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愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)の事前漏えい疑惑に関する国会答弁

目次
第1 愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)の事前漏えい疑惑に関する国会答弁
第2 関連記事その他

第1 愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)の事前漏えい疑惑に関する国会答弁
・ 愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)に関しては,その評議内容に関する記事が平成9年2月9日の朝日新聞及び共同通信配信地方紙に掲載されましたところ,この問題に関する平成9年3月25日の参議院予算委員会における国会答弁は以下のとおりです(野間赳は,愛媛県選出の参議院議員(自民党)であり,18期の涌井紀夫裁判官は最高裁判所総務局長でした。)。

○野間赳君 先般三月十一日の当予算委員会におきまして、愛媛県玉ぐし料訴訟の報道に関しましての質問をいたしました。また、三月十八日には我が党の先輩であります板垣先生からもこの件につきましての質問がなされたのであります。
   最高裁からは、漏えい疑惑につきまして厳格な調査をした、漏えいはなかったと繰り返しの答弁がなされてまいりました。念には念を入れて調査をして、調査結果は間違っていなかったと断言をなされておられるのであります。
   その後、私も先日来の新聞記事を幾度となく読んでみました。しかし、どうしても予測、予想で書ける記事ではないように思えてならないのであります。そこで、本日改めて時間をちょうだいいたしましてこの問題につきまして再び質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
まず、最高裁が行った調査につきましてお伺いをいたします。
   先日、私の質問に対しましての答弁、内部の関係者ということになりますと、本件の合議に直接関与しております十五名の裁判官を含めまして、さらにその合議の内容を審議用の資料を通じて間接的にでも知り得る可能性にあります調査官であるとか、またあるいは裁判官の秘書官であるとか書記官、事務官等々、人数にいたしまして合計で五十名弱の者について調査を行ったということでありました。
   調査の中身そのものは無論明らかにできないということでありましたが、厳格に十分念を入れて調査をされたと、こういうことでございましたので、一体どのような方法、手段で調査をなされたものか、お伺いをいたしたいと思います。
   直接に面接でおやりになられたのか、電話であったとか具体的にお願いをいたします。調査はどのような機関で何人ぐらいで行われたのか、まずお伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 調査の方法でございますが、まずその対象者をどうするかという問題がございまして、私どもの方ではこの事件の合議の内容を直接間接に知る可能性のある者をできるだけ広く調査の対象にいたしまして調査をしたつもりでございます。
   もちろん、事件の合議の内容を直接知っておりますのは十五名の裁判官でございますけれども、実は調査官というのがございまして、これは事件のいろんな法律問題等の調査を担当いたしますので、審議の経過で裁判官の指示に従いましていろいろ調査をしたりいたしますので、その過程で間接的にと申しますか審議の内容に触れる機会がございます。
   それから、裁判官の秘書官というのは裁判官の手元にある資料すべてについて目にする機会がございますので、こういう裁判官の秘書官も調査の対象にいたしました。
   それから、事件の進行手続をいろいろ管理しております書記官というのも、これまたさらに間接的な形ではございますけれども合議の内容等を一部知り得る可能性もございますし、また事件用の書類の作成に関与します事務官等の中にも、そういう間接的な意味で部分的に審議の内容等を知り得る可能性がある者がございます。
   こういった者をできるだけ広く調査の対象に含めまして、総計で言いますと、委員今御指摘ございましたように、五十名弱の者を調査の対象として選んだわけでございます。
   実は、この調査の具体的な方法、内容になってまいりますと、特にこの事件の審理を担当しております裁判官についてどういう調査をどういう方法で行ったかということになってまいりますと、これは事件の合議内容そのものともう非常に密接に関連してまいります。まさに秘密そのものという事項になりますので、なかなかそこまで申し上げることが難しいわけでございますけれども、要するにそういう事件の合議の内容を直接間接に知り得る可能性のある者一人一人につきまして、その合議の秘密というものを外部に漏らした事実がないかどうかということを十分念を入れまして確認しております。
   調査の方法でございますが、例えば書面等によりまして通り一遍の調査をしたというものではございませんで、いろんな調査方法あるいは確認方法を講じまして、いろんな角度から総合的に事実関係を確認いたしまして、内部の者から合議の秘密が漏えいされたという事実は認められないという、そういう結論に達したわけでございます。
○野間赳君 また、先般の板垣先生の質問に対しましては、私どもの方、内部の者、それから報道機関側双方についても十分念を入れて調査をしたというお答えでございました。
   朝日新聞、共同通信につきましての調査はどのような調査であったのか、これも具体的にお答えをいただきたいと思います。厳格な調査であれば、記事を書かれた、執筆した記者についても直接調査をなされたのかどうか、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 報道機関側に対しましては、裁判所担当の記者というのがございますので、その記者を呼びまして直接本人から、これは一度だけではございませんで、繰り返し取材経過等について釈明を聴取するという、そういう措置を講じております。その結果、記者の側からも、本件の報道が裁判所の内部からの秘密の漏えいによるものではないんだという、そういう釈明を受けておるわけでございます。
○野間赳君 ここに「編集週報」の写しがあるわけでありますが、これは共同通信社の社内報であります。加盟社のトップしか見られない資料であるということであります。第二ハ六二号、一九九七年二月十五日に発行されました社会部の一部のものであります。
   これをちょっと読ませていただきます。六行目ぐらいになるわけでありますが、「愛媛玉ぐし料訴訟で社会部は八日夜、近く予想される最高裁大法廷の判決内容を予測する特ダネ記事を出稿した。」、こういうふうに書いております。
   八日の夜といいますと、新聞が出ましたのが二月九日、前の晩ということであります。こういうふうな新聞が出ましたのが二月九日、これは愛媛新聞でありますが、無論、全国共同通信の配信によります十二社また朝日新聞、こういうことで二月九日に出た記事であります。その前日のことがこのように、今私が申し上げましたように書かれておるということであります。
   続きまして、
   玉ぐし料の公費支出は政教分離の原則に反し違憲の判断を示す見通しとなったという内容で、地元の愛媛新聞など十二紙が一面トップで掲載したのをはじめ加盟社の紙面で大きく扱われた。
わが社だけかと思っていたら敵もさるもの全国紙A紙がほぼ同様の内容を九日付朝刊に打ってきた。
   こういうこと。今私が申し上げましたようにA紙、これは全国紙で出たのは朝日新聞だけでありますから朝日新聞と特定ができるものであります。きょうから四十五日前の記事であります。無論、裁判はこれからという段階の今日の状況でございます。
   しかし社会部の記事は「宗教行事そのものへの支出と言え、過去に社会的儀礼として合憲判断が出た神道式地鎮祭とは同じに扱えない」などとする違憲論が「靖国神社が戦没者慰霊の中心的施設で社会的儀礼の性格が強い」との合憲論を上回った審理経過に踏み込んでいる。
   こういうことも書かれております。無論、審理経過、合議という表に出ちゃならぬ問題がこういうふうなことで書かれておるのであります。
また政教分離をめぐる過去の裁判で国や自治体と宗教とのかかわりがどの程度なら許されるかの基準となっている「目的効果基準」の審理経過ここも審理経過が出てきております。非公開のものが出てきておる。
   についても触れ、はるかに詳しい内容の記事となっている。
   ということがこの社内報に示されております。
   また、
   社会部の予測記事通りなら愛媛玉ぐし料訴訟は最高裁として初の違憲判断を示す画期的な判決となる。
   判決は従軍慰安婦、南京虐殺事件などにかかわる太平洋戦争の戦争責任論に通じる意味を持つ。アジアの国々も注目しているのではないか。だから前例のない特ダネ記事などとはしゃぐ気は毛頭ない。
   「抗議電話が多数かかった」などとして案の定最高裁から厳しいおしかりを受けた。
   おとがめを受けた、そういうことがここに書かれておるのであります。大変なことであります。これが二月十五日付の共同通信社の「編集週報」ということであります。
   以上の中で疑問に思うことが数点私はございます。推測、予測の記事と言いながら、特だね記事、また前例のない特だね記事であることをはっきりとここで述べておるわけであります。普通、特だねというのはスクープの記事というのが我々の常識的な理解であるわけでありますが、特別な情報を入手してということでなかろうかと私も思うわけであります。また、前例のない特だね記事と述べておりますように、単なる言われております予測記事でない、ここが異なるものであると私は思います。
   また、審理経過に踏み込んでおるということもここで述べております。審理経過に触れという表現もされております。審理経過は非公開であるべき合議の中身そのものを指すものでございます。それが出たものでありますから、これは私は大変重要なことであると思います。
   そして、最後に私が読みました「案の定最高裁から厳しいおしかりを受けた。」、おとがめを受けたとございます。本当に推測の記事であればこのような言い方をしません。秘密情報を入手した上でのトップニュースでありますから最高裁のおしかりを受けたということでありましょう。この問題を     私は、この社内報から新しくきょう指摘させていただきます。
   これらにつきましてどのように思われますか、お尋ねをするわけでありますが、幾ら最高裁が漏えいの事実はなかったということを言われましても、共同通信側では秘密情報を入手していると等しいのではないか。
   前回に質問をいたしました記事の内容で、あなた自身のお口から、
   これはあたかも合議の内容自体を具体的に報ずるというそういう形の記事になっておりますので、これをお読みになった方の立場からいたしますと、これは裁判所の合議の秘密が内部から漏れてそれが記事になったんじゃないか、そういうふうなお感じをお持ちになるというのは当然であるという面があろうかと思います。
とあなたは御答弁をなされたのであります。
   このような状況からして、漏えいがあったと見るのがもう自然的、常識的であると私は思います。いかがでしょうか。また、予測であればあれほど踏み込んだ記事が書けると思うか、お伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 御紹介のありました「編集週報」という記事の書かれました根拠等を承知しておりませんので、その記事の内容について御意見等を申し上げる立場にないわけでございますが、委員御指摘になりましたとおり、その記事の構成自体は非常に合議の内容に踏み込んだような記事になっておりまして、これを読みます読者あるいは国民の立場からいたしますと、あたかも合議の秘密が何らかの形で漏えいされたのではないか、そういう疑念を抱かせるような記事になっていることはそのとおりでございます。
   まさに、その点が私ども裁判所の立場からいたしますと、裁判に対する国民の信頼という観点からいたしまして非常に遺憾な記事であるということで、共同通信に対しては厳重に抗議をしたわけでございます。
○野間赳君 また、事務総長によります記者会見をして報道機関側に厳重に注意をしたということでありますが、どのような抗議をどのような形で行ったのか、お伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 先ほど来申し上げておりますような調査をいたしまして、その結果、裁判所内部の者からその合議の秘密が漏えいされたという、そういう事実は認められなかったと。また他方、報道機関の側からも、この記事といいますのは内部の者からの秘密の漏えいに基づいて掲載した記事ではないんだと、あくまで外部のいろんな関係者の取材でありますとかこれまでの判例、学説等の取材、そういうものに基づいて判決の予測をした記事であるという、こういう釈明があったわけでございます。
   ただ、それにいたしましても、裁判所の立場からいたしますと、この記事というのはあたかもその合議の秘密が漏えいされたかのような記事になっておりまして、国民に対しては、合議の秘密が漏えいされたんじゃないか、あるいはこういう報道自体がこの事件の合議に影響を与えるんじゃないか、こういうふうな疑念を抱かせる内容の記事になっておりまして、裁判の公平に対する国民の信頼を失わせる、おそれがある、そういう非常に遺憾な記事であると、その点につきまして報道機関に抗議をしたわけでございます。
○野間赳君 どのような抗議をなされたのか、具体的にもう一度お尋ねをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 事務総長が朝日新聞と共同通信の両社の編集の責任者を呼びまして、それで書面をもちまして、今言いましたように、このような報道が合議の秘密が漏えいされたのではないかという疑念、あるいは合議に影響を与えるのではないかという疑念を国民に抱かせ、裁判の公平に対する国民の信頼を失わせるおそれがある非常に遺憾な記事であるということを記載しました書面を交付いたしまして抗議しております。
○野間赳君 お聞きのようなことでありますが、国民の中からも最高裁に対して秘密漏えいの疑惑を指摘する声が私のところにもたくさん参っております。最高裁に対しましても真相究明の要望や抗議があるようにも聞き及んでおりますが、その実情はいかがなことになっておりますのか、お尋ねをいたします。
   最高裁では、信頼回復のため二月十九日に事務総長の記者会見を行ったと言われますが、その後国民からの反応がどのように変わってきたか、お尋ねをいたします。
   また、要望、抗議の件数など把握をなされておりましたらお示しをいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 本件の報道がございまして以降、最高裁に全国から電話や書面等でいろんな抗議の意思表示が寄せられております。
 三月二十四日の時点の合計で言いますと、電話等は、余り正確な数字ではございませんが、百数十件ございましたし、書面によるものでは五百件余りのものが出ております。また、三月三日付では大学教授等二十名の方の連名で、真相究明するよう要望するという要望書が提出されましたし、また三月十八日付では、八十名余りの学者等の方の最高裁判決報道の真相究明を求める会という、そういう名前で同じような趣旨の要望書が提出されております。
○野間赳君 大変な数であると思います。議論を通じましても秘密の漏えいの疑惑はぬぐい去ることができないのであります。それどころか、ますます疑惑は深まるように思われます。
   最高裁は、何としてもこのような漏えい疑惑を晴らし、国民の司法に対する信頼回復に努めていかなければならないと私は思います。そのためにも、もっと国民に十分納得のできるような再調査をしていただきたい、はっきりさせるべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 最高裁といたしましては、先ほど来申し上げておりますような方法で十分念を入れた調査を行いました上で、今回の報道に関しまして裁判所の部内から合議の秘密が漏えいしたという、そういう事実は認められないという結論を得まして、国民の司法に対する信頼を確保するという、そういう見地からこの事実関係を記者会見を開きまして事務総長からも明らかにしております。また、報道機関に対しても厳重に抗議するという措置をとったわけでございます。私ども十分念を入れた慎重な調査を行った結果に基づいてこういう措置をとったつもりでございますので、これ以上何か新たな対応を行うということは考えておりません。
○野間赳君 国民の公平な裁判を受ける権利は憲法が保障する最も重要な権利の一つであります。そして、裁判が公平に行われればこそ、国民は裁判の内容に幾ら不服があろうともそれに服さなければならないのであります。残念ながら、本件では公平の中にも公平であるべき最高裁に秘密漏えいという疑惑が持たれているのでありまして、現状のままではとても公平な裁判とは言えないのではないでしょうか。国民の疑惑は解消されず、一層深まるばかりであります。国民の支持は決して得られるものではないと思います。
   再度お伺いをいたします。
   信頼回復のため、新たに調査をするなり措置をとるなり、国民にわかりやすい対応をされるお考えはないかどうか、最後にお伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 繰り返しになりますが、私どもの方では十分念を入れて慎重な調査を行いました結果に基づいて、その調査結果を記者会見の席で一般にも明らかにしておりますし、報道機関に対しましても厳重な抗議の措置をとっておりますので、これ以上新たな対応を行うということは考えておりません。
   ただ、最高裁としましても、もとより今回の報道によっていささかも影響されるものではございませんで、今後とも中立公正な裁判に向けて力を尽くしていく所存でありますことは、二月十九日の事務総長の声明にもあるとおりでございます。
○委員長(大河原太一郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
○委員長(大河原太一郎君) 速記を起こして。
○野間赳君 この問題は、私が今申し上げてきましたように、まだまだ疑惑が晴れないものがあります。国民の信頼の回復のためにも再度厳格な調査を求めるものであります。
   そのことにつきましては委員長に取り計らいを一任させていただきますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
○委員長(大河原太一郎君) 野間君のただいまの申し出につきましては、後刻、理事会において協議をいたします。
○野間赳君 そういうことで大きく失墜をいたしました最高裁の権威を回復して国民の司法に対する信頼を再び取り戻すためには、まず最高裁自身が国民の疑惑をはっきりと晴らすことでなかろうかと思います。それによって初めて公平な裁判が実現するということを強く申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。


第2 関連記事その他
1 18期の涌井紀夫裁判官は,平成9年3月28日の参議院予算委員会において以下の答弁をしています。
(山中注:愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決の事前漏えい疑惑に関しては,)関係の職員全部について調査をいたしまして、その結果、内部から秘密が漏えいされた事実は認められないという結論になったわけでございます。
   その後、今御指摘のございましたような「編集週報」の記事も見ましたので、この「編集週報」の執筆者である共同通信社の社会部長にも事実を確認いたしましたが、この記事も内部からの秘密の漏えいということを書いた記事ではないという、そういう説明を受けております。
   国民新聞につきましても、そこで指摘されました裁判官につきまして再度事実を確認しておりますけれども、この裁判官を通じて秘密が漏れたという事実は認められませんでしたので、国民新聞に対しましても書面によりまして抗議をしております。
   確認を要する事実が出てきました際にはきちんとこういう対応をしてきておりますので、今後ともさらに確認を要するような事実が出てきました場合にはきちんとした対処をしていきたい、かように考えております。
2 「国民の覚醒を希う」(著者は三好達 元最高裁判所長官)に含まれる「付録 穏やかな烈士 渡辺一雄」(同書362頁)には以下の記載があります。
三好に、
「長い裁判官生活で最も思い出に残るものを強いてあげるとすれば何ですか?」と問うた。
「それは平成九年の愛媛県玉串料訴訟の判決です」
という言葉がすぐ返ってきた。
この裁判に於て、最高裁判所大法廷は、愛媛県が靖國神社の例大祭に当り、公金から一回五千円の玉串料を支出したことなどが、県の宗教活動に当り、憲法に違反する行為であると判示した。
最高裁長官・三好は右例示に反対意見を付した。
「戦没者の追悼、慰霊は当然の礼儀であり、道義の上からは義務ともいえるものと思ったからです」
三好は穏やかな風貌の持ち主で、話し方も淡々としていたが、このときばかりは顔に朱がさし、言葉遣いも激しくなった。
-わたしが三好を穏やかな烈士と呼ぶのは、そのときの印象が強烈だったからである。
3 以下の記事も参照してください。
・ 昭和24年7月16日発生の最高裁判所誤判事件に関する最高裁大法廷昭和25年6月24日決定
・ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容

最高裁判所大法廷の判決及び決定の一覧

目次
第1 最高裁判所大法廷の判決及び決定の一覧
令和6年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
令和5年の最高裁判所大法廷の判決(4本。ただし,実質3本)
令和4年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
令和3年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
令和3年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
令和2年の最高裁判所大法廷の判決(3本。ただし,実質2本)
令和2年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
平成31年→令和元年の最高裁判所大法廷の判決及び決定(0本)
平成30年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
平成30年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
平成29年の最高裁判所大法廷の判決(5本。ただし,実質4本)
平成28年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
平成27年の最高裁判所大法廷の判決(5本,ただし,実質4本)
平成26年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
平成25年の最高裁判所大法廷の判決・決定(3本。ただし,実質2本)
平成24年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
平成23年の最高裁判所大法廷の判決・決定(4本。ただし,実質3本)
平成22年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成21年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成20年の最高裁判所大法廷の判決(3本。ただし,実質2本)
平成19年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
平成18年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成17年の最高裁判所大法廷の判決(3本)
平成16年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成15年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
平成14年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成13年の最高裁判所大法廷の判決・決定(2本)
第2 大法廷回付
1 最高裁判所事務処理規則9条
2 書記官室の事務
3 大阪空港訴訟における大法廷回付
第3 徴する判決の問題点
第4 関連記事その他


令和6年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
最高裁大法廷令和6年7月3日判決の判示事項
1 優生保護法中のいわゆる優生規定(同法3条1項1号から3号まで,10条及び13条2項)は、憲法13条及び14条1項に違反する
2 上記優生規定に係る国会議員の立法行為は,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける
3 不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には,裁判所は,除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができる
4 同条後段の除斥期間の主張をすることが信義則に反し権利の濫用として許されないとされた事例

令和5年の最高裁判所大法廷の判決(4本。ただし,実質3本)
最高裁大法廷令和5年10月25日決定の判示内容
 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号は、憲法13条に違反する。
最高裁大法廷令和5年10月18日判決及び最高裁大法廷令和5年10月18日判決の判示内容
 令和4年7月10日に行われた参議院議員通常選挙当時、平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない
最高裁大法廷令和5年1月25日判決の判示内容
 令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙当時、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。

令和4年の最高裁判所大法廷の判決
最高裁大法廷令和4年5月25日判決の判示内容
1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法15条1項、79条2項、3項に違反する
2 在外国民が、国が自らに対して次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認を求める訴えは、適法である
3 在外国民に国民審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとされた事例


令和3年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
最高裁大法廷令和3年2月24日判決の判示事項
   市長が都市公園内の国公有地上に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料を全額免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例
令和3年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
最高裁大法廷令和3年6月23日決定の判示事項
   民法750条及び戸籍法74条1号は,憲法24条に違反しない
→ 最高裁大法廷平成27年12月16日判決と同趣旨の判断です。

令和2年の最高裁判所大法廷の判決(3本。ただし,実質2本)

最高裁大法廷令和2年11月25日判決の判示事項
   普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となる。
最高裁大法廷令和2年11月18日判決及び最高裁大法廷令和2年11月18日判決の判示事項
    令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙当時,平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。
令和2年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
最高裁大法廷令和2年8月26日決定の裁判要旨
   裁判官がインターネットを利用して投稿による情報発信等を行うことができる情報ネットワーク上で投稿をした行為は,次の⑴~⑶など判示の事情の下においては,裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たる。
⑴ 当該投稿は,以前に当該裁判官がインターネットを利用した情報ネットワーク上で閲覧者の性的好奇心に訴え掛けて興味本位で強盗殺人及び強盗強姦未遂事件についての判決を閲覧するよう誘導しようとする投稿をして,上記事件の被害者の遺族から抗議等がされていたという経緯の下でされたものであった。
⑵ 当該投稿は,根拠を示すことなく,上記遺族が当該裁判官を非難するよう東京高等裁判所事務局等から洗脳されている旨の表現を用いたものであり,あたかも上記遺族が自ら判断をする能力がなく,上記事務局等の思惑どおりに不合理な非難を続けている人物であるかのような印象を与える侮辱的なものであって,上記(1)の以前の投稿によって心情を害されていた上記遺族の心情を更に傷つけるものであった。
⑶ 当該投稿は,自らが裁判官であることを示しつつ多数の者に向けてされたものであった。
* 最高裁大法廷令和2年8月26日決定が出される原因となったブログ記事は「下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等」です。


平成31年→令和元年の最高裁判所大法廷の判決及び決定
なし。

平成30年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)

最高裁大法廷平成30年12月19日判決及び最高裁大法廷平成30年12月19日判決の判示事項
    平成29年10月22日施行の衆議院議員総選挙当時,公職選挙法13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず,上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない 。

平成30年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
最高裁大法廷平成30年10月17日決定の裁判要旨
1 裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいう。
2 裁判官がインターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワーク上で投稿をした行為は,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たる。
(1) 当該投稿は,これをした者が裁判官の職にあることが広く知られている状況の下で行われた。
(2) 当該投稿は,判決が確定した当該裁判官の担当外の民事訴訟事件に関し,その内容を十分に検討した形跡を示さず,表面的な情報のみを掲げて,私人である当該訴訟の原告が訴えを提起したことが不当であるとする一方的な評価を不特定多数の閲覧者に公然と伝えるものであった。
(3) 当該投稿は,上記原告が訴訟を提起したことを揶揄するものともとれるその表現振りとあいまって,同人の感情を傷つけるものであった。
 (2につき補足意見がある。)

平成29年の最高裁判所大法廷の判決(5本。ただし,実質4本)
最高裁大法廷平成29年12月6日判決の裁判要旨
1 放送法64条1項は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,日本放送協会からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には,その者に対して承諾の意思表示を命ずる判決の確定によって受信契約が成立する
2 放送法64条1項は,同法に定められた日本放送協会の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして,憲法13条,21条,29条に違反しない
3 受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する
4 受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効は,受信契約成立時から進行する


最高裁大法廷平成29年11月29日判決の判決文抜粋
   刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。
最高裁大法廷平成29年9月27日判決及び最高裁大法廷平成29年9月27日判決の裁判要旨
    平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙当時,平成27年法律第60号による改正後の公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,上記規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。
 (意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成29年3月15日判決の裁判要旨
   車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であり,令状がなければ行うことができない強制の処分である。


平成28年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
最高裁大法廷平成28年12月19日決定の裁判要旨
   共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。
(補足意見及び意見がある。)。

平成27年の最高裁判所大法廷の判決(5本,ただし,実質4本)
最高裁大法廷平成27年12月16日判決の裁判要旨
1 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は,憲法14条1項,24条2項に違反しない。
2 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法14条1項,24条2項に違反するに至っていた。
3 法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては,国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして,例外的に,その立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けることがある。
4 平成20年当時において国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことは,(1)同項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分が合理性を欠くに至ったのが昭和22年民法改正後の医療や科学技術の発達及び社会状況の変化等によるものであり,(2)平成7年には国会が同条を改廃しなかったことにつき直ちにその立法不作為が違法となる例外的な場合に当たると解する余地のないことは明らかであるとの最高裁判所第三小法廷の判断が示され,(3)その後も上記部分について違憲の問題が生ずるとの司法判断がされてこなかったなど判示の事情の下では,上記部分が違憲であることが国会にとって明白であったということは困難であり,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。
(1につき補足意見,1,2につき補足意見及び意見,1~4につき補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成27年12月16日判決の裁判要旨
1 民法750条は,憲法13条に違反しない。
2 民法750条は,憲法14条1項に違反しない。
3 民法750条は,憲法24条に違反しない。
(3につき補足意見,意見,反対意見がある。)
最高裁大法廷平成27年11月25日判決及び最高裁大法廷平成27年11月25日判決の裁判要旨
   平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙当時において,公職選挙法13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
 (補足意見,意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成27年3月4日判決の裁判要旨
1 被害者が不法行為によって死亡した場合において,その損害賠償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金の支給を受け,又は支給を受けることが確定したときは,損害賠償額を算定するに当たり,上記の遺族補償年金につき,その塡補の対象となる被扶養利益の喪失による損害と同性質であり,かつ,相互補完性を有する逸失利益等の消極損害の元本との間で,損益相殺的な調整を行うべきである。
2 被害者が不法行為によって死亡した場合において,その損害賠償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金の支給を受け,又は支給を受けることが確定したときは,制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り,その塡補の対象となる損害は不法行為の時に塡補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが相当である。


平成26年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
最高裁大法廷平成26年11月26日判決及び最高裁大法廷平成26年11月26日判決の裁判要旨
   平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙当時において,公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,選挙区間における投票価値の不均衡は平成24年法律第94号による改正後も違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったが,上記選挙までの間に更に上記規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)

平成25年の最高裁判所大法廷の判決・決定(3本。ただし,実質2本)
最高裁大法廷平成25年11月20日判決及び最高裁大法廷平成25年11月20日判決の裁判要旨
   平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時において,公職選挙法(平成24年法律第95号による改正前のもの)13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
 (意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成25年9月4日決定の裁判要旨
1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。
2 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。
 (1,2につき補足意見がある。)

平成24年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
最高裁大法廷平成24年10月17日判決及び最高裁大法廷平成24年10月17日判決の裁判要旨
   公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,平成22年7月11日施行の参議院議員通常選挙当時,選挙区間における投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたが,上記選挙までの間に上記規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。
 (補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成23年の最高裁判所大法廷の判決・決定(4本。ただし,実質3本)
最高裁大法廷平成23年11月16日判決の裁判要旨
1 憲法は,刑事裁判における国民の司法参加を許容しており,憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法政策に委ねている。
2 裁判員制度は,憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項に違反しない。
3 裁判員制度は,憲法76条3項に違反しない。
4 裁判員制度は,憲法76条2項に違反しない。
5 裁判員の職務等は,憲法18条後段が禁ずる「苦役」に当たらない。
最高裁大法廷平成23年5月31日決定の裁判要旨
   最高裁判所長官が,裁判員制度の実施に係る司法行政事務に関与したからといって,同制度の憲法適合性を争点とする事件について,「不公平な裁判をする虞」があるということはできない。
最高裁大法廷平成23年3月23日判決及び最高裁大法廷平成23年3月23日判決の裁判要旨
    平成21年8月30日施行の総選挙当時において,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準のうち,同条2項のいわゆる1人別枠方式に係る部分は,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っており,同基準に従って平成14年に改定された公職選挙法13条1項,別表第1の定める選挙区割りも,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたが,いずれも憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記各規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
 (補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成22年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成22年1月20日判決の裁判要旨
1 市が連合町内会に対し市有地を無償で建物(地域の集会場等であるが,その内部に祠が設置され,外壁に神社の表示が設けられている。),鳥居及び地神宮の敷地としての利用に供している行為は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記行為がもともとは小学校敷地の拡張に協力した地元住民に報いるという世俗的,公共的な目的から始まったものであるとしても,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものであって,憲法89条,20条1項後段に違反する。
(1) 鳥居,地神宮,神社と表示された建物入口から祠に至る上記各物件は,一体として神道の神社施設に当たるもので,そこで行われている諸行事も,このような施設の性格に沿って宗教的行事として行われている。
(2) 上記各物件を管理し,祭事を行っている氏子集団は,祭事に伴う建物使用の対価を連合町内会に支払うほかは,上記各物件の設置に通常必要とされる対価を支払うことなく,その設置に伴う便益を長期間にわたり継続的に享受しており,前記行為は,その直接の効果として,宗教団体である氏子集団が神社を利用した宗教的活動を行うことを容易にするものである。
2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断には,違法がある。
(1) 上記神社施設を直ちに撤去させるべきものとすることは,氏子集団の同施設を利用した宗教的活動を著しく困難なものにし,その構成員の信教の自由に重大な不利益を及ぼすものとなる。
(2) 神社施設の撤去及び土地明渡請求以外に,例えば土地の譲与,有償譲渡又は適正な対価による貸付け等,上記行為の違憲性を解消するための他の手段があり得ることは,当事者の主張の有無にかかわらず明らかである。
(3) 原審は,当事者がほぼ共通する他の住民訴訟の審理を通じて,上記行為の違憲性を解消するための他の手段が存在する可能性があり,市長がこうした手段を講ずる場合があることを職務上知っていた。
 (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成22年1月20日判決の裁判要旨
   市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことは,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,憲法20条3項,89条に違反しない。
(1) 上記神社施設は明らかに神道の神社施設であり,そこでは神道の方式にのっとった宗教的行事が行われており,上記のような市有地の提供行為をそのまま継続することは,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されるおそれがあった。
(2) 上記譲与は,市が,監査委員の指摘を考慮し,上記(1)のような憲法の趣旨に適合しないおそれのある状態を是正解消するために行ったものである。
(3) 上記市有地は,もともと上記町内会の前身の団体から戦前に小学校の教員住宅用地として寄附されたが,戦後,上記教員住宅の取壊しに伴いその用途が廃止されたものである。

平成21年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成21年11月18日判決の裁判要旨
   地方自治法施行令115条,113条,108条2項及び109条の各規定のうち,公職選挙法89条1項を準用することにより,公務員につき議員の解職請求代表者となることを禁止している部分は,その資格制限が解職の請求手続にまで及ぼされる限りで,同法中の選挙に関する規定を解職の投票に準用する地方自治法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超え,無効である。
 (補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成21年9月30日判決の裁判要旨
   公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成19年7月29日施行の参議院議員通常選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)

平成20年の最高裁判所大法廷の判決(3本。ただし,実質2本)
最高裁大法廷平成20年9月10日判決の裁判要旨
   市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
 (補足意見及び意見がある。)
最高裁大法廷平成20年6月4日判決の裁判要旨
 1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも上告人らが国籍取得届を提出した平成17年当時において,憲法14条1項に違反していたものである。
 2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,国籍法3条1項所定の国籍取得の要件のうち,日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている部分,すなわち父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた要件が満たされるときは,国籍法3条1項に基づいて日本国籍を取得する。
 (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成20年6月4日判決の裁判要旨
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも上告人が国籍取得届を提出した平成15年当時において,憲法14条1項に違反していたものである。
2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,国籍法3条1項所定の国籍取得の要件のうち,日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている部分,すなわち父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた要件が満たされるときは,国籍法3条1項に基づいて日本国籍を取得する。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成19年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
最高裁大法廷平成19年6月13日判決の裁判要旨
1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条のいわゆる1人別枠方式を含む衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定は,憲法14条1項に違反するものとはいえず,平成14年法律第95号による公職選挙法の改正により上記基準に従って改定された同法13条1項,別表第1の上記区割りを定める規定は,その改定当時においても,平成17年9月11日施行の衆議院議員選挙当時においても,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
2 衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党に政見放送その他の選挙運動を認める公職選挙法の規定は,候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に選挙運動の上で差異を生ずるものであるが,その差異が合理性を有するとは考えられない程度に達しているとまで断ずることはできず,憲法14条1項に違反するとはいえない。
 (1につき補足意見,意見及び反対意見,2につき意見及び反対意見がある。)

平成18年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成18年10月4日判決の裁判要旨
   公職選挙法(平成18年法律第52号による改正前のもの)14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成16年7月11日施行の参議院議員選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成18年3月1日判決の裁判要旨
1 市町村が行う国民健康保険の保険料については,これに憲法84条の規定が直接に適用されることはないが,同条の趣旨が及ぶと解すべきであるところ,国民健康保険法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険としての国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して判断する必要がある。
2 旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)が,8条(平成6年旭川市条例第29号による改正前のもの及び平成10年旭川市条例第41号による改正前のもの)において,国民健康保険の保険料率の算定の基礎となる賦課総額の算定基準を定めた上で,12条3項において,旭川市長に対し,保険料率を同基準に基づいて決定して告示の方式により公示することを委任したことは,国民健康保険法81条に違反せず,憲法84条の趣旨に反しない。
3 旭川市長が旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)12条3項の規定に基づき平成6年度から同8年度までの各年度の国民健康保険の保険料率を各年度の賦課期日後に告示したことは,憲法84条の趣旨に反しない。
4 旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)19条1項が,当該年において生じた事情の変更に伴い一時的に保険料負担能力の全部又は一部を喪失した者に対して国民健康保険の保険料を減免するにとどめ,恒常的に生活が困窮している状態にある者を保険料の減免の対象としていないことは,国民健康保険法77条の委任の範囲を超えるものではなく,憲法25条,14条に違反しない。
 (1〜3につき補足意見がある。)

平成17年の最高裁判所大法廷の判決(3本)
最高裁大法廷平成17年12月7日判決の裁判要旨
1 都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち同事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有する。
2 鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち同事業に係る東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)2条5号所定の関係地域内に居住する者は,その住所地が同事業の事業地に近接していること,上記の関係地域が同事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で同事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として同条例13条1項に基づいて定められたことなど判示の事情の下においては,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有する。
3 鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事業が鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業と別個の独立したものであること,上記付属街路が鉄道の連続立体交差化に当たり環境に配慮して日照への影響を軽減することを主たる目的として設置されるものであることなど判示の事情の下においては,付属街路の設置を内容とする上記事業の事業地の周辺に居住する住民は,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有しない。
 (1,2につき補足意見,3につき補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成17年9月14日判決の裁判要旨
1 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
2 公職選挙法附則8項の規定のうち,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は,遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
3 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
4 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民は,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録され ていることに基づいて投票をすることができる地位にある。
5 国会議員の立法行為又は立法不作為は,その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには,例外的に,国家賠償法1条1項の適用上,違法の評価を受ける。
6 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権行使の機会を確保するためには,上記国民に上記選挙権の行使を認める制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず,上記国民の国政選挙における投票を可能にするための法律案が廃案となった後,平成8年10月20日の衆議院議員総選挙の施行に至るまで10年以上の長きにわたって国会が上記投票を可能にするための立法措置を執らなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものというべきであり,国は,上記選挙において投票をすることができなかったことにより精神的苦痛を被った上記国民に対し,慰謝料各5000円の支払義務を負う。
 (1,2,4〜6につき,補足意見,反対意見がある。)
最高裁大法廷平成17年1月26日判決の裁判要旨
1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。
 2 東京都が管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを当然の前提として任用管理を行う管理職の任用制度を設けていたなど判示の事情の下では,職員が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた東京都の措置は,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成16年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成16年1月14日判決の裁判要旨
   公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成13年7月29日施行の参議院議員選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成16年1月14日判決の裁判要旨
   公職選挙法が参議院(比例代表選出)議員選挙につき採用している非拘束名簿式比例代表制は,憲法15条,43条1項に違反するとはいえない。

平成15年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
最高裁大法廷平成15年4月23日判決の裁判要旨
1 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは,後行の所有権移転行為について横領罪の成立を肯定することができ,先行の抵当権設定行為が存在することは同罪の成立自体を妨げる事情にはならない。
2 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了した場合において,後行の所有権移転行為のみが横領罪として起訴されたときは,裁判所は,所有権移転の点だけを審判の対象とすべきであり,犯罪の成否を決するに当たり,所有権移転行為に先立って横領罪を構成する抵当権設定行為があったかどうかといった訴因外の事情に立ち入って審理判断すべきではない。

平成14年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成14年9月11日判決の裁判要旨
1 郵便法68条及び73条の規定のうち,書留郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。
2 郵便法68条及び73条の規定のうち,特別送達郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は過失によって損害が生じた場合に,国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。
 (1,2につき補足意見及び意見がある。)
最高裁大法廷平成14年2月13日判決の裁判要旨
1 証券取引法164条1項は,上場会社等の役員又は主要株主が同項所定の有価証券等の短期売買取引をして利益を得た場合には,同条8項に規定する内閣府令で定める場合に当たるとき又は類型的にみて取引の態様自体から役員若しくは主要株主がその職務若しくは地位により取得した秘密を不当に利用することが認められないときを除き,当該取引においてその者が秘密を不当に利用したか否か,その取引によって一般投資家の利益が現実に損なわれたか否かを問うことなく,当該上場会社等はその利益を提供すべきことを当該役員又は主要株主に対して請求することができるものとした規定である。
2 証券取引法164条1項は,憲法29条に違反しない。

平成13年の最高裁判所大法廷の判決・決定(2本)
最高裁大法廷平成13年3月30日決定の裁判要旨
    裁判官が,妻に対する被疑事件の捜査が逮捕可能な程度に進行した段階において,事実を確認してこれを認めたならば示談をするようにとの趣旨で検事から捜査情報の開示を受けたのに対し,妻が事実を否認したことから,捜査機関の有する証拠や立論の疑問点,問題点等を記載した書面を作成し,妻及びその弁護に当たる弁護士に交付するなどした行為は,判示の事情の下においては,犯罪の嫌疑を受けた妻を支援,擁護するものとして許容される限界を超えたものであり,裁判所法49条に該当する。
 (反対意見がある。)
最高裁大法廷平成13年3月28日判決の裁判要旨
   小作地に対していわゆる宅地並み課税がされたことによって固定資産税及び都市計画税の額が増加したことを理由として小作料の増額を請求することはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。) 


第2 大法廷回付
1 最高裁判所事務処理規則9条
・ 最高裁判所事務処理規則9条は以下のとおりです。
第九条 事件は、まず小法廷で審理する。
② 左の場合には、小法廷の裁判長は、大法廷の裁判長にその旨を通知しなければならない。
一 裁判所法第十条第一号乃至第三号に該当する場合
二 その小法廷の裁判官の意見が二説に分れ、その説が各々同数の場合
三 大法廷で裁判することを相当と認めた場合
③ 前項の通知があつたときは、大法廷で更に審理し、裁判をしなければならない。この場合において、大法廷では、前項各号にあたる点のみについて審理及び裁判をすることを妨げない。
④ 前項後段の裁判があつた場合においては、小法廷でその他について審理及び裁判をする。
⑤ 裁判所法第十条第一号に該当する場合において、意見が前にその法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとした大法廷の裁判と同じであるときは、第二項及び第三項の規定にかかわらず、小法廷で裁判をすることができる。
⑥ 法令の解釈適用について、意見が大審院のした判決に反するときも、また前項と同様とする。
2 書記官室の事務
(1) 民事書記官実務必携(平成30年4月1日現在のもの)8頁には,大法廷回付における小法廷書記官室の事務として以下の記載があります。
別紙3-1により大法廷において審理裁判すべき旨の決裁があった場合,小法廷の首席書記官は,「通知書」 (別紙3-2)の写しを大法廷裁判長(長官)に交付する方法で通知する。小法廷の担当書記官は,民事事件係にその旨を連絡した上,訴訟記録の整理,予納郵便切手の点検等をし, これに別紙3-1及び「通知書」 (別紙3-2)を添付して大法廷書記官に引き継ぐ。システムの法廷欄を「大法廷」に変更し,回付日を入力する。
(2) 民事書記官実務必携(平成30年4月1日現在のもの)37頁には,大法廷回付における大法廷書記官室の事務として以下の記載があります。
(1) 当事者に対する回付通知は,大法廷の担当書記官が行う。
(2) (1)の通知は電話により行い,その後に書面(別紙3-3)を送付する。
送付費用は,国庫負担とする。
3 大阪空港訴訟における大法廷回付
(1) 経緯の概要
ア 大阪空港訴訟の場合,大阪高裁昭和50年11月27日判決(住民側の全面勝訴判決)に対して国が上告し,昭和53年5月22日に第1小法廷で弁論が開かれて結審しました。
イ 昭和53年6月28日に和解協議が打ち切りとなり,同年7月18日付で大法廷回付を求める上申書が国から提出され,同年8月31日に大法廷に回付され,昭和54年11月7日に大法廷の弁論が開かれて結審しました。
ウ 昭和55年4月16日,4人の最高裁判事が交代したこと(高辻正巳大塚喜一郎及び江里口清雄が定年退官し,戸田弘が在任中に死亡しました。)を理由として弁論の再開が決定され,同年12月3日に再び大法廷の弁論が開かれて結審し,最高裁大法廷昭和56年12月16日判決は差止請求却下の判決となりました。
エ 岡原昌男最高裁判所長官の在任期間は昭和52年8月26日から昭和54年3月31日までであり,服部高顕最高裁判所長官の在任期間は昭和54年4月2日から昭和57年9月30日でした。
(2) 岡原昌男最高裁判所長官の説明等
ア 岡原昌男 元最高裁判所長官が自由と正義1992年6月号148頁及び149頁に投稿した「いろめがね 司法行政と裁判の独立」には大阪空港公害訴訟が大法廷に回付された経緯が書いてありますところ,そこには以下の記載があります。
    松井弁護士の「行政が検察官を訴訟代理人にし,検察官出身の岡原長官に要請ないしは圧力をかけたのか、あるいはそうではなく、すすんで第一小法廷に長官たる地位を利用して圧力をかけたのか、そこは藪の中である。」と奥歯に物の挟まったようなことを言う(山中注:松井康浩弁護士自由と正義1992年3月号236頁ないし238頁に投稿した「最高裁長官の裁判介入 司法行政権と裁判官の独立」における記載のこと。)が、私は本件について行政筋から要請ないし圧力を受けた覚えはなく、理不尽な圧力があれば、これを撥ねつけた筈だし、反面地位を利用して圧力をかけたこともない。
イ 平成3年12月12日の毎日新聞朝刊は,一面のトップ記事で,「覆った『飛行差し止め』」「小法廷判決直前、大法廷へ、最高裁長官が意向」「一〇年前の大阪空港訴訟」という大きな見出しで岡原昌男元最高裁長官の写真入りの報道をしたところ,最高裁物語(下巻)280頁には以下の記載があります。
    その岡原(山中注:岡原昌男元最高裁長官)が、この事件をスクープした毎日新聞記者に語っている。
    「ああいう大きな訴訟だから、同種の訴訟がほかにあったとき、小法廷によって判断がちがったり、また大法廷でひっくり返ったりすると、法的安定性が崩れ訴訟経済からもまずい。私はそういう原則論をもっているから、大法廷で審理したらどうかというようなことを、あるいは言ったかもしれない。国が大法廷回附を要望していたことはまったく覚えがないな。小法廷の評議がどうなっているかは、ことさら聞かない主義だった」
    岡原に指摘されて”変心”した裁判官たちが、基本的には岡原と同じ保守であったことも響いた。大法廷回附に最後まで反対し続けたのは団藤一人だけであった。
ウ 大阪空港訴訟に関する最高裁大法廷昭和56年12月16日判決を取り扱った「誰のための司法か~團藤重光 最高裁・事件ノート~」(令和5年4月15日初放送)で紹介された團藤ノート(團藤重光最高裁判事が在職中に作成していたノート)によれば,以下のやり取りがあったとのことです。
① 昭和53年7月19日,第一小法廷の裁判長の岸上康夫最高裁判事は,同月18日付の,大法廷回付を求める国の上申書について最高裁長官室を訪問して岡原昌男最高裁長官に相談した。
② 相談の際,最高裁長官室には第二小法廷の吉田豊最高裁判事(元最高裁事務総長)及び第三小法廷の服部高顕最高裁判事(岡原の後任の最高裁長官)が同席していたところ,たまたま最高裁長官室に電話がかかってきたため,岡原長官が岸上最高裁判事に受話器を渡した。
    電話の相手は村上朝一(むらかみともかず)元最高裁長官(元法務省民事局長)であり,法務省側の意を受けた村上元長官は,岸上裁判長に対し,大法廷回付の要望を告げた。
③ 団藤最高裁判事は,村上元長官からの電話について「この種の介入は怪(け)しからぬことだ」,「いまになっての上申は好ましくない」,「和解のすすめかたをみて不利とみてこの挙に出たのだろう」,「引きのばし作戦でもあろうし、むしろ実質的には忌避の感じさえする」と団藤ノートに記載した。
エ 11期の加茂紀久男は,大阪空港訴訟に関する最高裁大法廷昭和56年12月16日判決を取り扱った「誰のための司法か~團藤重光 最高裁・事件ノート~」(令和5年4月15日初放送)に出演した際,村上朝一 元最高裁判所長官について「事実上村上元長官は法務省が長い人だし(法務省の)代理人みたいなもの」,「そういう意味じゃけしからなさそうというものが知れてると言えば知れてる。ほとんど代理人ですから」という趣旨の発言をしました。
(3) その他
・ 豊中市HPに「大阪国際空港の沿革」が載っています。
・ 「「大阪空港公害訴訟に係る団藤重光元裁判官の指摘を踏まえ,改めて司法権の独立の徹底を求める会長声明」の送付について」(令和5年4月26日付の大阪弁護士会の文書)に対する最高裁の決裁・供覧(令和5年5月1日付)を掲載しています。
・ 立命館大学HPに載ってある「最高裁の黒い霧を晴らす必要性と必然性-浮上・再浮上したわが国司法の4事例-」に「第3章 大阪空港事件をめぐる最高裁のスキャンダル」が含まれています。


第3 徴する判決の問題点
・ 最高裁回想録156頁には,「徴する判決」の問題点について以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    最高裁がしばしば先例を引用して上告人の主張を退けることには、右にも見たように、それなりの理由があるか、少なくともやむを得ないところがあるが、ただその引用の仕方には、なお大きな問題が残されているように思われる。
    それは何よりも、「以上は、当審のこれこれの判例の趣旨に徴して明らかである」と述べるいわゆる「徴する判決」についてである。このような引用の仕方は、恐らく、その判断を権威付けるために、できるだけ引用判例を多くして説得力を増そうという意図に立つものであるが、しかし、「徴された」判決の中には、しばしば、理論的に見て、一体何故それが当該事件の先例となり得るのか、甚だ怪しいものが無いではない。
    私には、こういった引用の仕方は、むしろ当該判決延いては最高裁の判例全体に対する不信感を増しこそすれ、決して権威付けることにはならないように思われるのである。    
    ある事件の個別意見において私は、このことを指摘しようとしたのであるが、担当調査官に「それだけは何卒ご容赦を」と泣かんばかりに懇願されて、遂にほだされてしまったのであった。

第4 関連記事その他
1 事件記録等の廃棄留保について(令和元年11月18日付の最高裁判所総務局第三課長の事務連絡)を掲載しています。
2 「裁判官とは何者か?-その実像と虚像との間から見えるもの-」(講演者は24期の千葉勝美 元最高裁判所判事)には以下の記載があります(リンク先のPDF25頁)。
問2:最高裁大法廷判決は、誰を読み手と想定して判決文を書いているのか?
答え:最高裁の判決は、事件当事者に対する判断であるが、法令の合憲性審査については、対立法府が念頭にあることは当然である。しかし、憲法判断のように、テーマが、国民の多様な価値観の相違や政治的社会的対立の大きなテーマに関する場合には、常に、このような司法部の判断が国民の多くに理解され受け入れられるかどうか、司法判断としての信頼を勝ち得ることになるかどうかが大きな関心事であって、読者としては第一次的には国民全体、すなわち、多くの国民がどのように判決を受け止めてくれるのかが念頭にある。これは、我が国に限らず、欧米諸国の憲法判例の展開を見てみると、大きな政治的に重要な問題が訴訟で争われる場合に、各国の最高裁判所が、国民全体の意識、政治状況、将来を見据えた影響力等を見極めながら、あるときは積極的に乗り出した判断をし、逆に、あるときは火中の栗を拾い紛争を拡大しないように控えめな対応を選択して痛み分け的な判断をするなどの対応が見られるところであるが、これと同様である。
3 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所における違憲判決の一覧
・ 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧
・ 弁護人上告に基づき原判決を破棄した最高裁判決の判示事項(平成元年以降の分)
・ 高裁の各種事件数,及び最高裁における民事・行政事件の概況
・ 日本国憲法外で法的効力を有していたポツダム命令

裁判統計報告

目次
1 裁判統計データ処理システム
2 裁判統計報告に関する文書
3 統計報告書の種類
4 関連記事その他

1 裁判統計データ処理システム
・ 最高裁判所の令和4年度概算要求書(説明資料)118頁には,「裁判統計データ処理システム」として以下の記載があります。
<要求要旨>
    裁判統計は,全国の裁判所が,その処理した事件について提出した裁判統計報告書に基づき作成される裁判所の事件処理状況の数値化及び国民への公表並びに裁判所の組織の維持,管理,発展及び裁判の迅速適正処理のための各種施策に必要な基礎資料の把握等を目的とした統計である。本システムは,下級裁における統計報告から,最高裁におけるデータの集約・管理,司法統計年報の版下原稿作成,職員による統計数値の集計・検索まで,裁判所の統計業務全般を取り扱うシステムであるとともに,裁判所内外からの求めに応じて統計数値を迅速に提供できる唯一のシステムであることから,これまで継続的な安定稼動に必要な年間を通じての定期的・継続的な保守・点検を確保するための経費及び稼動基盤となるサーバのハードウェア・ソフトウェアリースに必要な経費が認められてきた。
    なお,令和5年10月でサーバOSがサポート切れすることに伴い,同月に予定している機器等更新と合わせて,サーバOSをバージョンアップする必要があるため,バージョンアップ後のサーバOS環境下でも本システムが問題なく稼働するか検証作業を行う必要があり,また,機器等更新に伴い,新機器で利用するDBについても同様の検証作業を行う必要があるところ,検証の結果,本システムに改修を要することになった場合のスケジュールを想定した場合,遅くとも令和4年度中に上記各検証作業を行う必要がある。
    また,社会・経済情勢の変化や司法の役割への期待などから,裁判統計への関心が高まり,統計数値の迅速な公表が求められているところ,ここ数年,裁判統計に影響のある法改正や新制度の導入が相次いでいる。令和4年度も法改正が予定されており,新制度の導入効果を統計上把握・公表するための統計様式の改定が見込まれているため,改定様式を用いた統計業務を本システムで取り扱うためには,本システムを改定様式に対応させる必要がある。
    そこで,令和4年度も,裁判統計データ処理システムの運用保守料,裁判統計データ処理システムの法改正対応等の改修作業に必要な経費,ハードウェア・ソフトウェア等リース料及び保守料等並びにバックアップテープの保管に必要な経費を引き続き要求するとともに,新OS/DB環境対応検証作業等に必要な経費を要求する。

2 裁判統計報告に関する文書
(1) 裁判統計報告に関する以下の文書を掲載しています。掲載文書の基準時は平成26年1月です。
① 最高裁判所事務総長通達 (平成26年1月当時のもの)
・ 裁判統計報告について(平成17年1月31日付の最高裁判所事務総長通達)
② 最高裁判所事務総局情報政策課長通達(平成26年1月当時のもの)
・   裁判統計報告に関する事務の処理について(平成17年1月31日付の最高裁判所事務総局情報政策課長通達)1/2(本文,月報及び年表)
・   裁判統計報告に関する事務の処理について(平成17年1月31日付の最高裁判所事務総局情報政策課長通達)2/2(裁判事件票)
・   裁判所分類符号表
・   民事,刑事事件分類符号表1/2及び2/2
・ 国名分類符号表
③ 裁判統計報告に関する事務処理の報告方法等について(平成31年4月5日付の最高裁判所情報政策課参事官の事務連絡)
④ 
裁判統計における参考資料(月報・年表・事件票)→令和元年12月の最高裁判所情報政策課の文書

3 統計報告書の種類
(1) 統計報告書には,統計月報及び統計年表があります。
(2) 高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所及び簡易裁判所は,その取り扱った事件について,本庁,支部又は出張ごとに統計報告書を作成しますし,記載の都度,裁判事件票を作成します。


4 関連記事その他
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判部統計係事務マニュアル(平成31年4月1日付の最高裁判所裁判部の文書)
・ 裁判統計データベースシステムの改修等について(平成22年3月3日付の最高裁判所情報政策課参事官の事務連絡)
・ 裁判統計データシステムの改修に伴う新SSDBSクライアントプログラムの導入作業等について(平成22年3月3日付の最高裁判所情報政策課課長補佐の事務連絡)
・ 裁判統計データベースシステム(SSDBS)の利用端末数の定めの廃止に伴うSSDBSのインストール作業等について(平成23年8月26日付の最高裁判所情報政策課専門官の事務連絡)
(2) 以下の記事も参照してください。
 最高裁判所が作成している事件数データ
・ 最高裁判所の事件記録符号規程
・ 歴代の最高裁判所情報政策課長
・ 裁判所関係国賠事件

最高裁判所が作成している事件数データ

目次
1 平成28年以降の事件数データ
2 事件数データの対象となっている事件の種類
3 平成27年以前の事件数データ等
4 最高裁判所への報告事務に関する通達
5 事件数と弁護士数の関係に関する国会答弁
6 関連記事

* 「最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情」も参照してください。

1 平成28年以降の事件数データ
◯令和6年分
・ 最高裁判所の民事全事件受付・既済・未済件数表
・ 高裁の事件数データ(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 労働審判及び行政第一審訴訟の新受件数
・ 医事関係訴訟既済件数(診療科目別)-全地方裁判所
・ 医事関係訴訟新受件数-地方裁判所本庁及び支部別
◯令和5年分
・ 令和5年の最高裁の事件数データ
・ 令和5年の高裁の事件数データ(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 令和5年の地裁の本庁及び支部ごとの事件数データ1/22/2
・ 令和5年の高裁及び地裁の知的財産権に関する事件数データ
・ 令和5年の地裁の医事関係訴訟既済件数(診療科目別),及び医事関係訴訟新受件数(地裁本庁及び支部別)
・ 民事第一審通常訴訟事件(地裁)の新受件数及び既済事件・未済事件の状況(令和5年)
・ 令和5年の家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ1/42/43/44/4
・ 令和5年の簡裁の事件数データ
◯令和4年分
・ 令和4年の最高裁の事件数データ
・ 令和4年の高裁の事件数データ(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 令和4年の地裁の本庁及び支部ごとの事件数データ1/52/53/54/55/5
・ 令和4年の高裁及び地裁の知的財産権に関する事件数データ
・ 令和4年の地裁の医事関係訴訟既済件数(診療科目別),及び医事関係訴訟新受件数(地裁本庁及び支部別)
・ 民事第一審通常訴訟事件(地裁)の新受件数及び既済事件・未済事件の状況(令和4年)
・ 令和4年の家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ1/52/53/54/55/5
・ 令和4年の簡裁の事件数データ
・ 令和4年の簡裁における交通事故損害賠償請求訴訟新受件数のデータ
◯令和3年分
・ 令和3年の最高裁の事件数データ
・ 令和3年の高裁の事件数(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 令和3年の地裁の本庁及び支部ごとの事件数データ1/22/2
・ 令和3年の高裁及び地裁の知的財産権に関する事件数データ
・ 令和3年の地裁の医事関係訴訟既済件数(診療科目別),及び医事関係訴訟新受件数(地裁本庁及び支部別)
・ 民事第一審通常訴訟事件(地裁)の新受件数及び既済事件・未済事件の状況(令和3年)
・ 「第1表 行政・労働・知財の各事件の年度別新受件数の比較(平成24年~令和3年)」から始まる文書
・ 令和3年の家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 令和3年の簡裁の事件数データ
・ 令和3年の簡裁における交通事故損害賠償請求訴訟新受件数のデータ
◯令和2年分
・ 令和2年の最高裁の事件数データ
・ 令和2年の高裁の事件数(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 令和2年の地裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 令和2年の高裁及び地裁の知的財産権に関する事件数データ
・ 令和2年の地裁の医事関係訴訟既済件数(診療科目別),及び医事関係訴訟新受件数(地裁本庁及び支部別)
・ 民事第一審通常訴訟事件(地裁)の新受件数及び既済事件・未済事件の状況(令和2年)
・ 令和2年の家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 令和2年の簡裁の事件数データ(交通事故損害賠償請求訴訟新受件数を含む。)
◯令和元年分
・ 令和元年の最高裁の事件数データ
・ 令和元年の高裁の事件数(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 令和元年の地裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 令和元年の高裁及び地裁の知的財産権に関する事件数データ
・ 令和元年の医事関係訴訟新受件数(地裁別),及び地裁の医事関係訴訟既済件数(診療科目別)
・ 令和元年の家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 令和元年の簡裁の事件数データ(交通事故損害賠償請求訴訟新受件数を含む。)
◯平成30年分
・ 平成30年の最高裁の事件数データ
 平成30年の高裁の事件数(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 平成30年の高裁及び地裁の知的財産権に関する事件数データ
・ 平成30年の地裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 平成30年の医事関係訴訟新受件数(地裁別),及び平成30年の地裁の医事関係訴訟既済件数(診療科目別)
・ 平成30年の家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 平成30年の簡裁の事件数データ(交通事故損害賠償請求訴訟新受件数を含む。)
◯平成29年分
・ 平成29年の最高裁の事件数データ
・ 平成29年の高裁,地裁及び家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
◯平成28年分
・ 平成28年の最高裁の事件数データ
・ 平成28年の高裁,地裁及び家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 平成28年の地裁の本庁及び支部ごとの過払金等の事件数データ


2 事件数データの対象となっている事件の種類
(1) 最高裁の事件数
① 民事上告,民事上告受理,民事特別抗告及び民事許可抗告(民事事件)
② 行政上告,行政上告受理,行政特別抗告及び行政許可抗告(行政事件)
(2) 高裁の事件数
① 上告,控訴,抗告,許可抗告申立て(民事事件)
② 第一審訴訟,控訴,許可抗告申立て(行政事件)
(3) 地裁の事件数
① 通常訴訟(内数として,過払金等,交通事故損害賠償,株主代表訴訟,労働関係訴訟),控訴,保護命令
② 保全命令,強制執行(不動産,債権),不動産担保権実行,破産(内数として,管財事件),小規模個人再生
③ 労働審判
④ 行政第一審訴訟
(4) 家裁の事件数
① 別表第一審判事件,別表第二審判事件,別表第二調停事件,別表第二以外調停事件
② 別表第一審判事件の内数として,成年後見関係,後見人等に対する報酬の付与,後見等監督処分,子の氏の変更についての許可,相続の放棄の申述の受理
③ 別表第二審判事件の内数として,婚姻費用の分担,子の監護者の指定その他の処分,親権者の指定又は変更,遺産の分割に関する処分など
④ 別表第二調停事件の内数として,婚姻費用の分担,子の監護者の指定その他の処分,親権者の指定又は変更,遺産の分割に関する処分など
⑤ 婚姻中の夫婦間の事件
⑥ 人事訴訟事件,通常訴訟事件


3 平成27年以前の事件数データ等
(1) 知財高裁の事件数
・ 知財関係訴訟 知財高裁 統計データ(平成18年から平成30年まで)等
(2) 医事関係訴訟
・ 平成16年から平成29年までの医事関係訴訟新受件数(地裁別)
・ 医事関係訴訟既済件数(診療科目別)(平成18年~平成30年3月)
(3) 簡易裁判所の事件数
 平成27年,平成28年及び平成29年の簡易裁判所の事件数(通常訴訟,少額訴訟,和解,支払督促,公示催告,保全命令及び民事調停)
・ 簡易裁判所の交通事故損害賠償請求訴訟新受件数(平成28年~平成29年)

4 最高裁判所への報告事務に関する通達
・ 最高裁判所への報告及び外部機関への通知等に関する事務フローの確認について(平成27年12月22日付の最高裁判所総務局第三課長の事務連絡)
・ 裁判事務に関連して最高裁判所へ報告を要する事項及び外部機関へ通知等を要する事項について(平成27年11月18日付の最高裁判所総務局第一課長の事務連絡)
・ 行政事件等の報告に関する最高裁行政局第一課長書簡(平成27年3月26日付)
・ 行政事件等の報告に関する最高裁行政局第一課長書簡(平成26年3月25日付)

5 事件数と弁護士数の関係に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
 まず私の方から、事件数と弁護士の関係についてお答えいたします。
 先ほど御指摘がありましたように、修習生から弁護士になる方がふえているという関係で、弁護士の数というのは、平成十九年に二万三千人程度だったものが、平成二十六年には三万五千人を超えているということで、大きく増加しているところでございます。
 ただ、地裁の一審民事通常事件の新受事件数でいいますと、平成十九年は十八万件台であったところ、二十一年までは増加しておりましたが、その後減少して、平成二十七年はやや増加しておりますが、まだ十四万件ということになっております。
 このように、弁護士数の増加が事件数の増加とは必ずしも結びついているとは言えず、裁判所として、その要因については依然判然としないというところでございます。

6 関連記事その他
(1) 41期の堀田眞哉最高裁人事局長は,平成30年3月30日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
一人の裁判官が複数の種類の事件を取り扱うということが通常でございますので、なかなか平均的な手持ち事件数を割り出すのは容易ではございませんが、民事訴訟事件のみを担当しております東京地裁の民事通常部における裁判官一人当たりの手持ち件数は、平成二十九年末で約百九十件ということでございまして、平成二十五年末から二十八年末までおおむね百七十件から百九十件の間で推移しているところでございます。
(2)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 東京地裁の民事事件部別一覧表
→ 平成26年6月分~12月分平成27年1月分~5月分令和2年1月分~5月分6月分7月分,(令和2年8月以降はなし。
・ 平成15年から平成17年にかけて民事の雑事件の立件基準がどのように変化したかが分かる文書
イ 以下の記事も参照してください。
・ 裁判統計報告
・ 最高裁の既済事件一覧表(民事)
・ 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)
・ 政策担当秘書関係の文書
→ ①公職選挙法違反の統計報告について,及び②控訴審において終局した,公職選挙法違反事件の罪名,裁判所名,事件番号,終局裁判の日も掲載しています。
・ 被告人の保釈
→ 被告人の保釈に関する統計も掲載しています。

下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等

目次
第1 下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準
第2 判決書の公開に関する自由権規約の定め
第3 裁判所HPに載ってある判決書に言及した岡口基一裁判官は罷免判決等を受けたこと
1 厳重注意処分
2 分限裁判,民事裁判での敗訴判決及び罷免判決
第4 元最高検察庁検事が執筆した性犯罪捜査全書
第5 医学研究において症例報告をする場合のプライバシー保護
第6 関連記事その他

第1 下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準
・ 下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について(平成29年2月17日付の最高裁判所事務総局広報課長等の事務連絡)は,以下のとおりです。

下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について(事務連絡)

   裁判所ウェブサイトの下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準につきまして, 同判例集の意義が社会的に関心の高い裁判例を適時に知ってもらうという速報性にあるとの観点から,別添の選別基準を策定しましたので,平成29年3月1日から,同基準によって掲載裁判例の選別を行ってください。なお,下級裁判所判例集の名称につきましては,その意義が上記のとおり速報性にあることから, 「下級裁判所裁判例速報」に変更することとします。
   おって,下級裁判所判例集に掲載する裁判例における法人等団体名の仮名処理につきましては,今後も,原則として,民事事件については実名で掲載し,刑事事件については仮名処理をしてください(裁判所ウェブサイト上の他の裁判例集(最高裁判所判例集,高等裁判所判例集,行政事件裁判例集,労働事件裁判例集及び知的財産裁判例集)における法人等団体名の仮名処理も今後は同様の基準で行われることとなり,取扱いが統一されます。)。

下級裁判所裁判例速報に掲載する裁判例の選別基準

1 判決及び民事・行政訴訟手続上の決定
(1) 原則
   原則として,判決言渡日(決定告知日)の翌々日までに,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞及び日本経済新聞(以下「日刊紙4紙」という。)のうち2紙(地域面を除く。)に判決等の判断が掲載された事件について,裁判書を下級裁判所裁判例速報に掲載する。
   また, これ以外の場合であっても,各庁の判断で,社会的な影響等に鑑みて,広く情報提供をすることがふさわしいと特に認められる事件の裁判書を掲載することもできる。
(2) 例外
ア 民事・行政訴訟事件
   以下の事件の裁判書については, (1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項により公開停止とされた事件
(イ) 民事訴訟法第92条第1項により裁判書自体につき秘密保護のための閲覧等の制限の申立てがされ(当該申立てを却下する裁判が確定している場合を除く。) ,又は実際に閲覧等の制限の裁判がされた事件(部分的に閲覧等制限がされている場合はその部分)
(ウ) 性犯罪及びDV事件等に関する損害賠償請求訴訟等であって,裁判書の記載内容が公にされることにより,加害行為や被害の状況等が明らかとなり,それにより当事者に著しい被害を与える蓋然性があるなど,裁判書を公開すること自体が当事者等に回復困難な被害を与える事件
(エ) その他,上記(ア)から(ウ)までに準ずる事件
イ 刑事訴訟事件
   以下の事件の判決書については, (1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項により公開停止とされた事件
(イ) 性犯罪(起訴罪名は性犯罪ではなくても,実質的に性犯罪と同視できる事件を含む。) ,犯行態様が凄惨な殺人事件など,判決書を公開することにより被害者・遺族などの関係者に大きな精神的被害を与えるおそれがある事件
(ウ) 少年の刑事事件(判決時成人を含む。)
(エ) 名誉毀損罪や秘密漏示罪など,判決書を公開することにより再び被害を生じさせるおそれがある事件
(オ) その他,上記(ア)から(エ)までに準ずる事件
ウ 人事訴訟事件
   人事訴訟事件の判決のうち,附帯処分又は親権者の指定についての申立てが含まれている場合には,(1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
   また,人事訴訟事件の判決のうち,附帯処分又は親権者の指定についての申立てが含まれていないものであって, (1)に該当する場合であっても,以下の事件の判決書については,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項又は人事訴訟法第22条第1項により公開停止とされた事件
(イ) 民事訴訟法第92条第1項により判決書自体に限らず秘密保護のための閲覧等の制限の申立てがされ(当該申立てを却下する裁判が確定している場合を除く。),又は実際に閲覧等の制限の裁判がされた事件
(ウ) その他,上記(ア)又は(イ)に準ずる事件
2 刑事・人事訴訟手続上の決定
   刑事訴訟手続上の決定及び人事訴訟手続上の決定については,掲載対象としない。
3 非公開手続である非訟事件の決定等
(1) 原則
   非訟事件の決定等については,原則として掲載対象としない。
(2) 例外(ただし,家事事件及び少年事件については,適用しない。)
   以下の場合については,例外的に掲載対象とする。また,以下の場合に当たらなくとも,各庁の判断で,社会的な影響等に鑑みて,広く情報提供をすることがふさわしいと特に認められる事件を掲載することもできる。
ア 民事の非訟事件の決定等(保全処分,執行異議,倒産事件,労働審判事件,行政訴訟における仮の救済の事件等に係る決定等)
   決定等の告知日の翌々日までに, 日刊紙4紙のうち2紙(地域面を除く。)に決定等が掲載され,かつ,その決定等の社会的な影響等に鑑みて,広く情報提供をすることがふさわしいと特に認められる場合(1(2)ア(ア)から(エ)までに当たる場合を除く。)
イ 刑事の再審請求事件の決定
   決定告知日の翌々日までに, 日刊紙4紙のうち2紙(地域面を除く。) に決定が掲載されたもの (1(2)イ(ア)から(オ)までに当たる場合を除く。 )

第2 判決書の公開に関する自由権規約の定め等
1(1) 国際人権規約(自由権規約)14条1項は以下のとおりです。
    すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。報道機関及び公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序若しくは国の安全を理由として、当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部又は一部を公開しないことができる。もっとも、刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は、少年の利益のために必要がある場合又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか、公開する。
(2) 「一般的意見32 14条・裁判所の前の平等と公正な裁判を受ける権利」(2007年採択)29項には以下の記載があります。
    裁判が公開されていない場合でも、基本的な事実認定、証拠、法律上の理由付けを含む判決は、少年の利益のために必要がある場合、または当該手続が夫婦間の争いもしくは子どもの後見に関するものである場合を除いては、公開されなければならない。
2 最高裁大法廷令和3年6月23日決定の裁判官宮崎裕子,同宇賀克也の反対意見(リンク先のPDF17頁以下)には以下の記載があります(リンク先のPDF36頁)。
    我が国においては,憲法98条2項により,条約は公布とともに国内的効力を有すると解されており,条約が締約国に対して法的拘束力がある文言で締約国の義務を定めている場合には,かかる義務には,国家機関たる行政府,立法府及び司法府を拘束する効力があると解される。


第3 裁判所HPに載ってある刑事事件の判決書に言及した岡口基一裁判官は罷免判決等を受けたこと
1 厳重注意処分
(1) 岡口基一裁判官は,平成29年12月13日ころ,性犯罪事件に関する東京高裁判決へのリンクを貼った上で,「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」「そんな男に、無惨にも殺されてしまった17歳の女性」という投稿をツイッターにしました。
(2) 平成30年3月15日付の,岡口基一裁判官に対する34期の林道晴東京高裁長官の注意書は以下のとおりです(黒塗りの理由につき,令和元年度(情)答申第24号(令和2年1月24日答申)参照)。

2 分限裁判,民事裁判での敗訴判決及び罷免判決
(1) フェイスブックへの投稿
・ 46期の岡口基一裁判官は,令和元年11月12日,自分のフェイスブックに以下の投稿をしました。
裁判所が判決書をネットにアップする選別基準
(中略)
東京高裁は,このうち,「イ 刑事訴訟事件(イ) 性犯罪」に該当する判決書をアップしてしまったのですが,その遺族の方々は,東京高裁を非難するのではなく,そのアップのリンクを貼った俺を非難するようにと,東京高裁事務局及び毎日新聞に洗脳されてしまい,いまだに,それを続けられています。
東京高裁を非難することは一切せず,「リンクを貼って拡散したこと」を理由として,裁判官訴追委員会に俺の訴追の申立てをされたりしているというわけです。
(後略)
→ (中略)とある部分には,本ブログ記事のアドレスが書いてありました(ただし,常時SSL化前のもの)。


(2) 分限裁判
・ 最高裁大法廷令和2年8月26日決定は,令和元年11月12日のフェイスブックへの投稿に関して,岡口基一裁判官を戒告しました(岡口基一裁判官の反論内容につき,分限裁判の記録ブログ「2回目の分限裁判の審問期日にて」(2020年8月27日付)参照)。
(3) 民事裁判での敗訴判決
・ 東京地裁令和5年1月27日判決(判例体系に掲載)(担当裁判官は46期の清野正彦新62期の鈴木拓磨及び72期の山口愛子)は,46期の岡口基一裁判官に対し,令和元年11月12日のフェイスブックへの投稿に関して以下の判示をした上で,合計44万円の損害賠償を命じました。
    ある記述の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるか否かは、当該記述についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきであるところ(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)、本件投稿3は、その全体の文脈(前提事実(5))からすれば、原告らが、東京高等裁判所及び毎日新聞から、本件投稿1について被告を非難すべきであるという思想を繰り返し教え込まれて、それまでの思想を改めさせられたため、被告に対して本件投稿1に関する理由のない抗議を繰り返しているという事実を摘示するものであると認められる。
    そして、「洗脳」という用語が、世間の常識に反する思想を教え込まれるという意味ないし文脈で用いられることが多く、洗脳されたとされる人にも、他人にコントロールされて常識的な判断や行動をすることができない状態にあるなどという否定的な評価が下されかねないこと(公知の事実)などに鑑みれば、本件投稿3は、原告らの社会的評価を低下させ、その名誉を違法に毀損するものというべきである。

(4) 罷免判決
・ 裁判官弾劾裁判所令和6年4月3日判決は,46期の岡口基一裁判官を罷免しましたところ,令和元年11月12日のフェイスブックへの投稿について以下の判示をしています(判決要旨33頁及び34頁)。
    ⑪洗脳投稿について、ある記述の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるか否かは、当該記述についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきであるところ(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)、洗脳投稿の意図は、毎日新聞や東京高裁への批判とみることもできないわけではないが、一般の読者の普通の注意と読み方を基準にすれば、遺族が被訴追者に対して訴追の申立てをしたことへの批判と判断せざるを得ない。そして、これを遺族が読めば、自分達の主体性や判断能力や今まで行ってきた行為全てを否定されていると受け止めるおそれもある表現行為であると言える。また「洗脳」という用語に「洗脳」された側を批判する意味は含まれていないとしても、洗脳されたと評される人に対しては、世間の常識に反する思想を教え込まれ、これに盲目的に従うようになって常識的な判断や行動をすることができない状態にあるなどという否定的な評価が下されかねないことは、公知の事実であることなどに鑑みれば、本件投稿は、遺族の社会的評価を低下させ、その名誉を違法に毀損するものというべきであり、洗脳投稿の不法行為該当性が争われた民事訴訟においても同様の判断がなされている。
    したがって、被訴追者が被害者の命日であるとは知らなかったこと、友達限定で送信しようとした洗脳投稿を誤って一般向けに送信してしまったこと、遺族の社会的評価を低下させ、その名誉を違法に毀損する意図はなかったこと、そして先に述べたような被訴追者の心療的特徴による影響など、被訴追者の弁解ないし事情を最大限採用したとしても、結果として社会的評価を低下させ、その名誉を違法に毀損するとともに、その名誉感情を受忍限度を超えて侵害した被訴追者の責任は極めて重いと言わざるを得ない。

第4 元最高検察庁検事が執筆した性犯罪捜査全書
・ 城祐一郎(元最高検察庁検事)が著した「性犯罪捜査全書-理論と実務の詳解-」(2021年9月10日付)588頁には「筆者は,痴漢に関する裁判の実態を明らかにすべく,平成28年1月1日から同年12月末までの間,東京地検によって東京地裁に公判請求された本条例違反のうちで,盗撮などを除いた電車等の公共交通機関内等の痴漢事件に関し,そのほぼ全てである77件を抽出し,公判での否認の内容,争点及び事実認定の各問題点について個別具体的に検討し,近時における痴漢事件の捜査・公判上の問題点を洗い出して検討することとした。」と書いてありますし,同書1001頁ないし1004頁を見れば,性犯罪に関する公刊物未搭載判例が大量に掲載されていることが分かります。


第5 医学研究において症例報告をする場合のプライバシー保護
1 一般社団法人日本外科学会HPに載ってある「症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバシー保護に関する指針」には以下の記載があります。

1)患者個人の特定可能な氏名,入院番号,イニシャルまたは「呼び名」は記載しない.

2)患者の住所は記載しない.但し,疾患の発生場所が病態等に関与する場合は区域までに限定して記載することを可とする.(神奈川県,横浜市など).

3)日付は,臨床経過を知る上で必要となることが多いので,個人が特定できないと判断される場合は年月までを記載してよい.

4)他の情報と診療科名を照合することにより患者が特定され得る場合,診療科名は記載しない.

5)既に他院などで診断・治療を受けている場合,その施設名ならびに所在地を記載しない.但し,救急医療などで搬送元の記載が不可欠の場合はこの限りではない.

6)顔写真を提示する際には目を隠す.眼疾患の場合は,顔全体が分からないよう眼球のみの拡大写真とする.

7)症例を特定できる生検,剖検,画像情報に含まれる番号などは削除する.

8)以上の配慮をしても個人が特定化される可能性のある場合は,発表に関する同意を患者自身(または遺族か代理人,小児では保護者)から得るか,倫理委員会の承認を得る.

9)遺伝性疾患やヒトゲノム・遺伝子解析を伴う症例報告では「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省,厚生労働省及び経済産業省)(平成13年3月29日,平成16年12月28日全部改正,平成17年6月29日一部改正,平成20年12月1日一部改正,平成25年2月8日全部改正,平成26年11月25日一部改正,平成29年2月28日一部改正)による規定を遵守する.

2 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26 年文部科学省・厚生労働省告示第3号)及び「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成25年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)は令和4年6月30日に廃止され,同日,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和4年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)が施行されました(経済産業省HPの「「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を制定しました」参照)。

第6 関連記事その他

1 国立公文書館HPに「国立公文書館における「時の経過」の運用について」が載っています。
2(1) 以下の文書を掲載しています。
① 行政事件裁判例集への裁判例の提供について(平成31年4月1日付)
② 労働事件裁判例集への裁判例の提供について(平成31年4月1日付)
(2) 以下の記事も参照してください。
① 岡口基一裁判官に対する分限裁判
② 下級裁判所裁判例速報に掲載する裁判例の選別基準等について(平成29年12月28日付の最高裁判所広報課長の事務連絡)
③ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容

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岡口基一裁判官が,最高裁大法廷平成30年10月17日決定により戒告処分を受けたこと等について書いてあります。

司法修習生の守秘義務違反が問題となった事例

目次
1 ブログ記事の記載が守秘義務違反の疑いありとして報道されたこと
2 司法修習生の守秘義務違反の基準がよく分からないこと
3 司法修習生という立場は特別権力関係であるかもしれないこと
4 司法修習生の守秘義務に含まれるかもしれないこと
4の2 表現の自由を定めた国際人権規約
4の3 表現の自由の制約に関するメモ書き
5 公益通報者保護法と守秘義務
6 司法修習生の非違行為等の情報は開示されないこと
7 裁判官及び裁判所職員の守秘義務
8 検察官及び検察事務官の守秘義務
9 裁判所の広報活動では取材源の秘匿を尊重していること等
10 対外非公表の文書の外部への送達に関する指定職級幹部職員に対する懲戒処分書の記載,及び黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀に関する記事の記載
11 関連記事その他

1 ブログ記事の記載が守秘義務違反の疑いありとして報道されたこと
(1) 司法修習生は,修習に当たって知り得た秘密を漏らしてはいけません(司法修習生に関する規則3条)。
(2) 平成20年6月20日付の「「前科43犯ぜひ45目指してほしい」司法修習生軽率ブログ閉鎖」によれば,同月12日に最高裁が長崎地裁に連絡して,同月14日に「司法修習生のなんとなく日記」と題するブログが閉鎖されたそうです。
   また,企業法務戦士の雑感ブログ「「法曹」「守秘義務」とは何ぞや?」(平成20年6月19日付)によれば,検察修習のほか,刑裁修習に関して,色々と感想を書いていたみたいです。
(3) 平成20年6月19日,「司法修習生のなんとなく日記」と題するブログに関して,取調べや刑務所内の見学など修習内容をインターネット上のブログに掲載していたとして,長崎地裁が裁判所法に基づく守秘義務違反の疑いもあるとして調べていると報道されました(孫引きですが,外部ブログの「司法修習生。守秘義務違反」参照)。
   問題となったブログの記載の一部を引用すると以下のとおりであり,ブログを書いてから4ヶ月余り後に報道されたようです。

2008-02-15 | 修習
今日,はじめて取調べやりました。
相手は80歳のばあちゃん。
最初はいろいろ話を聞いてたけど,
途中から説教しまくり。おばあちゃん泣きまくり。
おばあちゃん,涙は出てなかったけど。
けど,なんで20代の若造が80歳のばあちゃんを説教してるのか。
それに対してなんで80歳のばあちゃんが泣いて謝ってるのか。
なんとなく,権力というか,自分の力じゃない力を背後に感じた。
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2 司法修習生の守秘義務違反の基準がよく分からないこと
(1) 56期高松修習の人が書いた「司法修習生日記」における「検察修習」とかについては,現在でもインターネット上に存在してますから,検察修習に関するこれらの記載は司法修習生の守秘義務には違反していなかったと思われます。
    しかし,新61期長崎修習の人が書いた「司法修習生のなんとなく日記」が守秘義務に違反するとして不祥事扱いになったのに対し,56期のブログが守秘義務に違反しないと判断する基準はよく分かりません。
(2)ア 新61期長崎修習の人は刑務所内の見学など司法修習の内容をブログに書いたことについても守秘義務違反の疑いがあるとされました。
    しかし,例えば,選択型実務修習における法務行政修習プログラムに関する文書は法務省による情報公開の対象となっています(「法務行政修習プログラム(選択型実務修習)」参照)。
イ 国家公務員法109条12号・100条1項にいう「秘密」とは,非公知の事実であって,実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいい,その判定は,司法判断に服します(最高裁昭和53年5月31日決定)。
    刑務所内の見学の感想は実質的に秘密として保護するに値するものではない気がしますが,司法修習生に課せられた守秘義務はそれだけ重いのかもしれません。


3 司法修習生という立場は特別権力関係であるかもしれないこと
(1)   「やっぱり世界は**しい!」と題するブログ「守秘義務」によれば,司法研修所が動くこと自体が司法修習生にとっては大変な脅威であって,司法修習生という立場は,まさに現代の特別権力関係だそうです。
(2) 最高裁昭和32年5月10日判決は,公務員に対する懲戒処分は,特別権力関係に基づく行政監督権の作用であると判示していました。
(3) 憲法21条所定の言論,出版その他一切の表現の自由は,公共の福祉に反し得ないばかりでなく,自己の自由意思に基づく特別な公法関係上又は私法関係上の義務によって制限を受けます(最高裁大法廷昭和26年4月4日決定)。
(4) 新61期長崎修習のブログについて守秘義務違反の可能性があると報道されたことから,それ以後,実務修習に関する詳しい記載がインターネット上に出てくることがなくなった気がします。


4 司法修習生の守秘義務に含まれるかもしれないこと
(1)ア 平成27年度(行情)答申第135号(平成27年6月17日答申)の12頁及び13頁によれば,検事の弁護士職務経験制度における派遣法律事務所の名称及び検事の外部派遣制度における検事の派遣先法人等の名称は,不開示情報に該当するとのことです。
   そのため,司法修習生が弁護修習先で弁護士職務経験をしている検事と出会った場合,当該検事が所属している法律事務所の名称をブログに記載することについても,慎重になった方がいいのかもしれません。
イ 弁護士職務経験をしている検事の所属事務所が,弁護士職務経験検事を受け入れていることを公表している場合,検事の司法修習期も含めて不開示情報には該当しないこととなります(令和元年度(行情)答申第167号(令和元年8月29日答申)18頁及び19頁)。
(2) 平成28年(行情)答申第365号(平成28年9月29日答申)の4頁によれば,検事の修習期については,①法務省においてホームページ等で公表している等といった事実もなく,今後その予定もないとのことですし,②仮に任官年月日から司法修習期が推測できるものであったとしても,直接,各検事の修習期を公にした事実がない以上,慣行として公にされている情報には該当しないとのことです。
    そして,答申の結論として,検事の修習期については検事総長の修習期も含めて不開示情報に該当するとのことですから,司法修習生が指導係検事等の修習期をブログに記載することについても,慎重になった方がいいのかもしれません。
(3) 平成29年6月20日付の東京地検の行政文書開示決定通知書によれば,公判引継事項記載要領及び略式請求メモ(司法修習課控)記載要領の本文は全部,不開示情報に該当します。
   そのため,検察修習の体験談としてこれらの情報に言及した場合,守秘義務に触れるのかもしれません。
(4) 裁判所業務に必要なサイトをまとめたホワイトリストというものが裁判所にはあります(平成27年11月の全司法新聞2229号)ものの,情報公開請求では,その存在は明らかにされていません(平成28年度(最情)答申第7号(平成28年4月14日答申))。
    そのため,仮に裁判所職員が運営しているHPに記載されている情報であっても,司法修習生がブログに記載することについては慎重になった方がいいのかもしれません。


4の2 表現の自由を定めた国際人権規約
(1)ア 1966年12月16日に採択された国際人権規約には,社会権規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)及び自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)があります。
イ 1979年9月21日,国際人権規約が日本国において発効しました。
(2) 市民的及び政治的権利に関する国際規約には以下の条文があります。
2条3項
この規約の各締約国は、次のことを約束する。
(a) この規約において認められる権利又は自由を侵害された者が、公的資格で行動する者によりその侵害が行われた場合にも、効果的な救済措置を受けることを確保すること。
(b) 救済措置を求める者の権利が権限のある司法上、行政上若しくは立法上の機関又は国の法制で定める他の権限のある機関によって決定されることを確保すること及び司法上の救済措置の可能性を発展させること。
(c) 救済措置が与えられる場合に権限のある機関によって執行されることを確保すること
19条
① すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
② すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
③ 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
(3) 規約人権委員会の一般的意見には以下の記載があります。
ア 一般的意見3 (13)(2条・締約国の義務。1981年7月28日採択)2項
    この関連で、 個人が規約 (及び、 場合により、 選択議定書) 上の自己の権利が何であるかを知ること、及び、 すべての行政機関と司法機関が規約により締約国の引き受けた義務を知ることは、極めて重要である。このためには、 規約が締約国のすべての公用語で公表されるべきであり、関係機関に対しその研修の一部としてその内容を習熟させるための措置がとられるべきである。締約国と委員会の協力についても公表されることが望ましい。
イ 「一般的意見32 14条・裁判所の前の平等と公正な裁判を受ける権利」(2007年採択)29項
裁判が公開されていない場合でも、基本的な事実認定、証拠、法律上の理由付けを含む判決は、少年の利益のために必要がある場合、または当該手続が夫婦間の争いもしくは子どもの後見に関するものである場合を除いては、公開されなければならない。

ウ 「一般的意見34 19条・意見及び表現の自由」(2011年9月12日採択)
7項
    意見及び表現の自由を尊重する義務は,すべての締約国を全体として拘束するものである。締約国のあらゆる部門(行政,立法及び司法)および他の公的もしくは政府機関は,全国,地域,もしくは地方のいかなるレベルにあっても,締約国の責任を引き受ける地位にある。状況によっては,国家に準ずる主体(semi-State entities)の行為に関しても,締約国がそのような責任を引き受ける場合もある。この義務はまた,締約国に対し,これら規約の権利が私人又は法人間に適用される範囲において,意見及び表現の自由の享受を損なうような私人又は法人によるいかなる行為からも個人を保護することを要求する。
15項
    締約国は,インターネットやモバイル機器を利用した電子情報伝達システムのような情報通信技術の発達が,世界中でいかに大きく通信の実態を変化させているのか考慮すべきである。現在では,考え及び情報を交換するために,必ずしも従来のマスメディアの媒介に頼らないグローバルネットワークが存在する。締約国は,これらの新しいメディアの独立性を促進し,それに対する個人のアクセスを確保するために,あらゆる必要な手段を講じるべきである。
25項
    第3項に定められている目的のため,「法律」とみなされる規範は,各個人がその内容に従って自らの行動を制御できるよう十分な明確性をもって策定されなければならず,また一般大衆がアクセスしやすいものでなければならない。法律は,制限の実施にあたる者に対して,表現の自由の制限のために自由裁量を与えるものであってはならない。法律は,制限の実施にあたる者が,どのような表現が適切に制限されるのか,また制限されないのかを確かめられるように,十分な指針を定めていなければならない。 
(4)ア 国際人権規約の第一選択議定書に基づく個人通報制度は,人権諸条約において定められた権利の侵害の被害者と主張する個人等が,条約に基づき設置された委員会に通報し,委員会はこれを検討の上,見解又は勧告を各締約国等に通知する制度であり(外務省HPの「個人通報制度」参照),日本政府は個人通報制度関係省庁研究会において第一選択議定書を締結するかどうかの検討を続けています。
イ 日弁連HPに「国際人権規約の活用と個人申立制度の実現を求める宣言」(平成8年10月25日付)が載っています。
ウ 参議院議員浜田昌良君提出自由権規約第一選択議定書批准に関する質問に対する答弁書(平成22年6月11日付)には以下の記載があります。
    市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「自由権規約」という。)の第一選択議定書等人権に関する様々な条約に設けられている個人通報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えている。個人通報制度の受入れに当たっては、我が国の司法制度や立法政策との関連で問題が生ずることはないかという観点や個人通報制度を受け入れる場合の実施体制を含め検討課題があると認識している。個人通報制度の受入れの是非については、各方面から寄せられている意見も踏まえつつ、政府として真剣に検討を進めているところであるが、現時点で検討に要する具体的な期間についてお答えすることは困難である。
(5)ア 司法修習生の守秘義務の根拠は司法修習生に関する規則3条であって,裁判所法その他の法律ではありません。
イ 最高裁判所は,司法修習生に関する規則第3条の「秘密」の具体的内容が書いてある文書(最新版)は,「修習生活へのオリエンテーション」(平成30年11月)の「◇守秘義務」であると考えています(平成31年4月16日付の理由説明書)。
ウ 最高裁大法廷令和3年6月23日決定の裁判官宮崎裕子,同宇賀克也の反対意見(リンク先のPDF17頁以下)には以下の記載があります(リンク先のPDF36頁)。
    我が国においては,憲法98条2項により,条約は公布とともに国内的効力を有すると解されており,条約が締約国に対して法的拘束力がある文言で締約国の義務を定めている場合には,かかる義務には,国家機関たる行政府,立法府及び司法府を拘束する効力があると解される。



4の3 表現の自由の制約に関するメモ書き
(1) レペタ訴訟に関する最高裁大法廷平成元年3月8日判決は以下の判示をしています。
    報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供するものであつて、事実の報道の自由は、表現の自由を定めた憲法二一条一項の規定の保障の下にあることはいうまでもなく、このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道のための取材の自由も、憲法二一条の規定の精神に照らし、十分尊重に値するものである(最高裁昭和四四年(し)第六八号同年一一月二六日大法廷決定・刑集二三巻一一号一四九〇頁)。
(2) 表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは,その解釈により,規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ,合憲的に規制しうるもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また,一般国民の理解において,具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければなりません(最高裁大法廷昭和59年12月12日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和50年9月10日判決参照)。
(3) 日本図書館協会HPに載ってある「図書館の自由に関する宣言」には,「国民主権の原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である」とか,「検閲と同様の結果をもたらすものとして、個人・組織・団体からの圧力や干渉がある。」と書いてあります。
(4) 法務省HPの「令和3年司法試験の採点実感」に載ってある令和3年司法試験の採点実感(公法系科目第1問)には以下の記載があります。
     人権は,具体的事案を離れて,一般的な憲法上の保障に値するものとして観念されるものである。この点で,匿名表現の自由を憲法第21条の下で保障される権利類型の一つであることを十分論述した答案は,匿名での表現や集団行進が憲法第21条の保障の下にあることを当然の前提として論じた答案よりも,高く評価できた。
(中略)

     精神的自由の制約が問題になっている場面であるにもかかわらず立法裁量の存在を前提に論述したりする等,基本的な理解が不十分と思われる答案も見られた。
(中略)
     表現内容中立規制と表現行為の間接的・付随的規制との異同を意識せずに論じている答案が一定数あった。


5 公益通報者保護法と守秘義務
(1) 平成30年3月30日付の内閣答弁書には以下の記載があります。
    公益通報者保護法は、国家公務員法第百条第一項の規定により課される守秘義務を解除するものではないが、公益通報者保護法第二条第三項に規定する通報対象事実(以下「通報対象事実」という。)は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為の事実であり、国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」として保護するに値しないと考えられるため、そもそも、通報対象事実について、一般職の国家公務員が公益通報をしたとしても、同項の規定に違反するものではないと考えられる。
(2) 以下の資料を掲載しています。
・ 消費者庁消費者制度課が令和2年2月及び3月に内閣法制局に提出した,公益通報者保護法の一部を改正する法律案に関する説明資料及び用例集
・ 公益通報に関する事務の取扱いについて(平成18年3月17日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
・ 準公益通報に関する事務の取扱いについて(令和3年2月25日付の最高裁判所事務総長依命通達)
(3)ア 消費者庁HPに「公益通報者保護法と制度の概要」が載っています。
イ 東弁リブラ2022年10月号「どう変わった?公益通報者保護法-改正による実務への影響-」が載っています。


6 司法修習生の非違行為等の情報は開示されないこと
(1)ア 平成31年3月26日付の司法行政文書不開示通知書によれば,「全国の実務修習地から送付された,71期司法修習生に関する,罷免,修習の停止,戒告の該当事由及び非違行為の報告」は,その枚数も含めて不開示情報です。
イ 令和元年5月30日付の理由説明書には,「(3) 最高裁判所の考え方及びその理由」として以下の記載があります。
 本件対象文書には,第71期司法修習生の氏名や行状等が記載されており,これらは個人識別情報に該当し,行政機関情報公開法(以下「法」という。)第5条第1号に定める不開示情報に相当する。
 また,本件対象文書の性質及び内容を踏まえると,標題及び様式等を含む,本件対象文書に記載されている情報並びに実務修習を委託している各配属庁会から送付された本件対象文書の枚数は,全体として,公にすると,司法修習生の非違行為等に関する調査事項や調査量,提出された資料の内容及び分量が推知されることになり,今後の公正かつ円滑な調査及び資料収集事務に好ましくない影響を与えるなど,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当し,法第5条第6号二に定める不開示情報に相当する。
 したがって,標題及び様式等を含む本件対象文書に記載されている情報並びに実務修習を委託している各配属庁会から送付された本件対象文書の枚数は,全体として法第5条第1号及び第6号二に規定する不開示情報に相当する。
(2) 平成29年12月8日の日弁連臨時総会報告12頁には吉岡康祐日弁連副会長(岡山)の以下の答弁が載っています。
  戒告、修習停止、罷免の基準は明示的には定められていない。第71期司法修習生に対しては、例えば、犯罪に該当すると思料される行為があった場合はもとより、交通違反や交通事故、情報セキュリティ対策違反、守秘義務違反、無許可の兼職・兼業、セクハラ等の非違行為があった場合には、罷免、修習の停止又は戒告の処分や注意の措置を受けることがある旨説明されている。
  統一基準については、基準を定めてしまったら、硬直化されることも考えられるので、柔軟に対応するということで基準は作らないほうが、今のところいいのではないか。
(3) 江戸幕府第8代将軍の徳川吉宗の下で1742年に編纂された公事方御定書(くじがたおさだめがき)につき,上巻は警察や行刑に関する基本法令81通を,「御定書百箇条」ともいわれる下巻は旧来の判例を抽象化・条文化した刑事法令などを収録したものでありましたところ,Wikipediaの「公事方御定書」には以下の記載があります。
  奥書には「奉行中之外不可有他見者也」と記され、本来は幕府の司法中枢にあった者のみが閲覧できる文書だった。それは「民は由らしむべし、知らしむべからず」という儒教的政治理念だけでなく、吉宗の政策が刑の軽減を図るものだったため公開しないほうが威嚇効果を維持できると考えられたためとされる。また、下巻は刑法典の体裁をとってはいるが、あくまでも裁判や科刑の標準を示す重要判例集のようなもので制定法というよりも法曹法的な性格が強く、罪刑法定主義の考え方もなかったため条文の類推解釈や拡張解釈も裁量で行われていた。


7 裁判官及び裁判所職員の守秘義務
(1) 裁判所法に基づく守秘義務
・ 裁判所法75条(評議の秘密)は以下のとおりです。
① 合議体でする裁判の評議は、これを公行しない。但し、司法修習生の傍聴を許すことができる。
② 評議は、裁判長が、これを開き、且つこれを整理する。その評議の経過並びに各裁判官の意見及びその多少の数については、この法律に特別の定がない限り、秘密を守らなければならない。
(2) 官吏服務紀律に基づく守秘義務
ア 官吏服務紀律4条1項は,「官吏ハ己ノ職務ニ關スルト又ハ他ノ官吏ヨリ聞知シタルトヲ問ハス官ノ機密ヲ漏洩スルコトヲ禁ス其職ヲ退ク後ニ於テモ亦同樣トス」と定めています。
イ 令和元年度(最情)答申第65号(令和元年12月20日答申)には以下の記載があります。
   裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員については,裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法97条の規定により,服務の宣誓をしなければならないこととされており,裁判所職員の服務の宣誓に関する規程において,その手続が定められている。これに対し,裁判官については,同法の規定が適用又は準用されず,服務に関しては裁判所法や官吏服務紀律に規定があるほか,例えば倫理保持に関しては高等裁判所長官の申合せがあるところ,これらには服務の宣誓に関する定めはない。
ウ 参議院議員秦豊君提出官吏服務紀律の解釈と運用の実態等に関する質問に対する答弁書(昭和56年1月16日付)には以下の記載があります。
 官吏服務紀律(明治二十年勅令第三十九号)は、「官吏及俸給ヲ得テ公務ヲ奉スル者」の服務上の義務を定めたものであるが、昭和二十二年十二月三十一日限りで、その効力を失つている。
 昭和二十三年一月一日以後は、国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する法律(昭和二十二年法律第百二十一号。以下「法律第百二十一号」という。)の規定により、官吏その他政府職員の服務等に関する事項については、その官職について国家公務員法の規定が適用せられるまでの間、法律等をもつて別段の定めがされない限り、従前の例によることとされている。特別職の国家公務員については、国家公務員法の規定が現在なお適用されていないため、特別職の職員のうち法律第百二十一号施行の際に存していた職にある職員の服務に関しては、他の法律等に別段の定めがない限り、なお官吏服務紀律の規定の例によることとなるものである。
 なお、特別職の職員のうち法律第百二十一号施行後に新たに特別職とされた職にある職員については、必要に応じ、関係法令において個別に服務に関する所要の規定が設けられているものである。
(中略)
 職員の任用に当たり、その服務等に関する法令の適用関係を当該職員に告知することを要するものではない。
 なお、官吏服務紀律は既に失効しているため、現在同勅令を直接所管する府省庁は存しない。
(中略)
 官吏服務紀律第四条第一項の「官ノ機密」は、国家公務員法第百条第一項の「職務上知ることのできた秘密」とその内容において差異はないものと解される。
エ 法曹会の「裁判所法逐条解説(中巻)」10頁によれば,裁判官の服務についても,官吏服務紀律の適用があるとされています(判例時報1359号35頁参照)。
オ 裁判所職員の場合,裁判所職員臨時措置法1項・国家公務員法100条1項前段に基づき,守秘義務を負っています。


(3) 最高裁判決の審議の経過が記載された実例
ア 22期の塚原朋一弁護士(元 知財高裁所長)は,昭和58年4月1日から昭和63年3月31日までの最高裁判所調査官時代の思い出として,自由と正義2013年6月号27頁ないし31頁において,最高裁昭和59年5月29日判決に関する審議の経過を詳細に記載していますところ,平成27年秋の叙勲において瑞宝重光章を受章しました。
イ 《講演録》最高裁生活を振り返って(講演者は前最高裁判所判事・弁護士の田原睦夫)には以下の記載があります(金融法務事情1978号(2013年9月号)18頁)。
   「自由と正義」に載っている塚原朋一元知財高裁所長の調査官時代の話(「昭和末期の最高裁調査官室のある情景-私の場合」自正2013年6月号27頁)も、評議の秘密を書くのかよという感じですね。古い事件ですけれどね。


8 検察官及び検察事務官の守秘義務
(1)ア 検察官及び検察事務官は一般職の国家公務員ですから,「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定める国家公務員法100条1項の適用があります。
イ 参議院議員松野信夫君提出捜査情報の漏洩に関する質問に対する答弁書(平成21年4月7日付)には以下の記載があります。
① 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百三十四条及び国家公務員法第百条第一項の違反の有無は、事案に即して個別具体的に判断すべきものである。
 なお、刑法第百三十四条及び国家公務員法第百条第一項違反の行為は、いずれも、法律に違反する行為であり、許されない行為である。
② お尋ねの件数(山中注:捜査情報の漏洩について守秘義務違反で立件等がされた事案の件数)については、統計がないが、法務省及び警察庁において確認できる範囲では、捜査をする過程で入手した情報を漏洩したとして、刑事事件として検察庁において受理した事件の数は、平成十六年度に二件、平成十七年度に一件、平成十八年度に一件、平成十九年度に一件、平成二十年度に二件であり、刑事裁判で有罪が確定した事件の数は、平成十七年度に一件、平成十八年度に一件、平成十九年度に一件、平成二十年度に一件であり、捜査をする過程で入手した情報を漏洩したことについて懲戒処分等を受けた事案(当該漏洩について刑事事件として検察庁において受理した事案に係るものを除く。)の数は平成二十年度に一件である。
(2)ア 前田恒彦 元検事によれば,捜査当局は捜査情報をマスコミにリークすることがあるみたいです。
① なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか(1)
② なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか(2)
③ なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか(3)
イ ちなみに,ライブドア事件に関して,平成18年1月16日午後4時過ぎ,ライブドアに捜索に入ったとNHKテレビニュースで報道されたものの,ライブドアが入居していた六本木ヒルズに東京地検特捜部の捜査官が到着したのは同日午後6時半過ぎでした(Cnet.Japanの「ライブドアショックの舞台裏とその余震」(2006年1月26日付)参照)。
ウ 平成23年9月に制定された検察の理念7項には「関係者の名誉を不当に害し,あるいは,捜査・公判の遂行に支障を及ぼすことのないよう,証拠・情報を適正に管理するとともに,秘密を厳格に保持する。」と書いてあります。
(3)ア 城祐一郎(元最高検察庁検事)が著した「性犯罪捜査全書-理論と実務の詳解-」(2021年9月10日付)588頁には「筆者は,痴漢に関する裁判の実態を明らかにすべく,平成28年1月1日から同年12月末までの間,東京地検によって東京地裁に公判請求された本条例違反のうちで,盗撮などを除いた電車等の公共交通機関内等の痴漢事件に関し,そのほぼ全てである77件を抽出し,公判での否認の内容,争点及び事実認定の各問題点について個別具体的に検討し,近時における痴漢事件の捜査・公判上の問題点を洗い出して検討することとした。」と書いてありますし,同書1001頁ないし1004頁を見れば,性犯罪に関する公刊物未搭載判例が大量に掲載されていることが分かります。
イ 下級裁判所裁判例速報の場合,「性犯罪(起訴罪名は性犯罪ではなくても,実質的に性犯罪と同視できる事件を含む。) ,犯行態様が凄惨な殺人事件など,判決書を公開することにより被害者・遺族などの関係者に大きな精神的被害を与えるおそれがある事件」は裁判所HPに掲載されません(「下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等」参照)。
(4) 伊藤栄樹検事総長は,入院先の病院に来てもらった次長検事及び法務事務次官に対し,昭和62年10月17日,がんの再発に伴い退職の意向を伝えた後,周囲の慰留もあって昭和63年3月4日に正式に退官日が決定しましたところ,病気療養のために検事総長が退官することが報道されたのは同月5日でした(「伊藤栄樹検事総長の,退官直後の死亡までの経緯」参照)。


9 裁判所の広報活動では取材源の秘匿を尊重していること等
(1) 裁判所の広報活動では取材源の秘匿を尊重していること

ア 平成29年2月23日付の最高裁判所事務総長の理由説明書によれば,逆転有罪判決となった名古屋高裁平成28年11月28日判決(被告人は藤井浩人美濃加茂市長)の判決要旨が存在するか否かを答えた場合,取材源の秘匿を基本原則とする報道機関と裁判所との信頼関係を大きく損なうおそれがあり,ひいては,裁判報道に係る広報事務の遂行を困難にする可能性が高いから,開示できないそうです。
    ただし,最高裁平成18年10月3日決定が「民事事件において証人となった報道関係者が民訴法197条1項3号に基づいて取材源に係る証言を拒絶することができるかどうかは,当該報道の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該取材の態様,将来における同種の取材活動が妨げられることによって生ずる不利益の内容,程度等と,当該民事事件の内容,性質,その持つ社会的な意義・価値,当該民事事件において当該証言を必要とする程度,代替証拠の有無等の諸事情を比較衡量して決すべきである。」と判示していることとの整合性はよく分かりません。
 平成29年度(情)答申第4号(平成29年5月25日答申)は,「判決要旨の作成は,報道機関からの申請を受けて対応するのが一般的であるところ,この判決要旨の交付申請は,報道機関の取材活動そのものである。当該申請が個別の記者の独自の取材活動の一環として行われた場合はもとより,幹事社を経由しての司法記者クラブ全体からの申請で行われた場合であっても,判決要旨が作成されたことが公開され,報道機関の取材活動の存在,内容が推知されてしまうことは,取材源の秘匿を基本原則とする報道機関と裁判所との信頼関係を大きく損なうおそれがあり,ひいては,裁判報道に係る広報事務の遂行を困難にする可能性が高い。」ということで存否応答拒否は妥当であるとする答申を出しました。
(2) 愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)の事前漏えい疑惑に関する最高裁の対応
ア 愛媛玉串訴訟に関する最高裁大法廷平成9年4月2日判決に関しては,その評議内容に関する記事が平成9年2月9日の朝日新聞及び共同通信配信地方紙に掲載されました。
   そのため,最高裁は,評議の秘密が外部に漏洩したかどうかを確認するため,裁判部の担当記者を複数回呼び出し,直接本人から繰り返し取材経過等について釈明を聴取しました。
イ 「愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)の事前漏えい疑惑に関する国会答弁」も参照してください。


10 対外非公表の文書の外部への送達に関する指定職級幹部職員に対する懲戒処分書の記載,及び黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀に関する記事の記載
(1) 対外非公表の文書の外部への送達に関する指定職級幹部職員に対する懲戒処分書の記載

・ 任官11年目以降の裁判官及び検事は指定職相当職であります(裁判官の報酬等に関する法律9条及び検察官の俸給等に関する法律1条)ところ,内閣審議官として国家安全保障局に在職していた藤井敏彦に対する経済産業省の懲戒処分(停職12月)には以下の記載があります。
① 国家安全保障局の幹部が、かつて国家安全保障局を担当していた記者の自宅に複数回単独で出入りしていること自体が、上記のような情報の漏洩を疑わしめ、ひいては、国家安全保障局の情報保全能力に対する疑念を生じせしめたものであり、国家安全保障局の幹部職員として不適切であった。
② 指定職級幹部職員たる被処分者が、実質秘は含まないとはいえ、他省庁から受領した対外非公表の文書を外部に無断で送達したことは、国家安全保障局取扱注意文書等取扱規程の内規違反に留まらず、情報の保全を業務の基調に据える国家安全保障局と他省庁との信頼関係を瓦解させかねない行為であり、信用を失墜させるものとして国家公務員法第99条の信用失墜行為の禁止に違反する。
(2) 黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀に関する記事の記載
ア ヤフージャパンニュースの「問われるべきは検察幹部とマスコミの「ズブズブ」関係 取材のあり方にもメスを」(2020年5月25日付)には以下の記載があります。
① 確かに、幹部による情報リークはある。その背景や検察にとってのメリット・デメリット、メディアコントロールの狙いなどは、すでに拙稿「なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか (1)」、「同(2)」、「同(3)」で記したとおりだ。
 ただ、今回の騒動で、さすがに検事総長にもなろうという人物は違うなと思ったのは、黒川弘務氏が産経新聞と朝日新聞という、両極にあるメディアの記者らと賭け麻雀をするほど「ズブズブ」の関係に至っていたという点だ。
② 中には口の堅い者もいるにはいるが、本来であれば庁内で行われる公式の記者対応しかやってはならないはずなのに、「夜討ち朝駆け」に応じたり、記者と飲み食いなどをして関係を深めていく者も出てくるわけだ。

 とはいえ、さすがに黒川氏のように記者の自宅に上がり込むとか、「三密」の回避や外出自粛が呼びかけられていた緊急事態宣言下で記者と賭け麻雀を繰り返すとか、そのハイヤーで帰宅するといった幹部など聞いたことがない。
イ 「黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀問題」も参照してください。


11 関連記事その他
(1) ツイッター等のSNSを国家公務員が私的利用する際の注意点については,総務省人事・恩給局の「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」(平成25年6月付)に書いてあります。
(2) 早稲田大学HPに載ってある「河合健司元仙台高裁長官講演会講演録 裁判官の実像」には,32期の河合健司裁判官が東京地裁の部総括時代に最高裁平成24年 9 月7 日判決(前科証拠を被告人と犯人の同一性の証拠に用いることが許されないとされた事例)の第一審を担当したときの感想が書いてあります(リンク先のPDF13頁ないし16頁)。
(3) 情報源を公にしないことを前提とした報道機関に対する重要事実の伝達は,たとえその主体が金融商品取引法施行令30条1項1号に該当する者であったとしても,同号にいう重要事実の報道機関に対する「公開」には当たりません(最高裁平成28年11月28日判決)。
(4) 最高裁令和5年2月21日判決は,金沢市庁舎前広場における集会に係る行為に対し金沢市庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号)5条12号を適用することは、憲法21条1項に違反しないと判示した事例です。
(5)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 監督活動の内容に関し公表を行うに当たって留意すべき事項について(平成24年2月8日付の厚生労働省労働基準局監督課長の書簡)
イ 以下の記事も参照してください。
 司法修習生に関する規則第3条の「秘密」の具体的内容が書いてある文書
・ 「品位を辱める行状」があったことを理由とする司法修習生の罷免事例及び再採用
 司法修習生の罷免理由等は不開示情報であること
・ 司法修習生の逮捕及び実名報道

令和元年度実務協議会(夏季)

目次
1 令和元年7月11日及び同月12日に開催された,令和元年度実務協議会(夏季)の資料
2 関連記事その他

1 令和元年7月11日及び同月12日に開催された,令和元年度実務協議会(夏季)の資料
① 日程表
② 出席者名簿
③ 民事・行政事件の現状と課題
④ 刑事事件の現状と課題
⑤ 参考統計表
⑥ 裁判員裁判の実施状況について(制度施行~平成31年4月末・速報)
⑦ 家庭裁判所の現状と課題
⑧ 最高裁判所経理局作成資料
⑨ 司法研修所関係資料
→ 令和元年度の裁判官の合同研修について(令和元年5月22日付),及び令和元年度裁判官研修実施計画の補足説明(前年度からの主な変更点等)が含まれています。

2 関連記事その他
(1) 実務協議会というのは,新たに地方裁判所長,家庭裁判所長又は高等裁判所事務局長を命ぜられた者を対象に,年に2回開催されている研修です(「裁判官研修実施計画」参照)。
(2) 令和元年度夏季については,最高裁判所人事局が作成した資料はなぜかありません。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
→ 平成30年度冬季以降の資料を掲載しています。

司法研修所関係資料からの抜粋

第1号法定受託事務としての選挙無効訴訟

目次
1 第1号法定受託事務
2 選挙無効訴訟の位置づけ
3 一票の格差訴訟における被告等
4 大阪法務局訟務部

1 第1号法定受託事務
(1) ①国政選挙,②旅券の交付,③国の指定統計,④国道の管理,⑤戸籍事務,⑥生活保護及び⑦マイナンバー事務は,第1号法定受託事務です(地方自治法2条10項及び別表第一参照)。
   第1号法定受託事務とは,法律又はこれに基づく政令により都道府県,市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち,国が本来果たすべき役割に係るものであって,国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものをいいます(地方自治法2条9項1号)。
(2) 地方自治体が有するところの,第1号法定受託事務に関する行政訴訟における法務局等(法務局訟務部及び地方法務局訟務部門のことです。)との接点としては以下のものがあります。
① 法務局等に対して報告すること(法務大臣権限法6条の2第1項)。
② 法務局等から助言,勧告,資料提出の要求及び指示を受けること(法務大臣権限法6条の2第3項)。
③ 法務局等に対して訴訟の実施請求をすること(法務大臣権限法7条1項)。
(3) 第1号法定受託事務において当事者となる例は以下のとおりです。
① 自治体が当事者となる例としては,生活保護受給申請を拒否した市町村長の処分に係る取消訴訟があります。
② 自治体の行政庁が当事者となる例としては,衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙に関して,都道府県選挙管理委員会を被告として提起された選挙無効請求訴訟があります。
(4) 法務省HPに「法定受託事務に関する訴訟の報告制度」が載っています。

2 選挙無効訴訟の位置づけ
(1) 公職選挙法204条は,選挙人又は公職の候補者のみがこれを提起し得るものと定め,同法205条1項は,上記訴訟において主張し得る選挙無効の原因を「選挙の規定に違反することがあるとき」と定めており,この無効原因は,主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき又は直接そのような明文の規定は存在しないが選挙の基本理念である選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指します(最高裁平成29年10月31日判決。なお,先例として,最高裁昭和27年12月4日判決最高裁昭和51年9月30日判決最高裁平成26年7月9日判決参照)。
(2)ア  公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として同法9条1項並びに11条1項2号及び3号の規定(受刑者の選挙権及び被選挙権の制限)の違憲を主張することができません(最高裁平成26年7月9日決定)。
イ 公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として同法10条1項2号の規定(参議院議員の被選挙権は年齢満30歳以上の者だけが有すること)の違憲を主張することができません(最高裁平成29年10月31日判決)。
ウ 公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として,年齢満18歳及び満19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている同法9条1項の規定の違憲を主張することはできません(最高裁平成31年2月28日決定)。
(3) 一票の格差に関する無効訴訟(公職選挙法204条)の対象となっている選挙区については,当該訴訟が係属している限り,補欠選挙ができません(公職選挙法33条の2第7項)。
(4) 平成6年4月11日に設置された衆議院選挙区画定審議会は,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関して調査審議をし,必要があると認めるときは,その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告を行っています(総務省HPの「衆議院小選挙区画定審議会」参照)。

3 一票の格差訴訟における被告等
(1)   衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙の効力に関する訴訟は,当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし,当該選挙の日から30日以内に,高等裁判所に提起することとなります(公職選挙法204条)。
   そのため,一票の格差訴訟における被告は都道府県管理委員会となります。
(2) 総務省自治行政局選挙部管理課訟務専門官は,選挙訴訟等に関する事務を行っています(総務省組織規則27条3項)。

4 大阪法務局訟務部
(1) 大阪法務局訟務部には訟務部長1人(裁判官からの出向者です。),訟務部副部長5人(うち2人は裁判官からの出向者です。),訟務部付検事(裁判官からの出向者もいます。),訟務管理官,総括上席訟務官,上席訟務官,訟務官及び事務官がいます。
(2)   地方法務局訟務部門には総括上席訟務官,上席訟務官,訟務官及び事務官がいます(大阪法務局管内の地方法務局の場合,総括上席訟務官がいるのは京都地方法務局及び神戸地方法務局だけです。)。

5 関連記事その他
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 訟務事務入門(平成18年3月)書式編
・ 訟務事務心得集(平成22年9月改訂)
・ 逐条解説 法務大臣権限法(第2版・平成19年3月)
・ 法務大臣権限法の解説(平成24年度の文書)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 歴代の法務省訟務局長

参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)

目次
第1 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
1 昭和37年7月1日実施の第6回参議院議員通常選挙(最大格差4.09倍)
2 昭和46年6月27日実施の第9回参議院議員通常選挙(最大格差は5.08倍)
3 昭和52年7月10日実施の第11回参議院議員通常選挙(最大格差は5.26倍)
4 昭和55年6月22日実施の第12回参議院議員通常選挙(最大格差は5.37倍)
5 昭和58年6月26日実施の第13回参議院議員通常選挙(最大格差は5.56倍)
6 昭和61年7月6日実施の第14回参議院議員通常選挙(最大格差は5.85倍)
7 平成4年7月26日実施の第16回参議院議員通常選挙(最大格差6.59倍)
8 平成7年7月23日実施の第17回参議院議員通常選挙(最大格差4.97倍)
9 平成10年7月12日実施の第18回参議院議員通常選挙(最大格差4.98倍)
10 平成13年7月29日実施の第19回参議院議員通常選挙(最大格差5.06倍)
11 平成16年7月11日実施の第20回参議院議員通常選挙(最大格差5.13倍)
12 平成19年7月29日実施の第21回参議院議員通常選挙(最大格差4.86倍)
13 平成22年7月11日実施の第22回参議院議員通常選挙(最大格差5.00倍)
14 平成25年7月21日実施の第23回参議院議員通常選挙(最大格差4.77倍)
15 平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙(最大格差3.08倍)
第2 関連記事その他



第1 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
1 昭和37年7月1日実施の第6回参議院議員通常選挙(最大格差4.09倍)

(1)    最高裁大法廷昭和39年2月5日判決は,合憲と判断しました。
(2) 判決文には,「議員定数、選挙区および各選挙区に対する議員数の配分の決定に関し立法府である国会が裁量的権限を有する以上、選挙区の議員数について、選挙人の選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合は格別、各選挙区に如何なる割合で議員数を配分するかは、立法府である国会の権限に属する立法政策の問題であつて、議員数の配分が選挙人の人口に比例していないという一事だけで、憲法14条1項に反し無効であると断ずることはできない。」という記載があります。

2 昭和46年6月27日実施の第9回参議院議員通常選挙(最大格差は5.08倍)
・ 最高裁昭和49年4月25日判決は,合憲と判断しました。

3 昭和52年7月10日実施の第11回参議院議員通常選挙(最大格差は5.26倍)
・ 最高裁大法廷昭和58年4月27日判決は,合憲と判断しました。

4 昭和55年6月22日実施の第12回参議院議員通常選挙(最大格差は5.37倍)
・ 最高裁昭和61年3月27日判決は,合憲と判断しました。

5 昭和58年6月26日実施の第13回参議院議員通常選挙(最大格差は5.56倍)
・ 最高裁昭和62年9月24日判決は,合憲と判断しました。

6 昭和61年7月6日実施の第14回参議院議員通常選挙(最大格差は5.85倍)
・ 最高裁昭和63年10月21日判決は,合憲と判断しました。

7 平成4年7月26日実施の第16回参議院議員通常選挙(最大格差6.59倍)
・ 平成8年6月26日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成8年9月11日判決は,違憲状態と判断しました。

8 平成7年7月23日実施の第17回参議院議員通常選挙(最大格差4.97倍)
・ 平成10年6月3日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成10年9月2日判決は,合憲と判断しました。

9 平成10年7月12日実施の第18回参議院議員通常選挙(最大格差4.98倍)
・ 平成12年7月5日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成12年9月6日判決は,合憲と判断しました。

10 平成13年7月29日実施の第19回参議院議員通常選挙(最大格差5.06倍)
(1)   平成15年12月10日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成16年1月14日判決は,合憲と判断しました。
(2) 最高裁大法廷平成16年1月14日判決の多数意見は5行だけであって(判決文4頁参照),残りは以下のとおりでした。
① 補足意見1(裁判官5人)
② 補足意見1の追加補足意見(裁判官島田仁郎)
③ 補足意見2(裁判官4人)
④ 補足意見2の追加補足意見(裁判官亀山継夫)
⑤ 補足意見2の追加補足意見(裁判官横尾和子)
⑥ 反対意見(裁判官6人)
⑦ 追加反対意見(裁判官福田博)
⑧ 追加反対意見(裁判官梶谷玄)
⑨ 追加反対意見(裁判官深澤武久)
⑩ 追加反対意見(裁判官濱田邦夫)
⑪ 追加反対意見(裁判官滝井繁男)
⑫ 追加反対意見(裁判官泉徳治)
(3) 多数意見が結論しか書いていない最高裁判決としては,最高裁大法廷昭和28年7月22日判決ぐらいです(「一歩前へ出る司法」172頁参照)。

11 平成16年7月11日実施の第20回参議院議員通常選挙(最大格差5.13倍)
・ 平成18年7月12日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成18年10月4日判決は,合憲と判断しました。

12 平成19年7月29日実施の第21回参議院議員通常選挙(最大格差4.86倍)
・ 平成21年7月8日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成21年9月30日判決は,合憲と判断しました。

13 平成22年7月11日実施の第22回参議院議員通常選挙(最大格差5.00倍)
(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
   平成23年2月28日までに那覇支部を除く15件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が3件,違憲状態が12件,合憲が0件でした(外部HPの「一人一票(参院選)全国の判決日/判決文マップ」参照)。
イ 最高裁判決の内容
   平成24年9月12日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成24年10月17日判決は,違憲状態と判断しました。
   違憲状態であると判断したのが12人,違憲であると判断したのが3人,合憲であると判断したのは0人でした(外部HPの「最高裁大法廷平成24年10月17日判決について」参照)。
(2) その後の法改正
・ 平成24年11月26日公布の公職選挙法改正において,参議院(選挙区)定数に関する「4増4減」(福島県及び岐阜県の議員数をそれぞれ4人から2人に減らし,神奈川県及び大阪府の議員数を6人から8人に増やすというもの)が規定されました。
   そして,同日施行の参議院選挙区選出議員の定数の変更が,総務省HPの「参議院選挙区選出議員の選挙区の定数の改正」に掲載されています。
・ 公職選挙法の一部を改正する法律(平成24年11月26日法律第94号)附則3項は,「平成二十八年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、結論を得るものとする。」と定めています。
(3) その他
・ 第22回参議院議員通常選挙に関して,Chikirinの日記ブログ「格差問題@一票の価値」に,「もしも選挙区割りがなく、得票数の多い順に当選していたらどうなっていたのか」が書いてあります。

14 平成25年7月21日実施の第23回参議院議員通常選挙(最大格差4.77倍)
(1) 判決内容等
ア 高裁判決の内容
・   平成25年12月26日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が3件(うち,違憲無効が1件(広島高裁岡山支部平成25年11月28日判決(裁判長は30期の片野悟好裁判官))),違憲状態が13件,合憲が0件でした(外部HPの「昨夏の参院選は「違憲状態」最高裁が判決」及び「一人一票(2013参院)裁判~1人1票判決へ~」参照)。
・   国政選挙を違憲無効とした判決は,鹿児島2区選挙無効事件に関する大審院昭和20年3月1日判決(平成21年8月16日放送の,NHKスペシャル終戦ドラマ「気骨の判決」で取り上げられました。)以来です。
イ 最高裁判決の内容
・  最高裁大法廷平成26年11月26日判決は,違憲状態と判断しました。
・ 山本庸幸裁判官(元 内閣法制局長官)の反対意見は,違憲無効を主張しました。
ウ 判決の解説
・    「参議院議員定数配分をめぐる近時の最高裁判例-最高裁平成26年11月26日大法廷判決を中心として-」(レファレンス平成27年7月号)で解説されています。
(2) その後の法改正
・ 公明党は,平成27年6月15日,参議院選挙区における一票の格差を是正するため,隣接する20選挙区を合区して10選挙区に再編し,格差を2倍未満とする案を発表しました(公明党HPの「参院選挙制度で公明が改革案」参照)。
これによれば,合区とされる選挙区は,秋田・山形(2人),富山・岐阜(4人),石川・福井(2人),山梨・長野(4人),奈良・和歌山(4人),鳥取・島根(2人),徳島・高知(2人),香川・愛媛(4人),佐賀・長崎(2人),大分・宮崎(4人)です。
・   平成27年8月5日公布の公職選挙法改正において,参議院(選挙区)定数に関する「10増10減」,鳥取・島根及び徳島・高知の合区等が規定されました。
そして,平成27年11月5日施行の参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の変更が,総務省HPの「参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の改正等について」に掲載されています。
(3) その他
・   日弁連は,平成26年11月26日,「参議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。
・ 全国知事会は,平成28年7月29日,参議院選挙における合区の解消に関する決議を出しました(全国知事会HPの「平成28年8月25日「参議院選挙における合区の解消に関する決議」に係る要請活動について」参照)。

15 平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙(最大格差3.08倍)
(1) 高裁判決の内容等
・   一人一票実現国民会議HPの「一人一票(2016参院)裁判始まりました!」に,高裁判決の全文,最高裁の弁論期日における弁論要旨等が載っています。
・ 平成28年11月8日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が0件,違憲状態が10件,合憲が6件でした(外部HPの「合憲?違憲状態?判断分かれる「一票の格差」特集」参照)。
(2) 最高裁判決の内容等
・ 平成29年7月19日の口頭弁論期日において,「傍聴人の皆様へ 選挙無効請求事件(参議院議員定数訴訟)について」と題する説明資料が配布されました(Youtube動画につき「最高裁で弁論 「一票の格差」巡り参院選無効の訴え(2017/7/19)」参照)。
・ 最高裁大法廷平成29年9月27日判決(升永弁護士のグループ)及び最高裁大法廷平成29年9月27日判決(山口弁護士のグループ)は,合憲と判断しました(Youtube動画につき「「一票の格差」最高裁は「合憲」 去年の参院選」参照)。
(3) その他
・ 日弁連は,平成29年9月28日,「参議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。

第2 関連記事その他
1 憲法43条1項が両議院の議員が全国民を代表する者でなければならないとしているのは,本来的には,両議院の議員は,その選出方法がどのようなものであるかにかかわらず,特定の階級,党派,地域住民など一部の国民を代表するものではなく全国民を代表するものであって,選挙人の指図に拘束されることなく独立して全国民のために行動すべき使命を有するものであることを意味していると解されています(最高裁大法廷平成11年11月10日判決)。
2 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所における違憲判決の一覧
・ 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧
・ 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
・ 一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧

衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)

目次
第1 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)

1 昭和47年12月10日実施の第33回衆議院議員総選挙(最大格差4.99倍)
2 昭和55年6月22日実施の第36回衆議院議員総選挙(衆参同日選)(最大格差3.94倍)
3 昭和58年12月18日実施の第37回衆議院議員総選挙(最大格差4.40倍)
4 昭和61年7月6日実施の第38回衆議院議員総選挙(衆参同日選)(最大格差2.92倍)
5 平成2年2月18日実施の第39回衆議院議員総選挙(最大格差3.18倍)
6 平成5年7月18日実施の第40回衆議院議員総選挙(最大格差2.82倍)
7 平成8年10月20日実施の第41回衆議院議員総選挙(最大格差2.309倍)
8 平成12年6月25日実施の第42回衆議院議員総選挙(最大格差2.471倍)
9 平成15年11月9日実施の第43回衆議院議員総選挙(最大格差2.064倍)
10 平成17年9月11日実施の第44回衆議院議員総選挙(最大格差2.171倍)
11 平成21年8月30日実施の第45回衆議院議員総選挙(最大格差2.304倍)
12 平成24年12月16日実施の第46回衆議院議員総選挙(最大格差2.43倍)
13 平成26年12月14日実施の第47回衆議院議員総選挙(最大格差2.13倍)
14 平成29年10月22日実施の第48回衆議院議員総選挙(最大格差1.98倍)
第2 関連記事その他


第1 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
1 昭和47年12月10日実施の第33回衆議院議員総選挙(最大格差4.99倍)
・ 最高裁大法廷昭和51年4月14日判決は,違憲と判断しました。

2 昭和55年6月22日実施の第36回衆議院議員総選挙(衆参同日選)(最大格差3.94倍)
・ 最高裁大法廷昭和58年11月7日判決は,合憲と判断しました。

3 昭和58年12月18日実施の第37回衆議院議員総選挙(最大格差4.40倍)
・ 最高裁大法廷昭和60年7月17日判決は,違憲と判断しました。

4 昭和61年7月6日実施の第38回衆議院議員総選挙衆参同日選)(最大格差2.92倍)
・ 最高裁昭和63年10月21日判決は,合憲と判断しました。

5 平成2年2月18日実施の第39回衆議院議員総選挙(最大格差3.18倍)
・ 平成4年11月11日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成5年1月20日判決は,違憲状態と判断しました。

6 平成5年7月18日実施の第40回衆議院議員総選挙(最大格差2.82倍)
・ 最高裁平成7年6月8日判決は,合憲と判断しました。

7 平成8年10月20日実施の第41回衆議院議員総選挙(最大格差2.309倍)
・ 平成11年10月6日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成11年11月10日判決は,合憲と判断しました。

8 平成12年6月25日実施の第42回衆議院議員総選挙(最大格差2.471倍)
・ 最高裁平成13年12月18日判決は,合憲と判断しました。

9 平成15年11月9日実施の第43回衆議院議員総選挙(最大格差2.064倍)
・ 最高裁平成17年9月27日判決は,衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴訟は衆議院の解散(平成17年8月8日)によって,その訴えの利益を失うと判示しました。

10 平成17年9月11日実施の第44回衆議院議員総選挙(最大格差2.171倍)
・ 平成19年4月25日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成19年6月13日判決は,合憲と判断しました。

11 平成21年8月30日実施の第45回衆議院議員総選挙(最大格差2.304倍)
(1) 判決内容
ア   平成23年2月23日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成23年3月23日判決は,違憲状態と判断しました。
イ 一人別枠方式は違憲状態であると判示したのは12人,一人別枠方式は違憲であると判示したのは2人,一人別枠方式は合憲であると判示したのは1人でした(外部HPの「最高裁大法廷平成23年3月23日判決について 速報」参照)。
(2) その後の法改正
ア 平成24年11月26日公布の改正衆議院議員選挙区画定審議会設置法により,小選挙区の一人別枠方式を定めた同法3条2項が削除されました。
     なお,改正前の同法3条2項は,「前項の改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、一に、公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第四条第一項 に規定する衆議院小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とする。」と定めていました。
イ 総務省の衆議院議員選挙区画定審議会は,内閣総理大臣に対し,平成25年3月28日,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行いました(総務省HPの「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案・改定案の勧告」参照)。
ウ(ア) 平成25年6月28日公布の改正公職選挙法により,17都県42選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,5県(山梨,福井,徳島,高知及び佐賀)の定数を3人から2人に減らす0増5減が規定された結果,衆議院の定数が480人(小選挙区300人+比例代表180人)が475人(小選挙区295人+比例代表180人)となりました。
     そして,平成25年7月28日施行の衆議院議員小選挙区の区割りが,総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」に掲載されています。
(イ) このときの法改正に至るまでの詳細な経緯は,総務省HPの「第22回衆議院議員選挙区画定審議会」(平成25年7月29日開催)に書いてあります。

12 平成24年12月16日実施の第46回衆議院議員総選挙(最大格差2.43倍)
(1) 平成25年10月23日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成25年11月20日判決は,違憲状態と判断しました。
(2) 最大格差2.304倍であった平成21年8月30日実施の第45回衆議院議員総選挙が最高裁大法廷平成23年3月23日判決によって違憲状態であると判断されていました。
     そのため,最大格差2.43倍となった平成24年12月16日実施の第46回衆議院議員総選挙が違憲状態であると判断されることは容易に予想されることでした。
(3)   「選挙無効訴訟と国会の裁量-衆議院の選挙区割りをめぐる最高裁平成25年11月20日大法廷判決を素材として-」(レファレンス平成26年11月号)で解説されています。
(4) 日弁連は,平成25年11月20日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。

13 平成26年12月14日実施の第47回衆議院議員総選挙(最大格差2.13倍)
(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
・ 平成27年3月26日までに17件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が1件,違憲状態が12件,合憲が4件でした。
イ 最高裁判決の内容
(ア)   平成27年10月28日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成27年11月25日判決は,違憲状態と判断しました。
(イ) 千葉勝美裁判官は,補足意見を付けました。
・   櫻井龍子裁判官及び池上政幸裁判官は,定数配分は合憲であるという趣旨の意見を付けました。
・   大橋正春裁判官は,定数配分は違憲であり,判決確定後6ヶ月経過の後に無効とすべきという反対意見を付けました。
・   鬼丸かおる裁判官は,定数配分は違憲であるという反対意見を付けました。
・   木内道祥裁判官が,定数配分は違憲であり,12の選挙区については無効とすべきという反対意見を付けました。
(2) その後の法改正
ア 平成26年6月19日に設置された衆議院選挙制度に関する調査会は,平成28年1月14日,定数10減及びアダムズ方式導入を柱とする答申を出しました(衆議院HPの「衆議院選挙制度に関する調査会」参照)。
イ 平成28年5月27日公布の改正公職選挙法により,小選挙区が6人(青森,岩手,三重,奈良,熊本及び鹿児島から各1人),比例代表が4人(東北,北陸信越,近畿及び九州の各ブロックから1人)削減されて,衆議院の定数は465人(小選挙区289人+比例代表176人)となることとなりました。
ウ 総務省の衆議院議員選挙区画定審議会は,内閣総理大臣に対し,平成29年4月19日,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行いました(総務省HPの「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案・改定案の勧告」参照)。
     最大較差が平成27年国勢調査による日本国民の人口で1.956倍(平成32年見込人口で1.999倍)となる19都道府県97選挙区の改定案でした(総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」参照)。
エ(ア) 平成29年6月16日公布の改正公職選挙法により,19都道府県97選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,小選挙区が6人(青森,岩手,三重,奈良,熊本及び鹿児島から各1人),比例代表が4人(東北,北陸信越,近畿及び九州の各ブロックから1人)削減されて,衆議院の定数は465人(小選挙区289人+比例代表176人)となりました。
   そして,平成29年7月16日施行の衆議院議員小選挙区の区割りが,総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」に掲載されています。
(イ) このときの法改正に至るまでの詳細な経緯は,総務省HPの「第36回衆議院議員選挙区画定審議会」(平成29年8月3日開催)に書いてあります。
オ 公示日前日である平成29年10月9日現在,一票の格差は最大で1.98倍です(中日新聞HPの「1票の格差1・98倍 区割り変更で2倍以上解消」参照)。
(3) その他
ア 日弁連は,平成27年11月25日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。
イ   NHK解説委員室HP「時論公論 「1票の格差はどこまで許されるのか」」(平成27年11月26日)で解説されています。

14 平成29年10月22日実施の第48回衆議院議員総選挙(最大格差1.98倍)
(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
・ 平成30年3月30日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲状態が1件,合憲が15件でした。
イ 最高裁判決の内容
(ア)   平成30年11月28日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成30年12月19日判決は合憲と判断しました。
(イ) 林景一裁判官は,累次の大法廷判決を受けて国会が行った是正努力をも踏まえて,合憲であるという多数意見の結論に同調するという意見を付けました。
・   宮崎裕子裁判官は,定数配分は違憲状態であるという意見を付けました。
・   鬼丸かおる裁判官は,定数配分は違憲であるという反対意見を付けました。
・ 山本庸幸裁判官は,定数配分は違憲であり,一票の価値が0.8を下回る選挙区から選出された議員は,全てその身分を失うものと解すべきであるという反対意見を付けました。
(2) 日弁連は,平成30年12月21日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。

第2 関連記事その他
1 憲法43条1項が両議院の議員が全国民を代表する者でなければならないとしているのは,本来的には,両議院の議員は,その選出方法がどのようなものであるかにかかわらず,特定の階級,党派,地域住民など一部の国民を代表するものではなく全国民を代表するものであって,選挙人の指図に拘束されることなく独立して全国民のために行動すべき使命を有するものであることを意味していると解されています(最高裁大法廷平成11年11月10日判決)。
2 Wikipediaの「中村治朗」には「1976年の衆議院議員定数不均衡訴訟(最大判昭51・4・14民集30-3-223)においては、行政事件訴訟法第31条の事情判決の法理を活用した違憲宣言にとどめる判決の手法を、裏方役の最高裁首席調査官の立場から実質的に生み出した。」と書いてあります。
3 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所における違憲判決の一覧
・ 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧
 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
・ 一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧

最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧

目次
1 総論
2 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決
3 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲判決
4 投票価値の平等に関する裁判の経緯
5 一票の格差是正に否定的な意見
6 関連記事その他

1 総論
(1) 衆議院は参議院と比べて議員の任期が短く(憲法45条本文,46条対照),解散があります(憲法45条ただし書参照)から,参議院よりも一票の格差に関する許容範囲が狭いです。
(2)ア 違憲状態とは,一票の格差が憲法14条1項に違反する状態をいいます。
   違憲とは,一票の格差に関する違憲状態を是正するのに合理的期間を経過した場合をいいます。
イ 弁護士ドットコムニュース「<一票の格差判決>「違憲」と「違憲状態」の違いとは?弁護士がわかりやすく解説」が参考になります。
(3) 最高裁大法廷平成23年3月23日判決以降,一票の格差に関する判断基準が厳しくなりました。
   それ以前は概ね,衆議院の場合は最大格差が3.0倍を超え(最高裁大法廷平成5年1月20日判決参照),参議院の場合は最大格差が6.0倍を超えれば(最高裁大法廷平成8年9月11日判決参照),憲法に違反するといわれていました。
(4) 以下の記事も参照してください。
① 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
② 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)

2 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決
(1) 衆議院議員総選挙に関するもの
①   最高裁大法廷平成 5年 1月20日判決(平成 2年 2月18日の総選挙に関するもの)(最大格差3.18倍)
②   最高裁大法廷平成23年 3月23日判決(平成21年 8月30日の総選挙に関するもの)(最大格差2.304倍)
③   最高裁大法廷平成25年11月20日判決(平成24年12月16日の総選挙に関するもの)(最大格差2.43倍)
④   最高裁大法廷平成27年11月25日判決(平成26年12月14日の総選挙に関するもの)(最大格差2.13倍)
(2) 参議院議員通常選挙に関するもの
①   最高裁大法廷平成 8年 9月11日判決(平成 4年 7月26日の通常選挙に関するもの)(最大格差6.59倍)
②   最高裁大法廷平成24年10月17日判決(平成22年 7月11日の通常選挙に関するもの)(最大格差5.00倍)
③   最高裁大法廷平成26年11月26日判決(平成25年 7月21日の通常選挙に関するもの)(最大格差4.77倍)

3 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲判決
(1)   ①最高裁大法廷昭和51年4月14日判決(最大格差4.99倍)及び②最高裁大法廷昭和60年7月17日判決(最大格差4.40倍)だけであり,いずれも衆議院議員総選挙に関するものです。
(2) 公職選挙法219条1項前段は選挙訴訟への行政事件訴訟法31条1項の適用を排除しています。
   しかし,衆議院議員選挙が憲法14条1項に違反する議員定数配分規定に基づいて行われたことにより違法な場合であっても,選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避することを相当とする判示のような事情があるときは,いわゆる事情判決の制度の基礎に存するものと解すべき一般的な法の基本原則に従い,選挙無効の請求を棄却するとともに主文において当該選挙が違法である旨を宣言すべきであるとされています(最高裁大法廷昭和60年7月17日判決いわゆる「事情判決の法理」です。)。
(3) 事情判決の法理に反対する意見として,最高裁大法廷平成30年12月19日判決における山本庸幸裁判官(元 内閣法制局長官)の反対意見には以下の記載があります。
   国政選挙という代表民主制を支える最も重要な制度の合憲性が争われる争訟において,裁判所がこれを違憲と判断しながら当該選挙を無効とせずに単に違法の宣言にとどめるということが,法律上の明文の根拠もなく許されるものであるかどうか,私には甚だ疑問に思えてならない。現にこれまでの経緯を振り返ると,選挙区の区割りや定数に関する幾たびかの法改正や国会における検討を経てもなお,一票の価値の平等という代表民主制を支える根幹の原理が守られておらず,その改善は遅々として進まないという状況にあって,選挙制度の憲法への適合性を守るべき立場にある裁判所としては,違憲であることを明確に判断した以上はこれを無効とすべきであり,そうした場合に生じ得る問題については,経過的にいかに取り扱うかを同時に決定する権限を有するものと考える。

4 投票価値の平等に関する裁判の経緯
(1)ア 投票価値の平等に関する裁判は,当時司法修習生であった越山康弁護士(故人)が昭和37年の参議院議員選挙に関して提訴したことから始まりました。
   平成21年8月30日実施の衆議院議員総選挙以降,越山康弁護士のグループとは別に,全国の弁護士有志が投票価値の平等に関する裁判を提訴するようになりました(外部HPの「一人一票裁判とは?」参照)。
イ 現在,山口邦明弁護士らのグループ(越山康弁護士の系統です。)と,升永英俊弁護士,伊藤真弁護士,久保利英明弁護士らのグループが別々に,投票価値の平等に関する訴訟を行っています。
   例えば,平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙における平成29年7月19日の口頭弁論期日では,午前中に山口邦明弁護士らのグループが弁論を行い,午後に升永英俊弁護士らのグループが弁論を行いました。
ウ 現代ビジネスHPの「「一票の格差」に数億円投入する「最強弁護士」の素顔」が参考になります。ただし,升永英俊弁護士に対するインタビュー記事でありますところ,プレミアム会員にならないと最初の方しか読めません。
(2)   自由と正義2018年12月号5頁及び6頁に以下の記載があります。
   2009年、私(注:筆者である升永英俊弁護士のこと。)は、久保利英明弁護士と共に,全国の各高裁で人口比例選挙(すなわち,一人一票)訴訟を提訴すべく、全国の有志の弁護士に参加を求め、以後今日まで、各地の有志弁護士が、一人一票訴訟に参加している。
    全国の全ての一人一票訴訟に参加している弁護士は、久保利英明弁護士、伊藤真弁護士、私の3名である。
    私どもは、2009~2018年の間に、国政総選挙ごとに、全国の全14の高裁・高裁支部に人口比例選挙裁判を提訴し続け(但し、2009年衆院選のみ、8の高裁・高裁支部に提訴)、92の高裁判決と6の最高裁大法廷判決(すなわち、5の「違憲状態」大法廷判決と1の「留保付合憲」大法廷判決(参院選))を得た。
    これらの92の高裁判決とは、2の違憲無効判決、20の違憲違法判決、46の違憲状態判決、12の留保付合憲判決、12の留保無しの合憲判決である。
    これらの92の高裁判決及び山口邦明弁護士ら及び金尾哲也弁護士ら提訴の高裁判決のうち、5の「違憲違法」判決及び3の「違憲無効」判決は、それぞれ、『憲法は人口比例選挙を要求している』旨判示した。

5 一票の格差是正に否定的な意見
(1) 一票の格差是正に否定的な意見として,以下のHPがあります。
① 現代ビジネスHPの「ニッポンの難題「一票の格差」の落とし穴〜是正は本当に必要ですか?」
② ハフポストHPの「一票の格差は本当に問題なのだろうか?」
③ BLOGOSの「「一票の格差」という欺瞞」
(2) 一票の格差是正は「地方切り捨て」につながりかねないといわれることがあります。


6 関連記事その他
(1) 経済同友会HP「投票価値の平等(「一票の格差」是正)実現Webサイト」What’s New!に,一票の格差に関する時系列の経緯が載っています。
(2) 国立国会図書館HPレファレンスに以下の記事が載っています。
① 「戦後主要政党の変遷と国会内勢力の推移」(平成26年6月号)
② 「参議院定数配分をめぐる近時の最高裁判例-最高裁平成26年11月26日大法廷判決を中心として-」(平成27年7月号)
(3) 国立国会図書館HP「調査と情報」に以下の記事が載っています。
① 主要国議会の解散制度(平成28年10月18日発行の923号)
② 衆議院及び参議院における一票の格差-近年の最高裁判所判決を踏まえて-(平成29年3月28日発行の953号)
③ 戦後の我が国における主要制度の変遷(平成31年2月28日発行の1043号)
(4) 総務省自治行政局選挙部管理課選挙管理官は,中央選挙管理会が管理する選挙に関する事務を行っています(総務省組織規則27条2項)。
(5) レファレンス平成26年6月号の「戦後主要政党の変遷と国会内勢力の推移」を見れば,昭和20年8月から平成25年までの,主要政党の国会内勢力の推移が分かります。
(6) 最高裁昭和62年4月24日判決は以下の判示をしています。
    政党は、それぞれの党綱領に基づき、言論をもつて自党の主義主張を国民に訴えかけ、支持者の獲得に努めて、これを国又は地方の政治に反映させようとするものであり、そのためには互いに他党を批判しあうことも当然のことがらであつて、政党間の批判・論評は、公共性の極めて強い事項に当たり、表現の自由の濫用にわたると認められる事情のない限り、専ら公益を図る目的に出たものというべきである。
(7) 以下の記事も参照して下さい。
・ 最高裁判所における違憲判決の一覧
・ 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
・ 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)
・ 一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧

最高裁,高裁及び地家裁の本庁及び支部ごとの裁判官数の分布表

1 最高裁,高裁及び地家裁の本庁及び支部ごとの裁判官数の分布表を以下のとおり掲載しています。
①   平成28年 8月5日時点
② 平成29年12月1日時点
③ 平成30年12月1日時点

2 数字が入っていない支部は,常駐している裁判官のいない非常駐支部となります。

3(1) 東京地家裁,横浜地家裁,大阪地家裁のように,地裁と家裁の両方の補職辞令を持っている裁判官がいない裁判所については,民事部,刑事部,家事部及び少年部に区別して集計しました。
それ以外の裁判所については,地裁裁判官と家裁裁判官を区別して集計できませんから,地裁判事,地家裁判事,家地裁判事,家裁判事として集計しました。
(2) 地家裁判事というのは,主として地裁の仕事をしている判事のことであり,家地裁判事というのは,主として家裁の仕事をしている判事のことです。

4 民間企業長期研修,海外留学,育児休業,介護休暇又は配偶者同行休業をしている裁判官は,裁判官としての身分を保有していますから,分布表の数字に含まれています。

5 「裁判所支部」も参照してください。

裁判官の死亡退官

目次
1 裁判官の死亡退官数の推移
2 死亡叙勲
3 位階の授与
4 過労自殺と使用者の安全配慮義務違反
5 死亡した裁判官の勤務状況が分かる文書は存在しないこと
6 裁判官の自殺は不開示情報であること等
7 自殺した裁判官の元妻で弁護士になった人がいること
8 関連記事その他


1 裁判官の死亡退官数の推移
(1) 平成19年12月1日以降の裁判官の死亡退官数の推移は以下のとおりです(「叙位の対象となった裁判官(平成31年1月以降の分)」参照)。
・ 令和6年12月1日~令和7年11月30日:1人(60期)
・ 令和5年12月1日~令和6年11月30日:5人(36期,38期,42期,44期,64期)
・ 令和4年12月1日~令和5年11月30日:0人
・ 令和3年12月1日~令和4年11月30日:1人(47期)
・ 令和2年12月1日~令和3年11月30日:2人(49期,50期)
・ 令和 元年12月1日~令和2年11月30日:0人
・ 平成30年12月1日~令和元年11月30日:2人(38期,48期)
・ 平成29年12月1日~平成30年11月30日:1人(40期)
・ 平成28年12月1日~平成29年11月30日:1人(57期)
・ 平成27年12月1日~平成28年11月30日:2人(37期,42期)
・ 平成26年12月1日~平成27年11月30日:1人(38期)
・ 平成25年12月1日~平成26年11月30日:2人(50期,59期)
・ 平成24年12月1日~平成25年11月30日:2人(38期,37期)
・ 平成23年12月1日~平成24年11月30日:3人(46期)
・ 平成22年12月1日~平成23年11月30日:1人(新62期)
・ 平成21年12月1日~平成22年11月30日:4人(18期,21期,30期,43期)
・ 平成20年12月1日~平成21年11月30日:4人(23期,28期,38期,44期)
・ 平成19年12月1日~平成20年11月30日:4人(24期,29期,50期,58期)
(2) その死亡について報道された人はほとんどいなかった気がします。


2 死亡叙勲
(1) 裁判官が死亡退官した場合,生前の最後の日付で勲章を授けられます(死亡叙勲)。
    死亡叙勲の場合,70歳を迎えた直後にもらえる春秋の叙勲と比べて,勲章のランクがやや上がります。
(2)   例えば,22期の山崎潮(うしお)千葉地裁所長は,平成18年5月16日午後10時頃,千葉市内の官舎で突然死亡し(心筋梗塞の疑い),翌日午前,所長が送迎の官用車に姿を見せなかったことを不審に思った千葉地裁職員が合鍵を使って官舎の室内に入ったところ,寝室のたたんだ布団に頭を乗せ,仰向けに倒れた状態で所長が発見されました(外部ブログの「山崎潮の死を悼む」参照)。
    そして,急逝した山崎潮千葉地裁所長の場合,訃報がすぐに報道されるとともに,後日,生前の最後の日付である平成18年5月16日付で瑞宝重光章を授与されました。


3 位階の授与
(1) 死亡した裁判官に対しては,位階令(大正15年10月21日勅令第325号)及び位階令施行規則(大正15年10月21日閣令第6号)に基づき,内閣府大臣官房人事課を通じて位階を授与してもらえます(位階に関する参考資料(令和2年5月27日付の内閣府大臣官房人事課からのFAX)参照)。
(2) 位階に関するおおよその相場は以下のとおりです。
・ 従二位を授けられる人
   最高裁判所長官
・ 正三位を授けられる人
   最高裁判所判事(公務員枠),高裁長官
・ 従三位を授けられる人
   最高裁判所判事(弁護士枠),高裁部総括,大規模地家裁所長
(3)ア 第2代最高裁判所長官(昭和25年3月3日から昭和35年10月24日まで)を定年退官した後に国際司法裁判所判事を務めた田中耕太郎は,死後叙勲として大勲位菊花大綬章を追贈された(皇族及び内閣総理大臣経験者以外では,戦後唯一の例です。)ほか,正二位を授けられました。
イ 第11代最高裁判所長官(昭和60年11月5日から平成2年2月19日まで)を定年退官した高輪1期の矢口洪一は,従二位を授けられたにとどまりました。
(4) 銀座明倫館HP「叙位叙勲 御逝去から御披露の流れ」には,「事務処理上の問題であろうと存じますが最も早い方で30日、最も遅い方ですと70日位経て伝達受理の運びになるとお考えになって下さい。大体45日位経ての伝達受理が平均的な日数であります。」と書いてあります。
(5) 叙位の根拠法は位階令(大正15年10月21日勅令第325号)でありますところ,叙勲コム「叙位叙勲について」によれば,以下の取扱いになっています。
① 「正一位」及び「従一位」は親授ですから,天皇が自ら授与しますところ,位記には天皇の署名と天皇御璽が押され,内閣総理大臣の自署もあります。
② 「正二位」から「従四位」までは勅授ですから,勅命によって授与されますところ,位記には天皇御璽がおされます。
③ 「正五位」から「従八位」までは奏授ですから,天皇の裁可により上奏者である内閣によって授与されますところ,位記には内閣の印がおされます。


4 過労自殺と使用者の安全配慮義務違反
(1)ア 49期の石村智 京都地裁判事が執筆した「労災民事訴訟に関する諸問題について」(-過労自殺に関する注意義務違反,安全配慮義務違反と相当因果関係を中心として-)を掲載している判例タイムズ1425号(平成28年7月25日発売)の45頁には以下の記載があります。
    客観的業務過重性が認められる場合には,業務の過重性についての予見可能性と労働者の心身健康を損なう危険についての(抽象的)予見可能性さえあれば(使用者側は,客観的にみて過重な業務を課しているのであるから,通常は,これが否定されることはない。),義務違反及び相当因果関係が肯定される関係にあり,その意味で,この場合においては,精神障害の発症や自殺についての予見がないとの使用者側の主張については,ほぼ失当に近いことになる。しかも,電通事件最判や東芝事件最判の判示によれば,当事者側の事情が過失相殺ないしは素因減額とされる場面はかなり限定され,その適用範囲が審理の中心となるということになろう。
イ 最高裁平成16年3月25日判決は,「自殺の真の動機,原因が何であったかを事後において解明することは極めて困難である」と判示しています。
(2) 由利弁護士の部屋HP「「ある裁判官の自殺」に思う」に,平成15年3月3日に飛び降り自殺をした大阪高裁の裁判官(27期)について公務災害とは認められなかったことが書いてあります。


5 死亡した裁判官の勤務状況が分かる文書は存在しないこと
(1) 裁判所職員採用試験HPに掲載されている,50期の鈴木千帆裁判官のメッセージには,「裁判所は,ひとりひとりを大切にする組織です。」と書いてあります。
   ただし,42期の花村良一司法研修所民事裁判上席教官は,平成28年9月29日に死亡しましたところ,死亡した月の出勤状況が分かる文書は存在しないことになっています平成28年11月4日付の司法行政文書不開示通知書平成28年12月2日付の最高裁判所事務総長の理由説明書及び平成28年度(最情)答申第42号(平成29年1月26日答申)参照)。


(2) 57期の百瀬梓裁判官(昭和55年9月14日生)は,平成29年10月3日に37歳で死亡しましたところ,同年9月1日以降の勤務状況が分かる文書は存在しません(平成29年12月27日付の名古屋家裁の司法行政文書不開示通知書)。


6 裁判官の自殺は不開示情報であること等
(1) 特定裁判官が自殺した原因に関して最高裁判所が作成し,又は取得した文書について開示請求をした場合,存否を明らかにしないで不開示となります(平成29年度(最情)答申第5号(平成29年6月9日答申))。
(2) 31期の瀬木比呂志裁判官が著した絶望の裁判所172頁には以下の記載があります。
   裁判官には自殺もかなりある。仕事でノイローゼやうつ状態になって自殺する例のほか、前記のとおり、自他ともにエリートと認めてきたイヴァン・イリイチタイプの裁判官が道半ばにしてつまずいた結果いたましい自殺に至るような例もある。そこまではいかなくとも、家を出て何日も放浪していた、あるいは、裁判長の圧迫、ハラスメントでおかしくなってしまった右陪席裁判官が事務総局人事局に何度も出向き、人事局長に面会を求めて、「いつ私を裁判長にしてくれるのですか?」と尋ねていた、などという悲惨な例もある。こうした例はもちろん退官に至る。
(3) 西野法律事務所HPの「裁判官の不祥事と自殺」には以下の記載があります。
    民事系の裁判官は、刑事系の裁判官を「ひま」だから、酒を飲む時間があるといい、刑事系の裁判官は、仕事の内容上、酒でも飲まないとやっていられないと言い訳します。
    民事系、刑事系いずれにせよ、ストレスの多い職業であることにかわりはありません。
    女性がらみの不祥事は、刑事担系裁判官が多いのに比べ、民事系裁判官には、圧倒的に自殺者が多いです。
    一部を除き、あまりセンセーショナルに報道されませんが、仕事上の悩みで「うつ」状態になり、自殺するパターンのようです。
(4)ア プレジデントオンラインの「「刑事事件だけはやりたくない」裁判官が現役時代には絶対言わない4つの本音」(2021年3月24日付)には以下の記載があります。
    そのような事件(山中注:統治と支配の根幹にかかわる事件)でたとえ一度でも思い切った判決をするには、自分の将来をある程度犠牲にする、少なくとも危険にさらす覚悟が必要である。実際、そうした判決後比較的早い時期に弁護士に転身して活躍しているような人もいるがそれは例外であって、定年前に退官してしまった人、判決後に自殺した人までいる。最後まで勤めても、そのころにはもう精神的に打ちのめされてしまって、あるいは厭世的になってしまって、退官と同時にそれまでの交際を絶ってしまうような例もある。
イ 22期の竹中省吾大阪高裁7民部総括は,平成18年11月30日に住基ネット違憲判決を言い渡した後の同年12月3日,自宅において,ハンドバッグで首をつった状態の死体で発見されました。
(5) 自由と正義2021年1月号の「司法の源流を訪ねて」第47回で取り上げられている,初代及び第3代大審院長の玉乃世履(たまのよふみ)は,1886年8月8日,大審院長在職中に自殺しました。


7 自殺した裁判官の元妻で弁護士になった人がいること
(1) 朝日新聞社HPの「主婦から40歳で弁護士に 自死した裁判官の夫との約束」(2019年1月21日付)には「07年1月のある日、浩介さんは自宅で首をつった。一命は取り留めたが、2カ月後に息を引き取った。」と書いてあります。
(2) リンク先には,52期の佃浩介裁判官の死亡後に司法試験の勉強を始めて,その後に合格した66期の佃祐世(さちよ)弁護士のインタビューが載っています(同人は4人の子どもを育てながら40歳で司法試験に合格したことにつき,講談社BOOK倶楽部HP「約束の向こうに」参照)。



8 関連記事その他
(1) 平成24年度初任行政研修「事務次官講話」「明日の行政を担う皆さんへ」と題する講演(平成24年5月15日実施)において,西川克行法務事務次官は以下の発言をしています(リンク先のPDF16頁)。
    次は心身の健康です。これも言うまでもないことですが、役人の条件は、心が頑丈なことと体が丈夫なことの二点です。あとは、多少頭が悪くてもなんとかなるという乱暴な言い方をよくしております。心の健康のほうですが、まじめな方が多いせいか、ほとんどの場合に問題となるのはうつ病です。責任を感じる余りうつ状態になってしまう。うつ状態になった段階で、ほとんど働くことが困難な状態になるようですので、その段階で休んでいただくということになるわけですが、その前になんとか食い止めたいというふうに常日ごろ思っております。
(2)ア 県学校職員の死亡退職金の受給権が受給権者である遺族固有の権利であり当該職員の遺贈の対象とはなりません(最高裁昭和58年10月14日判決)。
イ 委任者が,受任者に対し,入院中の諸費用の病院への支払,自己の死後の葬式を含む法要の施行とその費用の支払,入院中に世話になった家政婦や友人に対する応分の謝礼金の支払を依頼する委任契約は,当然委任者の死亡によっても右契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものであり,民法653条の法意は右合意の効力を否定するものではありません(最高裁平成4年9月22日判決(判例秘書に掲載)参照)。
(3) 聖隷三方原病院症状緩和ガイドHP「E.予後の予測」には,PaPスコア及びPPIが載っていますから,終末期患者の大体の余命が分かります。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 退官発令日順の元裁判官の名簿(平成29年8月10日時点)
・ 叙位の対象となった裁判官(平成31年1月以降の分)
・ 伊藤栄樹検事総長の,退官直後の死亡までの経緯
・ 国葬儀
・ 裁判所関係者及び弁護士に対する叙勲の相場
・ 裁判所職員の病気休職
・ 弁護士の自殺者数の推移(平成18年以降)





令和元年度以降の長官所長会同の資料及び議事概要

目次
第1 長官所長会同の資料
第2 長官所長会同の代わりに開催された高裁長官事務打合せ
第3 関連記事その他

第1 長官所長会同の資料
◯令和7年度長官所長会同の配布資料会同係シナリオ意見要旨長官挨拶及び議事概要
・ テーマ等は以下のとおりでした。
(協議事項)
1 裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための司法行政上の方策について
(1) 裁判手続のデジタル化を見据え、また、裁判官を含む裁判所職員の置かれた環境や働き方に関する意識の変化を踏まえ、裁判官が、事件処理において感じる負担を軽減し、最も効果的にその能力を発揮し、充実した司法サービスを提供するための方策について、継続的に取組が進められてきた。具体的な状況は事件分野によっても異なる部分もあるが、それぞれ、審理運営改善を推し進め、様々な試みが実践に移されていくとともに、事件処理に関する知見の集積や継承の支援の充実も徐々に図られてきたところである。各事件分野において行われている取組について、裁判官が事件処理において感じる負担の軽減につながっているか、また、裁判所の紛争解決機能を高める好循環を生み出しているかといった観点から、どのように評価すべきか。これらの取組の実効性を高めるための課題・あい路として考えられるものは何か。
(2) 裁判所を取り巻く社会環境の変化が著しい中で、裁判所全体でスピード感をもって様々な組織的課題に対応していくためには、裁判所の将来を担う世代を含む裁判官・職員がその活力を最大限発揮していくことが不可欠であることは共通認識となっていると思われるが、そのためには組織内で円滑なコミュニケーションを図れていることが必要である。各庁、各部署の現状はどうか。将来を担う世代が意見を忌憚なく表明できる雰囲気や環境があるか、仮にそのような雰囲気や環境がいまだ十分に確保されていないとすると、その原因や改善策について、どのように考えるべきか。最高裁や高裁に何を期待するか。

(事務的協議事項)
2 組織的に対応すべき事項に対する所長の役割(事務的協議)
少子高齢化・人口減少、人口の都市部集中、共働き・共育て家庭の増加、デジタル化の進展等に伴い、裁判所を取り巻く社会環境や裁判官・職員の働き方に関する意識は顕著に変化しているところ、裁判所が、今後も持続的に、質の高い司法サービスを提供し続けていくためには、適正・迅速な裁判の実現という司法の本質を維持しつつ、ワークライフバランスの実現など様々な課題に迅速かつ柔軟に対応していかなければならない。このような取組は、一朝一夕に成果が達成できるものではないことに加え、複眼的な視点から検討を進めていく必要があるものであるが、将来を担っていく世代の裁判官・職員が活力をもって執務に当たれるよう、真摯な検討と適時の情報共有が必要と思われる。
今後、各庁及び裁判所全体で施策を進めて行く際の留意点はあるか。その際、所長や上級庁が果たすべき役割は何か。

・ 令和7年度長官所長会同に関する一件文書を掲載しています。

◯ 令和6年度長官所長会同の配布資料会同係シナリオ意見要旨長官挨拶及び議事概要
・ テーマ等は以下のとおりでした。
(協議事項)
1 裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための司法行政上の方策について
(1) 裁判所が紛争解決機能を全体として高めていくために、裁判手続のデジタル化を見据え、また、裁判官の置かれた環境や働き方に関する意識の変化を踏まえ、裁判官全体が、事件処理に負担を感じることなく最も効果的にその能力を発揮し、充実した司法サービスを提供するための方策について、取組が進められてきた。この一年間の取組は、各分野において、裁判官が日々の事件処理に負担を感じる状況の改善あるいは取組自体に向けられた労力や負担、そのような取組が裁判所の紛争解決機能を高める好循環を生み出しているかといった観点からどのように評価すべきか。
(2) これまでの取組等に加えて、裁判官が事件処理に負担を感じる状況を改善するために、部、各庁及び裁判所全体で取り組むべきものとしてそれぞれどのようなものが考えられるか。
(事務的協議事項)
2 組織的に対応すべき事項に対する所長の役割

    裁判所の将来を担う世代の裁判官・職員の活力を最大限発揮させる方策裁判所においては、デジタル化を契機として、事務の合理化、効率化を図り、職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織作りを目指す様々な取組を進めているところ、システム開発の場面はもとより、それ以外の場面においても、将来を担っていく世代の裁判官や職員の意見を十分に活用するための取組が進められてきた。
    昨年度の協議においては、裁判所の将来を担う世代の裁判官や職員の意見を活用することの重要性や意義について議論されたところである。これを前提とした上で、この一年間の取組のうち、上記意見を活用した事務の合理化、効率化により裁判官・職員の負担感を軽減する効果を挙げたものはあるか、将来を担う世代の裁判官や職員にその意見が活用されているという実感を与えるものとなっているか、これらの裁判官や職員から聴取した意見を事務の合理化、効率化に関する施策に反映させるための具体的な方策やあい路(所長の役割や上級庁との関係性を含む。) 、さらには取組自体に向けられた労力や負担といった観点からどのように評価すべきか。今後、各庁及び裁判所全体で取り組むべきものとして、どのようなことが考えられるか。その際、所長や上級庁が果たすべき役割は何か。
    以上について、裁判官とそれ以外の職員で分けて議論する。
・ 令和6年度長官所長会同に関する一件文書を掲載しています。

◯ 令和5年度長官所長会同の配布資料会同係シナリオ意見要旨長官挨拶及び議事概要
・ テーマ等は以下のとおりでした。
(協議事項)
1 裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための司法行政上の方策について
(1) これまで、裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための方策として、部の機能の活性化について取組が進められるとともに、各分野において審理運営の改善に向けた取組が継続的に行われてきた。他方で、実務を担う裁判官の中にはこれらの取組の効果を実感することができず、事件処理に負担を感じている者もいるのではないかとの指摘もある。各分野において裁判官が事件処理に負担を感じる状況にあるか、その内実・程度・原因をどのように分析するか。これまで裁判所全体で行われてきた部の機能の活性化の取組や各分野における審理運営改善に向けた取組は、日々の事件処理に負担を感じる状況の改善、あるいは取組自体に向けられた労力や負担といった観点からどのように評価すべきか。
(2) 事件処理に負担を感じる状況を改善するために、部、各庁及び裁判所全体で取り組むべきものとしてそれぞれどのようなものが考えられるか。
(事務的協議事項)
2 組織的に対応すべき事項に関する所長の役割
裁判所の将来を担う世代の裁判官・職員の活力を最大限発揮させる方策
裁判所においては、デジタル化を契機として、事務の合理化、効率化を図り、職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織作りを目指す様々な取組をすすめているところ、システム開発の場面はもとより、それ以外の場面においても、将来を担っていく世代の裁判官や職員の意見を十分に活用することが重要であると考えられるが、現状はどうか。仮に将来を担っていく世代の裁判官や職員の意見を十分に活用できていない実情があるとすれば、その背景・原因としてどのようなことが考えられるか。
これらの背景や原因を解消するために考えられる取組として、どのようなことが考えられるか。その際、所長や上級庁が果たすべき役割は何か。
・ 令和5年度長官所長会同に関する一件文書を掲載しています。

◯ 令和4年度長官所長会同の配布資料会同係シナリオ意見要旨長官挨拶及び議事概要
・ テーマ等は以下のとおりでした。
(協議事項)
1 裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための司法行政上の方策について
(1) 裁判所の紛争解決機能を高めていくため、部の機能の活性化や裁判官同士の議論の活性化の必要性や方策について議論や取組が進められてきたが、この1年間の取組により、各分野における審理運営改善及び部を超えた司法行政上の諸課題への対応の現状はどのような状況か。また、これまでの取組等の継続により、裁判現場(部)の在り様や裁判官の意識はどのように変化したか。今後取組を進めるに当たっての課題、あい路は何か。
(2) 部の機能の活性化の取組において中心的役割を担う部総括に期待される役割は、これまでどのように変化してきたか。変化しているとすれば、部総括に対し、変化している役割の下で部総括に何が期待されているかを伝えられているか。部総括の実情を踏まえ、これからの部総括に期待される役割に即した支援を行っていく上で、所長にはどのような役割が求められるか。
(事務的協議事項)
2 組織的に対応すべき事項に関する所長の役割
裁判所におけるデジタル化を進めていく上での課題
(1) 裁判所におけるデジタル化は、裁判手続のみならず、司法行政事務も含めた裁判所のあらゆる分野が対象となる上、裁判官や職員の執務の在り方にも関わる取組であり、デジタル化によって事務自体が変わるというデジタル化の本質を含め、全ての裁判官と職員が方向性を共有した上で取り組んでいく必要があると考えられるが、裁判官や職員の関心や意識の現状はどうか。これまで最高裁から発信した資料等は、各庁での議論や取組にどの程度の効果があるか。また、更に関心や意識を高めていくに当たって、どのような課題があるか。
(2) 中でも、裁判手続のデジタル化においては、裁判官や書記官の具体的な事務の在りようは大きく変わるとともに、一定の標準化(見直し)が必要になると想定されるが、裁判官がその検討に主体的かつ積極的に関わっていく必要がある。今後、裁判官による議論を通じて、裁判事務自体も一定程度の標準化(見直し)が必要になることについて裁判官の共通認識を得た上で、裁判手続のデジタル化に向けた更なる検討を進めていくことが考えられるが、このような取組をどのように進めていくべきか、取組に当たっての課題や留意点はどのようなものか。所長や上級庁の役割はどのようなものか。
・ 令和4年度長官所長会同に関する一件文書を掲載しています。



◯令和3年度長官所長会同の資料意見要旨),進行予定及び
議事概要
・ テーマ等は以下のとおりでした。
1 裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための司法行政上の方策について(協議テーマ)
2 組織的に対応すべき事項に対する所長の役割(事務的協議)
・ 令和3年度長官所長会同に関する一件文書を掲載しています。


◯新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により,令和2年度の開催はなし。

令和元年度長官所長会同の資料意見要旨),進行シナリオ及び議事概要
・ テーマは以下のとおりでした。
1 裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための司法行政上の方策について(広島地裁,富山地家裁,静岡家裁)
→ サブテーマは以下のとおりです。
(1) 各事件分野(民事・刑事・家裁)の裁判部門において,各部内での意見交換や議論は,どのように行われているか。
(2) 部内での議論を充実させ,部の機能を十分に発揮させるために,部総括裁判官や所長はどのような役割を果たしていくべきか。
2 組織的に対応すべき事項に対する所長の役割
→ サブテーマは,「(1)裁判手続のIT化について」及び「(2)裁判所と地域社会のつながりについて(裁判員制度10周年広報,成年後見制度における連携等を通じて)」でした。




第2 長官所長会同の代わりに開催された高裁長官事務打合せ
令和2年度高裁長官事務打合せの資料進行シナリオ及び結果概要
・ 「新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言前,緊急事態措置の実施期間中及び緊急事態解除宣言後における事件処理態勢の検討等に現れた諸問題について 」がテーマでした。
・ 新型コロナウイルス感染症の影響により,テレビ会議システムを用いて実施されました。
・ 下級裁判所からの出席者は高等裁判所長官及び高等裁判所事務局長だけでした。
・ 令和2年度高等裁判所長官事務打合せに関する一件文書を掲載しています。

第3 関連記事その他
1(1) Chatwork HPの「対面会議とオンライン会議の特徴とメリット・デメリットとは?」によれば,オンライン会議のデメリット及びデメリットは以下のとおりです。
(メリット)
・ 場所を選ばずに開催できるので出張経費や移動時間が不要
・ 会議室の確保や紙の会議資料の準備などの手間が不要
(デメリット)
・ 参加者の表情や雰囲気をつかみづらい
・ 通信状況や機器の調子の影響を受けやすい
・ ITリテラシーが必要になる
(2) PR TIMESに「WEB会議と対面会議どっちがいい?男女527人にアンケート調査」(2020年10月7日付)が載っています。
2 以下の記事も参照してください。
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 平成17年度から平成30年度までの長官所長会同の資料等

最高裁の既済事件一覧表(民事)

目次
1 最高裁判所の既済事件一覧表(民事の上告事件)
2 最高裁判所の既済事件一覧表(民事の上告受理申立事件)
3 「最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか」と題するマンガ
4 最高裁判所の未済事件一覧表(刑事事件は除く。)
5 最高裁判所の既済事件一覧表(行政事件)
6 関連記事その他

1 最高裁判所の既済事件一覧表(民事の上告事件)
・ 「令和◯年◯月の,最高裁判所の既済事件一覧表(民事の上告事件)」というファイル名です。
(令和7年)
1月分2月分3月分4月分5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
(令和6年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和5年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和4年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和3年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和2年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(平成31年→令和元年)
4月分5月分6月分7月分8月分9月分
10月分
11月分12月分
* 令和5年7月分以降につき,事件番号が黒塗りに変わりました。

2 最高裁判所の既済事件一覧表(民事の上告受理申立事件)
・ 「令和◯年◯月の,最高裁判所の既済事件一覧表(民事の上告受理申立事件)」というファイル名です。
(令和7年)
1月分2月分3月分4月分5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
(令和6年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和5年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和4年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和3年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(令和2年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(平成31年→令和元年)
4月分5月分6月分7月分8月分9月分
10月分
11月分12月分
* 令和5年7月分以降につき,事件番号が黒塗りに変わりました。

3 「最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか」と題するマンガ
(1) ツンデレブログに「最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか」と題するマンガが載っています。
① 最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか   (平成26年5月28日付)
② 続最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか(平成26年6月 6日付)
(2) 言語の著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいいます(最高裁平成13年6月28日判決)ところ,リンク先のマンガにつき,著作権との関係で大丈夫かどうかはよく分かりません。

4 最高裁判所の未済事件一覧表(刑事事件は除く。)
令和4年12月27日現在:第一小法廷第二小法廷及び第三小法廷
令和3年12月27日現在:第一小法廷第二小法廷及び第三小法廷
令和2年12月24日現在:第一小法廷第二小法廷及び第三小法廷
令和2年 1月15日現在:すべての小法廷
* 「最高裁判所第一小法廷の未済事件一覧表(令和4年12月27日現在。刑事事件は除く。)」といったファイル名です。

5 最高裁判所の既済事件一覧表(行政事件)
(1) 行政の上告事件
2019年令和2年令和3年令和4年令和5年
令和6年
(2) 行政の上告受理申立て事件
2019年令和2年令和3年令和4年令和5年
令和6年
* 2019年から令和5年までの分については,令和7年3月5日付の答申書に基づき,改めて開示された文書です(令和7年5月の「実施手数料の収入印紙の取扱いについて(事務連絡)」参照)。

6 関連記事その他
(1) 裁判所HPの「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書~目次」(平成23年7月8日公表の第4回報告書です。)に「最高裁判所の訴訟事件の概況」が載っています。
(2) 16期の今井功弁護士(平成16年12月から平成21年12月までの間,最高裁判所判事)は,自由と正義2013年6月号13頁において以下のとおり書いています。
  民事事件は,各小法廷で年間1,000件を超えているから,各事件につき,判決書を作成して署名押印し,いちいち法廷を開いて言渡しをすることは,大変な無駄である。旧法時代は,弁論が開かれない上告棄却判決の多くは,傍聴人のいない法廷で,言渡しがされており,当時多くの裁判官から何とかならないかといわれていたものである。
(3) 以下の資料を掲載しています。
・ 調書決定事務処理要領(平成27年4月1日付)
→ 上告棄却決定又は不受理決定に関する調書決定は,「最高裁判所が決定をする場合において、相当と認めるときは、決定書の作成に代えて、決定の内容を調書に記載させることができる。」と定める民事訴訟規則50条の2に基づくものです。
・ 最高裁判所民事事件記録等閲覧等事務処理要領(平成27年4月1日付)
・ 人事訴訟事件における書記官事務処理要領(平成27年4月1日付)
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 上告審に関するメモ書き
・ 最高裁の破棄判決等一覧表(平成25年4月以降の分),及び最高裁民事破棄判決等の実情
・ 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情

・ 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)
・ 2000円の印紙を貼付するだけで上告受理申立てをする方法
・ 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説