目次第1 行政事件で最初に確認する事項1 何を争うのか2 いつ争うのか3 訴訟類型を法的効果から選ぶ第2 訴訟要件に関する主要論点1 処分性2 原告適格と訴えの利益第3 本案審理に関する主要論点1 裁量権の逸脱・濫用2 理由提示3 違法性の承継第4 分野別の行政事件1 情報公開2 住民監査請求と住民訴訟3 個別分野の記事第5 出典
第1 行政事件で最初に確認する事項
1 何を争うのか
行政事件では,行政庁の行為に不満があるというだけでは,直ちに取消訴訟を選べるわけではない。
争う対象が行政処分に当たるか,原告に法律上の利益があるか,取消しによって現実に回復できる利益が残っているかを順に確認する必要がある。
取消訴訟のほかにも,無効等確認の訴え,不作為の違法確認の訴え,義務付けの訴え,差止めの訴え,当事者訴訟,住民訴訟及び国家賠償請求がある。
名称ではなく,求める救済と行政作用の段階に対応する訴訟類型を選ぶことが重要である。
取消訴訟と国家賠償請求の目的,違法性判断及び併合提起の関係は,取消訴訟と国家賠償請求の関係―併合提起・違法性・取消判決の拘束力(AI作成)で整理している。
2 いつ争うのか
取消訴訟には出訴期間があり,審査請求をした場合の起算点,正当な理由及び個別法の特則を確認しなければならない。
処分前の差止めと処分後の取消訴訟・執行停止では,要件と時間軸が異なる。
審査請求の3か月・1年の期間,執行停止,審理員手続及び裁決後の取消訴訟は,行政不服審査法の審査請求―期間・執行停止・審理員・裁決・取消訴訟(AI作成)を参照されたい。
申請時,処分時,処分の告知時及び裁判所の違法判断時も区別する必要がある。
詳しくは,行政処分の適法性の基準時と効力発生時期を参照されたい。
3 訴訟類型を法的効果から選ぶ
訴訟類型は名称ではなく,争う対象,処分庁,被告,仮の救済,判決効及び最終的に回復したい権利から逆算する。
類型対象・被告期間仮の救済主な判決効回復できるもの取消訴訟処分・裁決/処分の事務が帰属する国・公共団体等原則6か月・1年執行停止形成力,第三者効,拘束力処分の効力除去無効等確認処分・裁決/行政主体等取消訴訟と同じ出訴期間なし執行停止を準用拘束力。第三者効は明文準用なし処分の無効確認当事者訴訟・民事訴訟現在の権利・義務/法律関係の相手方請求ごとに確認処分自体への民事仮処分は不可原則として当事者間地位,所有権,登記,債務等義務付け訴訟一定の処分(名宛人・根拠条項・内容で特定し,撤去作業等の事実行為とは区別)/行政主体等非申請型は出訴期間の定めなし。申請型は取消訴訟等の併合提起が必要仮の義務付け拘束力(38条1項による33条準用)。第三者効(32条1項)は準用なし行政庁に処分をさせること差止め訴訟一定の処分/行政主体等出訴期間の定めなし仮の差止め拘束力(同上)。第三者効は準用なし処分の予防
義務付け判決は行政庁を拘束するが,処分の相手方となる第三者には,判決を受けて行政庁がする処分を通じて効果が及ぶ。
第三者に対する規制権限の発動を求める非申請型義務付け訴訟の要件,民事訴訟との比較及び判決効は,非申請型義務付け訴訟―行政に是正命令を出させる訴えの一定の処分・重大な損害・補充性・判決効で整理している。
無効等確認訴訟と現在の法律関係に関する訴えの比較は,行政処分の無効等確認訴訟と現在の法律関係に関する訴えを参照されたい。
第2 訴訟要件に関する主要論点
1 処分性
取消訴訟の対象は,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為である。
勧告,通知,計画決定,公表等も名称だけで結論は決まらず,根拠法令の仕組み,法的効果,後続措置及び後の段階で争う救済の実効性を検討する。
判断枠組みと最高裁の肯定例・否定例は,行政処分の処分性とはにまとめた。
勧告・指示・公表の連鎖は,行政庁の勧告・指示・公表に対する争い方を参照されたい。
2 原告適格と訴えの利益
原告適格は,誰がその処分を争えるかという入口の問題である。
訴えの利益は,処分後の事情の変化を踏まえても取消判決によって回復すべき法律上の利益が残るかという問題である。
両者の違い,行政事件訴訟法9条2項の考慮要素及び主要判例は,取消訴訟の原告適格と訴えの利益の違いを参照されたい。林地開発許可について,周辺住民の原告適格,工事完成後の訴えの利益及び執行停止を一体として検討する場合は,林地開発許可を争う実務を参照されたい。
(続きを読む...)行政事件訴訟の主要論点―処分性・原告適格・訴えの利益・裁量審査の総合案内(AI作成)