日弁連関係

弁護士自治

目次
1 総論
2 弁護士自治の具体的内容
3 弁護士会の強制加入制
4 単位弁護士会の自治に関する批判的意見
5 独占禁止法45条に基づく申告の対象となること
6 関連記事その他

1 総論
    公認会計士の場合は金融庁が,行政書士の場合は総務省が,公証人,司法書士及び土地家屋調査士の場合は法務省が,税理士の場合は国税庁が,社会保険労務士の場合は厚生労働省が,弁理士の場合は特許庁が監督官庁となります。
    しかし,弁護士の場合は監督官庁がないのであって,これを弁護士自治といいます。

2 弁護士自治の具体的内容
    弁護士自治の具体的内容は以下の三つに要約されます(第二東京弁護士会HPの「弁護士会について」参照)。
① 弁護士資格の付与及び登録を弁護士会が行うこと
・ 弁護士資格の付与は原則として司法試験及び司法修習を経た人に限られています(弁護士法4条参照)から,弁護士会が弁護士資格の付与をしているわけではありません。
・ 弁護士の登録については,弁護士法8条以下で定められています(「弁護士登録制度」参照)。
② 弁護士に対する監督及び懲戒を弁護士会が行うこと
・ 弁護士の監督につき弁護士法31条1項で定められています。
・ 弁護士の懲戒につき弁護士法56条以下で定められています(「弁護士の懲戒」参照)。
③ 弁護士会が強制加入団体であること
・ 弁護士会に登録しない弁護士の存在を認めないということです(弁護士法36条参照)。


3 弁護士会の強制加入制
(1) 弁護士会の強制加入制は,弁護士法が,弁護士の職務の公共性からその適正な運用を確保するという公共の福祉の要請にもとずき,弁護士に対して弁護士会と日本弁護士連合会への二重の強制加入制を採用しその監督を通じて弁護士自治の徹底を期し,その職務の独立性を確保することとしたものであって,憲法22条1項の保障する職業選択の自由も無制限のものではなく,右のような公共の福祉に制約されるものであるから,弁護士会の強制加入制が憲法22条に違反しません(東京高裁平成元年4月27日判決(判例秘書))。
(2) 東京高裁平成元年4月27日判決の結論は,最高裁平成4年7月9日判決によって支持されました。


4 単位弁護士会の自治に関する批判的意見
・ 《講演録》最高裁生活を振り返って(講演者は前最高裁判所判事・弁護士の田原睦夫)には以下の記載があります(金融法務事情1978号31頁及び32頁)。
   日弁連は単位会自治がありますが、私は弁護士のときから、単位会自治なんか過去の遺物ではないかと思っていますし、それが、日弁連の統一的、かつ、速やかな意思決定の弊害となっていることは、いったん日弁連の外に出て見てみますと明らかです。


5 独占禁止法45条に基づく申告の対象となること
(1) 日弁連及び単位弁護士会は独占禁止法における事業者団体に該当しますところ,公正取引委員会HP「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」(平成7年10月30日付)が載っています。
(2)ア 独占禁止法45条は以下のとおりです。
① 何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
② 前項に規定する報告があつたときは、公正取引委員会は、事件について必要な調査をしなければならない。
③ 第一項の規定による報告が、公正取引委員会規則で定めるところにより、書面で具体的な事実を摘示してされた場合において、当該報告に係る事件について、適当な措置をとり、又は措置をとらないこととしたときは、公正取引委員会は、速やかに、その旨を当該報告をした者に通知しなければならない。
④ 公正取引委員会は、この法律の規定に違反する事実又は独占的状態に該当する事実があると思料するときは、職権をもつて適当な措置をとることができる。

イ 公正取引委員会HP「申告」には,「独占禁止法に違反する事実があると思うときは、だれでも、公正取引委員会にその事実を報告し、適当な措置を採るよう求めることができます。これは、違反行為の被害者でも一般消費者でも、違反行為を発見した人であればだれでもよいのです。」と書いてあります。

6 関連記事その他
(1) 衆議院HPに「制定時の弁護士法」が,外部HPの「弁護士法の改正」に,弁護士法の改正法に関する新旧対照表等が全部,載っています。
(2) 税理士会が政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することは、税理士会の目的の範囲外の行為であって,政党など政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議は無効であります(南九州税理士会事件に関する最高裁平成8年3月13日判決)ところ,このことは税理士会と同様に強制加入団体である弁護士会についても妥当すると思います。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 日弁連の会長及び副会長
・ 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
・ 日弁連の歴代副会長の担当会務
 日弁連の歴代会長及び事務総長
 日弁連の理事会及び常務理事会
・ 日弁連理事
・ 弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)
・ 日弁連役員に関する記事の一覧

日本弁護士政治連盟(弁政連)

目次
1 総論
2 弁政連ニュース
3 政治資金収支報告書等
4 関連記事

1 総論
(1) 弁護士業務に関する政治活動を行う団体として,昭和34年に日本弁護士政治連盟(弁政連)が設立されました(弁政連HPの「弁政連(日本弁護士政治連盟)とは」参照)。
(2) 日本弁護士政治連盟規約3条は「本連盟は、日本弁護士連合会及び弁護士会の目的を達成するために必要な政治活動及び政治制度の研究を行うことを目的とする。」と定めています。

2 弁政連ニュース
(1) 弁政連HPの「弁政連ニュース/バックナンバー」に,平成14年7月1日創刊の弁政連ニュースが載っています。
(2) 弁政連HPの「支部ニュース一覧」に,東京支部ニュース,神奈川支部ニュース,大阪支部ニュース及び京都支部ニュースが載っています。

3 政治資金収支報告書等
・ 弁政連の平成29年分収支報告書が総務省HPの「政治資金収支報告書及び政党交付金等使徒報告書」「政治資金収支報告書」(平成30年11月30日公表(平成29年分 定期公表))「ニ」に載っています。

4 関連記事
 日弁連の会長及び副会長
 日弁連役員に関する記事の一覧

日弁連役員に関する記事の一覧

1 日弁連の役員(会長,副会長,理事及び監事)に関する記事の一覧は以下のとおりです。
(1) 会長関係
ア 一般論
① 日弁連会長選挙
② 日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等
③ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
④ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
⑤ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
⑥ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
⑦ 日弁連会長選挙の公聴会
⑧ 日弁連会長選挙の不在者投票及び郵便投票
⑨ 日弁連会長選挙の再投票及び再選挙
イ 特定の選挙関係
① 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
② 2020年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
③ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
④ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
(2) 正副会長関係

① 日弁連の会長及び副会長
② 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
③ 日弁連の歴代副会長の担当会務
④ 日弁連の歴代会長及び事務総長
⑤ 単位弁護士会別の,日弁連副会長の選出頻度
⑥ 日弁連副会長の人数の推移
⑦ 日弁連の女性副会長
(3) 弁護士会連合会別の日弁連の歴代副会長
① 弁護士会連合会別の,日弁連の歴代副会長(平成15年度以降)
② 関東弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
③ 近畿弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
④ 中部弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑤ 中国地方弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑥ 九州弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑦ 東北弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑧ 北海道弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑨ 四国弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
(4) 理事関係

① 日弁連の理事会及び常務理事会
② 日弁連理事
③ 平成31年度の日弁連理事
(5) その他関係
① 日弁連の代議員会
② 日弁連の事務総長及び事務次長
③ 弁護士会の役員の社会保険加入義務と日本弁護士国民年金基金
④ 日本弁護士政治連盟(弁政連)


2 弁護士の場合,日弁連会長経験者に対しては旭日重光章が授与され,日弁連副会長経験者に対しては旭日中綬章が授与され,日弁連事務総長,日弁連常務理事,日弁連理事又は司法研修所弁護教官の経験者に対しては旭日小綬章が授与されています(「裁判所関係者及び弁護士に対する叙勲の相場」参照)。

3 日本弁護士国民年金基金,及び日本弁護士政治連盟(弁政連)も参照してください。

過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)

目次
令和 6年度同 7年度日弁連会長選挙
令和 4年度同 5年度日弁連会長選挙
令和 2年度同 3年度日弁連会長選挙
平成30年度同31年度日弁連会長選挙
平成28年度同29年度日弁連会長選挙
平成26年度同27年度日弁連会長選挙
平成24年度同25年度日弁連会長選挙
平成22年度同23年度日弁連会長選挙
平成20年度同21年度日弁連会長選挙
関連記事その他

令和6年度同7年度日弁連会長選挙
1 令和6年2月9日の投票の結果,以下のとおりでした(日弁連HPの「令和6年度同7年度日本弁護士連合会会長選挙 開票速報」参照)。
① 51期の及川智志(千葉県)
3905票・7単位会
② 35期の渕上玲子(東京・法友会)
1万1110票・45単位会
2 東弁リブラ2018年7月号に「東京弁護士会前年度会長 渕上 玲子会員」が載っています。

令和4年度同5年度日弁連会長選挙
1 令和4年2月4日の投票の結果,以下のとおりでした(日弁連HPの「令和4年度同5年度日弁連会長選挙 開票結果(仮)集計表」参照)。
① 51期の及川智志(千葉県)
3504標・5単位会
② 31期の髙中正彦(東京・法曹親和会)
5974票・7単位会
③ 33期の小林元治(東京・法友会)
8944票・39単位会
2 東弁リブラ2017年7月号「東京弁護士会前年度会長 小林元治会員」が載っています。

令和2年度同3年度日弁連会長選挙
・ 以下の二つの投票がありました。
(1) 令和2年2月7日の投票(当選者なし。)
・ 開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです(日弁連HPの「令和2年度同3年度日弁連会長選挙 開票結果(仮)集計表」参照)。
① 38期の武内更一(東京・改憲をはばみ、貸与金請求をやめさせる会)
   898票・ 0単位会
② 51期の及川智志(千葉県)
1889票・ 3単位会
③ 34期の荒  中(仙台)
6939票・28単位会
④ 32期の山岸良太(二弁・日比谷倶楽部)
8724票・14単位会
⑤ 34期の川上明彦(愛知県)
2333票・ 6単位会
(2) 令和2年3月11日の再投票
・ 開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです(日弁連HPの「令和2年度同3年度日弁連会長選挙 再投票 開票結果(仮)集計表」参照)。
① 34期の荒  中(仙台)
10145票・39単位会
② 32期の山岸良太(二弁・日比谷倶楽部)
9537票・12単位会
・ togetter日弁連会長選挙一弁FAX問題が載っています。


平成30年度同31年度日弁連会長選挙
1(1) 平成30年2月9日の投票の結果,以下のとおりでした(日弁連HPの「平成30年度同31年度日弁連会長選挙 開票結果集計表」参照)。
① 33期の菊地裕太郎(東京・法友会)
1万3014票・52単位会
② 38期の武内更一(東京・憲法と人権の日弁連をめざす会)
2849票・0単位会
(2) ちなみに,平成25年2月8日投票の,平成25年度東京弁護士会会長選挙の結果は以下のとおりでした。
① 33期の菊地裕太郎(法友会)
2790票
② 38期の武内更一(憲法と人権の日弁連をめざす会)
437票
2 東弁リブラ2014年7月号「東京弁護士会前年度会長 菊地裕太郎会員」が載っており,末尾20頁に「最大の悩みは予備試験でしょう。現状を放置することは法科大学院の存亡の危機を招きます。受験資格制限を含め思い切った改革が必要と考えます。」と書いてあります。
3 しらかば法律事務所HP「第96回 弁護士業界のトップ決める選挙」が載っています。
4 このときの選挙から,候補者以外の会員がウェブサイト等を利用して選挙運動をすることができるようになりました。

平成28年度同29年度日弁連会長選挙
1 平成28年2月5日の開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです(日弁連HPの「平成28年度同29年度日弁連会長選挙 開票結果(仮)集計表」参照)。
① 33期の中本和洋(大阪・一水会)
1万2282票・48単位会
② 21期の高山俊吉(東京・憲法と人権の日弁連をめざす会)
4923票・4単位会
2 弁政連HP「日弁連の課題の実現に向けて」が載っています。
3 産経WESTの「【弁護士会 「左傾」の要因(1)】「反改憲」が日弁連会長選の公約トップ 「左派色最も強い」会派がサポート…「ウルトラ保守」政治家への献金で波乱 」(平成29年5月22日付)には,高山俊吉弁護士について「期成会所属だが、会派の支持なし」と書いてあります。
4 このときの選挙から,候補者私設のウェブサイトによる選挙運動ができるようになりました。
平成26年度同27年度日弁連会長選挙
1 平成26年2月7日の投票の結果,以下のとおりでした(日弁連HPの「平成26年度同27年度日弁連会長選挙 開票結果集計表」参照)。
① 28期の村越進(第一東京・全期会)
1万1676票・51単位会
② 38期の武内更一(東京・憲法と人権の日弁連をめざす会)
4173票・1単位会
2 BLOGOSに「日弁連会長選挙の開票結果について 」(平成26年2月12日付)が載っています。
3 アトーニーズマガジン「新千代田総合法律事務所 前日本弁護士連合会会長 村越進氏」が載っています。

平成24年度同25年度日弁連会長選挙
1 以下の三つの投票がありました。
(1) 平成24年2月10日の投票(当選者なし。)
・ 開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです。
① 25期の山岸憲司(東京・法曹親和会)
7958票・12単位会
② 23期の宇都宮健児(東京・無派閥)
6608票・37単位会
③ 25期の尾崎純理(第二東京・全友会)
3318票・2単位会
④ 43期の森川文人(第二東京・憲法と人権の日弁連をめざす会)
1805票・0単位会
(2) 平成24年3月14日の再投票(当選者なし。)
・ 開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです。
① 25期の山岸憲司(東京・法曹親和会)
8558票・14単位会
② 23期の宇都宮健児(東京・無派閥)
7486票・37単位会
(3) 平成24年4月27日の投票(再選挙)
・ 開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです(日弁連HPの「平成24年度・同25年度 日弁連会長選挙(再選挙)開票結果仮集計」参照)。
① 25期の山岸憲司(東京・法曹親和会)
8546票・19単位会
② 23期の宇都宮健児(東京・無派閥)
7673票・32単位会
2(1) 伊藤茂昭弁護士ブログ「白い雲」「日弁連会長決まる~三度にわたる選挙戦の末~」(平成24年5月7日付)が載っています。
(2) 弁政連ニュース29号(2012年7月付)の「日本弁護士連合会会長のご挨拶」に「当選後、連休を返上しての宇都宮前会長、海渡前事務総長との引き継ぎ、また、会議や挨拶廻り、取材対応の日々であり、厳しい日程が続きましたが、遅れを取り戻しつつあります。」と書いてあります。
3 東弁リブラ2010年7月号「東京弁護士会 前年度会長 山岸憲司会員」が載っています。

平成22年度同23年度日弁連会長選挙
1 以下の二つの投票がありました。
(1) 平成22年2月5日の投票(当選者なし。)
・ 開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです(日弁連HPの「平成22年度同23年度日弁連会長選挙開票結果仮報告集計表」参照)。
① 24期の山本剛嗣(東京・法友会)
9525票・10単位会
② 23期の宇都宮健児(東京・無派閥)
8555票・42単位会
(2) 平成22年3月10日の再投票
・ 開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです。
① 23期の宇都宮健児(東京・無派閥)
9737票・46単位会
② 24期の山本剛嗣(東京・法友会)
8294票・6単位会
2 東弁リブラ2009年7月号「東京弁護士会 前年度会長 山本剛嗣会員」が載っています。
3 平成21年7月30日,「司法と日弁連の明日を拓く会」が設立され,21期の柳瀬康治(東京・法曹親和会)が代表世話人に就任したものの,その後,一身上の都合で辞任したそうです(弁護士吉峯康博ブログ「宇都宮チーム・グループの日弁連会長選挙準備期間(全国各地の『意見交換会』など)約6カ月間の経過を書きました!!」(平成22年2月3日初稿))。


平成20年度同21年度日弁連会長選挙
1 平成20年2月8日の開票日当日の仮集計によれば,以下のとおりです。
① 21期の宮崎誠(大阪・春秋会)
9402票・38単位会
② 21期の高山俊吉(東京・憲法と人権の日弁連をめざす会)
7043票・13単位会
2(1) 三丘同窓会HP「日弁連会長に宮崎誠氏(高15回)」が載っています。
(2) 日本記者クラブHP「宮崎誠 日弁連会長」(平成20年4月21日付)が載っています。
3 弁護士吉峯康博ブログ「日弁連会長選挙(2年に1回)とは?」(平成19年12月21日投稿)には,「今回も臨時総会で27対2で『期成会』は高山俊吉候補ではなく、宮崎誠候補の支持決議を決定しました。高山俊吉候補にとって5回目の挑戦ですが、いつも圧倒的大差で破れています。」と書いてあります。
関連記事その他
1 「憲法と人権の日弁連をめざす会」からは,平成22年2月実施分を除き,常に日弁連会長選挙への立候補者が出ています。
2 以下の記事も参照してください。
(1) 日弁連会長選挙関係
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
・ 日弁連会長選挙の再投票及び再選挙
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
(2) その他
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
・ 日弁連の歴代副会長の担当会務
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
・ 弁護士会の会派

日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)

目次
第1 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
第2 関連記事その他

第1 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
・ 毎年4月上旬頃の官報の「役員就任公告」(日弁連の役員選任規程14条参照)によれば,以下のとおりです(高裁所在地以外の弁護士会出身の副会長は青文字表記としています)。

令和6年度(令和6年4月1日付の公告)
会長
渕上 玲子( 東京 )
副会長
上田 智司( 東京 ) 市川 正司(第一東京)
日下部真治(第二東京) 伊藤 信吾(神奈川県)
 三浦 亜紀(千葉県 ) 田下 佳代(長野県 )
大砂 裕幸( 大阪 ) 緒方 賢史( 奈良 )
伊藤 倫文(愛知県 ) 飯岡 久美( 広島 )
足立 修一( 広島 ) 大神 昌憲(福岡県 )
野呂  圭( 仙台 ) 坂口 唯彦( 札幌 )
 大熊 伸定( 愛媛 )

令和5年度(令和5年4月1日付の公告)
会長
小林 元治( 東京 )
副会長
松田 純一( 東京 ) 菰田  優(第一東京)
戸田 綾美(第二東京) 小川 恵司(第二東京)
大多和 暁(静岡県 ) 齋藤  裕(新潟県 )
三木 秀夫( 大阪 ) 大脇 美保( 京都 )
小川  淳(愛知県 ) 末永 久大(山口県 )
宇加治恭子(福岡県 ) 辻  泰弘(佐賀県 )
伊東 満彦( 仙台 ) 中村 元弥( 旭川 )
籠池 信宏(香川県 )

令和4年度(令和4年4月1日付の公告)
会長
小林 元治(東  京)
副会長
伊井 和彦(東  京) 松村眞理子(第一東京)
菅沼 友子(第二東京) 芳野 直子(神奈川県)
増子 孝徳(栃 木 県)   福田 健次(大  阪)
矢倉 昌子(大  阪) 林  晃史(兵 庫 県)
蜂須賀太郎(愛 知 県)   下中 奈美(広  島)
多川 一成(福 岡 県)   吉田 瑞彦(岩  手)
秀嶋ゆかり(札  幌) 樋川 恒一(札  幌)
松尾 泰三(徳  島)

令和3年度(令和3年4月1日付の公告)
会長
荒   中(仙  台)
副会長
矢吹 公敏(東  京) 三原 秀哲(第一東京)
相原 佳子(第一東京) 神田 安積(第二東京)
佐谷 道浩(茨城県 ) 横山 幸子(栃木県 )
小此木 清( 群馬 ) 田中  宏( 大阪 )
土井 裕明( 滋賀 ) 井口 浩治(愛知県 )
高橋 敬幸(鳥取県 ) 原  章夫(長崎県 )
十河  弘( 仙台 ) 八木 宏樹( 札幌 )
岩﨑 淳司( 高知 )

令和2年度(令和2年4月1日付の公告)
会 長
荒   中(仙  台)
副会長
冨田 秀実(東  京) 寺前  隆(第一東京)
岡田 理樹(第二東京) 延命 政之(神奈川県)
關本 喜文(山 梨 県) 川下  清(大  阪)
白浜 徹朗(京  都) 山下 勇樹(愛 知 県)
西村 依子(金  沢) 舩木 孝和(広  島)
上田 英友(福 岡 県) 鎌田 健司(仙  台)
狩野 節子(秋  田) 大川 哲也(札  幌)
五葉 明徳(愛  媛)

平成31年度
会 長
菊地裕太郎(東  京)
副会長
篠塚  力(東  京) 平沢 郁子(東  京)
佐藤 順哉(第一東京) 関谷 文隆(第二東京)
難波 幸一(埼  玉) 齋藤 和紀(千 葉 県)
今川  忠(大  阪) 白  承豪(兵 庫 県)
鈴木 典行(愛 知 県)   近藤 幸夫(岡  山)
原田 直子(福 岡 県)   木山 義朗(鹿児島県)
小池 達哉(福 島 県)   愛須 一史(札  幌)
小早川龍司(香 川 県)

平成30年度
会 長
菊地裕太郎(東  京)
副会長
安井 規雄(東  京) 若林 茂雄(第一東京)
笠井 直人(第二東京) 竹森 裕子(神奈川県)
髙橋 聖明(長 野 県)   竹岡富美男(大  阪)
正木 靖子(兵 庫 県)   阪本 康文(和 歌 山)
木下 芳宣(愛 知 県)   小田 清和(広  島)
岡崎由美子(島 根 県)   作間  功(福 岡 県)
亀田紳一郎(仙  台) 太田 賢二(札  幌)
吉成  務(徳  島)

平成29年度
会 長
中本 和洋(大  阪)
副会長
渕上 玲子(東  京) 澤野 正明(第一東京)
伊東  卓(第二東京) 三井 義廣(静 岡 県)
和田 光弘(新 潟 県)   小原 正敏(大  阪)
小川 達雄(京  都) 池田 桂子(愛 知 県)
吉岡 康祐(岡  山) 加藤  裕(沖  縄)
小野寺友宏(仙  台) 田村 智幸(札  幌)
小泉 武嗣(高  知)

平成28年度
会 長
中本 和洋(大  阪)
副会長
小林 元治(東  京)  小田 修司(第一東京)
早稲田祐美子(第二東京) 木村 保夫(神奈川県)
橋本賢二郎(栃 木 県)    山口 健一(大  阪)
幸寺  覚(兵 庫 県)    石原 真二(愛 知 県)
水中 誠三(広  島)  斉藤 芳朗(福 岡 県)
岩渕 健彦(仙  台)  中村  隆(札  幌)
矢野 真之(愛  媛)

平成27年度
会 長
村越  進(第一東京)
副会長
伊藤 茂昭(東  京) 岡  正晶(第一東京)
三宅  弘(第二東京) 谷萩 陽一(茨 城 県)
鈴木 克昌(群  馬) 松葉 知幸(大  阪)
藤本 卓司(奈  良) 川上 明彦(愛 知 県)
内山 新吾(山 口 県)   平山 秀生(大 分 県)
齋藤 拓生(仙  台) 長田 正寛(札  幌)
吉田  茂(香 川 県)

平成26年度
会 長
村越  進(第一東京)
副会長
髙中 正彦(東  京) 神  洋明(第一東京)
山田 秀雄(第二東京) 水地 啓子(横  浜)
田邊  護(山 梨 県)   石田 法子(大  阪)
浅岡 美恵(京  都) 花井 増實(愛 知 県)
大迫 唯志(広  島) 古賀 和孝(福 岡 県)
内田 正之(仙  台) 山崎  博(札  幌)
田中 浩三(徳  島)

平成25年度
会 長
山岸 憲司(東  京)
副会長
菊地裕太郎(東  京) 横溝 髙至(第一東京)
山岸 良太(第二東京) 海老原夕美(埼  玉)
佐野 善房(千 葉 県)   福原 哲晃(大  阪)
春名 一典(兵 庫 県)   安井 信久(愛 知 県)
河田 英正(岡  山) 松田 幸子(宮 崎 県)
大沢 一實(青 森 県)   房川 樹芳(札  幌)
田村  裕(高  知)

平成24年度
会 長
山岸 憲司(東  京)
副会長
斎藤 義房(東  京) 樋口 一夫(第一東京)
橋本 副孝(第二東京) 武井 共夫(横  浜)
佐藤  豊(長 野 県)   藪野 恒明(大  阪)
小川 恭子(滋      賀) 纐纈 和義(愛 知 県)
山下 哲夫(広  島) 市丸 信敏(福 岡 県)
森山  博(仙  台) 髙崎  暢(札  幌)
宇都宮 眞由美(愛  媛)

平成23年度
会 長
宇都宮健児(東  京)
副会長
竹之内 明(東  京) 木津川迪洽(第一東京)
澤井 英久(第二東京) 杉本喜三郎(静 岡 県)
藤田 善六(新 潟 県)   中本 和洋(大  阪)
中村 利雄(京  都) 中村 正典(愛 知 県)
水谷  賢(岡  山) 松岡 茂行(宮 崎 県)
新里 宏二(仙  台) 三木 正俊(札  幌)
宮崎 浩二(香 川 県)

平成22年度
会 長
宇都宮健児(東  京)
副会長
若旅 一夫(東  京) 江藤 洋一(第一東京)
栃木 敏明(第二東京) 高橋理一郎(横  浜)
高木 光春(栃 木 県)   金子 武嗣(大  阪)
道上  明(兵 庫 県)   斎藤  勉(愛 知 県)
錦織 正二(島 根 県)   田邉 宜克(福 岡 県)
我妻  崇(仙  台)  向井  諭(札  幌)
朝田 啓祐(徳  島)

平成21年度
会 長
宮崎  誠(大  阪)
副会長
山岸 憲司(東  京) 田中  等(第一東京)
川崎 達也(第二東京) 足立 勇人(茨 城 県)
小林 優公(群  馬) 畑  守人(大  阪)
有田 佳秀(和 歌 山)   細井 土夫(愛 知 県)
武井 康年(広  島) 塚本  侃(熊 本 県)
荒   中(仙  台) 藤本  明(札  幌)
行田 博文(高  知)

平成20年度
会 長
宮崎  誠(大  阪)
副会長
山本 剛嗣(東  京) 村越  進(第一東京)
庭山正一郎(第二東京) 木村 良二(横  浜)
加藤 啓二(山 梨 県)   上野  勝(大  阪)
村山  晃(京  都) 入谷 正章(愛 知 県)
田川 章次(山 口 県)   福島 康夫(福 岡 県)
角山  正(仙  台) 小寺 正史(札  幌)
宇都宮嘉忠(愛  媛)

平成19年度
会 長
平山 正剛(東  京)
副会長
下河邉和彦(東  京) 加毛  修(第一東京)
吉成 昌之(第二東京) 細田 初男(埼  玉)
松本新太郎(千 葉 県)   山田 庸男(大  阪)
藤井伊久雄(兵 庫 県)   村上 文男(愛 知 県)
津村健太郎(広  島) 吉田 良尚(長 崎 県)
氏家 和男(仙  台) 藤田美津夫(札  幌)
渡辺 光夫(香 川 県)

平成18年度
会 長
平山 正剛(東  京)
副会長
吉岡 桂輔(東  京) 奈良 道博(第一東京)
飯田  隆(第二東京) 杉崎  茂(横  浜)
久保田嘉信(長 野 県)   小寺 一矢(大  阪)
髙野 嘉雄(奈  良) 山田 靖典(愛 知 県)
松本 光寿(鳥 取 県)   川副 正敏(福 岡 県)
松坂 英明(仙  台) 伊藤 誠一(札  幌)
木村 清志(徳  島)

平成17年度
会 長
梶谷  剛(第一東京)
副会長
柳瀬 康治(東  京) 星  徳行(第一東京)
高木 佳子(第二東京) 中村 順英(静 岡 県)
中村 周而(新 潟 県)   益田 哲生(大  阪)
出口 治男(京  都) 青山  學(愛 知 県)
二國 則昭(広  島) 松崎  隆(福 岡 県)
鹿野 哲義(仙  台) 渡辺 英一(札  幌)
山原 和生(高  知)

平成16年度
会 長
梶谷  剛(第一東京)
副会長
岩井 重一(東  京) 東谷 隆夫(第一東京)
山田 勝利(第二東京) 清水 規廣(横  浜)
木村  謙(栃 木 県)   宮崎  誠(大  阪)
大塚  明(兵 庫 県)   小川 宏嗣(名 古 屋)
平井 昭夫(岡  山) 前田  豊(福 岡 県)
松尾 良風(仙  台) 田中  宏(札  幌)
西嶋 吉光(愛  媛)

平成15年度
会 長
本林  徹(東  京)
副会長
田中 敏夫(東  京) 軍司 育雄(第一東京)
尾崎 純理(第二東京) 種田  誠(茨 城 県)
内田  武(群  馬) 高階 貞男(大  阪)
木村  靖(滋  賀) 田中 清隆(名 古 屋)
大国 和江(広  島) 藤井 克已(福 岡 県)
犬飼 健郎(仙  台) 市川 茂樹(札  幌)
松本 修二(香 川 県)

平成14年度
会 長
本林  徹(東  京)
副会長
伊礼 勇吉(東  京) 山本 孝宏(第一東京)
井元 義久(第二東京) 須須木永一(横  浜)
古井 明男(山 梨 県)   佐伯 照道(大  阪)
川中  宏(京  都) 成田  清(名 古 屋)
河原 昭文(岡  山) 永尾 廣久(福 岡 県)
松倉 佳紀(仙  台) 岩本 勝彦(札  幌)
津川 博昭(徳  島)

平成13年度
会 長
久保井一匡(大  阪)
副会長
山内 堅史(東  京) 丹羽 健介(第一東京)
久保利英明(第二東京) 高橋  勲(千 葉 県)
水野 武夫(大  阪) 藤原 精吾(兵 庫 県)
奥村 粉軌(名 古 屋)   倉田  治(広  島)
春山九州男(福 岡 県)   鈴木 宏一(仙  台)
松浦  護(釧  路) 下元 敏晴(高  知)

平成12年度
会 長
久保井一匡(大  阪)
副会長
平山 正剛(東  京) 城山 忠人(第一東京)
川端 和治(第二東京) 城口 順二(埼  玉)
児玉 憲夫(大  阪) 岡本  浩(和 歌 山)
山田 幸彦(名 古 屋)   大賀 良一(島 根 県)
津田 聰夫(福 岡 県)   浅野 孝雄(仙  台)
後藤  徹(札  幌) 西蔭  健(愛  媛)

平成11年度
会 長
小堀  樹(東  京)
副会長
飯塚  孝(東  京) 竹内  洋(第一東京)
川津 裕司(第二東京) 宮澤 建治(長 野 県)
滝井 繁男(大  阪) 谷口 忠武(京  都)
那須 國宏(名 古 屋)  恵木  尚(広  島)
吉野  正(福 岡 県)  佐藤 正明(仙  台)
橋本 昭夫(札  幌) 佐野 孝次(香 川 県)

平成10年度
会 長
小堀  樹(東  京)
副会長
二宮  忠(東  京)  梶谷  剛(第一東京)
黒木 芳男(第二東京)  山下  光(横  浜)
久保井一匡(大  阪)  安藤猪平次(神  戸)
林  光佑(名古屋)   坂元洋太郎(山口県)
上田 國廣(福岡県)   小林  (秋  田)
中村  仁(札  幌)  島田  清(徳  島)

平成9年度
会 長
鬼追 明夫(大  阪)
副会長
堀野  紀(東  京) 中川 了滋(第一東京)
鈴木  誠(第二東京) 小海 要吉(新 潟 県)
坂本 秀文(大  阪) 峯田 勝次(奈  良)
楠田 尭爾(名 古 屋)  松  掟(岡  山)
吉村  安(福 岡 県)  檜山 公夫(仙  台)
山中 善夫(札  幌) 岡村 直彦(高  知)

平成8年度
会 長
鬼追 明夫(大  阪)
副会長
榊原 卓郎(東  京) 山崎 源三(第一東京)
葉山 水樹(第二東京) 向坂 達也(静 岡 県)
中務嗣治郎(大  阪)姫野 敬輔(京  都)
村橋 泰志(名 古 屋)  古田 隆規(広  島)
福田 玄祥(福 岡 県)  清藤 恭雄(仙  台)
馬場 正昭(札  幌) 新田 武治(愛   媛)

平成7年度
会 長
土屋 公献(第二東京)
副会長
本林  徹(東  京) 児玉 公男(第一東京)
福岡  清(第二東京) 小沼洸一郎(栃木県)
上原 洋允(大  阪) 下山 量平(神  戸)
富岡 健一(名古屋)  奥津  亘(岡  山)
國武  格(福岡県)  佐々木廣充(福島県)
栗山 裕吉(札  幌) 武田安紀彦(香川県)

平成6年度
会 長
土屋 公献(第二東京)
副会長
佐伯  弘(東  京)  大下 慶郎(第一東京)
小野 道久(第二東京)  高橋 伸二(群  馬)
加藤 幸則(大  阪)  野村  裕(滋  賀)
村瀬 尚男(名 古 屋)   河村 康男(広  島)
荒木 邦一(福 岡 県)   吉田 幸彦(仙  台)
福岡 定吉(釧  路)  林  伸豪(徳  島)

平成5年度
会 長
阿部 三郎(東  京)
副会長
深澤 武久(東  京) 梶谷  玄(第一東京)
吉川 精一(第二東京) 瓦葺 隆彦(水  戸)
木村 保男(大  阪) 小島  孝(京  都)
瀧川 治男(名 古 屋)  直野 喜光(鳥 取 県)
森  竹彦(福 岡 県)  髙橋  治(仙  台)
五十嵐義三(札  幌)   土田 嘉平(高  知)

平成4年度
会 長
阿部 三郎(東  京)
副会長
小堀  樹(東  京) 高橋 勇次(第一東京)
斎藤 浩二(第二東京) 寺島 勝洋(山 梨 県)
南  逸郎(大  阪) 赤木 文生(神  戸)
兵藤 俊一(名 古 屋)  田淵 浩介(岡  山)
木上 勝征(福 岡 県)  袴田  弘(仙  台)
山本  穫(札  幌) 宮部 金尚(愛   媛)

平成3年度
会 長
中坊 公平(大  阪)
副会長
山田  茂(東  京) 松家 里明(第一東京)
土屋 公献(第二東京) 浜名 儀一(千 葉 県)
竹林 節治(大  阪) 山本 光弥(和 歌 山)
小栗 孝夫(名 古 屋)  阿左美信義(広  島)
西山 陽雄(福 岡 県)  佐藤 唯人(仙  台)
牧口 準市(札  幌) 中村 詩朗(香 川 県)

平成2年度
会長
中坊 公平(大  阪)
副会長
菅沼 隆志(東  京) 磯邊 和男(第一東京)
加藤 康夫(第二東京) 柴山眞一郎(埼  玉)
鬼追 明夫(大  阪) 坂元 和夫(京  都)
永井 恒夫(名 古 屋)  末永 汎本(山 口 県)
近江 福雄(福 岡 県)  菅原 一郎(岩  手)
藤本 昭夫(札  幌) 松尾 敬次(徳  島)

平成元年度
会 長
藤井 英男(東  京)
副会長
海谷 利宏(東  京) 尾崎 行信(第一東京)
田宮  甫(第二東京) 花岡 正人(長野県)
阪口 春男(大  阪) 元原 利文(神  戸)
小山  齊(名古屋)  横田  勉(岡  山)
徳永 賢一(福岡県)  織田 信夫(仙  台)
廣岡得一郎(札  幌) 子  悟(高  知)

昭和63年度
会 長
藤井 英男(東  京)
副会長
瀧澤 國雄(東  京)  平井 博也(第一東京)
西田 公一(第二東京)  日下部長作(横  浜)
中西 清一(大  阪)  田川 和幸(奈  良)
鷲見  弘(名古屋)   福永 綽夫(広  島)
加藤 達夫(福岡県)   三島 卓郎(仙  台)
水原 清之(札  幌)  菅原 辰二(愛   媛)

昭和62年度
会 長
北山 六郎(神  戸)
副会長
笹原 桂輔(東  京) 岡村  勲(第一東京)
川上 義隆(第二東京) 中村洋二郎(新 潟 県)
熊谷 尚之(大  阪) 莇  立明(京  都)
寺澤  弘(名 古 屋)  矢田 正一(島 根 県)
加藤 達夫(福 岡 県)  宇野 聰男(仙  台)
佐藤 文彦(札  幌) 小出 博己(徳  島)

昭和61年度
会 長
北山 六郎(神戸)
副会長
山本 栄則(東京)   島田 徳郎(第一東京)
小野田六二(第二東京) 大石 隆久(静岡県)
鎌倉 利行(大阪)   大白  勝(神戸)
冨島 照男(名古屋)  山口 高明(広島)
田邊 俊明(福岡県)  阿部  長(仙台)
佐藤 敏夫(札幌)   近石  勤(香川県)

昭和60年度
会 長
石井 成一(第二東京)
副会長
阿部 三郎(東 京)  竹内桃太郎(第一東京)
高橋 守雄(第二東京) 佐藤 貞夫(栃木県)
尾埜 善司(大 阪)  石原 即昭(滋 賀)
高須 宏夫(名古屋)  甲元 恒也(岡 山)
田邊 俊明(福岡県)  川原  悟(仙 台)
上口 利男(札 幌)  林  一宏(高 知)

昭和59年度
会長
石井 成一(第二東京)
副会長
藤井 光春(東 京)  長野 法夫(第一東京)
野宮 利雄(第二東京) 清水 淳雄(群 馬)
中坊 公平(大 阪)  酒見 哲郎(京 都)
福永  滋(名古屋)  岡  秀明(広 島)
安田  弘(福岡県)  佐藤 昭雄(仙 台)
小野寺 彰(札 幌)  黒田 耕一(愛 媛)

昭和58年度
会 長
山本 忠義(東 京)
副会長
安原 正之(東 京)   落合 修二(第一東京)
坂本建之助(第二東京)  会沢 連伸(水 戸)
米田  実(大 阪)   奥野 久之(神 戸)
吉田  清(名古屋)   甲斐  紳(山口県)
安田  弘(福岡県)   佐藤  裕(仙 台)
中島 一郎(札 幌)   河村 正和(香川県)

昭和57年度
会長
山本 忠義(東 京)
副会長
篠原 千廣(東 京)  設楽 敏男(第一東京)
戸田  謙(第二東京) 堀内 茂夫(山梨県)
佐古田英郎(大 阪)  岩田  孝(名古屋)
人見 利夫(広 島)  黒田 慶三(福岡県)
青木 正芳(仙 台)  山本 松男(札 幌)
島内 保夫(徳 島)


第2 関連記事その他
1 山岸憲司弁護士が平成24年度日弁連会長に就任したのは平成24年5月9日でした(伊藤茂昭弁護士ブログ「白い雲」「日弁連会長決まる~三度にわたる選挙戦の末~」(平成24年5月7日付)参照)。
    その関係で,平成24年度日弁連会長の就任は平成24年5月17日付の官報で公告されました。
2 平成30年度から,副会長のうち2人以上は女性が選任されなければならないとする男女共同参画推進特別措置(女性副会長クォータ制)が開始しました(「日弁連の女性副会長」参照)。
 弁政連ニュースのクローズアップに以下のとおり,毎年度の日弁連副会長の顔写真,所属弁護士会,担当委員会及び抱負が書いてあります。
(令和時代)
令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度
(平成時代)
平成21年度平成22年度平成23年度平成24年度平成25年度
平成26年度平成27年度平成28年度平成29年度平成30年度
4 昭和24年9月1日の日弁連の設立以来の日弁連副会長については以下の記事を参照してください。
① 関東弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
 近畿弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
③ 中部弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
④ 中国地方弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑤ 九州弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑥ 東北弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑦ 北海道弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
 四国弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
5 以下の記事も参照してください。
 日弁連の会長及び副会長
② 日弁連の歴代会長及び事務総長
 日弁連の歴代副会長の担当会務
④ 単位弁護士会別の,日弁連副会長の選出頻度 
⑤ 日弁連副会長の人数の推移
⑥ 日弁連の女性副会長
 日弁連役員に関する記事の一覧

日本弁護士国民年金基金

目次
第1 総論
1 制度趣旨
2 国民年金基金の種類
3 国民年金基金の基本ポートフォリオ
4 国民年金基金の積立度合い
5 その他
第2 日本弁護士国民年金基金
1 当初の予定利率は5.5%であったこと
2 加入資格
3 役員及び所在地
4 平成8年当時,日本弁護士国民年金基金の年金財政は安泰であると予想されていたこと
5 日弁連との間における,個人情報の共同利用
第3 新規加入者の予定利率の切り下げだけが続いていること
1 掛金月額表
2 掛金月額表の改正経緯
3 コラム「陽だまり」の執筆者に適用されている予定利率
4 老齢基礎年金等の年金額の特例水準解消は憲法に違反しないとした最高裁令和5年12月15日判決
第4 国民年金基金制度の問題点
1 予定利率が低いこと
2 原則として脱退できないこと
3 物価スライド制を採用していないこと
4 繰越不足金の割合が高いこと
第5 予定利率を低く抑えられている新規の弁護士加入者が増えれば増えるほど助かること等
1 公式の説明
2 日本弁護士国民年金基金の資産運用委員長を6年間していた,32期の山岸良太弁護士の解説記事の抜粋
3 東京高裁平成20年7月9日判決の裁判要旨
4 その他
第6 平成31年4月1日以降に加入した場合の掛金合計及び受給額合計等の試算
第7 国民年金基金制度の予定利率を過去の加入者も含めて引き下げた上で,加入者ごとの個別勘定とすることが必要であるとする意見があること
第8 日本弁護士国民年金基金からの脱退
1 資格喪失事由及び移行手続
2 解約返戻金制度はないこと
第9 平成31年4月の,全国国民年金基金の発足
1 発足経緯
2 平成31年4月以降の,国民年金基金の種類
3 「陽だまり」の記載
第10 個人型確定拠出年金(愛称は「iDeCo(イデコ)」です。)との比較
1 国民年金基金と共通するメリット
2 国民年金基金にはないメリット
3 国民年金基金にだけあるメリット
第11 財政再計算
第12 掲載資料
1 日本弁護士国民年金基金の業務報告書
2 その他
第13 関連記事その他

第1 総論
1 制度趣旨
 国民年金基金制度は,平成3年4月施行の改正国民年金法に基づく公的な年金制度であり,自営業者など国民年金第1号被保険者のため,国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして,より豊かな老後を保障するためのものです。
2 国民年金基金の種類
(1) 国民年金基金は厚生大臣(当時)の認可を受けた公的な法人であり,平成31年3月31日までは,47都道府県ごとに設立された「地域型基金」47個と職種別に設立された「職能型基金」25個の2種類がありました(国民年金法115条の2)。
(2) 平成31年4月1日の全国国民年金基金の設立(国民年金法137条の3参照)により,地域型基金は全国国民年金基金だけとなり,職能型基金は日本弁護士国民年金基金,歯科医師国民年金基金及び司法書士国民年金基金の3個だけになりました。
(3) 国民年金基金HPに「 「知ってると得する、国民年金基金」 〜自営業・フリーランスのための公的な年金制度〜」と題する漫画が載っています。
3 国民年金基金の基本ポートフォリオ
 国民年金基金の平成31年4月改定の基本ポートフォリオは,グローバル債券(国内外の債券)が52%であり,グローバル株式(国内外の株式)が48%です(国民年金基金HP「資産運用状況」参照)。
 そのため,株価が上昇した場合,繰越不足金の割合が減少するものの,株価が下落した場合,繰越不足金の割合が増加することとなります。
4 国民年金基金の積立度合い
(1)ア 日本弁護士国民年金基金の「代議員会・理事会の審議結果等のご報告」(令和元年11月)6頁には以下の記載がありますから,平成30年度末時点における同基金の積立不足の割合は13.17%となります。
 国民年金基金連合会のまとめによると、平成30年度の責任準備金に対する積立度合いは、当基金は86.83%ですが、当基金を含む25の職能型基金の平均が76.5%、地域型基金の平均が77.0%、全体では76.9%とのことです。
イ 日本弁護士国民年金基金の「代議員会・理事会の審議結果等のご報告」(令和3年11月)6頁には以下の記載がありますから,令和2年度末時点における同基金の積立不足の割合は4.4%となります。
 国民年金基金連合会のまとめによると、令和2年度の責任準備金に対する積立度合いは、1口目が共通で85.3%,2口目以降については全基金計81.6%,当基金は95.6%、当基金を含む3つの職能型基金では95.3%とのことです。
(2) ちなみに,厚生年金基金及び確定給付企業年金の場合,繰越不足金の割合は15%以下である必要があります(企業年金連合会HP「許容繰越不足金」参照)。
 その他
(1) 国民年金基金の加入対象年齢は60歳未満でしたが,平成25年4月から特定加入員制度が創設され,60歳以上65歳未満の人も一定の条件の下に加入できるようになりました。
(2) 国民年金基金にいったん加入した場合,自分の都合で任意に脱退及び中途解約をすることはできません(厚生労働省HPの「国民年金基金制度」参照)。


第2 日本弁護士国民年金基金
1 当初の予定利率は5.5%であったこと
(1) 
日本弁護士国民年金基金は職能型基金として平成3年8月1日に成立しましたところ,基本A型(遺族一時金あり)及び基本B型(遺族一時金なし)の当初の予定利率は5.5%でした。
(2) 基本A型の場合,加入者本人が死亡した時点でまとまった金額の遺族一時金を支給されるのに対し,基本B型の場合,遺族一時金がないため,加入者本人が死亡した時点で年金の支給が止まりますし,加入者本人が年金受給前に死亡した場合,1万円の遺族一時金を支給されるだけです(国民年金基金HPの「重要のお知らせ」参照)。
2 加入資格
(2)ア   弁護士登録をした場合,
日本弁護士国民年金基金に加入できるようになります。
イ 弁護士のほか,弁護士業務を補助する人(例えば,専従配偶者及び法律事務所の事務員)も加入できます(日本弁護士国民年金基金HP「制度のポイント」)。
3 役員及び所在地
(1)ア 日本弁護士国民年金基金の理事12人(うち,理事長が1人,常務理事が1人),監事2人及び代議員24人の任期は3年です。
イ 直近では,平成21年4月,平成24年4月,平成27年4月及び平成30年4月に選任されています。
(2) 日本弁護士国民年金基金弁護士会館14階にあります。
4 平成8年当時,日本弁護士国民年金基金の年金財政は安泰であると予想されていたこと
(1) 自由と正義1996年10月号128頁には以下の記載があります。
 同連合会(山中注:国民年金基金連合会のこと。)では、高齢化時代の到来により既存の厚生年金がどのような苦境に陥っているかを参考として、国民年金基金の将来の不安を最大限排除すべく、二重三重に保全策を検討してくれています。既存の厚生年金基金等の将来が危ないと言われるのは、保有資産中にバブル前の含み損があり、企業単位のグループ保険なのに人員削減等でバランスが崩れ、また企業負担金が予定通り実行されていないことが主たる理由です。国民年金基金の場合には、厚生年金基金などの掛金設定と異なり、加入者一名単位で掛金総額とその運用益が支給総額と見合う設計となっているので、理論上は財政危機を起こすことがありませんし、現実論としても、当基金の場合には、バブル前の含み損などなく、法曹人口増加傾向により加入員の増加が予想されておりますので、若年層人口の減少による基金消滅ということも想定できません。
 問題は、運用益が安定的に継続できるかの点にかかっております。これについても、短期的には経済不況等で定理の運用実績しかあげられないこともあるでしょうが、長期的に見た場合には、民事法定利率程度の安定的運用益が生み出され、予定通りの年金給付が支障なく実行されることを確信しております。
(2) 陽だまり40号(平成24年6月13日発行)の「日本弁護士国民年金基金を「卒業」するにあたって 平成12年(2000年)から平成24年(2012年)までの年金運用を振り返る」には,「当基金の運用は、開設以来平成22年度末までの運用実績の平均は概ね2%内外の運用実績となっています。」と書いてあります。
5 日弁連との間における,個人情報の共同利用
 日本弁護士国民年金基金は,日弁連との間で,日弁連の会員(登録取消会員を含む。)に関する以下の個人情報を共同利用しています(日本弁護士国民年金基金HPの「弁護士の個人情報に関する日本弁護士連合会と日本弁護士国民年金基金との共同利用について」参照)。
登録番号・氏名・事務所住所電話・自宅住所電話・修習期・所属会・登録年月日・登録取消年月日・取消事由コード・会員区分・通称氏名・性別


第3 新規加入者の予定利率だけの切り下げが続いていること
1 掛金月額表
 日本弁護士国民年金基金HP平成31年4月1日以降の掛金月額表が載っていて,平成31年3月31日までに加入した人の掛金月額表は,日本弁護士国民年金基金規約別表第9の1(第71条第2項関係)に載っています。
2 掛金月額表の改正経緯
(1)ア 国民年金基金の掛金月額表については以下の日付で改正されています(国民年金基金連合会HP
「制度のあゆみ」参照)ところ,いずれも給付水準を切り下げるものでしたし,新規加入者の予定利率だけを切り下げるものでした
① 平成 7年4月1日の改正
・ 予定利率が5.5%から4.75%になりました。
② 平成12年4月1日の改正
・ 予定利率が4.0%になったり,男女別掛金が設定されたりしました。
③ 平成14年4月1日の改正
・ 予定利率が3.0%になりました。
④ 平成16年4月1日の改正
・ 予定利率が1.75%になりました。
⑤ 平成21年4月1日の改正
・ 予定死亡率が見直されたり,給付額及び受給期間が小口化されたりしました。
⑥ 平成26年4月1日の改正
・ 予定利率が1.5%になったり,予定死亡率が見直されたりしました。
⑦ 平成31年4月1日の改正
・ 予定死亡率が見直されました。
イ 自由と正義2024年2月号22頁(筆者は日本弁護士国民年金基金参与(前常務理事))に以下の記載があります。
    当基金でも他の国民年金基金でも、設立以来、既加入者の掛金額を変更したことは一度もなく、財政再計算で影響を受けるのは、財政再計算の翌年度以降に新規加入・増口する場合の掛金額と考えてよい。
(中略)

    新規加入者の予定利率(現在1.5%)は、既加入者の予定利率(5.5%~1.5%)と同じかより低いため、新規加入者が増えるほど予定利率の平均値は下がる。つまり、新規加入者が増えるほど、資産運用における目標値を引き下げることができ、より安全確実な資産運用が可能になるというメリットが認められる。
(2) りそな銀行HPの「企業年金ノート・レポート」に載ってある「企業年金の平成史~30年間の歩みを振り返る~」(平成31年4月発行)
には,「90 年代後半になると、バブル崩壊による景気低迷に加え、株価・金利の急激な低下により予定利率(当時は一律5.5%)を恒常的に維持することが厳しい環境となったことから、一転して企業年金の解散・廃止が相次ぐようになりました。」と書いてあります。
(3) 独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称は「中小機構」です。)が運営している小規模企業共済の場合,予定利率が1%である(中小機構HP「共済金の額の算定方法」参照)ものの,従前の加入者も含めた予定利率の改定が行われていますモーニングスターHP「国民年金基金vs小規模企業共済」(平成28年8月12日付)参照)。
3 コラム「陽だまり」の執筆者に適用されている予定利率
・ コラム「陽だまり」には,日本弁護士国民年金基金受給者等の感想が載っていますところ,平成12年3月31日までに加入した人の場合,これから加入する人の3倍以上の予定利率の複利運用で国民年金基金からの年金を支給してもらっていることになります。
4 老齢基礎年金等の年金額の特例水準解消は憲法に違反しないとした最高裁令和5年12月15日判決
(1) 厚生労働省HPの「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年11月16日成立・26日公布 平成24年法律第99号)」には以下の記載があります。
・ 
世代間公平の観点から、老齢基礎年金等の年金額の特例水準(2.5%)について、平成25年度から平成27年度までの3年間で解消する。
※ 現在支給されている年金額は、平成11年から13年までの間に、物価が下落したにもかかわらず、年金額を特例的に
据え置いた影響で、法律が本来想定している水準(本来水準)よりも、2.5%高い水準(特例水準)となっている。
※ 解消のスケジュールは、H25.10.▲1.0%、H26.4.▲1.0%、H27.4.▲0.5%
(2) 最高裁令和5年12月15日判決は以下の判示をしています。
    平成24年改正法1条は特例水準を3年度にわたって段階的に解消するものであるところ、特例水準は、それが生じた経緯に照らし、当初から、将来的に解消されることが予定されていたものといえる。このような特例水準による年金額の給付を維持することは、賦課方式(現在の年金受給権者に対して支給される年金給付の財源を、主に現役世代が負担する保険料によって賄う方式)を基本とする制度の下で現役世代に本来の負担を超える負担を強いることとなり、また、現役世代が年金の給付を受けるようになった際の財源を圧迫することにもつながるものと考えられる。そして、平成24年改正法の制定時には、今後、我が国の少子高齢化の進展に伴い、現役世代の保険料や税の負担能力が更に減少する一方で、支給すべき老齢年金の総額が更に増加することが合理的に予測されていたものである。
    これらの点に加え、特例水準の解消が、我が国における少子高齢化の進展が見込まれる中で、世代間の公平に配慮しながら前記の財政の均衡を図りつつ年金制度を存続させていくための制度として合理性を有するものとして構築されたマクロ経済スライド制の適用の実現につながるものであることをも踏まえれば、特例水準によって給付の一時的な増額を受けた者について一律に特例水準を解消することは、賦課方式を基本とする我が国の年金制度における世代間の公平を図り、年金制度に対する信頼の低下を防止し、また、年金の財政的基盤の悪化を防ぎ、もって年金制度の持続可能性を確保するとの観点から不合理なものとはいえない。
    以上によれば、立法府において上記のような措置をとったことが、著しく合理性を欠き、明らかに裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるということはできず、年金受給権に対する不合理な制約であるともいえない。

日本弁護士国民年金基金の総括表(平成31年3月22日の第6回財政再計算報告書からの抜粋)

第4 国民年金基金制度の問題点
1 予定利率が低いこと
(1) 予定利率が1.5%の場合,年金受取額が掛金全額と同額になる年数は,加入年齢が30歳の場合,約15年であり,加入年齢が40歳の場合,約17年であり,加入年齢が50歳の場合,約18年です。
   終身年金A型は15年間保証ですから年金受取人が死亡した場合でも年金受取後15年以内であれば一時金として遺族が受取れますものの,15年間受取金額は支払った掛金全額を下回ります(モーニングスターHPの「国民年金基金vs小規模企業共済」(平成28年8月12日付)参照)。
(2) 平成31年4月以降に国民年金基金に加入した場合,年金受取額が掛金全額と同額になる年数はこれよりも伸びることとなります。
2 原則として脱退できないこと
(1) 60歳になったり,会社員になるなど国民年金の第1号被保険者でなくなったり,弁護士登録を抹消したりした場合,加入員資格の喪失により日本弁護士国民年金基金を脱退できます(国民年金基金HPの「重要なお知らせ」参照)。
 しかし,当初の加入者が今でも予定利率が5.5%であるのに対し,新規加入者が1.5%であるなど加入者間の不公平が著しいことに気づいたとか,繰越不足金が10%ぐらいあることに不安を感じるといった理由により脱退することはできないのであって,2口目以降の掛金をなくすことしかできません(1口目の掛金までなくすことはできないということです。)。
(2) 日本弁護士国民年金基金HP「制度のポイント」に以下の記載があります。
●加入後に、2口目以降の口数の変更(増減口)をすることができます。ただし、1口目をとりやめたり変更することは、できません。
●増口は、回数に制限なく、いつでもできます。
 増口する場合、増口分の掛金は、増口する月現在の年齢に対応する金額となります。
●減口は、回数に制限なくいつでもできます。
●増減口にあたり、確定年金(Ⅰ~Ⅴ型)を選ぶ場合は制限がありあます。確定年金の年金額が終身年金(A.B型)の年金額(1口目を含めた合計額)を超えることはできません。
 終身年金の年金額≧確定年金の年金額となるように組み合わせてください。
●国民年金法所定の加入員資格喪失事由に該当しない限り、任意の「解約脱退」はできません。
(3) 外部ブログの「お金の価値は下がっていくよ」には以下の記載があります。
 80歳で100億持ってたらすごい?なにができるの?
 60歳で1億円、うんたしかにすごいけど、どう?20歳の1000万と比べてどう?
 経済がインフレしてなかったとしても、デフレだったとしても、その人にとってのお金の価値はさがっていく。
 お金の価値は、時間と共に減価する。
3 物価スライド制を採用していないこと
(1) 国民年金基金は,予め定められた名目の掛金を支払えれば,予め定められた名目の年金額を支給してもらうこととなっているものの,物価スライド制を採用していないため,仮に年金をもらうまでの間に物価が大きく上昇してしまった場合,実質的な年金額がその分,減少することとなります。
(2) 物価スライド制とは,年金額の実質価値を維持するため,物価の変動に応じて年金額を改定することをいい,国民年金制度では採用されています(日本年金機構HP「は行 物価スライド」参照)。
(3) 平成10年ないし平成30年のインフレ率は1%以下ですが,平成31年のインフレ率は1%を超える可能性があります(世界経済のネタ帳HP「日本のインフレ率の推移」参照)。
(4) 企業年金・個人年金教育者協会HPに載ってある「公的年金保険が「積立方式」ではなく、「賦課方式」を採用していること その歴史的・社会的意義からの理由」には「積立方式は、運用収入を活用できるメリットがある一方、急激なイ
ンフレが生じると積立金が目減りし、年金の実質価値を保障することが難しくなる。」と書いてあります。
4 繰越不足金の割合が高いこと

(1) 日本弁護士国民年金基金の場合,平成29年度末の責任準備金は1178億3944万円であり,繰越不足金は115億983万円ですから,その割合は約9.7%です。
(2) 社員に信頼される退職金・企業年金のつくり方ブログ「積立不足から抜け出せない国民年金基金の財政 」(平成30年10月15日付)には,「積立比率は責任準備金に対する実際の積立金額の比率を表したものであり、本来は100%を確保していないといけないのですが、ずっと100%を下回ったままであり、直近では8割程度にとどまっています。」と書いてあります。
(3) 国民年金基金HPの「重要のお知らせ」には以下の記載があります。
基金が解散した場合の取り扱いについて
• 基金は公的な制度として、国民年金法に基づきその設立から運営について厚生労働省から指導、監督を受け、代議員会での議決を経て運営されております。また基金の財政状況を毎年チェックし、健全な運営に努めております。基金の財政状況は決算書に記載されていますので、随時閲覧できます。仮に当基金が解散した場合は国民年金法に基づき、基金の解散時点での残余財産額を加入員および受給者等で分配することとなっており、それまで支払われた掛金額を下回ることがあります。なお、分配される額を国民年金基金連合会へ移管して、将来年金として受け取ることができるような措置を講じております。
(4)ア 日本弁護士国民年金基金の機関紙である「陽だまり」47号(2019年6月25日発行)2頁及び3頁には以下の記載があります。
 連合会(山中注:国民年金基金連合会のことです。)の給付確保事業(1口目の掛金を連合会が預かり運用して1口目の年金を給付する事業。各基金は参加強制されている。)の存続問題です。連合会からは新しい国民年金基金制度の発足に併せて給付確保事業を廃止し、各基金に対して現存資産を責任準備金割合に応じて返還するという提案を受けました。この提案に従う場合、当基金には給付確保事業に預けて運用していた年金資産の81.91%(平成27年度末責任準備金基準)しか返還されないことになります。
 しかし、かかる提案は、従前から連合会が給付確保事業とは1口目の年金給付を保証するものと説明していたことと明らかに矛盾します。各基金からの反対を受け、連合会は給付確保事業を存続することにしました。当基金としては、連合会の給付確保事業のあり方を今後も慎重に検討していきたいと思います。
イ 給付確保事業は1口目の掛金が対象であり,共同運用事業は2口目以降の掛金が対象です(国民年金基金連合会HP「会員である各基金に対する事業」参照)。



5 予定利率を低く抑えられている新規の弁護士加入者が増えれば増えるほど助かること等
1 公式の説明

(1) 公式の説明としては以下のものがあります。
① 日本弁護士国民年金基金HPの「日本弁護士国民年金基金の勧奨方針について」
② 東京弁護士会HP「弁護士会の福利厚生第4回 日本弁護士国民年金基金のご案内」東弁リブラ2013年3月号
③ 第二東京弁護士会HP「続・ハッピーリタイアメント~幸せな弁護士人生のあり方」二弁フロンティア2015年4月号
④ 東京都弁護士協同組合HP「弁護士のための保険・年金ガイド」「第4章 豊かな人生へ(座談会 平成28年6月)」
(2) 公式の説明では,①予定利率の切り下げが続いていること,②物価スライド制を採用していないこと,③原則として脱退できないこと,及び④繰越不足金の割合が高いことについては記載されていないと思います。
(3) 予定利率を低く抑えられている新規の弁護士加入者が増えれば増えるほど,それ以前に日本弁護士国民年金基金に加入した弁護士(新規加入者よりも高い年金額を保証されている人)に対する支給を続けることができるという関係になっています。
2 日本弁護士国民年金基金の資産運用委員長を6年間していた,32期の山岸良太弁護士の解説記事の抜粋
(1)ア 陽だまり40号(平成24年6月13日発行)の「日本弁護士国民年金基金を「卒業」するにあたって 平成12年(2000年)から平成24年(2012年)までの年金運用を振り返る
」(筆者は,日本弁護士国民年金基金の資産運用委員長(平成18年度から平成23年度まで)をしていた32期の山岸良太弁護士です。)には以下の記載があります。
① 国民年金基金は、予定利率5.5%、即ちお預かりした掛金を5.5%で運用して年金をお支払いするという設定で出発していました。
 当時は、1年物の定期頂金が年利5~6%くらいあり、5.5%の予定利率は運用実績として達成が確実だと考えられていたのです。また、実際にも、平成12年までの運用実績も5.5%を余裕を持って超えていました。ところが、平成12年度から雲行きが怪しくなってきたわけです。
② 平成7年度に予定利率を年5.5%から年4.5%に下げていましたが、更に平成12年度には年4%に下げ、そして平成14年には年3.0%に下げ、最終的には平成16年度からは年1.75%にまで大幅に下げて、新規加入会員の募集を行うことととなりました。
 その後、現在まで1.75%の予定利率で募集した結果、この10年間に加入者は弁護士人口増も反映して5,900名増加し、当基金の年金団体としての安定性は更に増していると考えます。
③ りそな銀行の決算について、繰延税金資産の計上が会計監査人に認められず、(山中注:平成15年)5月に公的資金が注入されて国有化されるという事態になりました。しかし、このりそな・ショックは、我国の銀行の不良債権処理の促進と市場からは受け止められ、悪材料が出尽くして底を打った形となり、その後、平成15年度は+15.0%、平成16年度は+3.4%、平成17年度は+23%(最も成績の良い受託会社は+27.22%)を超える運用実績となり、当基金の運用成績も落ち着いた状況となり、大変喜ばしいことでした。
④ 平成18年度から沼尾資産運用委員長が当基金を卒業されることとなり、私が沼尾委員長から資産運用委員長を引き継ぐこととなりました。
 このときは、まさか、その後6年間も委員長を継続することになるとは思いもよりませんでした。
⑤ この10年余りの当基金の運用状況は、世界経済の大変動の影響を受けて、±20数%で上下するというものでした。このような状況にあって当基金の運用は、開設以来平成22年度末までの運用実績の平均は概ね2%内外の運用実績となっています。
イ 32期の山岸良太弁護士は,「頼りがいのある司法を築く日弁連の会」の代表世話人でした。
(2) 日本弁護士国民年金基金の「代議員会・理事会の審議結果等のご報告」(令和3年11月)1頁には,「令和2年度の国民年金基金全体の運用結果については,通期の修正総合利回りは24.44%,長期(1997年度以降)の運用実績は累積で年率4.24%となりました。」と書いてあります。
3 東京高裁平成20年7月9日判決の裁判要旨
・ NTTグループ企業の年金規約変更不承認処分に関する東京高裁平成20年7月9日判決の裁判要旨の一つは,受給権者等に対する給付額を減少させる規約変更に関して,確定給付企業年金法施行規則5条2号にいう経営状況の悪化という要件は,企業年金を廃止するという事態を避けるための次善の策として,「給付の額を減額することがやむを得ない」と認められる場合をいい,控訴人NTT東西が当期利益を計上し続けることができていることに照らすと,控訴人らの主張はつまるところ,企業の経営努力によって計上された利益を配当に充てることを優先すべきであるという主張であり,これをもって,上記要件に該当するほどに経営状況が悪化したとは認めがたいというものでした。
4 その他
(1) 陽だまり43号(平成27年5月25日発行)5頁には以下の記載があります。
 私が常務理事に就任したときは(山中注:菰田優弁護士が平成24年4月1日に日本弁護士国民年金基金常務理事に就任したときは)、未だリーマンショックの後遺症があり、運用資産額は責任準備金を約20%下回る状況でした。たまたま2年目の終わり頃から株価が上昇機運になり、平成26年12月の時点で年度末には90%ぐらいまで回復する見込みとなりました。
(2) 陽だまり46号(平成30年発行)の「まさしく「金言」」(筆者は,予定利率が4.75%であった平成10年末頃に加入した弁護士には,「説明によると,年金基金は破綻しない限り加入時の利率が約束され,しかも,弁護士年金基金は加入する弁護士の数が増えているから,かなり安全であること,一口だけ入ることも,万が一,支払いが苦しくなったときには減口することも可能とのこと。」と書いてありますから,日本弁護士国民年金基金が破綻しない限り以前の加入者の予定利率を引き下げることはできないのかもしれません。
(3) 平成31年1月1日現在,60歳未満の加入員は9173人,60歳以上の加入員は290人,受給者・受給待期者(60歳以上)は5055人であり,合計で1万4228人です(日本弁護士国民年金基金HPの「Q.現在どのくらいの加入者がいるのですか。」参照)。



第6 平成31年4月1日以降に加入した場合の掛金合計及び受給額合計等の試算
1 年金月額3万円とするため,平成31年4月1日以降に加入した場合の取扱いにつき,加入時の年齢別に見ると以下のとおりになりますから,平均余命まで生きると仮定した場合,男性よりも女性の方が優遇されています。
(1) 25歳0月で加入した場合
・ 男性の場合,①掛金合計は533万6100円であり,②平均余命の81.65歳到達時の受給額合計は597万2400円であり,②から①を控除した額は63万6300円です。
・ 女性の場合,①掛金合計は621万1800円であり,②平均余命の87.62歳到達時の受給額合計は814万6800円であり,②から①を控除した額は193万5000円です。
(2) 30歳0月で加入した場合
・ 男性の場合,①掛金合計は556万2000円であり,②平均余命の81.73歳到達時の受給額合計は602万2800円であり,②から①を控除した額は46万800円です。
・ 女性の場合,①掛金合計は647万4600円であり,②平均余命の87.70歳到達時の受給額合計は817万2000円であり,②から①を控除した額は169万7400円です。
(3) 35歳0月で加入した場合
・ 男性の場合,①掛金合計は579万1500円であり,②平均余命の81.88歳到達時の受給額合計は607万6800円であり,②から①を控除した額は28万5300円です。
・ 女性の場合,①掛金合計は674万1000円であり,②平均余命の87.79歳到達時の受給額合計は820万4400円であり,②から①を控除した額は146万3400円です。
(4) 40歳0月で加入した場合
・ 男性の場合,①掛金合計は602万6400円であり,②平均余命の82.05歳到達時の受給額合計は613万8000円であり,②から①を控除した額は11万1600円です。
・ 女性の場合,①掛金合計は701万2800円であり,②平均余命の87.90歳到達時の受給額合計は824万4000円であり,②から①を控除した額は123万1200円です。
(5) 45歳0月で加入した場合
・ 男性の場合,①掛金合計は627万4800円であり,②平均余命の82.28歳到達時の受給額合計は622万800円であり,②から①を控除した額はマイナス5万4000円です。
・ 女性の場合,①掛金合計は703万0800円であり,②平均余命の88.06歳到達時の受給額合計は830万1600円であり,②から①を控除した額は100万800円です。
(6) 50歳0月で加入した場合
・ 男性の場合,①掛金合計は653万4000円であり,②平均余命の82.61歳到達時の受給額合計は633万9600円であり,②から①を控除した額はマイナス19万4400円です。
・ 女性の場合,①掛金合計は759万6000円であり,②平均余命の88.29歳到達時の受給額合計は838万4400円であり,②から①を控除した額は78万8400円です。
2 ちなみに,日弁連が定めている,性別による差別的取扱い等の防止に関する規則(平成24年3月15日規則第152号)2条1号は以下のとおりです。
 性別による差別的取扱い会員の事務所における活動、本会、弁護士会及び弁護士会連合会における会務活動その他の職務等に関する一切の活動において行われる生物学的又は社会的な性差を理由とする差別的取扱いをいう。

第7 国民年金基金制度の予定利率を過去の加入者も含めて引き下げた上で,加入者ごとの個別勘定とすることが必要であるとする意見があること
 橘玲公式ブログ「国民年金基金についての私的提言」(2013年5月17日付)に以下の記載があります。
① 91年の設立当初の予定利率は厚生年金基金などと同じ年5.5%だった。その後、低金利と株価の下落で運用に苦しみ、95年に4.75%、00年に4%、02年に3%、04年に1.75%と予定利率は引き下げられてきた。その結果、同じ加入者でも運用利回りに最大で年率3.75%もの“格差”があるという異常な事態になっている。
② 基金が大幅な積立不足に陥ったのは、過去に約束した予定利率が高すぎるからだ。この予定利率を現在の1.75%まで引き下げてしまえば、積立不足のほとんどは解消して財務はたちまち健全化する。もちろん高い予定利率の加入者は激怒するだろうが、基金が破綻すれば元も子もないのだから、誰かが責任をとって納得してもらうしかない。
③ 国民年金基金の問題が顕在化しないのは、高い予定利率で年金を受給するひとがまだ少ないからだ。しかしあと5年もすれば、設立当初の予定利率5.5%で加入したひとたちが年金を受け取りはじめる。

 ところで、支払を約束した年金が月15万円で、分配できるお金が10万円しかないとすると、足りない5万円はどこから持ってくるのだろうか。
 恐ろしいことに、現在の基金の仕組みだと、この5万円は新しく加入したひとの掛金を充てるしかない。これは基金が加入者ごとの個別勘定になっていないからで、要はねずみ講と同じだ。
④ 基本になるのは、現在のどんぶり勘定から加入者ごとの個別勘定に変えることだ。どのような理由であれ、加入者の掛金を別の加入者の年金に流用するようなことが許されるはずはない。そのような可能性はあらかじめ制度的に封じておくべきで、運用に失敗したらねずみ講になってしまうようでは欠陥商品といわれても仕方がない。
 年金を個人勘定にするには、現在の確定給付から、将来の受給額が運用成績に応じて変動する確定拠出型に変える必要がある。これなら基金が運用リスクを負う必要はないから、どのような経済状況でも破綻することはない。
⑤ やるべきことは決まっており、残された時間は少ない。あとは決断するだけだ。

第8 日本弁護士国民年金基金からの脱退
1 資格喪失事由及び移行手続
(1)ア ①所属事務所が弁護士法人となる,②企業,官公庁に就職する,③海外留学する等して,国民年金第1号被保険者でなくなった場合,日本弁護士国民年金基金の資格喪失事由に該当するために脱退することとなります。
イ 弁護士法人を設立した場合,14日以内(平成28年3月31日までは5日以内)に,管轄の年金事務所に健康保険適用除外承認申請書を提出すれば,東京都弁護士国民健康保険組合に引き続き加入できます(東京都弁護士国民健康保険組合HP「弁護士法人を設立する場合」参照)。
ウ 海外に転居した場合,国民年金基金の加入員資格を喪失するものの,引き続き国民年金の任意加入の手続を行うとともに,3ヶ月以内に手続をすることで引き続き国民年金基金に加入する場合,従前の掛金で加入できる特例があります(国民年金基金HP「加入条件・資格」参照)。
(2) 弁護士業務に従事しなくなったため資格喪失となった人が,国民年金の第1号被保険者として保険料の納付を継続する場合,資格喪失日より3ヶ月以内に地域型国民年金基金に移行手続をすれば,従前の掛金のまま加入できます。
2 解約返戻金制度はないこと
 日本弁護士国民年金基金HPの「Q. 加入中に資格喪失事由に該当して基金を脱退した場合,それまで納めた掛金は返してもらえるのでしょうか。」には以下の記載があります。
 加入員が加入中に加入員資格を喪失した場合,加入時から納めて頂いた掛金は,そのままお預かりして,年金受給年齢に達したときに,当基金の年金として給付させて頂きます。民間の個人年金にみられる解約返戻金(一時金)のような制度はありません(規約第51条ご参照)。なお,この場合に支給されることになる年金の額,遺族一時金の額は,掛金納付実績に応じた額となります(規約第53条,第55条)。

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第9 平成31年4月の,全国国民年金基金の発足
1 発足経緯
(1) 確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成28年6月3日法律第66号)による国民年金法の改正により,国民年金基金の
合併が認められることとなりました。
(2) 
職能型国民年金基金は25基金ありましたところ,日本弁護士国民年金基金歯科医師国民年金基金及び司法書士国民年金基金を除く22基金,並びに全国47の地域型国民年金基金が統合して,平成31年4月1日に全国国民年金基金が発足しました国民年金基金連合会(NPFA)HP「合併契約締結に関するお知らせ」(平成29年10月5日付),及び「全国国⺠年⾦基⾦設⽴後のお問い合わせ窓⼝等について」参照)。
2 平成31年4月以降の,国民年金基金の種類
平成31年4月以降,国民年金基金は以下の3種類です(国民年金基金連合会HPの「資料請求」参照)。
① 全国国民年金基金
② 全国国民年金基金の職能型支部
→ 日本医師・従業員支部及び土地家屋調査士支部だけです(全国国民年金基金HPの「職能型支部」参照)。
③ 職能型国民年金基金
→ 日本弁護士国民年金基金歯科医師国民年金基金及び司法書士国民年金基金です。
3 「陽だまり」の記載
(1) 日本弁護士国民年金基金の機関紙である「陽だまり」47号(2019年6月25日発行)2頁及び3頁には以下の記載があります。

 全国基金は、今回の大合併の目的を、①加入員や受給者の皆さまの利便性の向上、②事業運営基盤の強化、③事業運営の効率化と説明しています。しかし、将来窮地に陥る可能性のあるいくつかの基金を事実上救済することも、今回の大合併の目的であったことは否めません。当基金では、合併のメリットとデメリットについて慎重に検討した結果、合併差損の回避と、当基金の会員である弁護士の独立性を従前どおり維持する観点から、平成28年9月の代議員会で全国基金への参加を見合わせる旨決議し、今回の大合併には参加しませんでした。
(中略)

 連合会(山中注:国民年金基金連合会のことです。)は大合併に加わらない職能型3基金にも共同運用事業(2口目以降の掛金を連合会が預かり運用する事業。各基金の参加は任意)への参加を認めています。当基金は設立以来連合会の共同運用事業に加わらず、2口目以降の掛金を自主運用してきました。しかし、現在の市況状況、資産運用の専門性、共同運用の効率性等を踏まえ、平成29年4月から連合会の共同運用事業に参加しています。
従って、現在、当基金が自主運用している年金資産はありません。
(2) 「陽だまり」49号(2021年9月1日発行)22頁には以下の記載があります。
 平成31年4月から全国基金ができるということで、当基金は独立を維持するのか、あるいはそこへ加わってしまうのかということが一つ大問題になって、これは伊礼執行部から引き継いだ問題だったのですけれども、主として澤井執行部で問題となリました。
 議論する中でいろいろな資料を検討してみると、当基金は非常に財政内容がいいんですね。それが全国基金に入って一緒になってしまうと、合併差損が出て大変だということで,独立を維持しました。


第10 個人型確定拠出年金(愛称は「iDeCo(イデコ)」です。)との比較
1 国民年金基金と共通するメリット
 個人型確定拠出年金の場合,国民年金基金と同様に以下のメリットがあります。
① 毎月の掛金が所得控除の対象になります。
② 年金として受け取る場合,公的年金等控除の対象となります(一時金として受け取る場合,退職所得控除の対象となります。)。
2 国民年金基金にはないメリット
(1) 個人型確定拠出年金の場合,国民年金基金と異なり以下のメリットがあります。
① 個人単位の運用であるため,新規加入者であることを理由に不利に取り扱われることはありません。
② 自分以外の加入者の運用失敗等に起因する繰越不足金の問題はありません。
③ 自分の運用次第で年金受取金額を増やすことができますし,インフレリスクに対応することができます。
④ 10年以上加入した後に60歳になれば,一時金としてまとめて引き出すことができます(年金として分割払いで受け取ることもできます。)。
(2) 自分の運用次第では年金受取金額が掛金全額を下回ることがあります。
 ただし,国民年金基金の平成31年4月改定の基本ポートフォリオは,グローバル債券が52%であり,グローバル株式が48%です(国民年金基金HP「資産運用状況」参照)から,国民年金基金も結構,ハイリスクハイリターンな運用をしていると思います。
(3) 通算拠出期間が3年を超えるか,又は個人別管理資産が25万円を超えた場合,それだけで60歳未満で脱退一時金を請求することはできなくなります(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。
(4) noteの「【厳選2銘柄】オススメ投資信託」によれば,令和2年10月現在,eMAXIS Slim 先進国株式インデックスのベンチマークであるMSCIコクサイ・インデックスの過去5年のパフォーマンスは年率平均+6.1%であり,過去30年のパフォーマンスは年率平均+8.5%です。
  また,eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のベンチマークであるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの過去5年のパフォーマンスは年率平均+8.7%であり,過去30年のパフォーマンスは年率平均+7.9%です。
3 国民年金基金にだけあるメリット
(1)ア 国民年金基金の掛金の場合,終身年金ですし,国民健康保険料と同様に社会保険料控除として,生計を同一にする配偶者やその他親族の分の掛金も所得控除の対象となります(国税庁HPの「No.1130 社会保険料控除」参照)。
イ 国民年金基金の節税効果については,日本弁護士国民年金基金HPの「所得税・復興特別所得税・住民税 軽減額速算表」が分かりやすいです。
(2) 個人型確定拠出年金の掛金の場合,有期年金ですし,小規模企業共済等掛金控除として,自分の分の掛金しか所得控除の対象となりません(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。

 



第11 財政再計算
1 国民年金基金令32条は以下のとおりです。
  掛金の額は、年金及び一時金に要する費用の予想額並びに予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令の定めるところにより、将来にわたって、財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならず、かつ、少なくとも五年ごとにこの基準に従って再計算されなければならない。
2 自由と正義2024年2月号21頁ないし28頁に「日本弁護士国民年金基金の事業と特徴~5年に一度の財政再計算時期」が載っています(筆者は日本弁護士国民年金基金参与(前常務理事)です。)。
3 以下の資料を掲載しています。
・ 国民年金基金における財政再計算に伴う掛金の計算に関する取扱いについて(平成6年12月22日付の厚生省年金局長から都道府県知事あて通知)
→ 国民年金基金令32条を受けた文書です。
・ 日本弁護士国民年金基金の第6回財政再計算報告書(平成31年3月22日提出)
・ 日本弁護士国民年金基金の第7回財政再計算報告書(令和6年2月20日提出)

12 掲載資料
1 日本弁護士国民年金基金の業務報告書
(1) 国民年金基金規則44条(業務報告書の提出)2項に基づく文書は以下のとおりです。
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(平成25年度)
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(平成26年度)
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(平成27年度)
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(平成28年度)
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(平成29年度)
→ 平成29年度末の責任準備金は1178億3944万円であり,繰越不足金は115億983万円です(1頁目の繰越不足金及び当年度不足金の合計)から,その割合は約9.7%です。
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(平成30年度)
→ 平成30年度末の責任準備金は1238億2619万円であり,繰越不足金は124億9122万円です(1頁目の繰越不足金及び当年度不足金の合計)から,その割合は約10.1%です
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(令和元年度)
→ 令和元年度末の責任準備金は1292億5526万円であり,繰越不足金は198億8106万円です(1頁目の繰越不足金及び当年度不足金の合計)から,その割合は約15.4%です。
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(令和2年度)
→ 令和2年度末の責任準備金は1340億7785万円であり,繰越不足金は198億8106万円です(1頁目の繰越不足金及び当年度不足金の合計)から,その割合は約14.8%です。
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書(令和3年度)
→ 令和3年度末の責任準備金は1389億7370万円であり,繰越不足金は46億3985万円です(1頁目の繰越不足金及び当年度不足金の合計)から,その割合は約3.3%です。
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書令和4年度分)
→ 令和4年度末の責任準備金は1432億2490万円であり,繰越不足金は70億9903万円です(1頁目の繰越不足金及び当年度不足金の合計)から,その割合は約5.0%です。
・ 日本弁護士国民年金基金の貸借対照表,損益計算書及び業務報告書令和5年度分)
→ 令和5年度末の責任準備金は1495億3754万1000円であり,繰越不足金は70億9903万円です(1頁目の繰越不足金及び当年度不足金の合計)から,その割合は約4.7%です。
(2) 国民年金基金規則44条(業務報告書の提出)2項は「前項の規定にかかわらず、基金は、毎事業年度、令第三十条第一項の規定による積立金の運用に係る法第百二十五条第三項に規定する業務についての報告書二通を作成し、令第三十条の二第一項に規定する基本方針を添えて、翌事業年度九月三十日までに、厚生労働大臣に提出しなければならない。」と定めています。
2 その他
① 保証期間15年・年金月額3万円(年額36万円)の給付(平成21年3月31日までの基本A型参照)に必要な,日本弁護士国民年金基金の掛金の推移


第13 関連記事その他
1 各年度の業務報告書3頁の「(1)年齢階級別加入者数及び平均掛金額」によれば,20歳ないし29歳で日本弁護士国民年金基金に加入している人数の推移は以下のとおりです。
338人(平成25年度),264人(平成26年度)
225人(平成27年度),173人(平成28年度)
156人(平成29年度),186人(平成30年度)
156人(令和 元年度),136人(令和 2年度)
103人(令和 3年度), 80人(令和 4年度)
2(1) 各年度の業務報告書3頁の「(2)加入者の増減」によれば,日本弁護士国民年金基金への新規加入の推移は以下のとおりでありますところ,平成30年度ないし令和2年度につき,令和3年9月1日発行の陽だまり49号(設立30周年特集)記載の数字と一致しません。
令和3年度:454人(うち,男子は254人,女子は200人)
令和2年度:485人(うち,男子は292人,女子は193人)
令和 元年度:471人(うち,男子は280人,女子は191人)
平成30年度:859人(うち,男子は549人,女子は310人)
平成29年度:563人(うち,男子は353人,女子は210人)
平成28年度:623人(うち,男子は404人,女子は219人)
平成27年度:600人(うち,男子は392人,女子は208人)
平成26年度:490人(うち,男子は317人,女子は173人)
平成25年度:1198人(うち,男子は755人,女子は443人)
(2) 令和3年9月1日発行の陽だまり49号(設立30周年特集)には以下の記載があります。
(5頁の記載)
  平成30年度は5年に一度の財政再計算に当たったため、新規加入者数は840名と大幅に増えました。しかし、令和元年度と令和2年度は新型コロナ蔓延の影響で484名、483名と低迷し、残念ながら目標は未達(令和3年3月末加入員9593名)となりました。
(25頁及び26頁の記載)
  当基金を取り巻く環境は、若手弁護士の加入控え、法人化や厚生年金加入拡大等による脱退者の増加、年金給付費の累増、個人型確定拠出年金(イデコ)の急拡大などによって大きく変化しています。しかし、当基金が扱う確定給付年金は、節税のメリットを享受しつつ確定した年金額を生涯受け取れる素晴らしい制度であることに変わりはありません。当基金が拡大・発展していくことを心から祈念しております。
3 関東信越厚生局では,管内の国民年金基金に係る規約変更認可申請書や規約変更届出書等の受理・認可,厚生労働大臣への提出書類の経由,国民年金基金に対する指導監督などの業務を行っています(関東信越厚生局HP「国民年金基金の認可、指導監督等」参照)ところ,管内の国民年金基金から提出した文書の所持者は厚生労働省です。
4(1) 国民年金基金の掛金をクレジットカードで支払うことはできません(日本弁護士国民年金基金HPの「加入員の皆さまへ」参照)。
(2) 国民年金保険料はクレジットカードで支払うことができる(日本年金機構HPの「国民年金保険料に関する手続き」参照)ものの,日本弁護士国民年金基金に加入した場合,国民年金保険料についてもクレジットカードで支払うことができなくなります。
5(1) Mylife Money Online「国民年金基金をやめたい場合の対処方法(減額・一時停止・解約)」には「一時停止・中断」として以下の記載があります。
    減額でも難しい場合には、一時停止・中断ということも可能です。
    一時停止をした場合、本来の掛金の納付よりも未納が発生するため、その未納期間に合わせて将来受け取れる見込みの年金が減るかたちになります。
    解約とは違いますし返金もありませんが、事実上、国民年金基金の掛金の支払いをやめることができます。
(2) 59期の私は弁護士登録直後となる平成18年11月に日本弁護士国民年金基金に2口目以降も含めて加入し,平成24年4月に2口目以降を解約したものの,1口目の掛金の支払は続けざるを得ない状況が続いています。
6 以下の記事も参照してください。
① 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移
② 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
③ 個人型確定拠出年金(iDeCo)
④ 弁護士の社会保険

保証期間15年・年金月額3万円(年額36万円)の給付(平成21年3月31日までの基本A型参照)に必要な,日本弁護士国民年金基金の掛金の推移

日本弁護士国民年金基金の貸借対照表(平成30年3月期)

日本弁護士国民年金基金の損益計算書(平成30年3月期)

日本弁護士国民年金基金の収入支出計算書(平成30年3月期)

日本弁護士国民年金基金の年齢階級別加入者数及び平均掛金額(平成30年3月期)

弁護士会館

目次
第1 総論

第2 弁護士会館の入居状況及び地下のお店
第2の2 弁護士会館建設時の経緯

第3 弁護士会館の敷地使用に関する文書
第4 行政財産の貸付・使用許可制度
1 国有財産法の関係条文
2 大蔵省管財局長の通達の記載
3 内閣答弁書の記載
4 地方自治体の行政財産(学校施設)の使用許可に関する最高裁判例
5 財務省HPの資料
第5 東京に弁護士会が三つできたことの経緯等
第6 関連記事その他

第1 総論
1 弁護士会館は東京都千代田区霞が関1丁目1番3号にある建物(平成7年6月30日竣工)であって,建物建設費総額は160億2680万円であり,日弁連及び東京三弁護士会等が入居しています(東弁リブラ2009年3月号の「会館委員会」参照)。
2(1) 弁護士会館の敷地(4750.88㎡)は行政財産であり,令和2年3月31日までの間,使用許可期間は1年でしたから,日弁連及び東京三弁護士会は毎年,国有財産法18条6項に基づき法務省から使用許可をもらい続けていました。
(2) 法務省は,日弁連に対し,令和2年3月31日付の国有財産使用許可書により,令和2年4月1日から令和32年3月31日までの間の使用を許可しました。
3 弁護士会館の建設工事業者は大成建設株式会社であり,機械設備工事業者は新菱冷熱工業株式会社であり,電気設備工事業者は株式会社きんでんです(東弁リブラ2005年3月号の「弁護士会館竣工10年目 定期大規模改修計画について」参照)。

弁護士会館の正面玄関

第2 弁護士会館の入居状況及び地下のお店
1 弁護士会館の入居状況
   平成31年2月現在,弁護士会館の入居状況は以下のとおりです。
地下1階:レストラン,書店,店舗,防災センター
1階:総合案内,東京三弁護士会法律援助事務センター
2階:日弁連及び東京弁護士会の講堂(クレオ)
3階:東京三弁護士会法律相談センター,法テラス霞が関(法テラス東京霞が関分室)及び日弁連交通事故相談センター受付
4階ないし7階:東京弁護士会(受付は6階)
7階:東京弁護士会及び第二東京弁護士会の合同図書館
8階ないし10階:第二東京弁護士会(受付は9階)
11階ないし13階:第一東京弁護士会(受付は11階)
14階:日弁連交通事故相談センター本部,日本弁護士国民年金基金関東弁護士会連合会東京都弁護士国民健康保険組合全国弁護士協同組合連合会東京都弁護士協同組合
14階ないし17階:日本弁護士連合会(受付は15階)
17階:日弁連法務研究財団
 弁護士会館地下のお店
   平成31年2月現在,弁護士会館の地下(ベンチカ)には以下のお店があります。いずれも平日だけの営業です(東京弁護士会HP「早わかり東京弁護士会」参照)。
(1) 食事処
① 四季旬菜 霞が関別亭 桂
② 銀座 鳳鳴春 霞ヶ関店
③ レストラン メトロ
④ そば処 みとう
(2) 書店・売店
① 弁護士会館ブックセンター(書籍販売)
② 弁護士会館ブックセンター出版部LABO(出版・印刷)
③ 有限会社飯島印店(印鑑・印刷)
④ 大内商店(文具・切手・印紙・宅配便)
⑤ 大越謄写館(訴訟記録謄写)
3 東弁リブラ2008年3月号に「弁護士会館活用法」が載っています。


第2の2 弁護士会館建設時の経緯
1 日弁連五十年史35頁及び36頁の「新会館建設」には以下の記載があります。
   日弁連の長い間の念願であった新弁護士会館が、一九九五(平成七)年六月三〇日、千代田区霞が関の官庁街の一角、日比谷公園を見晴らす最良の環境の地に、日弁連・東京三弁護士会合同の会館として完成した。合同会館の建設の決定から一六年、建設資金の積み立て開始から一四年の月日を要した、日弁連のまさに一大事業であった。
   地上一七階、地下二階建てのこの合同会館は、「弁護士会館」と命名され、日弁連の執務スペースは、一五階から一七階までと一四階の一部となっている。また、二階には九○○名を収容できるホールが設けられ、日弁連と東京弁護士会とが共有している。このホールには、市民からの公募により「クレオ」というニックネームがつけられ、市民集会、シンポジウムなどに広く利用されている。市民に開かれた司法を指向する日弁連にとって、まさに人権擁護、社会正義実現の殿堂と呼ぶにふさわしい会館が完成した。
2 「東京三会合併の理念」(筆者は峠野愈弁護士)には,以下の記載があります(自由と正義41巻4号(平成2年4月発行)148頁ないし150頁。それぞれの引用箇所にナンバリングを付けています。)。
① 新会館(山中注:現在の弁護士会館)建設に当たっては、自由、人権の殿堂として、百年の理想を実現する構想が練られるべきところ、三つの会のそれぞれの専有面積をどれだけにするか、というだけで一年近くに亘って協議を重ね、いささか醜い議論が繰り返されている様子がもれ聞こえてきた。講堂をどうするか、図書館をどうするか、法律相談窓口はどうか、その他、三会が存在するが故に問題となることばかりである。
② 戦前の弁護士会は、懇親団体的機能を多分に有していた。従って、東京に三つの弁護士会が存在しても、特別に不便はなかったものと考えられる。然しながら、現在の弁護士会は、行政的機能(言葉として不適切かもわからない)を多く持ってきていると考えられる。東京弁護士会が副会長を六人制にしたのも、多くの事務職員を抱えて、OA機器を駆使して事務処理をすることになったのも、政治的事務が増加していることを物語る現象と考えて良いであろう。
③ 全弁護士会労働組合東京三会支部は、昭和五九年五月四日、三会会長宛に要望書を提出しているが、その第九項に「会館の建設を機に、東京三会の合同をなされたい。」としている。既に五年以上も前のことである。
そして、その理由として「市民は普通,東京に弁護士会が三つ存在することを知らない。そして、次にその存在を知ったとき、不安感と戸惑いを覚えるであろう」と。
また、「政策の違いは単一会の内部で論議すれば良く、会を分ける必要はないのではないか。」とも述べている。



第3 弁護士会館の敷地使用に関する文書

1(1) 日弁連及び東京三弁護士会は,国に対し,毎年,4750.88㎡の敷地に関する使用料を支払っていますところ,令和2年度の使用料は1億780万2900円でしたから,平米当たり2万2628円となります。
(2)ア 相続会議HPの「借地料の相場とは? 路線価や固定資産税から計算する方法を紹介」には,「借地料の相場は、借地上の建物用途が住宅なら土地価格の2~3%、店舗なら土地価格の4~5%です。」と書いてあります。
イ 令和3年度路線価図によれば,弁護士会館東側の路線価は658万円であり,南側の路線価は656万円ですし,土地代データの「霞が関」によれば,東京都千代田区霞が関1-4-1の公示地価は平米当たり1460万円です。
(3) 財政法9条1項は「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」と定めています。
2 客観的に存在する使用料に係る債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使について裁量はありません(最高裁大法廷令和3年2月24日判決)。
3 以下の資料を掲載しています。
(令和2年度以降の文書)
・ 行政財産(土地)の使用許可期間の更新について(令和2年1月31日付の日弁連及び東京三弁護士会の文書)
・ 国有財産使用許可書(令和2年3月31日付の法務省大臣官房施設課長の文書)
→ 弁護士会館の敷地の使用許可期間は令和2年4月1日から令和32年3月31日までとしています。
・ 令和2年度弁護士会館敷地使用料算定について
(平成30年度の文書)
・ 国有財産使用許可書(平成30年3月8日付の法務省大臣官房施設課長の文書)
・ 平成30年度における弁護士会館敷地使用料について(平成30年10月11日付の法務省大臣官房施設課長の通知)


3 国有財産使用許可書(令和2年3月31日付の法務省大臣官房施設課長の文書)には以下の条文があります。
・ 2条(指定用途)
   使用を許可された者は,前記の物件を弁護士会の事務所及び附属施設等として共同で使用する弁護士会館の敷地の用に供しなければならない。
・ 11条(原状回復)
① 施設課長が使用許可を取消したとき,又は使用を許可した期間が満了したときは,使用を許可された者は,自己の負担で,施設課長の指定する期日までに,使用を許可された物件を原状に回復して返還しなければならない。ただし,施設課長が特に承認したときは, この限りでない。
② 使用を許可された者が原状回復の義務を履行しないときは,施設課長は,使用を許可された者の負担においてこれを行うことができる。この場合使用を許可された者は,施設課長に異議を申し立てることができない。

・ 14条(実地調査等)
   施設課長は,使用を許可した物件について随時に実地調査し,又は所要の報告を求め,その維持使用に関し指示することができる。

第4 行政財産の貸付・使用許可制度

1 国有財産法の関係条文
・ 3条(国有財産の分類及び種類)
① 国有財産は、行政財産と普通財産とに分類する。
② 行政財産とは、次に掲げる種類の財産をいう。
一 公用財産 国において国の事務、事業又はその職員(国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)第二条第二号の職員をいう。)の住居の用に供し、又は供するものと決定したもの
二 公共用財産 国において直接公共の用に供し、又は供するものと決定したもの
三 皇室用財産 国において皇室の用に供し、又は供するものと決定したもの
四 森林経営用財産 国において森林経営の用に供し、又は供するものと決定したもの
③ 普通財産とは、行政財産以外の一切の国有財産をいう。
・ 18条(処分等の制限)
① 行政財産は、貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、信託し、若しくは出資の目的とし、又は私権を設定することができない。
② 前項の規定にかかわらず、行政財産は、次に掲げる場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。
一 国以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し、又は所有しようとする場合(国と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において、その者(当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。
(中略)
⑥ 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる。
(中略)
⑧ 第六項の規定による許可を受けてする行政財産の使用又は収益については、借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定は、適用しない。
・ 19条(準用規定)

   第二十一条から第二十五条まで(前条第二項第五号又は第六号の規定により地上権又は地役権を設定する場合にあつては第二十一条及び第二十三条を除き、前条第六項の規定により使用又は収益を許可する場合にあつては第二十一条第一項第二号を除く。)の規定は、前条第二項第一号から第四号までの貸付け、同項第五号の地上権若しくは同項第六号の地役権の設定、同条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の貸付け又は同条第六項の許可により行政財産の使用又は収益をさせる場合について準用する。
・ 24条(貸付契約の解除)
① 普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国又は公共団体において公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要を生じたときは、当該財産を所管する各省各庁の長は、その契約を解除することができる。
② 前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につき当該財産を所管する各省各庁の長に対し、その補償を求めることができる。
2 大蔵省管財局長の通達の記載
(1) 国有財産法18条6項の「その用途又は目的を妨げない限度」とは、以下のいずれにも該当しないことをいいます(行政財産を貸付け又は使用許可する場合の取扱いの基準について (昭和33年1月7日付の大蔵省管財局長の通達)(リンク先の6頁))。
① 国の事務、事業の遂行に支障の生じるおそれがあること
② 行政財産の管理上支障が生じるおそれがあること
③ 行政財産の公共性、公益性に反する以下の事項
・ 公序良俗に反し、社会通念上不適当であること
・ 特定の個人、団体、企業の活動を行政の中立性を阻害して支援することとなること
・ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「暴対法」という。)第2条第2号に規定する暴力団の事務所その他これに類するものの用に供しようとすること
・ 上記のほか、貸付け又は使用許可により公共性、公益性を損なうおそれがあること
④ その他行政財産の用途又は目的を妨げるおそれがあること
(2) 行政財産の使用許可ができる具体的類型は以下のとおりです(行政財産を貸付け又は使用許可する場合の取扱いの基準について (昭和33年1月7日付の大蔵省管財局長の通達)(リンク先の23頁))。
① 国の事務、事業の遂行上その必要性が認められる場合
② 行政財産の公共性、公益性、中立性に反せず、一時的又は限定的なため、業務運営上支障が生じない場合
③ 公共的又は公益的な見地から必要不可欠な場合
④ 行政財産の公共性、公益性、中立性に反せず、社会的又は経済的な見地から妥当な場合
⑤ 職員、来庁者や国の施設の利用者等の利便に資する場合
⑥ 災害時の応急的な対応等に資する場合
⑦ 地域の課題の解決や周辺住民の利便に資する場合
(3)ア 行政財産の使用許可期間及び使用許可の更新は以下のとおりです(行政財産を貸付け又は使用許可する場合の取扱いの基準について (昭和33年1月7日付の大蔵省管財局長の通達)(リンク先の23頁))。
① 使用許可期間
 使用許可期間は、原則として5年以内とする。ただし、財産管理者が当該行政財産の使用状況、個々の利用目的及び投資費用の回収に要する期間を審査した上で、使用許可期間を5年以内とすることが実情にそぐわないと認める場合は、法第19条で準用した法第21条又は他の法律の定める期間内において、その必要の程度に応じて定めるものとする。
② 使用許可の更新
 使用許可は必要に応じて、原則として一度に限り更新することができる。ただし、下記第3の1に規定する「公募になじまないと判断される場合」又は更新を認めないことにより国の事務、事業の円滑な遂行に著しい支障を及ぼすこととなる場合は、この限りではない。
イ 「公募になじまないと判断される場合」の例は以下のとおりです(行政財産を貸付け又は使用許可する場合の取扱いの基準について (昭和33年1月7日付の大蔵省管財局長の通達)(リンク先の25頁))。
① 使用許可の内容あるいは目的等から相手方が特定される場合
② 高度の機密保持を要する施設の警備上、公募により相手方を選定することが不適当な場合
③ 緊急に使用許可をしなければならない特殊な事情がある場合
ウ 国有財産法21条(貸付期間)は以下のとおりです。
① 普通財産の貸付けは、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。
一 植樹を目的として土地及び土地の定着物(建物を除く。以下この条及び第二十七条において同じ。)を貸し付ける場合 六十年以内
二 建物の所有を目的として土地及び土地の定着物を貸し付ける場合において、借地借家法第二十二条の規定に基づく借地権の存続期間を設定するとき 五十年以上
三 前二号の場合を除くほか、土地及び土地の定着物を貸し付ける場合 三十年以内
四 建物その他の物件を貸し付ける場合 十年以内
② 前項の期間は、同項第二号に掲げる場合を除き、更新することができる。この場合においては、更新の日から同項各号に規定する期間とする。
(4) 行政財産を貸付け又は使用許可する場合の取扱いの基準について (昭和33年1月7日付の大蔵省管財局長の通達)(リンク先の27頁)によれば,使用許可の取消に当たって借地借家法等に基づく通知は不要です。
3 内閣答弁書の記載
(1) 衆議院議員長妻昭君提出国の施設に入るテナントの選定及び適正使用料等に関する質問に対する答弁書(平成15年9月30日付)には以下の記載があります。
① 国が得ている月額使用料の総額は約三億八千三百万円であり、民間精通者からの意見聴取、不動産情報誌等からの情報収集、民間賃貸事例の調査といった方法により把握を行った民間相場の総額約六億百万円と比べて約二億千八百万円下回っている。
② 国の施設を使用している店舗等に対しては、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号。以下「法」という。)第十八条第三項に基づく行政財産の使用又は収益の許可を行っているが、その場合の使用料の決定及び使用者の選定については、「国の庁舎等の使用又は収益を許可する場合の取扱の基準について」(昭和三十三年一月七日蔵管第一号)に基づき、施設の管理を行っている各府省等において適正に行っている。

 使用又は収益の許可は、国の施設利用の必要性により、一方的に取り消されることがあり、使用者は、民間施設の賃借人に比べ不安定な立場にある等の事情があることから、その使用料について、民間相場と単純に比較することは適当でないと考える。
(2) 上記の答弁書は129MBのPDFであり,1524頁に及ぶ伝説の内閣答弁書です。

4 地方自治体の行政財産(学校施設)の使用許可に関する最高裁判例
(1) 最高裁平成18年2月7日判決は以下の判示をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
① 地方自治法238条の4第4項,学校教育法85条(山中注:現在の学校教育法137条)の上記文言に加えて,学校施設は,一般公衆の共同使用に供することを主たる目的とする道路や公民館等の施設とは異なり,本来学校教育の目的に使用すべきものとして設置され,それ以外の目的に使用することを基本的に制限されている(学校施設令1条,3条)ことからすれば,学校施設の目的外使用を許可するか否かは,原則として,管理者の裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。
すなわち,学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが,そのような支障がないからといって当然に許可しなくてはならないものではなく,行政財産である学校施設の目的及び用途と目的外使用の目的,態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできるものである。

② 学校教育上の支障とは,物理的支障に限らず,教育的配慮の観点から,児童,生徒に対し精神的悪影響を与え,学校の教育方針にもとることとなる場合も含まれ,現在の具体的な支障だけでなく,将来における教育上の支障が生ずるおそれが明白に認められる場合も含まれる。
③ また,管理者の裁量判断は,許可申請に係る使用の日時,場所,目的及び態様,使用者の範囲,使用の必要性の程度,許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度,代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり,その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがない かを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。
(2) 地方自治法238条の4(行政財産の管理及び処分)の条文は以下のとおりです。
① 行政財産は、次項から第四項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない。
(中略)
⑦ 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。
⑧ 前項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については、借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定は、これを適用しない。
⑨ 第七項の規定により行政財産の使用を許可した場合において、公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき、又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは、普通地方公共団体の長又は委員会は、その許可を取り消すことができる。
5 財務省HPの資料
・ 財務省HPに「行政財産に関する課題について」(平成30年9月28日付の財務省理財局の文書)が載っています。

第5 東京に弁護士会が三つできたことの経緯等
1 法曹百年史(昭和44年10月10日発行)665頁には「五 東京三会の分立」として以下の記載があります(改行を追加しています。)。
   本会(山中注:東京弁護士会)の会長その他役員は久しく長老連に独占され、これが新陳代謝を要望する声が強まっていたが容易に実現しなかったところ、大正十一年度の役員改選に当って革新派の乾政彦が会長に当選した。
   長老派はこれを快しとせず、東京弁護士協会なる私的団体を設立し、これに対抗せんとしたが問題とせられず、同年十二月九日の日本弁護士協会の理事選挙においても革新派の勝利に帰したため、長老会員は自派に属する弁護士出身代議士に働きかけ、大正十二年四月十七日公布の法律第五十一号(山中注:摂政宮の署名日が4月17日であって,公布日は翌日です。)をもって、弁護士法の一部を改正せしめ、同法第十八条に「一ノ弁護士会二属スル弁護士三百名以上ニシテ内百名以上ノ同意アルトキ、司法大臣ノ認可ヲ受ケテ別二弁護士会ヲ設立スルコトヲ得」との一項を挿入スルコトニ成功シ、同法施行の日の同年五月二十日、本会々員三百八十四名は本会を退会し、新たに第一東京弁護士会を設立して分離した。
   次いで、大正十五年三月本々員中百五十名が退会し、第一東京弁護士会を退会した五十余名と合して、新たに第二東京弁護士会を設立して分立した。
   弁護士法が当初に規定した一地方裁判所一弁護士会の原則は破れて、東京地方裁判所管内には三会が鼎立することとなったのである。しかし、現在においては、三会は相提携し協調しつつある。

第6 関連記事その他
1 自由と正義2020年11月号のひと筆「1995年8月1日、弁護士会館の誕生会」によれば,1995年8月1日,村山富市首相も参加して弁護士会館の竣工記念式典が開催されました。
2(1) 第二東京弁護士会HPの「アクセス」に,弁護士会館周辺の地図が載っています。
(2) 弁護士会館は,地下鉄丸ノ内線の「霞ヶ関駅」B1-b出口(池袋方面です。)に直結しています。
(3) 第二東京弁護士会のキッズひまわりHP「見学ツアー」(弁護士会館に関するもの)が載っています。
3 江戸時代後期,弁護士会館及び中央合同庁舎6号館第C棟(東京家裁及び東京簡裁の合同庁舎)の敷地には西大平藩大岡忠相(ただすけ)が初代藩主となって1748年に設置された,愛知県岡崎市にあった藩)の屋敷がありました(東弁リブラ2021年12月号の「第2回 古代日本から明治維新まで」参照)。
4 二弁フロンティア2023年3月号の「会館へ行こう!」には「弁護士会館ブックセンター」として以下の記載があります。
弁護士御用達の書店、「弁護士会館ブックセンター」。2002年に現在の場所にオープンし、以来20年以上、書籍の販売を通じて、私たち弁護士の知識やノウハウの習得を支え続けてくれています。運営会社は「有限会社法務図書センター」で、この店舗のほかに、2014年から「大阪高裁内ブックセンター」も出店しています。店長の人見泰司さんは東京と大阪の店長を兼任し、今は大阪をベースにしつつ、東京と大阪を行ったり来たりしているそうです。
5 以下の記事も参照してください。
・ 日弁連の会長及び副会長
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 弁護士会の会派
・ 日弁連役員に関する記事の一覧


日弁連会長選挙

目次
第1 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(昭和時代)
第2 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
第3 当選要件,再投票及び再選挙
第4 事前の選挙運動の禁止
第5 弁護士会の会長選挙における選挙運動費用は事業所得の必要経費にならないと思われること
第6 日弁連会長選挙の選挙権
1 一般論
2 過去の基準日
第7 弁護士会連合会別の日弁連副会長
第8 関連記事

第1 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(昭和時代)
1 昭和49年度までは,日本弁護士連合会(略称は「日弁連」です。)の会長は,他の役員(副会長,理事及び監事)と同様に,日弁連代議員会で選出されていました。
2 昭和50年度から,日弁連会長は,日弁連会員の直接選挙によって選出されるようになりました(日弁連会則61条1項)。
3 昭和55年度から,日弁連の執行力を強化して会務の継続性を確立するため,日弁連会長の任期が2年となりました(日弁連会則62条)。
4 昭和59年度から,任期中に会長が欠けた場合の補欠の会長の任期を,残任期間ではなく,就任してから1年を経過した後の最初の3月末日までとし,残任期間が6か月未満のときは補欠選挙を行わないとする,会長任期2年制の趣旨に基づく会長補欠選挙についての会則改正が行われました(日弁連会則63条)。
5 昭和時代の改正経緯の詳細については,「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」を参照してください。

第2 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
1 平成20年度以降,選挙公報の発送期限は投票日の12日前となったり(従前は15日前でした。),選挙公報が日弁連会員専用サイトに掲載されたりするようになりました。
2 平成22年度以降,選挙郵便はがきの枚数が会員数の3倍以下となったり(従前は会員数の5倍以下でした。),日弁連会員専用サイトを利用した選挙運動が解禁され,かつ,私設のウェブサイトによる選挙運動は禁止されたりしました。
3 平成24年度以降,日弁連選挙管理委員会の委員数につき14人から,14人以上25人以内となりました。
4 平成28年度以降,候補者私設のウェブサイトによる選挙運動,及び候補者の電子メールによる選挙運動が可能となりました。
5(1) 平成30年度以降,公聴会の実施箇所が9箇所から7箇所となったり,候補者以外の会員が私設のウェブサイトで選挙運動ができたりするようになりました。
(2) 候補者及び候補者以外の会員は,選挙期間中に限り選挙運動をすることができます。
6 令和4年度以降,選挙公報の発行時期が前倒しされたり,立候補に伴う納付金300万円のうちの200万円が一定の条件により返金されたり,文書による選挙運動としてのファクシミリ利用が可能となりました。
7 令和6年度以降,選挙人名簿の作成日が公示日から15日前となったり,300万円の納付金を銀行振込で納付できるようになったりしました。
8 「日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)」も参照して下さい。


第3 当選要件,再投票及び再選挙
1 当選要件
(1) 弁護士会も日弁連の会員であり,弁護士会の会員数には大きな差があることにかんがみ,当選者となるためには,選挙の最多得票者が弁護士会の総数の3分の1を超える弁護士会(つまり,18以上の弁護士会)において,それぞれ最多票を得ていることが必要です(日弁連会則61条2項)。
(2) 詳細につき,「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」を参照してください。
2 再投票及び再選挙
(1) いずれの候補も18以上の弁護士会において最多票を得ていない場合,得票の多い候補者2人について再投票を行います(日弁連会則61条の2第1項)。
(2) 再投票においてどちらの候補者も18以上の弁護士会において最多票を得ることができなかった場合,再選挙を行います(日弁連会則61条の3第1項)。
(2) 詳細につき,「日弁連会長選挙の再投票及び再選挙」を参照してください。

第4 事前の選挙運動の禁止
1 会長選挙規程の定め
(1) 選挙運動用ウェブサイトの開設を含む選挙運動の期間は,立候補の届出が受理された時(つまり,公示日)から投票日の前日までであり(会長選挙規程53条),候補者及びその他の会員が選挙運動の期間外に選挙運動をすること(つまり,事前運動)は禁止されています(会長選挙規程58条1号)。
(2) 日弁連委員会ニュース(2019年12月1日発行分)の選管ニュースには以下の記載があります。
① 日弁連人権擁護大会の会場前にて「~の会賛同のお願い」と題する文書を不特定多数の会員に配布し、その文中に「次期日弁連会長候補者として代表世話人の一人であるAを推薦しました。」との記述があった礼があります。これは単なる「~の会」の広報宣伝活動とは受け取り難く、実質的選挙運動にあたる疑いがある(会規第58条第1号)として、警告が発せられました。
② 支持者や支援者向けのニュースであると銘打っても、文書内容が選挙運動にあたるものであれば、実態として支持者以外に配布されれば選挙違反になる可能性があります。
③ 選挙運動の期間は「立候補の届出が受理された時から投票日の前日」と厳格に定められています(会規第53条)。この期間外の選挙運動は認められておらず、前述の事例のとおり立候補届出前に「立候補者」、「立候補予定者」などの文言を用いることはできません。
 政策提言団体の活動の位置づけ
(1) 日弁連会長選挙の前年に設立される政策提言団体への賛同を呼びかける行為は,当該団体の単なる広報宣伝活動であって,特定の候補者への賛同を呼びかけているわけではないから,選挙運動には該当しないということになっていると思います。
(2) 政策提言団体の広報宣伝活動において,代表世話人が次期日弁連会長選挙に立候補する予定であるなどと書いてあることはありません。

第5 弁護士会の会長選挙における選挙運動費用は事業所得の必要経費にならないと思われること
1 東京高裁平成24年9月19日判決は,以下の判示をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
①   弁護士会等の活動が、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務に密接に関係しているものであり、仙台弁護士会及び日弁連の役員は、会則において、その会員である弁護士の中から選任することとされていることは、上記イで判示したとおりである。
   確かに、被控訴人が主張するように、弁護士会等の役員になることが弁護士法等によって個々の弁護士に義務付けられているとは認められないものの、いずれかの弁護士が弁護士会等の役員に選任されない限り、弁護士会等が機能しないことは明らかである。
   もっとも、弁護士が弁護士会等の役員に立候補した後、役員に選任されるため、投票権を有する者に対して自らへの投票を呼び掛ける活動は、自らの弁護士会等の運営に関する意見を実現するために行われるものであるというべきであり、弁護士会等の活動と同視することができないのはもちろんのこと、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務と密接に関係しているとも認めることはできない。
② 以上の事情を総合考慮すると、弁護士が弁護士会等の役員に立候補した際の活動に要した費用のうち、立候補するために不可欠な費用であれば、その弁護士の事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な支出に該当するが、その余の費用については、これに該当しないと解するのが相当である。
2(1) 東京高裁平成24年9月19日判決からすれば,弁護士会の会長選挙における選挙運動費用は事業所得の必要経費にならないと思います。
(2)   同判決に対する国の上告受理申立てに関しては,平成24年12月21日付の上告受理申立て理由書が提出されたものの,最高裁平成26年1月17日決定により不受理とされました(国税庁HPの「最高裁不受理事件の意義とその影響」参照)。

第6 日弁連会長選挙の選挙権
1 一般論
(1) 偶数年2月上旬の金曜日に実施される日弁連会長選挙に投票するためには,選挙の公示の日の10日前までに弁護士登録をしておく必要があります(会長選挙規程17条1項)。
(2) 選挙の公示の日は,投票日の30日前です(会長選挙規程19条)から,1月上旬の水曜日となります。
2 過去の基準日
(1) 平成30年度同31年度日弁連会長選挙の投票日は平成30年2月9日(金)であり,公示日は平成30年1月10日(水)でした。
   そのため,10日前の平成29年12月31日(日)までに弁護士登録をしていないと,日弁連会長選挙に投票することができませんでした。
(2) 令和2年度同3年度日弁連会長選挙の投票日が令和2年2月7日(金)であり,公示日は令和2年1月8日(水)でした。
   そのため,10日前の令和元年12月29日(日)までに弁護士登録をしておかないと,日弁連会長選挙に投票することができません。
(3) 令和4年度同5年度日弁連会長選挙の投票日が令和2年2月4日(金)であり,公示日は令和2年1月5日(水)でした。
   そのため,10日前の令和3年12月26日(日)までに弁護士登録をしておかないと,日弁連会長選挙に投票することができません。


第7 弁護士会連合会別の日弁連副会長
   昭和24年9月1日の日弁連設立以来の,弁護士会連合会別の日弁連副会長については,以下の記事を参照してください。
 弁護士会連合会別の,日弁連の歴代副会長(平成15年度以降)
 関東弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
 近畿弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
④ 中部弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
 中国地方弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑥ 九州弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑦ 東北弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑧ 北海道弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑨ 四国弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長

第8 関連記事
1 日弁連会長選挙関係
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
2 その他
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
・ 日弁連の歴代副会長の担当会務
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
・ 弁護士会の会派

日弁連の総会,代議員会,人権擁護大会,弁護士業務改革シンポジウム,司法シンポジウム及び国選弁護シンポジウム

目次
1 総論
2 日弁連の総会
3 日弁連の定期総会の開催時期及び開催場所
4 日弁連の代議員会
5 日弁連の人権擁護大会
6 日弁連の弁護士業務改革シンポジウム
7 日弁連の司法シンポジウム
8 日弁連の国選弁護シンポジウム

1 総論
(1) 日弁連HPの「日弁連の総会・人権大会・その他主な行事」には以下のものが載っています。
① 定期総会・臨時総会 議事概要
② 過去の人権擁護大会の基調報告書
③ 過去の司法シンポジウムの報告
④ 過去の弁護士業務改革シンポジウムの基調報告書
⑤ 過去の国選弁護シンポジウムの報告等
(2) 日弁連HPの「会長声明・意見書等」に以下のものが載っています。
① 会長声明・日弁連コメント
② 意見書等
③ 総会決議集
④ 人権擁護大会宣言・決議集
⑤ 人権救済申立事件「警告・勧告・要望書等」

2 日弁連の総会
(1) 日弁連の総会は,日弁連の最高の意思決定機関です。
(2) 日弁連の総会では,以下の事項について審議します(日弁連会則34条)。
① 弁護士法で総会の議決を要するとされている事項
・ 予算の決議及び決算の承認,会則の制定又は変更(弁護士法50条・39条)
・ 資格審査会の委員の選任(弁護士法52条3項)
・ 懲戒委員会の委員の選任(弁護士法66条の2第3項)
・ 綱紀委員会の委員の選任(弁護士法70条の3第2項)
・ 綱紀審査会の委員の選任(弁護士法71条の3第1項)
② 日弁連会則によって総会の議決を要するとされている事項
・ 会規の制定,変更等
③ 理事会又は代議員会で総会に付議することとされた事項
(3)ア 総会において出席会員が行使できる代理権は,日弁連の創立以来,30人とされていたものの,平成21年12月4日臨時総会決議に基づき,50人に変更されました(日弁連会則40条2項)。
イ 令和3年3月5日臨時総会決議に基づき,総会において出席会員が行使できる代理権は,100人に変更されました(日弁連会則40条2項)。
(4)ア 平成29年3月3日臨時総会決議に基づき,日弁連の総会の定足数は5000個以上の議決権となりました(日弁連会則40条の2(令和3年3月5日以降は40条の3です。))。
イ 平成29年3月3日発生の,日弁連臨時総会における委任状書き換え問題につき,東弁HPに以下のページが載っています。
① 日本弁護士連合会臨時総会に提出した委任状に関する会長談話(平成29年3月7日付)
② 日本弁護士連合会臨時総会に提出した委任状に関する会長談話(その2)-調査結果を受けて-(平成29年3月31日付)
→ 委任状問題に関する調査報告書(平成29年3月30日付)が掲載されているほか,以下の記載があります。
   今回の日弁連臨時総会における委任状問題の原因は、直接的には事務局の作業において生じたミスが原因ですが、担当事務局に対する監督責任は当該課を担当する上司にもあり、最終的には会長にも責任があるものです。
   従って調査結果を受けて、本年3月30日付けで、会長としては3ヶ月分の報酬の返納を行うこととし、同時に総会担当副会長には厳重注意、事務局長、担当事務次長、担当課課長に対して、始末書の提出を求めるとともに厳重注意をすることといたしました。
(5)ア 日弁連の定期総会は,平成30年度までは毎年5月の最終金曜日に開催されていました。
イ 令和元年度以降の日弁連の定期総会は,毎年6月中旬の金曜日に開催されることになりました(平成31年3月1日臨時総会決議による改正後の日弁連会則33条2項参照)。


3 日弁連の定期総会の開催時期及び開催場所
(1)ア 日弁連の定期総会の具体的な開催時期及び開催場所は以下のとおりです。
第55回:平成16年5月28日(金)ホテルクレメント徳島
第56回:平成17年5月27日(金)パレスホテル東京
第57回:平成18年5月26日(金)ホテルグランヴィア岡山
第58回:平成19年5月25日(金)パレスホテル東京
第59回:平成20年5月30日(金)大弁会館
第60回:平成21年5月29日(金)ホテルオークラ東京
第61回:平成22年5月28日(金)名古屋マリオットアソシアホテル
第62回:平成23年5月27日(金)ホテルオークラ東京
第63回:平成24年5月25日(金)イイチコ総合文化センター(大分市)
第64回:平成25年5月31日(金)ホテルオークラ東京
第65回:平成26年5月30日(金)ホテルメトロポリタン仙台
第66回:平成27年5月29日(金)パレスホテル東京
第67回:平成28年5月27日(金)旭川グランドホテル
第68回:平成29年5月26日(金)パレスホテル東京
第69回:平成30年5月25日(金)JRホテルクレメント高松
第70回:令和 元年6月14日(金)弁護士会館2階講堂「クレオ」
第71回:令和 2年7月31日(金)(中止)
→9月4日(金)弁護士会館2階講堂「クレオ」
イ 日弁連HPに「定期総会・臨時総会 議事概要」が載っています。
ウ 第71回定期総会については,新型コロナウイルス感染症に関して緊急事態宣言が発令されたために開催が遅れました。
(2)ア 関谷文隆日弁連副会長は,令和元年6月14日の第70回定期総会において,日弁連の定期総会の地方開催を奇数年に変更することに関して,以下のとおり趣旨説明をしています。
   本件は会則第37条に関するものである。次年度の定期総会は、前年の定期総会において指定された地において開催するという会則がある。慣例として1年おきに東京と地方で定期総会が行われているが、第70回の今年は東京、次年度第71回をまた東京とすることによって、日弁連の選挙の直後に地方で定期総会を開催する場合の地方会のご負担を軽減するということと、会長が代わってすぐの開催になってしまうことによる事務方の負担の軽減という二つの理由から順番を交代させたいという趣旨である。
   これによって、定期総会の準備の一層の安定化と、特に地方開催時の開催地弁護士会の負担の軽減が図れるということであるので、お諮りする。



4 日弁連の代議員会
(1) 代議員会は,主として,副会長,理事及び監事並びに選挙管理委員会の委員の選任,会則・会規の規定又は総会・理事会の決議により代議員会に付し,あるいは特に委任するとされた事項等を審議します(日弁連会則42条,43条)。
(2) 代議員会は,毎年3月に役員選任のために招集されるのが例となっています。
(3) 詳細については「日弁連の代議員会」を参照してください。

5 日弁連の人権擁護大会

(1) 日弁連では毎年1回,人権擁護大会を開催し,人権問題の調査,研究の成果を発表し,人権問題に関する宣言,決議をなし,人権思想の高揚に努めています(人権擁護大会規則1条,2条参照)。
(2) 昭和33年に第1回大会が金沢市で開催されました。
(3) 人権擁護大会の前日には,人権問題についてのシンポジウムや講演会が開催され,最近は日弁連と市民との交流の場となっています。
(4)ア 日弁連の人権擁護大会の開催場所は以下のとおりです。
平成17年度が鳥取市,平成18年度が釧路市,平成19年度が浜松市
平成20年度が富山市,平成21年度が和歌山市,平成22年度が盛岡市
平成23年度が高松市,平成24年度が佐賀市,平成25年度が広島市
平成26年度が函館市,平成27年度が千葉市,平成28年度が福井市
平成29年度が大津市,平成30年度が青森市,平成31年度が徳島市
イ 令和2年度については鹿児島市で開催される予定でしたが,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により中止となりました。



6 日弁連の弁護士業務改革シンポジウム

(1) 昭和60年に第1回大会が開催され,当初は毎年,開催されていました。
(2) 日弁連の弁護士業務改革シンポジウムは奇数年開催でありますところ,具体的な開催場所は以下のとおりです。
平成13年度が東京23区,平成15年度が鹿児島市,平成17年度が金沢市
平成19年度が札幌市,平成21年度が松山市,平成23年度が横浜市
平成25年度が神戸市,平成27年度が岡山市,平成29年度が東京都文京区
平成31年度が京都市,令和4年度が名古屋市,令和6年度が仙台市,
(3) 32期の伊藤茂昭弁護士の「白い雲」HP「第20回日弁連業務改革シンポジウム」(東京大学本郷キャンパスで開催されたもの)が載っています。

7 日弁連の司法シンポジウム

(1) 昭和48年に第1回大会が開催され,当初は毎年,開催されていました。
(2) 司法シンポジウムは偶数年開催であり,弁護士会館で開催されています。

8 日弁連の国選弁護シンポジウム

   国選弁護シンポジウムの開催場所は,平成15年度が大阪市,平成18年度が福岡市,平成20年度が東京23区,平成22年度が京都市,平成24年度が岡山市,平成26年度が名古屋市,平成29年度が横浜市です。

日弁連の組織

目次
1 会長及び副会長
2 理事及び常務理事
3 事務総長及び事務次長
4 日弁連事務局
5 日弁連の各室の嘱託弁護士
6 監事
7 日弁連の委員会
8 参考になる文献

1 会長及び副会長
(1)ア 日弁連の会長は,日弁連運営の最高責任者として日弁連を代表し(弁護士法50条・35条1項),会務を統理します(日弁連会則57条1項)。
イ 偶数年の2月上旬に実施される日弁連会長選挙によって選出されます。
(2) 日弁連の副会長は会長を補佐して会務の執行に当たり(日弁連会則57条2項),会長とともに理事会及び常務理事会の構成員となります(日弁連会則58条1項,59条の2第1項)。
(3) 詳細については,「日弁連の会長及び副会長」を参照してください。

2 理事及び常務理事
(1) 日弁連の理事は71人(ただし,令和3年度以降は75人)いて,理事会において会務を審議します(日弁連会則58条1項)。
(2)  日弁連理事の互選により39人の常務理事を選任しています(日弁連会則56条2項参照)。
(3) 詳細については,「日弁連理事」を参照してください。

3 事務総長及び事務次長
(1) 会務を補助する機関として,事務総長の下に事務局が設けられています(日弁連会則82条の3)。
(2) 事務総長は,会長の旨を受けて日弁連の事務を掌理し,事務次長以下の事務局の職員を指揮監督します(日弁連会則82条の2第2項)。
(3)ア 事務次長は,事務総長を補佐して日弁連の会規又は規則に定める事務を掌ります(日弁連会則82条の2第5項参照)。
イ 事務次長のうちの一人は通常,日弁連事務局出身者が就任しています。
(4) 日弁連HPの「日弁連の機構」に会長・副会長・事務総長・事務次長一覧表が載っています。
(5) 詳細については,「日弁連の事務総長及び事務次長」を参照してください。

4 日弁連事務局
(1) 日弁連事務局には,総務部,審査部,法制部,人権部,業務部及び企画部があり,令和元年4月現在の課は以下のとおりです。
総務部:総務課,情報システム・施設管理課,経理課及び人事課
審査部:審査第一課,審査第二課及び審査第三課
法制部:法制第一課及び法制第二課
人権部:人権第一課及び人権第二課
業務部:業務第一課,業務第二課及び業務第三課
企画部:企画課,広報課及び国際課
(2) 弁護士白書2018年版158頁「日弁連の機構」によれば,平成30年10月1日現在,事務局職員は171人です。
(3) 詳細については,「日弁連事務局」を参照してください。

5 日弁連の各室の嘱託弁護士
(1) 日弁連の各室の嘱託は,事務総長の推薦に基づき会長が委嘱しますところ,従来からすべて弁護士が委嘱されています。
(2) 事務総長,事務次長その他弁護士たる職員の報酬の額は,日弁連会長の発議に基づき,日弁連経理委員会において決定されます(弁護士職員報酬規則(平成2年2月16日規則第50号)3条1項)。
(3)ア 弁護士白書2018年版158頁「日弁連の機構」によれば,平成30年10月1日現在,日弁連の各室に配置されている嘱託弁護士の人数は以下のとおりです。
① 調査室:9人
② 広報室:5人
③ 国際室:6人
④ 研修・業務支援室:7人
⑤ 日本司法支援センター対応室:5人
⑥ 司法調査室:28人
⑦ 刑事調査室:7人
⑧ その他の弁護士職員21人(うち,綱紀委員会調査員6人,懲戒委員会調査員4人)
イ 調査室,広報室及び国際室は日弁連会則82条の4に基づいています。

6 監事

(1) 監事は日弁連の財務を監査します(日弁連会則60条)。
(2) 監事の定数は5名です(日弁連会則56条1項4号)。

7 日弁連の委員会
(1) 弁護士白書2018年版158頁「日弁連の機構」によれば,平成30年10月1日現在,以下のとおりです。
① 法定委員会7個
・ 弁護士法により設置が義務付けられた委員会が4個(資格審査会,懲戒委員会,綱紀委員会及び綱紀審査会)です。
・ 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法により設置が義務付けられた委員会が3個(外国法事務弁護士登録委員会,外国法事務弁護士懲戒委員会及び外国法事務弁護士綱紀委員会)です。
② 常置委員会5個
・ 人権擁護委員会,弁護士推薦委員会,司法修習委員会,選挙管理委員会及び司法制度調査会です。
③ 特別委員会74個
・ 例えば,日弁連公設事務所・法律相談センターがあります。
(2) 若林茂雄平成30年度経理委員長は,令和元年6月14日の日弁連定期総会において,以下の説明をしています。
   平成30年度決算について、その概要を100万円の単位で御説明申し上げる。
(中略)
   委員会費の詳細について説明する。常置委員会は、予算1億3,900万円に対し、決算1億2,100万円で、1,700万円の予算残となった。
   特別委員会費は、予算9億3,000万円に対し、決算8億3,200万円で、9,800万円の予算残となった。
   なお、13の特別委員会で予算を超過する支出となった。支出超過の主な理由は、会議出席率の高さ、臨時の会議開催などにより、旅費の支出がかさんだことによる。

8 参考になる文献
   弁護士業務ハンドブック(日弁連調査室 編)が非常に参考になります。

日弁連の懲戒手続

目次
1 日弁連の綱紀委員会
2 日弁連の綱紀審査会
3 日弁連の懲戒委員会
4 懲戒手続に関する日弁連の規程
5 関連記事

1 日弁連の綱紀委員会
(1) 弁護士会の「綱紀」委員会が対象弁護士を懲戒しない旨の決定をした場合,懲戒請求者は日弁連に対し異議の申出ができ(弁護士法64条1項前段),異議の申出があった場合,日弁連は,綱紀委員会において異議の審査を行います(弁護士法64条の2第1項)。
   そして,日弁連の綱紀委員会は,①弁護士会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当とする旨の議決をしたり(弁護士法64条の2第2項),②異議の申出を却下又は棄却する旨の議決をしたりします(弁護士法64条の2第5項)。
(2) 日弁連の綱紀委員会の委員は,弁護士,裁判官,検察官及び学識経験のある者の中から,それぞれ日弁連の会長が委嘱します(弁護士法70条の3第2項前段)。
   この場合,①裁判官又は検察官である委員はその地の高等裁判所若しくは地方裁判所又は高等検察庁検事長若しくは地方検察庁検事正の推薦に基づき,②その他の委員は日弁連の総会の決議に基づき,委嘱する必要があります(弁護士法70条の3第2項後段・弁護士法66条の2第2項後段)。
   ただし,任期が2年であること(弁護士法70条の3第3項)とあいまって,予備委員の選任(弁護士法70条の5)も含めて,毎年5月の定時総会決議(日弁連会則34条3号)において,選任に関する事項は理事会に白紙委任されています(日弁連会則59条6号参照)。
(3) 日弁連HPの「懲戒請求事案に関する異議の申出の方法について」が参考になります。
   異議申出をする場合,正本1通及び副本2通の合計3通の異義申出書を日弁連に提出します。

2 日弁連の綱紀審査会
(1) 異議の申出の却下又は棄却に対して不服がある場合,懲戒請求者は,日弁連に対し,綱紀審査会による綱紀審査の申出ができます(弁護士法64条の3)。
   そして,日弁連の綱紀審査会は,①弁護士会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当とする旨の議決をしたり(弁護士法64条の4第1項),②綱紀審査の申出を却下又は棄却する旨の議決をしたりします(弁護士法64条の4第4項及び第5項)。
(2)ア 綱紀審査会は平成15年7月25日法律第128号(平成16年4月1日施行)による弁護士法改正により日弁連に設置された機関であり,法曹三者(=裁判官,検事及び弁護士)以外の11人の学識経験者で構成されています(弁護士法71条の2及び71条の3)。
イ 平成13年6月12日付の司法制度改革審議会意見書では,「懲戒請求者が綱紀委員会の議決に対する異議申出を棄却・却下された場合に、国民が参加して構成される機関に更なる不服申立ができる制度の導入」が求められていました(首相官邸HPの司法制度改革審議会意見書(抜粋)第3.6(2)「弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備」)。
(3) 日弁連の綱紀審査会の委員は,日弁連の会長が日弁連の総会の決議に基づき,委嘱します(弁護士法71条の3第1項)。
ただし,任期が2年であること(弁護士法71条の3第2項)とあいまって,予備委員の選任(弁護士法71条の5)も含めて,毎年5月の定時総会決議(日弁連会則34条3号)において,選任に関する事項は理事会に白紙委任されています(日弁連会則59条6号参照)。

3 日弁連の懲戒委員会
(1) 懲戒請求人からの「異議の申出」(弁護士法64条の5)
ア   ①弁護士会の「懲戒」委員会が対象弁護士を懲戒しない旨の決定をした場合,又は②弁護士会がした懲戒の処分が不当に軽い場合,懲戒請求者は,日弁連に対し,異議の申出ができ(弁護士法64条1項後段),異議の申出があった場合,日弁連は,懲戒委員会において異議の審査を行います(弁護士法64条の5第1項)。
   そして,日弁連の懲戒委員会は,①弁護士会の懲戒しない旨の決定を取り消して対象弁護士を懲戒したり(弁護士法64条の5第2項),②弁護士会の懲戒の処分を取り消してより重い処分に変更したり(弁護士法64条の5第4項),③異議の申出を却下又は棄却したりします(弁護士法64条の5第5項)。
イ 日弁連HPの「懲戒請求事案に関する異議の申出の方法について」が参考になります。
   異議申出をする場合,正本1通及び副本2通の合計3通の異義申出書を日弁連に提出します
(2) 対象弁護士等からの「審査請求」(弁護士法59条)
ア   弁護士会の懲戒委員会が対象弁護士等を懲戒する旨の決定をした場合,対象弁護士は,日弁連に対し,審査請求ができ(弁護士法59条),審査請求があった場合,日弁連は,懲戒委員会において弁護士会の懲戒処分の当否を審査した上で,審査請求を却下したり,棄却したり,弁護士会の懲戒処分を取り消したり,変更したりします(行政不服審査法46条1項本文参照)。
   また,日弁連は,必要があると認めるときは,審査請求人からの申立てにより,又は職権で,懲戒処分の効力を停止することができます懲戒委員会及び懲戒手続に関する規程46条1項)。
イ 対象弁護士等は,弁護士会の懲戒処分に対して直接,取消訴訟を提起することはできません(弁護士法61条2項参照)から,不服がある場合,必ず審査請求により争う必要があります。
ウ 日弁連は,審査請求人に不利益に単位弁護士会の懲戒処分を変更することはできません(行政不服審査法48条)。
(3) 日弁連の懲戒委員会の委員
ア   日弁連の懲戒委員会の委員は,弁護士,裁判官,検察官及び学識経験のある者の中から,それぞれ日弁連の会長が委嘱します(弁護士法66条の2第2項前段)。
   この場合,①裁判官又は検察官である委員はその地の高等裁判所若しくは地方裁判所又は高等検察庁検事長若しくは地方検察庁検事正の推薦に基づき,②その他の委員は日弁連の総会の決議に基づき,委嘱する必要があります(弁護士法66条の2第2項後段)。
   ただし,任期が2年であること(弁護士法66条の2第3項)とあいまって,予備委員の選任(弁護士法66条の4)も含めて,毎年5月の定時総会決議(日弁連会則34条3号)において,選任に関する事項は理事会に白紙委任されています(日弁連会則59条6号参照)。
イ 平成29年10月31日付の司法行政文書不開示通知書によれば,最高裁は,平成29年度日弁連懲戒委員会の名簿を保有していません。


4 懲戒手続に関する日弁連の規程
   日弁連の場合,以下の規程があります。
① 日弁連会則(昭和24年7月9日制定)(昭和24年9月1日施行)68条ないし73条
② 綱紀委員会及び綱紀手続に関する規程(平成15年11月12日会規第57号)(平成16年4月1日施行)
③ 綱紀審査会及び綱紀審査手続に関する規程(平成15年11月12日会規第58号)(平成16年4月1日施行)
④ 懲戒委員会及び懲戒手続に関する規程(平成15年11月12日会規第59号)(平成16年4月1日施行)
⑤ 懲戒処分の公告及び公表等に関する規程(平成15年11月12日会規第60号)(平成16年4月1日施行)
→ 弁護士の懲戒処分は,官報をもって公告される(弁護士法64条の6第3項)ほか,日弁連の機関雑誌(日弁連会則7条参照)で公告されています(日弁連会則68条)。
   なお,日弁連の機関雑誌は「自由と正義」というタイトルの月刊誌であり,一般の人にも販売されています。
⑥ 弁護士会の懲戒の通知に関する規程(平成15年11月12日会規第61号)(平成16年4月1日施行)
→ 弁護士法64条の6第2項及び64条の7第1項に基づく,弁護士会の懲戒の処分及び手続に関する日弁連への通知に関する事項を定めた規程です。

5 関連記事
・ 弁護士の懲戒事由
・ 弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例
・ 弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義
・ 弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文
・ 「弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(平成5年以降の分)
→ 令和元年の場合,審査請求の件数は30件であり,原処分取消は3件であり,原処分変更は1件です。
・ 弁護士会の懲戒手続
・ 弁護士の戒告,業務停止,退会命令及び除名,並びに第二東京弁護士会の名簿登録拒否事由
・ 弁護士の業務停止処分に関する取扱い
・ 弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(平成5年以降の分)
・ 弁護士の懲戒処分の公告,通知,公表及び事前公表