日弁連の女性副会長


目次
第1 日弁連の歴代の女性副会長
第2 男女共同参画推進特別措置(女性副会長クォータ制)
第3 女性副会長クォータ制において,一般の女性会員が応募した事例
第4 クオータ制等に対する一般社会の意見
第5 仕事と育児を両立している女性官僚に関するnote記事の記載
第6 関連記事その他

第1 日弁連の歴代の女性副会長
1 日弁連の歴代の女性副会長は以下のとおりです(女性枠の副会長は赤文字表記にしています。)。
(令和7年度)
(34) 寺町東子(東京46期)
(35) 武本夕香子(兵庫県48期)
(36) 水田美由紀(岡山43期)
(37) 笹川理子(鹿児島県48期)
(38) 藤田祐子(仙台54期)
(39) 西森やよい(高知53期)
(令和6年度)
(31) 三浦亜紀(千葉県49期)
(32) 田下佳代(長野県42期)
(33) 飯岡久美(広島40期)
(令和5年度)
(28) 戸田綾美(第二東京43期)
(29) 大脇美保(京都52期)
(30) 宇加治恭子(福岡県51期)
(令和4年度)
(22) 松村眞理子(第一東京40期)
(23) 菅沼友子(第二東京42期)
(24) 芳野直子(神奈川県43期)
(25) 矢倉昌子(大阪39期)
(26) 下中奈美(広島41期)
(27) 秀嶋ゆかり(札幌41期)
(令和3年度)
(20) 相原佳子(第一東京43期)
(21) 横山幸子(栃木県40期)
(令和2年度)
(18) 西村依子(金沢37期)
(19) 狩野節子(秋田44期)
(平成31年度)
(16) 平沢郁子(東京41期)
(17) 原田直子(福岡県34期)
(平成30年度)
(13) 竹森裕子(神奈川県40期)
(14) 正木靖子(兵庫県34期)
(15) 岡崎由美子(島根県29期)
(平成29年度)
(11) 渕上玲子(東京35期)
(12) 池田桂子(愛知県35期)
(平成28年度)
(10) 早稲田祐美子(第二東京37期)
(平成26年度)
(7) 水地啓子(横浜35期)
(8) 石田法子(大阪28期)
(9) 浅岡美恵(京都24期)
(平成25年度)
(5) 海老原夕美(埼玉34期)
(6) 松田幸子(宮崎県38期)
(平成24年度)
(3) 小川恭子(滋賀34期)
(4) 宇都宮眞由美(愛媛35期)
(平成17年度)
(2) 高木佳子(第二東京24期)
(平成15年度)
(1) 大国和江(広島20期)
2(1) 平成27年度の日弁連副会長に女性はいませんでしたが,この点について,平成29年12月8日の日弁連臨時総会において以下の発言がありました(日弁連臨時総会報告10頁)。
 私たちが日弁連の副会長を務めた2015年度は、女性の副会長が選任されなかった。
 そこでやむなく2名の女性会員に会長特別補佐として、副会長にほぼ近い仕事をしていただいた。1人は前年度に副会長を経験しており、もう1人は、比較的若い世代で小規模弁護士会の会長経験者で、それぞれの持ち味をいかして活躍していただいた。
(2)ア 日弁連新聞第495号(平成27年4月1日付)には,男女共同参画推進の見地から,会長を補佐するために,4月1日付で水地啓子会員(横浜35期)及び稲田知江子会員(高知49期)を会長特別補佐(事務総長付特別補佐)に任命したと書いてあります。
イ 事務総長付特別補佐は,日弁連が直面する重要な課題に対処することになっています(事務総長付特別嘱託等の任命に関する規則(平成23年8月18日規則第149号)2条2項)。

第2 男女共同参画推進特別措置(女性副会長クォータ制)
1(1) 副会長のうち2人以上は女性が選任されなければならないとする男女共同参画推進特別措置(女性副会長クォータ制)は,平成29年12月8日臨時総会決議による改正後の日弁連会則56条2項及び3項に基づくものです。
(2) 女性枠2名の副会長については,男女共同参画推進特別措置実施のための副会長候補者推薦委員会(役員選任規程4条の2第1項)が推薦した候補者の中から代議員会において選任されます。
(3) 同じ弁護士会に所属する会員の中から2人以上の副会長を選任することはできません(日弁連会則61条の4第1項ただし書)。
 ただし,平成31年度日弁連副会長に東京弁護士会の会員が2人いることからも分かるとおり,男性1人及び女性1人の副会長を同じ弁護士会に所属する会員の中から選任することはできます(日弁連会則61条の4第2項)。
2(1) 女性枠2名の副会長に対しては,月額50万円の副会長報酬副会長報酬規則(平成18年10月17日日弁連規則第113号)3条1項)とは別に,月額20万円の男女共同参画推進支援費を支給されています男女共同参画推進特別措置実施のための副会長に対する経済的支援に関する規則(平成29年12月21日日弁連規則第185号)2条1項)。
(2) 同じ女性で,同じ仕事で,同じ副会長でありながら,一般枠の女性副会長と,女性枠の女性副会長とで報酬が異なる実質的理由はよく分かりません。
3 弁護士坂野真一の公式ブログの「日弁連副会長の女性枠について」(平成29年8月7日付)には以下の記載があります。
 私は、説明委員の方に、これまで日弁連は男女共同参画について積極的に推進してきたはずであり、特に女性の会員が副会長になれないような不都合な状況が存在するのか、女性で日弁連副会長になりたいのに日弁連の制度等の問題でなれないという人が現実に何人も存在しているのか、と聞いてみた。
 説明委員によれば、そのいずれもない(少なくとも説明員は聞いたことはない)とのお答えだった。
4(1) 田村智幸日弁連副会長(札幌)は,平成29年12月8日臨時総会の提案理由説明において,女性副会長クォータ制の審議過程について,「日弁連において、男女共同参画推進本部における諮問答申、2016年2月から2年間、ワーキンググループでの検討を重ね、更には昨年12月と本年7月の2回、弁護士会、弁護士会連合会に対する意見照会を行った。理事会でも本年度に入り、合計6回活発な議論を行い、慎重に議論を積み重ねてきた。」などと発言しています(平成29年12月8日の日弁連臨時総会報告5頁参照)。
(2) 田村智幸日弁連副会長が言及しているワーキンググループは,「日弁連の理事者に占める女性会員の割合を高めるための方策実現ワーキンググループ」のことであると思います(第三次日本弁護士連合会男女共同参画推進基本計画(平成30年1月19日付)2頁参照)。
5 いわぽんブログの「日弁連代議員会」(2020年3月18日付)には以下の記載があります。
   (山中注:男女共同参画枠の選考はどういう基準でやっているのかという質問に対し)担当副会長から、「選考では副会長として力を入れる分野を聞いたり、副会長としてどういうことに取り組みたいか3分でアピールしてもらうなどの口頭試問を行い、選考委員それぞれの判断で副会長にふさわしいかどうかを見ている。」との説明をいただくことができました。
   ただ、担当副会長のご説明では少し足りないと思い、その場で、「第一次推薦の母体が弁連の場合と有志会員を集める場合で選考の可能性に違いがあるか。近年は2名以上の第一次推薦の候補者が出ており実質的な選考が必要であるが、会長が推薦委員長として関与する点は他の副会長候補者とは異なるため、会長よりご説明願いたい。」との質問をしました。
これに対しては、会長より、「会長は推薦委員会の委員長ですが、議決権を行使しない慣例です。また、推薦母体が違うということで選考の可能性には差はありません。」という趣旨のご回答をいただきました。

第3 女性副会長クォータ制において,一般の女性会員が応募した事例
1(1) 平成30年度の女性枠の副会長に応募した弁護士武本夕香子HP(兵庫県弁護士会)の「日弁連副会長落選のご報告」に以下の記載があります。
 先日、ブログでクオータ制による日弁連副会長に立候補したことはお伝えした通りです。
 その後、2月6日に日弁連会館まで副会長選定委員会の面談に赴き、同月8日には、日弁連から「落選」のお知らせを頂戴致しました。
(2) BLOGOSの「やはり主流派の支配か?~クォーター制度での女性日弁連副会長推薦 」(平成30年2月13日付)には以下の記載があります。
 元兵庫県弁護士会会長の武本夕香子先生が、クォーター制度が導入された日弁連副会長女性枠に会員からの推薦を受けて応募された。しかし、残念なことに候補者推薦委員会は、武本先生を、日弁連副会長を決める日弁連代議員会には推薦しないと決めたそうだ。
 先日のブログでも記載したとおり、大阪弁護士会の会員HPに女性枠副会長の推薦を求める告知が掲載される以前から、既に近畿弁護士会連合会では、女性枠副会長の候補者を決定していた、という、会員を完全にバカにしきったかのような一幕もあった。おそらく、候補者推薦委員会は近弁連が決定した候補者を推薦するのだろう。
(中略)
 女性の観点から広く意見を取り入れようとするのがクォーター制度なら、主流派に反する意見だってどんどん聞くべきだろう。女性の意見は聞いてもよいが、それは主流派に反対しない限度に限るというのでは、女性の共同参画をエサにした主流派の地盤固めにしかならない。
(3) 近弁連から選出される,平成30年度の女性枠の副会長は正木靖子弁護士(兵庫県34期)となりました。
2 平成31年度の女性枠の副会長について,一般の女性会員が応募した事例があるかどうかは不明です。
3(1) 男女共同参画推進特別措置実施のための副会長候補者推薦委員会規則(平成29年12月21日日弁連規則第184号)8条(秘密の保持)は以下のとおりです。
委員及び幹事は、委員会の活動により知り得た情報について秘密を保ち、当事者及び関係人の名誉を保持するよう留意しなければならない。その職を退いた後も、同様とする。
(2) 女性枠の副会長2名の選出過程については,推薦委員会の委員及び幹事を除く一般の弁護士が知ることは永久にできないと思います。
4 ちなみに,日弁連会則14条は「弁護士会の役員の選任は、人格識見ある者が衆望を担って当たることができるように民主的でかつ公明な方法によってなされなければならない。」と定めています。

第4 クオータ制等に対する一般社会の意見
1 上場企業におけるクオータ制に対する反対理由としては,①男性にとっての不利益が生じる逆差別である,②下駄を履かされてまで人の上に立ちたくない,③企業の負担や競争力低下につながるといったものがあります(外部ブログの「「クォータ制」で真の女性活躍は進むか?その功罪を考える」(平成30年3月21日付)参照)。
2 livedoor NEWS「なかなか増えない女性管理職「おじさんたち」の嫉妬が原因か」に以下の記載があります。
(注:女性管理職に対して)もっと悪意がある場合は、「彼女は本来、管理職にはなれないレベルだけれど、会社として女性の活躍を推進しなければならないので、特例で昇進した」などと言う人もいますが、そんなことを言われたら部下をコントロールすることが難しくなります。結果的にマネジメントがうまくいかず「言ったとおりだろ。女性は管理職に向いていない」となるわけです。

第5 仕事と育児を両立している女性官僚に関するnote記事の記載
・ 「働き方改革」と題するnote記事には以下の記載があります。
 組織にとって、国にとって最も理想的なのは、ワーカホリックパターンである。ワーカホリックというのはどこにでもいるもので、特に奥さんが専業主婦の男性補佐か、子供がいない男性・女性補佐あたりに多いが、長時間働くことに嫌気がささない人種である。これらは、激務ポストを何個もこなし、仕事に喜びを見出し、組織から求められることを生きがいにする。概して上からの評価は最高だが、下にはきつい働き方を是とするため、蛇蝎のごとく嫌われる。最もパワハラ・セクハラ傾向が強く、360度評価をまじめにやると社会的に死ぬ人種である。子育て女性だと、例えば両親に住んでもらう、月10万かけてベビーシッターを雇う等、よほど普通の人なら取らない選択肢をとりつつ激務をこなそうとする。ときおり、ワーカホリックでクソパワハラを繰り返していた女性補佐が、子供を産んでまるで生まれ変わったかのようになる事例もあるが、これは本人の共感性と想像力の著しい欠如によるもので、いざ自分の身に降りかかり、それらしいことを言うようになっただけである。ワーカホリックを貫くよりよっぽど質が悪い。

第6 関連記事その他
1 現代ビジネスHP「異性と関わりたくない…ハラスメントが拡大する「快適な社会」の代償 他人との関係が「リスク化」する時代に」が載っています。
2 以下の記事も参照してください。
・ 日弁連理事
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
→ 令和4年4月現在,日弁連会長に就任した女性弁護士は0人であり,日弁連事務総長に就任した女性弁護士は10期の井田恵子弁護士(東京・期成会)及び35期の渕上玲子(東京・法曹親和会)の2人だけです。
・ 日弁連の女性理事
・ 弁護士の職務上の氏名
・ 日弁連役員に関する記事の一覧


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