日弁連の代議員会


目次
1 総論
2 代議員会の代理数及び代議員の選任割合
3 日弁連役員の選任方法
4 代議員会の議事
5 代議員の職務
6 代議員会に関する平成21年及び平成23年の改正
7 関連記事

1 総論
(1)ア 日弁連の代議員会は,副会長,理事及び監事並びに選挙管理委員会の委員の選任,会則・会規の規定又は総会・理事会の決議により代議員会に付し,あるいは特に委任するとされた事項等を審議します(日弁連会則42条)。
イ 平成23年2月9日臨時総会決議に基づき,日弁連会則改正に関する事項及び特別会費徴収に関する事項が代議員会の付議事項から除外されました。
(2) 日弁連の代議員会は毎年3月前半の金曜日,弁護士会館2階講堂「クレオ」において招集されるのが例となっていて(役員選任規程3条参照),その際,副会長,理事及び監事並びに選挙管理委員会の委員を選任しています。
(3) 平成23年3月11日(金)に開催された平成23年度代議員会の終了後に,東日本大震災が発生しました。

2 代議員会の代理数及び代議員の選任割合
(1) 代議員会の代理数
ア 代議員は最大で5人の代議員を代理することができます(日弁連会則52条2項)。
イ 出席した代議員が,代議員会の約1週間前に送付される「参考資料」に基づく役員選任に賛成する投票をしなかった場合,代理人数のカードは0人のものにされることがあるみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~3」(2020年3月16日付)参照)。
ウ 令和2年度代議員会では,午後1時30分時点で,本人出席240名,代理出席(委任状を出した人)326名だったみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~7」(2020年3月25日付)参照)。
(2) 代議員の選任割合
ア 日弁連の代議員会は,各弁護士会からそれぞれ3人及びその選任する年の1月1日現在において所属する弁護士である会員が100人以下のときは1人,100人を超えるときはその100人に達するごとに1人ずつ(その最終の100人に達しない部分については1人を加える。)の割合による人数で選任された代議員によって構成されています(日弁連会則43条)。
イ 2020年3月13日(金)の令和2年度代議員会の場合,代議員の総数は604人だったみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~4」(2020年3月17日付)参照)。
ウ 代議員の選任については各弁護士会に一任されているのであって,その選出方法には選挙及び理事者指名があります。
エ 大阪弁護士会の場合,弁護士会の方で会派等への割当を通じて定足数どおりの代議員立候補者を確保し,それがそのまま選任されており,日弁連の代議員会で何らかの活動をするつもりで代議員に立候補している会員はあまりいないというのが,平成22年度当時の実態でした(平成23年2月9日臨時総会の松本岳会員(平成23年度大弁副会長)の発言(PDF32頁)参照)。

3 日弁連役員の選任方法
(1)ア 日弁連の役員のうち,副会長,理事及び監事は,代議員会における選挙によって選出されるのが原則です(役員選任規程4条1項)。
イ 日弁連の会長は,昭和49年度までは代議員会によって選出され,昭和50年度以降は日弁連会員の直接選挙によって選出されています(「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」参照)。
(2)ア 代議員会において出席代議員の3分の2以上の同意がある場合,他の方法により役員を選出することができます(役員選任規程5条1項)。
イ 実際の運用では,「選挙によらない方法による選任を求める動議」というのが出て,それが承認された後,各地の弁護士会連合会が事前に推薦している役員が、事前に配布された一覧表のとおり選任されるということになっているみたいです。
ウ 令和2年度代議員会では,事前配布資料に記載されている副会長候補者は,一般代議員の席ではなく,議長席に向かって左側に,議場の出口に向けて並べられている席に座っていたみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~6」(2020年3月23日付)参照)。
(3) いわぽんブログの「日弁連代議員会」(2020年3月18日付)には以下の記載があります。
   自由に質疑ができるわけですから、代議員会に出席できる代議員の人は、役員人事に疑問があれば思い切り良くあれこれと聞いてみたらいいんじゃないかと思います。

4 代議員会の議事
(1)ア 代議員会に付する議案は,文書により,会日の1週間前までに到達するよう,代議員に通知しなければなりません(議事規程26条本文)。
イ 実際の運用では,代議員会開催日時の大体1週間くらい前に,「参考資料送付書」というものが日弁連事務総長からファックスで送られてきて,そこには,日弁連の副会長候補者リスト,理事候補者リスト,監事候補者リスト,及び(隔年で)選挙管理委員会委員候補者リスト(「選挙によらないで選任されるようになった場合の参考資料」という注意書きのあるもの)が含まれているみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~2」(2020年3月10日付)参照)。
(2)ア 代議員会の議長及び副議長は,代議員会において互選されるのが原則でありますものの(日弁連会則48条1項),出席した代議員の過半数の同意がある場合,その他の方法により議長及び副議長を選任することができます(議事規程23条3項)。
イ 実際の運用では,「会則では議長・副議長は代議員が互選するとあるが、~~なので、例年どおり会長に指名してもらうという方法で議長・副議長を選任されたい」という動議が採択された後,日弁連会長が議長及び副議長を指名するみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~5」(2020年3月18日付)参照)。
(3)ア 出席した代議員は,議題について自由に質疑をすることができます(議事規程32条1項)。
    そのため,代議員に選任されていれば,平の会員でも会長に質問ができることとなります。
イ 会議において発言しようとする代議員は,起立して議長と呼び,自己の氏名を告げ,議長の許可を得た後,発言することができます議事規程36条1項)。
ウ 代議員が議長の許可を受けないで発言し,その他代議員会の秩序を乱し,又は弁護士の品位を傷つける行為があったときは,議長は,これを制止し,又は発言を取り消させます(議事規程38条前段)。
    仮に代議員がその命に従わないとき,議長は,代議員会の議事が終わるまで発言を禁止し,又は退場を命ずることができます(議事規程38条後段)。
(4) 代議員会は毎年,1時間前後で終了しているみたいです(いわぽんブログの「日弁連代議員会」(2020年3月18日付)参照)。
(5) 日弁連の会員は,代議員会の議事録を閲覧し,かつ,謄写することができます議事規程41条3項)。


5 代議員の職務
(1) 代議員は,代議員会に自ら出席しない場合,代理人によってその議決権を行使することができます(日弁連会則52条1項)。
(2) 代議員になった場合,代議員会への出席のいかんにかかわらず委任状は提出しろといわれるみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~2」(2020年3月10日付)参照)。
(3) いわぽんブログの「日弁連代議員会」(2020年3月18日付)には以下の記載があります。
   具体的にいえば、多くの代議員は委任状にハンコを押せば1年間通じてのお仕事は終わってしまいます。それで済まない場合も、年1回の代議員会の日に霞ヶ関の弁護士会館へ行くことは要しますが、それにしたって1時間くらい座っていればお仕事は終わってしまうというのが、ほとんどの場合かと思います。

 代議員会に関する平成21年及び平成23年の改正
(1) 代議員会に関する平成21年12月の改正(代議員会の代理数変更及び代議員の選任割合変更)
ア 平成21年12月4日臨時総会決議に基づき,以下の事項が改正されました。
① 代議員会の代理数変更
   代議員会において出席代議員が行使できる代理権は,日弁連の創立以来,3人とされていたものの,平成22年1月1日以降,5人に変更されました。
② 代議員の選任割合変更
   代議員の選任割合は,日弁連の創立以来,弁護士会ごとに,所属する弁護士会員50人に達するごとに1人ずつ及び最終の50人に達しない部分につき1人を選任することとされていたものの,平成22年12月31日以降,上記「50人」の部分を「100人」に変更されました。
イ 田中等 日弁連副会長は,平成21年12月4日臨時総会において以下のとおり趣旨説明をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。なお,第2号議案は日弁連総会の代理数変更であり,第3号議案は代議員会の代理数変更であり,第4号議案は代議員の選任割合変更です。)。
① 近時、会員数が増加する中で日弁連の会務運営にできる限り多くの会員の意思を反映させていくことの重要性が高まっている。他方、日弁連の総会、代議員会開催に伴う弁護士会の事務上、財政上の負担も増加傾向にある。
   第2号議案から第5号議案は、会員数の増加に対応して、できる限り多くの会員の意思を反映して会務の運営方針等を決するとともに、弁護士会の負担の軽減を図るものである。
② まず第2号議案と第3号議案について、現在、出席者が代理できる数は総会では30人、代議員会では3人となっている。これは日弁連の創立当初から改正されていない。その一方で会員数は6,000名規模から2万7,000名規模へと拡大している。
   会員数が増大しても会務運営にはより多くの会員の意思を反映させるべきである。本人出席が一番望ましいが、出席できないこともある。他方、会員数が増大した結果、日弁連の総会、代議員会開催に伴う弁護士会の事務上、財政上の負担が増加している。現状では本人出席を確保せねばならず、また代理出席のために出席する会員の旅費を負担しているような状況である。
   一人が代理できる数を増やすことによってこれらの負担を軽減し、より多くの会員の意思を会務運営に反映させるのが適当である。
   そこで代理数を総会では50人へ、代議員会では5人へと改正することを提案するものである。
③ 次に第4号議案について、現在、代議員の選任割合は、所属する弁護士会員が50人以下のときは1人、これを超えるときは50人に達するごとに1人、最後の50人に達しない部分について1人としている。
   この規定も日弁連創立当初から改正されていない。そのため代議員の数は当初は288名だったが、平成21年度には724名に及んでいる。最近5年間で約150名も増加している。これに伴い弁護士会の事務上、財政上の負担も増加している。
   そこでこの負担を軽減するため、選任割合を変更することが適切である。変更した場合、資料5によれば代議員数は453名に減る。そこで選任割合を50人ごとに1人から100人ごとに1人へと改正することを提案するものである。
(2) 代議員会に関する平成23年2月の改正(代議員会の審議事項の縮小)
ア 日弁連会則改正に関する事項及び特別会費徴収に関する事項は代議員会の付議事項と定められていたものの,平成23年2月9日臨時総会決議に基づき,平成23年4月1日以降,これらの事項は代議員会の付議事項から除外されました。
イ 江藤洋一 日弁連副会長は,平成23年2月9日臨時総会において以下の趣旨説明をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。なお,第5号議案は会則改正手続変更であり,第6号議案は特別会費徴収手続変更です。)。
① この第5号議案、6号議案は、会則改正及び特別会費徴収の要件から代議員会における可決の削除を提案するものである。
   これまで代議員会のあり方に関しては、総会との審議事項との重複感が強く、屋上屋を架すものであって不要であるとの意見がある一方で、慎重審議に資する、小規模弁護士会の意見の尊重、執行部に対するチェック機能、大規模弁護士会に対する牽制等を理由に必要であるとの意見もあった。
   これに対し不要論からは、必要論はいずれも理事会、総会における充実した審議を行うことで十分足りており、あえて代議員会で議論するまでもないとの再反論があった。平成21年度に弁護士会に照会を行ったところ、過半数の28会が賛成したものの、反対会も15会あるという意見分布であった。
   日弁連機構改革委員会は、昨年3月9日に答申を行い、代議員会廃止論が多数を占め、その他の委員のうち半数は権限縮小を主張し、現状を肯定する委員は1人もいなかった。
   同答申は、各弁護士会への照会を求めており、宇都宮執行部も各弁護士会に対し意見照会を行ったところ、賛成の弁護士会が42会にのぼり、反対は6会にとどまった。また、一昨年度反対しながら今回賛成に回った弁護士会は9会に及んだ。
   このように、大方の弁護士会及び会員の賛同を得られたものと考えている。
② 他方、反対の意見をどのように受け止めるかにつき、若干述べる。
   まず、慎重審議という点は、理事会、総会により十分慎重な審議が行われており、あえてこれに代議員会を重ねる必要はないと考える。
   次に、小規模弁護士会の意見尊重という点は、おそらくは、小規模弁護士会においては、その会員数が日弁連の全会員数に占める割合よりも、当該会の代議員数が全代議員数に占める割合のほうが大きいということを根拠にした意見であろうと伺っている。
   しかしながら、その割合の違いはわずかにコンマ数%にすぎず、果たして小規模弁護士会の意見尊重といえるほどのものか疑問である。加えて、全国比の大小をいうと、代議員数よりも理事会における理事数のほうが更に小規模弁護士会に有利に割り振られており、現在行われているように理事会の審議を慎重に行うことによって、小規模弁護士会の意見は十分に尊重されると考えている。
   さらに、執行部に対するチェック機能という意見もあった。いまだ執行部が種々のチェック機能を無視したという話は聞いていないし、代議員会の決議要件を削除したからといって、そのチェック機能が低下するとは考えていない。
   また、大規模弁護士会に対する牽制については、先ほどの小規模弁護士会の意見尊重ということと裏腹の関係にあり、そのまま当てはまると考える。
③ 以上のとおり、会則改正と特別会費徴収の要件から代議員会の決議を削除することに何の支障もなく、かえって関連委員会、各弁護士会、理事会、総会における審議を実質的に深めるためにも、本議案を承認いただきたく提案する。
(3) 日弁連七十年「Ⅲ 日弁連の組織運営にかかわる諸問題への取組」が参考になります。

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