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刑事弁護の社会復帰支援計画の作り方-更生支援計画書の項目・受入確認・引継ぎ(AI作成)

第1 社会復帰支援計画で明らかにすること

社会復帰支援計画は,本人が地域で暮らすために必要な支援を,誰が,いつから,どの条件で行うのかを具体化するための書面である。
刑事弁護で作成する際には,本人の希望と生活上の課題を出発点に,受入先の確認,費用,釈放当日の移動,支援が続かなかった場合の対応までを結び付けることが重要である。
計画書を作成したことだけで,保釈,執行猶予又は再犯防止が保証されるわけではない。

1 弁護人の計画と行政機関の計画を区別する

本記事では,弁護人が本人や福祉専門職と協力して組み立てる社会復帰のための個別計画を扱い,実務上の「更生支援計画」という呼び方も用いる。
以下の記載項目や確認方法は実務上の提案であり,裁判所への提出に一律に必要となる法定様式を示すものではない。

厚生労働省の地域生活定着支援センターの事業及び運営に関する指針には,福祉サービス等調整計画通知書の様式がある。
その別紙5は,地域生活定着支援センター長から保護観察所長へ通知する被疑者等用の書式であり,弁護人が作る計画書とは作成主体も用途も異なる。
調査項目の参考にはなるが,そのまま弁護人の統一書式として紹介するのは適切でない。

2 生活支援の目的と刑事手続での使途を分ける

生活支援の目的は,本人が必要な支援につながり,地域生活を続けられるようにすることである。
一方,保釈の資料,量刑に関する資料,支援機関への引継ぎ資料では,説明すべき事項や共有する情報の範囲が異なる。
一つの計画を基礎にしつつ,提出先ごとに必要な説明と添付資料を選ぶという組み立てが考えられる。

本記事は,令和8年9月9日を基準に,日本の成人刑事事件の弁護を想定している。
少年事件の手続,医学的診断,個別事件の量刑予測及び仮釈放手続の詳細は扱わない。

第2 本人との面談と情報の集め方

1 本人が望む生活と望まない支援を確認する

最初に確認したいのは,本人がどこで,誰と,どのように暮らしたいかという希望である。
家族が望む生活と本人の希望は分けて聞き取り,本人が困っていること,これまで続けられたこと,避けたい環境も記録する。
読み書きや説明の理解に配慮が必要な場合は,短い説明や図を用い,本人の言葉で理解を確かめながら進める方法が考えられる。

支援を受けることへの了承と,病歴や生活歴を関係機関へ伝えること,裁判資料として提出することは,目的が異なる。
本人に相手先,情報の範囲,利用目的を説明し,それぞれについて意向を確認して記録することを勧める。
厚生労働省の地域生活定着促進事業実施要領も,情報取得時の説明と了承等を定めているが,これは弁護人による無制限の情報共有を認めるものではない。

否認事件では,生活上の困難を整理することと,争っている犯罪事実を認めることを混同しない配慮が必要である。
本人が争っている犯罪事実を,本人が認めた事実として記載しないようにする。
外部資料と本人の説明が異なる場合には,双方の出所と相違点を明示し,未確認の事項とも区別する。

2 情報の出所と確認日を残す

本人が話した内容,家族や支援者が説明した内容,書類で確認した内容,専門職が評価した内容は,区別して記載するのが有用である。
例えば「家族が毎日対応できる」と書く前に,誰が,何曜日の何時に,どの支援を行えると回答したのかを確認する。
本人と家族の説明が食い違う場合は,どちらかを推測で事実にせず,相違点と追加確認先を残す。

確認する資料には,住居の使用関係,収入と支出,福祉サービスの利用状況,通院先,手帳や受給者証の有無などがある。
前記指針の別紙5にも,住民票,手帳,受給者証,要介護度,年金,生活保護,医療等の確認欄が設けられており,「要確認」の状態を残せる。
手帳や診断名の有無だけで,必要な支援,利用資格又は事件への影響まで決めないことが重要である。

医療に関する記載は,確認できた診療情報や専門家の評価に即した範囲にとどめる。
弁護人や家族の印象から診断を確定したり,治療を受ければ再犯しないと断定したりせず,未評価の事項は専門家に確認する課題として示す。

第3 支援先を調整するときの確認事項

1 相談窓口と利用条件を分けて調べる

本人の課題に応じ,社会福祉士等,自治体の福祉担当,地域の相談支援機関,地域生活定着支援センターなどへの相談を検討する。
ただし,どの機関でも同じ対象者を同じ手続で受け付けるわけではないため,身柄拘束の有無,年齢,障害に関する状況,居住地,刑事手続の段階を伝え,担当範囲を確認することが出発点となる。

例えば,よりそいネットおおさかの被疑者等支援業務の案内は,高齢又は障害等に関する条件に加え,身体拘束中であることなどを掲げ,在宅事件を対象外としている。
これは同案内の対象業務についての説明であり,在宅事件の本人は一切の福祉支援を利用できないという意味ではない。
厚生労働省の平成27年12月24日事務連絡も,違法行為をしたことだけを理由に必要な福祉支援を受けられなくしないよう求めている。

保護観察所が関わる支援でも,勾留中の被疑者に対する生活環境調整と,更生緊急保護は別の制度である。
更生保護法83条の2の調整は,検察官が罪を犯したと認めた勾留中の被疑者について,必要性の判断,本人の同意及び検察官の意見聴取等を伴う制度である。
検察官が捜査への支障を理由に相当でない旨の意見を述べた場合には,同条による調整はできないとされている。
更生緊急保護の開始には,同法86条の本人の申出と保護観察所長の必要性の認定を要する。
弁護人が計画書を作成したことや相談したことを,制度利用の決定と取り違えないようにする。

2 受入先の名前だけで「調整済み」としない

候補施設が見つかった段階では,利用できる支援内容,受入可能日,空き状況,費用,必要書類,夜間の対応などを確認する必要がある。
法務省の更生保護施設・自立準備ホームの案内は制度の理解に役立つが,特定の施設が特定の日に本人を受け入れることまで保証する資料ではない。

計画書では,「相談開始」「申請・審査中」「条件付きの内諾」「利用開始が確定」という状態を分ける方法が考えられる。
これは記録のための区分例であり,各制度が共通して採用する正式な分類ではない。
回答した担当者,確認日,条件,裏付け資料を併記し,満たしていない条件があれば未確定のまま示す。

3 専門職への依頼費用と生活費を別に確認する

社会福祉士等への依頼では,面談,計画作成,同行,継続支援のうち何を依頼するかを決め,費用と支払者を確認する。
所属弁護士会等の援助制度を検討する場合も,現在の対象,申請時期,対象経費,上限,決定までの負担を依頼前に確認するのが安全である。
通常の国選弁護報酬・費用と,福祉専門職に関する費用援助を同じものとして扱わず,国選事件であれば全額支給されると約束しないようにする。

計画作成費用とは別に,住居費,食費,交通費,通信費,通院費がいつから必要になるかを整理する。
給付や収入が始まるまでの資金が未確保であれば,その期間の支払方法と確認担当者を計画上の課題として残す。
本記事では,全国共通の現行援助額や特定の申請期限を示すものではない。

第4 更生支援計画書の項目と書き方

1 基本情報と実施内容を一続きにする

計画書には,事件番号,作成日,版番号,作成者と役割,想定する釈放時期を記載した上で,次のような項目を整理する方法が考えられる。
書類の枚数を増やすことより,生活上の課題と支援内容が対応し,実施条件と未解決事項が分かることを重視したい。

記載項目書く内容裏付け・確認先の例
本人の希望希望する生活,支援への意向,避けたい環境本人との面談記録と確認日
生活上の課題住居,金銭,通院,対人関係等の具体的な困り事本人・関係者の説明と資料を区別
支援内容どの課題に,誰が,何を,どの頻度で行うか支援者の回答,事業所の対応範囲
住居と生活費入居条件,費用,収入開始までの支払方法受入回答,利用条件,収支資料
開始と移動釈放当日の迎え,行き先,移動方法,初回面談担当者,日時,予約の確認
確認状態確定,条件付き,申請中,未確認の区別確認日,回答者,未了の条件
継続と代替案主担当,次の確認日,中断・受入不可時の対応支援者間の役割分担と連絡先
資料と共有範囲添付資料,情報共有先,本人への説明状況了承・同意の記録,提出版の控え

表の各行は,一人の弁護人が全てを引き受けるという意味ではない。
実際に対応する本人,家族,福祉専門職,事業所等の役割を確認し,担当者の了承がない作業をその人の確定した役割として記載しないことが重要である。

2 抽象的な約束を確認可能な記載に変える

「家族が監督する」「施設で更生する」という記載だけでは,どの場面で何をするのかが読み取れない。
例えば,記入用のひな形として「支援内容〔 〕,担当者〔 〕,実施日時・頻度〔 〕,本人の意向〔 〕,根拠資料〔 〕,確認日〔 〕」という欄を設けると,空欄の事項を追加確認しやすくなる。

条件付きの受入れは,「受入れの意向は確認したが,〔必要条件〕の充足と〔開始日〕は未確定であり,〔担当者〕が〔期限〕までに確認する」といった形で書き分けることが考えられる。
裏付けとなる回答がない段階では,内諾という表現も使わず,相談又は照会中であることを示す。
これらは記入方法の例であり,空欄を想像で埋めて使用するための完成文例ではない。

3 計画本文と添付資料を対応させる

支援機関の回答,利用条件,面談経過等は,本文のどの記載を裏付けるのかが分かるように整理する。
口頭回答については,相手方,日時,質問と回答,残った条件を記録し,可能な範囲で内容を相手方にも確認する。
家族の支援意思と,実際の時間・経済力・負担可能性は別に確認し,意思があるというだけで継続可能と結論付けないようにする。

第5 保釈・情状弁護で使うときの留意点

1 保釈の判断事項へ具体的に結び付ける

裁量保釈について,刑事訴訟法90条は,逃亡や罪証隠滅のおそれの程度,拘束継続による健康上,経済上,社会生活上又は防御準備上の不利益等を考慮すると定めている。
したがって,受入先が決まったという説明だけでなく,その住居や支援が問題となる事情にどう対応するかを具体化することが必要となる。
一般的な再犯への不安と,同法89条に列挙された権利保釈の除外事由も,同一のものとして扱わない。

通院,通所,転居,同伴者との移動を計画する場合は,裁判所が定める条件との整合も確認したい。
判断枠組みや手続の詳細は被告人の保釈の記事を参照し,支援計画の内容と身柄解放の申立てをそれぞれ検討する。

2 裁判例は計画の存在と実効性を分けて読む

大阪高裁平成28年7月7日判決(平成28年(う)第457号)は,知的障害等の事情がある被告人の窃盗事件で,原判決後に更生支援計画が作られ,通所等の具体的な支援が始まったことを考慮した。
本人の資質能力や生活状況に即した計画であること等を評価し,原判決を破棄して懲役1年2月,裁判確定日から3年間の執行猶予及び保護観察を言い渡した。

ただし,同判決は,原判決時点の懲役10月の実刑判断に誤りがあったとしたものではない。
一審では支援が準備段階にあり期待可能性を見極めにくかったことを踏まえ,原判決後の事情による刑事訴訟法397条2項の破棄として判断している。
「計画書を追加すれば控訴審で執行猶予になる」と一般化することはできない。

一方,東京地裁令和6年2月20日判決(令和4年合(わ)第141号)は,窃盗,傷害致死等の事件で,社会福祉士による更生支援計画の作成を有利な事情として考慮しつつ,実効性への不安も指摘し,懲役6年の実刑を言い渡した。
支援計画が考慮されたことと,その実効性の評価,最終的な刑の選択は別の問題であることが分かる。

両事件は犯罪類型や犯情が異なり,刑期の比較から支援計画の効果を測ることはできない。
刑の全部の執行猶予には刑法25条の要件もあり,計画の作成だけでその要件を置き換えることはできない。
上記2件は裁判所の公表本文を確認したものであり,その後の上訴及び確定の有無は確認できていない。

3 支援の評価と証拠としての説明を混同しない

実務上は,計画を誰が,どの資料と面談に基づき作成したか,既に何が始まり,何が未実施かを説明できるようにすることが重要である。
書面の提出方法,作成者の説明や証人尋問の必要性,争いのある事実の扱いは,立証しようとする事項に応じて弁護人が検討する。
専門職の作成名義があることだけで,全ての記載内容が当然に裁判の基礎となると考えないようにする。

生活上の支援に必要な情報を全て集めた原資料と,裁判に提出する資料は,分けて管理する方法が考えられる。
診療情報,第三者の連絡先,事件と関係の薄い家庭事情等を提出する必要性と範囲を確認し,説明・同意の記録と提出版の控えを残す。

第6 釈放当日とその後の支援につなぐ

1 釈放当日に実行することを具体化する

釈放直後に必要なのは,迎えに行く人,最初に向かう場所,移動手段,当日の食事,連絡手段,必要な薬や受診の手配などである。
釈放の時刻が見通せない場合や休日の場合も考え,どこまで対応可能か,間に合わなかった場合は誰に連絡するかを支援者と確認する。
これらは一律の法定記載事項ではなく,調整済みの計画を実行に移すための点検項目である。

2 継続期間と引継ぎ先を確認する

刑事手続が終わる時期と,生活支援が不要になる時期は同じとは限らない。
中心となる支援者,次回面談,見直し日,弁護受任終了後の連絡先を決め,本人にも分かる方法で伝えることを勧める。
前記厚生労働省指針の第4の2(6)も,釈放後6月の報告に際して支援継続の要否を検討し,継続する場合には計画を見直すとしており,6月で一律に支援を終える趣旨ではない。

更生緊急保護も,常に同じ期間の支援を受けられる制度ではない。
更生保護法85条4項は,刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後,原則6月を超えない範囲とし,特に必要な場合の延長について,金品の給与・貸与及び宿泊場所の供与はさらに6月,その他の措置はさらに1年6月を超えない範囲と定めている。
対象・期間の詳しい区別は保護観察制度と社会復帰支援の記事を参照し,利用中の支援の終了前に次の生活基盤を調整したい。

実刑となった場合は,直ちに地域へ戻ることを前提にした入居日や支援開始日をそのまま維持せず,受入先等と再調整する。
刑務所等への計画の引継ぎについても,公判に提出したから伝わっていると決め付けず,本人の意向と必要な同意,現在の送付先,必要書類,受領の有無を確認する方法が考えられる。
本記事は全国共通の最新の引継ぎ窓口を指定するものではなく,所属弁護士会や収容先への確認を要する事項として挙げている。

3 計画が続かなかった場合の対応を決める

通所が途切れた,家族が対応できなくなった,住居を変更したといった場合に,誰が本人の状況を確認し,どこへ相談するかをあらかじめ決めておくとよい。
本人が支援の変更や中断を望む場合も,直ちに意欲の欠如と決め付けず,理由,負担,別の支援方法を確認する。
本人の意思を尊重することと,保釈条件や保護観察の遵守事項を確認することは,それぞれの問題として扱う。

社会復帰支援計画の実務上の価値は,整った書面を提出することだけにはない。
確認できた支援と未解決の課題を見える形にし,担当者と期限を定め,状況の変化に応じて本人と支援者が修正できる状態を作ることにある。

第7 主な出典

1 法令・裁判例

刑事訴訟法89条・90条(現行条文は令和8年9月9日を指定したe-Gov公式API本文で確認)。
更生保護法83条の2,85条,86条(同日指定の公式API本文で確認)。
刑法25条(同日指定の公式API本文で確認)。
大阪高裁平成28年7月7日判決(平成28年(う)第457号,公表判決本文1~3頁,特に2頁の支援開始と評価)。
東京地裁令和6年2月20日判決(令和4年合(わ)第141号,公表判決本文1~4頁,特に3頁の量刑理由)。

2 行政資料・実施主体の案内

①厚生労働省地域生活定着支援センターの事業及び運営に関する指針(取得PDF全16頁,第4,別紙5。頁表記はPDF先頭を1頁とする)。
②厚生労働省地域生活定着促進事業実施要領(取得PDF全3頁,特に5(1)の個人情報の取扱い)。
③厚生労働省違法行為をした障害者・高齢者のうち福祉的支援を要し真に支援を望む人への支援について(平成27年12月24日事務連絡,1頁)。
④よりそいネットおおさか被疑者等支援業務(入口支援)(「対象者」等。地域の当該業務の案内として参照)。
⑤法務省更生保護施設・自立準備ホーム(制度・支援内容の一般案内として参照)。

行政資料・案内は令和8年9月9日に掲載本文を確認したが,制度一般の説明と個別の利用決定は別である。
厚生労働省の前記2つの取得PDFについては,最終改正日をPDF自体から確定できていないため,実際の相談・申請では担当機関に現行の取扱いを確認することが必要である。

3 実務解説

第二東京弁護士会・磯野清華氏ほか福祉職との連携のススメ(NIBEN Frontier令和4年12月号)の第2部・第4部を参照した。
費用と判決後の引継ぎの確認事項を考える参考であり,現在の全国共通の援助制度・引継ぎ方法の根拠ではない。