弁護士は,破産裁判所に対し,平成27年5月7日,「免責不許可事由はない。」という記載しかない免責に関する意見書を提出したし,改めて免責意見を出して欲しいという破産裁判所の指示を無視して ,追加の免責意見を提出することはなかった 。




(2) 日弁連人権擁護委員会は,有罪の言渡しをした確定判決が誤判である可能性があるといった条件を満たす場合,人権侵犯事件として取り扱っていることとのバランスからしても,結論として免責不許可事由はないと判断した破産裁判所及び抗告裁判所の判断を絶対視するのは不当である。



3 懲戒請求事由3が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
(1) 破産管財人の職にあった者が,破産債権者から提起された訴訟において破産者の代理人になることは,その段階においても破産債権者は存在しており,形式的に見て破産者と破産債権者間の利益相反に該当することは明らかであるから,それだけで直ちに中立性・公正さが害されるのであって,その行為の適否は遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になる場合と同列に論じるべきものといえる。
(2)ア 本件では,実質的に見て利益相反の関係が認められるし,破産管財人の職務の公正さを疑われるような事情があることは明らかである。
イ 破産管財人の公正さや中立性に対する疑念を生じさせるものであって, 弁護士職務基本規程5条に違反するとした懲戒事例として,例えば,平成20年3月31日発効の兵庫県弁護士会の戒告処分が存在する。
(3) 異議申出人が破産者(兵庫県○○市在住)を追及したのは,①破産者には様々な免責不許可事由があったこと,②平成24年7月17日に異議申出人から100万円を借りて返さなかったこと,③100万円を借りた後の平成24年7月25日に静岡県○○市の○○ゴルフ倶楽部で一緒にゴルフをする一方で,伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長に法律相談をするなどした上で,異議申出人が暴力団関係者として恐喝罪及び恐喝未遂罪を犯したという内容の虚偽告訴を兵庫県灘警察署(神戸市灘区)にすることで, 名古屋市○○在住の異議申出人を,被害届提出の翌日である平成24年8月21日午前8時33分,姫路駅の近くで逮捕させ,接見禁止付で勾留させ,異議申出人の自宅の捜索差押えまで実施させたこと等に基づくものであって,その追及理由は極めて正当なものである。
   そして,対象弁護士は異議申出人の免責意見その他の主張についてまともに対応することがなかったことをも考慮すれば,異議申出人による追及についての相談を破産者から受けたから対象弁護士が破産者の代理人に就任したという事情は,破産管財人の職務の公正さに甚大な疑念を生じさせるものであることは明らかであって,対象弁護士に有利な事情として斟酌すべきものでは全くないといえる。
(4) 対象弁護士が破産者の訴訟代理人をしていることに関する損害賠償請求を追加した,平成28年8月22日付の訴えの変更申立書が提出された後も,対象弁護士は破産者の訴訟代理人であり続けた。
   そのため,対象弁護士は,懲戒請求者から問題視された後も破産者の代理人を継続することによって破産管財人の職務の公正さにより甚大な疑問を生じさせたのであって,その公正さを事後的に回復するための措置すら採らなかった。

第4 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯等
1 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯
(1) 
 とある高検の検事長を経験した弁護士に法律相談をした,兵庫県某市在住の破産者(本件暴行事件の被害者とされた人物)が提出した被害届(罪名は暴行罪及び強要罪)に基づき,その翌日である平成24年8月21日,兵庫県灘警察署が名古屋市在住の異議申出人が姫路駅の近くで午前8時33分に逮捕し,接見禁止付で勾留された後,私は,知り合いの弁護士の紹介により異議申出人の事件に弁護人として関与するようになりました(都道府県警察の管轄区域外における権限につき警察法61条参照)。
(2) 本件暴行事件については,異議申出人の自宅に関する捜索差押えまで実施された後,暴行罪により,平成24年9月7日,神戸簡易裁判所において罰金20万円の略式命令となりました(裁判所の土地管轄は,代用刑事施設としての警察署留置場に勾留されている被告人の現在地にもあることにつき刑事訴訟法2条1項参照)。
   その後,神戸簡裁平成25年7月10日判決は罰金20万円の有罪判決でしたし,大阪高裁平成25年11月27日判決(裁判長は29期の川合昌幸裁判官,陪席裁判官は36期の奥田哲也裁判官及び46期の長瀬敬昭裁判官)で控訴を棄却されました(当該判決では,情状立証として虚偽告訴を立証するために行った証拠調べの請求(控訴提起後の証拠及び原審検察官が証拠調べに同意しなかった証拠がメインです。)を含む,控訴審におけるすべての証拠調べ請求を必要性なしということで却下された上で,「被害者らが虚偽告訴を行ったと窺わせる証拠はない」という判断をされました。)し,最高裁平成26年2月27日決定で上告を棄却されました。
(3)ア とある高検の検事長を経験した弁護士と親戚関係のある弁護士が,本件事案の破産者が経営していた会社の破産申立てをしたものの,破産手続の途中で辞任しました。
   そのため,本件事案の破産者の破産申立ては,会社の破産申立てとは別の弁護士が担当していました。
イ 本件事案の破産者について損害賠償請求訴訟を提起した際,破産申立てを担当した弁護士が訴訟代理人に付くのかしら?と思っていましたが,対象弁護士が訴訟代理人に付いたので驚きました。
(4) 私は,利益相反を理由に知り合いの弁護士から紹介されて,平成24年8月23日,兵庫県灘警察署に勾留されていた異議申出人に接見し,その直後に弁護人となって以来ずっと,本件事案を含む異議申出人の事件に弁護人又は代理人として関与しつづけてきました。
   そのため,平成18年10月に59期として弁護士登録をした私の弁護士人生にとってもっとも大きな事件です。
2 私は,とある高検の検事長を経験した弁護士と接触をしたことはないこと
   とある高検の検事長を経験した弁護士は平成24年8月頃に破産者の法律相談に応じた後,何らかの働きかけをしたのかも知れない(ただし,この点に関する直接の証拠は一切ありません。)ものの,破産者の代理人として名前が出てきたことはありませんし,私はその弁護士と一切,接触をしたことはありません。

第5 私が情報公開請求を開始した経緯
   私は,異議申出人に対する兵庫県灘警察署及び神戸地検の捜査に疑問を感じたことが直接の原因となって,平成25年2月下旬から情報公開請求を開始しました。
   そのため,名古屋市在住の異議申出人が,静岡県のJR掛川駅構内のそば屋で発生した暴行事件(そば屋のレジの隣の席で発生した事件ですが,発生当時,お店が警察を呼ぶことはありませんでしたし,事件発生後も異議申出人は破産者と一緒にゴルフもしていました。)について,新64期の生田大輔裁判官によって接見禁止付で勾留されていなければ,私が情報公開請求をすることはなかったわけです。

第6 私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている理由
1 私は,異議申出人の刑事事件及び民事事件に関して裁判所から理不尽な判断(平成30年度(最情)答申第65号の別紙記載の開示請求文書参照)を下され続けた結果,行政機関ほどにはマスコミで批判的に報道されることがない裁判所の実情を自ら知りたいと思うとともに,広く世間に知ってもらいたいという思うようになったことが,私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている大きな理由です(ただし,時の経過に従い,他にも理由は出てきています。)。
2 異議申出人が当事者となった事件を除き,私は裁判所からここまで理不尽な判断を受けたことはないです。

第7 最高裁平成23年7月15日判決(49期の橋下徹弁護士(元大阪府知事・元大阪市長)が最高裁で逆転勝訴した事件に関するものです。)の個別意見の説示内容
1 裁判官竹内行夫の補足意見の説示内容
① 弁護士法58条1項は,「何人も」懲戒の事由があると思料するときはその事由を添えて懲戒請求ができるとして,広く一般の人に対して懲戒請求権を認めている。これは,弁護士に対する懲戒については,その権限を自治団体である弁護士会及び日本弁護士連合会に付与し国家機関の関与を排除していることとの関連で,そのような自治的な制度の下において,懲戒権の適正な発動と公正な運用を確保するために,懲戒権発動の端緒となる申立てとして公益上重要な機能を有する懲戒請求を,資格等を問わず広く一般の人に認めているものであると解される。これは自治的な公共的制度である弁護士懲戒制度の根幹に関わることであり,安易に制限されるようなことがあってはならないことはいうまでもない。
② 国家機関の関与を排除した自治的な制度としての弁護士懲戒制度が,公正かつ適正に運用されることを担保して国民からの信頼性を維持して行くためには,懲戒請求を広く一般の「何人」にも認めた弁護士法58条1項の趣旨が改めて銘記されることが必要であると考える。
2 裁判官須藤正彦の補足意見の説示内容
① 肝腎なことは,懲戒請求が広く認められるのは,弁護士に「品位を失うべき非行」等の懲戒事由がある場合に,弁護士会により懲戒権限が,いわば「疎にして漏らす」ことなく行使されるようにするためであるということである(綱紀審査会制度(弁護士法71条)もほぼ同様の考え方に基づく。)。
② ある弁護士につき品位を失うべき非行などの懲戒事由が認められるのに弁護士会が懲戒権限を正しく行使しないというような場合,弁護士会の懲戒制度の運用は不当であり,これについても世論などによって厳しく批判されてしかるべきであろう(所属弁護士会の懲戒しないとの結論に不服な懲戒請求者は,日弁連綱紀委員会に異議を申し出て,その審査を受けることができ(弁護士法64条),更にそこでその結論が維持されたことで不服な場合は,非法曹のみによって構成される綱紀審査会に審査請求をすることができる(同法64条の3)。)
③ 弁護士は裁判手続に関わって司法作用についての業務を行うなど,その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会も社会公共的役割を担うことが求められている公的団体であるところ,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,その業務の独占を認め(弁護士法72条),自律的懲戒権限を付与しているものである以上,弁護士,弁護士会は,その活動について不断に批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にあるともいえよう。懲戒制度の運用に関連していえば,前記のとおり,弁護士会による懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから,弁護士,弁護士会は,時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。
3 裁判官千葉勝美の補足意見の説示内容
① 刑事事件の弁護活動といえども,あらゆる批判から自由であるべき領域ではなく(今日の社会において,およそ批判を許さない聖域というものは考え難いところである。),公の批判にさらされるべきものである。その際の批判等に不適切なもの,的外れなものがあったとしても,それが違法なものとして名誉毀損等に当たる場合であれば格別,そこまでのものでない限り,その当否は,本来社会一般の評価に委ねるべきであり,その都度司法が乗り出して,不法行為の成否を探り,損害賠償を命ずるか否かをチェックする等の対応をすべきではない。
② 弁護団としては,社会的な高い地位を有し,また,社会的な耳目を集め,多くの論評の対象象になる著名事件の刑事弁護を担当していることから生ずる避けられない事態等ともいうべきものであり,一種の精神的圧迫感があったであろうことは想像に難くないが,甘受するしかないのではなかろうか。


令和元年9月9日付の日弁連懲戒委員会の議決書

10分48秒から10分53秒にかけて「社会の信頼を得るためには弁護士会は事件をもみ消したり身内だからといって甘い処分をすることはできないんです。」という発言が出てきます。

第8 表現の自由に関する弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと等
1 「表現の不自由展・その後」の展示中止
(1) 愛知県内で8月1日から開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会会長大村秀章愛知県知事は,同月3日,同芸術祭の企画展「表現の不自由展・その後」の展示を,同日をもって中止すると発表しました。
   この企画展では,従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」や,昭和天皇の写真を含む肖像群が燃える映像作品など,過去に展示を拒否される,公開中止となるなどした作品を展示していました(「表現の不自由展・その後」の中止に対する愛知県弁護士会の会長声明(2019年9月3日付)参照)。
(2) NHKクローズアップ現代に「「表現の不自由展・その後」中止の波紋」(2019年9月5日)が載っています。
2 展示中止に関する東京弁護士会の会長声明
(1) 「「表現の不自由展・その後」展示中止を受け、表現の自由に対する攻撃に抗議し、表現の自由の価値を確認する会長声明」東京弁護士会の会長声明(2019年8月29日付)には以下の記載があります。
   憲法21条で保障される表現の自由は、自己の人格を形成・発展させる自己実現の価値を有するとともに、国民が政治的意思決定に関与する自己統治の価値をも有する、極めて重要な基本的人権である。政治的表現が芸術という形をとって行われることも多く、芸術を含む多種多様な表現活動の自由が保障されることは、民主主義社会にとって必要不可欠である。 
   我々は、思想信条のいかんを問わず、表現の自由が保障される社会を守っていくことが重要であるという価値観を共有したい。
   よって、当会は、正当な言論等によらずに展示中止を求める不当な行為や、公権力が表現内容に異議を述べてその中止を求めることに対して、強く抗議するとともに、多種多様な表現活動の自由が保障され、ひいては民主主義社会が維持・発展するよう努力する決意を表明する。
(2) 同趣旨の会長声明として以下のものがあります。
① 「表現の不自由展・その後」展示中止に関する京都弁護士会の会長声明(2019年8月21日付)
② 「表現の不自由展・その後」の中止に対する愛知県弁護士会の会長声明(2019年9月3日付)
③ 「表現の不自由展・その後」の中止に関する仙台弁護士会の会長声明(2019年9月19日付)
3 「表現の不自由展・その後」の展示物
(1) 産経新聞HPの「不自由展、作品に「不快」批判 天皇肖像燃やす表現 来場者「悪意に満ちていた」 愛知の芸術祭、企画展中止」(2019年8月10日付)に以下の記載があります。
① 問題の動画は、先の大戦を連想させる映像や音声が流れる中、コラージュ画に使われた昭和天皇の肖像を大写しにして、ガスバーナーで燃やしていく-という内容。燃え残りの灰を足で踏みつぶすシーンもある。
② 国内最大規模の国際芸術祭で、4回目を迎えたあいちトリエンナーレ(10月14日まで)には、愛知県を中心に多額の公金が投入されている。今回は県が約6億円、名古屋市が約2億円を負担。文化庁の補助金対象事業にも採択され、約7800万円が補助予定額となっているが、国は県の交付申請を改めて精査する意向を示している。
(2) 北口雅章弁護士ブログの
「京都弁護士会に告ぐ。あまりに「軽薄」ではないか。」(2019年8月26日付)に以下の記載があります。
   (山中注:「表現の不自由展・その後」の展示物の中には,)典型的には,昭和天皇の御真影・写真を「バーナー焼き」で「焼毀(しょうき)」するとともに,その燃え殻を靴で踏みつける「足蹴」行為を動画で「表現」するといった「政治的プロパガンダ」であり,このような展示物は,「日本国民の統合の象徴」(天皇)を「暴力」的表現をもって「侮辱」「冒瀆」するもので,「芸術」の名に値しないことは明らかである。
4 証人の出自を侮辱する内容の発言をしたことに基づく東京弁護士会の懲戒処分例
(1) 平成26年12月26日発効の東京弁護士会の「戒告」(自由と正義2015年4月号122頁)における「処分の理由の要旨」は以下のとおりです。
   被懲戒者は、2012年5月28日、公開の法廷において、相手方当事者である懲戒請求者に対する尋問が終了して代理人席に着席した際、証言台にいた懲戒請求者に向かって、出自を侮辱する内容の発言をした。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
(2)ア 弁護士懲戒事件議決例集(第17集)130頁には以下の記載があります。
    (1)当該発言(山中注:懲戒請求者の出自を侮辱する内容の発言のこと。)は公開の法廷でなされた「中国人,バカ」という民族差別的発言であること, (2)対象弁護士は,右陪席裁判官から同発言を現認したと指摘され,裁判長から撤回を求められて初めてこれを撤回したこと,(3)対象弁護士は,その場で同発言を撤回したものの謝罪は行わず,休廷となって廊下に出た後,暫く経ってから初めて謝罪したこと,(4)対象弁護士は,原弁護士会綱紀委員会第1部会及び当部会の審査過程において,当該発言について「表現の自由」などと強弁していることに鑑みると,対象弁護士が当該発言について真撃に自発的な撤回をしたと評価することはできない。
イ 京都朝鮮学校へのヘイトスピーチ事件に関する大阪高裁平成26年7月8日判決は以下の判示をしています。
    人種差別撤廃条約は,国法の一形式として国内法的効力を有するとしても,その規定内容に照らしてみれば,国家の国際責任を規定するとともに,憲法13条,14条1項と同様,公権力と個人との関係を規律するものである。すなわち,本件における被控訴人と控訴人らとの間のような私人相互の関係を直接規律するものではなく,私人相互の関係に適用又は類推適用されるものでもないから,その趣旨は,民法709条等の個別の規定の解釈適用を通じて,他の憲法原理や私的自治の原則との調和を図りながら実現されるべきものであると解される。
    したがって,一般に私人の表現行為は憲法21条1項の表現の自由として保障されるものであるが,私人間において一定の集団に属する者の全体に対する人種差別的な発言が行われた場合には,上記発言が,憲法13条,14条1項や人種差別撤廃条約の趣旨に照らし,合理的理由を欠き,社会的に許容し得る範囲を超えて,他人の法的利益を侵害すると認められるときは,民法709条にいう「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」との要件を満たすと解すべきであり,これによって生じた損害を加害者に賠償させることを通じて,人種差前を撤廃すべきものとする人種差別撤廃条約の趣旨を私人間においても実現すべきものである。
ウ 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年6月3日法律第68号)の施行日は,公布日である平成28年6月3日です。


5 弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと
(1) 東京弁護士会は,公開の法廷で「中国人,バカ」と発言したものの,その後に撤回及び謝罪をしたり,表現の自由を主張したりした弁護士を懲戒する一方,公共の施設において昭和天皇を侮辱し,その名誉を毀損し続けた「表現の不自由展・その後」の展示については表現の自由に基づいて保護すべきと会長声明をもって主張していますところ,二つの行為の整合性を私は理解することができません。
(2)ア 侮辱罪(刑法231条)の法定刑は拘留又は科料であって,刑法典で規定されている犯罪において法定刑が最も軽いです。
    そのため,証言台にいた中国人の証人に向かって「中国人,バカ」と発言する行為の方が,本件事案における対象弁護士の行為よりも悪質であると弁護士会が判断した基準を私は理解することはできません。
イ  法制審議会の刑事法(侮辱罪の法定刑関係)部会の第1回会議(令和3年9月22日開催)の資料として,「令和2年中に侮辱罪のみにより第一審判決・略式命令のあった事例」が載っています。


6 弁護士会の懲戒処分が違法となる場合
    弁護士に対する所属弁護士会及び日弁連による懲戒の制度は,弁護士会の自主性や自律性を重んじ,弁護士会の弁護士に対する指導監督作用の一環として設けられたものであります。
    また,懲戒の可否,程度等の判断においては,懲戒事由の内容,被害の有無や程度,これに対する社会的評価,被処分者に与える影響,弁護士の使命の重要性,職務の社会性等の諸般の事情を総合的に考慮することが必要です。
    そのため,ある事実関係が「品位を失うべき非行」といった弁護士に対する懲戒事由に該当するかどうか,また,該当するとした場合に懲戒するか否か,懲戒するとしてどのような処分を選択するかについては,弁護士会の合理的な裁量にゆだねられているものと解され,弁護士会の裁量権の行使としての懲戒処分は,全く事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り,違法となります(最高裁平成18年9月14日判決)。


第9 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位等
1 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位
   懲戒委員会は弁護士自治の根幹をなす弁護士会の懲戒権の行使について重要な役割を担っています,その活動は公正に行われることが強く要請されます。
   そこで,弁護士法は,懲戒委員会の委員長及び委員を「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員」としています(弁護士法66条の2第4項)。
   したがって,委員長及び委員は,刑法の適用上公務員として扱われることとなり(刑法7条),委員の職務に関して賄賂の収受,供与,約束等がなされたときは,収賄罪(同法197条)及び贈賄罪(同法198条)が成立します。
   また,委員会で用いられている文書の殴棄は,公用文書段棄罪(同法258条)に該当しますし,その他,虚偽公文書作成罪(同法156条),公務員職権濫用罪(同法193条)等の適用があります(弁護士懲戒手続の研究と実務(第3版)118頁及び167頁参照)。
2 公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項
(1) 名誉毀損罪について,公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項は,「前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」と定めています。
   そのため,弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の職務に関する事実については,それが真実である限り,名誉毀損罪が成立することはないと思います。
(2) 条解刑法(第3版)687頁には以下の記載があります。
   公務員を選定・罷免することは国民固有の権利であり,公務員は全体の奉仕者であるから(憲15),そのあらゆる行動が国民の監視下に置かれるべきであるとする思想に基づき,摘示に係る事実が直接には公共の利害に関しない場合でも,何らかの意味で公務員の適性検討の資料を提供するという意味で公共の利害に関係するし,悪意による摘示であっても結果的に同一目的に資するとすることが本項の設けられている根拠と考えられている。
3 最高裁平成17年6月16日判決が判示するところの,名誉毀損の違法性が阻却される場合
(1) 薬害エイズ関係の報道による名誉毀損事件に関する最高裁平成17年6月16日判決によれば,以下のとおりです。
① 事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁昭和41年6月23日判決最高裁昭和58年10月20日判決参照)。

② ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁平成元年12月21日判決最高裁平成9年9月9日判決参照)。
(2) 同じ日付で出された上告棄却決定としての最高裁平成17年6月16日決定(原判決は別です。)には,名誉毀損の成立を否定すべきとする裁判官島田仁郎の詳細な反対意見が付されています。
4 日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえなかったこと
(1) 私は,平成17年4月以降の「自由と正義」の懲戒公告,及び平成19年3月発行の弁護士懲戒事件議決例集(第8集)(平成12年から平成17年までの議決例を収録したもの)以降の弁護士懲戒事件議決例集につき,文字検索可能なPDFデータに変換した上で,考えられる限りの検索をして事例を集積することで,令和元年5月30日付の異議申出書を作成しました。
   しかし,冒頭に記載したとおり,日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえませんでした。
(2) 平成23年2月15日付の日弁連裁決(自由と正義2011年4月号161頁)(業務停止4月を業務停止2月に変更したもの)には,「東京弁護士会懲戒委員会議決書の事実認定に、明白かつ単純な誤記等を除き、誤りはなく、審査請求人には弁護士として品位を失うべき非行があるといわざるを得ない。」と書いてあります。
   しかし,本件事案に関する兵庫県弁護士会懲戒委員会議決書の事実認定は,異議申出人の罰金前科の罪名すら間違っていたにもかかわらず,明白な誤記とすら認定してもらえませんでした。
5 弁護士懲戒事件議決例集
(1) 弁護士懲戒事件議決例集は,毎年3月頃に日弁連から発行されている書籍であり(日弁連HP「出版物 分類:業務-相談・倫理・研修・事故」参照),日弁連懲戒委員会,綱紀委員会及び綱紀審査会の議決例が匿名処理された上で掲載されています。
   そこには,先例として価値があると判断された不処分事例(ただし,当事者を特定できる可能性がある日付であっても抹消されていません。)が掲載されていますが,本件事案のように,定型文で棄却された事案は掲載されていません。
(2) ちなみに,弁護士懲戒事件議決例集(第8集) i 頁の「序文」(当時の日弁連会長が投稿したもの)には,「弁護士自治の根幹である綱紀・懲戒制度を正しく機能させることによって,弁護士自治を維持・発展させていくことが我々の使命である。」という記載があります。
6 2020年6月11日付の酒井将弁護士の陳述書の記載
(1) 2020年6月11日付の酒井将弁護士の陳述書21頁及び22頁には以下の記載があります。
 2017年10月12日に、アディーレが景表法違反の件で業務停止2月の懲戒処分を受けて、数万人の依頼者の案件を全件解除させられるというニュースが流れました。また、友人の弁護士から、東弁懲戒委員長の◯◯◯弁護士(山中注:リンク先では実名です。)が、アディーレの量刑について、「アディーレが東京弁護士会を訴えたこと等、これまでにたくさんの『気に食わないこと』があった」ので、これらを他事考慮して業務停止2月を選択したと述べていたことなどを聞かされました(審乙14)。そして、前述のとおり、東弁の執行部は、当法人が新宿事務所から代理権超え案件を買い取ったことを前提にしており、当法人を一罰百戒に処す意図があると聞いていたことや、東弁の執行部の弁護士たちが「A(アディーレ)の次は、B(ベリーベスト)だ。」などと述べて、当法人が業務停止以上の重い処分を受けることがもはや既定路線であるかのような話がなされていると耳にしたのでした。
(2) 68期司法修習予定者向けの就職説明会への参加を拒絶された弁護士法人が東京弁護士会を訴えた事例として東京地裁平成29年2月10日判決及び東京高裁平成29年6月28日判決(いずれも判例秘書に掲載)があり,69期司法修習予定者向けの就職説明会への参加を拒絶された弁護士法人が東京弁護士会を訴えた事例として東京地裁平成29年2月10日判決及び東京高裁平成29年7月12日判決(いずれも判例秘書に掲載)があります。


第10 本件事案における「異議申出の理由」の全文
   令和元年5月30日付の異議申出書の「第6 異議申出の理由」の全文は以下のとおりです(書面等によって確実に確認できた事実しか主張していません。)。
1 本件議決書の事実認定には重大な事実誤認があること等
(1) 重大な事実誤認があること
ア 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書(以下「本件議決書」という。)5頁は,破産者の被害届(甲4)(以下,当該被害届に記載された事件を「本件暴行事件」という。)に基づき,異議申出人は, 平成24年6月29日,静岡県のJR掛川駅構内のそば屋において,破産者の頭髪を掴み,押さえつけるようにテーブルに10数回同人の額を叩きつけるなどの暴行を加えと土下座をさせたことに関して,暴行罪及び強要罪により罰金20万円の略式命令を受けたという趣旨の認定をしている。
   しかし,異議申出人は裁判所の判決に全く納得していない(甲15, 甲17及び甲21等参照)とはいえ,裁判所が認定した「罪となるべき事実」を前提としたとしても,本件暴行事件は平成24年7月2日に発生したものであるし,異議申出人が破産者を押さえつけたわけではないし,数回頭部を叩き付けたことになっているだけであるし,土下座を強要したことは犯罪事実とはなっていない(甲9,甲16及び甲87・5頁ないし7頁参照) 。
   また,強要罪の法定刑は3年以下の懲役である(刑法223条1項)から,略式命令を出すことは法律上不可能である(刑事訴訟法461条) 。
イ ところで,確実な証拠があるとはいえない事項について断定的な表現を用いて犯罪の成立を主張することは, 弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲122)。
   また,刑事訴訟法237条の規定を忘れ,起訴後も告訴の取下げができるなどと勘違いをしたこと,及び許可抗告の申立期間を正確に説明することができないことは, いずれも弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲126の1及び甲126の2) 。
   そのため,本件議決書4頁が, 暴行罪の発生日時及びその内容について何らの証拠も引用せずに有罪判決と異なる認定をしたり, 強要罪について略式命令が出たという刑事訴訟法461条の規定を忘れた認定をしたりしたことは, 重大な事実誤認であるといえる。


(2) 著しく不適切な余事記載があること

ア 破産者は伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長(甲24)に法律相談するなどしている(甲23)ところ,破産者による虚偽告訴を必死に訴えている異議申出人の主張(懲戒請求者の意見書(3)2頁及び3頁参照)を一切記載することなく本件暴行事件で異議申出人が有罪判決を受けたという要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)だけを記載することは異議申出人の名誉やプライバシーを侵害するものであるし,対象弁護士に懲戒事由があるかどうかを判断する上で無関係かつ不必要である。
イ ところで,訴訟遂行上の必要性と相当性が認められないにもかかわらず,名誉やプライバシーを侵害する表現を含む記載を主張書面で行うことは,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲124の1) 。
   また, 被害立証とは無関係かつ不必要であって,相手方の名誉を著しく毀損する内容の主張を記載した準備書面を提出して口頭弁論期日で陳述することは,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲124の2)。
   そのため,本件議決書4頁が本件暴行事件について異議申出人が罰金20万円の有罪判決を受けたという趣旨の事実を記載したことは著しく不適切な余事記載であるといえる。

2 懲戒請求事由1に関する補充主張
(1) 対象弁護士は,任意売却の買主から受領した763万円以上の消費税(以下「本件消費税」という。)について確定申告をしていない(甲42・10頁等) 。
   ところで,本件消費税のように,破産手続開始決定後に破産管財人が財団帰属の財産を売却した場合の消費税は第3順位の財団債権であり,その他の財団債権は第4順位の財団債権である(甲125)。
   そして,対象弁護士は,破産会社の破産管財人として,平成27年5月27日付の財団債権弁済報告書(甲121の1)によれば,第3順位の財団債権について454万5300円を支払い(全額弁済),同年6月17日付の財団債権弁済報告書(甲121の2)によれば,第4順位の財団債権について2631万8073円を支払っている(配当率は90.68%) ことから,相応の報酬を支払って税理士に依頼して本件消費税に関する確定申告を行い,本件消費税を支払うことは十分に可能であった。
   また,京都地裁の平成30年度管財人等協議会では,異時廃止事案であっても, 財団債権として消費税の支払ができる場合,その前提として消費税の申請をする必要があるという見解が協議員(管財人等)から示されている(甲123の2・7頁)。
   そのため,対象弁護士が本件消費税について申告義務を果たすべきであったことは明らかである。
(2) 懲戒請求者の意見書(3)1頁で主張したとおり,対象弁護士において本件消費税についてまで確定申告をしていなかったことが異議申出人代理人に判明したのは,平成27年5月○○日付の異時廃止決定(甲105の1参照)が出た後である。
   そのため,債権者集会において異議申出人代理人が本件消費税の税務申告について質問をしなかったことは,対象弁護士の有利に斟酌すべき事情では全くないといえる。
(3) 日弁連会則11条は, 「弁護士は、常に法令が適正に運用されているかどうかを注意し、いやしくも非違不正を発見したときはその是正に努めなければならない。」と定めているし,兵庫県弁護士会としても,例えば, 平成27年7月22日付の会長声明(甲131)において, 東京高裁平成27年7月9日判決に抗議していることからすれば,裁判所の判断を絶対視するのは不当である。
   また,遺言執行者の場合,相続財産目録を作成してこれを相続人に交付しなくても懲戒事由に該当しないといえるためには,そのような義務はないと解する余地があるといえる必要があること(甲130の2及び甲134)とのバランスを考慮すべきである。
   さらに,最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会は,平成31年2月22日,「破産事件につき, どのような場合に不動産の任意売却で買主から消費税を受領した破産管財人が消費税の確定申告をしなくてもいいことになっているかが分かる裁判官の研修資料その他の文書」は存在しないという答申を出している(平成30年度(最情)答申第65号(甲127)。
   そのため,裁判所が,何ら合理的理由がないにもかかわらず,対象弁護士による本件消費税の申告の有無を問題にして対象弁護士に指示・指導をした事実は特に認められなかったという事情は,それほど対象弁護士の有利に糾酌すべき事情ではないといえる。
(4) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由1は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

3 懲戒請求事由2に関する補充主張
(1) 異議申出人が提出した,平成26年6月25日付の免責意見(甲36)は,免責不許可事由に該当する事情を個別具体的に記載し,関係資料を添付した極めて詳細なものであった。
   そのため,対象弁護士としては,弁護士職務基本規程5条に基づき,破産管財人として,具体的にどのような理由により免責不許可事由に該当しないかを個別具体的に記載した免責に関する意見書を破産裁判所に提出することは当然の職務であったといえる。
   それにもかかわらず,対象弁護士は,破産裁判所に対し,平成27年5月7日,「免責不許可事由はない。」という記載しかない免責に関する意見書(甲40) を提出したし,改めて免責意見を出して欲しいという破産裁判所の指示を無視して(甲39の2) ,追加の免責意見を提出することはなかった(甲48の2参照) 。
(2) 日弁連人権擁護委員会は,有罪の言渡しをした確定判決が誤判である可能性があるといった条件を満たす場合,人権侵犯事件として取り扱っている(甲129)こととのバランスからしても,結論として免責不許可事由はないと判断した破産裁判所及び抗告裁判所の判断を絶対視するのは不当である。
(3) 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会は,平成31年2月22日,以下の司法行政文書は存在しないという答申を出している(平成30年度(最情)答申第65号)(甲127)。
① 破産事件につき, どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責に関する意見を破産管財人が提出したとしても,破産裁判所がこれを容認することになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
② 破産事件につき, どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責許可決定を出すことになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
(4) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由2は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

4 懲戒請求事由3に関する補充主張
(1) 破産管財人の職にあった者が,破産債権者から提起された訴訟において破産者の代理人になることは,その段階においても破産債権者は存在しており,形式的に見て破産者と破産債権者間の利益相反に該当することは明らかであるから,それだけで直ちに中立性・公正さが害されるのであって,その行為の適否は遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になる場合と同列に論じるべきものといえる(成年後見人の事例に関する甲57及び甲132)。
(2)ア 遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になることは原則として弁護士としての品位を失うべき非行に該当する(甲128の1及び甲128の2)のであって, 例外的に許されるのは,遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地がなく,遺言執行者と各相続人との間に実質的に見て利益相反の関係が認められず,かつ,職務の公正さを疑われるような事情がない場合に限られている(日弁連が原弁護士会の懲戒処分を取り消した事例に関する甲130の1及び甲130の2参照) 。
   ところで,本件議決書6頁及び7頁によれば,破産管財人は,十分な財団を形成できた事案で第3順位の消費税の確定申告をしなくても, また, 破産債権者の詳細な免責意見を無視して「免責不許可事由はない」という記載しかない免責意見しか提出しなくても,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する余地はないというのであるから,破産管財人をしていた対象弁護士の裁量は絶大であるといえる。
   また,本件議決書7頁でさえ,破産管財人であった弁護士が,破産手続終了後,破産管財人として職務上取り扱った事件を受任した場合においては,破産管財人としての職務の公正さが問題となる余地が大きいと認めているところである。
   そのため,本件では,実質的に見て利益相反の関係が認められるし,職務の公正さを疑われるような事情があることは明らかである。
イ 破産管財人の公正さや中立性に対する疑念を生じさせるものであって, 弁護士職務基本規程5条に違反するとした懲戒事例として,例えば,平成20年3月31日発効の兵庫県弁護士会の戒告処分が存在する(甲120)。
(3)ア 遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になったことに関する懲戒事例では,職務の公正さを疑わせたことが弁護士法56条1項に該当するかどうかが判断されているのであって,必ずしも弁護士職務基本規程5条に違反するかどうかの判断はされていない(弁護士職務基本規程5条への言及がない例につき, 甲128の1及び甲128の2参照)。
イ 弁護士倫理(平成2年3月2日臨時総会決議)に関しては, 日弁連において以下の解釈が採用されていた(甲133) ことからしても, 弁護士職務基本規程の個別の条項に該当しないことを主たる理由として弁護士の品位を失うべき非行に該当しないと判断することはできないといえる。
   「所属弁護士会の秩序又は信用を害し」あるいは「職務の内外を問わずその品位を失うべき非行」といった規範的概念の解釈についてば、ある行為がこれに該当するか否かの問題ばもっぱら弁護士法五六条の問題であって、弁護士倫理をどのように制定しようとも、制定形式の差によって懲戒の構成要件に該当したりしなくなったりするものではないと考えられる。
(4) 異議申出人が破産者(兵庫県○○市在住)を追及したのは,①破産者には様々な免責不許可事由があったこと(甲36参照),②平成24年7月17日に異議申出人から100万円を借りて返さなかったこと(甲83参照),③100万円を借りた後の平成24年7月25日に静岡県○○市の○○ゴルフ倶楽部で一緒にゴルフをする(甲10の4)一方で,伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長(甲23ないし甲25参照)に法律相談をするなどした上で,異議申出人が暴力団関係者として恐喝罪及び恐喝未遂罪を犯したという内容の虚偽告訴を兵庫県灘警察署(神戸市灘区)にすることで, 名古屋市○○在住の異議申出人を,被害届提出の翌日である平成24年8月21日午前8時33分,姫路駅の近くで逮捕させ,接見禁止付で勾留させ,異議申出人の自宅の捜索差押えまで実施させたこと(甲17・6頁及び7頁参照)等に基づくものであって,その追及理由は極めて正当なものである。
   そして,対象弁護士は異議申出人の免責意見その他の主張についてまともに対応することがなかったことをも考慮すれば,異議申出人による追及についての相談を破産者から受けたから対象弁護士が破産者の代理人に就任したという事情は,破産管財人の職務の公正さに甚大な疑念を生じさせるものであることは明らかであって,対象弁護士に有利な事情として斟酌すべきものでは全くないといえる。
(5) 対象弁護士が破産者の訴訟代理人をしていることに関する損害賠償請求を追加した,平成28年8月22日付の訴えの変更申立書(甲82)が提出された後も,対象弁護士は破産者の訴訟代理人であり続けた(甲91)。
   そのため,対象弁護士は,懲戒請求者から問題視された後も破産者の代理人を継続することによって破産管財人の職務の公正さにより甚大な疑問を生じさせたのであって,その公正さを事後的に回復するための措置すら採らなかった。
(6) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由3は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

5 結論
   よって,異議申出の趣旨記載のとおりの裁決を求める。


第11 関連記事その他
1 本ブログ記事を掲載するに当たり,異議申出人(依頼者)から書面による同意をもらっています。
2(1) 本件事案のほか,日弁連の弁護士懲戒事件議決例集に掲載されている事例その他の公表情報を除き,日弁連懲戒委員会が個別の事例で具体的にどのような判断をしているかは一切,知りません。
(2) 弁護士自治を考える会HP「弁護士懲戒請求 棄却情報 募集」からすれば,弁護士会の懲戒不相当の議決に対して疑問を持っている人がそれなりにいるのかもしれません。
3 毎月の「自由と正義」を見ていれば,どのようなことをすれば戒告となる可能性があるかを知ることができるものの,どのようなことをしても懲戒されないかを知ることはできないと感じています。
   そのため,「秘密を開示する場合の第三者の名誉及びプライバシー侵害への配慮」等を追加するといった,弁護士職務基本規程の改正が実施された場合「弁護士職務基本規程の改正に対する日弁連 職務基本規程案に関する共同アピールの賛同の呼びかけについて 特設ページ」参照),ますます弁護士会の懲戒基準を理解することができなくなりますから,絶対に止めて欲しいと思っています。
4 弁護士の法曹倫理について考えるブログ「『判例時報』最新号「弁護士懲戒制度の是正提案」の概要と素人の感想」(2020年8月27日付)には以下の記載があります。
    阿部名誉教授は懲戒手続きの厳格化や、処分基準の明示を求めています。これも全くその通りです。私が知る限りでも、たとえばアメリカで弁護士懲戒処分の基準となるアメリカ法曹協会(ABA)の 「法律家職務模範規則」は、日本語訳が実質150頁程度あるはずですが、これを模範にして作られた日本の弁護士職務基本規程は、わずか10頁と少しと、10分の1の分量もありません(とても「模範にした」とは言えません)。これでは弁護士からしても、一体どのような行為が許されて、どのような行為が許されないのかが、わからないはずです。
5 最高裁平成18年12月21日判決の裁判官才口千晴の補足意見には以下の記載があります。
    破産管財人の善管注意義務は,民法上のものと同趣旨であり,破産管財人としての地位,知識において一般的に要求される平均的な注意義務であるとされ,破産管財人は,職務を執行するに当たり,総債権者の共同の利益のため,善良な管理者の注意をもって,破産財団をめぐる利害関係を調整しながら適切に配当の基礎となる破産財団を形成する義務と責任を負うものである。そして,破産管財人は,第1次的には破産債権者のために破産財団を適切に維持・増殖すべき義務を負うのであるが,他方で,破産者の実体法上の権利義務を承継する者として,利害関係人との間の法律関係を適切に整理・調整すべき義務を負っているのである。
6 本ブログ記事では,対象弁護士の特定につながることは記載していないものの,「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。」と定める刑法230条2項にかんがみ,将来,対象弁護士の氏名を記載するかもしれません。
7 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士の懲戒事由
・ 弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例
 弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義
・ 弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文
 「弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(平成5年以降の分)
 弁護士会の懲戒手続
・ 弁護士の戒告,業務停止,退会命令及び除名,並びに第二東京弁護士会の名簿登録拒否事由
・ 弁護士の業務停止処分に関する取扱い
 弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(平成5年以降の分)
 弁護士の懲戒処分の公告,通知,公表及び事前公表

2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況

目次
第1 政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
1 頼りがいのある司法を築く日弁連の会の代表者である山岸良太弁護士の場合
2 ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会の代表者である及川智志弁護士の場合
3 近未来の日弁連を考える会の代表者である川上明彦弁護士の場合
4 新たな時代の司法を考える会(あらし会)の代表者である荒中弁護士の場合
第2 その他
1 4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会
2 令和元年8月時点における,頼りがいのある司法を築く日弁連の会の予定
3 HP等の閉鎖
4 関連記事

第1 政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
2020年に日弁連会長選挙がありますところ,2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況は,代表者の所属弁護士会で開催されたものを除き,以下のとおりです。
1 頼りがいのある司法を築く日弁連の会の代表者である山岸良太弁護士の場合
(2019年)
12月26日:大阪弁護士会有志との意見交換会
12月12日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
12月11日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
12月10日:愛媛弁護士会有志との意見交換会
12月 6日:日弁連臨時総会後の全国懇親会(東京事務所)
12月 5日:神奈川県弁護士会有志との意見交換会
12月 4日:大阪事務所開き
11月29日:近弁連大会後の懇親会(奈良)
11月27日:福井弁護士会有志との意見交換会
11月26日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
同    日:金沢弁護士会有志との意見交換会
11月25日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
11月 5日:長崎県弁護士会有志との意見交換会
11月22日:旭川弁護士会有志との意見交換会
11月21日:札幌弁護士会有志との意見交換会
11月20日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
11月18日:長野県弁護士会長野在住会有志との意見交換会
同    日:長野県弁護士会松本在住会有志との意見交換会
11月14日:広島弁護士会有志との意見交換会
11月12日:群馬弁護士会有志との意見交換会
11月 6日:大分県弁護士会有志との意見交換会
11月 5日:長崎県弁護士会有志との意見交換会
10月28日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
10月25日:九州弁護士会連合会(沖縄)での九州地区懇親会
10月23日:茨城県弁護士会有志との意見交換会
10月21日:福岡県弁護士会有志との意見交換会
10月11日:静岡県弁護士会静岡支部有志との意見交換会
10月10日:静岡県弁護士会沼津支部有志との意見交換会
10月 8日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
10月 4日:日弁連人権擁護大会後の懇親会(徳島)
10月 2日:香川県弁護士会有志との意見交換会
10月 1日:高知弁護士会有志との意見交換会
9月27日:関弁連大会後の懇親会(新潟)
9月18日:東京事務所開き
8月22日:鳥取県弁護士会(鳥取)有志との意見交換会(夕)
同   日:鳥取県弁護士会(米子)有志との意見交換会(昼)
8月21日:岡山弁護士会有志との意見交換会
8月20日:山口県弁護士会有志との意見交換会
8月19日:山口県弁護士会下関地区会有志との意見交換会
7月23日:釧路弁護士会(北見地域)有志との意見交換会
7月19日:東京三会多摩支部有志との意見交換会
7月 5日:東北弁護士会連合会定期大会(盛岡市)の懇親会
7月 3日:京都弁護士会有志との意見交換会
→ 二巡目の意見交換会が開始しました。
6月27日:福岡県弁護士会北九州部会有志との意見交換会
6月26日:福島県弁護士会郡山支部有志との意見交換会
6月19日:青森県弁護士会有志との意見交換会
6月10日:長野県弁護士会長野在住会有志との意見交換会
6月 6日:秋田弁護士会有志との意見交換会
6月 5日:岩手弁護士会有志との意見交換会
6月 4日:山形弁護士会有志との意見交換会
5月29日:三重弁護士会有志との意見交換会
5月28日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
5月27日:千葉県弁護士会有志との意見交換会
5月23日:和歌山弁護士会有志との意見交換会
5月22日:奈良弁護士会有志との意見交換会
5月21日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
5月16日:岐阜弁護士会有志との意見交換会
5月10日:福井弁護士会有志との意見交換会
5月 9日:金沢弁護士会有志との意見交換会
5月 8日:富山県弁護士会との意見交換会(夕)
同   日:富山県弁護士会高岡支部有志との意見交換会(昼)
4月26日:釧路弁護士会(帯広弁護士協会)有志との意見交換会
4月25日:旭川弁護士会有志との意見交換会
4月24日:札幌弁護士会有志との意見交換会
4月23日:釧路弁護士会(釧路)有志との意見交換会
4月22日:埼玉弁護士会有志との意見交換会
4月19日:茨城県弁護士会有志との意見交換会
4月17日:長野県弁護士会松本在住会,上伊那在住会,諏訪在住会有志との意見交換会
4月16日:函館弁護士会有志との意見交換会
4月12日:長崎県弁護士会長崎地区,諫早地区及び大村地区有志との意見交換会
4月11日:福岡県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:山口県弁護士会下関地区会有志との意見交換会(昼)
4月10日:山口県弁護士会山口地区会及び周南地区会有志との意見交換会
4月 9日:島根県弁護士会有志との意見交換会
4月 8日:香川県弁護士会有志との意見交換会
4月 3日:日本組織内弁護士協会有志との交流
3月30日:原町ひまわり基金法律事務所引継披露祝賀会
3月27日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
3月25日:宮崎県弁護士会有志との意見交換会
3月22日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
3月20日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
3月19日:大分県弁護士会有志との意見交換会
3月18日:熊本県弁護士会有志との意見交換会
3月15日:沖縄弁護士会有志との意見交換会
3月13日:愛媛弁護士会有志との意見交換会
3月 8日:徳島弁護士会有志との意見交換会
3月 7日:神奈川県弁護士会有志との意見交換会
3月 5日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
3月 4日:高知弁護士会有志との意見交換会
2月28日:京都弁護士会有志との意見交換会
2月27日:兵庫県弁護士会有志との意見交換会
2月20日:群馬弁護士会有志との意見交換会
2月19日:静岡県弁護士会静岡支部有志との意見交換会(夕)
同   日:静岡県弁護士会沼津支部有志との意見交換会(昼)
2月15日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
1月15日:広島弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:岡山弁護士会有志との意見交換会(昼)
1月 4日:沖縄弁護士会有志との意見交換会
(2018年)
11月24日~26日:鳥取県弁護士会及び島根県弁護士会有志との意見交換会
10月23日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
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2 ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会の代表者である及川智志弁護士の場合
・ 意見交換会の開催状況につき,及川智志弁護士のツイート等に記載されています。
12月19日:金沢弁護士会有志との意見交換会
12月16日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
12月10日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
12月 4日:埼玉弁護士会有志との意見交換会
11月11日:山形県弁護士会有志との意見交換会
11月 7日:愛媛弁護士会有志との意見交換会(夕)
同    日:広島弁護士会有志との意見交換会(昼)
11月 6日:東京での意見交換会
10月30日:岐阜県弁護士会有志との意見交換会
10月10日:鳥取県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同    日:鳥取県弁護士会米子支部有志との意見交換会(昼)
10月 8日:群馬弁護士会有志との意見交換会
9月30日:長野県弁護士会有志との意見交換会(午後3時30分過ぎから)
同   日:長野県弁護士会松本在住会有志との意見交換会
9月18日:山口県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:山口県弁護士会下関地区会有志との意見交換会(昼)
9月17日:愛知県弁護士会有志との意見交換会
8月23日:金沢弁護士会有志との意見交換会(夕)
8月23日:福井弁護士会有志との意見交換会(昼)
8月22日:兵庫県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:大阪弁護士会有志との意見交換会(昼)
8月 8日:熊本県弁護士会及び長崎県弁護士会有志との意見交換会
8月 7日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
7月25日:釧路弁護士会有志との意見交換会
7月24日:札幌弁護士会有志との意見交換会
7月22日:京都弁護士会有志との意見交換会
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3 近未来の日弁連を考える会の代表者である川上明彦弁護士の場合
(2019年)
11月14日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
10月 9日:神奈川県弁護士会有志との意見交換会
10月 8日:西村あさひ法律事務所訪問
10月 4日:日弁連人権擁護大会後の懇親会(徳島)
8月30日:中部弁護士会連合会有志との意見交換会
8月20日:群馬弁護士会有志との意見交換会
8月 9日:釧路弁護士会帯広支部有志との意見交換会
8月 8日:釧路弁護士会有志との意見交換会
8月 6日:奈良弁護士会有志との意見交換会
7月19日:秋田弁護士会有志との意見交換会
7月 9日:広島弁護士会有志との意見交換会
6月26日:山口県弁護士会有志との意見交換会
同   日:山口県弁護士会下関地区有志との意見交換会
6月24日:京都弁護士会有志との意見交換会
6月21日:宮崎県弁護士会有志との意見交換会
6月12日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
6月11日:熊本県弁護士会有志との意見交換会
6月 7日:大分県弁護士会有志との意見交換会
5月31日:徳島弁護士会有志との意見交換会
5月30日:香川県弁護士会有志との意見交換会
5月22日:福岡県弁護士会北九州部会有志との意見交換会
5月21日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
5月17日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
5月16日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
5月15日:静岡県弁護士会沼津支部有志との意見交換会
5月13日:福岡県弁護士会有志との意見交換会
4月19日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
4月16日:岐阜県弁護士会有志との意見交換会
4月 9日:福井弁護士会有志との意見交換会
4月 8日:金沢弁護士会有志との意見交換会
4月 5日:札幌弁護士会有志との意見交換会
4月 4日:旭川弁護士会有志との意見交換会
3月29日:富山県弁護士会有志との意見交換会
3月28日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
2月27日:三重弁護士会有志との意見交換会
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 新たな時代の司法を考える会(あらし会)の代表者である荒中弁護士の場合
12月 6日:日弁連臨時総会後の全国懇談会(あらし会東京事務所)
11月28日:金沢弁護士会有志との意見交換会
11月27日:愛知県弁護士会有志との意見交換会
11月26日:富山県弁護士会有志との意見交換会
同    日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
11月22日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
11月20日:群馬弁護士会有志との意見交換会
11月19日:函館弁護士会有志との意見交換会
11月16日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
11月14日:福岡県弁護士会有志との意見交換会
11月12日:旭川弁護士会有志との意見交換会
11月11日:釧路弁護士会有志との意見交換会
11月 6日:高知弁護士会有志との意見交換会
11月 5日:香川県弁護士会有志との意見交換会
同    日:徳島弁護士会有志との意見交換会
10月29日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
10月25日:TMI総合法律事務所有志との意見交換会
10月21日:静岡県弁護士会沼津支部及び静岡支部有志との意見交換会
10月18日:法曹親和会有志との意見交換会
10月17日:あらし会東京事務所開き
10月16日:青森県弁護士会有志との意見交換会
10月11日:JILA(日本組織内弁護士協会)との意見交換会
10月 8日:青森県弁護士会弘前支部有志との意見交換会
同    日:秋田弁護士会有志との意見交換会
10月 4日:日弁連人権擁護大会後の懇親会(徳島)
9月30日:沖縄弁護士会有志との意見交換会
9月29日:長野県弁護士会有志との意見交換会
9月24日:岩手弁護士会有志との意見交換会
9月12日:埼玉県弁護士会有志との意見交換会
9月11日:シティユーワ法律事務所有志との意見交換会
9月 6日:和歌山弁護士会有志との意見交換会
同   日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
9月 5日:京都弁護士会有志との意見交換会
9月 4日:奈良弁護士会有志との意見交換会
8月28日:旭川弁護士会有志との意見交換会
8月27日:釧路弁護士会有志との意見交換会(夜)
同   日:釧路弁護士会帯広支部有志との意見交換会(昼)
8月23日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
同   日:岐阜県弁護士会有志との意見交換会
8月22日:三重弁護士会有志との意見交換会
8月21日:金沢弁護士会有志との意見交換会
8月20日:愛知県弁護士会有志との意見交換会(夜)
同   日:富山県弁護士会有志との意見交換会(昼)
8月19日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
8月 8日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
8月 7日:群馬弁護士会高崎支部有志との意見交換会
8月 6日:神奈川県弁護士会有志との意見交換会
8月 5日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
8月 2日:宮崎県弁護士会有志との意見交換会
8月 1日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
同   日:熊本県弁護士会有志との意見交換会
7月31日:兵庫県弁護士会有志との意見交換会(夜)
同   日:大分県弁護士会有志との意見交換会(昼)
7月30日:山口県弁護士会山口支部有志との意見交換会(夜)
同   日:山口県弁護士会下関支部有志との意見交換会(昼)
7月29日:広島弁護士会有志との意見交換会
同   日:福岡県弁護士会北九州部会有志との意見交換会
7月23日:島根県弁護士会有志との意見交換会
7月18日:長野県弁護士会有志との意見交換会
7月17日:函館弁護士会有志との意見交換会
7月10日:長崎県弁護士会有志との意見交換会
7月 9日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
7月 5日:東北弁護士会連合会定期大会(盛岡市)の懇親会
7月 3日:茨城県弁護士会有志との意見交換会
6月26日:福島県弁護士会福島支部有志との意見交換会
6月25日:福島県弁護士会郡山支部有志との意見交換会
6月24日:札幌弁護士会有志との意見交換会
6月18日:山形県弁護士会有志との意見交換会
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第2 その他
1 4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会
(1) 10月30日夕方,東京・日比谷図書館大ホールにおいて,4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会が実施されました(Change!日弁連HPの「2019年10月30日夕方 東京・日比谷図書館大ホール」参照)。
(2) 11月30日午後1時から午後4時15分頃,大阪弁護士会館203号室及び204号室において,4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会が実施されました。

2 令和元年8月時点における,頼りがいのある司法を築く日弁連の会の予定
・ 令和元年8月時点における,頼りがいのある司法を築く日弁連の会の予定が,「変えよう!会」のツイートに流れています。
https://twitter.com/kaeyoukai0608/status/1167279766761697282

3 HP等の閉鎖
・ 日弁連会長選挙の公示日である令和2年1月8日,頼りがいのある司法を築く日弁連の会及び新たな時代の司法を考える会(あらし会)のHP等が閉鎖されました。
   そのため,それぞれの団体の代表者が出席した,令和元年12月以降の意見交換会については網羅できていません。

 関連記事
① 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
② 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
③ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
→ 神戸弁護士会から日弁連会長に就任した昭和61年度同62年度日弁連会長選挙については,単位会別の得票状況も載せています。
④ 日弁連の歴代会長及び事務総長
⑤ 日弁連役員に関する記事の一覧

 

第72期司法修習生向けの,弁護士会の就職説明会等の日程

○以下の日程につき,個別のリンクがないものはすべて,日弁連HPの「法律事務所への入所をお考えの方へのご案内」が情報源です。
司法修習中の期間よりも司法修習開始前の期間の方が,就職関係のイベントが充実している気がします。

平成30年
12月 2日(土)午後1時~午後5時
   日弁連の,司法試験シンポジウム(弁護士会館17階1701会議室)
12月15日(土)午後1時~午後4時30分

   日弁連の,就職活動セミナー(弁護士会館17階会議室)

平成31年
1月11日(金)午後5時30分~午後8時
   鹿児島県弁護士会の,採用説明会(鹿児島県弁護士会館)
1月19日(土)
① 午後1時~午後5時
   北海道弁護士会連合会の,採用説明会(札幌弁護士会館)
②   午後2時~午後4時
京都弁護士会の,採用情報説明会(京都弁護士会館 地階大ホール)
1月26日(土)
① 午後1時~午後4時
   三重弁護士会の,採用説明会(三重弁護士会館)
② 午後1時30分~午後4時
   長野県弁護士会の,採用説明会(長野県弁護士会館)
③ 午後2時30分~
   東北弁護士会連合会の,採用説明会(仙台弁護士会館)
2月 2日(土)午後1時~午後3時
   岡山弁護士会の,採用説明会(岡山弁護士会館)
2月 9日(土)午後1時15分~午後4時30分
   神奈川県弁護士会の,合同就職説明会(神奈川県弁護士会館)
2月11日(月)午後2時30分~午後5時
   群馬弁護士会の,採用説明会(ホテルメトロポリタン高崎)
2月16日(土)午後2時~
広島弁護士会の,採用説明会及び就職活動応援パーティー(広島弁護士会館)
4月 5日(金)午後6時30分~午後8時頃
愛知県弁護士会の,就職説明会(愛知県弁護士会館5階「ホール」等)

弁護士の自殺者数の推移(平成18年以降)

目次
第1 弁護士の自殺者数の推移
第2 健康習慣等
第3 メンタルヘルス不調になりそうなとき,なったときの対処法
1 弁護士がメンタルヘルス不調になる状況
2 メンタルヘルス不調になったときの心がけ
3 具体的な対処法
第4 過労死及び過労自殺に関する厚労省の基本的な考え方
1 過労死に関する厚労省の基本的な考え方
2 過労自殺に関する厚労省の基本的な考え方
第5 参考になる外部記事
第6 関連記事その他

第1 弁護士の自殺者数の推移
1 警察庁HPの「統計」のうち,「自殺者数」に掲載されている警察庁生活安全局地域課の資料によれば,弁護士の自殺者数の推移は以下のとおりです。
(令和時代)
・ 令和 5年:10人(うち,女性1人)(令和6年3月29日付の「令和 5年中における自殺の状況」末尾31頁)
・ 令和 4年: 9人(うち,女性2人)(令和5年3月14日付の「令和 4年中における自殺の状況」末尾35頁)
・ 令和 3年: 8人(うち,女性0人)(令和4年3月15日付の「令和 3年中における自殺の状況」末尾37頁)
・ 令和 2年: 8人(うち,女性1人)(令和3年3月16日付の「令和 2年中における自殺の状況」末尾35頁)
・ 令和 元年: 9人(うち,女性0人)(令和2年3月17日付の「令和 元年中における自殺の状況」末尾35頁)
(平成時代)
・ 平成30年: 7人(うち,女性1人)(平成31年3月28日付の「平成30年中における自殺の状況」末尾36頁)
・ 平成29年: 8人(うち,女性0人)(平成30年3月16日付の「平成29年中における自殺の状況」末尾37頁)
・ 平成28年:10人(うち,女性1人)(平成29年3月23日付の「平成28年中における自殺の状況 」末尾37頁)
・ 平成27年: 7人(うち,女性0人)(平成28年3月18日付の「平成27年中における自殺の概要」末尾17頁)
・ 平成26年: 9人(うち,女性0人)(平成27年3月12日付の「平成26年中における自殺の概要」末尾17頁)
・ 平成25年: 8人(うち,女性0人)(平成26年3月13日付の「平成25年中における自殺の概要」末尾17頁)
・ 平成24年:13人(うち,女性4人)(平成25年3月付の「平成24年中における自殺の概要資料」資料2末尾17頁)
・ 平成23年: 8人(うち,女性1人)(平成24年3月付の「平成23年中における自殺の概要資料」資料2末尾17頁)
・ 平成22年:13人(うち,女性0人)(平成23年3月付の「平成22年中における自殺の概要資料」末尾11頁)
・ 平成21年:10人(うち,女性3人)(平成22年5月付の「平成21年中における自殺の概要資料」末尾11頁)
・ 平成20年: 8人(うち,女性1人)(平成21年5月付の,「平成20年中における自殺の概要資料」末尾11頁)
・ 平成19年: 9人(うち,女性0人)(平成20年6月付の,「平成19年中における自殺の概要資料」末尾8頁)
・ 平成18年:13人(うち,女性0人)(平成19年6月付の,「平成18年中における自殺の概要資料」6頁)
→ 「弁護士等」の人数です。
2 警察庁の統計では,職業別自殺者数の「専門・技術職」の内訳として,「教員」,「医療・保健従事者」,「芸能人・プロスポーツ選手」,「弁護士」,「その他の専門・技術職」となっていて,「専門・技術職」の中でも弁護士だけが別に記載されています。
3 刑裁サイ太のゴ3ネタブログ「弁護士の自殺」(2015年10月30日付)が載っています。


第2 健康習慣等
    自由と正義2012年8月号の「メンタルヘルス問題について 国内一般企業における現状、取り組みと弁護士業界への示唆」には以下の記載があります(自由と正義2012年8月号35頁。改行を追加しています。)。
     メンタルヘルスの話題になると、ストレスにどう対処するかが話題になりますが、産業医の立場から申し上げると、それ以前に基本的な健康習慣を、仕事の状況に合わせて1つでも毎日実践することが大事です。
     健康習慣とは、①週平均7時間睡眠をとる、②寝る前にお風呂で湯船につかる、③栄養のバランスを考えて食べる(単品でなく定食を)、④1日3食とる、⑤食事で1口30回かむ、⑥タバコを吸わない、⑦積極的に運動をする(ストレッチ体操やラジオ体操でも可)、⑧お酒を飲まない(もしくは週2日休肝日をつくる)になります。
     その他としては、⑨気になる事は紙に書くか、誰かに相談する、⑩仕事と無関係な友人をつくる、⑪趣味を持つ(但し、コンピュータやネットはダメ)、⑫仕事とプライベートをしっかり区切る、です。
    優先順位は、1に睡眠、2に食事です。仕事が多忙な割には体調管理をしている方は、週1日は朝寝坊や昼寝をして、平日の睡眠不足を解消しています。
    2011年第17回弁護士業務改革シンポジウムの「弁護士のワークライフバランス」分科会の調査結果でも、「弁護士業務を行う上でストレスをためないように工夫していること」として、男女の数値を合わせた合計で第1位が「睡眠をとる」、第2位が「休日をしっかり取る」、第3位が「相談できる人を持つ」であり、弁誰士の方々も有効なストレス対策を経験的に体得されているようです。
   同じ調査結果の中で「個人的な問題を相談する相手」として、第1位が「配偶者・パートナー」、第2位が「同業者」、第3位が「同業者以外の友人」でした。


第3 メンタルヘルス不調になりそうなとき,なったときの対処法
・ 月刊大阪弁護士会2022年9月号に,メンタルヘルス不調になりそうなとき,なったときの対処法が載っていますところ,項目を抜粋すると以下のとおりです。
1 弁護士がメンタルヘルス不調になる状況
(1) キャパシティを超える業務があり,処理が遅滞している。
(2) 困難な事案や依頼者に対処できず,強いストレスを抱えている。
(3) 事務所の人間関係がよくない,パワハラなど事務所の環境に問題がある。
(4) 収入が上がらない。
(5) ワークライフバランス,または,いわゆる営業活動と弁護士業務とのバランスが崩れている。
(6) 近しい人との不和,離別があった。
(7) 健康上の問題を抱えている。


2 メンタルヘルス不調になったときの心がけ
(1) 「あるがまま」を受け入れる。
(2) 「自分の能力やスキルを高めなければならない」という価値観を一旦やめてみる。
(3) 自分一人でできること,考えられることは限られていることを知る。
(4) その代わり,その時点で自分ができる範囲のことは熱心にやる。
(5) 過去のことを後悔しても仕方がない,未来のことを不安がっても仕方がない。
(6) パーフェクトな人間もいないし,正解もない。
(7) 同時に2つのことはできない。
(8) できない約束はしない。
(9) 以前にした約束を守ることを大原則にする。
(10) 嘘は絶対につかない。



3 具体的な対処法
(1) キャパシティを越えた,超えそうだ,というときは,仕事量を減らす。
(2) やらなければならないことを紙に書き出す。
(3) やるべきことを具体的なアクションに落とし込んでいく。
(4) 裁判経過報告書を送ることを習慣づける。
(5) 準備書面など一気に書き上げようとしない。
(6) 依頼者に対して,できない約束をしない。
(7) 常に原理原則に立って考える。
(8) 期限をうまく使う。
(9) 事件途中で,うまくいかないことが分かるとき,何が問題となっているか依頼者に説明する。
(10) 会って話ができなければ,せめてメールか手紙を書いて送る。
(11) 会って話をすれば,うまくいくことも多い。
(12) 難しい依頼者と応対しないといけないときは,応援を頼む。
(13) 困ったとき,先輩,同期,後輩に相談する。
(14) 誰にも相談できないなら,自分に相談する。
(15) 依頼者からの電話が最も怖い。
(16) 嘘は絶対につかない。
(17) 市民窓口の「連絡書」,懲戒請求書,紛議調停申立書が届くのは大きなチャンス。
(18) 延々と悩み続けない。
(19) アンガーマネジメントは人のためではなく,自分のため。

第4 過労死及び過労自殺に関する厚労省の基本的な考え方
1 過労死に関する厚労省の基本的な考え方
(1) 厚労省HPの「脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました」に載ってある,血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について(令和3年9月14日付の厚生労働省労働基準局長の文書)の「第1 基本的な考え方」には以下の記載があります。
    脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。以下「脳・心臓疾患」という。)は、その発症の基礎となる動脈硬化等による血管病変又は動脈瘤、心筋変性等の基礎的病態(以下「血管病変等」という。)が、長い年月の生活の営みの中で徐々に形成、進行及び増悪するといった自然経過をたどり発症するものである。
    しかしながら、業務による明らかな過重負荷が加わることによって、血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合があり、そのような経過をたどり発症した脳・心臓疾患は、その発症に当たって業務が相対的に有力な原因であると判断し、業務に起因する疾病として取り扱う。
    このような脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷として、発症に近接した時期における負荷及び長期間にわたる疲労の蓄積を考慮する。
    これらの業務による過重負荷の判断に当たっては、労働時間の長さ等で表される業務量や、業務内容、作業環境等を具体的かつ客観的に把握し、総合的に判断する必要がある。
(2) 令和3年9月14日限りで廃止された「脳血管疾患及び虚血性心疾患(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日付の厚生労働省労働基準局長の文書)に関する解説文書である,脳・心臓疾患の労災認定実務要領(平成15年3月の,厚生労働省労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室)を掲載しています。


2 過労自殺に関する厚労省の基本的な考え方
(1)ア 令和5年9月1日,厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し,厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知し,平成23年12月26日付通達を廃止しました(厚生労働省HPの「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」参照)。
イ 心理的負荷による精神障害の認定基準について(平成23年12月26日付の厚生労働省労働基準局長の通達)(平成11年9月14日付の「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」に代わるもの)の「第3 認定要件に関する基本的な考え方」には以下の記載がありました。
    対象疾病の発病に至る原因の考え方は、環境由来の心理的負荷(ストレス)と、個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まり、心理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神的破綻が起こるし、逆に脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生ずるとする「ストレス-脆弱性理論」に依拠している。
    このため、心理的負荷による精神障害の業務起因性を判断する要件としては、対象疾病の発病の有無、発病の時期及び疾患名について明確な医学的判断があることに加え、当該対象疾病の発病の前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められることを掲げている。
    この場合の強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されるものであり、「同種の労働者」とは職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する者をいう。
    さらに、これらの要件が認められた場合であっても、明らかに業務以外の心理的負荷や個体側要因によって発病したと認められる場合には、業務起因性が否定されるため、認定要件を上記第2のとおり定めた。
(2) 以下の部分からなる精神障害の労災認定実務要領(令和2年6月の厚生労働省労働基準局職業病認定対策室の文書)を掲載しています。
・ 認定基準の解説及び調査要領
・ 調査・取りまとめ様式及びその記入例(医学的見解を含む)
・ ICD-10診断ガイドラインに示される精神障害,関係通達等及び質疑応答集
・ 精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書(平成11年7月29日付)

第5 参考になる外部記事等
1 二弁フロンティア2015年6月号「過労死の現状と防止のための対策」に,弁護士の死亡状況が載っています。
2 東弁リブラ2021年3月号の「特集:弁護士業務の落とし穴」には以下の記事が含まれています。
総論:一人で悩まないで!  鍛冶良明
Part1:非弁提携に陥らないための転ばぬ先の杖  柴垣明彦
Part2:弁護士業務に関するアウトソーシングの限界と注意点  石本哲敏
Part3:報酬契約の落とし穴  矢野亜紀子
Part4:相続に関する利益相反等  矢野亜紀子
Part5:行き過ぎた弁護活動等  矢野亜紀子
コラム:「非弁行為」と「非弁提携」の関係
コラム:営業電話や飛び込み営業の見極め方
3(1) 人事院HPの「ハラスメント防止について」に,「職員は、ハラスメントをしてはならない。」と題するリーフレットが載っています。
(2) 厚生労働省HPに「自殺対策」が載っています。
4(1) 労務事情2022年7月15日号に「〈Q&A〉労災認定基準の改正と実務における必要知識」が載っています。
(2) 労務事情2022年10月15日号に「〈Q&A〉従業員のメンタルヘルスに関わる初期対応」が載っています。
5 判例タイムズ1465号(2019年12月号)に「損害賠償請求訴訟の最先端を考える会 精神科における損害賠償請求に係る諸問題」が載っています。



第6 関連記事その他
1(1) 交通事故により受傷した被害者が自殺した場合において,その傷害が身体に重大な器質的障害を伴う後遺症を残すようなものでなかったとしても,右事故の態様が加害者の一方的過失によるものであって被害者に大きな精神的衝撃を与え,その衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと,その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって,被害者が,災害神経症状態に陥り,その状態から抜け出せないままうつ病になり,その改善をみないまま自殺に至ったなどといった事実関係の下では,右事故と被害者の自殺との間に相当因果関係があります(最高裁平成5年9月9日判決)。
(2) 最高裁平成21年12月7日決定は,気管支ぜん息の重積発作により入院しこん睡状態にあった患者から,気道確保のため挿入されていた気管内チューブを抜管した医師の行為が,法律上許容される治療中止に当たらないとされた事例です。
(3) 大分地裁令和5年4月21日判決(裁判長は49期の石村智)は,大分県内の法律事務所で勤務していた32歳の女性弁護士が平成30年に自殺したのは代表の清源善二郎元弁護士による意に反した性的行為が原因であるとして,両親が元弁護士と事務所に約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟において,元弁護士と弁護士法人に対して約1億2800万円の支払を命じ(OBSオンラインの「女性弁護士自殺は「性的加害」 雇用主の法律事務所元代表らに1億2800万円賠償命令 大分」参照),福岡高裁令和6年1月25日判決(裁判長は42期の高瀬順久)は元弁護士らの控訴を棄却しました(産経新聞HPの「法律事務所代表から性被害で女性弁護士自殺、1億円超賠償支持 福岡高裁」参照)。
2 平成22年12月に自死遺族支援弁護団が結成されています(同弁護団HPの「弁護団紹介」参照)。
3 以下の記事も参照して下さい。
・ 裁判官の死亡退官
・ 叙位の対象となった裁判官
・ 裁判所職員の病気休職
・ 業務が原因で心の病を発症した場合における,民間労働者と司法修習生の比較
・ 民間労働者と司法修習生との比較

弁護士となる資格付与のための指定研修

目次
1 弁護士となる資格付与のための指定研修(毎年3月頃の日弁連の文書)
2 平成30年度「弁護士となる資格付与のための指定研修」実施計画書「別紙Ⅲ 平成30年度研修カリキュラム説明書」
3 関連記事

1 弁護士となる資格付与のための指定研修(毎年3月頃の日弁連の文書)
平成30年度平成31年度令和 2年度
令和 3年度令和 4年度令和 5年度
令和 6年度令和 7年度,令和 8年度,

* 「弁護士法第5条の規定による研修の申請について(令和5年3月8日付の日弁連会長の文書)」とファイル名です。

2 平成30年度「弁護士となる資格付与のための指定研修」実施計画書「別紙Ⅲ 平成30年度研修カリキュラム説明書」

第1 集合研修Ⅰ
1 ガイダンス
・研修の目的,研修のカリキュラムについての説明
・研修に向かう姿勢,起案の作成方法についての説明
2 民事裁判手続(5時間)
・司法研修所「民事第一審手続ビデオ」を上映し,民事訴訟手続全般を教える。
・民事裁判に関し,基礎的な択一の問題を実施
3 刑事裁判手続(5時間)
・司法研修所「刑事弁護ビデオ」を上映し,逮捕からの刑事弁護手続・刑事訴訟手続全般を教える。
・刑事手続に関し,基礎的な択一の問題を実施
第2 集合研修Ⅱ
1 民事弁護概論(2時間)
・弁護士業務について
・一般民事手続の流れを相談から順を追って説明
・まず依頼者の話をどのように聞くか。
・どのような手続をとるか(訴訟以外の調停かADRか,交渉の選択) 。
・保全処分をするかどうかの選択
・訴訟の手続の流れ
・和解の持つ意味
・執行手続
・家事事件についての説明
2 要件事実(3時間)
・要件事実の役割
・訴訟代理人としての要件事実
・売買,賃貸借,代理等の請求原因
・錯誤,詐欺,時効等の抗弁
3 刑事弁護①(2時間)
・被疑者・被告人の権利・利益の擁護について
・合理的な疑いを超える証明について
・適正手続について
・弁論要旨について
・被告人の立場に立って考えることの意味
・情状弁護
・公判前整理手続
・裁判員裁判
4 刑事弁護②(3時間)
・伝聞証拠
・同意
・自白
・供述の信用性
・証人尋問
・少年法制の特徴
5 事実認定(2時間)
・民事訴訟において, どのように事実認定がされるのか。
・訴訟代理人として何を主張すべきか。
・直接事実と間接事実の拾い上げ
・二段の推定
6 立証活動(3時間)
・何を立証すべきか。
・書証による立証
・弁護士法23条の2による照会
・人証の選択
・人証との打合せ
・尋問技術
7 訴状(1)起案・講評(5時間)
・各自の起案をもとに添削,評価し,基礎的な講評を行う。
・この起案をもとに,昼休みに食事をとりながら,意見交換を行う。
第3 集合研修Ⅲ(起案・講評)
1 目的
・起案そのものではなく,起案するまでの過程を重視
・判例・文献調査の重要性
・訴訟記録に慣れる。
・多くの設問を付加することにより, より広い知識を身に付けさせる。
2 訴状(2)起案・講評(6時間)
・実際に訴状を書くことにより,要件事実を身に付けさせる。
・訴訟提起前に行っておくべきこと
・管轄裁判所の選択
・保全処分の必要性の有無
・予想される被告の主張
・立証活動について
3 弁論要旨等起案・講評(6時間)
・公判前整理手続を行う事件の弁護活動
・書面,証拠物の扱いについて
・尋問すべき内容についての検討
・事例として公訴事実を争う部分と情状を論じる部分があるもの
4 準備書面起案・講評(6時間)
・民事記録を見ることに慣れる。
・両者の主張整理
・どの主張を重点に論述するか。
・間接事実をどう拾い上げるか。
・主張が足りているか。
・他の立証方法はないか。
・尋問のやり方はどうか。
5 契約書・和解条項作成・講評(6時間)
・誰からの依頼か。
・弁護士としての契約書作成に当たっての注意
・公正証書の作成と注意事項
・和解条項の作成
・債務名義とは
・債務名義と執行手続
・訴状あるいは準備書面の事案を使って契約書や和解条項を作成させる。

第4 集合研修Ⅳ(集合研修の確認・弁護士倫理等)
1 集合研修の確認(3時間分)
・集合研修及び起案内容の確認を行う。
・確認方法は,短文式での回答を求め,講師による解説を行う。
2 弁護士倫理(3時間)
・事前に事例を示し,意見を出せるようにしてもらう。
・講師を囲んだ双方向多方向方式
・弁護士自治,弁護士会活動について

第5 実務研修(18日・144時間)
1 目的
・法律事務所において弁護士としての業務を研修し,弁護士として必要な実務能力を習得する。
2 指導担当弁護士
・日弁連会長が東京三弁護士会及び大阪弁護士会の弁護士に委嘱する。
・指導担当弁護士は司法修習生の指導経験の豊富な者とする。
3 研修内容
   指導担当弁護士は,次の方針に基づき,指導を行うものとする。
① 基本方針
   原則として「生きた事件」を取り扱わせる。また,事務職員が行う事務作業についても指導する。
② 弁護士倫理
   弁護士倫理を常に念頭に置き,弁護士業務と弁護士倫理との具体的関連を指導する。
③ 民事事件及び訴訟外活動
   民事訴訟手続に加え,できる限り,民事保全,民事執行も指導する。その他,調停・和解,訴訟外活動についても指導する。
④ 刑事事件
   国選弁護事件,共助制度(他の弁護士に刑事弁護の指導をしてもらう)を活用し,研修を行うように努める。
⑤ その他
   弁護士会活動についてできる限り,見学の機会を与える。弁護士報酬の決め方も指導する。なお,指導担当弁護士と研修生は,実務研修をよりふさわしいものにするために事前に研修内容について話し合うものとする。
   また,担当者は,実務研修終了時に,研修生についての実務研修成績評価書を提出する。3 関連記事
 弁護士登録の請求
 平成16年4月1日創設の,弁護士資格認定制度
→ 「弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修について」(毎年11月頃の日弁連文書)も掲載しています。
 弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修に関する規則(平成16年3月18日 日弁連規則第95号)
・ 弁護士資格認定制度に基づく認定者数の推移


日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移

目次
1 日本弁護士国民年金基金の予定利率の推移等
2 加入時期別の具体的な掛金月額
3 日本弁護士国民年金基金の掛金月額の比較
4 関連資料及び関連記事

1 日本弁護士国民年金基金の予定利率の推移等
(1) 2019年現在の日本弁護士国民年金基金の予定利率は1.5%でありますところ,従前の予定利率の推移は以下のとおりです。
① 平成 3年8月1日の制度発足時から平成7年3月31日までに加入又は増口した場合,5.5%
② 平成 7年4月1日から平成12年3月31日までに加入又は増口した場合,4.75%
③ 平成12年4月1日から平成14年3月31日までに加入又は増口した場合,4.0%
④ 平成14年4月1日から平成16年3月31日までに加入又は増口した場合,3.0%
⑤ 平成16年4月1日から平成26年3月31日までに加入又は増口した場合,1.75%
⑥ 平成26年4月1日以降に加入又は増口した場合,1.5%
(2) 日本弁護士国民年金基金HP平成31年4月1日以降の掛金月額表が載っていて,平成31年3月31日までに加入した人の掛金月額表は,日本弁護士国民年金基金規約別表第9の1(第71条第2項関係)に載っています。
(3) 陽だまり40号(平成24年6月13日発行)の「日本弁護士国民年金基金を「卒業」するにあたって 平成12年(2000年)から平成24年(2012年)までの年金運用を振り返る」(筆者は,日本弁護士国民年金基金の資産運用委員長(平成18年度から平成23年度まで)をしていた32期の山岸良太弁護士です。)が参考になります。
(4) 加入時の予定利率は現在でも適用されていますから,例えば,平成7年3月31日までに加入又は増口した人の場合,現在でも5.5%の予定利率で年金を支給してもらっています。

日本弁護士国民年金基金の総括表(平成31年3月22日の第6回財政再計算報告書からの抜粋)

2 加入時期別の具体的な掛金月額
(1) 平成3年8月1日の制度発足時から平成7年3月31日まで(46期の弁護士登録まで)に加入した場合

25歳0月の男性及び女性:  3600円
30歳0月の男性及び女性:  5100円
35歳0月の男性及び女性:  6900円
40歳0月の男性及び女性:  9900円
45歳0月の男性及び女性:1万5300円
50歳0月の男性及び女性:2万6700円
(2) 平成7年4月1日から平成12年3月31日まで(51期の弁護士登録まで)に加入した場合
25歳0月の男性及び女性:  4590円
30歳0月の男性及び女性:  6210円
35歳0月の男性及び女性:  8250円
40歳0月の男性及び女性:1万1700円
45歳0月の男性及び女性:1万7460円
50歳0月の男性及び女性:3万  90円
(3) 平成12年4月1日から平成14年3月31日まで(54期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:  5010円
30歳0月の男性:  6720円
35歳0月の男性:  8910円
40歳0月の男性:1万2570円
45歳0月の男性:1万8750円
50歳0月の男性:3万1770円
(女性の場合)
25歳0月の女性:  5340円
30歳0月の女性:  7170円
35歳0月の女性:  9510円
40歳0月の女性:1万3440円
45歳0月の女性:2万  70円
50歳0月の女性:3万3960円
(4) 平成14年4月1日から平成16年3月31日まで(56期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:  7125円
30歳0月の男性:  9090円
35歳0月の男性:1万1865円
40歳0月の男性:1万6125円
45歳0月の男性:2万3310円
50歳0月の男性:3万7890円
(女性の場合)
25歳0月の女性:  7650円
30歳0月の女性:  9810円
35歳0月の女性:1万2795円
40歳0月の女性:1万7385円
45歳0月の女性:2万5140円
50歳0月の女性:4万 830円
(5) 平成16年4月1日から平成21年3月31日まで(61期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:1万 830円
30歳0月の男性:1万3245円
35歳0月の男性:1万6680円
40歳0月の男性:2万1870円
45歳0月の男性:3万 570円
50歳0月の男性:4万8060円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万2930円
30歳0月の女性:1万5825円
35歳0月の女性:1万9905円
40歳0月の女性:2万6070円
45歳0月の女性:3万6450円
50歳0月の女性:5万7270円
(6) 平成21年4月1日から平成26年3月31日まで(66期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:1万1430円
30歳0月の男性:1万3980円
35歳0月の男性:1万7610円
40歳0月の男性:2万3070円
45歳0月の男性:3万2250円
50歳0月の男性:5万 730円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万3245円
30歳0月の女性:1万6215円
35歳0月の女性:2万 400円
40歳0月の女性:2万6730円
45歳0月の女性:3万7350円
50歳0月の女性:5万8680円
(7) 平成26年4月1日から平成31年3月31日まで(71期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:1万2555円
30歳0月の男性:1万5255円
35歳0月の男性:1万9065円
40歳0月の男性:2万4810円
45歳0月の男性:3万4470円
50歳0月の男性:5万3820円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万4670円
30歳0月の女性:1万7820円
35歳0月の女性:2万2275円
40歳0月の女性:2万8980円
45歳0月の女性:4万 230円
50歳0月の女性:6万2790円
(8) 平成31年4月1日以降に加入した場合
(男性の場合)

25歳0月の男性:1万2705円
30歳0月の男性:1万5450円
35歳0月の男性:1万9305円
40歳0月の男性:2万5110円
45歳0月の男性:3万4860円
50歳0月の男性:5万4450円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万4790円
30歳0月の女性:1万7985円
35歳0月の女性:2万2470円
40歳0月の女性:2万9220円
45歳0月の女性:4万 560円
50歳0月の女性:6万3300円


3 日本弁護士国民年金基金の掛金月額の比較
(1) 男性の場合
・ 制度発足時と平成31年4月1日以降の掛金月額を比較した場合,25歳0月で3.53倍,30歳0月で3.03倍,35歳0月で2.80倍,40歳0月で2.54倍,45歳0月で2.28倍,50歳0月で2.04倍異なります。
(2) 女性の場合
・ 制度発足時と平成31年4月1日以降の掛金月額を比較した場合,25歳0月で4.11倍,30歳0月で3.53倍,35歳0月で3.26倍,40歳0月で2.95倍,45歳0月で2.65倍,50歳0月で2.37倍異なります。


4 関連資料及び関連記事
(1) 関連資料
① 国民年金基金における財政再計算に伴う掛金の計算に関する取扱いについて(平成6年12月22日付の厚生省年金局長から都道府県知事あて通知)
② 日本弁護士国民年金基金の第6回財政再計算報告書(平成31年3月22日提出)
③ 保証期間15年・年金月額3万円(年額36万円)の給付(平成21年3月31日までの基本A型参照)に必要な,日本弁護士国民年金基金の掛金の推移
(2) 関連記事
① 日本弁護士国民年金基金
② 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
③ 個人型確定拠出年金(iDeCo)
④ 弁護士の社会保険

弁護士再登録時の費用

目次
1 弁護士再登録時の費用
2 日弁連の登録料及び登録申請の際の印紙代
3 単位弁護士会の入会金
4 関連記事その他

1 弁護士再登録時の費用
    再登録時の費用は,日弁連の登録料3万円,登録申請の際の印紙代6万円及び単位弁護士会の入会金となります。
    そのため,大阪弁護士会の場合,合計で12万円必要となります。

2 日弁連の登録料及び登録申請の際の印紙代
(1) 日弁連の登録料につき,以前は6万円だったものの,平成26年4月1日以降は3万円となっています。
(2) 登録申請の際の印紙代6万円は,登録免許税法別表第一の三十二「人の資格の登録若しくは認定又は技能証明」(三))に基づくものです。

3 単位弁護士会の入会金
(1) 東京弁護士会の場合,東弁の元会員が東弁に再入会する場合の入会金が1万5000円であり,それ以外の場合の入会金は3万円です(東弁リブラ2008年4月号の「出産・育児・海外留学のときに役立つ情報」参照)。
(2) 大阪弁護士会の場合,弁護士任官をした人が再び弁護士登録をする場合は入会金を免除されることがあります(大阪弁護士会会則17条3項)ものの,単なる再入会の場合に入会金を減免する規定はありません。

4 関連記事その他
(1) 日弁連HPの「2015年4月1日以降に弁護士登録(再登録)される方へ」にあるとおり,平成27年4月1日以降に再登録請求をする場合,従前の登録時に付されていた登録番号を付与してもらうことができます(日弁連会則19条3項参照)。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士登録の請求
 弁護士登録番号と修習期の対応関係
・ 弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会
・ 日弁連の会費及び特別会費

大阪弁護士会の負担金会費

目次
1 大阪弁護士会の負担金会費
2 関連記事その他

1 大阪弁護士会の負担金会費
・ 大阪弁護士会HPの「入会・退会案内」に掲載されている「大阪弁護士会財務課からのお願い」の「3 負担金会費の納入について」には以下の記載がありますところ,⑧の負担金のうち,直接依頼者から事件を受任して権利保護保険制度(いわゆる弁護士費用特約)を利用した場合(いわゆる「直接受任案件」です。)に負担するものについては,上納金といわれることがあります。

入会に際し、会館負担金会費40万円(分納・分納の延納制度あり)を納入いただくことは、別途案内「大阪弁護士会へ入会される方へ」に記載させていただいておりますが、入会後、次の負担金会費を納入いただきます(大阪弁護士会各種会費規程第3条の4)。

① 国選弁護人及び国選付添人に対する報酬の5%
② 裁判所から選任された職務代行者、破産管財人、民事再生監督委員、同調査委員、同管財人、同保全管理人、会社更生管財人、同調査委員、同保全管理人、同監督員、会社設立検査役、特別清算における特別清算人、同検査役、会社整理における検査役、同監督員、同管理人、特別代理人、不在者財産管理人、相続財産管理人、遺言執行者、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、任意後見監督人、財産管理者、職務代行者等(裁判所の民事調停委員、家事調停委員、鑑定委員、司法委員、参与員その他これらに準ずるものを除く。)の報酬(未成年後見制度における後見人、後見監督人、財産管理者及び職務代行者の報酬については、就任時から1年間のものに限る。)の7%
③ 大阪弁護士会総合法律相談センター規程(会規第13号)に定める法律相談業務、被害者救済業務、中小企業支援センター業務、犯罪被害者救済業務及び当番弁護士に関する業務の担当者並びに同規程により事件を受任した場合の法律相談料、着手金、報酬金、手数料、鑑定料、講師料、日当の7%
④ 大阪弁護士会総合法律相談センターから顧問の紹介を受けた場合の顧問就任時から1年間の顧問料の7%
⑤ 大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター規程(会規第30号)に定める専門法律相談業務、財産管理支援業務、介護・福祉支援業務及び精神保健支援業務の担当者並びに同規程により事件を受任した場合の法律相談料、着手金、報酬金、手数料(財産管理支援業務における財産管理行為開始前の面談の手数料及び証書類等の保管委託の手数料については財産管理契約締結時から、財産管理支援業務における財産管理行為開始後の基本委任事務の手数料については財産管理行為開始時から、1年間のものに限る。)、鑑定料及び講師料の7%
⑥ 大阪弁護士会遺言・相続センター規程(会規第55号)に基づく法律相談の相談料並びに同規程により事件を受任した場合の着手金、報酬金及び手数料の7%
⑦ 大阪住宅紛争審杳会の指名紛争処理委員及び専門家相談員の報酬の7%
⑧ 権利保護保険制度(日弁連リーガル・アクセス・センター)に基づく法律相談の相談料並びに同制度により事件を受任した場合(直接依頼者から事件を受任し、同制度を利用した場合を含む。)の着手金、報酬金、手数料及び日当の7%
⑨ 大阪弁護士会行政連携センター規程(会規第59号)により紹介を受けた場合の法律相談料、着手金、報酬金、手数料、鑑定料及び講師料の7%


2 関連記事その他
(1)ア 日弁連リーガル・アクセス・センターの略称は日弁連LACであって,日弁連HPの「弁護士費用保険(権利保護保険)について」に日弁連LACの詳しい説明があります。
イ 東京海上日動火災保険株式会社及び日新火災海上保険株式会社は日弁連LACに加入していません。
(2)ア 直接受任案件の場合であっても,大阪弁護士会は会員に対して日弁連LACに連絡して7%の負担金会費を大阪弁護士会に支払うように要求し,かつ,日弁連LAC指定書式の委任契約書を作成するように要求してきますところ,同契約書12条には以下の記載があります(甲は依頼者,乙は受任弁護士です。)。
    甲と乙とは、本契約が両当事者間の自主的な契約であって、本契約および本契約に基づいて生じる問題について、甲の加入する保険会社等、日弁連リーガル・アクセス・センターおよび乙の所属弁護士会のリーガル・アクセス・センターに対し、何らの法的責任も問わないことを確認する。
イ 直接依頼案件の場合において,依頼者又は保険会社が日弁連LACの利用を拒絶した場合,受任弁護士が大阪弁護士会に負担金会費を納付することはできないかもしれません。
ウ 直接受任案件から弁護士会費を徴収するのは大阪弁護士会だけであると聞いたことがあります。
(3) 厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介事業者(職業安定法30条)等を除き,何人も,業として他人の就業に介入して利益を得てはなりません(労働基準法6条)。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士会の会派
・ 日弁連の会費及び特別会費
・ 弁護士会館

弁護士の社会保険

目次
1 弁護士の雇用保険
2 東京都弁護士国民健康保険組合
3 国民健康保険組合の新規設立は事実上不可能であること
3の2 国民健康保険組合と健康保険組合の違い
4 労働保険及び社会保険への加入状況の調査方法
5 社会保険への事後的な加入手続
6 国民健康保険の保険料(保険税)の限度額の推移等
7 国民年金保険料の月額及び老齢基礎年金の支給額の推移
8 士業等の節税ツール
9 社会保障制度に係る法令において,男女間に支給要件の差異がある場合の合憲性,及び父子家庭への遺族基礎年金不支給の合憲性
10 国民皆保険制度制定時のエピソード
11 後期高齢者医療制度に関するメモ書き
12 関連記事その他

1 弁護士の雇用保険
(1) 弁護士の労働者性については,東弁リブラ2005年4月号「私って労働者?-勤務弁護士の労働者性について-」が参考になります。
(2) 平成25年2月1日以降,公認会計士,税理士,弁護士,社会保険労務士,弁理士等の資格を持つ人は,法律の規定に基づき,名簿や登録簿等に登録している場合であっても,開業や事務所に勤務している事実がないことが確認でき,要件を満たしていれば,雇用保険の受給資格決定を受けることができます(厚生労働省HPの「公認会計士,税理士などの資格を持つ方の失業給付の取扱いが変更になります。」参照)。
(3) 雇用保険を受給するためには以下の条件を満たしている必要があります。
① 雇用保険の被保険者期間(=労働者として事業所に勤務していた期間)が原則として,離職日以前2年間に12ヶ月以上あること。
② 就職したいという積極的な意思と,いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり,積極的に求職活動を行っているにもかかわらず,就職できない状態(失業の状態)にあること。
(4) 雇用保険の業務取扱要領(令和4年10月1日以降)「20004(4)「労働者」及び「雇用関係」の意義」には以下の記載があります。
イ 「労働者」の意義
法における労働者とは、事業主に雇用され、事業主から支給される賃金によって生活している者、及び事業主に雇用されることによって生活しようとする者であって現在その意に反して就業することができないものをいう。
ロ 「雇用関係」の意義
法における雇用関係とは、民法第 623 条の規定による雇用関係のみでなく、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として事業主から賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係をいう。


2 東京都弁護士国民健康保険組合
(1)ア 東京都弁護士国民健康保険組合は,昭和31年10月1日に事業を開始しました(東京都弁護士国民健康保険組合HP「組合の概要」参照)。
イ 第一東京弁護士会が作成した「われらの弁護士会史」438頁には以下の記載があります。
    昭和31年には国民健康保険組合に加入した。正式の名称は「東京都弁護士国民健康保険組合」。昭和31年9月5日組合設立認可をうけ、10月1日発足した。会員の福祉厚生面の充実として歓迎された。この事業のもつもうひとつの意味は、東京三弁護士会合同で実施したことである。三会が合同で行なう事業は、これからあと各種のものが計画されたが、この健康保険組合は最初のテスト・ケースとして注目され、そして成功した。
(2)ア 令和元年7月現在,以下の二つの条件を満たす人は,東京都弁護士国民健康保険組合に加入できます(東京都弁護士国民健康保険組合HP「加入資格・加入手続について」参照)。
① 東京弁護士会,第一東京弁護士会,第二東京弁護士会,神奈川県弁護士会,千葉県弁護士会及び埼玉弁護士会に所属する弁護士及び外国法事務弁護士並びにその法律事務所に勤務し業務に従事する者
② 東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県の一部(取手市,土浦市,つくば市,水戸市及び神栖市),静岡県の一部(三島市,浜松市,静岡市,熱海市,富士市,駿東郡長泉町及び田方郡函南町),山梨県北杜市,群馬県高崎市,愛知県刈谷市,京都府京都市,新潟県長岡市,長野県下高井郡山ノ内町,沖縄県島尻郡与那原町,大阪府大阪市及び栃木県宇都宮市に住所を有する方
イ 神奈川県弁護士会,千葉県弁護士会及び埼玉弁護士会に所属する弁護士等が東京都弁護士国民健康保険組合に加入できるようになったのは平成元年です(関弁連50周年記念誌29頁)。
(3)ア 東京都弁護士国民健康保険組合に加入している人が弁護士法人に勤務する場合,年金事務所に対し,14日以内に健康保険被保険者適用除外申請書をすることで,協会けんぽに加入せず,引き続き東京都弁護士国民健康保険組合への加入を続けることができます(日本年金機構HPの「健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険の資格取得及び配偶者等の手続き」参照)。
イ 東京都弁護士国民健康保険の保険料は所得金額と関係がありません(東京都弁護士国民健康保険組合HPの「保険料について」参照)。
   そのため,一定の所得を超えた場合,協会けんぽの健康保険料よりも健康保険料が安くなりますものの,標準報酬月額の3分の2の金額を最大で1年6月間支給してくれる傷病手当金制度(協会けんぽHPの「病気やケガで会社を休んだとき」参照)はありません。
ウ 近畿税理士国民健康保険組合HP「保険料の試算」が載っています。
(4)ア 東弁リブラ2013年7月号「弁護士会の福利厚生第6回 東京都弁護士国民健康保険組合のご案内」によれば,東京都弁護士国民健康保険組合の場合,①傷病手当金,②出産手当金及び③育児休業期間中の保険料免除措置がないと書いてあります。
イ 弁護士ドットコムキャリアHP「【2021年度版】弁護士国保(東京都弁護士国民健康保険組合)とは?加入のメリット・デメリットについて解説」が載っています。
(5) 既存の健保組合がその地区・組合員を拡大することは,事務量の増大という点を除けば,財政基盤の強化,危険の分散というメリットがあるものの,健保組合の新設・拡大を認めた場合,働き盛りの人たち,高収入の人たちが市町村国保を脱退する結果,市町村国保には高齢者・低所得者層だけが残ることとなり,市町村国保の財政基盤が弱くなるという意見があります(関弁連50周年記念誌29頁及び30頁参照)。
(6) 国民健康保険組合の場合,被用者保険(健康保険及び共済組合)と異なり,130万円以上の年収がある家族であっても,組合員と同一世帯であれば被保険者となるのであって,扶養認定というものがありません(全国土木建築国民健康保険組合「国保組合とは(健保との違い・メリット)」参照)。
(7) 東京都弁護士国民健康保険組合HP「令和4年10月からの士業の適用拡大に係る届出書類等について」には以下の記載があります。
令和4年10月1日から、使用関係が常用的な勤務弁護士・従業員(被用者)あわせて5人以上の個人の法律事務所は、健康保険(協会けんぽ)と厚生年金保険の強制適用事業所に該当します。
弁護士国保加入者は、健康保険の適用除外承認を受けることで、協会けんぽに加入せず、弁護士国保に残ることができますので、ご検討ください(弁護士法人に所属され、すでに健康保険被保険者適用除外承認を受けている方はお手続きは不要です。また、被用者5人未満の個人の法律事務所は強制適用の対象ではありません(協会けんぽと厚生年金保険の任意適用事業所は除く))。


3 国民健康保険組合の新規設立は事実上不可能であること
(1) 国民皆保険の成立
ア 国民健康保険法(昭和33年12月27日法律第192号)が施行されたのは,東京都弁護士国民健康保険組合が事業を開始した後の昭和34年1月1日であり,国民全員が公的医療保険に加入するという国民皆保険が達成されたのは昭和36年4月1日です。
イ ちなみに,国民年金法(昭和34年4月16日法律第141号)に基づき,任意加入の専業主婦及び学生を除く,20歳以上の日本国民全員が公的年金に加入するという国民皆保険が達成されたのも昭和36年4月1日です。
(2) 国民健康保険法17条3項に関する制定時の国会答弁
ア 関係するすべての市町村長の意見をあらかじめ聴いた上で,国民健康保険組合の設立により市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさないと認めるときでない限り,都道府県知事は国民健康保険組合の設立を認可することはできません(国民健康保険法17条3項)。
イ 太宰博邦厚生省保険局長は,昭和33年12月17日の衆議院社会労働委員会において,国民健康保険法17条3項に関する質問に対して以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
① 私どもは今後といえども、組合(山中注:国民健康保険組合)として伸ばしていくに適当なものがございましたならば、それはやはり認めていくつもりでございます。
   ただし何と申しましても国民健康保険の本体は、市町村が保険者である場合がそうでございますので、その方の市町村の保険事業というものに支障を来たすようなことがありまするならば、これは十分に考慮して参らねばならぬ、かように考えておるわけでございます。
   さような点からいたしまして、かりにここに一つの組合がぜひ認可をしてもらいたいという申請がありました場合におきましても、それに該当いたしまする市町村の長がどういう意見を持っておるかというようなことも聞いてみたい。
② それからもちろんその市町村の意見は、かりにそれが数カ町村になります場合には、必ずしも同一の意見が出てくるとは限らないわけですが、これはやはりその場合におきまして、府県知事が自分の職責として一番是と信ずるところに従って、これの是非を認可するかどうかということをきめなければならない、こういうふうな仕組みにしておるわけでございます。
(3) 国民皆保険開始後の,国民健康保険組合の設立状況
ア(ア) 国民健康保険組合設立の認可について(昭和38年4月22日厚生省保険局長通知)の本文は以下のとおりです。
    国民健康保険法は、国民健康保険組合の設立については、市町村の行なう国民健康保険の運営に支障を及ぼさないと認められる場合でなければ許可してはならないとし、極めて抑制的な態度をもつてこれに臨んでいるが、このことは同法が、市町村に対し被用者保険の体系に吸収し得ない地域住民を対象として国民健康保険事業を行なうことを義務として課する以上、みだりに地域住民の一部の脱落を許容して市町村が義務として維持する国民健康保険事業の健全な発展を阻害してはならないという配慮に基づくものであることは言うまでもない。とくに今日被用者保険の対象者が著しく増加している傾向にある現状において、国民健康保険組合の新規設立を漫然と許容することは、市町村営国民健康保険の今後の運営に影響するところが大であるから組合の新規設立については極めて慎重な態度をもつて臨むべきものと考える。従つて今後貴都道府県において組合設立の要望、認可申請の動き等があつた場合においては、関係者に前記の趣旨を十分周知させ過なきを期するとともに、例外的に認可を要すると一応判断した場合においても事を処理する基本的態度及び手順について必ず事前に当局に内議の上事を決定されるよう配意されたい。
(イ) 健康保険組合設立認可基準について(昭和60年4月30日付の厚生省保険局長通知)は,健康保険法(大正11年4月22日法律第70号)11条等に基づく健康保険組合に関するものであって,国民健康保険組合に関するものではないです。
イ 岡光序治(おかみつのぶはる)厚生省保険局長は,平成8年2月29日の衆議院予算委員会第四分科会において以下の答弁をしています(リンク先の212番及び214番。なお,ナンバリングを追加しています。)。
① 御指摘の昭和三十八年四月の保険局長通知はございます。それは、ただいま申し上げました国民健康保険法の規定で、当該の「市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさない」、そういうことをいわば局長通知で敷衍をしたような趣旨でございます。
   現実には、昭和三十六年、皆保険体制設立以前に存在をしておった国民健康保険組合の存立のみを認めておりまして、例外的に日雇労働者健康保険法の廃止がされたときに建設国保をつくるとか、あるいは沖縄が日本に返還されたときの例外措置がその後あっただけでございまして、そういう意味では原則、新設は御遠慮いただくという方針で臨んでおります。
② 実は国民健康保険、非常に財政的に苦しい状況にございます。それと今、日本の就業構造が変化をしてきておりまして、皆さんがいわゆる働き手になっておりまして、自営業が少なくなっております。そういう意味では存立基盤がやや脆弱になっている市町村国保でございますから、その中からいわば負担能力の高い優秀なる人が抜け出ていっては非常に困る状態にございます。
   そういう趣旨で、新設に当たりましては、そういう状況をよくよく御説明をし、それから市町村国保の方の考え方も聞いた上で判断をするという趣旨で局長通知を設けているというふうに理解をしております。
ウ(ア) 社会保険庁長官の通達により,大工・左官等のいわゆる一人親方が集まって設立された任意の組合を日雇労働者健康保険法(昭和28年8月14日法律第207号)の適用事業所と擬制して同法を適用してきた措置(当時は「擬制適用」といわれていました。)は,昭和36年に国民皆保険になった後も存続していたものの,昭和45年5月限りで廃止されました(日本医療保険制度史(第3版)184頁及び210頁参照)。
   そのため,その直後に一人親方を被保険者とする国民健康保険組合(当時は「新設国保組合」等といわれていました。)が設立されました(昭和52年3月11日の衆議院予算委員会第三分科会における八木哲夫厚生省保険局長の答弁参照)。
(イ) 昭和59年10月1日,日雇労働者健康保険法の廃止により,日雇労働者健康保険の被保険者は,健康保険の日雇特例被保険者となりました。
エ 昭和49年10月,沖縄県医師会を母体として沖縄県医師国民健康保険組合が設立されました(沖縄県医師会HP「沖縄県医師国民健康保険組合」参照)。
(4) その他
ア 厚生省保険局長をしていた岡光序治は,平成8年7月2日に厚生事務次官に就任し,同年11月発覚の特別養護老人ホーム汚職事件により同月19日に辞職し,同年12月4日に収賄罪で逮捕され,その後,懲役2年・追徴金約6369万円の実刑判決を受け,最高裁平成15年6月4日決定により確定し,服役しました。
イ 月刊大阪弁護士会2015年9月号32頁及び33頁に「弁護士国民健康保険組合設立の検討結果のご報告」が載っています。


3の2 国民健康保険組合と健康保険組合の違い
(1) 国民健康保険組合は国民健康保険法に基づき設立された医療保険者であるのに対し,健康保険組合及び協会けんぽ(正式名称は「全国健康保険協会」です。)は健康保険法に基づき設立された医療保険者です。
(2)ア 国民健康保険組合は同種同業の個人事業の自営業者をもって組織される(国民健康保険法13条1項参照)のに対し,健康保険組合及び協会けんぽは,適用事業所の事業主,その適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者をもって組織されます(健康保険法8条)。
イ 国民健康保険組合を含む国民健康保険は地域保険であるのに対し,健康保険,共済組合及び船員保険は被用者保険です(トッパングループ健康保険組合HP「健康保険制度のしくみ」参照)。
(3) ①常時700人以上の従業員がいる事業所は厚生労働大臣の認可を受けて単一健保組合を設立できます(健康保険法11条1項・健康保険法施行令1条の2第1項)し,②同種・同業の事業所が集まって3000人以上の従業員がいる場合は厚生労働大臣の認可を受けて総合健保組合を設立できます(健康保険法11条2項・健康保険法施行令1条の2第2項。なお,健康保険組合設立認可基準について(昭和60年4月30日付の各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)参照)。
(4) 健康保険組合は厚生労働大臣の認可をもって設立され、法務局での登記を要さないものとなっていますから,厚生局において各種証明書の発行を行っています(関東信越厚生局HPの「健康保険組合の各種証明書申請手続」参照)。

4 労働保険及び社会保険への加入状況の調査方法
(1)ア   弁護士法人である法律事務所は,社会保険の強制適用事業所に該当します(健康保険法3条3項2号,厚生年金保険法6条2項)。
イ 社会保険への加入資格については,日本年金機構HPの「社会保険の加入についてのご案内」が分かりやすいです。
(2) 厚生労働省HPの「労働保険適用事業場検索」を利用すれば,労働保険(労災保険及び雇用保険)に加入しているかどうかが分かります。
   適用事業場検索が作動しない場合,「ツール」→「インターネットオプション」→「プライバシー」→「ポップアップブロックを有効にする」のチェックを外す,により作動することがあります。
(3)ア 日本年金機構HPの「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」を利用すれば,社会保険(厚生年金保険及び健康保険)に加入しているかどうかが分かります。
イ 健康保険の給付の手続や相談等は,平成20年10月1日設立の全国健康保険協会(協会けんぽ)(従前の政府管掌健康保険(政管健保)です。)の各都道府県支部で行い,健康保険の加入や保険料の納付の手続は,日本年金機構の年金事務所で行っています(日本年金機構HPの「健康保険(協会けんぽ)の事務と手続等」参照)。


5 社会保険への事後的な加入手続
(1)   弁護士法人の場合
   弁護士法人において社会保険への加入手続をしてもらっていなかった場合であっても,勤務弁護士に労働者としての実態があるのであれば,以下のとおり事後的に社会保険に加入できます。
① 労災保険については労基署の職権による成立手続及び労災保険料の認定手続(労災保険法31条1項1号参照)を経ること
② 雇用保険についてはハローワークの職権による被保険者資格の確認(雇用保険法8条及び9条)を経ること
③ 健康保険については年金事務所の職権による確認(健康保険法39条・51条1項)を経ること
④ 厚生年金については年金事務所の職権による確認(厚生年金保険法18条2項)を経ること



第14回社会保障審議会年金部会(令和元年11月13日)資料1「被用者保険の適用事業所の範囲の見直し」からの抜粋

(2) 個人経営の法律事務所の場合
ア   個人経営の法律事務所は,社会保険の強制適用事業所(健康保険法3条3項1号,厚生年金保険法6条1項1号)に該当しませんから,常時5人以上の従業員を使用している場合であっても,社会保険が適用されません。
   そのため,令和4年9月30日までは,勤務弁護士に労働者としての実態があるとしても,社会保険に加入することはできません。
イ 個人経営の法律事務所は,従業員の2分の1以上の同意を得られる場合,任意適用申請をすることで社会保険適用事業所になることはできます(健康保険法31条1項及び2項,厚生年金保険法6条3項及び4項。日本年金機構HPの「任意適用申請の手続き」参照)。
ウ 令和4年10月1日以降,常時5人以上の従業員(勤務弁護士が従業員に含まれるかどうかは勤務実態によります。)を使用している個人経営の法律事務所についても社会保険が適用される結果,事業主たるボス弁等を除き,日本弁護士国民年金基金を脱退することとなります(令和2年改正後の厚生年金保険法6条1項1号)。
エ 社会保険労務士法人開東社会保険労務事務所HP「法律事務所・弁護士法人の社会保険」,及び「令和4年10月1日から新たに社会保険の適用となる事業とは」が載っています。


第14回社会保障審議会年金部会(令和元年11月13日)資料1「被用者保険の適用事業所の範囲の見直し」からの抜粋

6 国民健康保険の保険料(保険税)の限度額の推移等
(1)ア 昭和36年度に確立された国民健康保険の保険料(保険税)の限度額の推移は以下のとおりです(限度額に変更があった場合,厚生労働省HPの「社会保障全般」の「厚生労働省関係の主な制度変更について」に記載されます。)。
昭和46年度~:  8万円
昭和49年度~: 12万円
昭和51年度 : 15万円
昭和52年度 : 17万円
昭和53年度 : 19万円
昭和54年度 : 22万円
昭和55年度 : 24万円
昭和56年度 : 26万円
昭和57年度 : 27万円
昭和58年度 : 28万円
昭和59年度~: 35万円
昭和61年度 : 37万円
昭和62年度 : 39万円
昭和63年度~: 40万円
平成 3年度 : 44万円
平成 4年度 : 46万円
平成 5年度~: 50万円
平成 7年度~: 52万円
平成 9年度~: 53万円(平成11年度までは全部,医療分)
平成12年度~: 60万円(医療分が53万円,介護分が7万円)
平成15年度~: 61万円(医療分が53万円,介護分が8万円)
平成18年度 : 62万円(医療分が53万円,介護分が9万円)
平成19年度 : 65万円(医療分が56万円,介護分が9万円)
平成20年度 : 68万円(医療分が47万円,支援金分が12万円,介護分が9万円)
平成21年度 : 69万円(医療分が47万円,支援金分が12万円,介護分が10万円)
平成22年度 : 73万円(医療分が50万円,支援金分が13万円,介護分が10万円)
平成23年度~: 77万円(医療分が51万円,支援金分が14万円,介護分が12万円)
平成26年度 : 81万円(医療分が51万円,支援金分が16万円,介護分が14万円)
平成27年度 : 85万円(医療分が52万円,支援金分が17万円,介護分が16万円)
平成28年度~: 89万円(医療分が54万円,支援金分が19万円,介護分が16万円)
平成30年度 : 93万円(医療分が58万円,支援金分が19万円,介護分が16万円)
平成31年度 : 96万円(医療分が61万円,支援金分が19万円,介護分が16万円)
令和 2年度~: 99万円(医療分が63万円,支援金分が19万円,介護分が17万円)
令和 4年度 :102万円(医療分が65万円,支援金分が20万円,介護分が17万円)
令和 5年度 :104万円(医療分が65万円,支援金分が22万円,介護分が17万円)
令和 6年度 :106万円(医療分が65万円,支援金分が24万円,介護分が17万円)
イ 限度額の法的根拠は,国民健康保険料につき国民健康保険法76条・国民健康保険法施行令29条の7であり,国民健康保険税につき地方税法703条の4・地方税法施行令56条の88の2です。
ウ 国民健康保険につき,国民健康保険法76条1項では,保険料方式が本則であり,保険税方式が例外であるものの,市町村保険者の大多数が保険税方式を採用しています。
   ただし,大阪府内においては,9割以上の保険者が保険料方式を採用しています(大阪府HPの「国民健康保険における保険料と保険税の現状等について」参照)。
エ 毎年10月下旬の,厚生労働省社会保障審議会(医療保険部会)の資料等を見れば,次年度の国民健康保険料の限度額が分かります。
(2)ア 厚生労働省HPの「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」(令和3年10月22日付)に,平成12年度から令和3年度までの国民健康保険料(税)賦課(課税)限度額の推移が載っています。
イ 鳥取県HPに「国民健康保険制度の沿革」が載っています。
(3) 平成30年4月1日から,国民健康保険の運営主体が都道府県となりました(帯広市HPの「国民健康保険の都道府県単位化について」参照)。
(4) 大阪市HPの「大阪市国民健康保険運営協議会」に,国民健康保険制度の概要,大阪市国民健康保険事業の特徴,大阪市国民健康保険事業の特徴が載っています。


7 国民年金保険料の月額及び老齢基礎年金の支給額の推移
(1) 国民年金保険料の月額の推移
ア 国民年金保険料の月額は以下のとおり推移しています(月額に変更があった場合,厚生労働省HPの「社会保障全般」の「厚生労働省関係の主な制度変更について」に記載されます。)。
平成10年度~:1万3300円
平成17年度:1万3580円
平成18年度:1万3860円
平成19年度:1万4100円
平成20年度:1万4410円
平成21年度:1万4660円
平成22年度:1万5100円
平成23年度:1万5020円
平成24年度:1万4980円
平成25年度:1万5040円
平成26年度:1万5250円
平成27年度:1万5590円
平成28年度:1万6260円
平成29年度:1万6490円
平成30年度:1万6340円
平成31年度:1万6410円
令和 2年度:1万6540円
令和 3年度:1万6610円
令和 4年度:1万6590円
令和 5年度:1万6520円
令和 6年度:1万6980円
イ 日本年金機構HPに「国民年金保険料の変遷」及び「国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?」が載っています。
(2) 老齢基礎年金の支給額の推移
ア 老齢基礎年金の支給額の推移は以下のとおりです。
平成16年4月~:79万4500円
平成18年4月~:79万2100円
平成23年4月~:78万8900円
平成24年4月~:78万6500円
平成25年10月~:77万8500円
平成26年4月~:77万2800円
平成27年4月~:78万 100円
平成29年4月~:77万9300円
平成31年4月~:78万 100円
令和 2年4月~:78万1700円
令和 3年4月~:78万 900円
令和 4年4月~:77万7792円
(新規裁定者の場合)
令和 5年4月~:79万5000円(月額6万6250円)
令和 6年4月~:81万6000円(月額6万8000円)
イ 次年度の老齢基礎年金の支給額は,毎年1月下旬の金曜日に厚生労働省HPで発表されていますし,「社会保障制度全般分野のトピックス」の「厚生労働省関係の主な制度変更について」でも言及されています。
(3)ア シニアガイドHP「実際に支給されている国民年金の平均月額は5万5千円、厚生年金は14万7千円」(平成30年12月22日付)が載っています。
イ 厚生労働省の第1回社会保障審議会年金部会(令和4年10月25日)「年金制度の意義・役割とこれまでの経緯等について」(令和4年10月25日付の厚生労働省年金局の文書)が載っています。
ウ  国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条の規定のうち,国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置等について定める部分は,憲法25条及び29条に違反しません(最高裁令和5年12月15日判決)。


8 士業等の節税ツール
   弁護士社長の実務ブログ「弁護士を含めた士業の節税方法(社会保険等編)」によれば,士業等の節税ツールとして選択できる社会保険は以下のとおりとなっています。
① 国民年金基金(所得控除)
② 小規模企業共済(所得控除)
③ 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)(経費の増額)
④ 個人型確定拠出年金(iDeCo)(所得控除)

9 社会保障制度に係る法令において,男女間に支給要件の差異がある場合の合憲性,及び父子家庭への遺族基礎年金不支給の合憲性
(1) 社会保障制度に係る法令において,男女間に支給要件の差異がある場合の合憲性

ア 名古屋高裁平成29年12月1日判決(判例秘書に掲載)は,津地裁平成29年6月15日判決(判例秘書に掲載)を引用及び手直しする形で以下の判示をしています。
    社会保障制度に係る法令において,男女間に支給要件の差異がある場合,何ら合理的な理由のない不当な差別的取扱いに当たるか否かは,男女間における生産年齢人口に占める労働力人口の割合の違い,平均的な賃金額の格差及び一般的な雇用形態の違い等からうかがえる女性の置かれている社会的状況等の諸要素を考慮して判断すべきである(最高裁平成29年3月21日第三小法廷判決・裁判集民事第255号55頁参照)。
イ 最高裁平成13年3月13日判決(判例秘書に掲載)は以下の判示をしていました。
    国民年金制度は,憲法25条の趣旨を実現するために設けられた社会保障上の制度であるが,同条の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量にゆだねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱,濫用とみざるを得ないような場合を除き,裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない。また,同条の趣旨にこたえて制定された法令において受給者の範囲等につき何ら合理的理由のない不当な差別的取扱いをするときは別に憲法14条違反の問題を生じ得ることは否定し得ないところである最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁参照)。
(2) 父子家庭への遺族基礎年金不支給の合憲性
ア 名古屋高裁平成29年12月1日判決の上告審である最高裁平成30年3月25日判決(判例秘書に掲載)は以下のとおり判示していますから,平成26年3月31日以前に被保険者である妻が死亡した父子家庭に対して遺族基礎年金を支給しないことは憲法14条1項に違反しないことが確定しました。
    国民年金法(平成24年法律第62号による改正前のもの)37条及び37条の2の各規定のうち遺族基礎年金を受けることができる者を被保険者又は被保険者であった者の妻又は子とする部分が憲法25条,14条に違反するものでないことは,最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁の趣旨に徴して明らかである。
イ 東京地裁平成25年3月26日判決及びその控訴審である東京高裁平成25年10月2日判決も同趣旨の判断をしていたみたいです(東弁リブラ2017年8月号の「近時の労働判例第54回 最三小判平成29年3月21日 遺族補償年金の受給に関し夫にのみ年齢要件を設けることの合憲性」参照)。
ウ 日弁連HPに父子家庭への遺族基礎年金等の不支給に関する人権救済申立事件に関する日弁連勧告(平成25年12月2日付)が載っています。


10 国民皆保険制度制定時のエピソード
(1) 現役官僚おおくぼやまとの日記ブログの「【新人通信研修①】総理大臣訓示、事務次官講話のバックナンバーをご紹介」には,平成31年度総理大臣訓示からの引用として以下の記載があります。
    今から60年前、現在の社会保障制度へと続く、世界に冠たる、国民皆保険制度をつくったのは、旧厚生省の行政官、小山進次郎のチームでありました。しかし、全国2,500万人とも言われる人々からの保険料の徴収は至難の業でした。当時の安保闘争とあいまって、各地で、保険料の支払い拒否、座り込み、様々な反対運動が起こりました。積立金が軍需産業の育成に使われる、こうしたことも言われたそうです。あくまで納得ずくで、進めていく。説明会では、野次と怒号が飛び交う中でも、説得を重ねました。デモ隊に取り囲まれれば、その本部に出向いて、とことん話し合った。反対運動が盛り上がる中、真冬の吹雪にあっても、雪に閉ざされた集落に向かい、一軒一軒、家々を訪ね回りました。山奥の村に何度も足を運び、車のメーターは1日で500キロ、任務を終えるころには地球1周分を超え、5万キロになっていた。
    60年後まで続く社会保障制度は、歯を食いしばり、ひたすらに現場を大切にした先人たちの努力の上にある。行政の仕事とは、すべからく、1億2千万人、国民一人一人と向き合う仕事であります。当然、反対もあれば、批判も受けることもあるでしょう。そうした中で、しっかりとやるべきことをやる。どうか、困難にあっても、この国の将来を見据えながら、粘り強く政策を前に進める行政官であってほしいと思います。そして、そのことを誇りに、行政官の人生を歩んでいただきたいと思います。
(2) 国民年金法(昭和34年4月16日法律第141号)に基づき,任意加入の専業主婦及び学生を除く,20歳以上の日本国民全員が公的年金に加入するという国民皆保険が達成されたのは昭和36年4月1日です。
(3) 立教大学HPの「社会福祉セミナー 「輪読-小山 進次郎『生活保護法の解釈と運用』を読む」(全7回)」には「小山 進次郎『生活保護法の解釈と運用』は、刊行後65年を経た今日も読まれ続けている生活保護法の古典中の古典である。生活保護が社会的関心を引くたびに、制定時の理念を確認するために必ず参照されている。生活保護に関わる者の必読の文献である。」と書いてあります。


11 後期高齢者医療制度に関するメモ書き
(1) 後期高齢者医療制度は,75歳以上の人及び一定の障害があると認定を受けた65歳以上の人を対象とした医療制度であって,平成20年4月に開始しました。
(2)ア 後期高齢者医療保険料の徴収方法は原則として特別徴収であり,例外的に普通徴収です(高齢者の医療の確保に関する法律107条)。
イ 住民税が課税される所得額(各種所得控除後の所得額)が145万円以上ある被保険者及びこの人と同じ世帯に属する被保険者は,現役並み所得者として窓口負担割合が3割になります(大阪府後期高齢者医療広域連合HP「自己負担割合」参照)。
(3)ア 特別徴収というのは,年金からの天引きです。
イ 普通徴収というのは,被保険者,被保険者の属する世帯の世帯主又は被保険者の配偶者の口座からの振替です。
    そのため,子供名義の口座から親の後期高齢者医療保険料を支払うためには,子供が世帯主になる必要があると思います。
    ただし,年度途中に後期高齢者医療制度に加入した場合,一定期間については納付書での納付が可能です。
ウ 後期高齢者医療保険の場合,国民健康保険の場合よりも普通徴収が認められる条件が厳しいです(玉野市HPの「保険料の納付方法を、普通徴収に変更できます」参照)。
(4)ア 世帯主は,市町村が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によつて徴収しようとする場合において,当該保険料を連帯して納付する義務を負います(高齢者の医療の確保に関する法律108条2項)。
イ 配偶者の一方は,市町村が被保険者たる他方の保険料を普通徴収の方法によつて徴収しようとする場合において,当該保険料を連帯して納付する義務を負います(高齢者の医療の確保に関する法律108条3項)。
(5)ア 「口座振替の方法により保険料を納付する旨を申し出た被保険者であって、法及び準用介護保険法の規定による特別徴収の方法によって徴収するよりも法の規定による普通徴収の方法によって徴収することが保険料の徴収を円滑に行うことができると市町村が認めるもの」に該当する場合,口座振替の方法で後期高齢者医療保険料を支払うことができます(高齢者の医療の確保に関する法律施行令23条3号)。
イ 口座振替の方法で後期高齢者医療保険料を支払った場合,当該口座の名義人について社会保険料控除が適用されます。
(6) 山形県の山辺市HPに「後期高齢者医療保険料額決定通知書の見方」が載っています。
(7) 令和4年10月1日から,一定以上の所得のある75歳以上の人等については,現役並み所得者(窓口負担3割)を除き,医療費の窓口負担割合が2割になりますところ,制度改正の都合上,令和4年度はすべての人に2回,保険証が交付されます(東京都後期高齢者医療広域連合HP「自己負担割合の見直し(2割負担)」参照)。

12 関連記事その他
(1)ア 日本年金機構HPの「年金の給付に関するもの」に,老齢年金関係,障害年金関係,遺族年金関係等に関するパンフレットが載っています。
イ 弁護士の確定申告HP「弁護士開業にまつわる社会保険の手続」が載っています。
ウ 協会けんぽHPに「健康保険の給付金の申請もれはありますか?健康保険給付の申請期限について」が載っています。
(2)ア 市町村が行う国民健康保険の保険料については,これに憲法84条の規定が直接に適用されることはないが,同条の趣旨が及ぶと解すべきであるところ,国民健康保険法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険としての国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して判断する必要があります(最高裁大法廷平成18年3月1日判決)。
イ  国民健康保険の被保険者である交通事故の被害者が,保険者から療養の給付を受けるのに先立って,自動車損害賠償保障法16条1項の規定に基づき損害賠償額の支払を受けた場合には,保険会社が支払に当たって算定した損害の内訳のいかんにかかわらず,右被保険者の第三者に対する損害賠償請求権は右支払に応じて消滅し,右保険者は,国民健康保険法64条1項の規定に基づき,療養の給付の時に残存する額を限度として損害賠償請求権を代位取得します(最高裁平成10年9月10日判決)。
(3)ア 婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者との間の未認知の子又はその者の連れ子は,所得税法の控除対象扶養親族とはなりませんし,このように解することは憲法14条1項に違反しません(最高裁平成3年10月17日判決)。
イ 配偶者その他の親族が居住者と別に事業を営む場合にその居住者の事業所得等の金額の計算に所得税法56条を適用してされた課税処分は,憲法14条1項に違反しません(最高裁平成16年11月2日判決)。
ウ 最高裁平成19年3月8日判決は, 厚生年金保険の被保険者であった叔父と内縁関係にあった姪が厚生年金保険法に基づき遺族厚生年金の支給を受けることのできる配偶者に当たるとされた事例です。
エ 民法上の配偶者は,その婚姻関係が実体を失って形骸化し,かつ,その状態が固定化して近い将来解消される見込みのない場合,すなわち,事実上の離婚状態にある場合には,中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たりません(最高裁令和3年3月25日判決)。
(4) 介護のほんねHP「要介護認定とは|要支援1~要介護5までの判定基準・給付金の限度額・入居できる施設など」が載っていて, 「平成21年度版 要介護認定 一次判定シミュレーション 」へのリンクが貼られています。
(5) 施設基準等に係る適時調査や個別指導等の結果,適切でない診療報酬の請求が判明した場合,診療報酬の返還を行う必要があります(近畿厚生局HPの「診療報酬の返還手続きについて」参照)。
(6)ア 大阪地裁平成10年2月9日判決(判例秘書に掲載)は,事業主が健康保険の届出を拒否したため,労働者が,健康保険任意継続制度への加入を余儀なくされ,本来事業主負担である保険料(11万4800円) まで自己負担せざるを得なくなった事案について,本来事業主負担分である保険料(11万4800円)の返還請求を認めました。
イ 大阪高裁平成23年4月14日判決(判例秘書に掲載)は,事業主は,労働契約に付随する信義則上の義務として,被保険者に対し,被保険者の報酬月額を社会保険庁に適正に申告する義務を負っていると判断して,会社の不法行為責任を認めました。
(7)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 受給権者・被保険者の年金受給資格に関する調査の実施要領(諸規程によらない定め)(平成22年8月13日付の日本年金機構の文書)
・ 年金給付費を不正に受給した者に関する対応の手引(第2版)(平成26年8月18日付の日本年金機構本部給付企画部給付指導グループの文書)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 日本弁護士国民年金基金
・ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移
・ 個人型確定拠出年金(iDeCo)

出産・育児を理由とする弁護士会費の免除

目次
第1 日弁連会費の場合
1 平成20年1月1日施行の,出産を理由とする日弁連会費の免除(出産後,1年以内の申請が必要です。)
2 平成27年4月1日施行の,育児を理由とする日弁連会費の免除(子の出生から2年以内の申請が必要です。)
第2 大阪弁護士会費の場合(令和4年9月30日以前に子が生まれた場合)
1 出産を理由とする大弁会費の免除(出産後,1年以内の申請が必要です。)
2 育児を理由とする大弁会費の猶予・免除
3 両者の根拠条文
第3 大阪弁護士会費の場合(令和4年10月1日以降に子が生まれた場合)
1 出産を理由とする大弁会費の免除
2 育児を理由とする大弁会費の免除
第4 国民年金保険料及び国民年金基金の取扱い
第5 児童扶養手当の支給対象の拡大
第6 仕事と育児を両立している女性官僚に関するnote記事の記載
第7 最高裁大法廷平成25年9月4日決定の記載内容
第8 関連記事その他


第1 日弁連会費の場合
1 平成20年1月1日施行の,出産を理由とする日弁連会費の免除(出産後,1年以内の申請が必要です。)
(1)ア   女性弁護士が出産した場合,所属弁護士会を通じて日弁連に対し,会費等免除申請書に,母子手帳の表紙と予定日が分かるページの写しを添付して提出すれば,出産月の前月から4か月間,日弁連の会費及び特別会費を免除してもらえます。
イ 多胎妊娠の場合,出産の前々月から6か月間,日弁連の会費及び特別会費を免除してもらえます。
(2) 根拠条文は以下のとおりです。
① 日弁連会則95条の4第2項
② 出産時の会費免除に関する規程(平成19年12月6日会規第84号)


2 平成27年4月1日施行の,育児を理由とする日弁連会費の免除(子の出生から2年以内の申請が必要です。)
(1)ア 弁護士が子の育児をする場合,所属弁護士会を通じて日弁連に対し,会費等免除申請書に,①誓約書兼育児予定書及び②戸籍謄本又は子との関係が明らかになる住民票を添付して提出すれば,子が2歳になるまでの任意の6か月間(令和元年9月30日までに出生した子である場合)又は12ヶ月間(令和元年10月1日以降に出生した子である場合),日弁連の会費及び特別会費を免除してもらえます。
イ 令和元年10月1日以降に出生した子について出産時における会費の免除を受けていた場合,育児期間中の会費免除は10ヶ月間となります(多胎妊娠の場合は15ヶ月間です。)。
(2)ア 令和元年9月30日までに出生した子である場合,日弁連会費等の免除期間中,育児の実績を記載した書類(書式の定めなし,テンプレートあり)を毎月作成し,翌月末までに提出する必要がありますものの, 休業要件はありません。
イ 令和元年10月1日以降に出生した子である場合,日弁連会費等の免除期間中,育児実績書(書式の定めあり)を4ヶ月に1回,提出する必要がありますものの, 休業要件はありません。
(3) 根拠条文は以下のとおりです。
① 日弁連会則95条の4第3項
② 育児期間中の会費免除に関する規程(平成25年12月6日会期第98号)


第2 大阪弁護士会費の場合(令和4年9月30日までに子が生まれた場合)
1 出産を理由とする大弁会費の免除(出産後,1年以内の申請が必要です。)
(1) 女性弁護士が出産した場合,大弁企画部会員企画課に対し,会費免除申請書(出産)に,母子手帳の表紙と予定日が分かるページの写しを添付して提出すれば,出産月の前月から4か月間,大弁の一般会費及び会館特別会費を免除してもらえます。
(2) 多胎妊娠の場合,出産の前々月から6か月間,大弁の一般会費及び会館特別会費を免除してもらえます。


2 育児を理由とする大弁会費の猶予・免除
(1) 大弁会費の支払の猶予
ア 弁護士が1歳に満たない子の育児をするために休業する場合,大弁企画部会員企画課に対し,会費の納入猶予申請書に,母子手帳の表紙と予定日が分かるページの写しを添付して提出すれば,子が1歳になるまでの間,大弁の一般会費及び会館特別会費の支払を猶予してもらえます。
イ 育児期間終了後の常議員会決議により,猶予されていた一般会費及び会館特別会費の免除が確定します。
(2) 大弁会費の免除(子の出生から1年6月以内の申請が必要です。)
ア 弁護士が子の育児をするために全く執務をしなかった場合,大弁企画部会員企画課に対し,全部休業を理由として,会費の免除申請書(育児休業)に,休業証明書を添付して提出すれば,猶予期間中の大弁の一般会費及び会館特別会費の全部を免除してもらえます。
イ 弁護士が子の育児をするために100時間を下回る時間しか執務をしなかった場合,大弁企画部会員企画課に対し,一部休業を理由として,会費の免除申請書(育児休業)に,休業証明書を添付して提出すれば,猶予期間中の大弁の一般会費及び会館特別会費の半分を免除してもらえます。
ウ 月刊大阪弁護士会2020年3月号11頁には以下の記載があるものの,いつから実施される改正であるかは不明です。
   従前の当会育児免除は、全部/一部休業した場合のみ会費減免が受けられる制度でしたが、日弁連の育児期間中の会費免除と同様、休業要件をなくし、育児をする会員(保育施設やベビーシッター等、経済的負担のかかる代替手段を利用する等して、職場復帰した会員を含む。)が広く利用できる制度とします。育児実態の確認を育児報告書(500字以上)で確認すると共に、育児報告書を月報等に掲載することにより、会内のワーク・ライフ・バランスを推進します。


3 両者の根拠条文
(1) ①大阪弁護士会会則161条,及び②会則第161条の運営準則(昭和52年2月7日常議員会承認)でした。
(2) 会費の免除及び猶予の基準は会規に書いてありませんでした。


第3 大阪弁護士会費の場合(令和4年10月1日以降に子が生まれた場合)
1 出産を理由とする大弁会費の免除
(1) 月刊大阪弁護士会2022年9月号78頁によれば,主な改正ポイントは以下のとおりです。
① 申請があれば常議員会決議なく免除
② 免除対象期間を日弁連に合わせて基準月による
③ 出産の定義を日弁連に合わせて「妊娠4ヶ月(85日)以上の分娩,同時期以降の流産及び死産の場合を含む」
④ 外国特別会員も対象
(2) 書類の提出先は大阪弁護士会事務局企画一課です。


2 育児を理由とする大弁会費の免除
(1) 月刊大阪弁護士会2022年9月号78頁によれば,主な改正ポイントは以下のとおりです。
① 休業要件廃止
② 全部免除のみで減額なし
③ 免除対象は一般会費のみに限定(旧制度は「一般会費・会館特別会費」が免除対象)
④ 申請があれば常議員会決議なく申請により免除
⑤ 多胎の子の免除期間,新たな出産・育児の免除期間・申請期間を日弁連に合わせる
⑥ 育児実績レポートの提出,会報誌等での公開と不提出の場合の取消
⑦ 外国特別会員も対象
(2) 書類の提出先は大阪弁護士会事務局人権課です。


第4 国民年金保険料及び国民年金基金の取扱い
1 平成31年4月以降,市区町村に届出をすることにより,出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されるようになりました(国民年金法88条の2,並びに厚生労働省HPの「国民年金の産前産後期間の保険料免除制度」,及び日本年金機構HPの「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」参照)。
2 日本年金機構の産前産後の国民年金保険料を免除する「産前産後休業保険料免除制度」により国民年金保険料の納付を一定期間免除された場合,日本弁護士国民年金基金の加入員資格喪失にはなりません。
   この場合,国民年金保険料の免除期間中も日本弁護士国民年金基金の掛金は変わらず納付対象となります。日本弁護士国民年金基金の掛金納付を希望しない場合,日本弁護士国民年金基金に連絡することで掛金の引落しを停止することができます(日本弁護士国民年金基金の「令和2年度予算及び代議員会・理事会の審議結果のご報告」(令和2年5月)13頁参照)。


第5 児童扶養手当の支給対象の拡大
1 平成22年8月1日から,父子家庭に対しても児童扶養手当が支給されるようになりました(厚生労働省の「平成22年8月1日から、父子家庭のみなさまにも児童扶養手当が支給されます!(平成22年8月~11月分の手当の支給は、同年12月となります。)」参照)。
2 令和3年2月分までの児童扶養手当につき,障害基礎年金等を受給している人は,障害基礎年金等の額が児童扶養手当の額を上回る場合,児童扶養手当を受給できませんでした(このような併給調整が憲法25条及び14条1項に違反しないことにつき,堀木訴訟に関する最高裁大法廷昭和57年7月7日判決参照)。
   しかし,令和3年3月分の児童扶養手当(令和3年5月支払)以降については,児童扶養手当の額が障害基礎年金等の子の加算部分の額を上回る場合、その差額を児童扶養手当として受給できるようになりました(厚生労働省の「障害基礎年金等を受給しているひとり親のご家庭の皆さま 「児童扶養手当」が変わります」参照)。
3 厚生労働省HPの「児童扶養手当」には,平成22年以降の児童扶養手当の改正内容に関する資料が掲載されています。


第6 仕事と育児を両立している女性官僚に関するnote記事の記載
・ 「働き方改革」と題するnote記事には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    これ(山中注:ワーカホリック)に対極的なのが、「なんとか逃れよう」パターンである。つまり、男女問わず、可能な限り産休・育休を申請し、家庭の事情をつぶさに人事に報告し、組織のことよりも自分の健康と家族を優先する。
    (当たり前のことをしているので決して表では言われないが)概して上からの評価は悪くなりがちである一方、人間味を失わないので、下からの評価はおおむね良い。もちろん、もう少し進んで、自分だけ早く帰りたいーと部下を置いていくようになると部下からも嫌われる。
    厄介なのが、「自分は仕事も家庭も両立してます」という女性官僚が、無意識なのか意識的なのか、ここに多くが分類されることである。配慮されたポストにいつつ、本当に泥臭い部分はお前全然やってねーじゃねーか、という状況でありながら、「激務でしんどい、でもやりがいがある、仕事はやり方次第、仕事も子供もちゃんと両立キラキラ」と目を輝かせる。能力は決して低くないので、激務ポスト等経験しなくても幹部としてやっていける。
    でも、自分が配慮されている間、同期が死にそうになっていたことに考えも及ばず、「自分は頑張った」と胸を張り、これみよがしに雑誌やら採用パンフやらで登場することになる。やり方で国会対応がなんとかなるなら、お前マジで一度やってみろボケ、と後輩たちからの怒りを買うことになる。
    近年の「働き方改革」に沿う考え方ではあり、その自覚さえあれば決して悪い生き方ではないが、どうしても周りに負担をかけるので、「周りを見ない」無神経さか、「嫌われても仕方ないと思う」勇気が必要な生き方である。


第7 最高裁大法廷平成25年9月4日決定の記載内容
・ 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していたと判示した最高裁大法廷平成25年9月4日決定には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
①    昭和22年民法改正以降,我が国においては,社会,経済状況の変動に伴い,婚姻や家族の実態が変化し,その在り方に対する国民の意識の変化も指摘されている。
    すなわち,地域や職業の種類によって差異のあるところであるが,要約すれば,戦後の経済の急速な発展の中で,職業生活を支える最小単位として,夫婦と一定年齢までの子どもを中心とする形態の家族が増加するとともに,高齢化の進展に伴って生存配偶者の生活の保障の必要性が高まり,子孫の生活手段としての意義が大きかった相続財産の持つ意味にも大きな変化が生じた。
    昭和55年法律第51号による民法の一部改正により配偶者の法定相続分が引き上げられるなどしたのは,このような変化を受けたものである。
    さらに,昭和50年代前半頃までは減少傾向にあった嫡出でない子の出生数は,その後現在に至るまで増加傾向が続いているほか,平成期に入った後においては,いわゆる晩婚化,非婚化,少子化が進み,これに伴って中高年の未婚の子どもがその親と同居する世帯や単独世帯が増加しているとともに,離婚件数,特に未成年の子を持つ夫婦の離婚件数及び再婚件数も増加するなどしている。
    これらのことから,婚姻,家族の形態が著しく多様化しており,これに伴い,婚姻,家族の在り方に対する国民の意識の多様化が大きく進んでいることが指摘されている。
② 住民票における世帯主との続柄の記載をめぐり,昭和63年に訴訟が提起され,その控訴審係属中である平成6年に,住民基本台帳事務処理要領の一部改正(平成6年12月15日自治振第233号)が行われ,世帯主の子は,嫡出子であるか嫡出でない子であるかを区別することなく,一律に「子」と記載することとされた。
    また,戸籍における嫡出でない子の父母との続柄欄の記載をめぐっても,平成11年に訴訟が提起され,その第1審判決言渡し後である平成16年に,戸籍法施行規則の一部改正(平成16年法務省令第76号)が行われ,嫡出子と同様に「長男(長女)」等と記載することとされ,既に戸籍に記載されている嫡出でない子の父母との続柄欄の記載も,通達(平成16年11月1日付け法務省民一第3008号民事局長通達)により,当該記載を申出により上記のとおり更正することとされた。
    さらに,最高裁平成18年(行ツ)第135号同20年6月4日大法廷判決・民集62巻6号1367頁は,嫡出でない子の日本国籍の取得につき嫡出子と異なる取扱いを定めた国籍法3条1項の規定(平成20年法律第88号による改正前のもの)が遅くとも平成15年当時において憲法14条1項に違反していた旨を判示し,同判決を契機とする国籍法の上記改正に際しては,同年以前に日本国籍取得の届出をした嫡出でない子も日本国籍を取得し得ることとされた。


第8 関連記事その他
1 社会保険に加入している場合,健康保険からは出産手当金(産前産後休暇で給与の支払がない場合の給付であり,標準表集月額の3分の2です。)び42万円の出産育児一時金を支給され,雇用保険からは育児休業給付を支給されます。
2(1) 東弁リブラ2021年3月号「育児従事の期間における会費免除について 制度紹介と利用者の声」が載っています。
(2)ア 第二東京弁護士会HPに「法律事務所の出産・育児支援のグッドプラクティス」が載っています。
イ 第二東京弁護士会HPの「二弁の育児等の支援」には,出産・育児に伴う会費免除制度,及び保育サービス費用補助制度に関する説明が載っています。
ウ 二弁フロンティア2021年11月号「私の育休報告」に,産褥(さんじょく)入院による育児支援サービスのことが書いてあります。
(3) 岩崎総合法律事務所HP「資産家夫婦の財産分与トラブルを防ぐ「夫婦財産契約」という選択」が載っています。
3(1) 内閣府男女共同参画局HP「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)」に,女子差別撤廃条約の条文,一般勧告,政府報告,委員会最終見解とかが載っています。
(2) さくら共同法律事務所HP「弁護士の子育て事情」が載っています。
(3) 厚生労働省HPに「認可外保育施設に対する届出制の導入について」(平成14年7月12日付の厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知)が載っています。
(4) 月刊大阪弁護士会2023年5月号25頁には「平均賃金以上の収入があって育児や介護負担がある被害者につき、主婦休損を観念しなくてよいのかという問題はあり得るが、現在のところ、平均賃金以下の収入である場合に主婦休損を観念し、平均賃金以上の収入があれば家事をしていても給与所得者等と扱われている。」と書いてあります。
4(1) 憲法24条は,民主主義の基本原理である個人の尊厳と両性の本質的平等の原則を婚姻および家族の関係について定めたものであり,男女両性は本質的に平等であるから,夫と妻との間に,夫たり妻たるの故をもって権利の享有に不平等な扱いをすることを禁じたものであって,結局,継続的な夫婦関係を全体として観察した上で,婚姻関係における夫と妻とが実質上同等の権利を享有することを期待した趣旨の規定と解すべく,個々具体の法律関係において,常に必ず同一の権利を有すべきものであるというまでの要請を包含するものではありません(最高裁大法廷昭和36年9月6日判決)。
(2) 最高裁平成17年9月8日判決は,帝王切開術による分娩を強く希望していた夫婦に経膣分娩を勧めた医師の説明が同夫婦に対して経膣分娩の場合の危険性を理解した上で経膣分娩を受け入れるか否かについて判断する機会を与えるべき義務を尽くしたものとはいえないとされた事例です。
5 内閣府男女共同参画局HP「8 生涯を通じた女性の健康支援」に「1994年にカイロで開催された国際人口・開発会議においてリプロダクティブ・ヘルス/ライツという概念が提唱され、今日、女性の人権の重要な一つとして認識されるに至っている。リプロダクティブ・ヘルス/ライツの中心課題には、いつ何人子どもを産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠・出産、子どもが健康に生まれ育つことなどが含まれており、また、思春期や更年期における健康上の問題等生涯を通じての性と生殖に関する課題が幅広く議論されている。」と書いてあります。
6 令和5年4月1日,こども家庭庁設置法(令和4年12月19日法律第75号)等に基づき,内閣府の外局としてこども家庭庁が設置されました(内閣官房HPの「こども政策の推進(こども家庭庁の設置等)」参照)。
7 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士の職務上の氏名
・ 日弁連の会費及び特別会費
・ 大阪弁護士会の負担金会費
 日弁連の女性副会長
・ 日弁連の女性理事

弁護士記章

目次
1 総論
2 弁護士記章規則に基づく説明
3 関連記事その他

1 総論
(1) 弁護士はその職務を行う場合,弁護士記章(弁護士バッジ)を帯用するか,又は身分証明書を携帯する必要があります(日弁連会則29条2項)。
(2) 日弁連HPの「弁護士の記章(バッジ)について」には「弁護士が胸につけている記章があります。この記章は、外側にひまわり、中央にはかりがデザインされています。ひまわりは自由と正義を、はかりは公正と平等を追い求めることを表しています。」と書いてあります。


2 弁護士記章規則に基づく説明
(1) 弁護士記章については,弁護士記章規則で定められています。
(2) 弁護士記章は,日弁連の所有であって,弁護士に貸与されるものです(弁護士記章規則2条)。
(3) 弁護士記章は,日弁連が,弁護士名簿に登録したときに,所属弁護士会を通じて本人に交付します(弁護士記章規則3条1項)。
(4) 弁護士が登録取消しの請求をしたときや,死亡したときは,弁護士記章を日弁連に返還する必要があります(弁護士記章規則5条)。
(5) 弁護士が弁護士記章を紛失したときは,所属弁護士会を通じて,速やかに,日弁連に対し,紛失届を提出し,弁護士記章の再交付を申請する必要があります(弁護士記章規則7条)。
(6) 日弁連は,紛失届を受けた場合,直ちに弁護士名簿にその旨を記載し,かつ,官報にその旨を公告します(弁護士記章規則8条1項)。
(7) 日弁連は,官報公告をした後,速やかに,弁護士記章を,所属弁護士会を通じて,弁護士に再交付し,かつ,弁護士名簿にその旨を記載します(弁護士記章規則10条1項)。


3 関連記事その他
(1) 弁護士バッジの実物の写真が日弁連のパンフレット「ひまわりはあなたのために咲いています」に載っています。
(2) 以下の資料を掲載しています。
・ 弁護士記章に関する,日弁連と造幣局の請負契約書,変更契約書,覚書,請求書等
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士登録の請求
・ 弁護士登録の取消し
・ 弁護士登録番号と修習期の対応関係