その他裁判所関係

第1号法定受託事務としての選挙無効訴訟

1 第1号法定受託事務
(1) ①国政選挙,②旅券の交付,③国の指定統計,④国道の管理,⑤戸籍事務,⑥生活保護及び⑦マイナンバー事務は,第1号法定受託事務です(地方自治法2条10項及び別表第一参照)。
   第1号法定受託事務とは,法律又はこれに基づく政令により都道府県,市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち,国が本来果たすべき役割に係るものであって,国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものをいいます(地方自治法2条9項1号)。
(2) 地方自治体が有するところの,第1号法定受託事務に関する行政訴訟における法務局等(法務局訟務部及び地方法務局訟務部門のことです。)との接点としては以下のものがあります。
① 法務局等に対して報告すること(法務大臣権限法6条の2第1項)。
② 法務局等から助言,勧告,資料提出の要求及び指示を受けること(法務大臣権限法6条の2第3項)。
③ 法務局等に対して訴訟の実施請求をすること(法務大臣権限法7条1項)。
(3) 第1号法定受託事務において当事者となる例は以下のとおりです。
① 自治体が当事者となる例としては,生活保護受給申請を拒否した市町村長の処分に係る取消訴訟があります。
② 自治体の行政庁が当事者となる例としては,衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙に関して,都道府県選挙管理委員会を被告として提起された選挙無効請求訴訟があります。
(4) 法務省HPに「法定受託事務に関する訴訟の報告制度」が載っています。

2 選挙無効訴訟の位置づけ
(1) 公職選挙法204条は,選挙人又は公職の候補者のみがこれを提起し得るものと定め,同法205条1項は,上記訴訟において主張し得る選挙無効の原因を「選挙の規定に違反することがあるとき」と定めており,この無効原因は,主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき又は直接そのような明文の規定は存在しないが選挙の基本理念である選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指します(最高裁平成29年10月31日判決。なお,先例として,最高裁昭和27年12月4日判決最高裁昭和51年9月30日判決最高裁平成26年7月9日判決参照)。
(2)ア  公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として同法9条1項並びに11条1項2号及び3号の規定(受刑者の選挙権及び被選挙権の制限)の違憲を主張することができません(最高裁平成26年7月9日決定)。
イ 公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として同法10条1項2号の規定(参議院議員の被選挙権は年齢満30歳以上の者だけが有すること)の違憲を主張することができません(最高裁平成29年10月31日判決)。
ウ 公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として,年齢満18歳及び満19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている同法9条1項の規定の違憲を主張することはできません(最高裁平成31年2月28日決定)。
(3) 一票の格差に関する無効訴訟(公職選挙法204条)の対象となっている選挙区については,当該訴訟が係属している限り,補欠選挙ができません(公職選挙法33条の2第7項)。
(4) 平成6年4月11日に設置された衆議院選挙区画定審議会は,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関して調査審議をし,必要があると認めるときは,その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告を行っています(総務省HPの「衆議院小選挙区画定審議会」参照)。

3 一票の格差訴訟における被告等
(1)   衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙の効力に関する訴訟は,当該都道府県の選挙管理委員会を被告とし,当該選挙の日から30日以内に,高等裁判所に提起することとなります(公職選挙法204条)。
   そのため,一票の格差訴訟における被告は都道府県管理委員会となります。
(2) 総務省自治行政局選挙部管理課訟務専門官は,選挙訴訟等に関する事務を行っています(総務省組織規則27条3項)。

4 大阪法務局訟務部
(1) 大阪法務局訟務部には訟務部長1人(裁判官からの出向者です。),訟務部副部長5人(うち2人は裁判官からの出向者です。),訟務部付検事(裁判官からの出向者もいます。),訟務管理官,総括上席訟務官,上席訟務官,訟務官及び事務官がいます。
(2)   地方法務局訟務部門には総括上席訟務官,上席訟務官,訟務官及び事務官がいます(大阪法務局管内の地方法務局の場合,総括上席訟務官がいるのは京都地方法務局及び神戸地方法務局だけです。)。

参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)

1 昭和37年7月1日実施の第6回参議院議員通常選挙(最大格差4.09倍)
(1)    最高裁大法廷昭和39年2月5日判決は,合憲と判断しました。
(2) 判決文には,「議員定数、選挙区および各選挙区に対する議員数の配分の決定に関し立法府である国会が裁量的権限を有する以上、選挙区の議員数について、選挙人の選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合は格別、各選挙区に如何なる割合で議員数を配分するかは、立法府である国会の権限に属する立法政策の問題であつて、議員数の配分が選挙人の人口に比例していないという一事だけで、憲法14条1項に反し無効であると断ずることはできない。」という記載があります。

2 昭和46年6月27日実施の第9回参議院議員通常選挙(最大格差は5.08倍)
・ 最高裁昭和49年4月25日判決は,合憲と判断しました。

3 昭和52年7月10日実施の第11回参議院議員通常選挙(最大格差は5.26倍)
・ 最高裁大法廷昭和58年4月27日判決は,合憲と判断しました。

4 昭和55年6月22日実施の第12回参議院議員通常選挙(最大格差は5.37倍)
・ 最高裁昭和61年3月27日判決は,合憲と判断しました。

5 昭和58年6月26日実施の第13回参議院議員通常選挙(最大格差は5.56倍)
・ 最高裁昭和62年9月24日判決は,合憲と判断しました。

6 昭和61年7月6日実施の第14回参議院議員通常選挙(最大格差は5.85倍)
・ 最高裁昭和63年10月21日判決は,合憲と判断しました。

7 平成4年7月26日実施の第16回参議院議員通常選挙(最大格差6.59倍)
・ 平成8年6月26日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成8年9月11日判決は,違憲状態と判断しました。

8 平成7年7月23日実施の第17回参議院議員通常選挙(最大格差4.97倍)
・ 平成10年6月3日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成10年9月2日判決は,合憲と判断しました。

9 平成10年7月12日実施の第18回参議院議員通常選挙(最大格差4.98倍)
・ 平成12年7月5日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成12年9月6日判決は,合憲と判断しました。

10 平成13年7月29日実施の第19回参議院議員通常選挙(最大格差5.06倍)
(1)   平成15年12月10日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成16年1月14日判決は,合憲と判断しました。
(2) 最高裁大法廷平成16年1月14日判決の多数意見は5行だけであって(判決文4頁参照),残りは以下のとおりでした。
① 補足意見1(裁判官5人)
② 補足意見1の追加補足意見(裁判官島田仁郎)
③ 補足意見2(裁判官4人)
④ 補足意見2の追加補足意見(裁判官亀山継夫)
⑤ 補足意見2の追加補足意見(裁判官横尾和子)
⑥ 反対意見(裁判官6人)
⑦ 追加反対意見(裁判官福田博)
⑧ 追加反対意見(裁判官梶谷玄)
⑨ 追加反対意見(裁判官深澤武久)
⑩ 追加反対意見(裁判官濱田邦夫)
⑪ 追加反対意見(裁判官滝井繁男)
⑫ 追加反対意見(裁判官泉徳治)
(3) 多数意見が結論しか書いていない最高裁判決としては,最高裁大法廷昭和28年7月22日判決ぐらいです(「一歩前へ出る司法」172頁参照)。

11 平成16年7月11日実施の第20回参議院議員通常選挙(最大格差5.13倍)
・ 平成18年7月12日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成18年10月4日判決は,合憲と判断しました。

12 平成19年7月29日実施の第21回参議院議員通常選挙(最大格差4.86倍)
・ 平成21年7月8日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成21年9月30日判決は,合憲と判断しました。

13 平成22年7月11日実施の第22回参議院議員通常選挙(最大格差5.00倍)
(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
   平成23年2月28日までに那覇支部を除く15件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が3件,違憲状態が12件,合憲が0件でした(外部HPの「一人一票(参院選)全国の判決日/判決文マップ」参照)。
イ 最高裁判決の内容
   平成24年9月12日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成24年10月17日判決は,違憲状態と判断しました。
   違憲状態であると判断したのが12人,違憲であると判断したのが3人,合憲であると判断したのは0人でした(外部HPの「最高裁大法廷平成24年10月17日判決について」参照)。
(2) その後の法改正
・ 平成24年11月26日公布の公職選挙法改正において,参議院(選挙区)定数に関する「4増4減」(福島県及び岐阜県の議員数をそれぞれ4人から2人に減らし,神奈川県及び大阪府の議員数を6人から8人に増やすというもの)が規定されました。
   そして,同日施行の参議院選挙区選出議員の定数の変更が,総務省HPの「参議院選挙区選出議員の選挙区の定数の改正」に掲載されています。
・ 公職選挙法の一部を改正する法律(平成24年11月26日法律第94号)附則3項は,「平成二十八年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、結論を得るものとする。」と定めています。
(3) その他
・ 第22回参議院議員通常選挙に関して,Chikirinの日記ブログ「格差問題@一票の価値」に,「もしも選挙区割りがなく、得票数の多い順に当選していたらどうなっていたのか」が書いてあります。

14 平成25年7月21日実施の第23回参議院議員通常選挙(最大格差4.77倍)
(1) 判決内容等
ア 高裁判決の内容
・   平成25年12月26日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が3件(うち,違憲無効が1件(広島高裁岡山支部平成25年11月28日判決(裁判長は30期の片野悟好裁判官))),違憲状態が13件,合憲が0件でした(外部HPの「昨夏の参院選は「違憲状態」最高裁が判決」及び「一人一票(2013参院)裁判~1人1票判決へ~」参照)。
・   国政選挙を違憲無効とした判決は,鹿児島2区選挙無効事件に関する大審院昭和20年3月1日判決(平成21年8月16日放送の,NHKスペシャル終戦ドラマ「気骨の判決」で取り上げられました。)以来です。
イ 最高裁判決の内容
・  最高裁大法廷平成26年11月26日判決は,違憲状態と判断しました。
・ 山本庸幸裁判官(元 内閣法制局長官)の反対意見は,違憲無効を主張しました。
ウ 判決の解説
・    「参議院議員定数配分をめぐる近時の最高裁判例-最高裁平成26年11月26日大法廷判決を中心として-」(レファレンス平成27年7月号)で解説されています。
(2) その後の法改正
・ 公明党は,平成27年6月15日,参議院選挙区における一票の格差を是正するため,隣接する20選挙区を合区して10選挙区に再編し,格差を2倍未満とする案を発表しました(公明党HPの「参院選挙制度で公明が改革案」参照)。
これによれば,合区とされる選挙区は,秋田・山形(2人),富山・岐阜(4人),石川・福井(2人),山梨・長野(4人),奈良・和歌山(4人),鳥取・島根(2人),徳島・高知(2人),香川・愛媛(4人),佐賀・長崎(2人),大分・宮崎(4人)です。
・   平成27年8月5日公布の公職選挙法改正において,参議院(選挙区)定数に関する「10増10減」,鳥取・島根及び徳島・高知の合区等が規定されました。
そして,平成27年11月5日施行の参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の変更が,総務省HPの「参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の改正等について」に掲載されています。
(3) その他
・   日弁連は,平成26年11月26日,「参議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。
・ 全国知事会は,平成28年7月29日,参議院選挙における合区の解消に関する決議を出しました(全国知事会HPの「平成28年8月25日「参議院選挙における合区の解消に関する決議」に係る要請活動について」参照)。

15 平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙(最大格差3.08倍)
(1) 高裁判決の内容等
・   一人一票実現国民会議HPの「一人一票(2016参院)裁判始まりました!」に,高裁判決の全文,最高裁の弁論期日における弁論要旨等が載っています。
・ 平成28年11月8日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が0件,違憲状態が10件,合憲が6件でした(外部HPの「合憲?違憲状態?判断分かれる「一票の格差」特集」参照)。
(2) 最高裁判決の内容等
・ 平成29年7月19日の口頭弁論期日において,「傍聴人の皆様へ 選挙無効請求事件(参議院議員定数訴訟)について」と題する説明資料が配布されました(Youtube動画につき「最高裁で弁論 「一票の格差」巡り参院選無効の訴え(2017/7/19)」参照)。
・ 最高裁大法廷平成29年9月27日判決(升永弁護士のグループ)及び最高裁大法廷平成29年9月27日判決(山口弁護士のグループ)は,合憲と判断しました(Youtube動画につき「「一票の格差」最高裁は「合憲」 去年の参院選」参照)。
(3) その他
・ 日弁連は,平成29年9月28日,「参議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。

衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧(昭和時代及び平成時代)

1 昭和47年12月10日実施の第33回衆議院議員総選挙(最大格差4.99倍)
・ 最高裁大法廷昭和51年4月14日判決は,違憲と判断しました。

2 昭和55年6月22日実施の第36回衆議院議員総選挙(衆参同日選)(最大格差3.94倍)
・ 最高裁大法廷昭和58年11月7日判決は,合憲と判断しました。

3 昭和58年12月18日実施の第37回衆議院議員総選挙(最大格差4.40倍)
・ 最高裁大法廷昭和60年7月17日判決は,違憲と判断しました。

4 昭和61年7月6日実施の第38回衆議院議員総選挙衆参同日選)(最大格差2.92倍)
・ 最高裁昭和63年10月21日判決は,合憲と判断しました。

5 平成2年2月18日実施の第39回衆議院議員総選挙(最大格差3.18倍)
・ 平成4年11月11日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成5年1月20日判決は,違憲状態と判断しました。

6 平成5年7月18日実施の第40回衆議院議員総選挙(最大格差2.82倍)
・ 最高裁平成7年6月8日判決は,合憲と判断しました。

7 平成8年10月20日実施の第41回衆議院議員総選挙(最大格差2.309倍)
・ 平成11年10月6日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成11年11月10日判決は,合憲と判断しました。

8 平成12年6月25日実施の第42回衆議院議員総選挙(最大格差2.471倍)
・ 最高裁平成13年12月18日判決は,合憲と判断しました。

9 平成15年11月9日実施の第43回衆議院議員総選挙(最大格差2.064倍)
・ 最高裁平成17年9月27日判決は,衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴訟は衆議院の解散(平成17年8月8日)によって,その訴えの利益を失うと判示しました。

10 平成17年9月11日実施の第44回衆議院議員総選挙(最大格差2.171倍)
・ 平成19年4月25日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成19年6月13日判決は,合憲と判断しました。

11 平成21年8月30日実施の第45回衆議院議員総選挙(最大格差2.304倍)
(1) 判決内容
ア   平成23年2月23日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成23年3月23日判決は,違憲状態と判断しました。
イ 一人別枠方式は違憲状態であると判示したのは12人,一人別枠方式は違憲であると判示したのは2人,一人別枠方式は合憲であると判示したのは1人でした(外部HPの「最高裁大法廷平成23年3月23日判決について 速報」参照)。
(2) その後の法改正
ア 平成24年11月26日公布の改正衆議院議員選挙区画定審議会設置法により,小選挙区の一人別枠方式を定めた同法3条2項が削除されました。
   なお,改正前の同法3条2項は,「前項の改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、一に、公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第四条第一項 に規定する衆議院小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とする。」と定めていました。
イ 総務省の衆議院議員選挙区画定審議会は,内閣総理大臣に対し,平成25年3月28日,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行いました(総務省HPの「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案・改定案の勧告」参照)。
ウ(ア) 平成25年6月28日公布の改正公職選挙法により,17都県42選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,5県(山梨,福井,徳島,高知及び佐賀)の定数を3人から2人に減らす0増5減が規定された結果,衆議院の定数が480人(小選挙区300人+比例代表180人)が475人(小選挙区295人+比例代表180人)となりました。
そして,平成25年7月28日施行の衆議院議員小選挙区の区割りが,総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」に掲載されています。
(イ) このときの法改正に至るまでの詳細な経緯は,総務省HPの「第22回衆議院議員選挙区画定審議会」(平成25年7月29日開催)に書いてあります。

12 平成24年12月16日実施の第46回衆議院議員総選挙(最大格差2.43倍)
(1) 平成25年10月23日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成25年11月20日判決は,違憲状態と判断しました。
(2) 最大格差2.304倍であった平成21年8月30日実施の第45回衆議院議員総選挙が最高裁大法廷平成23年3月23日判決によって違憲状態であると判断されていました。
そのため,最大格差2.43倍となった平成24年12月16日実施の第46回衆議院議員総選挙が違憲状態であると判断されることは容易に予想されることでした。
(3)   「選挙無効訴訟と国会の裁量-衆議院の選挙区割りをめぐる最高裁平成25年11月20日大法廷判決を素材として-」(レファレンス平成26年11月号)で解説されています。
(4) 日弁連は,平成25年11月20日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。

13 平成26年12月14日実施の第47回衆議院議員総選挙(最大格差2.13倍)
(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
・ 平成27年3月26日までに17件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が1件,違憲状態が12件,合憲が4件でした。
イ 最高裁判決の内容
(ア)   平成27年10月28日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成27年11月25日判決は,違憲状態と判断しました。
(イ) 千葉勝美裁判官は,補足意見を付けました。
・   櫻井龍子裁判官及び池上政幸裁判官は,定数配分は合憲であるという趣旨の意見を付けました。
・   大橋正春裁判官は,定数配分は違憲であり,判決確定後6ヶ月経過の後に無効とすべきという反対意見を付けました。
・   鬼丸かおる裁判官は,定数配分は違憲であるという反対意見を付けました。
・   木内道祥裁判官が,定数配分は違憲であり,12の選挙区については無効とすべきという反対意見を付けました。
(2) その後の法改正
ア 平成26年6月19日に設置された衆議院選挙制度に関する調査会は,平成28年1月14日,定数10減及びアダムズ方式導入を柱とする答申を出しました(衆議院HPの「衆議院選挙制度に関する調査会」参照)。
イ 平成28年5月27日公布の改正公職選挙法により,小選挙区が6人(青森,岩手,三重,奈良,熊本及び鹿児島から各1人),比例代表が4人(東北,北陸信越,近畿及び九州の各ブロックから1人)削減されて,衆議院の定数は465人(小選挙区289人+比例代表176人)となることとなりました。
ウ 総務省の衆議院議員選挙区画定審議会は,内閣総理大臣に対し,平成29年4月19日,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行いました(総務省HPの「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案・改定案の勧告」参照)。
最大較差が平成27年国勢調査による日本国民の人口で1.956倍(平成32年見込人口で1.999倍)となる19都道府県97選挙区の改定案でした(総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」参照)。
エ(ア) 平成29年6月16日公布の改正公職選挙法により,19都道府県97選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,小選挙区が6人(青森,岩手,三重,奈良,熊本及び鹿児島から各1人),比例代表が4人(東北,北陸信越,近畿及び九州の各ブロックから1人)削減されて,衆議院の定数は465人(小選挙区289人+比例代表176人)となりました。
   そして,平成29年7月16日施行の衆議院議員小選挙区の区割りが,総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」に掲載されています。
(イ) このときの法改正に至るまでの詳細な経緯は,総務省HPの「第36回衆議院議員選挙区画定審議会」(平成29年8月3日開催)に書いてあります。
オ 公示日前日である平成29年10月9日現在,一票の格差は最大で1.98倍です(中日新聞HPの「1票の格差1・98倍 区割り変更で2倍以上解消」参照)。
(3) その他
ア 日弁連は,平成27年11月25日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。
イ   NHK解説委員室HP「時論公論 「1票の格差はどこまで許されるのか」」(平成27年11月26日)で解説されています。

14 平成29年10月22日実施の第48回衆議院議員総選挙(最大格差1.98倍)
(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
・ 平成30年3月30日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲状態が1件,合憲が15件でした。
イ 最高裁判決の内容
(ア)   平成30年11月28日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成30年12月19日判決は合憲と判断しました。
(イ) 林景一裁判官は,累次の大法廷判決を受けて国会が行った是正努力をも踏まえて,合憲であるという多数意見の結論に同調するという意見を付けました。
・   宮崎裕子裁判官は,定数配分は違憲状態であるという意見を付けました。
・   鬼丸かおる裁判官は,定数配分は違憲であるという反対意見を付けました。
・ 山本庸幸裁判官は,定数配分は違憲であり,一票の価値が0.8を下回る選挙区から選出された議員は,全てその身分を失うものと解すべきであるという反対意見を付けました。
(2) 日弁連は,平成30年12月21日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。

最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧

1 総論
(1) 衆議院は参議院と比べて議員の任期が短く(憲法45条本文,46条対照),解散があります(憲法45条ただし書参照)から,参議院よりも一票の格差に関する許容範囲が狭いです。
(2)ア 違憲状態とは,一票の格差が憲法14条1項に違反する状態をいいます。
   違憲とは,一票の格差に関する違憲状態を是正するのに合理的期間を経過した場合をいいます。
イ 弁護士ドットコムニュース「<一票の格差判決>「違憲」と「違憲状態」の違いとは?弁護士がわかりやすく解説」が参考になります。
(3) 最高裁大法廷平成23年3月23日判決以降,一票の格差に関する判断基準が厳しくなりました。
   それ以前は概ね,衆議院の場合は最大格差が3.0倍を超え(最高裁大法廷平成5年1月20日判決参照),参議院の場合は最大格差が6.0倍を超えれば(最高裁大法廷平成8年9月11日判決参照),憲法に違反するといわれていました。

2 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決
(1) 衆議院議員総選挙に関するもの
①   最高裁大法廷平成 5年 1月20日判決(平成 2年 2月18日の総選挙に関するもの)(最大格差3.18倍)
②   最高裁大法廷平成23年 3月23日判決(平成21年 8月30日の総選挙に関するもの)(最大格差2.304倍)
③   最高裁大法廷平成25年11月20日判決(平成24年12月16日の総選挙に関するもの)(最大格差2.43倍)
④   最高裁大法廷平成27年11月25日判決(平成26年12月14日の総選挙に関するもの)(最大格差2.13倍)
(2) 参議院議員通常選挙に関するもの
①   最高裁大法廷平成 8年 9月11日判決(平成 4年 7月26日の通常選挙に関するもの)(最大格差6.59倍)
②   最高裁大法廷平成24年10月17日判決(平成22年 7月11日の通常選挙に関するもの)(最大格差5.00倍)
③   最高裁大法廷平成26年11月26日判決(平成25年 7月21日の通常選挙に関するもの)(最大格差4.77倍)

3 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲判決
(1)   ①最高裁大法廷昭和51年4月14日判決(最大格差4.99倍)及び②最高裁大法廷昭和60年7月17日判決(最大格差4.40倍)だけであり,いずれも衆議院議員総選挙に関するものです。
(2) 公職選挙法219条1項前段は選挙訴訟への行政事件訴訟法31条1項の適用を排除しています。
   しかし,衆議院議員選挙が憲法14条1項に違反する議員定数配分規定に基づいて行われたことにより違法な場合であっても,選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避することを相当とする判示のような事情があるときは,いわゆる事情判決の制度の基礎に存するものと解すべき一般的な法の基本原則に従い,選挙無効の請求を棄却するとともに主文において当該選挙が違法である旨を宣言すべきであるとされています(最高裁大法廷昭和60年7月17日判決。いわゆる「事情判決の法理」です。)。

4 投票価値の平等に関する裁判の経緯
(1)ア 投票価値の平等に関する裁判は,当時司法修習生であった越山康弁護士(故人)が昭和37年の参議院議員選挙に関して提訴したことから始まりました。
   平成21年8月30日実施の衆議院議員総選挙以降,越山康弁護士のグループとは別に,全国の弁護士有志が投票価値の平等に関する裁判を提訴するようになりました(外部HPの「一人一票裁判とは?」参照)。
イ 現在,山口邦明弁護士らのグループ(越山康弁護士の系統です。)と,升永英俊弁護士,伊藤真弁護士,久保利英明弁護士らのグループが別々に,投票価値の平等に関する訴訟を行っています。
   例えば,平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙における平成29年7月19日の口頭弁論期日では,午前中に山口邦明弁護士らのグループが弁論を行い,午後に升永英俊弁護士らのグループが弁論を行いました。
ウ 現代ビジネスHPの「「一票の格差」に数億円投入する「最強弁護士」の素顔」が参考になります。ただし,升永英俊弁護士に対するインタビュー記事でありますところ,プレミアム会員にならないと最初の方しか読めません。
(2)   自由と正義2018年12月号5頁及び6頁に以下の記載があります。
   2009年、私(注:筆者である升永英俊弁護士のこと。)は、久保利英明弁護士と共に,全国の各高裁で人口比例選挙(すなわち,一人一票)訴訟を提訴すべく、全国の有志の弁護士に参加を求め、以後今日まで、各地の有志弁護士が、一人一票訴訟に参加している。
   全国の全ての一人一票訴訟に参加している弁護士は、久保利英明弁護士、伊藤真弁護士、私の3名である。
   私どもは、2009~2018年の間に、国政総選挙ごとに、全国の全14の高裁・高裁支部に人口比例選挙裁判を提訴し続け(但し、2009年衆院選のみ、8の高裁・高裁支部に提訴)、92の高裁判決と6の最高裁大法廷判決(すなわち、5の「違憲状態」大法廷判決と1の「留保付合憲」大法廷判決(参院選))を得た。
   これらの92の高裁判決とは、2の違憲無効判決、20の違憲違法判決、46の違憲状態判決、12の留保付合憲判決、12の留保無しの合憲判決である。
   これらの92の高裁判決及び山口邦明弁護士ら及び金尾哲也弁護士ら提訴の高裁判決のうち、5の「違憲違法」判決及び3の「違憲無効」判決は、それぞれ、『憲法は人口比例選挙を要求している』旨判示した。

5 一票の格差是正に否定的な意見
(1) 一票の格差是正に否定的な意見として,以下のHPがあります。
① 現代ビジネスHPの「ニッポンの難題「一票の格差」の落とし穴〜是正は本当に必要ですか?」
② ハフポストHPの「一票の格差は本当に問題なのだろうか?」
③ BLOGOSの「「一票の格差」という欺瞞」
(2) 一票の格差是正は「地方切り捨て」につながりかねないといわれることがあります。


6 その他
(1) 経済同友会HP「投票価値の平等(「一票の格差」是正)実現Webサイト」What’s New!に,一票の格差に関する時系列の経緯が載っています。
(2) 国立国会図書館HPレファレンスに以下の記事が載っています。
① 「戦後主要政党の変遷と国会内勢力の推移」(平成26年6月号)
② 「参議院定数配分をめぐる近時の最高裁判例-最高裁平成26年11月26日大法廷判決を中心として-」(平成27年7月号)
(3) 国立国会図書館HP「調査と情報」に以下の記事が載っています。
① 主要国議会の解散制度(平成28年10月18日発行の923号)
② 衆議院及び参議院における一票の格差-近年の最高裁判所判決を踏まえて-(平成29年3月28日発行の953号)
③ 戦後の我が国における主要制度の変遷(平成31年2月28日発行の1043号)
(4) 総務省自治行政局選挙部管理課選挙管理官は,中央選挙管理会が管理する選挙に関する事務を行っています(総務省組織規則27条2項)。
(5) レファレンス平成26年6月号の「戦後主要政党の変遷と国会内勢力の推移」を見れば,昭和20年8月から平成25年までの,主要政党の国会内勢力の推移が分かります。

最高裁,高裁及び地家裁の本庁及び支部ごとの裁判官数の分布表

1 最高裁,高裁及び地家裁の本庁及び支部ごとの裁判官数の分布表を以下のとおり掲載しています。
①   平成28年 8月5日時点
② 平成29年12月1日時点
③ 平成30年12月1日時点

2 数字が入っていない支部は,常駐している裁判官のいない非常駐支部となります。

3(1) 東京地家裁,横浜地家裁,大阪地家裁のように,地裁と家裁の両方の補職辞令を持っている裁判官がいない裁判所については,民事部,刑事部,家事部及び少年部に区別して集計しました。
それ以外の裁判所については,地裁裁判官と家裁裁判官を区別して集計できませんから,地裁判事,地家裁判事,家地裁判事,家裁判事として集計しました。
(2) 地家裁判事というのは,主として地裁の仕事をしている判事のことであり,家地裁判事というのは,主として家裁の仕事をしている判事のことです。

4 民間企業長期研修,海外留学,育児休業,介護休暇又は配偶者同行休業をしている裁判官は,裁判官としての身分を保有していますから,分布表の数字に含まれています。

5 「裁判所支部」も参照してください。

裁判官の死亡退官

1 平成19年12月1日以降の裁判官の死亡退官数の推移は以下のとおりですが,その死亡について報道された人はほとんどいなかった気がします。
・ 平成30年12月1日~令和 元年10月31日:2人(38期,48期)
・ 平成29年12月1日~平成30年11月30日:1人(40期)
・ 平成28年12月1日~平成29年11月30日:1人(57期)
・ 平成27年12月1日~平成28年11月30日:2人(37期,42期)
・ 平成26年12月1日~平成27年11月30日:1人(38期)
・ 平成25年12月1日~平成26年11月30日:2人(50期,59期)
・ 平成24年12月1日~平成25年11月30日:2人(38期,37期)
・ 平成23年12月1日~平成24年11月30日:3人(46期)
・ 平成22年12月1日~平成23年11月30日:1人(新62期)
・ 平成21年12月1日~平成22年11月30日:4人(18期,21期,30期,43期)
・ 平成20年12月1日~平成21年11月30日:4人(23期,28期,38期,44期)
・ 平成19年12月1日~平成20年11月30日:4人(24期,29期,50期,58期)

2(1) 裁判官が死亡退官した場合,生前の最後の日付で勲章を授けられます(死後叙勲)。
   死後叙勲の場合,70歳を迎えた直後にもらえる春秋の叙勲と比べて,勲章のランクがやや上がります。
(2)   例えば,22期の山崎潮(うしお)千葉地裁所長は,平成18年5月16日午後10時頃,千葉市内の官舎で突然死亡し(心筋梗塞の疑い),翌日午前,所長が送迎の官用車に姿を見せなかったことを不審に思った千葉地裁職員が合鍵を使って官舎の室内に入ったところ,寝室のたたんだ布団に頭を乗せ,仰向けに倒れた状態で所長が発見されました(外部ブログの「山崎潮の死を悼む」参照)。
   そして,急逝した山崎潮千葉地裁所長の場合,訃報がすぐに報道されるとともに,後日,生前の最後の日付である平成18年5月16日付で瑞宝重光章を授与されました。

3(1) 49期の石村智京都地裁判事が執筆した「労災民事訴訟に関する諸問題について」(-過労自殺に関する注意義務違反,安全配慮義務違反と相当因果関係を中心として-)を掲載している判例タイムズ1425号(平成28年7月25日発売)の45頁には以下の記載があります。
   客観的業務過重性が認められる場合には,業務の過重性についての予見可能性と労働者の心身健康を損なう危険についての(抽象的)予見可能性さえあれば(使用者側は,客観的にみて過重な業務を課しているのであるから,通常は,これが否定されることはない。),義務違反及び相当因果関係が肯定される関係にあり,その意味で,この場合においては,精神障害の発症や自殺についての予見がないとの使用者側の主張については,ほぼ失当に近いことになる。しかも,電通事件最判や東芝事件最判の判示によれば,当事者側の事情が過失相殺ないしは素因減額とされる場面はかなり限定され,その適用範囲が審理の中心となるということになろう。
(2) 「過労自殺の労災認定」も参照して下さい。

4(1) 由利弁護士の部屋HP「「ある裁判官の自殺」に思う」に,平成15年3月3日に飛び降り自殺をした大阪高裁の裁判官のことが書いてあります。
(2) 特定裁判官が自殺した原因に関して最高裁判所が作成し,又は取得した文書について開示請求をした場合,存否を明らかにしないで不開示となります(平成29年度(最情)答申第5号(平成29年6月9日答申))。

5(1) 裁判所職員採用試験HPに掲載されている,50期の鈴木千帆裁判官のメッセージには,「裁判所は,ひとりひとりを大切にする組織です。」と書いてあります。
   しかし,42期の花村良一司法研修所民事裁判上席教官は,平成28年9月29日に死亡しましたところ,死亡した月の出勤状況が分かる文書は存在しないことになっています平成28年11月4日付の司法行政文書不開示通知書平成28年12月2日付の最高裁判所事務総長の理由説明書及び平成28年度(最情)答申第42号(平成29年1月26日答申)参照)。
(2) 57期の百瀬梓裁判官(昭和55年9月14日生)は,平成29年10月3日に37歳で死亡しましたところ,同年9月1日以降の勤務状況が分かる文書は存在しません(平成29年12月27日付の名古屋家裁の司法行政文書不開示通知書)。

6 以下の記事も参照してください。
① 退官発令日順の元裁判官の名簿(平成29年8月10日時点)
② 叙位の対象となった裁判官(平成31年1月以降の分)
③ 弁護士の自殺者数の推移(平成18年以降)

令和元年度以降の長官所長会同の資料及び議事概要

令和元年度長官所長会同の資料進行シナリオ及び議事概要
・ テーマは以下のとおりでした。
1 裁判所の紛争解決機能を全体として高めていくための司法行政上の方策について(広島地裁,富山地家裁,静岡家裁)
→ サブテーマは以下のとおりです。
(1)  各事件分野(民事・刑事・家裁)の裁判部門において,各部内での意見交換や議論は,どのように行われているか。
(2) 部内での議論を充実させ,部の機能を十分に発揮させるために,部総括裁判官や所長はどのような役割を果たしていくべきか。
2 組織的に対応すべき事項に対する所長の役割
→ サブテーマは,「(1)裁判手続のIT化について」及び「(2)裁判所と地域社会のつながりについて(裁判員制度10周年広報,成年後見制度における連携等を通じて)」でした。

* 以下の記事も参照してください。
① 毎年6月開催の長官所長会同
② 平成17年度から平成30年度までの長官所長会同の資料等



最高裁の既済事件一覧表(民事)

1 最高裁の既済事件一覧表(民事の上告事件)を以下のとおり掲載しています。
(平成31年→令和元年)
4月分5月分6月分7月分8月分9月分
10月分
,11月分,12月分

2 最高裁の既済事件一覧表(民事の上告受理申立事件)を以下のとおり掲載しています。
(平成31年→令和元年)
4月分5月分6月分7月分8月分9月分
10月分
,11月分,12月分

3 上告及び上告受理申立てをした場合,以下のような定型文の決定が出ることがほとんどです(弁護士 阿部泰隆HP「☆『最高裁不受理事件の諸相Ⅱ』(信山社、2011年)」参照)。
① 上告について
 民事事件について最高裁判所に上告することが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲及び理由の不備・食違いをいうが,その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの又はその前提を欠くものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
② 上告受理申立てについて
 本件申立ての理由によれば,本件は,民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。

4 今井功弁護士(平成16年12月から平成21年12月までの間,最高裁判所判事)は,自由と正義2013年6月号13頁において以下のとおり書いています。
 民事事件は,各小法廷で年間1,000件を超えているから,各事件につき,判決書を作成して署名押印し,いちいち法廷を開いて言渡しをすることは,大変な無駄である。旧法時代は,弁論が開かれない上告棄却判決の多くは,傍聴人のいない法廷で,言渡しがされており,当時多くの裁判官から何とかならないかといわれていたものである。

5(1) ツンデレブログに「最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか」と題するマンガが載っています。
① 最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか   (平成26年5月28日付)
② 続最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか(平成26年6月 6日付)
(2) リンク先のマンガにつき,著作権との関係で大丈夫かどうかはよく分かりません。

6 以下の記事も参照してください。
① 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)
② 最高裁判所調査官
③ 最高裁判所判例解説

最高裁判所家庭局News

1 最高裁判所家庭局Newsを以下のとおり掲載しています。
(令和元年6月以降のもの)
49号50号51号
(2019年5月以前のもの)
40号,42号,43号,45号,46号及び47号
38号及び39号

2 最高裁判所家庭局Newsにつき,本ブログに掲載したもの以外は廃棄済みです(令和元年8月22日付の司法行政文書不開示通知書5通参照)。


初めて司法修習生考試担当者になった人に対し,職務内容を説明するために交付している資料は存在しないこと

1 令和元年8月6日付の理由説明書の「(3) 最高裁判所の考え方及びその理由」には以下の記載があります。
ア 「初めて司法修習生考試担当者になった人に対し,職務内容を説明するために交付している資料(最新版) 」については, 「初めて司法修習生考試事務を担当する職員に対し,職務内容を説明するために交付している資料(最新版) 」と整理した。
イ 初めて司法修習生考試事務を担当する職員は,前任の職員や他の担当職員から口頭で説明を受けるなどしながら考試事務の職務内容を把握しており,
改めて職務内容を説明するための資料を作成する必要はないことから,対象文書は作成又は取得していない。
ウ よって,本件申出に係る文書を不開示とした原判断は相当である。

2 司法修習生考試担当者は,司法研修所教官の中から選任されています「司法修習生考試担当者名簿(65期二回試験以降)」参照)。

3 ちなみに,67期二回試験の場合,時給1050円のアルバイトの試験監督が,刑事弁護の答案回収が終わる前に立ち去るという事件が発生しました(「65期二回試験以降の事務委託に関する契約書,及び67期二回試験の不祥事」参照)。

平成31年度首席家庭裁判所調査官事務打合せにおける協議の結果

「平成31年度首席家庭裁判所調査官事務打合せにおける協議の結果について」は以下のとおりです(見出しを太字にしたり,第1,第2及び第3の間に改行を追加したりしました。)。

平成31年度首席家庭裁判所調査官事務打合せにおける協議の結果について

最高裁判所事務総局家庭局

本事務打合せにおいて協議された内容の要点は,以下のとおりである。

第1 家庭局関係
1 家庭裁判所調査官の役割・機能を明確にするとともに確実に実践するために検討すべき事項
(1) 家庭裁判所調査官(以下「家裁調査官」という。)の役割・機能の内容を具体化してより明確にするとともに,職種間における認識の共有を進め,それを確実に実践していくために,高等裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の首席家庭裁判所調査官(以下「所在地首席家裁調査官」という。) として検討すべき事項について協議した。
(2) 協議においては,紛争や問題の実相を捉えて最も適切な解決を図るという家庭裁判所の役割を踏まえて,家裁調査官が果たすべき役割・機能について意見交換を行った。その上で, より的確で質の高い調査事務を遂行し,職種間連携の強化を図るためには,家裁調査官の役割・機能やそれに基づく調査事務を理解するための視点をまとめて,それを活用することが重要であるとの認識を共有した。
2 組を単位とした執務態勢を基盤に質の高い判断に資する調査事務を実践するために検討すべき事項
(1) 行動科学の知見に裏付けられた室の高い調査
ア 行動科学の知見に裏付けられた質の高い調査を実践するための方策及びこれに向けて所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
イ 協議においては,調査の質の確保・向上を図るための方策として,組・定例ケース会議や指導(点検)区分による指導はもちろんのこと,組の家裁調査官全員の経験や能力を生かして質の向上を目指すという平成30年度調査官特別研究の趣旨を取り入れた事務処理を実践していく必要があるとの認識を共有した。また, これと併せて,行動科学の知見を共有して適切に調査に活用するための方策として,調査事務の具体的な内容,方法等を明確にするための取組を引き続き進めることの重要性を確認した。これらの方策が推進されるよう,所在地首席家裁調査官は,管内の各庁において,計画的に調整事務を進める必要があることを確認した。
(2) 行動科学の知見を必要とする分野への適時適切な関与
ア 行動科学の知見を必要とする分野への適時適切な関与を実現するための方策及びこれに向けて所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
イ 協議においては,適時適切な調査官関与を実現するためには,審理全体の中で家裁調査官が関与すべき場面や果たすべき役割について,裁判官等の関係職種と認識の共有を図るとともに,個別の事件では,期日立会いの段階において,調査受命のタイミング, 目的,内容等についても,主任家裁調査官による指導や組での多角的な検討を行うことが重要であることを確認した。また,面会交流事件については,家裁調査官がどのような場面でどのように関与すべきかについて,家裁調査官内部で引き続き議論をするとともに,関係職種との相互議論を通じて認識の共有を進める必要があることを確認した。さらに,家裁調査官の関与に関して,調停委員と認識を共有するためには,裁判官と共に,それに向けた具体的な方法について検討する必要があることを確認した。_これらの方策が実効性のあるものとなるよう,所在地首席家裁調査官は,管内の各庁の実情に応じたきめ細かな調整事務を行う必要があることを確認した。
(3) 関係職種との相互議論等を通じた調査事務の検証
ア 調査事務を的確に検証するためには,単に裁判官等の関係職種からフィードバックを受けるだけでなく,家裁調査官の具体的な問題意識を伝えて意見交換をするなどの相互議論が重要であることに鑑み,管内の各庁における相互議論の推進に向けて,所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
イ 協議においては,調査事務を的確に検証するためには,個別の事件を通じて,又は,一般的な審理の在り方や,組を単位とした事務処理態勢などの事件処理全般に関する事項を検討する中で,裁判官をはじめとする関係職種と相互議論を行うことが重要であるとの認識を共有した。所在地首席家裁調査官は,相互議論の必要性の認識を管内の首席家裁調査官と共有するとともに,管内の各庁において,相互議論を行うための態勢が整備されるよう,実効性のある調整事務を行う必要があることを確認した。
3 とりわけ面会交流事件において質の高い判断に資する調査事務を実践するために検討すべき事項
(1) 前記2の各協議事項に関して,とりわけ面会交流事件において,所在地首席家裁調査官が行うべき調整事務について協議した。
(2) 協議においては,各庁における事件処理の実情や取り組むべき課題を明らかにするために,事件に関する統計データを丁寧に分析する必要があることを確認した。これに加え,関係職種との相互議論を通じて家裁調査官の役割を明確にし,組を単位とした執務態勢を生かして調査の質を高めることが重要であり,所在地首席家裁調査官は,管内の各庁の実情に応じて必要な取組や態勢整備が推進されるよう,調整事務を行う必要があることを確認した。

第2 人事局関係
家裁調査官の人事管理に関し考慮すべき事項について競技した。

第3 裁判所職員総合研修所関係
1 養成課程研修について
実務修習及び後期合同研修の充実について協議を行った。
2 家裁調査官実務研究について
(1) 平成29,30年度家裁調査官実務研究(指定研究)の還元の見通しについては,令和2年2月発刊予定の家裁調査官研究紀要に掲載予定であることを説明した。
(2) 令和元年度家裁調査官実務研究(指定研究)については,家裁調査官の行う調査面接の特質を整理し,調査面接に必要とされる基本的な姿勢及び技法などを明確化して,共有することを目的として,調査面接に関する研究,研修を積み重ねていくための基盤となるような研究を目指すことを説明した。
3 令和元年度家裁調査官特別研修について
家裁調査官の専門性の要となる研修であることを再確認した上で,応募の現状と課題,積極的に応募する環境づくりについて協議を行った。

昭和59年8月発行の,東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の落成記念特集号

新庁舎落成記念特集号(昭和59年8月)の表紙及び末尾

0 総論
(1) 東京高裁広報及び東京地裁広報が作成した,新庁舎落成記念特集号(昭和59年8月1日付)を掲載しています。
(2) 東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎は昭和59年4月に完成し,同年5月31日午前10時30分から18階の大会議室において落成式が挙行されました。
(3) 裁判所HPに「東京地方裁判所 庁舎総合案内図」が載っていて,Wikipediaに「東京高等地方簡易裁判所合同庁舎」が載っています。

1 落成式における大内恒夫東京高裁長官の式辞
   本日ここに最高裁判所長官をはじめ来賓多数の御臨席を得まして、東京高等裁判所、東京地方裁判所、東京簡易裁判所及び東京第一・第二検察審査会合同庁舎の落成式を挙行する運びとなりましたことは、まことに喜びにたえないところであります。
   ここに完成いたしました新庁舎は、中央官衙整備計画の基本方針に基づき、旧最高裁判所庁舎跡地に建てられたもので、最高裁判所の設計、最高裁判所及び建設省の監理のもとに、十四にのぼる企業体が一致協力して施工にあたり、昭和五十四年七月の着工から約五年の歳月をかけて本年四月すべての工事を終わり、完成を見るに至ったものであります。地上十九階、地下三階、廷床面積約十三万六千平方メートルというこの庁舎は、わが国の裁判所の建物としては、最大の規模のものであり、法廷部門を低層階に、事務室部門を高層階に配置するなど機能的な面の整備とともに、耐震、防災等に関しても最新の設備を施した画期的なものであります。
   東京高等裁判所がこれまで執務して参りました庁舎は、昭和十年に東京民事地方裁判所庁舎として建設されたもので、戦後の日本国憲法の施行間もないころは、最高裁判所も同居していたなど数々の思い出を認めた庁舎でありましたが、歳月の経過とともに老朽狭あい化が著しく、また、東京地方裁判所等が執務しておりました庁舎は、各所に分散して不便が甚だしく、一日も早く首都の裁判所にふさわしい庁舎を新営することが強く望まれていたのであります。幸典この度、高、地、簡裁を一体とした合同庁舎が完成しましたが、これにより、これまで訴訟関係者はじめ多くの方々におかけしてきた不便が
解消されるばかりでなく、円滑な裁判の運営に資するところが多大であると信じております。
   申すまでもなく、裁判の仕事は、どんなに立派な施設を作ろうとも、またいかに制度を整えようとも、結局、その結果は、その仕事に携わる人間の努力にまつほかありません。最近、国民生活や社会事情の急激な変化とともに、裁判所に提起される各種事件はますます複雑、多様化の度を加え、司法の役割はいよいよ大となっております。私たちは、この機会に、あらためて裁判所に課せられた使命の重大性に思いをいたし、さらに清新の気をもって職務に精励し、より一層国民の信頼と期待にこたえて参りたいと思います。
   終りに、この庁舎の新営に多大の御尽力と御配恵を賜りました関係各位並びに幾多の困難を克服してよくこの工事を完成されました工事関係者各位に対し、心からの謝意と敬意を表しまして、私の式辞といたします。

2 落成式における寺田治郎最高裁判所長官の祝辞
   本日、ここに、東京高等裁判所、同地方裁判所、同簡易裁判所、同第及び第二検察審査会合同新庁舎の落成式が挙行されるに当たり、お祝いを申し述べる機会を得ましたことは、私の深く喜びとするところであります。
   これまで、東京高等裁判所は、昭和十年に東京民事地方裁判所として建設された庁舎を使用し、東京地方裁判所は、昭和三十七年に建設された同裁判所の刑事部庁舎を中心として、数箇所に散在すら庁舎を併せて使用してまいりましたが、いずれも、年ごとに老朽と狭あいの度を加え、特に、東京地方裁判所においては、庁舎が各所に分散していたため、種々の点で不便を免れず、かねて新庁舎の建設が強く望まれていたところであります。
   この度、この念願が実を結び、司法部ゆかりの最高裁判所旧庁舎跡地に新庁舎のしゅん工を見るに至りました。この新庁舎は、皇居周辺の景観との調和にも配慮して計画され、大裁判所としての特質を考慮した最新設備を完備し、かつ、司法部の建物としてはこれまでにない規模を有する機能的な高層建築物で、正義の殿堂として長く霞が関にその威容を誇ることと信じます。新庁舎の落成について心から慶祝の意を表しますとともに、その建設に当たり御支援と御協力を賜りました関係各方面の方々に対し、深甚の敬意と謝意を表する次第であります。
   裁判所の取り扱う事件は、最近の社会情勢を反映して、従来にない複雑困難な問題を含むものが多くなってきております。
   私どもといたしましては、これまで以上に工夫と努力を重ねて事件の適正迅速な処理を図り、裁判所に寄せられた国民の期待と信頼にこたえていかなければならないと思います。
   裁判官をはじめ職員各位におかれては、この喜びの日を契機として決意を新たにされ、それぞれの職務に一層精励されますよう切望してやみません。
   また、御臨席の各位におかれましては、司法の重要性を御理解くださいまして、今後とも、裁判所のため一層の御協力を賜りますようお顔い申し上げます。
   これをもちまして、私の祝辞といたします。

3 落成式における住栄作法務大臣の祝辞
   本日、東京高等裁判所・東京地方裁判所・東京簡易裁判所及び東京第一・第二検察審査会の合同庁舎の落成式が挙行されるに当たり、一言お祝いの言葉を申し述べる機会を得ましたことは、私の深く喜びとするところであります。
   本日、ここに新庁舎の落成式を迎えられた東京高等裁判所を始めとする各裁判所及び各検察審査会は、我が国司法の重要な一翼を担い、よくその使命を果たしてこられたのでありますが、この度、この霞が関の最高裁判所旧庁舎跡地という由緒ある場所に、近代技術の粋を結集し、司法の殿堂にふさわしい庁舎の完成を見るに至りましたことは、誠に御同慶に堪えないところでありまして、庁舎新営に参画された関係各位の御努力に対し深甚な敬意と祝意を表するものであります。
   この明るい近代的な庁舎の完成は、職員の皆様はもとより、訴訟関係人を始めとする関係各方面にも多大の便益をもたらし、その寄与するところは誠に大なるものがあると存じます。
   新庁舎の下で勤務される職員各位におかれましては夕今後とも一層職務に精励され、我が国司法に寄せる国民の信頼と期待にこたえられますよう念願いたしまして、私の祝辞といたします。

4 落成式における石井成一日弁連会長の祝辞
   只今ご紹介を戴きました日本弁護士連合会会長の石井成一でございます。本日、東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の落成式が開催されるにあたり、日本弁護士連合会を代表してお祝いの言葉を申し述べる機会を得ましたことは、私にとって大変光栄に存ずるところであります。
   裁判所におかれましては、かねてから新庁舎建設の要を痛感され、関係各位におかれて、いくたびかの検討を重ねられました結果、ここにめでたく落成式を迎えられましたことは誠にご同慶に堪えません。
   近代的感覚と設備を兼ねそなえた新庁舎は、内容・外観ともに申し分なく、先進諸国の裁判所施設の中でも、もっとも優れた庁舎の一つとして位置づけられるものと存じます。正に『司法の殿堂』にふさわしいものと拝見しておりきす。
   ところで、国民の法に対する意識も人権思想の昂りとともに、伝統的なものから徐々に脱皮しつつあることを看過することはできません。
数多くの立法や法改正はいうまでもなく、新しい形態の、また多数当事者の訴訟や紛争も次第に増加しております。
   このような情況下において、われわれ司法にたずさわる者としては、社会の進展とそして新しい要求に対して、適切に対応し、人権を擁護し社会正義の実現を目指して、一層国民の期待に副うべき責務のあることが強調されねばなりません。
   どうか、これを機会に新庁舎の管理運営に万全を期されますとともに、新庁舎がその機能を十分に生かして、国民のための司法を目指して、名実とともに「司法の殿堂」が築き上げられますよう念願いたします。我々弁護士もこのため大いにご協力申し上げたいと存じます。
   終りに、本日ご列席の各位ととともに、新庁舎の完成を心からお喜び申し上げ、益々のご発展をお祈りし、私の祝辞といたします。

裁判官に対する訴追請求事案について,裁判官訴追委員会から受領した文書は,その全部が不開示情報であること

1 令和元年7月26日付の理由説明書の「2 理由」欄に以下の記載があります。

(1) 開示申出の内容
   裁判官に対する訴追請求事案について,裁判官訴追委員会から受領した文書(直近の事例に関するもの)
(2) 原判断機関としての最高裁判所の判断内容
   最高裁判所は, (1)の開示の申出に対し, 6月24日付けで不開示の判断(以下「原判断」という。)を行った。
(3) 最高裁判所の考え方及びその理由
ア 本件申出に係る文書には,氏名等が記載されており, これらの情報は,行政機関情報公開法(以下「法」という。)第5条第1号に規定する個人識別
情報に相当する。
イ また,本件申出に係る文書には,裁判官訴追委員会(以下「委員会」という。)が具体的な訴追事案に関して審議,決定するために必要な資料収集の
一環として行う調査に係る文書についての情報が記載されているが,かかる情報を含む委員会の議事は全て非公開とされ,例外は設けられていない(裁
判官弾劾法第10条第3項) 。
   これを前提とすると,調査に係る文書についての情報を公にすると,収集の対象となった資料名及び非公開である訴追事案の審議方法の一端が明らかになり,その情報を知った者に無用な憶測を生じさせ,委員会への不当な働き掛けがなされる等,委員会における率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあることに加え,委員会が行う審議の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから,本件申出に係る文書は,全体として法第5条第5号及び同条第6号に定める不開示情報に相当することから,不開示とした。
ウ よって,原判断は相当である。

2 「岡口基一裁判官に対する分限裁判」も参照してください。