メインコンテンツへスキップ
       

非弁護士との提携の禁止(AIリライト)

第1 総論

弁護士職務基本規程11条及び大阪弁護士会会則108条2項による規制

非弁提携の禁止に関しては,「弁護士は,弁護士法第72条から第74条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け,これらの者を利用し,又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」(弁護士職務基本規程11条。なお,同趣旨の規定につき大阪弁護士会会則108条2項)と規定されている。
禁止される提携の対象は,弁護士法27条と異なり,①弁護士法72条ないし74条の規定に違反する者に限らず,「違反すると疑うに足りる相当な理由のある者」にまで広げられているほか,②「事件の周旋」に限らず,「依頼者の紹介」にまで広げられている。

2 「自己の名義を利用させる」の意義

「自己の名義を利用させる」とは,「弁護士某」という名義のほか,氏名だけの利用も含み,「○○法律事務所」という表示についても名義の利用に当たる場合がある。
例としては,大量に処理する報告書,内容証明郵便等に,弁護士の氏名を記載し,更に弁護士の印鑑を弁護士でない者に預けて押捺させる場合がある。

第2 弁護士法72条から74条までの規定に違反している者の内容

1 違反行為の類型と罰則

弁護士法72条から74条までの規定に違反している者の内容は以下のとおりであり,①ないし③に該当する場合は2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処せられ(弁護士法77条),④ないし⑥に該当する場合は100万円以下の罰金に処せられる(弁護士法77条の2)。
①弁護士又は弁護士法人でないのに,報酬を得る目的で,業として,訴訟事件その他一般の法律事件に関して鑑定,代理,和解等の法律事務を取り扱う者(弁護士法72条本文前段違反)
②弁護士又は弁護士法人でないのに,報酬を得る目的で,業として,法律事件に関する法律事務の取扱いを周旋する者(弁護士法72条本文後段違反)
③他人の権利を譲り受けて,訴訟等の手段によって,その権利を実行することを業とする者(弁護士法73条違反)
④弁護士又は弁護士法人でないのに,弁護士又は法律事務所の標示又は記載をする者(弁護士法74条1項違反)
⑤弁護士又は弁護士法人でないのに,利益を得る目的で,法律相談その他法律事務を取り扱うことを標示又は記載した者(弁護士法74条2項違反)
⑥弁護士法人でないのに,その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いた者(弁護士法74条3項違反)

2 弁護士法人制度導入に伴う整理

平成13年6月8日法律第41号(平成14年4月1日施行)に基づき弁護士法人の制度が導入されたことに伴い,弁護士法人を主体とする犯罪(弁護士法30条の21において準用される弁護士法27条及び28条に違反した場合)についても弁護士法77条の適用があることが明確にされるとともに,罰金刑の最高額が100万円から300万円に引き上げられた。

3 自己の法律事件を依頼した者の罪責

弁護士でない者に,自己の法律事件の示談解決を依頼し,これに報酬を与え若しくは与えることを約束した者を,弁護士法72条,77条違反の罪の教唆犯として処罰することはできない(最高裁昭和43年12月24日判決。裁判所ウェブサイト)。
自己の法律事件の解決を弁護士でない者に依頼した者については,弁護士法72条違反の罪の共同正犯にもならない。
なぜなら,同判決は,弁護士法は自己の法律事件を自ら取り扱うことまで禁止しているものとは解されないとしているので,自己の法律事件を弁護士でない者に依頼した者が弁護士法72条違反の罪の正犯となることはあり得ず,共同正犯にもならないからである。

4 隣接士業との提携が弁護士職務基本規程11条違反となる場合

以下の士業から依頼者の紹介を受けたり,以下の士業を利用したりした場合,弁護士職務基本規程11条に違反することとなる。
①紛争の目的の価額が140万円を超える事件に関する相談,和解の交渉,和解契約の締結(例えば,140万円を超える過払金の返還請求)を事実上行っていると疑うに足りる相当な理由のある司法書士
②権利義務又は事実証明に関する書面の作成(行政書士法1条の2第1項参照)にかこつけて,交通事故・相続紛争等の示談交渉を事実上行っていると疑うに足りる相当な理由のある行政書士
③以下の権限外行為を事実上行っていると疑うに足りる相当な理由のある社会保険労務士((a) ADR手続の利用を前提とする,紛争の価額が60万円を超える労使紛争に関して,弁護士と共同受任することなく行う,相談,和解の交渉,和解契約の締結,(b) ADR手続の利用を前提とする,解雇,退職,雇い止め等の効力を争う労使紛争に関して,弁護士と共同受任することなく行う,相談,和解の交渉,和解契約の締結,(c) ADR手続の利用を前提としない労使紛争(紛争の価額は問わない。)に関して行う,相談,和解の交渉,和解契約の締結)

第3 弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

1 条文及び前身規定

(1) 条文

弁護士法72条は以下のとおりである。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(2) 前身規定(法律事務ノ取扱ノ取締ニ関スル法律)

弁護士法72条の前身規定は,昭和8年法律第54号「法律事務ノ取扱ノ取締ニ関スル法律」1条である。
最高裁昭和25年2月28日判決(民集4巻2号93頁)は,昭和22年当時の事案について,土地の買受け及び仮処分の申立てに「所謂事件屋」と称する第三者が関与した行為が,「他人ノ権利ヲ譲受ケ訴訟其ノ他ノ手段ニ依リ其ノ権利ノ実行ヲ為スコトヲ業トスル者」(同法2条。現弁護士法73条に相当する規定)に該当すると判示しており,同法が弁護士法72条・73条双方の前身規定であったことを示している。
同法は昭和24年の弁護士法制定に伴い廃止され,弁護士法72条に「その他一般の法律事件」という包括的な文言が引き継がれた。

(3) 最高裁大法廷昭和46年判決が示した立法趣旨

最高裁大法廷昭和46年7月14日判決(昭和44年(あ)第1124号,刑集25巻5号690頁,裁判所ウェブサイト)は,弁護士法72条の趣旨について以下のとおり判示している。
同条制定の趣旨について考えると、弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、ひろく法律事務を行なうことをその職務とするものであつて、そのために弁護士法には厳格な資格要件が設けられ、かつ、その職務の誠実適正な遂行のため必要な規律に服すべきものとされるなど、諸般の措置が講ぜられているのであるが、世上には、このような資格もなく、なんらの規律にも服しない者が、みずからの利益のため、みだりに他人の法律事件に介入することを業とするような例もないではなく、これを放置するときは、当事者その他の関係人らの利益をそこね、法律生活の公正かつ円滑ないとなみを妨げ、ひいては法律秩序を害することになるので、同条は、かかる行為を禁圧するために設けられたものと考えられるのである。

(4) 「報酬を得る目的」及び「業として」という要件

弁護士法72条違反の罪が成立するためには,前段についても後段についても,①報酬を得る目的があること,及び②業として行うことが必要である(前掲最高裁大法廷昭和46年7月14日判決)。
そのため,例えば,大学の法学部等で教授,学生が継続的に無料法律相談を実施する場合,報酬を得る目的がないことから,本条に違反しない。
なお,同判決は,「業として」の要件が72条本文前段(法律事務の取扱い)にも及ぶかについて,これを限定する見解を採っていた従前の最高裁判例(最高裁昭和38年6月13日判決及び最高裁昭和39年2月28日決定)の解釈を変更しており,前段・後段のいずれについても報酬目的と業性の双方を要するという解釈が,この大法廷判決によって確立した。

(5) 昭和30年改正前の弁護士法7条との関係

昭和30年8月10日法律第155号(同日施行)による改正前の弁護士法7条は,外国の弁護士となる資格を有する者であって,最高裁判所の承認を受けて法律事務を行うことが認められていた者は,弁護士法72条ただし書所定の「この法律に別段の定めがある場合」に基づいて法律事務を取り扱っていた。
しかし,同法律第155号による改正後は,該当する規定が弁護士法からなくなった。

(6) 別段の定めによる法律事務の取扱い

弁護士法72条ただし書の「別段の定め」により法律事務の取扱いが認められている代表例が,司法書士,弁理士,税理士等の隣接士業である。もっとも,その業務範囲は各士業法によって限定されている。
債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が司法書士法3条1項7号に規定する額(140万円)を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができない(最高裁平成28年6月27日判決。平成26年(受)第1813号,民集70巻5号1306頁,裁判所ウェブサイト)。
前記第1・1のとおり,弁護士職務基本規程11条との関係でも,紛争の目的の価額が140万円を超える事件に関する相談,和解の交渉,和解契約の締結を事実上行っていると疑うに足りる相当な理由のある司法書士から依頼者の紹介を受けたり,これを利用したりすることは禁止されており,本判決が示した価額基準は,この場面でも意味を持つ。
「別段の定め」のもう一つの例として,簡易裁判所における訴訟では,裁判所の許可を得れば,弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる(民事訴訟法54条1項ただし書)。

2 「訴訟事件」等の各文言の意義

(1) 訴訟事件

「訴訟事件」とは,訴訟として裁判所に係属する民事,刑事及び行政の各事件をいい,人事訴訟事件(例えば,離婚訴訟事件)も含まれる。
ちなみに,憲法32条にいう裁判とは,同法82条にいう裁判と同様に,現行法が裁判所の権限に属せしめている一切の事件につき,裁判所が裁判の形式をもってするすべての判断作用ないし法律行為を意味するものではなく,そのうち固有の司法権の作用に属するもの,すなわち,裁判所が当事者の意思いかんにかかわらず終局的に事実を確定し当事者の主張する権利義務の存否を確定することを目的とする純然たる訴訟事件についての裁判だけをいう(最高裁大法廷昭和45年12月16日決定。昭和40年(ク)第464号,民集24巻13号2099頁,裁判所ウェブサイト)。

(2) 非訟事件

「非訟事件」とは,裁判所が裁量によって一定の法律関係を形成する裁判をする事件をいい,例としては以下のものがある。
①地方裁判所が担当する借地非訟事件(借地借家法41条以下参照)。(a)借地条件の変更及び増改築の許可(借地借家法17条),(b)借地契約の更新後の建物の再築の許可(借地借家法18条1項),(c)土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可(借地借家法19条),(d)建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡の許可(借地借家法20条1項)のことである。ちなみに,借地非訟事件における裁判に対しては,即時抗告をすることができる(借地借家法48条1項)。
②家庭裁判所が担当する家事審判事件(家事事件手続法別表第一及び別表第二参照)

(3) 行政庁に対する不服申立事件

「行政庁に対する不服申立事件」とは,例示列挙されている審査請求,再調査の請求及び再審査請求(行政不服審査法参照)のほか,例えば,弁護士会が行った,対象弁護士等(懲戒の手続に付された弁護士又は弁護士法人をいう。以下同じ。)を懲戒しない旨の決定等に対する異議の申出(弁護士法64条)がある。
行政不服審査法は平成26年法律第68号により全部改正され,平成28年4月1日に施行された。この改正により,改正前は「異議申立て」と呼ばれていた,処分庁自身に対する簡易な不服申立ての手続が,改正後は「再調査の請求」として整理し直されている。現行の弁護士法72条の条文(e-Gov法令検索で確認できる現行条文)も「審査請求,再調査の請求,再審査請求等」と規定しており,かつての「異議申立て」という文言からは変更されている。

(4) その他一般の法律事件に含まれる例

「その他一般の法律事件」には,以下のものが含まれる。
①債権者の委任により請求・弁済受領・債務免除等を行うこと(最高裁昭和37年10月4日決定。昭和36年(あ)第2883号,刑集16巻10号1418頁,裁判所ウェブサイト)
②自賠責保険金の請求・受領に関するもの(東京高裁昭和39年9月29日判決。高裁判例集17巻6号597頁,裁判所ウェブサイト。同判決は,15名の交通事故被害者から委任を受けた者が,保険金の請求・受領に加えて加害者側との示談交渉,示談契約の締結及び示談金の受領までを含めて包括的に行った事案であり,この一連の行為が「その他一般の法律事件」に当たるとされた事例である。)
③交通事故の相手方との間で示談交渉をすること(札幌高裁昭和46年11月30日判決。刑事裁判月報3巻11号1456頁)。なお,任意保険会社の担当者が被保険者に代わって行う示談代行が弁護士法72条との関係でどのように整理されているかについては,昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書(交通事故損害賠償に関するもの)で扱っている。
④建物賃貸借契約の解除,及び賃借人の立退交渉をすること(広島高裁平成4年3月6日決定。平成4年(ラ)第1号,判例時報1420号80頁。ビルの所有者から委託を受けて賃借人らとの間で賃貸借契約を合意解除し退去させる業務を報酬約2億9500万円で受託した者が,報酬未払分を請求したのに対し,弁護士法72条違反による無効が認められた事例である。)
⑤真正な登記名義を回復する登記手続をすること(東京地裁平成6年4月20日判決。平成5年(ワ)第8304号,判例時報1526号106頁。弁護士資格のない者が,土地建物の真正な登記名義の回復を目的とする所有権移転登記手続を報酬を得る目的で受任した委任契約が,弁護士法72条に違反し公序良俗に反して無効とされた事例である。)
⑥登記・登録に関する各種申請,税務に関する各種申請,特許等に関する各種申請及び裁判所以外の紛争処理機関に対する各種の申立て(日弁連調査室の見解。なお,⑥のうち登記手続に関するものについては,東京高裁平成7年11月29日判決(埼玉司法書士会職域訴訟控訴審判決)も参照。)

(5) 事件性の要否をめぐる見解の対立

弁護士法72条の「法律事件」といえるためには,事件性のある案件,すなわち,紛争性のある案件又はこれと同視できる程度に法律関係に争いがある案件である必要があるかどうかについては,見解の対立がある。
事件性不要説は,同条にいう「法律事件」とは紛争性の有無にかかわらずすべての法律事務をいうと解する。この見解は,日弁連調査室の見解(日本弁護士連合会調査室編『条解弁護士法〔第4版〕』(弘文堂,2007年)615頁)のほか,大阪高裁昭和43年2月19日判決(昭和42年(う)第1521号,高裁判例集21巻1号80頁,裁判所ウェブサイト。自由刑の執行延期申請が弁護士法72条にいう法律事件に関する法律事務に当たるとした事例である。)及び前記(4)の東京高裁平成7年11月29日判決に支持されている。
事件性必要説(広義説)は,同条にいう「法律事件」とは,同条に列挙された訴訟事件その他の具体的例示に準ずる程度に法律上の権利義務に関して争い又は疑義を有するものをいうと解する(札幌地裁昭和45年4月24日判決,判例タイムズ251号305頁参照)。
事件性必要説(狭義説)は,紛争性の有無を裁判所等の公的機関への係属の有無によって画そうとする見解であり,日本司法書士会連合会及び日本行政書士会連合会がこの立場に立つとされる。
この対立は現在も続いており,法務省は,令和8年8月21日付ガイドライン「ビジネス分野におけるAI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係について」において,事件性の要否及びその程度について様々な見解があり得ることを認めた上で,これまでの同省の立場である事件性必要説を踏襲することを明示している一方,日本弁護士連合会は,令和8年9月1日の会長談話において,「これまで同条の解釈につき事件性必要説を支持してきてはおらず,本ガイドラインが事件性必要説を前提としている点については支持するものではない」との意見を明らかにしており,両者の立場は一致していない。この点の詳細は,AI活用に伴う弁護士法72条見直しの動き――令和8年8月21日の新ガイドラインと判例・行政解釈の到達点で整理している。

(6) ビルの明渡し交渉が問題となった事例

弁護士資格等がない者らが,ビルの所有者から委託を受けて,そのビルの賃借人らと交渉して賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を行った行為については,その業務が,立ち退き合意の成否等をめぐって交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件に係るものであって,弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものというべきであり,その際,賃借人らに不安や不快感を与えるような振る舞いをしていたなどといった事情の下では,弁護士法72条違反の罪が成立する(最高裁平成22年7月20日決定。平成21年(あ)第1946号,刑集64巻5号793頁,裁判所ウェブサイト)。

(7) 鑑定,代理,仲裁及び和解の意義

「鑑定」とは,法律上の専門的知識に基づいて法律事件について法律的見解を述べることをいう。
「代理」とは,当事者に代わり当事者の名において法律事件に関与することをいう。
「仲裁」とは,当事者間の紛争を仲裁判断に基づき解決することをいう。
「和解」とは,争っている当事者に互いに譲歩することを求めて争いを止めさせることをいう。
なお,これらは「法律事務」の例示と考えられるから,上記の定義に入らないものはすべて「その他の法律事務」に含まれるとされている。

(8) 業としての意義

「業として」とは,反復的に又は反復の意思をもって法律事務の取扱い等をし,それが業務性を帯びるに至った場合をいう(最高裁昭和50年4月4日判決。昭和47年(オ)第751号,民集29巻4号317頁,裁判所ウェブサイト)。同判決は,宅地建物取引業者が1回限り行った法律事務の取扱いについて,反復の意思をもってされたものではないとして弁護士法72条に触れないとした事例であり,前記の定義は,この結論を導く理由中で示されたものである。

(9) 周旋の意義

「周旋」とは,訴訟事件の当事者等と弁護士との間に介在し,両者間における委任関係その他の関係成立のための便宜を図り,その成立を容易ならしめる行為をいい,現実に,委任契約等の契約関係が成立している必要はない(名古屋高裁金沢支部昭和34年2月19日判決。下級裁判所刑事裁判例集1巻2号308頁)。同判決の存在及び言渡日は,その原審に当たる最高裁昭和34年12月5日決定(昭和34年(あ)第513号,刑集13巻12号3174頁,裁判所ウェブサイト)の原審欄からも確認できる。
周旋を「受け」とは,受諾する意思表示をすることであり,明示であると黙示であるとを問わない。

(10) 72条違反行為の私法上の効力

弁護士法72条本文前段に抵触する委任契約は,民法90条に照らして無効である(最高裁昭和38年6月13日判決。昭和37年(オ)第1460号,民集17巻5号744頁,裁判所ウェブサイト)。
もっとも,弁護士法72条に違反する行為であっても,そのことから直ちに当該行為の私法上の効力が否定されるわけではない。認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが弁護士法72条に違反する場合であっても,当該和解契約は,その内容及び締結に至る経緯等に照らし公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り,無効とはならない(最高裁平成29年7月24日判決。平成28年(受)第1463号,民集71巻6号969頁,裁判所ウェブサイト)。
前記の最高裁昭和38年判決は,非弁護士との間の委任契約自体の効力を問題としたものであるのに対し,この最高裁平成29年判決は,非弁護士が代理人として第三者との間で成立させた和解契約の効力を問題としたものであり,両者は対象を異にする。刑罰法規である弁護士法72条に違反したことが直ちに私法上の無効を導くわけではなく,無効となるかどうかは事案ごとの特段の事情の有無による。

第4 弁護士法73条(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)

1 条文等

(1) 条文

弁護士法73条は以下のとおりである。
何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。

(2) 他人,権利及び譲り受けの意義

「他人」とは,不特定の者を対象に権利を譲り受ける場合のみならず,特定の者の債権の取立て,整理のために権利を譲り受ける場合を含む。
「権利」とは,債権だけでなく,物権その他いかなる権利をも含む。
「譲り受け」とは,売買,贈与その他法形式のいかんを問わず,他人の権利の移転を受け,自らに帰属させる行為をいい,有償であると無償であるとを問わず,権利実行により利益を得る目的の有無も問わない。

(3) 73条の趣旨

弁護士法73条の趣旨は,主として弁護士でない者が,権利の譲渡を受けることによって,みだりに訴訟を誘発したり,紛議を助長したりするほか,同法72条本文の禁止を潜脱する行為をして,国民の法律生活上の利益に対する弊害が生ずることを防止するところにある(最高裁平成14年1月22日判決。平成12年(受)第828号,民集56巻1号123頁,裁判所ウェブサイト)。
このような立法趣旨に照らすと,形式的には,他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為であっても,上記の弊害が生ずるおそれがなく,社会的経済的に正当な業務の範囲内にあると認められる場合には,同法73条に違反するものではない(前掲最高裁平成14年1月22日判決)。

(4) 前身規定と事件屋の概念

弁護士法73条の前身規定も,前記第3・1(2)の「法律事務ノ取扱ノ取締ニ関スル法律」2条である。同条は,「他人ノ権利ヲ譲受ケ訴訟其ノ他ノ手段ニ依リ其ノ権利ノ実行ヲ為スコトヲ業トスル者」を規制の対象としており,前記の最高裁昭和25年2月28日判決は,この規制を潜脱しようとする者を「所謂事件屋」と表現している。
鹿児島地裁昭和38年10月10日判決(下級裁判所民事裁判例集14巻10号1994頁)も,被告が自ら又は自らが代表者である実質的一人会社を通じて他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によりその権利を実行することを業としていた事案について,弁護士法73条は「事件屋等と呼ばれる者が不当な利益を得ようとすることを防止し,もって国民の健全な法生活感情を維持しようとする公益的規定である」と判示している。

(5) 社会的経済的に正当な業務の範囲内にあるとされた事例

ゴルフ会員権の売買には,ゴルフ会員権市場ともいうべき市場が存在し,その市場において多数の会員権の売買が日常的に行われていることは公知の事実である。
そして,ゴルフ会員権の売買等を業とする者が,業として,上記市場から,会員権取引における通常の方法と価格で会員権を購入した上,ゴルフ場経営会社に対して社会通念上相当な方法で預託金の返還を求めたものであれば,利益を得る目的で会員権を購入していたとしても,弁護士法73条に違反するものではないと解されることがある(前掲最高裁平成14年1月22日判決)。
そのため,ゴルフ会員権の譲受けの方法・態様,権利実行の方法・態様,譲受人の業務内容やその実態等を審理して,譲受人の行為が濫訴を招いたり紛議を助長したりするおそれがないかどうかや弁護士法72条本文が禁止する預託金の取立て代行業務等の潜脱行為に当たらないかどうかなどを含め,社会的経済的に正当な業務の範囲内の行為であるかどうかが判断されることとなる(前掲最高裁平成14年1月22日判決参照)。

(6) 73条違反行為の私法上の効力

弁護士法72条違反の委任行為は非弁行為の禁止の趣旨から無効と解すべきであって(前掲最高裁昭和38年6月13日判決),同法73条も,同法72条と同趣旨の規定である。
東京高裁平成3年6月27日判決(判例時報1396号60頁)は,債権回収のために債権を譲り受けて訴訟行為を反復し,それを業としていることが明らかな者が,債権を譲り受けて連帯保証人に対して保証債務の履行を求めた事案について,弁護士法73条に違反する譲受行為は,同条が同法72条と同趣旨の規定であること及び同法72条と同じく違反行為が処罰の対象とされていること(同法77条)を考慮すれば無効であると解するのが相当であるとし,弁護士法72条に違反する委任行為は無効であることが前提とされている(前掲最高裁昭和38年判決)ことを引用している。
東京地裁平成17年3月15日判決(判例時報1913号91頁)も,弁護士が,自らが債務整理を受任した依頼者のうち消費者金融業者に対して不当利得返還請求権を有する者から,同業者に貸金債務を負担する別の依頼者へ当該請求権を譲渡させ,訴訟等の手段を用いてこれを実行しようとした行為について,弁護士法73条及び同法28条の趣旨に抵触し,その斡旋の方法や対価の額等に照らし公序良俗に反して無効であると判断している。

サービサー法の位置づけ等

(1) サービサー法の趣旨

債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年10月16日法律第126号。平成11年2月1日施行。以下「サービサー法」という。)に基づき,法務大臣の許可(サービサー法3条)を受けた会社である債権回収会社(サービサー)は,弁護士法72条及び73条の特例として(サービサー法1条参照),業として,特定金銭債権(サービサー法2条参照)の管理及び回収をすることができる。

(2) 債権管理回収業の定義

債権管理回収業とは,弁護士,弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人以外の者が,①委託を受けて法律事件に関する法律事務である特定金銭債権の管理及び回収を行う営業,又は②他人から譲り受けて訴訟,調停,和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業をいう(サービサー法2条2項)。

(3) 弁護士による係争目的物の譲受けとの違い

「弁護士は,係争の目的物を譲り受けてはならない。」(弁護士職務基本規程17条)とされている(弁護士法28条も同趣旨の規定である。)。
この弁護士法28条の趣旨が争われた事案として,弁護士が外国法人から研修生受入れ経費負担金の回収委託を受け,本案訴訟の提起及び保全命令の申立てをする手段として当該債権を譲り受けたことの可否が問題となったものがある。原審は,弁護士法28条違反の債権譲受けは特段の事情がない限り私法上無効であるとしたが,最高裁は,他人間の法的紛争に介入し司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的とするなど公序良俗に反するような事情があれば格別,仮にこれが弁護士法28条に違反するものであったとしても,直ちにその私法上の効力が否定されるものではないとして,原審に差し戻した(最高裁平成21年8月12日決定。平成20年(許)第49号,民集63巻6号1406頁,裁判所ウェブサイト)。
同決定における裁判官宮川光治の補足意見は,取立てを目的とする債権譲受行為は,債権を譲り受けなければ当該権利の実行に当たり支障が存在するなど,行為を正当化する特段の事情がない限り,弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」に該当するとしている。
したがって,①サービサーの場合,他人から債権を譲り受けることができるのに対し,②弁護士の場合,他人から債権を譲り受けることは,私法上直ちに無効となるものではないとしても,懲戒事由となり得るという違いがある。

(4) 債権回収会社の許可基準

サービサー法5条は,債権管理回収業の許可基準を定めており,主なものとして,①資本金の額が5億円以上の株式会社であること,②常務に従事する取締役のうちにその職務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験を有する弁護士がいること,③暴力団員等がその事業活動を支配する株式会社でないこと,④役員等のうちに一定の欠格事由に該当する者がいないことなどが定められている(サービサー法5条各号)。

(5) 譲受けが禁止される債権の範囲

弁護士法73条の趣旨は,他人の権利を譲り受けてこれを実行することを一般的に許せば,譲受人が濫訴を提起したり,交渉に名を借りた不当な要求を行ったりするおそれがあるので,このような弊害を未然に防止し,国民の法律生活の安定を図る目的にある。
しかし,債権譲渡は債権の換価処分のための最も重要な手段の一つであるから,同条の適用範囲は限定的に解されるべきであり,他人の紛争に介入することによって利益を得ることを目的とし,同条の趣旨に反して国民の法律生活の安定を害するおそれがある場合に限り同条違反に当たると解するのが相当である(東京地裁平成12年11月30日判決。判例時報1740号54頁。外国政府が保証する同国公社発行の円貨債権を,債務不履行後に業として譲り受けた者が,同公社に支払を求めるため訴訟を提起したことが弁護士法73条に違反しないとされた事例である。)。

(6) 無許可での債権管理回収業と最高裁平成24年決定

法務大臣の許可を受けないで,消費者金融会社から,通常の状態では満足を得るのが困難な貸付債権を譲り受け,同債権に関し,取立てのための請求をし,弁済を受けるなどしてその管理回収業を営んだ行為は,債権管理回収業に関する特別措置法33条1号,3条に該当する(最高裁平成24年2月6日決定。平成22年(あ)第787号,刑集66巻4号85頁,裁判所ウェブサイト)。

(7) 最高裁令和5年決定

最高裁令和5年2月20日決定(令和4年(あ)第288号,刑集77巻2号13頁,裁判所ウェブサイト)は,債権譲渡の対価としてされた金銭の交付が出資法5条3項にいう「貸付け」に当たるとされた事例である。同決定は,労働者の使用者に対する賃金債権を対象とするいわゆる給与ファクタリングの形式を用いた取引について,譲受人が実際には使用者に直接支払を求めることができず,労働者から事実上債権を買い戻させることによって資金を回収するほかなかったなどの事情の下では,形式的に債権譲渡の対価とされた金銭の交付であっても,貸金業法2条1項及び出資法5条3項にいう「貸付け」に当たると判断した。

第5 非弁護士との提携の取締り

1 日弁連の規程等による取締り

日弁連の,①多重債務処理事件にかかる非弁提携行為の防止に関する規程(平成14年2月28日会規第48号。平成14年4月1日施行),及び②多重債務処理事件にかかる非弁提携行為の防止に関する規則(平成14年3月15日規則第81号。平成14年4月1日施行),並びに③これらに関する運用指針に基づき,単位弁護士会が,非弁提携行為の取締りを行っている。
「多重債務処理事件にかかる非弁提携行為」とは,金融業者に対して多重に債務を負担する者から受任する任意整理事件,破産申立事件,民事再生申立事件,特定調停申立事件及びこれに類する事件について,弁護士又は弁護士法人が,弁護士法に違反して法律事務を取扱い,又は事件を周旋することを業とする者から,事件の紹介を受ける行為,これらの者を利用する行為,又はこれらの者に自己の名義を利用させる行為をいう。
日弁連HPに「隣接士業・非弁活動・非弁提携対策(業際・非弁・非弁提携問題等対策本部)」が載っている。

2 大阪弁護士会の場合

大阪弁護士会の場合,法七十二条等問題委員会規則(平成17年2月15日規則第163号。平成17年4月1日施行)に基づき,法七十二条等問題委員会が,非弁提携行為対策業務として,非弁提携行為の取締りを実施している。
非弁提携の主体は,かつては整理屋や示談屋と呼ばれる者が中心であったが,近時は,他士業(司法書士,行政書士等)やWeb広告業者が主流になっているとされ,独立したての若手弁護士や高齢の弁護士が標的とされやすい傾向が指摘されている。
大阪弁護士会は,市民からの具体的な申告と実被害の存在を調査開始の基準としつつ,弁護士事務所へ直接出向いて調査するという手法を用いており,これは他の弁護士会にはあまり見られない大阪弁護士会独自の方法とされている。

3 東京弁護士会における注意喚起

東弁リブラ2021年3月号の「弁護士業務に関するアウトソーシングの限界と注意点」には以下の記載がある(リンク先のPDF12頁)。
預り金の返還が遅滞し,依頼者からの苦情が市民窓口に殺到して,預り金欠損が明らかに疑われる事態に至ってしまえば,もはや軟着陸は不可能となる。弁護士会としても,対象会員に手を差し伸べるのは困難となり,事態の早期収束と被害拡大の防止のため,非弁提携調査とそれに続く会立件・事前公表を検討せざるを得ない。内部告発等がなされている場合には,強制捜査や刑事訴追の可能性もある。

4 大阪地裁のあゆみ共同法律事務所事件

大阪地裁平成31年4月25日判決(裁判所ウェブサイト)は,弁護士資格がない事務員に債務整理手続きの助言など非弁行為をさせたとして,弁護士法違反の罪に問われた弁護士法人あゆみ共同法律事務所の元代表である弁護士に対し,懲役1年6月,執行猶予3年の判決を言い渡した。
この事件については,令和3年3月30日付(効力発生は同年8月1日)で,弁護士法人あゆみ共同法律事務所並びに前記の元代表弁護士及び同事務所の別の代表社員であった弁護士が,除名の懲戒処分を受けている。経営コンサルタント会社との間で月額100万円の報酬を約束して非弁提携をし,資格のない事務員に債務整理業務を行わせたことなどが処分の理由とされている。

5 東京ミネルヴァ法律事務所事件

弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所は,過払金の返還請求等をテレビCMで積極的に広告し規模を拡大した弁護士法人であったが,令和2年(2020年)6月10日に総社員の同意により解散するとともに,代表弁護士が預り金を流用していたことを告白した。
財産保全のため,第一東京弁護士会は同月24日に東京地方裁判所へ債権者破産を申し立て,同日付けで破産手続開始決定を受けた。負債総額は弁護士法人として過去最大の約51億円であった。
令和6年(2024年)2月17日付けで,第一東京弁護士会は,回収した過払金約30億2000万円のうち約25億4000万円が依頼者に返還されず不正に流用されたと認定し,弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所を除名の懲戒処分とした。
過払金の返還を依頼していた依頼者らは,令和4年(2022年)1月19日,同事務所を実質的に支配していたとされる広告代理店グループ3社及びその代表者ら13人を相手取り,損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。令和7年(2025年)12月,同裁判所は,「ミネルヴァは広告代理店側の制御下にあった」と認める内容の和解勧告をし,令和8年(2026年)1月5日,同3社及び同13人が依頼者側に5620万円を支払う内容で和解が成立した。

第6 弁護士法人ベリーベストの懲戒処分に関する文書

弁護士法人ベリーベスト法律事務所,弁護士酒井将及び弁護士浅野健太郎に対する懲戒処分(業務停止6月)の審査請求事件に関して開設された,「非弁提携を理由とする懲戒請求について」と題するHPには例えば,以下の文書が載っている。
東京弁護士会懲戒委員会の議決書(令和2年2月28日付)。令和2年3月12日に公表されたものであるが,PDF55頁に文書の日付が載っている。
審査請求書(令和2年6月11日公表)
日本弁護士連合会への審査請求について(令和2年6月11日付)
日弁連懲戒委員会の議決に基づく日弁連の裁決書(令和3年10月19日付)。業務停止3月となった。
東京弁護士会は,この懲戒処分について,「弁護士法人ベリーベスト法律事務所らに対する懲戒処分についての会長談話」(2020年3月12日付)を公表している。

第7 関連記事その他

非弁提携業者が弁護士を取り込み,支配し,用済みとなった後に撤収するまでの典型的な手口と対応策については,非弁提携業者による弁護士の取込みから撤収までで整理している。
二弁フロンティア2017年10月号に「本当に怖い非弁提携」が載っているところ,非弁提携業者からの勧誘としては,開口一番,電話口で「~の問題を抱えている方がいらっしゃるのですが」「先生で,~ということは対応可能ですか?」「~事件が増えたら困りますか?(対応できますか?)」と尋ね,事件(それも複数)の依頼を装うものであるとのことである。また,非弁提携業者としては,「仕事に困っていそうな弁護士」をターゲットに選ぶから,話に乗れば仕事がもらえる,そういう風に弁護士の心をくすぐろうとするし,弁護士の警戒心を解こうとしてか,株式会社ではなくNPO法人を名乗るケースも少なくないとのことである。
二弁フロンティア2021年10月号の「本当に怖い非弁提携」では,非弁提携の事例として,【事例1】不動産会社への紹介料,【事例2】事務職員への営業歩合,【事例3】他士業(会社)連携,及び【事例4】会員になると事件紹介をしてくれる,について説明されている。
東弁リブラ2021年3月号の「特集:弁護士業務の落とし穴」には以下の記事が含まれている。総論:一人で悩まないで!鍛冶良明/Part1:非弁提携に陥らないための転ばぬ先の杖 柴垣明彦/Part2:弁護士業務に関するアウトソーシングの限界と注意点 石本哲敏/Part3:報酬契約の落とし穴 矢野亜紀子/Part4:相続に関する利益相反等 矢野亜紀子/Part5:行き過ぎた弁護活動等 矢野亜紀子/コラム:「非弁行為」と「非弁提携」の関係/コラム:営業電話や飛び込み営業の見極め方
指名債権譲渡の通知は,右債権の譲渡人,その包括承継人又はそれらから委任を受けた者がなすべきで,右債権の譲受人が委任を受けないで事務管理として右譲渡の通知をしても,債権譲渡の通知の効力を生じない(最高裁昭和46年3月25日判決。昭和45年(オ)第4号,裁判集民事102号319頁,裁判所ウェブサイト)。
無免許者が宅地建物取引業を営むために宅地建物取引業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,公序良俗に反し,無効である(最高裁令和3年6月29日判決。令和2年(受)第205号,民集75巻7号3340頁,裁判所ウェブサイト)。そのため,無資格者が弁護士業を営むために弁護士からその名義を借り,当該名義を借りてされた弁護士業による利益を両者で分配する旨の合意は,公序良俗に反し,無効であると考えられる。
自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して,「弁護士甲」の名義で弁護士の業務に関連した形式,内容の文書を作成した所為は,たとえ名義人として表示された者の氏名と同一であったとしても,私文書偽造罪に当たる(最高裁平成5年10月5日決定。平成5年(あ)第135号,刑集47巻8号7頁,裁判所ウェブサイト)。
法務省HPに「親子会社間の法律事務の取扱いと弁護士法第72条」(法務省大臣官房司法法制部の文書)が載っている。
東洋経済オンラインに「「AI契約チェックは違法の疑い」の衝撃的な中身 法務省判断は急成長のリーガルテックに激震」(2022年10月24日付)が載っている。若手組織内弁護士研究ノートに「法務省が16類型の新回答公表「弁護士法72条のAI契約書レビュー問題」―拙稿「弁護士法第72条とリーガルテックの規制デザイン(上/下)」原稿補正のメモ」(2022年10月14日付)が載っている。令和5年8月1日,法務省HPに「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」が掲載された。令和8年8月21日,法務省は,上記ガイドラインを補完・拡充する「ビジネス分野におけるAI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係について」及びルールメイキングの在り方検討のロードマップを公表した。その内容,規制改革実施計画(令和8年7月21日閣議決定)に至る経緯及びグレーゾーン解消制度の回答との関係については,AI活用に伴う弁護士法72条見直しの動き――令和8年8月21日の新ガイドラインと判例・行政解釈の到達点で整理している。
労働組合の団体交渉と弁護士法72条との関係については,労働組合の団体交渉と弁護士法72条――個別労働紛争・拠出金・退職代行の境界で整理している。
賭博の勝ち負けによって生じた債権が譲渡された場合においては,右債権の債務者が異議をとどめずに右債権譲渡を承諾したときであっても,債務者に信義則に反する行為があるなどの特段の事情のない限り,債務者は,右債権の譲受人に対して右債権の発生に係る契約の公序良俗違反による無効を主張してその履行を拒むことができる(最高裁平成9年11月11日判決。平成7年(オ)第2025号,民集51巻10号4077頁,裁判所ウェブサイト)。
以下の記事も参照されたい。弁護士の懲戒事由弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文「弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(平成5年以降の分)」。令和元年の場合,審査請求の件数は30件であり,原処分取消は3件であり,原処分変更は1件である。/弁護士会の懲戒手続弁護士の懲戒処分の公告,通知,公表及び事前公表

出典・参考資料

法令

①弁護士法(昭和24年法律第205号)11条・27条・28条・30条の21・56条・64条・72条・73条・74条・77条・77条の2(e-Gov法令検索)
②弁護士法第七条ノ改正等ニ関スル法律(昭和30年法律第155号)による改正前の弁護士法7条
③行政不服審査法(平成26年法律第68号による全部改正)
④民事訴訟法54条1項
⑤債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号)1条・2条・3条・5条(e-Gov法令検索)
⑥出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律5条3項
⑦法律事務ノ取扱ノ取締ニ関スル法律(昭和8年法律第54号,廃止)1条・2条
⑧弁護士職務基本規程11条・17条

裁判例

①最高裁判所昭和43年12月24日判決(裁判所ウェブサイト)
②最高裁判所大法廷昭和46年7月14日判決(昭和44年(あ)第1124号,刑集25巻5号690頁,裁判所ウェブサイト)
③最高裁判所大法廷昭和45年12月16日決定(昭和40年(ク)第464号,民集24巻13号2099頁,裁判所ウェブサイト)
④最高裁判所昭和37年10月4日決定(昭和36年(あ)第2883号,刑集16巻10号1418頁,裁判所ウェブサイト)
⑤東京高等裁判所昭和39年9月29日判決(高裁判例集17巻6号597頁,裁判所ウェブサイト)
⑥札幌高等裁判所昭和46年11月30日判決(刑事裁判月報3巻11号1456頁。裁判所ウェブサイト未掲載のため,行政書士制度推進委員会資料に掲載の書誌情報による。)
⑦広島高等裁判所平成4年3月6日決定(平成4年(ラ)第1号,判例時報1420号80頁,裁判所ウェブサイト)
⑧東京地方裁判所平成6年4月20日判決(平成5年(ワ)第8304号,判例時報1526号106頁,裁判所ウェブサイト)
⑨東京高等裁判所平成7年11月29日判決(埼玉司法書士会職域訴訟控訴審判決)
⑩最高裁判所平成22年7月20日決定(平成21年(あ)第1946号,刑集64巻5号793頁,裁判所ウェブサイト)
⑪最高裁判所昭和50年4月4日判決(昭和47年(オ)第751号,民集29巻4号317頁,裁判所ウェブサイト)
⑫名古屋高等裁判所金沢支部昭和34年2月19日判決(下級裁判所刑事裁判例集1巻2号308頁。裁判所ウェブサイト未掲載のため,その原審が同日付であることを示す最高裁判所昭和34年12月5日決定〔昭和34年(あ)第513号,刑集13巻12号3174頁,裁判所ウェブサイト〕により実在を確認した。)
⑬最高裁判所昭和38年6月13日判決(昭和37年(オ)第1460号,民集17巻5号744頁,裁判所ウェブサイト)
⑭最高裁判所平成29年7月24日判決(平成28年(受)第1463号,民集71巻6号969頁,裁判所ウェブサイト)
⑮最高裁判所平成28年6月27日判決(平成26年(受)第1813号,民集70巻5号1306頁,裁判所ウェブサイト)
⑯最高裁判所昭和25年2月28日判決(民集4巻2号93頁)
⑰鹿児島地方裁判所昭和38年10月10日判決(下級裁判所民事裁判例集14巻10号1994頁)
⑱最高裁判所平成14年1月22日判決(平成12年(受)第828号,民集56巻1号123頁,裁判所ウェブサイト)
⑲東京高等裁判所平成3年6月27日判決(判例時報1396号60頁)
⑳東京地方裁判所平成17年3月15日判決(判例時報1913号91頁)
㉑東京地方裁判所平成12年11月30日判決(判例時報1740号54頁)
㉒最高裁判所平成21年8月12日決定(平成20年(許)第49号,民集63巻6号1406頁,裁判所ウェブサイト)
㉓最高裁判所平成24年2月6日決定(平成22年(あ)第787号,刑集66巻4号85頁,裁判所ウェブサイト)
㉔最高裁判所令和5年2月20日決定(令和4年(あ)第288号,刑集77巻2号13頁,裁判所ウェブサイト)
㉕最高裁判所昭和46年3月25日判決(昭和45年(オ)第4号,裁判集民事102号319頁,裁判所ウェブサイト)
㉖最高裁判所令和3年6月29日判決(令和2年(受)第205号,民集75巻7号3340頁,裁判所ウェブサイト)
㉗最高裁判所平成5年10月5日決定(平成5年(あ)第135号,刑集47巻8号7頁,裁判所ウェブサイト)
㉘最高裁判所平成9年11月11日判決(平成7年(オ)第2025号,民集51巻10号4077頁,裁判所ウェブサイト)
㉙大阪地方裁判所平成31年4月25日判決(裁判所ウェブサイト)

公文書・懲戒処分関係資料

①日本弁護士連合会「多重債務処理事件にかかる非弁提携行為の防止に関する規程」(平成14年会規第48号)
②日本弁護士連合会「多重債務処理事件にかかる非弁提携行為の防止に関する規則」(平成14年規則第81号)
③日本弁護士連合会「隣接士業・非弁活動・非弁提携対策(業際・非弁・非弁提携問題等対策本部)」
④法務省大臣官房司法法制部「親子会社間の法律事務の取扱いと弁護士法第72条」
⑤法務省大臣官房司法法制部「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士第72条との関係について」(令和5年8月)
⑥法務省大臣官房司法法制部「ビジネス分野におけるAI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係について」(令和8年8月21日)
⑦東京弁護士会懲戒委員会議決書(令和2年2月28日付)ほか「非弁提携を理由とする懲戒請求について」掲載文書
⑧東京弁護士会「弁護士法人ベリーベスト法律事務所らに対する懲戒処分についての会長談話」(2020年3月12日付)
⑨あゆみ共同法律事務所懲戒処分の要旨(自由と正義2021年8月号掲載)
⑩読売新聞2024年2月19日付「「東京ミネルヴァ法律事務所」が預かり金25億円を不正流用、除名処分…第一東京弁護士会」
⑪時事通信2026年1月5日付「過払い金「収奪」巡り和解 依頼者に5600万円賠償―東京地裁」(時事ドットコム)
⑫朝日新聞2026年1月5日付「弁護士事務所から顧客のお金が流出 「支配」していた広告会社と和解」

文献

①日本弁護士連合会調査室編『条解弁護士法〔第4版〕』(弘文堂,2007年)615頁
②東弁リブラ2021年3月号「特集:弁護士業務の落とし穴」
③二弁フロンティア2017年10月号「本当に怖い非弁提携」
④二弁フロンティア2021年10月号「本当に怖い非弁提携」

ウェブ資料

①東洋経済オンライン「「AI契約チェックは違法の疑い」の衝撃的な中身 法務省判断は急成長のリーガルテックに激震」(2022年10月24日付)