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田村政喜裁判官(41期)の経歴

生年月日 S37.7.28
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R9.7.28
R3.10.8 ~ 東京高裁12刑部総括
R2.4.26 ~ R3.10.7 和歌山地家裁所長
H30.10.31 ~R2.4.25  横浜地裁6刑部総括
H29.4.1 ~ H30.10.30 東京高裁1刑判事
H26.4.1 ~ H29.3.31 大阪地裁6刑部総括
H24.4.1 ~ H26.3.31 東京地裁13刑部総括
H21.4.1 ~ H24.3.31 東京地裁20刑判事
H16.3.22 ~ H21.3.31 司研刑裁教官
H14.4.1 ~ H16.3.21 札幌地家裁判事
H13.3.26 ~ H14.3.31 大阪地裁判事
H11.4.1 ~ H13.3.25 大阪地裁判事補
H9.5.16 ~ H11.3.31 最高裁総務局付
H7.6.1 ~ H9.5.15 在香港日本国総領事館領事
H6.4.1 ~ H7.5.31 外務省条約局事務官
H6.2.1 ~ H6.3.31 最高裁行政局付
H3.4.1 ~ H6.1.31 前橋地家裁高崎支部判事補
H1.4.11 ~ H3.3.31 東京地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 司法研修所刑事裁判教官の名簿
・ 判事補の外部経験の概要
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
 行政機関等への出向裁判官
*2の1 大阪地裁平成28年2月26日判決(裁判長は41期の田村政喜)は, 被告人が実子である生後2か月の乳児の頭部に衝撃を与える何らかの暴行を加えて死亡させたとされた傷害致死事件について,医学的な観点や死亡前日からの経過からすると,被告人にのみ犯行可能性のある公訴事実記載の日時以前の時点で既に死因となる損傷に至る受傷をしていた可能性が否定できないとして,無罪が言い渡された事例です。
*2の2 横浜地裁令和元年5月31日判決(裁判長は41期の田村政喜)は,被告人の犯人性が争点となった殺人被告事件について,認定できた事実を組み合わせた全体としての事実関係について総合評価しても,被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない,あるいは,少なくとも説明が極めて困難であるとはいえず,被告人が犯人であることについて合理的な疑いを差し挟む余地がない程度の立証がされたとはいえないとし,被告人を無罪とした事例です。
*3 横浜地裁令和2年2月3日判決(裁判長は41期の田村政喜)は,無免許運転で死亡事故を起こした男に,車の所有者への捜査が及ばないよう虚偽の供述をさせたとして,平成30年10月15日に逮捕されて犯人隠避教唆の罪に問われた第二東京弁護士会所属の江口大和弁護士(66期)に対し,懲役2年・執行猶予5年(求刑は懲役2年)を言い渡しました(産経新聞HPの「江口弁護士に有罪判決「弁護士としての知識悪用」 無免許死亡事故めぐり 横浜地裁」参照)ところ,東京高裁令和2年9月13日判決(裁判長は41期の石井俊和)によって被告人の控訴が棄却され(今井亮一の交通違反バカ一代ブログの(「江口大和弁護士、普通に考えて無罪では」(2022年3月17日付)参照),最高裁令和5年8月30日決定(裁判長は34期の深山卓也)によって被告人の上告が棄却されました(ドライバーWebの「無免許死亡事故、そこに隠されたまさかの冤罪!」(2023年9月19日付)参照)。

*4 令和2年5月5日の就任記者会見において,「導入から10年以上が経過した裁判員制度について,刑事裁判官としてさまざまな裁判員裁判に関わってきた経験から「多角的な観点から議論することで判断に厚みや深さが生まれる。非常に優れた制度で刑事裁判が改善されている」と高く評価。「裁判員の方は年齢や社会経験もさまざまで素朴な疑問をおっしゃってくださる。毎回教えていただくことが多く私の先生だと思っている」と話した。」そうです(わかやま新報HP「田村政喜氏が着任 和歌山地方・家庭裁判所」参照)。
*5 東京高裁令和4年10月24日判決(裁判長は41期の田村政喜)は,不正入手したNHK契約者の個人情報をインターネット上に投稿したなどとして,不正競争防止法違反や威力業務妨害,脅迫の罪に問われたNHK党党首の立花孝志に対し,懲役2年6月,執行猶予4年とした一審判決を支持し,被告人側の控訴を棄却しました(日経新聞HPの「立花孝志党首、二審も有罪 NHK契約者情報「悪用」」参照)。
*6 東京高裁令和5年9月28日判決(担当裁判官は41期の田村政喜52期の高橋正幸及び53期の白石篤史)は,長野県佐久市で平成27年3月,中学3年の男子生徒が死亡した事故で,道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた男性被告について,懲役6月の実刑とした1審長野地裁判決を破棄し,逆転無罪としました。
    ただし,当該判決については令和6年12月13日に最高裁の弁論があり(産経新聞HPの「「息子に申し訳ない気持ちも」両親が会見 長野中3死亡事故、最高裁弁論」参照),最高裁令和7年2月7日判決によって破棄されました。
*7 東京都府中市の元スポーツインストラクターが,平成28年4月3日,交際していた女性の当時7歳の双子の兄弟に暴行してけがをさせたとして傷害などの罪に問われた事件において,①東京地裁立川支部令和元年12月3日判決(判例秘書掲載。担当裁判官は46期の竹下雄60期の海瀬弘章及び68期の岡村祐衣)は懲役3年(求刑は懲役6年)であり,②東京高裁令和2年11月5日判決(判例秘書掲載。担当裁判官は40期の細田啓介42期の伊藤敏孝及び48期の安永健次)は懲役1年6月・執行猶予4年であり,③最高裁令和4年4月21日判決は破棄差戻しであり,④東京高裁令和5年12月12日判決(裁判長は41期の田村政喜)は懲役3年・執行猶予4年でした(NHKの「双子虐待のやり直し裁判 懲役3年 執行猶予4年の判決 東京 府中」参照)。
*8 東京高裁令和6年10月22日判決(裁判長は41期の田村政喜)は,平成31年3月に離婚調停のため東京家裁を訪れた妻を切り付けて殺害したとして,殺人と銃刀法違反の罪に問われた米国籍の男性被告の控訴審において,当時心神喪失状態で刑事責任能力はなかったとして無罪とした一審判決を支持し,検察側の控訴を棄却しました(産経新聞HPの「家裁で妻殺害の米国籍38歳男性、心神喪失で二審も無罪 東京高裁」参照)。
*9 東京高裁令和8年3月24日判決(裁判長は41期の田村政喜)は,三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客が預けた金塊や現金を盗んだとして,窃盗罪に問われた元行員に対して懲役9年とした一審・東京地裁判決を支持し,被告人側の控訴を棄却しました(日経新聞HPの「三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗、元行員に二審も懲役9年 東京高裁判決」参照)。

裁判官の定年が70歳又は65歳とされた根拠

目次
1 最高裁判所裁判官の定年が70歳とされた理由
2 簡易裁判所判事の定年が70歳とされた理由
3 その他の裁判官の定年が65歳とされた理由
4 裁判官について定年制を導入した理由
5 平均寿命及び平均余命の変化
6 75歳から89歳までを高齢者とすべきとする,日本老年学会及び日本老年医学会の提言
7 老人ホーム・介護施設
8 関連記事その他

1 最高裁判所裁判官の定年が70歳とされた理由
(1) 裁判所法逐条解説中巻155頁によれば,最高裁判所裁判官の定年が70歳とされた理由は以下のとおりです。
① 経験の豊富な識見の高い一流の人物をなるべく年齢に制限されずに広く求めうる余地を存することが望ましいこと。
② 最高裁判所は,法律審で,事実審ではないから,肉体的負担が下級裁判所の裁判官に比べて比較的少ないこと。
③ 定員が少ないので,高齢に達するまで心身ともに健康な人物を採用しうること。
(2) 司法省民事局が昭和22年3月頃に作成した,(第十一次)裁判所法案質疑応答(「終戦後の司法制度改革の経過」に掲載されている資料です。)にも同趣旨のことが書いてあります。
2 簡易裁判所判事の定年が70歳とされた理由
(1) 裁判所法逐条解説中巻156頁によれば,簡易裁判所判事の定年が70歳とされた理由は以下のとおりです。
① 簡易裁判所判事は,国民ともっとも密接に接触する裁判官であり,特に老練熟達な法曹が任命されることが望ましいこと。
② 一般の裁判官の定年は65歳,一般の検察官の定年は63歳であるから,これにより定年に達して退官した裁判官又は検察官をもさらに簡易裁判所判事として任命しうることとなること。
③ 簡易裁判所で取り扱う事件は,事案が比較的軽微なものが多いから,一般の裁判官の激務に比べれば,老齢者にとりそれほどの負担とならないこと。
(2) 伊藤義男司法大臣は,昭和22年11月29日の参議院司法委員会において以下の趣旨説明をしています(①及び②の理由と同趣旨のことを述べています。)。
 裁判所法は、御承知のごとく、本年五月三日から施行されておりますが、その後半歳の間に情勢も変化し、その上裁判所法施行の実績に徴しまして、同法を若干改正する必要が生ずるに至りした。そこで政府はこの法律案を提出いたした次第でありまして、改正の要点は、次の四点であります。
(中略)
 第四点は、簡易裁判所判事の定年を、年齢六十五年から七十年に引上げた点でありまして、第五十條の改正がそれであります。御承知の通り、簡易裁判所判事は、國民と最も密接に接触する裁判官であり、特に老熟練達な法曹が任命されることが望ましいのでありますが、定年が六十五歳であるために、多くの老練な退職判檢事弁護士が簡易裁判所判事に任命されることを躊躇しておられる事実が、裁判所法施行後次第に判明して参りました。そこで、定年を年齢七十年に引上げることにいたしましたが、この改正によつて、政府は老練な退職判檢事弁護士が続々簡易裁判所判事に任命されることを期待している次第であります。
 以上がこの法律案提案の理由であります。どうぞ愼重御審議の上速やかに可決されんことをお願い申上げます。
(3) 昭和23年1月1日法律第1号に基づき,昭和23年1月1日以降,簡易裁判所判事の定年が70歳となりました。

3 その他の裁判官の定年が65歳とされた理由
(1) 奥野健一司法省民事局長は,昭和22年3月15日の衆議院裁判所法案委員会において以下の答弁をしています。
   最高裁判所の裁判官は、一流の人物を廣くとり得る範圍を擴める必要がありまする關係上、なるべく年齡の制限を置かない方が適當であろうと考えまして、年齡七十以下の人の、廣く人材を求め得る途を特に加えたわけであります。なおそのほかにも、下級裁判所におきましては最高裁判所の機能と違いまして、事實審理をやることをいたしますので、やはり何と言いましても單に法律自身のみをやる最高裁判所よりも、肉體的等におきまして勞力が劇職と考えられますのでやはり年齡も最高裁判所の裁判官よりは若いところの、肉體的に働き得る年齡ということで、現行よりは——現行法におきましては、普通の裁判官は六十三歳、大審院長のみが六十五歳でありますのを、大審院長並みに六十五歳に引上げたわけであります。
(2) 昭和23年12月21日法律第260号に基づき昭和24年1月1日に設置された家庭裁判所の裁判官の定年についても,高等裁判所及び地方裁判所の裁判官の定年と合わせて65歳とされました。


4 裁判官について定年制を導入した理由
(1) 憲法79条5項は最高裁判所裁判官の定年を法律事項としていて,憲法80条1項ただし書は下級裁判所裁判官の定年を法律事項としています。
(2) 金森徳次郎 憲法担当国務大臣は,昭和21年6月28日の衆議院本会議において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 第三の判事の定年制の問題であります、御承知の通り裁判官は其の職務の性質上、其の身分を保障せらるることは言を俟たないのであります、隨て濫りに之を罷免するが如きことのないやうにしなければならぬと存じます、
   併しながら之を終身官とするに於きましては、又老朽無能の人が此處に集まる虞があるのであります、是は愼まなければならぬと思ひます、
   隨ひまして一定の年限を保障して、其の年限に達すれば退官すると云ふことが最も適當であらうかと存ずるのであります、
② 若朽無能の者に付きましては、七十四條(山中注:日本国憲法78条に相当するもの)に於て之を罷免する規定を設けて居りますから、是で十分運用が出來ると存じます
(3)ア 金森徳次郎 憲法担当国務大臣は,昭和21年7月22日の衆議院帝国憲法改正案委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 七十五條の第一項(山中注:日本国憲法79条5項に相当するもの)に於きまして、所謂裁判官の停年制の原理を認めて居る譯であります、
   停年制と申しますものは固より御推察になつて居りまする通り、一定の年齡に到達致した裁判官に付きまして、唯年齡が其の段階に至つたと云ふことだけで其の退官を求めると云ふことになります、
   謂はば玉石共にやると云ふことになりまして、甚だ面白くないと云ふ感じは私共も平素から持つて居るのであります、
   併し實際問題に當嵌めて行きまして、中々必要な審査を個別的に加へまして其の人に退官を求めると云ふことは因難な事情がありまして、今日一般の方面に於て其の弊害を認め詰り玉石共にやると云ふ制度を設けないと云ふことに對して弊害を感ぜられて居る部面があるのであります、
② 日本人が情誼に厚くして冷靜にものをやれないと云ふ癖があるのかも知れませぬけれども、中々此の退職の圓滿なる道行きが旨く行きませぬ、
   或る場合には、必要なる所まで行かないで、まだ十分活動出來ると云ふ時に其の身分が消滅すると云ふ事例がありまして、是は最近の事例は知りませぬけれども、一般行政官に於きましては、殆ど五十歳を超えては相當の地位の人が其の職務を保ち得ないと云ふ事情であります
   如何に日本人が早熟でありましても、隨て早く衰へるに致しましても、五十歳では無理だと思ひますけれども、大體に於て打切られて居る學校の先生なども國民學校等に於きましては其の傾向が可なり強かつたのであります、
   さう云ふ點はやはり停年と云ふものを理念的な標準に依つて決めまして、それより下で馘られることも原則としてはないのだ、それより上では職務が執れないと云ふことに致しますと、一面に於て畫一から來る弊害も考へられますが、必ずしも大局から見て、それが惡い結果を齎さないと云ふことを考へた譯であります、
③ 實情を申しますと、此の七十五條の第一項の規定は、初めは畫一の年齡を此の憲法の上に明文を以て定めようとして居りましたが、是は少しく無理であります、
   大體觀察から言つて何歳を以て停年にして宜いかと云ふことは中々決め兼ねるのであります、
   殊に特別なる重要なる地位になりますると、それはかなり廣い範圍から選ばれたる人が其の地位にありまするので、其の人の個性を或る程度まで考へ得るのでありますから、機械的な一般的な年齡だけでは不十分でもある譯であります、
   さう云ふことを考へまして、七十五條では年齡を憲法で規定を致しませぬで、法律を以て、各裁判所のやつて居る一般の状況を考へまして實行上成べく旨く行けるやうな、而も世間から非難を受けないやうな停年を決めたいと考へて居ります

④ 「アメリカ」の最高裁判所がやはり停年制がない爲に不便を感じて居るかどうかと云ふことは、我々の方から斷言は出來ませぬけれども「ニューデイール」問題等の時に相當の波瀾を起しまして、九十歳近くの人が果して其の地位を占めて居つて宜いかどうかと云ふ疑惑の爲に、大統領が特別なる企てをしたと云ふことも聞いて居ります、さう云ふことを考へますと、さう不自然なものではないと考へます
イ 憲法で読むアメリカ現代史HP「第19回 ロペズ事件と、変わらぬ憲法解釈、変わる憲法解釈」には以下の記載があります。
   これら一連の違憲判決(山中注:1933年6月の全国産業復興法(NIRA)等を違憲とする連邦最高裁の判決)にいらだつローズベルト大統領は、再選を果たして間もない1937年2月、70歳に達した最高裁判事が辞任しない場合大統領は新しい判事を6人まで任命できるとする法律の制定を、議会に要請する。当時9人の最高裁判事中6人が70歳を超えており、そのうちの5人が特に政府の権限を制限する伝統的な憲法解釈に特にこだわっていた。彼らが最高裁に残っても、通商条項やデュープロセス条項の解釈変更を是とする判事の数を増やせば違憲判決を防げる。大統領の提案は、70歳を超えた判事は耄碌して正しい判断ができないといわんばかりであった。最高裁はこの動きに強く反発し反論を試みる。大統領と最高裁が真っ向から対立し、憲政上の危機が生じた。
   ただし議会は民主党が圧倒的多数を占めるにもかかわらず、結局、同法案を可決しなかった。最高裁の定員増によって大統領が最高裁判決の行方を左右できるようになれば、司法の独立が失われ三権分立というアメリカ憲法のもっとも重要な仕組みが大きく損なわれる。大統領への過度の権限集中は独裁につながりかねない。議会はそう判断して同年7月この法律制定を拒否したのである。憲政の危機はこうして乗り越えられた。

5 平均寿命及び平均余命の変化
(1) 大正10年当時の日本人男性の平均寿命は42.06歳であり,65歳男性の平均余命は9.31年でした(厚生労働省HPの「表2 完全生命表における平均余命の年次推移」参照)。
(2) 昭和22年当時の日本人男性の平均寿命は50.06歳であり,昭和35年当時の日本人男性の平均寿命は65.32歳であり,平成28年当時の65歳男性の平均余命は19.55年でした(厚生労働省HPの「主な年齢の平均余命」参照)。
(3) 「世界の平均寿命ランキング・男女国別順位、WHO 2018年版」によれば,イエメン(142位)の平均寿命が65.3歳であり,アフガニスタン(157位)の平均寿命が62.7歳であり,ソマリア(177位)の平均寿命が55.4歳であり,レソト(183位。統計がある中では最下位)の平均寿命が52.9歳です。
(4) 高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官は,平成11年11月27日に東京九段の専修大学で開催された,第17回全国裁判官懇話会全体会において以下の発言をしています(判例時報1698号12頁)。
 これだけ平均余命がのびれば、二十二歳で裁判官にならなくても、三〇歳ぐらいでいいし、定年も六五歳でなくて七〇歳でいいかもしれません。


6 75歳から89歳までを高齢者とすべきとする,日本老年学会及び日本老年医学会の提言
(1) 高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言(概要) (2017年1月5日付)には以下の記載があります。
 日本老年学会、日本老年医学会では、2013 年に高齢者の定義を再検討する合同ワーキンググループを立ち上げ、高齢者の定義についていろいろな角度から議論を重ねてまいりました。近年の高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討した結果、現在の高齢者においては 10~20 年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が 5~10 年遅延しており、「若返り」現象がみられています。従来、高齢者とされてきた 65 歳以上の人でも、特に 65~74 歳の前期高齢者においては、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めています。また、各種の意識調査の結果によりますと、社会一般においても 65 歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっており、内閣府の調査でも、70 歳以上あるいは 75 歳以上を高齢者と考える意見が多い結果となっています 。
 これらを踏まえ、本ワーキンググループとしては、65 歳以上の人を以下のように区分することを提言したいと思います。
65~74 歳 准高齢者 准高齢期 (pre-old)
75~89 歳 高齢者 高齢期 (old)
90 歳~ 超高齢者 超高齢期 (oldest-old, super-old)
(2) 2017年1月5日付の提言は,一般社団法人日本老年学会HP「提言・見解」に載っています。

7 老人ホーム・介護施設
◯老人ホーム・介護施設としては以下のものがあります(ココファンHPの「【一覧で紹介】老人ホームの種類と特徴|違いや費用・施設の選び方まで解説」参照)。
(1) 公的施設
(主に要介護者向け)
・ 特別養護老人ホーム(特養)
→ 原則として要介護3以上の人が対象です。
・ 介護老人保健施設(老健)
・ 介護療養型施設
(主に自立した人向け)
・ 軽費老人ホーム
・ ケアハウス
(2) 民間施設
(主に要介護者向け)
・ 介護付き有料法人ホーム
・ 住宅型有料老人ホーム
・ グループホーム
(主に自立した人向け)
・ 健康型有料老人ホーム
・ サービス付き高齢者向け住宅
・ シニア向け分譲マンション



8 関連記事その他
(1) 大阪の弁護士重次直樹のブログ「職業と寿命,長寿の秘訣:僧侶,画家,医師,学者,弁護士は長生き」が載っています。
(2)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判官の定年制について(昭和46年9月10日決裁の,内閣法制局の口頭照会回答要旨)
・ 定年の引上げ等に係る「裁判所における運用の骨子」及び「裁判所における運用の概要」について(令和4年11月17日付の最高裁人事局総務課長の通知)
→ ①裁判所における運用の骨子~定年の引上げ等について~(令和4年11月の最高裁判所事務総局人事局の文書)及び②裁判所における運用の概要~定年の引上げ等について~(令和4年11月の最高裁判所事務総局人事局の文書)が含まれています。
イ 以下の記事も参照してください。
・ 戦前の判事及び検事の定年
・ 裁判官及び検察官の定年が定められた経緯(日本国憲法の制定経緯を含む。)
・ 日本国憲法外で法的効力を有していたポツダム命令
・ 幹部裁判官の定年予定日

裁判官及び検察官の定年が定められた経緯(日本国憲法の制定経緯を含む。)

目次
第1 裁判官の定年が定められた経緯
1 戦前の経緯
2 ポツダム宣言の発表から降伏文書調印までの経緯
3 降伏文書調印後,GHQ草案作成までの経緯
4 GHQ草案作成後,憲法改正草案発表までの経緯
5 枢密院における審議等
6 帝国議会における審議等
7 日本国憲法制定後の経緯
8 参考になるHP等
第2 検察官の定年が定められた経緯
1 戦前の経緯
2 戦後の経緯
第3 日本国憲法制定経緯に関する政府答弁
第4 関連記事その他


第1 裁判官の定年が定められた経緯
1 
戦前の経緯
(1) 大正10年6月1日施行の改正裁判所構成法に基づき,大審院長の定年は65歳であり,その他の判事の定年は63歳でした。
    ただし,控訴院又は大審院の総会決議により最大で3年間,引き続き在職することができました(大正10年5月18日公布の法律第101号による改正後の裁判所構成法74条ノ2)。
(2) 裁判所構成法74条ノ2は,昭和12年9月1日公布の法律第82号による改正があり,同日以降,定年退職日は5月31日又は11月30日に統一されました。
(3) 詳細については,「戦前の判事及び検事の定年」を参照してください
   
2 ポツダム宣言の発表から降伏文書調印までの経緯
(1)ア 昭和20年7月26日に発表されたポツダム宣言(訳文)には以下の条項が含まれていました。
6項:吾等ハ無責任ナル軍国主義カ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序カ生シ得サルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス
10項後段:日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スヘシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルヘシ
12項:前記諸目的カ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府カ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルヘシ
イ ポツダム宣言の中には,憲法改正という文言が直接に出てくる部分はありませんでした。
(2) 日本政府は,連合国に対し,昭和20年8月14日にポツダム宣言受諾を通告し,同日付のポツダム宣言受諾の詔書(いわゆる「終戦の詔書」)を,翌日正午のラジオ放送(いわゆる「玉音放送」)により発表しました。

3 降伏文書調印後,GHQ草案作成までの経緯
(1) 昭和20年8月31日に国務・陸・海軍三省調整委員会(SWNCC)で決定された「対日政策の基本文書」(SWNCC150)では,天皇を含む既存の日本の統治機構を通じて占領政策を遂行するという間接統治の方針が明確化される一方、主要連合国間で意見が相違する場合には米国の政策がこれを決定するという記載がありました(「米国の「初期対日方針」」参照)。
(2) 昭和20年9月6日にトルーマン大統領が発した,連合国最高司令官の権限に関する指令(JCS1380/6 =SWNCC181/2)では,ポツダム宣言は双務的な拘束力を持たないのであって,日本との関係は無条件降伏が基礎となっているとされました。
(3) 昭和20年10月8日,国務・陸・海軍三省調整委員会(SWNCC)は「日本の統治体制の改革」を作成しましたところ,そこでは,日本が自主的に統治体制を変革できなった場合,最高司令官が日本側に対し,憲法改正(日本国民が天皇制を維持すると決めた場合に天皇は一切の重要事項につき内閣の助言に基づいてのみ行うことや,日本国民及び日本の管轄権のもとにあるすべての人に基本的市民権を保障すること等の9項目の原則を盛り込んだもの)を示唆すべきとしていました。
(4) 昭和20年10月11日,マッカーサーが,就任挨拶に訪れた幣原喜重郎首相に示した5大改革指令の一つとして,「四、国民ヲ秘密ノ審問ノ濫用ニ依リ絶エス恐怖ヲ与フル組織ヲ撤廃スルコト―故ニ専制的恣意的且不正ナル手段ヨリ国民ヲ守ル正義ノ制度ヲ以テ之ニ代フ」という指令がありました(「十月十一日幣原首相ニ対シ表明セル「マクアーサー」意見」参照)。
(5) 昭和20年10月27日から昭和21年2月2日までの間,昭和20年10月13日付の閣議了解に基づき,幣原内閣の下に設置された憲法問題調査委員会(委員長は松本烝治国務大臣であり,通称は「松本委員会」です。)が,憲法問題審議のための会合を続けました。
(6) 昭和20年12月8日,松本烝治国務大臣は,衆議院予算委員会において,憲法改正について,①天皇の統治権総覧の堅持,②議会議決権の拡充,③国務大臣の議会に対する責任の拡大及び④人民の自由・権利の保護強化という,松本4原則を明らかにしました。
(7) 昭和21年1月7日,国務・陸・海軍三省調整委員会(SWNCC)は,「日本統治制度の改革」(SWNCC228)を作成し,同月11日,マッカーサーに伝達しました。
   SWNCC228では,マッカーサーが日本政府に対し,選挙民に責任を負う政府の樹立,基本的人権の保障,国民の自由意思が表明される方法による憲法の改正といった目的を達成すべく,統治体制の改革を示唆すべきであるとしていました。
(8) 昭和21年2月1日,「松本委員会試案」なるものが毎日新聞によってスクープされたところ,同日,これを見たマッカーサーは,GHQのホイットニー民政局長に対し,松本試案の詳細な回答書を作成して日本政府に手交するように命じました。
(9) 昭和21年2月3日,マッカーサー3原則(天皇は国家の元首・戦争放棄・封建制度の撤廃)に基づくGHQ草案の作成がGHQ民政局で開始し,同月10日に完了しました。
(10) 政府がGHQに対し,昭和21年2月8日に提出した憲法改正要綱「政府ノ起案セル憲法改正案ノ大要ニ付キ大体的ノ説明」とセットです。)によれば,司法に関する改正事項は「第六十一条ノ規定ヲ改メ行政事件ニ関ル訴訟ハ別ニ法律ノ定ムル所ニ依リ司法裁判所ノ管轄ニ属スルモノトスル」ことだけでした。
   


4 GHQ草案作成後,憲法改正草案発表までの経緯
(1)ア GHQが日本政府に対し,昭和21年2月13日に提示したGHQ草案訳文)によれば,71条本文で「最高法院ハ首席判事及国会ノ定ムル員数ノ普通判事ヲ以テ構成ス右判事ハ凡ヘテ内閣ニ依リ任命セラレ不都合ノ所為無キ限リ満七十歳ニ到ルマテ其ノ職ヲ免セラルルコト無カルヘシ」と定めていて,72条後段で「判事ハ満七十歳ニ達シタルトキハ退職スヘシ」と定めていました。
イ 日本政府は,GHQに対し,昭和21年2月18日,憲法改正案説明補充を提出し,日本の国情にあわない民主主義的憲法を制定した場合,ワイマール憲法制定後にヒトラー政権が誕生したような事態が起きかねないなどと反対したものの,同月8日の案については考慮の余地がないとGHQに通告されました。
   そのため,日本政府は,同月22日の閣議において,GHQ草案を基本として,可能な限り日本側の意向を取り込んだものを起案することを決定しました。
(2) 日本政府がGHQに対し,昭和21年3月4日に提出した憲法改正案(3月2日案)86条は「裁判官ハ満七十歳ニ達シタトキハ当然退官ス。」と定めていました。
(3) GHQ及び日本政府の共同作業として作成された憲法改正案(3月5日案)によれば,75条1項後段は「此等ノ裁判官ハ凡テ内閣ニ於テ之ヲ任命シ満七十歳ニ達シタル時退官スルモノトス」と定めていて,76条第5段は「裁判官ハ満七十歳ニ達シタル後ハ在任スルコトヲ得ズ」と定めていました。
(4) 昭和21年3月6日午後5時,「憲法改正草案要綱」が,英訳文,勅語,内閣総理大臣談話とともに内閣から発表され,謄写刷り版にして新聞社その他の報道機関に配布され,翌日に報道されました。
(5) 昭和21年4月2日のGHQ及び閣議の了解に基づき,ひらがな口語体によって憲法改正草案が準備されることとなりました。
(6) 昭和21年4月5日時点の憲法改正草案では,裁判官の定年は70歳とされていたものの,昭和21年4月17日時点の憲法改正草案(同日,枢密院に諮詢され,かつ,全文が公表されました。)では,裁判官の定年年齢は法律で定めるものとされました。
   
5 枢密院における審議等
(1) 昭和21年4月10日,第22回衆議院議員総選挙が実施され,過半数を制した政党が出なかったため,同月22日,幣原内閣は総辞職を表明しました。
(2) 昭和21年5月2日,鳩山一郎に大命降下があったものの,同月4日,昭和5年に統帥権干犯問題を発生させて軍部の台頭に協力したことを理由に,鳩山一郎が公職追放されました。
   そのため,同月16日,幣原内閣で外務大臣をしていた吉田茂に大命降下があり,同月22日,第1次吉田内閣が発足しました。
(3) 昭和21年5月27日,政府は,それまでの審査結果に基づく修正を加えた帝国憲法改正草案を再び枢密院に諮詢しました。
(4) 昭和21年6月8日,枢密院本会議は,「国体変更」であるとして反対した美濃部達吉顧問官(昭和10年9月18日,天皇機関説事件により貴族院議員を辞職した憲法学者です。)を除く賛成多数で,帝国憲法改正草案を可決しました。
   
6 帝国議会における審議等
(1) 昭和21年6月20日,政府は帝国憲法改正案を第90回帝国議会に提出しました。
(2) 昭和21年8月24日,衆議院本会議で,修正された帝国憲法改正案を可決し,同日,貴族院に送付しました。
(3) 昭和21年10月7日,衆議院が貴族院の修正に同意しましたから,帝国議会での審議が終了しました。
(4) 昭和21年10月12日,政府は,「帝国議会において修正を加えた帝国憲法改正案」を枢密院に諮詢し,同月29日,枢密院本会議は,2名の欠席者(うち,1人は美濃部達吉顧問官)を除く全員一致で,帝国憲法改正案を可決しました。
(5) 明治節(明治天皇の誕生日であることに基づく祝日)である昭和21年11月3日,日本国憲法が公布されました。
   


7 日本国憲法制定後の経緯
(1)ア 裁判所法(昭和22年4月16日法律第59号)50条に基づき,最高裁判所の裁判官の定年は70歳となり,下級裁判所の裁判官の定年は65歳となりました。
イ 昭和22年5月3日,日本国憲法及び裁判所法が施行されました。
ウ 「司法行政について(上)」(筆者は22期の西理 元裁判官)には以下の記載があります(平成24年4月21日発行の判例時報2141号9頁)。
    裁判所法案については翌二二年一月二八日に閣議決定されたが、GHQのアプルーヴァルがなかなか得られず難航する。三月三日からは殆ど連日にわたって会談が持たれた結果、一二日に漸くこれを得て、即日枢密院本会議で議決・上奏、同月一八日に衆議院通過、同月二六日に貴族院本会議で可決成立を見る。
   こうして、裁判所法は辛うじて憲法と歩調を合わせて施行される運びとなった。
(2) 昭和23年1月1日法律第1号による改正後の裁判所法50条に基づき,昭和23年1月1日以降,簡易裁判所の裁判官の定年は70歳となりました。
(3) 昭和23年12月21日法律第260号による改正後の裁判所法50条に基づき,昭和24年1月1日に設置された家庭裁判所の裁判官の定年は65歳となりました。
   
8 参考になるHP等
(1)ア 以下の資料が非常に参考になります。
① 国立国会図書館HP「日本国憲法の誕生」
② 憲法制定の経過に関する小委員会報告書の概要(平成12年4月)(衆議院憲法調査会事務局作成)
→ 裁判官の定年及び勤務延長の可否について,特段の記載はありません。
③ 憲法制定の経過に関する小委員会報告書/日本国憲法制定経過年表
④ 「日本国憲法の制定過程」に関する資料(平成28年11月)(衆議院憲法調査会事務局作成)
⑤ 内藤頼博裁判官が寄稿した「戦後の司法改革-裁判所法の制定経過-」(法曹百年史(昭和44年10月10日発行)337頁ないし350頁)
⑥ 衆議院HPの「終戦への日々」及び「帝国憲法改正案の審議」
→ 短い文章でよくまとまっています。
イ 衆議院憲法調査会HPに②及び④の資料が載っています。
(2) 帝国憲法の改正については,枢密顧問の諮詢(帝国憲法56条及び枢密院官制6条2号)及び帝国議会の議決(帝国憲法73条)を経る必要がありました(日本国憲法の上諭参照)。
   
第2 検察官の定年が定められた経緯
1 戦前の経緯
(1) 大正10年6月1日施行の改正裁判所構成法に基づき,検事総長の定年は65歳であり,その他の検事の定年は63歳でした。
   ただし,司法大臣の決定により,最大で3年間,引き続き在職することができました(大正10年5月18日公布の法律第101号による改正後の80条ノ2)。
(2) 裁判所構成法80条ノ2は,昭和12年9月1日公布の法律第82号による改正があり,同日以降,定年退職日は5月31日又は11月30日に統一されました。
(3) 詳細については,戦前の判事及び検事の定年」を参照してください
   
2 戦後の経緯
(1)ア GHQが日本政府に対し,昭和21年2月13日に提示したGHQ草案69条2項(訳文)には,「検事ハ裁判所ノ職員ニシテ裁判所ノ規則制定権ニ服スヘシ」と定められていました。
   しかし,日本政府がGHQに対し,昭和21年3月4日に提出した憲法改正案(3月2日案)では,検事に関する条文は削除されていました。
イ GHQ及び日本政府の共同作業として作成された憲法改正案(3月5日案)によれば,73条2項は「検察官ハ最高裁判所ノ定ムル規則ニ従フコトヲ要ス最高裁判所ハ下級裁判所ニ関スル制規ヲ定ムルノ権限ヲ之ニ委任スルコトヲ得」と定めていました。
ウ 日本国憲法77条2項は,「検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。」と定めています。
(2)ア 司法法制審議会第一小委員会(昭和21年7月9日に司法省に設置されたもの)において,検事はすべて判事に準じて任期,定年制を設けることと決定されました。
   その関係で,検察庁法要綱案(昭和21年8月5日付)(多分,司法省刑事局が作成したもの)の第十五では,「一級検事が年令六十五年に達したとき、二級検事又は副検事が年令六十年に達したときは各退官とするとすること。」とされました。
イ 検察庁法案立案の方針(昭和22年1月23日付)(多分,司法省刑事局が作成したもの)の第七では,「その他は、概ね裁判所構成法による現在の構成に則ることとし、特に検察官の準司法的性格を保持すること」とされました。
ウ 検察庁法要綱案及び検察庁法案立案の方針は,終戦後の司法制度改革の経過(令和2年4月26日現在,楽天ブックスにおいて53万6800円で販売されています。)に載っています。
エ 「検察審査会法制定の経緯」のPDF1頁目には以下の記載があります。
   1946年 7月から 1947年3月の第 2期には,日本側が主導して様々な法令が制定されたが,検察庁法の制定は警察制度改革に目途がつかずに難航し,また裁判所法には最終段階で公判陪審に関する規定が挿入された。
(3)ア 検察庁法(昭和22年4月16日法律第61号)(リンク先の3頁及び4頁)22条に基づき,検事総長の定年は65歳となり,その他の検事の定年は63歳となりました。
イ 佐藤藤佐司法省刑事局長は,昭和22年3月28日の貴族院検察庁法案特別委員会において以下の答弁をしています。
   裁判官の職務と檢察官の職務は、其の性質上の差もあります關係から、職務を執行される職員の能力と申しますか、體力の點に於ても、檢察官が裁判官に比べて積極的に活動することを必要と致します關係から、裁判官程高い定年を設けることは適當ではなからうと云ふ考の下に、現行法通り定年を六十三と致したのでありまして、長官級の方はそれより高めて、現在の檢事總長の定年を六十五と斯う云ふ程度に止めたのであります。
ウ 「新検察制度の十年の回顧」には以下の記載があります(昭和33年2月発行の法曹時報10巻2号68頁)。
   検察官の定年をこのように決めたことについては別に科学的考慮があったわけではないが、検察官の職務は裁判官に較べて激職であり体力的に見て一般の検察官は従前の定年が相当だろうというところからこれを踏襲し、検事総長についてはその地位と職責から従来の定年をいくらかあげたに過ぎないのである(山中注:検事総長の定年についても戦前と同じです。)。
   ただ、裁判官の定年に較べて差等が設けられたのは主として総司令部の示唆があったことに因るのである。


第3 日本国憲法制定経緯に関する政府答弁
1 吉国一郎内閣法制局長官は,昭和51年5月7日の参議院予算委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
① 憲法の前文の第一段にございます「政府」の言葉は、これは狭い意味の行政府を指すのではなくて、国家の統治機関全体を指すものというのが、これはもう学界の通説であろうと思います。
② 旧大日本帝国憲法第七十三条では、憲法の改正手続を定めております。その改正手続によって、もちろん旧憲法は欽定憲法でございましたので、その改正手続も天皇が発議をされて、それで当時の帝国議会が審議をして、それをさらに天皇が裁可されるという形で改正が行われたわけでございます。改正が行われて新しい憲法の基本原理は国民主権ということにあることは御承知のとおりでございます。

   そこで、人類普遍の原理である国民主権に反するような一切の憲法、法令及び詔勅を排除するということを言っただけでございまして、大日本帝国憲法第七十三条の規定によって改正手続が行われ、その改正が行われた結果、国民主権というものが確立をされた。
   国民主権が確立される以上は、それに矛盾抵触するようなあらゆる法令、詔勅は排除されることは当然でございまして、法理的のみならず、一般の理念としても何らそこに矛盾するものはないと私どもは考えております。
③ 新憲法が連合国軍の占領下というきわめて異常な事態の中で制定されたということは事実でございますけれども、当時、旧憲法第七十五条にございましたように、摂政が置かれていたわけではないのでございますから、旧憲法第七十五条に矛盾するということは全くございません。法理論上は特に問題はないものと思っております。
   それからもう一つ、旧大日本帝国憲法第七十三条には、「将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ」云々とあって、この憲法全体を改正することはできないのではないかというような御議論がございましたけれども、これは一条項、つまり数個の条なり数個の項を改正することのみを言っているわけではなくて、基本的に旧大日本帝国憲法全文を改正することも、この第七十三条の規定によってできるものと私どもは考えております。
2 
衆議院議員森清君提出日本国憲法制定に関する質問に対する答弁書(昭和60年9月27日付)
には以下の記載があります。
① 日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正手続によつて有効に成立したものであつて、その間の経緯については、法理的に何ら問題はないものと考える。
② 日本国憲法は大日本帝国憲法の改正手続によつて有効に成立したものであつて、御指摘のように連合国最高司令官の権限においてその有効性が保障されているものではない。
③ 陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則中の占領に関する規定(山中注:「国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的の支障なき限り、占領地の現行法規を尊重して、成るべく公共の秩序及び生活を回復確保する為、施し得べき一切の手段を盡すべし。」と定める43条のこと。)は、本来交戦国の一方が戦闘継続中他方の領土を事実上占領した場合のことを予想しているものであつて、連合国による我が国の占領のような場合について定めたものではないと解される。
④ 日本国憲法が大日本帝国憲法の改正手続によつて有効に成立したものであることは、一についてにおいて述べたとおりであり、日本国憲法の前文における「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、…この憲法を確定する」との文言は、日本国憲法が正当に選挙された国民の代表者によつて構成されていた衆議院の議決を経たものであることを表したものと解される。したがつて、御指摘のような問題(山中注:明治憲法の下では,日本国民は憲法改正を確定することはできないし,貴族院は正当に選挙された国会における代表者ではないという問題)はないものと考える。
⑤ 日本国憲法が御指摘の分類(山中注:欽定憲法,民定憲法及び協約憲法の三分類)のいずれに属するかは、講学上の問題であつて、政府として断定することは、差し控えたい。

第4 関連記事その他
1(1) 国立国会図書館デジタルアーカイブ「日本国憲法等」に,大日本帝国憲法,終戦の詔書,日本国憲法等の原本の写真データが載っています。
(2) 国立国会図書館HPの「日本国憲法の誕生」に,「2-18 大日本弁護士会連合会「憲法改正案」 1946年1月21日」が載っています。
2(1) 昭和30年代後半までは,民間企業の多くで導入されていたのは55歳定年制でした(「国家公務員の定年引上げをめぐる議論」3頁参照)。

(2) 検察官及び国立大学の教員を除く一般職の国家公務員について60歳定年制が導入されたのは昭和60年3月31日です(「国家公務員の定年引上げをめぐる議論」4頁参照)。
3 汚れた法衣-ドキュメント司法記者47頁によれば,戦後の司法改革によって裁判所が独立した際,戦前の裁判官がまったく戦争責任を問われることなく新憲法下の裁判官になったのに対し,検事は多数追放されたとのことです。
4 以下の記事も参照してください。
 戦前の判事及び検事の定年
 幹部裁判官の定年予定日
・ 日本国憲法外で法的効力を有していたポツダム命令
・ ポツダム宣言の発表から降伏文書調印までの経緯
・ 在外財産補償問題
・ 日本の戦後処理に関する記事の一覧

戦前の判事及び検事の定年

目次
第1 定年制導入前の状況
1 裁判所構成法の条文
2 精神又は身体の衰弱を理由とする退職決議の事例
3 帝国議会の答弁に立った鈴木喜三郎司法次官のその後
第2 1921年の,裁判所構成法改正に基づく定年制の導入及び定年退職者に対する増加恩給の支給
1 1921年の,裁判所構成法改正に基づく定年制の導入
2 定年退職者に対する増加恩給の支給
第3 1921年6月13日の司法省人事
1 司法省人事の内容
2 司法省人事の分析
3 横田国臣 大審院長の定年退官に関する背景事情
第4 1937年の,裁判所構成法改正に基づく定年時期の統一及び勇退者に対する増加恩給の支給等
1 裁判所構成法改正に基づく定年時期の統一
2 勇退者に対する増加恩給の支給
3 日中戦争の初期に裁判所構成法等の改正が実施されたこと
4 その後の恩給
第5 司法官以外の戦前の定年,及び戦前の幹部裁判官の人事等
1 司法官以外の戦前の定年
2 戦前の幹部裁判官の人事等
第6 関連記事その他

1 定年制導入前の状況
1 裁判所構成法の条文
(1) 制定時の裁判所構成法67条は「判事ハ勅任又ハ奏任トシ其ノ任官ヲ終身トス」と定めていました。
    また,大正2年4月7日公布の法律第6号による改正後の裁判所構成法67条は「判事ハ終身官トシ親任勅任又ハ奏任トス」と定めていました。
(2) 制定時の裁判所構成法73条1項本文は「第七十四條及第七十五條ノ場合ヲ除ク外判事ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ處分ニ由ルニ非サレハ其ノ意ニ反シテ轉官轉所停職免職又ハ減俸セラルルコトナシ」と定めていました。
(3) 裁判所構成法74条は「判事身體若ハ精神ノ衰弱ニ因リ職務ヲ執ルコト能ハサルニ至リタルトキハ司法大臣ハ控訴院又ハ大審院ノ總會ノ決議ニ依リ之ニ退職ヲ命スルコトヲ得」と定めていました。
2 精神又は身体の衰弱を理由とする退職決議の事例
(1)ア 精神の衰弱を判断することは著しく困難であったため,精神の衰弱を理由とする退職決議については,提案すらされことがありませんでした(大正10年3月23日の衆議院裁判所構成法中改正法律案外一件委員会における鈴木喜三郎司法次官の答弁(会議録6頁3段目)参照)。
     ただし,大正9年7月15日の貴族院裁判所構成法中改正法律案外一件特別委員会における鈴木喜三郎司法次官の答弁(会議録3頁1段目)には,強制的に貴様は身体が衰弱した,精神が衰弱したといって,判事総会によって退職を命じられた事例が,明治31年から明治32年の頃に12件あったもようであると書いてあります。
イ 横田国臣司法次官は,明治31年6月,判事検事官等俸給令の改正により各裁判所職級別の定員を廃止して,司法省の計画する人事に賛成する判事を大審院及び控訴院に送り込み,司法省の与党で大審院及び控訴院の総会の多数を制することで,当時の春木義彰検事総長及び北畠治房大阪控訴院長ら老朽司法官に対し,裁判所構成法74条に基づく退職を命じた上で,横田国臣は同月28日に検事総長に就任しました。
     ただし,同月30日に成立した第1次大隈内閣がこの人事を問題視したため,同年10月15日に横田国臣 検事総長は懲戒免官となりました(Wikipediaの「横田国臣」のほか,「司法権独立の歴史的考察」9頁,10頁及び73頁参照)。
(2) 身体の衰弱を理由とする退職決議については,明治40年以降,0件となりました(大正9年7月15日の貴族院裁判所構成法中改正法律案外一件特別委員会における鈴木喜三郎司法次官の答弁(会議録3頁1段目)参照)。
(3) 戦後の裁判官分限法の場合,執務不能を理由とする分限裁判は,最高裁大法廷昭和33年10月28日決定(7年以上の療養生活)及び大阪高等裁判所昭和61年2月19日決定(失踪)の2件だけです。
3 帝国議会の答弁に立った鈴木喜三郎司法次官のその後
・ 帝国議会の答弁に立った鈴木喜三郎(1867年生まれ)は1914年4月18日から1921年10月5日まで司法次官をして,同日から1924年1月7日まで検事総長(54歳で就任)をして,同月から同年6月11日まで司法大臣(56歳で就任)をした後,5・15事件の直後に立憲政友会総裁に就任しました。

第2 1921年の,裁判所構成法改正に基づく定年制の導入,及び定年退職者に対する増加恩給の支給
 1921年の,裁判所構成法改正に基づく定年制の導入
(1) 明治憲法58条2項は「裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ處分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルヽコトナシ」と定めていました。
   そのため,裁判官に対する定年制の導入を内容とする裁判所構成法の改正案に対しては,明治憲法58条2項に違反するのではないかという質問が帝国議会で繰り返し行われました。
   しかし,明治憲法58条2項の「職」は「官」のことであると解されるし,裁判所構成法の定年は退職事由に過ぎず,判事の官を失うわけではない(ただし,判事としての職務を行うわけではなく,その俸給も受けませんでした。)から,定年制の導入は明治憲法58条2項に違反しないとされました。
(2) 大審院長及び検事総長の定年は65歳であり,その他の判事及び検事の定年は63歳でした。
    ただし,判事の場合,控訴院又は大審院の総会決議により,検事の場合,司法大臣の決定により,最大で3年間,引き続き在職することができました(大正10年5月18日公布の法律第101号による改正後の裁判所構成法74条ノ2及び80条ノ2)。
(3) 帝国議会における司法次官の説明によれば,大審院長及び検事総長が担当する,一般を指揮監督するという任務は,その職務の性質上,それ以外の任務と異なり細かいことをする必要がないし,大審院部長及び控訴院長並びに検事長以下と異なり裁判事務はほとんどせずに司法行政事務だけをすればいいから定年を2年遅くしたのであって,両者に対して敬意を払うために定年を2年遅くしたわけではないことになっています(大正10年3月24日の衆議院裁判所構成法中改正法律案外一件委員会における鈴木喜三郎司法次官の答弁(会議録6頁及び8頁)参照)。
(4) 当初の政府案では,60歳,63歳及び65歳の3段階の定年制でしたが,枢密院の審議の結果,60歳定年制は早すぎるということで,63歳及び65歳の2段階の定年制となりました(大正9年7月15日の貴族院裁判所構成法中改正法律案外一件特別委員会における鈴木喜三郎司法次官の答弁(会議録1頁)参照)。
(5) 大正10年当時,判検事の人数は1600人ぐらいであり,定年退官の対象者は年間10人ぐらいでした(大正10年3月24日の衆議院裁判所構成法中改正法律案外一件委員会における鈴木喜三郎司法次官の答弁(会議録9頁)参照)。
(6) 満60歳以上であり,相続の単純承認をする家督相続人がいた場合,裁判所の許可がなくても戸主は隠居できました(旧民法752条・普通隠居)が,それ以外の場合,裁判所の許可がない限り戸主は隠居できませんでした(旧民法753条・特別隠居)。
2 定年退職者に対する増加恩給の支給
(1) 定年ニ因ル退職判事検事ノ恩給ニ関スル法律(大正10年5月18日公布の法律第102号)1項に基づき,裁判官及び検事が定年退官した場合,増加恩給(文官の普通恩給の50%相当額)を支給してもらえることとなりました。
(2) 大正12年4月14日公布の法律第49号による改正に基づき,既に恩給を受給している退職者も含めて,増加恩給は30%となりました。
(3) 「恩給法の改正」(内閣恩給局長が投稿した,昭和8年9月の東京朝日新聞の記事)に,恩給に関する従前の経緯が書いてあります。

3 1921年6月13日の司法省人事
1 司法省人事の内容
    1921年6月13日に裁判所構成法74条ノ2が施行されたことに基づき,以下の司法省人事が実施されました(1921年6月14日の官報(リンク先のコマ番号3の左及び5の左))。
(新規就任者)
・ 富谷鉎太郎 大審院長(64歳。1912年12月23日,東京控訴院長に就任)
・ 牧野菊之助 東京控訴院長(54歳。1920年6月30日,名古屋控訴院長に就任)
・ 磯谷幸次郎 名古屋控訴院長(55歳。1921年3月25日,函館控訴院長に就任)
・ 能勢萬 函館控訴院長(58歳頃。1920年7月16日,大阪地裁所長に就任)
・ 谷田三郎 大阪控訴院長(1911年11月30日,司法省監獄局長に就任)
・ 高橋文之助 廣島控訴院長
・ 柳川勝二 宮城控訴院長(53歳。大審院判事)
・ 豊島直通 東京控訴院検事長(49歳。1919年4月18日,司法省刑事局長に就任)
・ 三木猪太郎 名古屋控訴院検事長(51歳頃。1913年4月12日,廣島控訴院検事長に就任)
・ 大田黒英記 廣島控訴院検事長(55歳頃。1918年6月12日,東京地裁検事正に就任)
・ 松岡義正 大審院部長(50歳。1916年5月8日,大審院部長に就任)
(定年退職者)
・ 横田国臣 大審院長(70歳。1906年7月3日就任)
・ 河村善益 東京控訴院検事長(63歳。1907年9月28日就任)
・ 水上長次郎 大阪控訴院長(63歳。1913年4月12日就任)
・ 清水一郎 宮城控訴院長(64歳頃。1910年4月20日就任)
・ 志方鍛 廣島控訴院長(64歳。1913年4月12日就任)
・ 末広厳石 大審院部長(63歳。1918年7月1日就任)
・ 鶴見守義 大審院検事(63歳)
2 司法省人事の分析
(1) 大審院長以外の判事の定年を63歳としたのは,8年以上在籍していて,施行時に63歳であった東京控訴院検事長及び大阪控訴院長まで退職させるためであり,大審院長の定年を65歳としたのは,後任の大審院長が決まるまでの間,当時64歳の東京控訴院長につなぎの大審院長をさせるためであったのかもしれません。
   実際,富谷鉎太郎大審院長の後任は1921年10月5日就任の平沼騏一郎(当時54歳であり,1912年12月21日就任の検事総長)であり,平沼騏一郎検事総長の後任は鈴木喜三郎(当時54歳であり,1914年4月18日就任の司法次官)でした。
(2) 1898年6月,横田国臣
は司法次官として,当時の検事総長及び大阪控訴院長といった老朽司法官の淘汰を断行した直後の同月28日に自分が検事総長に就任して周囲のねたみを買ったため,同年10月15日に懲戒免官となりました。
   そのため,平沼騏一郎及び鈴木喜三郎は,前任者の定年退職直後の昇進を避けることで,横田国臣と同じ目にあうことを避けようとしたのかも知れません。
(3)ア 「公務員制度改革の経緯と今後の展望 」(2008年1月の立法と調査)には以下の記載があります(リンク先のPDF2頁)。
   昇進に関しては、文官高等試験(高文)に合格すると、最初は、判任官である属として任用され、2年後に奏任官である事務官に任官する。入省 10年後には本省課長、20 年程度で局長、42,3 歳で次官に就任している。
イ 戦前の次官及び局長は勅任官でありますところ,すべての地裁所長及び地裁検事正が勅任官となったのは,昭和2年4月18日公布の勅令第87号(リンク先のコマ番号2)による裁判所職員定員令の改正後です。
(4) 1921年5月の裁判所構成法の改正当時,63歳の定年を超えていた大審院長,東京控訴院長,東京控訴院検事長,大阪控訴院長,宮城控訴院長,廣島控訴院長等が一斉に退職した場合,何らかの不都合が発生する可能性があったことから,最大で3年間,引き続き在職できるとする規定を置いたのかもしれません。
3 横田国臣 大審院長の定年退官に関する背景事情
・ 「私の会った明治の名法曹物語」(著者は小林俊三 元最高裁判事)222頁及び223頁には,横田国臣に関して以下の記載があります。
   横田検事総長は、前記のように、自分の立案した司法改革案に便乗し検事総長になった(山中注:明治31年の隈板内閣で司法次官をしていました。)が、大きな非難を呼び起して終に懲戒免官になってしまった。しかし前にふれたように親友清浦司法大臣(山中注:後の清浦奎吾首相のこと。)に救われて東京の検事長に帰り咲いた。しかしその後は何といっても実力者であるから明治三七年四月には検事総長となり、さらに明治三九年七月三日南部甕男氏が大審院長から枢密院入りをしたとき、その後を襲って大審院長となった。それからの氏の終身官を名とする執着力が司法部の歴史的話柄となったのである。横田国臣大審院長が現われた明治三九年七月は多分彼の五五歳ぐらいの時であったろう。今から思えばずい分若い。その人が五年はもとより一○年たっても退かない。もちろん一口に裁判官は終身官であるといわれるから、傍からとやかく言っても退かせるわけにはいかない。このことは横田氏が次官として行った司法改革の精神と全く矛盾する態度であるというのが、他の巷説として私の耳に入って来ている。その間の政府側の処置としてまず横田氏に大正四年一二月男爵を授与するよう取り計らった。これが大審院長退任の示唆であると巷説は伝えているが、氏が一向に退かなかったところを見ると、交換条件などは何もなかったのであろう。かくしてその後も延々として大審院長の地位を動かないので、当時の司法省の主脳者(山中注:首脳者の誤記と思います。)の間に、これではやむを得ないから法律によって定年制を布くほかないという談が強力となった。そして終にそれが法律となった。すなわち当時の裁判所構成法第七四条に二を加え、大審院長は六五年、その他の判事は六三年で退職することに定められた。さすがの横田国臣氏も、この法律の施行された大正一○年六月にはすでに七○歳となっていたから、当然退職するの余儀なきに至った。それにしても同じ地位に約一五年いたというのは、毀誉いずれの意味かは別として、強心臓は天晴れと申すべきであろう。
   後年(もちろん終戦はるか前である)知人の裁判官から、われわれは本来終身官なのに定年制を布かれたのは一に横田のためであると冗談めかして話されたことがある。
   横田国臣氏は大審院長退職後さすがに疲れが来たか、その後二年経たないうちに、すなわち大正一二年二月二二日七三歳をもってその異彩ある生涯を閉じた。

第4 1937年の,裁判所構成法改正に基づく定年時期の統一及び勇退者に対する増加恩給の支給等
1 裁判所構成法改正に基づく定年時期の統一
(1) 裁判所構成法74条ノ2及び80条ノ2は,昭和12年9月1日公布の法律第82号による改正があり,定年退職日は5月31日又は11月30日に統一されました。
   その趣旨は定年時期を統一することで,人事異動が複雑にならないようにする点にありました(昭和12年8月6日の衆議院本会議における牧野賤男 衆議院裁判所構成法中改正法律案外二件委員会委員長の報告参照)。
(2) 改正前は,65歳又は63歳になった日に退職するという取扱いであったため,年度途中にたびたび人事異動が行われ,非常に煩雑であり,事務の統制を欠くこととなっていました。
(3) 第七十一回帝國議會の協賛を經たる法律竝に其の立法理由(日本銀行調査局)のコマ番号149に立法当時の解説が載っています。

2 勇退者に対する増加恩給の支給
(1) 昭和12年8月14日公布の法律第69号による改正後の定年ニ因ル退職判事検事ノ恩給ニ関スル法律(大正10年法律第102号)1項に基づき,同日以降,裁判官及び検事は,60歳に達した後に退職すれば,定年退官した場合と同様に,増加恩給(文官の普通恩給の30%相当額)を支給してもらえることとなりました。
   その趣旨は,勇退者を多くして,後進のために道を開く点にありました(昭和12年8月6日の衆議院本会議における牧野賤男 衆議院裁判所構成法中改正法律案外二件委員会委員長の報告参照)。
(2) 改正前は,定年退官した場合に限り,増加恩給(普通恩給の30%相当額)を支給してもらうことができました。
(3) 第七十一回帝國議會の協賛を經たる法律竝に其の立法理由(日本銀行調査局)のコマ番号81に立法当時の解説が載っています。
(4) 裁判官及び検事を含む文官の場合,最低恩給年限は17年でした(総務省HPの「恩給制度の概要」及び「恩給Q&A」参照)。
   
3 日中戦争の初期に裁判所構成法等の改正が実施されたこと
(1) 昭和12年7月7日に盧溝橋事件が発生し,同月11日に「北支事変」と名付けられ,同年8月13日に第二次上海事変が発生したために華北での事変終結を前提とした船津和平工作が頓挫し,同年9月2日に日本政府は「北支事変」を「支那事変」と改称しました。
   つまり,日中戦争の初期に裁判所構成法等の改正が実施されたということです。
(2) 司法沿革誌(昭和14年10月に司法省が作成した文書)における,昭和12年7月7日の記事は以下のとおりです(旧字体を新字体に変えています。)。
   我北支駐屯軍部隊北平西南方ナル盧溝橋龍王廟附近ニ於テ夜間演習中同地ニアル馮治安部隊ノ一團ヨリ不意ニ不法発砲ヲ受ケシモ我方ハ隠忍自重シテ応射セス徐々ニ交渉ヲ進メタルニ支那側ハ毫モ誠意ヲ表セス為ニ彼我交戦ニ及ヒ遂ニ日支事変ノ端ヲナス


4 その後の恩給
(1) 国家公務員共済組合法(昭和23年6月30日法律第69号)94条に基づき,恩給法(大正12年4月10日法律第48号)の適用を受ける国家公務員については,退職給付(同法17条2号)としての退職年金(同法39条)ではなく,引き続き恩給が支給されることとなりました。
(2) 国家公務員共済組合法(昭和33年5月1日法律第128号)付則1条ただし書に基づき,昭和34年1月1日以降に退職した国家公務員については,恩給ではなく,退職給付(同法第4章第3節)としての退職年金(同法76条)が支給されることとなりました。
(3) 現行の公務員共済年金制度は、公務員の恩給期間及び旧共済組合員期間(旧国家公務員共済組合等の組合員であった期間をいいます。)を引き継いだ制度です(衆議院議員平岡秀夫君提出旧令共済組合の取扱いに関する質問に対する内閣答弁書(平成20年4月11日付)参照)。


第5 司法官以外の戦前の定年,及び戦前の幹部裁判官の人事等
1 司法官以外の戦前の定年
(1) 判事及び検事以外の官吏についても定年制の導入が検討されたものの,定年まで在官することが権利のごとく考えられるとかえって沈滞の空気が濃化するおそれがあるという考え等のために導入されませんでした(「国家公務員の定年引上げをめぐる議論」1頁参照)。
(2) 戦前の陸軍の場合,大将は65歳,中将は62歳,少将は58歳が定年であり,戦前の海軍の場合,大将は65歳,中将は60歳,少将は56歳が定年でしたが,元帥府に列せられた陸軍大将又は海軍大将については定年がありませんでした(Wikipediaの「停限年齢」参照)。
2 戦前の幹部裁判官の人事等
(1) 戦前の幹部裁判官の人事については,外部HPの「大正・昭和戦前期における幹部裁判官のキャリアパス分析-戦前期司法行政の一断面への接近」,及び「大正・昭和戦前期における司法省の裁判所支配」が非常に参考になります。
(2) 明治15年から明治34年までに明治法律学校を卒業した司法官の経歴が,外部HPの「明治法律学校出身の司法官群像」に載っています。
(3) 最高裁判所とともに(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官)には以下の記載があります。
(4頁の記載)
    明治憲法の下では、裁判官の身分は司法省に属し、司法大臣が監督した。違憲立法審査に関しては天皇の諮問機関である枢密院がある程度の力を持っていたが、最高裁に相当する大審院には権限がなかった。当然、司法官は行政官に比べて定年が長い分だけ出世も遅く、地位も必ずしも高くはなかった。大審院院長は、もちろん司法大臣より低くみられていた。
(56頁の記載)
    戦前の裁判官の人事権は司法大臣の下に置かれており、俸給面でも行政官が四〇歳半ばで次官などに登りつめるのに対し、裁判官は同じ俸給表を六三歳の定年までにゆっくり消化していくものとされていた。
(4) 主として戦前の検察制度の沿革が,検察庁HPの「我が国の検察制度の沿革」に載っています。

第6 関連記事その他
1(1) 1921年当時の大正天皇の病状について,Wikipediaの「大正天皇」には以下の記載があります。
    1920年(大正9年)から1921年(大正10年)2月にかけ皇太子妃の内定取り消しをめぐる宮中某重大事件が発生するも無事解決したのを受けて、1921年3月、皇太子裕仁親王は懸案だった欧州訪問に出発した。この頃の大正天皇は、同年7月に塩原御用邸へ静養に行った際には、侍従に抱えられてやっと歩き、風呂や階段を怖がったり、突然暴れだしたりした。また前年の出来事や身近な人物を忘れるなど記憶喪失状態に陥るなどの状態であった。
(2) 1920年3月30日に大正天皇の「体調悪化」が始めて宮内省から公表され,1921年11月25日,昭和天皇が大正天皇の摂政に就任し,摂政宮(せっしょうのみや)と呼ばれるようになり,1926年12月25日に大正天皇が47歳で崩御しました。
2 労働契約に定年の定めがないということは,ただ,雇用期間の定めがないというだけのことで,労働者に対して終身雇用を保障したり,将来にわたって定年制を採用しないことを意味するものではありません(最高裁大法廷昭和43年12月25日判決)。
3(1) 大正10年当時の日本人男性の平均寿命は42.06歳であり,65歳男性の平均余命は9.31年でした(厚生労働省HPの「表2 完全生命表における平均余命の年次推移」参照)から,大審院長及び検事総長の65歳という定年は当時の男性の平均寿命より23歳近くも長かったこととなります。
(2) 大阪の弁護士重次直樹のブログ「職業と寿命,長寿の秘訣:僧侶,画家,医師,学者,弁護士は長生き」が載っています。
4 以下の記事も参照して下さい。
・ 裁判官の定年が70歳又は65歳とされた根拠
・ 裁判官及び検察官の定年が定められた経緯(日本国憲法の制定経緯を含む。)
 幹部裁判官の定年予定日

検察庁法改正案の成立前後における,検事長の勤務延長の取扱い

目次
第1 検察庁法改正案の骨子,及び検察庁法改正案の条文
第2 現在の取扱い
1 検事長の勤務の延長
2 検事長の勤務の再延長
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
第3 検察庁法改正案が成立した場合の取扱い
1 検事長の勤務の延長
2 検事長の勤務の再延長
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
第4 検察庁法改正案が成立した場合に予想される影響(個人的見解です。)
1 政治家の犯罪に対する捜査がずっと少なくなるかも知れないこと
2 検事正について63歳以降の勤務延長が政治的に問題となる可能性は非常に小さいこと
3 平成26年4月以降に定年退官した検察官(令和2年5月14日追加)
4 検事について任期制を設けなかった理由の一つ
第5 関連記事

第1 検察庁法改正案の骨子,及び検察庁法改正案の条文
1 検察庁法改正案の骨子
(1) 検察庁法改正案の骨子は以下のとおりです。
① 定年延長
・ 検事総長以外の検察官の定年を63歳から65歳に引き上げて,検事総長の定年と同じにする(改正案22条1項)。
② 定年退職の特例
・ 定年に達した検察官のうち,当該検察官の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣又は法務大臣の準則で定める事由がある場合,検事総長については68歳まで(改正案22条2項),検事総長以外の検察官については66歳まで(次長検事及び検事長につき改正案22条2項,検事及び副検事につき改正案22条3項),その職を占めたまま在職できることとする(国家公務員法改正案81条の7の読替に基づく措置)。
③ 役職定年
・ 次長検事,検事長,検事正及び上席検察官の役職定年は63歳とし,63歳に達した日の翌日にヒラの検事とする(次長検事及び検事長につき改正案22条4項,検事正につき改正案9条2項,上席検察官につき改正案10条2項・9条2項)。
④ 役職定年の特例
・ 役職定年に達した検事のうち,当該検事をヒラの検事とすることにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣又は法務大臣の準則で定める事由がある場合,次長検事及び検事長については内閣の判断により(改正案22条5項及び6項),検事正及び上席検察官については法務大臣の判断により(改正案9条3項及び4項・10条2項),その職を占めたまま65歳まで在職できることとする。


(2) 現在の政府見解に基づく検事長等の勤務延長のうち,63歳から65歳までの勤務延長は役職定年の特例(④)に相当し(ただし,再度の勤務延長については人事院の承認が必要),65歳から66歳までの勤務延長は定年退職の特例(②)に相当することとなります(ただし,この年齢での勤務延長については人事院の承認が必要)。
2 検察庁法改正案の条文
(1)ア 検察庁法改正案を含む,国家公務員法等の一部を改正する法律案(第201回国会閣法第52号)(関係部分の抜粋です。)は,令和2年3月13日に国会に提出され,同年4月16日,衆議院内閣委員会に付託されました(衆議院HPの「議案審議経過情報」参照)。
イ 条文上,「役職定年」は「管理監督職勤務上限年齢」と表現されています。
(2) 内閣官房HPの「第201回 通常国会」に法律案の全文等が載っています。

第2 現在の取扱い
1 検事長の勤務の延長
(1) 検事長の任命権者である内閣(検察庁法15条1項)は,令和2年1月31日,下記の理由により,国家公務員法81条の3第1項に基づき,同年2月8日に63歳の定年を迎える黒川弘務東京高検検事長の勤務を半年間延長するという閣議決定を行いました(首相官邸HPの「令和2年1月31日(金)定例閣議案件」参照)。

   東京高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するためには,同高等検察庁検事長黒川弘務の検察官としての豊富な経験・知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠であり,同人には,当分の間,引き続き同検事長の職務を遂行させる必要がある。
(2) 黒川弘務東京高検検事長(平成31年1月18日就任)が検事長就任前に検察官として捜査公判に対応していたのは以下の時期だけですから,合計で11年10ヶ月半ぐらいです。
① 1983年4月7日から1991年7月24日までの約8年4ヶ月半
・  東京地検検事,福島地検郡山支部検事,新潟地検検事,東京地検検事及び名古屋地検検事をしていました。
② 1995年7月20日から1998年10月6日までの約3年3ヶ月半
・  青森地検弘前支部長及び東京地検検事をしていました。
③ 2010年8月10日から同年10月24日までの約2ヶ月半
・  松山地検検事正をしていました。
・ 2010年9月21日から報道されるようになった大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件に対応するため,同年10月25日,法務省大臣官房付となりました。
(3)ア 黒川弘務東京高検検事長の定年退職は,「業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき」(人事院規則11-8(職員の定年)7条3号)に該当するため,勤務延長されました(令和2年3月6日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁参照)。
イ 「重大かつ複雑困難な事件の捜査」が何であるかについては,捜査機関の活動内容及びその体制に関する事柄でもあることから,国会答弁でも明らかにされませんでした(令和2年3月6日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁参照)。
(4) 黒川弘務東京高検検事長の勤務延長に関する実例からすれば,検事長になる前に検察官として捜査公判を担当していた期間が12年程度である検事長であっても,「○○高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するためには,同高等検察庁検事長○○○○の検察官としての豊富な経験・知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠であり,同人には,当分の間,引き続き同検事長の職務を遂行させる必要がある。」といった理由を記載するだけで,任命権者である内閣限りの判断で勤務の延長ができることとなりますし,「重大かつ複雑困難事件の捜査」の中身を国会で説明する必要もないこととなります。
2 検事長の勤務の再延長
(1) 検事長の勤務の再延長は,任命権者である内閣が,人事院の承認を得た上で行うこととなります(国家公務員法81条の3第2項)し,その前提として,「重大かつ複雑困難事件の捜査」の中身を人事院に説明する必要があると思います。
(2) 検事長の勤務の再延長は,延長された期限が到来する場合において,「業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき」(人事院規則11-8(職員の定年)7条3号)という事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときに可能です。
(3) 定年制度の実施等について(昭和59年12月25日付の人事院事務総局任用局企画課長の文書)には以下の記載があります。
1 規則11―8第7条の各号には、例えば、次のような場合が該当する。
(中略)

  (3) 第3号
 定年退職予定者が大型研究プロジェクトチームの主要な構成員であるため、その者の退職により当該研究の完成が著しく遅延するなどの重大な障害が生ずる場合
 重要案件を担当する本府省局長である定年退職予定者について、当該重要案件に係る国会対応、各種審議会対応、外部との折衝、外交交渉等の業務の継続性を確保するため、引き続き任用する特別の必要性が認められる場合
 2 勤務延長を行う場合及び勤務延長の期限を延長する場合の期限は、当該勤務延長の事由に応じた必要最少限のものでなくてはならない。
(4) 検事長になるような人は法務省勤務の長い人が多いため,「捜査公判を担当する検察官としての豊富な知識・経験等」を有していない方が普通です。
   また,1年ぐらいで交代する検事長の勤務が最大で1年延長されたにもかかわらず,引き続き7条3号の事由が存在するケースというのは考えにくいです。
   そのため,人事院が7条3号を杓子定規に当てはめた場合,検事長の勤務の再延長を承認することはなさそうですから,事実上,最初の勤務延長しかできないことになると思います。
(5) 朝日新聞HPに載っている「東京高検検事長の定年延長についての元検察官有志による意見書」には以下の記載があります。
   仮に安倍総理の解釈のように国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用されると解釈しても、同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないことは明らかである。
   加えて人事院規則11―8第7条には「勤務延長は、職員が定年退職をすべきこととなる場合において、次の各号の1に該当するときに行うことができる」として、①職務が高度の専門的な知識、熟練した技能または豊富な経験を必要とするものであるため後任を容易に得ることができないとき、②勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その職員の退職により生ずる欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な障害が生ずるとき、③業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき、という場合を定年延長の要件に挙げている。
   これは要するに、余人をもって代えがたいということであって、現在であれば新型コロナウイルスの流行を収束させるために必死に調査研究を続けている専門家チームのリーダーで後継者がすぐには見付からないというような場合が想定される。
   現在、検察には黒川氏でなければ対応できないというほどの事案が係属しているのかどうか。引き合いに出されるゴーン被告逃亡事件についても黒川氏でなければ、言い換えれば後任の検事長では解決できないという特別な理由があるのであろうか。法律によって厳然と決められている役職定年を延長してまで検事長に留任させるべき法律上の要件に合致する理由は認め難い。
(6) 国家公務員法1条3項前段は,「何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、又は違反を企て若しくは共謀してはならない。」と定めています。
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
   検事長の場合と同様に,検事総長の勤務の延長は内閣限りの判断で可能であるものの,検事総長の勤務の再延長は人事院の承認が必要となります。

第3 検察庁法改正案が成立した場合の取扱い
1 検事長の勤務の延長
   検事長をヒラの検事とすることにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める場合に該当すれば,検事長の勤務の延長ができます(検察庁法改正案22条5項)。
   そのため,内閣は,現在と同様に,内閣限りの判断で検事長の勤務を延長することができます。
2 検事長の勤務の再延長
(1) ①検事長をヒラの検事とすることにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める場合」(65歳まで延長する場合),及び②検事長の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める場合(65歳から66歳まで延長する場合)に該当すれば,人事院の承認を得ることなく,検事長の勤務の延長ができます(65歳までは検察庁法改正案22条5項及び6項,65歳から66歳までは検察庁法改正案22条2項)。
   そのため,内閣は,現在の取扱いと異なり,内閣限りの判断で検事長の勤務を再延長することができます。
(2) 森まさこ法務大臣は,令和2年3月18日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① 現行の勤務延長制度は、検察官への適用に当たって、あくまで国家公務員法上の制度として、退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由が引き続き認められるかどうかという再延長の要件の該当性の判断等について、人事院による判断にもなじむものでございました。
しかし、このたびの改正により、国家公務員法上の勤務延長制度は、検察官には適用がない役職定年制を前提とした規定が加えられることになりました。他方で、検察官については、他の一般職の国家公務員とは異なり、役職定年制の趣旨を踏まえた独自の制度を検察庁法に設けました。
そのため、改正後の国家公務員法の勤務延長の規定を検察官に適用するに当たっては、検察庁法で読みかえ規定を設けた上、検察庁法独自の制度を前提として適用することになったものでございます。

② このような検察庁法独自の制度を前提とした勤務延長の再延長の要件の判断は、検察官の任命権者である内閣又は法務大臣によることがより適当であると考えたものでございます。
   もっとも、勤務延長の再延長の要件の判断についてより慎重に実施するものとするために、その判断による手続等について準則等で事前に明らかにすることで濫用を防止でき、適切に再延長がなされるものと考えております。
(3) 平成28年11月29日から平成31年4月1日までの2年4ヶ月余りの間,防衛大臣によって勤務を延長された統合幕僚長の場合,「我が国を取り巻く安全保障環境等を踏まえ、自衛隊の各種任務を適切に遂行する」という理由が,自衛隊法45条3項及び4項の「自衛官が定年に達したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるとき」に該当するということでした(平成29年6月13日付の内閣答弁書参照)。
   そして,「令和元年版防衛白書の刊行に寄せて」(防衛白書の発行日は令和元年10月25日)を前提とすれば,我が国を取り巻く安全保障環境等はずっと厳しいままですし,自衛官の勤務延長については人事院の承認が不要ですから,幹部自衛官の定年延長は事実上,自由にできる状態になっています。
   そのため,再延長について人事院の承認が不要になった場合,検事長の勤務延長についても事実上,内閣が自由にできる状態になる可能性があります。
3 検事総長の勤務の延長及び再延長
   検事長と同様に,内閣限りの判断で検事総長の勤務の再延長まで可能になります。

令和元年10月29日頃の,法務省の概要説明資料からの抜粋です。


第4 検察庁法改正案が成立した場合に予想される影響(個人的見解です。)
1 政治家の犯罪に対する捜査がずっと少なくなるかも知れないこと
(1) 定年制度は,人事の刷新等により組織運営の適正化を図るものでありますところ,定年に達した検事総長及び検事長の勤務が延長された場合,その分,人事が停滞することとなります。
(2) 現状では,検事総長及び検事長の勤務の再延長について人事院の承認を得られるとは思えません。
   そのため,内閣に高く評価された検事長であっても64歳までに検事長を退くこととなりますし,内閣に高く評価された検事総長であっても66歳までに検事総長を退くこととなります。


(3)ア exciteニュースの「”真っ黒”な甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか? 官邸と癒着した法務省幹部の”捜査潰し”全内幕」(2016年6月3日付)には以下の記載があります。
   「官房長という役職自体が、予算や人事の折衝をする役割で、政界とつながりが深いのですが、とくに黒川氏は小泉政権下で法務大臣官房参事官をつとめて以降、官房畑を歩んでおり、自民党、清和会にと非常に太いパイプをもっている。官房長になったのは民主党政権下の2011年なんですが、このときも民主党政権には非協力的で、自民党と通じているといわれていました。そして、第二次安倍政権ができると、露骨に官邸との距離を縮め、一体化といっていいくらいの関係を築くようになった。とくに菅官房長官、自民党の佐藤勉国対委員長とは非常に親しく、頻繁に会っているところを目撃されています」(前出・司法担当記者)
イ noteの「検事と人事ー検察庁法改正問題の背景」(2020年5月16日付)(筆者は落合洋司 元検事)には以下の記載があります。
   現在、問題になっている検察庁法改正で、認証官の定年延長が内閣の判断で行えるようになれば、政治の側から、この人物を検事総長に、と望んだ場合、定年延長してプールしておき(黒川氏のように)、検事総長人事の際に、その人物を任命するということが、従来より格段にやりやすくなるだろう。従来は、絞り込まれてきた検事総長候補以外に、修習期上、バランスを失せずに代わりえる人物はなかなか見出し難かった。それが、自由自在に定年延長ができることで、政権の目に叶った人物を一定数、プールできることになる。
ウ 文春オンラインの「そもそも、なぜ異例の出世ができた? 黒川前検事長が陰で呼ばれていた「意外なニックネーム」」(2020年5月26日付)には以下の記載があります。
   東京地検特捜部でロッキード事件を手掛けた吉永祐介氏は検事総長時代の1995年7月、次期総長と目されていた根來泰周・東京高検検事長(当時)が政界に近すぎることを嫌い、総長ポストを譲らずに根來氏を63歳で定年退官させている。この定年年齢の“ラグ”は、このように検察権力と政治権力の距離感を維持することにも寄与してきた歴史的背景もあるのだ。
2 検事正について63歳以降の勤務延長が政治的に問題となる可能性は非常に小さいこと
(1) 検察庁法改正案9条2項によれば,検事正は原則として63歳に達した日の翌日に他の職に補されるものとなっています。
   しかし,検事長になれる見込みがないにもかかわらず,61歳以上で検事正を続けていた検察官は,平成31年4月17日時点でいえば,田中素子京都地検検事正だけです(「法務・検察幹部名簿(2019年4月17日時点・生年月日順)」参照)。
   また,内閣としては,検事長の勤務延長が可能なわけですから,法務大臣を通じて検事正の勤務延長に介入する可能性は低いと思いますし,検事長の勤務延長ほど大きな影響がある話ではないです。
   そのため,検察庁法改正案が成立したとしても,61歳になるまでにほとんどが早期退職する検事正について,63歳以降の勤務延長が政治的に問題となる可能性は非常に小さいと思います。
(2)ア 読売新聞HPの「公証人ポスト回すため?念書に「10年で退職」」(2019年5月25日付)には以下の記載があります。
   複数の法務・検察関係者によると、法務・検察内部の慣行では、▽検事正経験者が公証人に再就職した場合、任期は最長10年か70歳まで▽地検の支部長や検察事務官ら検事正経験者以外の公証人の任期は最長8年――となっていた。
   この慣行に沿い、50歳代で公証人になる検事正は、10年後に退職することが明記された念書に署名。60歳以降に公証人に就いた検事正が、70歳の誕生日までに公証人を辞めると誓約した念書を同省に提出するケースもあった。地検の支部長や検察事務官ら検事正以外の念書には、8年後の退職が明記されていたという。
イ 根拠となる文書は法務省に存在しないものの,仮に読売新聞の記事が正しいとした場合,60歳になった後に検事正を早期退職して公証人になった場合,70歳まで公証人をすることができます。

3 平成26年4月1日以降に定年退官した検事
(1)ア ウエストロージャパンの「法曹界人事」(以前に掲載されていたデータを含む。)で確認できる検事でいえば,以下のとおりです(検事長は紫色表記です。)。
(令和元年度・4人)
・ 小川新一  広島高検検事長 (令和2年 3月26日限り)
・ 藤谷俊之  東京高検検事  (令和元年11月11日限り)
・ 遠藤秀一  東京高検検事  (令和元年10月 9日限り)
・ 椿剛志   東京高検検事  (令和元年 9月 7日限り)
(平成30年度・0人)
(該当者なし。)
(平成29年度・4人)
・ 柳浦清文  高松高検検事  (平成30年 1月15日限り)
・ 佐藤洋志  最高検検事   (平成29年12月 9日限り)
・ 阿賀学   東京高検検事  (平成29年10月16日限り)
・ 寺脇一峰  大阪高検検事長 (平成29年 4月12日限り)
(平成28年度・1人)
・ 伊丹俊彦  大阪高検検事長 (平成28年 9月 1日限り)
(平成27年度・2人)
・ 矢吹雄太郎 さいたま地検越谷支部長(平成28年 1月14日限り)
・ 尾崎道明  大阪高検検事長    (平成27年12月 4日限り)
(平成26年度・6人

・ 濱隆二   名古屋高検金沢支部長(平成27年 3月24日限り)
・ 長崎正治  名古屋高検検事   (平成27年 3月18日限り)
・ 河村博名  名古屋高検検事長  (平成27年 1月15日限り)
・ 巌文隆   大阪高検検事    (平成27年 1月 9日限り)
・ 水野美鈴  最高検検事     (平成26年 8月10日限り)
・ 山崎敬二  札幌法務局訟務部長 (平成26年 8月 1日限り)
イ 副検事の定年退官は珍しい話ではないです。
(2) 平成26年4月1日以降,検事長以外で定年退官した検事の人数の推移は以下のとおりですから,公証人に就任することを前提とした早期退職の慣行が変わらない限り,定年延長は普通の検事とほぼ関係がないです。
令和 元年度:3人
平成30年度:0人
平成29年度:3人
平成28年度:0人
平成27年度:1人
平成26年度:5人
4 検事について任期制を設けなかった理由の一つ
   「新検察制度の十年の回顧」には,裁判官と異なり,検事について任期制を設けなかった理由の一つとして以下の記載があります(昭和33年2月発行の法曹時報10巻2号66頁)。
口、政府の任命による官吏制度の下では原則として官吏に任期を設くべきではない。
   選挙によらず政府による任命を主とする現在の官吏制度において、官吏に任期を設けることは、恣意的な人事の行われる危険性が極めて大きくなるから、これを認める場合は例外とすべきである。裁判官についていえば、最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣でこれを任命するという方法により恣意的な人事の行われないよう十分保障があるから、その任期についてはこれを首肯することができるのであって、かかる事実を看過して任期制度をにわかに他の官吏に拡充することは正当ではない。
   殊に検事は行政官吏中職務の厳正を最も強く要請されるものであるから、人事を窓意的にする危険性の大きい任期制は、検事の職能にかんがみ政治的考慮にもとづく人事の行われる危険性をそれだけ多くもたらすことになる。かかる人事が一度でも行われれば検事の任命は絶えず疑惑を以て見られることになり、反対の立場の政府の任命した検事は、これを再任せしめないという傾向を生ずるようになり、窮極において検事は欲すると欲せざるとに拘らず政治的着色を蒙むることとなり、真面目な検事の到底耐え難いことになる。

第5 関連記事
① 東京高検検事長の勤務延長問題

② 国家公務員法81条の3に基づき,検察官の勤務延長が認められる理由
 令和2年の検察庁法改正案及び検察官俸給法改正案に関する法案審査資料

国家公務員法81条の3に基づき,検察官の勤務延長が認められる理由

国家公務員法81条の3に基づき,検察官の勤務延長が認められる理由としては,以下のものが考えられます。

1 検察官の勤務延長に関する政府見解(私が独自に政府答弁を要約したものです。)
   一般法たる国家公務員法の懲戒,服務等の諸規定については,特に読替規定を置くこともなく,当然に検察官にも適用されているのであって,例えば,任命権者から懲戒処分を受けた職員は人事院に不服申立てを行ってその審査を受けることができるものとされているところ、これは内閣が任命する検事長についても変わらない。
   また,公務員の中の新陳代謝を図りながら,きちっとした年齢まで働けるということを前提に,安心して人生設計をさせて,しっかり職務に当たらせるという定年制度の意義自身は,同じ国家公務員たる検察官と一般の公務員とで同じであるから,そこのところについて何か検察官の特殊性がどうこうという議論は基本的にはない。
   さらに,検察庁法32条の2は,その職務執行の公正が直接刑事裁判の結果に重大な影響を及ぼすという検察官の職務と責任の特殊性は国家公務員法施行後も変わらないことから,検察庁法中,検察官の任免に関する規定を国家公務員法の特例としたというものであり,他の一般の国家公務員についても定年が定められた昭和56年の国家公務員法改正後において検察官に特別の定年が定められているのは,その職務と責任に特殊性があることによるものと解される。
   ところで,昭和55年10月の総理府人事局作成の想定問答には,検察官の場合,勤務延長が認められないと記載されているものの,その理由は必ずしも明らかではないし,大学の教員についても勤務延長が認められない理由が職務の特殊性によるものかどうかも明らかではないし,当時と比べて色々検察行政が複雑化しているといった情勢の変化からすれば,行政府の判断として責任を持って解釈変更をするのであれば問題はない。
   また,司法大臣の決定により最大で3年間,引き続き検事は在職できるとしていた裁判所構成法80条ノ2と同趣旨の規定が検察庁法で定められなかった理由について帝国議会議事録等でも特段触れられていないため,その理由は必ずしも明らかではない。
   そのため,国家公務員が定年により退職するという規範そのものは,検察官であっても一般法たる国家公務員法によっているというべきであって,検察官の定年による退職は,検察庁法22条により定年年齢及び退職時期について修正された国家公務員法81条の2第1項に基づくものと解される。
   よって,前条第1項の規定により退職した場合に適用される国家公務員法81条の3は検察官にも適用されるものと解される。

2 政府答弁で言及されていないものの,政府見解を支持することにつながる理由
① 「一級の検察官は、内閣が、二級の検察官は、内閣総理大臣が、これを任免する。」と定めていた検察庁法15条3項が昭和24年5月31日法律第138号により削除され,検事及び副検事の任免権者に関する定めが検察庁法に存在しなくなった結果,国家公務員法55条1項及び61条に基づき,法務総裁(昭和27年8月1日以降は法務大臣)が検事及び副検事の任免権者となった(国家公務員法55条1項の適用につき昭和24年5月11日の参議院法務委員会における高橋一郎法務庁検務局長の答弁参照)
   また,「この法律の規定は、国家公務員法の如何なる条項をも廃止し、若しくは修正し、又はこれに代わるものではない。」と定める検察官俸給法(昭和23年7月1日法律第76号)附則8条は,国家公務員法の規定が検察官俸給法に優先するものであるという一つの思想を表現したものである(昭和23年5月5日の参議院司法委員会における岡咲恕一法務庁調査意見第一局長の答弁参照)ことからしても,検察官に対する国家公務員法の適用が避けられていたわけでは全くない。
   そのため,これらのことからしても,検察庁法に定めのない事項については,国家公務員法が当然に適用されるといえる。
② 検察庁法32条の2は,国家公務員法(昭和22年10月21日法律第120号)が制定された後の昭和24年5月31日法律第138号によって追加された条文であるところ,当時の国家公務員法には定年年齢及び退職時期の定めがなかったため,勤務延長が問題となることもなかった。
   そのため,定年年齢及び退職時期について定めているだけの検察庁法22条は,昭和56年6月11日法律第77号によって追加された国家公務員法81条の3(定年による退職の特例)の特例まで定めたものとはいえない。
③ 大学の教員については,教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基き,制定当時の教育公務員特例法(昭和24年1月12日法律第1号)8条2項に基づき,停年が定められていた。
   そして,平成13年4月1日以降,国立大学の教員については平成11年7月7日法律第83号による改正後の教育公務員特例法8条の2第2項(平成16年4月1日の国立大学法人化に伴い,平成15年7月16日法律第117号に基づき削除)に基づき,公立大学の教員については平成11年7月22日法律第107号による改正後の教育公務員特例法8条の3第2項(現在の8条2項)に基づき,勤務延長を定める国家公務員法81条の2及び地方公務員法28条の3の適用が明文で排除されるようになった。
   それにもかかわらず,検察庁法については同趣旨の改正が行われなかった。
④ 職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を60歳とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員については,60歳を超えて65歳を超えない範囲内の定年を人事院規則で定めることが予定されている(国家公務員法81条の2第2項3号)ところ,例えば,事務次官,外局の長官,会計検査院事務総長及び人事院事務総長の定年は62歳とされている(人事院規則11-8(職員の定年)別表)。
   そのため,職務と責任の特殊性は,定年年齢を遅くする方向に考慮すべき事情といえる。
⑤ 人事院は内閣の所轄の下にある(国家公務員法3条1項前段。なお,憲法73条4号の「官吏に関する事務を掌理すること。」参照)とはいえ,国家行政組織法の適用が除外されている(国家公務員法4条4項後段)し,会計検査院は内閣に対し独立の地位を有している(会計検査院法1条。なお,憲法90条1項参照)。
   そのため,これらの機関は,法務省に置かれる特別の機関であり(法務省設置法14条1項),検察に関する事務をつかさどる法務省(法務省設置法4条1項7号)の長である法務大臣(法務省設置法2条2項)の一般的な指揮監督を受ける検察庁(検察庁法14条本文)よりも高度の独立性を有しているといえる。
   そして,人事院事務総局(国家公務員法13条)の職員及び会計検査院事務総局(会計検査院法2条及び12条)の職員についても勤務延長に関する国家公務員法81条の3が適用されることからすれば,独立性を確保する必要性が高いというだけの理由により勤務延長を一律に否定する必要があるとはいえない。
⑥ 両議院の同意を経て,内閣が任命する人事官(国家公務員法5条1項)は,任命前の5年間において,政党の役員等をしていた者が任命されることはできないし(国家公務員法5条4項),同一の大学学部を卒業した人が2人以上任命されることはできない(国家公務員法5条5項)ぐらい,政治的中立性が要求されているところ,引き続き12年を超えて在任することができない(国家公務員法7条2項)とはいえ,定年の定め自体がない。
   そのため,政治的中立性を確保する必要性が高いというだけの理由により勤務延長を一律に否定する必要があるとはいえない。
⑦ 昭和56年4月28日の衆議院内閣委員会における斧誠之助人事院任用局長の答弁は,何ら理由を述べることなく,改正国家公務員法に基づく定年制が適用されないと説明しているに過ぎないし,そもそも検察庁法を所管している法務省刑事局長の答弁ではない。


*0 検察官の勤務の再延長については,人事院の承認が必要です(国家公務員法81条の3第2項)。
*1 以下の記事も参照してください。
① 東京高検検事長の勤務延長問題
② 検察庁法改正案の成立前後における,検事長の勤務延長の取扱い
③ 令和2年の検察庁法改正案及び検察官俸給法改正案に関する法案審査資料
*2 朝日新聞HPに載っている「東京高検検事長の定年延長についての元検察官有志による意見書」には以下の記載があります。
   この閣議決定(山中注:令和2年1月31日付の閣議決定のこと。)による黒川氏の定年延長は検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任には法的根拠はない。この点については、日弁連会長以下全国35を超える弁護士会の会長が反対声明を出したが、内閣はこの閣議決定を撤回せず、黒川氏の定年を超えての留任という異常な状態が現在も続いている。
*3 辻田力文部事務官は,昭和23年12月9日の参議院文教委員会において,教育公務員特例法案(8条2項は「教員の停年については、大学管理機関が定める。」でした。)に関して以下の答弁をしています。
   大学につきましてはこの採用昇任の外に、轉任或いは降任、免職、休職或いは任期、停年、懲戒、その他服務等に特別に、大学としての自治の精神、大学の自主性或いは学問の自由の保障という観点から、それぞれ大学におきまして、原則として自治的に自主的に運営できるような規定を各條に設けた次第であります。
*4 国家公務員の定年制度について(昭和54年8月9日付の,総理府総務長官宛の人事院総裁の書簡)(法令解説資料総覧26号(昭和57年2月発行)15頁及び16頁に掲載されているもの)には以下の記載があるものの,検察官及び大学の教員について勤務延長の適用を否定する実質的理由の記載はありません。
   定年制度は、適正な新陳代謝の促進を図るとともに、計画的な安定した人事管理の確保等を目的とするものであるので、任期を定めて又は臨時的に任用される職員を除く一般職に属する常勤の職員に適用するものとする。ただし、検察官及び大学の教員については、すでに検察庁法及び教育公務員特例法により、定年制度に関する規定が設けられているので,それらの規定するところによるものとする。
*5 人事院の平成11年度年次報告書の「定年後の新たな再任用制度の導入及び在職期間の長期化」には以下の記載があります。
① 定年後の新たな再任用制度の導入
   本格的な高齢社会を迎える中、平成13年4月から公的年金(基礎年金に相当する定額部分)の支給開始年齢が引き上げられることとされており、雇用と年金との連携を図るとともに、高齢者が長年培った能力・経験を有効に発揮できるよう65歳までの継続雇用を推進することは国全体の課題とされている。
   公務部門における高齢者雇用については、平成10年5月に人事院が行った意見の申出に基づき、平成11年7月、「国家公務員法等の一部を改正する法律」(平成11年法律第83号)が成立し、定年退職した者等を最長65歳まで再雇用する新たな再任用制度が導入され、年金の支給開始年齢の引上げが開始される平成13年4月1日から施行されることとなっている。事院は、新再任用制度の円滑な導入に向けた準備が各省庁において適切に行われるよう、平成11年10月、同制度の実施のために必要な事項を定めた規則11-9(定年退職者等の再任用)を制定した。
② 在職期間の長期化
   公務においては、ピラミッド型組織構造の下で年次主義的な昇進管理が行われてきたため、幹部職員の多くが50歳代前半に退職し、所属省庁のあっせんにより民間企業や特殊法人等に再就職する人事慣行が行われてきた。このような慣行は、円滑に組織の新陳代謝がなされる面があるが、官民の癒着が生じたり、長年培った職員の能力を公務に十分活用できないなどの弊害があり、近時是正する必要性が高まっている。
   人事院は、平成11年の給与勧告時の報告において、早期退職慣行の是正に向けて具体的な取組が必要であることを表明した。その際、幹部職員についても60歳(定年)までの在職を目指し、できるだけ長く公務部内で活用できるよう人事システムを再構築していくべきこと、当面、幹部職員の過半数が53歳以前で勧奨退職している現状の是正を図るべきであることを指摘した。また、在職期間の長期化に当たっては、行政をめぐる状況の変化に対応するために必要となるスタッフ職・専門職の充実やポストの再評価等を有効に活用することが必要であることも併せて表明した。
   人事院は、引き続き退職管理の適正化のため、関係機関との連携を図りながら検討を進めることとしている。
*6 参議院議員小西洋之君提出政府の憲法解釈の変更に関する質問に対する答弁書(平成27年10月6日付)には以下の記載があります。
   憲法を始めとする法令の解釈とは、法令の適用の前提として法令の意味内容を明らかにすることであり、法令解釈の変更とは、従前の法令解釈を変更することをいうが、憲法解釈の変更に当たっては、衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書(平成十六年六月十八日内閣衆質一五九第一一四号)一についてで述べたとおり、「憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではない」と考えており、この考え方は、憲法の下位規範である法令の解釈についても当てはまるものである。

法務・検察幹部名簿(2019年4月17日時点・修習期→生年月日順)

生年月日が開示される法務大臣決裁の対象人事に限るものの,法務・検察幹部の氏名,修習期,生年月日,年齢,現職就任日,現職及び前職につき,2019年4月17日時点のものを,修習期→生年月日順で以下のとおり掲載しています(元データは「法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)」に掲載しています。)。

1 稲田伸夫 33 期 1956年8月14日 62 歳 2018年7月25日 検事総長 ( 東京高検検事長 )
2 稲川龍也 35 期 1956年9月13日 62 歳 2018年1月9日 広島高検検事長 ( 高松高検検事長 )
3 黒川弘務 35 期 1957年2月8日 62 歳 2019年1月18日 東京高検検事長 ( 法務事務次官 )
4 林眞琴 35 期 1957年7月30日 61 歳 2018年1月9日 名古屋高検検事長 ( 法務省刑事局長 )
5 上野友慈 35 期 1957年8月28日 61 歳 2018年2月26日 大阪高検検事長 ( 札幌高検検事長 )
6 小川新二 36 期 1957年3月27日 62 歳 2018年1月9日 高松高検検事長 ( 最高検公安部長 )
7 大谷晃大 36 期 1957年5月7日 61 歳 2018年7月25日 仙台高検検事長 ( 横浜地検検事正 )
8 堺徹 36 期 1958年7月17日 60 歳 2018年7月25日 次長検事 ( 仙台高検検事長 )
9 榊原一夫 36 期 1958年8月6日 60 歳 2018年2月26日 福岡高検検事長 ( 大阪地検検事正 )
10 中川清明 36 期 1958年9月13日 60 歳 2016年9月5日 公安調査庁長官 ( 最高検公安部長 )
11 甲斐行夫 36 期 1959年9月26日 59 歳 2017年9月7日 東京地検検事正 ( 最高検刑事部長 )
12 井上宏 37 期 1957年6月17日 61 歳 2018年2月26日 札幌高検検事長 ( 名古屋地検検事正 )
13 片岡弘 37 期 1958年4月8日 61 歳 2018年2月26日 名古屋地検検事正 ( 千葉地検検事正 )
14 杉山治樹 37 期 1959年3月6日 60 歳 2018年1月22日 神戸地検検事正 ( 最高検検事 )
15 北川健太郎 37 期 1959年9月14日 59 歳 2018年2月26日 大阪地検検事正 ( 最高検刑事部長 )
16 中原亮一 37 期 1959年11月29日 59 歳 2018年7月25日 横浜地検検事正 ( 最高検公安部長 )
17 堀嗣亜貴 37 期 1960年5月4日 58 歳 2018年1月22日 福岡地検検事正 ( 仙台地検検事正 )
18 北村篤 37 期 1961年3月4日 58 歳 2018年2月26日 千葉地検検事正 ( 広島地検検事正 )
19 野口元郎 37 期 1961年4月1日 58 歳 2014年4月11日 最高検検事 ( 法務総合研究所国際協力部長 )
20 曽木徹也 38 期 1960年1月5日 59 歳 2018年7月25日 最高検公安部長 ( 東京高検次席検事 )
21 落合義和 38 期 1960年1月7日 59 歳 2018年2月26日 最高検刑事部長 ( さいたま地検検事正 )
22 大塲亮太郎 38 期 1960年3月6日 59 歳 2019年1月18日 法務総合研究所長 ( 最高検公判部長 )
23 辻裕教 38 期 1961年10月4日 57 歳 2019年1月18日 法務事務次官 ( 法務省刑事局長 )
24 千田恵介 39 期 1958年8月12日 60 歳 2018年6月25日 高松地検検事正 ( 法務総合研究所国際協力部長 )
25 山上秀明 39 期 1960年7月14日 58 歳 2018年7月25日 東京高検次席検事 ( 東京地検次席検事 )
26 田辺泰弘 39 期 1960年11月7日 58 歳 2017年6月23日 大阪高検次席検事 ( 大阪地検次席検事 )
27 廣上克洋 39 期 1961年11月8日 57 歳 2018年1月22日 最高検総務部長 ( 名古屋高検次席検事 )
28 和田雅樹 39 期 1961年12月21日 57 歳 2019年1月18日 最高検公判部長 ( 法務省入国管理局長 )
29 田中素子 40 期 1958年4月22日 60 歳 2018年2月26日 京都地検検事正 ( 水戸地検検事正 )
30 小澤正義 40 期 1959年1月3日 60 歳 2018年2月26日 札幌地検検事正 ( 福島地検検事正 )
31 阪井博 40 期 1959年4月1日 60 歳 2018年10月30日 宇都宮地検検事正 ( 金沢地検検事正 )
32 原島肇 40 期 1960年1月1日 59 歳 2018年6月25日 岐阜地検検事正 ( 広島高検次席検事 )
33 仁田良行 40 期 1960年2月4日 59 歳 2018年2月26日 長崎地検検事正 ( 鳥取地検検事正 )
34 畑野隆二 40 期 1960年4月14日 59 歳 2018年4月11日 岡山地検検事正 ( 高松高検次席検事 )
35 片山巌 40 期 1960年7月10日 58 歳 2019年4月17日 広島地検検事正 ( 前橋地検検事正 )
36 大図明 40 期 1961年3月20日 58 歳 2019年4月17日 前橋地検検事正 ( 仙台高検次席検事 )
37 小山太士 40 期 1961年5月13日 57 歳 2019年1月18日 法務省刑事局長 ( 法務省大臣官房長 )
38 吉池浩嗣 40 期 1961年12月11日 57 歳 2018年1月9日 大津地検検事正 ( 高知地検検事正 )
39 畝本直美 40 期 1962年7月9日 56 歳 2019年1月18日 最高検監察指導部長 ( 法務省保護局長 )
40 上富敏伸 40 期 1962年8月10日 56 歳 2019年1月18日 さいたま地検検事正 ( 最高検監察指導部長 )
41 関一穂 41 期 1959年7月16日 59 歳 2019年3月1日 最高検検事 ( 預金保険機構 )
42 関隆男 41 期 1959年10月14日 59 歳 2018年10月30日 新潟地検検事正 ( 札幌高検次席検事 )
43 矢本忠嗣 41 期 1960年1月13日 59 歳 2018年7月19日 山口地検検事正 ( 佐賀地検検事正 )
44 畝本毅 41 期 1960年7月17日 58 歳 2017年6月23日 大阪地検次席検事 ( 金沢地検検事正 )
45 吉田安志 41 期 1960年9月3日 58 歳 2018年10月30日 最高検検事 ( 新潟地検検事正 )
46 秋山仁美 41 期 1960年11月20日 58 歳 2018年7月25日 福井地検検事正 ( 東京法務局長 )
47 神村昌通 41 期 1961年3月8日 58 歳 2018年10月30日 静岡地検検事正 ( 最高検検事 )
48 吉田誠治 41 期 1961年4月27日 57 歳 2019年1月18日 最高検検事 ( 長野地検検事正 )
49 久木元伸 41 期 1961年7月21日 57 歳 2018年7月25日 東京地検次席検事 ( 最高検検事 )
50 河瀬由美子 41 期 1961年9月4日 57 歳 2018年1月22日 名古屋高検次席検事 ( 最高検検事 )
51 高嶋智光 41 期 1961年10月6日 57 歳 2019年4月1日 出入国在留管理庁次長 ( 法務省人権擁護局長 )
52 西谷隆 41 期 1961年11月28日 57 歳 2018年7月19日 最高検検事 ( 山口地検検事正 )
53 宇川春彦 41 期 1962年2月20日 57 歳 2019年1月18日 長野地検検事正 ( 最高検検事 )
54 廣瀬勝重 41 期 1962年7月8日 56 歳 2018年4月11日 高松高検次席検事 ( 青森地検検事正 )
55 齊藤隆博 41 期 1963年1月1日 56 歳 2017年7月27日 最高検検事 ( 徳島地検検事正 )
56 浦田啓一 41 期 1963年10月28日 55 歳 2018年1月9日 公安調査庁次長 ( 大津地検検事正 )
57 森本和明 41 期 1963年12月30日 55 歳 2019年3月11日 仙台地検検事正 ( 福岡高検次席検事 )
58 川原隆司 41 期 1964年8月16日 54 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房長 ( 最高検検事 )
59 山西宏紀 41 期 1964年9月6日 54 歳 2018年9月3日 高知地検検事正 ( 内閣府大臣官房独立公文書管理監 )
60 佐藤光代 42 期 1960年1月7日 59 歳 2018年4月11日 松江地検検事正 ( 静岡地検沼津支部長 )
61 片岡敏晃 42 期 1960年6月1日 58 歳 2018年9月3日 水戸地検検事正 ( 高知地検検事正 )
62 西村尚芳 42 期 1960年6月19日 58 歳 2018年4月11日 青森地検検事正 ( 東京地検刑事部長 )
63 佐藤美由紀 42 期 1960年8月30日 58 歳 2019年4月17日 仙台高検次席検事 ( 盛岡地検検事正 )
64 木村泰昌 42 期 1961年9月11日 57 歳 2019年1月28日 熊本地検検事正 ( 大分地検検事正 )
65 佐藤隆文 42 期 1962年1月14日 57 歳 2019年3月11日 福岡高検次席検事 ( 富山地検検事正 )
66 小野正弘 42 期 1962年2月4日 57 歳 2018年6月25日 広島高検次席検事 ( 和歌山地検検事正 )
67 木村匡良 42 期 1962年5月16日 56 歳 2018年1月22日 秋田地検検事正 ( 横浜地検小田原支部長 )
68 中村孝 42 期 1962年7月31日 56 歳 2018年6月25日 那覇地検検事正 ( 東京高検刑事部長 )
69 早川幸伸 42 期 1962年8月8日 56 歳 2019年3月11日 福島地検検事正 ( 宮崎地検検事正 )
70 高橋久志 42 期 1962年12月6日 56 歳 2018年10月30日 札幌高検次席検事 ( 甲府地検検事正 )
71 植村誠 42 期 1963年1月7日 56 歳 2018年2月26日 鳥取地検検事正 ( 神戸地検姫路支部長 )
72 山元裕史 42 期 1963年10月12日 55 歳 2018年7月25日 最高検検事 ( 福井地検検事正 )
73 菊池浩 42 期 1963年11月7日 55 歳 2019年4月1日 法務省人権擁護局長 ( 奈良地検検事正 )
74 白木功 42 期 1963年11月30日 55 歳 2018年7月19日 松山地検検事正 ( 東京高検公判部長 )
75 森脇尚史 43 期 1959年9月26日 59 歳 2018年10月30日 金沢地検検事正 ( 福岡地検小倉支部長 )
76 互敦史 43 期 1959年11月1日 59 歳 2018年6月25日 徳島地検検事正 ( 千葉地検次席検事 )
77 尾崎寛生 43 期 1961年2月10日 58 歳 2018年10月30日 釧路地検検事正 ( 名古屋地検岡崎支部長 )
78 吉田久 43 期 1961年4月26日 57 歳 2018年7月25日 山形地検検事正 ( 最高検検事 )
79 恒川由理子 43 期 1961年7月15日 57 歳 2018年7月19日 佐賀地検検事正 ( 京都地検次席検事 )
80 古谷伸彦 43 期 1961年11月26日 57 歳 2018年10月30日 鹿児島地検検事正 ( さいたま地検次席検事 )
81 長谷川保 43 期 1963年6月30日 55 歳 2018年7月25日 旭川地検検事正 ( 横浜地検川崎支部長 )
82 永幡無二雄 43 期 1963年8月30日 55 歳 2019年1月28日 大分地検検事正 ( 最高検検事 )
83 山口英幸 43 期 1963年10月2日 55 歳 2018年1月9日 奈良地検検事正 ( 横浜地検次席検事 )
84 山本真千子 43 期 1963年10月9日 55 歳 2018年6月25日 函館地検検事正 ( 大阪地検特別捜査部長 )
85 松本裕 43 期 1964年9月12日 54 歳 2019年1月18日 津地検検事正 ( 法務省大臣官房秘書課長 )
86 山本幸博 43 期 1964年12月4日 54 歳 2018年6月25日 和歌山地検検事正 ( 東京地検立川支部長 )
87 八澤健三郎 43 期 1965年1月27日 54 歳 2019年1月28日 最高検検事 ( 福岡地検次席検事 )
88 宮川博行 43 期 1965年2月16日 54 歳 2018年10月30日 甲府地検検事正 ( 最高検検事 )
89 工藤恭裕 43 期 1966年2月22日 53 歳 2019年4月10日 最高検検事 ( 名古屋高検公安部長 )
90 伊藤栄二 43 期 1966年10月4日 52 歳 2015年10月27日 法務省大臣官房人事課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
91 新田智昭 44 期 1962年10月12日 56 歳 2019年3月11日 富山地検検事正 ( 名古屋地検次席検事 )
92 鈴木眞理子 44 期 1963年2月19日 56 歳 2018年7月19日 京都地検次席検事 ( 大阪地検公判部長 )
93 小弓場文彦 44 期 1964年3月1日 55 歳 2019年1月28日 福岡地検次席検事 ( 大阪高検刑事部長 )
94 大久保和征 44 期 1964年12月16日 54 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検公安部長 )
95 勝山浩嗣 44 期 1965年1月1日 54 歳 2018年4月11日 神戸地検次席検事 ( 大阪地検公安部長 )
96 石井隆 44 期 1965年11月2日 53 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房審議官(訟務局担当) ( 法務総合研究所総務企画部長 )
97 飯島泰 44 期 1966年4月30日 52 歳 2019年4月17日 盛岡地検検事正 ( 最高検検事 )
98 加藤俊治 44 期 1966年7月26日 52 歳 2019年3月11日 宮崎地検検事正 ( 最高検検事 )
99 森本加奈 44 期 1966年12月15日 52 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検検事 )
100 竹内寛志 45 期 1964年11月3日 54 歳 2019年1月28日 横浜地検次席検事 ( 東京地検刑事部長 )
101 坂本佳胤 45 期 1964年11月18日 54 歳 2018年10月30日 さいたま地検次席検事 ( 東京高検検事 )
102 西山卓爾 45 期 1966年10月25日 52 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房政策立案総括審議官 ( 法務省大臣官房審議官(訟務局担当) )
103 清野憲一 45 期 1967年11月15日 51 歳 2018年6月25日 千葉地検次席検事 ( 東京地検公判部長 )
104 松下裕子 45 期 1968年2月20日 51 歳 2018年7月19日 法務省大臣官房会計課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
105 菅野俊明 46 期 1959年11月3日 59 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検検事 )
106 築雅子 46 期 1964年12月14日 54 歳 2019年3月11日 名古屋地検次席検事 ( 横浜地検公判部長 )
107 佐藤淳 46 期 1969年1月12日 50 歳 2019年4月1日 出入国在留管理庁審議官(総合調整担当) ( 法務省大臣官房施設課長 )
108 佐久間佳枝 47 期 1963年10月8日 55 歳 2019年4月1日 法務省大臣官房施設課長 ( 法務省人権擁護局総務課長 )
109 山内由光 47 期 1966年1月12日 53 歳 2018年2月26日 法務省大臣官房審議官(国際・人権担当) ( 法務省刑事局国際課長 )
110 吉川崇 47 期 1968年4月4日 51 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房秘書課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
111 保坂和人 47 期 1968年12月27日 50 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房審議官(刑事局担当) ( 法務省刑事局刑事法制管理官 )

法務・検察幹部名簿(2019年4月17日時点・生年月日順)

生年月日が開示される法務大臣決裁の対象人事に限るものの,法務・検察幹部の氏名,修習期,生年月日,年齢,現職就任日,現職及び前職につき,2019年4月17日時点のものを,生年月日順で以下のとおり掲載しています(元データは「法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)」に掲載しています。)。

1 稲田伸夫 33 期 1956年8月14日 62 歳 2018年7月25日 検事総長 ( 東京高検検事長 )
2 稲川龍也 35 期 1956年9月13日 62 歳 2018年1月9日 広島高検検事長 ( 高松高検検事長 )
3 黒川弘務 35 期 1957年2月8日 62 歳 2019年1月18日 東京高検検事長 ( 法務事務次官 )
4 小川新二 36 期 1957年3月27日 62 歳 2018年1月9日 高松高検検事長 ( 最高検公安部長 )
5 大谷晃大 36 期 1957年5月7日 61 歳 2018年7月25日 仙台高検検事長 ( 横浜地検検事正 )
6 井上宏 37 期 1957年6月17日 61 歳 2018年2月26日 札幌高検検事長 ( 名古屋地検検事正 )
7 林眞琴 35 期 1957年7月30日 61 歳 2018年1月9日 名古屋高検検事長 ( 法務省刑事局長 )
8 上野友慈 35 期 1957年8月28日 61 歳 2018年2月26日 大阪高検検事長 ( 札幌高検検事長 )
9 片岡弘 37 期 1958年4月8日 61 歳 2018年2月26日 名古屋地検検事正 ( 千葉地検検事正 )
10 田中素子 40 期 1958年4月22日 60 歳 2018年2月26日 京都地検検事正 ( 水戸地検検事正 )
11 堺徹 36 期 1958年7月17日 60 歳 2018年7月25日 次長検事 ( 仙台高検検事長 )
12 榊原一夫 36 期 1958年8月6日 60 歳 2018年2月26日 福岡高検検事長 ( 大阪地検検事正 )
13 千田恵介 39 期 1958年8月12日 60 歳 2018年6月25日 高松地検検事正 ( 法務総合研究所国際協力部長 )
14 中川清明 36 期 1958年9月13日 60 歳 2016年9月5日 公安調査庁長官 ( 最高検公安部長 )
15 小澤正義 40 期 1959年1月3日 60 歳 2018年2月26日 札幌地検検事正 ( 福島地検検事正 )
16 杉山治樹 37 期 1959年3月6日 60 歳 2018年1月22日 神戸地検検事正 ( 最高検検事 )
17 阪井博 40 期 1959年4月1日 60 歳 2018年10月30日 宇都宮地検検事正 ( 金沢地検検事正 )
18 関一穂 41 期 1959年7月16日 59 歳 2019年3月1日 最高検検事 ( 預金保険機構 )
19 北川健太郎 37 期 1959年9月14日 59 歳 2018年2月26日 大阪地検検事正 ( 最高検刑事部長 )
20 甲斐行夫 36 期 1959年9月26日 59 歳 2017年9月7日 東京地検検事正 ( 最高検刑事部長 )
21 森脇尚史 43 期 1959年9月26日 59 歳 2018年10月30日 金沢地検検事正 ( 福岡地検小倉支部長 )
22 関隆男 41 期 1959年10月14日 59 歳 2018年10月30日 新潟地検検事正 ( 札幌高検次席検事 )
23 互敦史 43 期 1959年11月1日 59 歳 2018年6月25日 徳島地検検事正 ( 千葉地検次席検事 )
24 菅野俊明 46 期 1959年11月3日 59 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検検事 )
25 中原亮一 37 期 1959年11月29日 59 歳 2018年7月25日 横浜地検検事正 ( 最高検公安部長 )
26 原島肇 40 期 1960年1月1日 59 歳 2018年6月25日 岐阜地検検事正 ( 広島高検次席検事 )
27 曽木徹也 38 期 1960年1月5日 59 歳 2018年7月25日 最高検公安部長 ( 東京高検次席検事 )
28 落合義和 38 期 1960年1月7日 59 歳 2018年2月26日 最高検刑事部長 ( さいたま地検検事正 )
29 佐藤光代 42 期 1960年1月7日 59 歳 2018年4月11日 松江地検検事正 ( 静岡地検沼津支部長 )
30 矢本忠嗣 41 期 1960年1月13日 59 歳 2018年7月19日 山口地検検事正 ( 佐賀地検検事正 )
31 仁田良行 40 期 1960年2月4日 59 歳 2018年2月26日 長崎地検検事正 ( 鳥取地検検事正 )
32 大塲亮太郎 38 期 1960年3月6日 59 歳 2019年1月18日 法務総合研究所長 ( 最高検公判部長 )
33 畑野隆二 40 期 1960年4月14日 59 歳 2018年4月11日 岡山地検検事正 ( 高松高検次席検事 )
34 堀嗣亜貴 37 期 1960年5月4日 58 歳 2018年1月22日 福岡地検検事正 ( 仙台地検検事正 )
35 片岡敏晃 42 期 1960年6月1日 58 歳 2018年9月3日 水戸地検検事正 ( 高知地検検事正 )
36 西村尚芳 42 期 1960年6月19日 58 歳 2018年4月11日 青森地検検事正 ( 東京地検刑事部長 )
37 片山巌 40 期 1960年7月10日 58 歳 2019年4月17日 広島地検検事正 ( 前橋地検検事正 )
38 山上秀明 39 期 1960年7月14日 58 歳 2018年7月25日 東京高検次席検事 ( 東京地検次席検事 )
39 畝本毅 41 期 1960年7月17日 58 歳 2017年6月23日 大阪地検次席検事 ( 金沢地検検事正 )
40 佐藤美由紀 42 期 1960年8月30日 58 歳 2019年4月17日 仙台高検次席検事 ( 盛岡地検検事正 )
41 吉田安志 41 期 1960年9月3日 58 歳 2018年10月30日 最高検検事 ( 新潟地検検事正 )
42 田辺泰弘 39 期 1960年11月7日 58 歳 2017年6月23日 大阪高検次席検事 ( 大阪地検次席検事 )
43 秋山仁美 41 期 1960年11月20日 58 歳 2018年7月25日 福井地検検事正 ( 東京法務局長 )
44 尾崎寛生 43 期 1961年2月10日 58 歳 2018年10月30日 釧路地検検事正 ( 名古屋地検岡崎支部長 )
45 北村篤 37 期 1961年3月4日 58 歳 2018年2月26日 千葉地検検事正 ( 広島地検検事正 )
46 神村昌通 41 期 1961年3月8日 58 歳 2018年10月30日 静岡地検検事正 ( 最高検検事 )
47 大図明 40 期 1961年3月20日 58 歳 2019年4月17日 前橋地検検事正 ( 仙台高検次席検事 )
48 野口元郎 37 期 1961年4月1日 58 歳 2014年4月11日 最高検検事 ( 法務総合研究所国際協力部長 )
49 吉田久 43 期 1961年4月26日 57 歳 2018年7月25日 山形地検検事正 ( 最高検検事 )
50 吉田誠治 41 期 1961年4月27日 57 歳 2019年1月18日 最高検検事 ( 長野地検検事正 )
51 小山太士 40 期 1961年5月13日 57 歳 2019年1月18日 法務省刑事局長 ( 法務省大臣官房長 )
52 恒川由理子 43 期 1961年7月15日 57 歳 2018年7月19日 佐賀地検検事正 ( 京都地検次席検事 )
53 久木元伸 41 期 1961年7月21日 57 歳 2018年7月25日 東京地検次席検事 ( 最高検検事 )
54 河瀬由美子 41 期 1961年9月4日 57 歳 2018年1月22日 名古屋高検次席検事 ( 最高検検事 )
55 木村泰昌 42 期 1961年9月11日 57 歳 2019年1月28日 熊本地検検事正 ( 大分地検検事正 )
56 辻裕教 38 期 1961年10月4日 57 歳 2019年1月18日 法務事務次官 ( 法務省刑事局長 )
57 高嶋智光 41 期 1961年10月6日 57 歳 2019年4月1日 出入国在留管理庁次長 ( 法務省人権擁護局長 )
58 廣上克洋 39 期 1961年11月8日 57 歳 2018年1月22日 最高検総務部長 ( 名古屋高検次席検事 )
59 古谷伸彦 43 期 1961年11月26日 57 歳 2018年10月30日 鹿児島地検検事正 ( さいたま地検次席検事 )
60 西谷隆 41 期 1961年11月28日 57 歳 2018年7月19日 最高検検事 ( 山口地検検事正 )
61 吉池浩嗣 40 期 1961年12月11日 57 歳 2018年1月9日 大津地検検事正 ( 高知地検検事正 )
62 和田雅樹 39 期 1961年12月21日 57 歳 2019年1月18日 最高検公判部長 ( 法務省入国管理局長 )
63 佐藤隆文 42 期 1962年1月14日 57 歳 2019年3月11日 福岡高検次席検事 ( 富山地検検事正 )
64 小野正弘 42 期 1962年2月4日 57 歳 2018年6月25日 広島高検次席検事 ( 和歌山地検検事正 )
65 宇川春彦 41 期 1962年2月20日 57 歳 2019年1月18日 長野地検検事正 ( 最高検検事 )
66 木村匡良 42 期 1962年5月16日 56 歳 2018年1月22日 秋田地検検事正 ( 横浜地検小田原支部長 )
67 廣瀬勝重 41 期 1962年7月8日 56 歳 2018年4月11日 高松高検次席検事 ( 青森地検検事正 )
68 畝本直美 40 期 1962年7月9日 56 歳 2019年1月18日 最高検監察指導部長 ( 法務省保護局長 )
69 中村孝 42 期 1962年7月31日 56 歳 2018年6月25日 那覇地検検事正 ( 東京高検刑事部長 )
70 早川幸伸 42 期 1962年8月8日 56 歳 2019年3月11日 福島地検検事正 ( 宮崎地検検事正 )
71 上富敏伸 40 期 1962年8月10日 56 歳 2019年1月18日 さいたま地検検事正 ( 最高検監察指導部長 )
72 新田智昭 44 期 1962年10月12日 56 歳 2019年3月11日 富山地検検事正 ( 名古屋地検次席検事 )
73 高橋久志 42 期 1962年12月6日 56 歳 2018年10月30日 札幌高検次席検事 ( 甲府地検検事正 )
74 齊藤隆博 41 期 1963年1月1日 56 歳 2017年7月27日 最高検検事 ( 徳島地検検事正 )
75 植村誠 42 期 1963年1月7日 56 歳 2018年2月26日 鳥取地検検事正 ( 神戸地検姫路支部長 )
76 鈴木眞理子 44 期 1963年2月19日 56 歳 2018年7月19日 京都地検次席検事 ( 大阪地検公判部長 )
77 長谷川保 43 期 1963年6月30日 55 歳 2018年7月25日 旭川地検検事正 ( 横浜地検川崎支部長 )
78 永幡無二雄 43 期 1963年8月30日 55 歳 2019年1月28日 大分地検検事正 ( 最高検検事 )
79 山口英幸 43 期 1963年10月2日 55 歳 2018年1月9日 奈良地検検事正 ( 横浜地検次席検事 )
80 佐久間佳枝 47 期 1963年10月8日 55 歳 2019年4月1日 法務省大臣官房施設課長 ( 法務省人権擁護局総務課長 )
81 山本真千子 43 期 1963年10月9日 55 歳 2018年6月25日 函館地検検事正 ( 大阪地検特別捜査部長 )
82 山元裕史 42 期 1963年10月12日 55 歳 2018年7月25日 最高検検事 ( 福井地検検事正 )
83 浦田啓一 41 期 1963年10月28日 55 歳 2018年1月9日 公安調査庁次長 ( 大津地検検事正 )
84 菊池浩 42 期 1963年11月7日 55 歳 2019年4月1日 法務省人権擁護局長 ( 奈良地検検事正 )
85 白木功 42 期 1963年11月30日 55 歳 2018年7月19日 松山地検検事正 ( 東京高検公判部長 )
86 森本和明 41 期 1963年12月30日 55 歳 2019年3月11日 仙台地検検事正 ( 福岡高検次席検事 )
87 小弓場文彦 44 期 1964年3月1日 55 歳 2019年1月28日 福岡地検次席検事 ( 大阪高検刑事部長 )
88 川原隆司 41 期 1964年8月16日 54 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房長 ( 最高検検事 )
89 山西宏紀 41 期 1964年9月6日 54 歳 2018年9月3日 高知地検検事正 ( 内閣府大臣官房独立公文書管理監 )
90 松本裕 43 期 1964年9月12日 54 歳 2019年1月18日 津地検検事正 ( 法務省大臣官房秘書課長 )
91 竹内寛志 45 期 1964年11月3日 54 歳 2019年1月28日 横浜地検次席検事 ( 東京地検刑事部長 )
92 坂本佳胤 45 期 1964年11月18日 54 歳 2018年10月30日 さいたま地検次席検事 ( 東京高検検事 )
93 山本幸博 43 期 1964年12月4日 54 歳 2018年6月25日 和歌山地検検事正 ( 東京地検立川支部長 )
94 築雅子 46 期 1964年12月14日 54 歳 2019年3月11日 名古屋地検次席検事 ( 横浜地検公判部長 )
95 大久保和征 44 期 1964年12月16日 54 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検公安部長 )
96 勝山浩嗣 44 期 1965年1月1日 54 歳 2018年4月11日 神戸地検次席検事 ( 大阪地検公安部長 )
97 八澤健三郎 43 期 1965年1月27日 54 歳 2019年1月28日 最高検検事 ( 福岡地検次席検事 )
98 宮川博行 43 期 1965年2月16日 54 歳 2018年10月30日 甲府地検検事正 ( 最高検検事 )
99 石井隆 44 期 1965年11月2日 53 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房審議官(訟務局担当) ( 法務総合研究所総務企画部長 )
100 山内由光 47 期 1966年1月12日 53 歳 2018年2月26日 法務省大臣官房審議官(国際・人権担当) ( 法務省刑事局国際課長 )
101 工藤恭裕 43 期 1966年2月22日 53 歳 2019年4月10日 最高検検事 ( 名古屋高検公安部長 )
102 飯島泰 44 期 1966年4月30日 52 歳 2019年4月17日 盛岡地検検事正 ( 最高検検事 )
103 加藤俊治 44 期 1966年7月26日 52 歳 2019年3月11日 宮崎地検検事正 ( 最高検検事 )
104 伊藤栄二 43 期 1966年10月4日 52 歳 2015年10月27日 法務省大臣官房人事課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
105 西山卓爾 45 期 1966年10月25日 52 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房政策立案総括審議官 ( 法務省大臣官房審議官(訟務局担当) )
106 森本加奈 44 期 1966年12月15日 52 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検検事 )
107 清野憲一 45 期 1967年11月15日 51 歳 2018年6月25日 千葉地検次席検事 ( 東京地検公判部長 )
108 松下裕子 45 期 1968年2月20日 51 歳 2018年7月19日 法務省大臣官房会計課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
109 吉川崇 47 期 1968年4月4日 51 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房秘書課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
110 保坂和人 47 期 1968年12月27日 50 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房審議官(刑事局担当) ( 法務省刑事局刑事法制管理官 )
111 佐藤淳 46 期 1969年1月12日 50 歳 2019年4月1日 出入国在留管理庁審議官(総合調整担当) ( 法務省大臣官房施設課長 )

法務・検察幹部名簿(2019年4月17日時点・ポスト順)

生年月日が開示される法務大臣決裁の対象人事に限るものの,法務・検察幹部の氏名,修習期,生年月日,年齢,現職就任日,現職及び前職につき,2019年4月17日時点のものを,ポスト順で以下のとおり掲載しています(元データは「法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)」に掲載しています。)。

(法務省幹部)
1 辻裕教 38 期 1961年10月4日 57 歳 2019年1月18日 法務事務次官 ( 法務省刑事局長 )
2 川原隆司 41 期 1964年8月16日 54 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房長 ( 最高検検事 )
3 西山卓爾 45 期 1966年10月25日 52 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房政策立案総括審議官 ( 法務省大臣官房審議官(訟務局担当) )
4 山内由光 47 期 1966年1月12日 53 歳 2018年2月26日 法務省大臣官房審議官(国際・人権担当) ( 法務省刑事局国際課長 )
5 保坂和人 47 期 1968年12月27日 50 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房審議官(刑事局担当) ( 法務省刑事局刑事法制管理官 )
6 石井隆 44 期 1965年11月2日 53 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房審議官(訟務局担当) ( 法務総合研究所総務企画部長 )
7 吉川崇 47 期 1968年4月4日 51 歳 2019年1月18日 法務省大臣官房秘書課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
8 伊藤栄二 43 期 1966年10月4日 52 歳 2015年10月27日 法務省大臣官房人事課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
9 松下裕子 45 期 1968年2月20日 51 歳 2018年7月19日 法務省大臣官房会計課長 ( 法務省刑事局総務課長 )
10 佐久間佳枝 47 期 1963年10月8日 55 歳 2019年4月1日 法務省大臣官房施設課長 ( 法務省人権擁護局総務課長 )
11 小山太士 40 期 1961年5月13日 57 歳 2019年1月18日 法務省刑事局長 ( 法務省大臣官房長 )
12 菊池浩 42 期 1963年11月7日 55 歳 2019年4月1日 法務省人権擁護局長 ( 奈良地検検事正 )
13 大塲亮太郎 38 期 1960年3月6日 59 歳 2019年1月18日 法務総合研究所長 ( 最高検公判部長 )
14 高嶋智光 41 期 1961年10月6日 57 歳 2019年4月1日 出入国在留管理庁次長 ( 法務省人権擁護局長 )
15 佐藤淳 46 期 1969年1月12日 50 歳 2019年4月1日 出入国在留管理庁審議官(総合調整担当) ( 法務省大臣官房施設課長 )
16 中川清明 36 期 1958年9月13日 60 歳 2016年9月5日 公安調査庁長官 ( 最高検公安部長 )
17 浦田啓一 41 期 1963年10月28日 55 歳 2018年1月9日 公安調査庁次長 ( 大津地検検事正 )
(検察幹部)
18 稲田伸夫 33 期 1956年8月14日 62 歳 2018年7月25日 検事総長 ( 東京高検検事長 )
19 堺徹 36 期 1958年7月17日 60 歳 2018年7月25日 次長検事 ( 仙台高検検事長 )
20 廣上克洋 39 期 1961年11月8日 57 歳 2018年1月22日 最高検総務部長 ( 名古屋高検次席検事 )
21 畝本直美 40 期 1962年7月9日 56 歳 2019年1月18日 最高検監察指導部長 ( 法務省保護局長 )
22 落合義和 38 期 1960年1月7日 59 歳 2018年2月26日 最高検刑事部長 ( さいたま地検検事正 )
23 曽木徹也 38 期 1960年1月5日 59 歳 2018年7月25日 最高検公安部長 ( 東京高検次席検事 )
24 和田雅樹 39 期 1961年12月21日 57 歳 2019年1月18日 最高検公判部長 ( 法務省入国管理局長 )
25 齊藤隆博 41 期 1963年1月1日 56 歳 2017年7月27日 最高検検事 ( 徳島地検検事正 )
26 関一穂 41 期 1959年7月16日 59 歳 2019年3月1日 最高検検事 ( 預金保険機構 )
27 西谷隆 41 期 1961年11月28日 57 歳 2018年7月19日 最高検検事 ( 山口地検検事正 )
28 吉田誠治 41 期 1961年4月27日 57 歳 2019年1月18日 最高検検事 ( 長野地検検事正 )
29 吉田安志 41 期 1960年9月3日 58 歳 2018年10月30日 最高検検事 ( 新潟地検検事正 )
30 山元裕史 42 期 1963年10月12日 55 歳 2018年7月25日 最高検検事 ( 福井地検検事正 )
31 工藤恭裕 43 期 1966年2月22日 53 歳 2019年4月10日 最高検検事 ( 名古屋高検公安部長 )
32 八澤健三郎 43 期 1965年1月27日 54 歳 2019年1月28日 最高検検事 ( 福岡地検次席検事 )
33 森本加奈 44 期 1966年12月15日 52 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検検事 )
34 大久保和征 44 期 1964年12月16日 54 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検公安部長 )
35 野口元郎 37 期 1961年4月1日 58 歳 2014年4月11日 最高検検事 ( 法務総合研究所国際協力部長 )
36 菅野俊明 46 期 1959年11月3日 59 歳 2019年4月1日 最高検検事 ( 東京高検検事 )
37 黒川弘務 35 期 1957年2月8日 62 歳 2019年1月18日 東京高検検事長 ( 法務事務次官 )
38 山上秀明 39 期 1960年7月14日 58 歳 2018年7月25日 東京高検次席検事 ( 東京地検次席検事 )
39 甲斐行夫 36 期 1959年9月26日 59 歳 2017年9月7日 東京地検検事正 ( 最高検刑事部長 )
40 久木元伸 41 期 1961年7月21日 57 歳 2018年7月25日 東京地検次席検事 ( 最高検検事 )
41 中原亮一 37 期 1959年11月29日 59 歳 2018年7月25日 横浜地検検事正 ( 最高検公安部長 )
42 竹内寛志 45 期 1964年11月3日 54 歳 2019年1月28日 横浜地検次席検事 ( 東京地検刑事部長 )
43 上富敏伸 40 期 1962年8月10日 56 歳 2019年1月18日 さいたま地検検事正 ( 最高検監察指導部長 )
44 坂本佳胤 45 期 1964年11月18日 54 歳 2018年10月30日 さいたま地検次席検事 ( 東京高検検事 )
45 北村篤 37 期 1961年3月4日 58 歳 2018年2月26日 千葉地検検事正 ( 広島地検検事正 )
46 清野憲一 45 期 1967年11月15日 51 歳 2018年6月25日 千葉地検次席検事 ( 東京地検公判部長 )
47 片岡敏晃 42 期 1960年6月1日 58 歳 2018年9月3日 水戸地検検事正 ( 高知地検検事正 )
48 阪井博 40 期 1959年4月1日 60 歳 2018年10月30日 宇都宮地検検事正 ( 金沢地検検事正 )
49 大図明 40 期 1961年3月20日 58 歳 2019年4月17日 前橋地検検事正 ( 仙台高検次席検事 )
50 神村昌通 41 期 1961年3月8日 58 歳 2018年10月30日 静岡地検検事正 ( 最高検検事 )
51 宮川博行 43 期 1965年2月16日 54 歳 2018年10月30日 甲府地検検事正 ( 最高検検事 )
52 宇川春彦 41 期 1962年2月20日 57 歳 2019年1月18日 長野地検検事正 ( 最高検検事 )
53 関隆男 41 期 1959年10月14日 59 歳 2018年10月30日 新潟地検検事正 ( 札幌高検次席検事 )
54 上野友慈 35 期 1957年8月28日 61 歳 2018年2月26日 大阪高検検事長 ( 札幌高検検事長 )
55 田辺泰弘 39 期 1960年11月7日 58 歳 2017年6月23日 大阪高検次席検事 ( 大阪地検次席検事 )
56 北川健太郎 37 期 1959年9月14日 59 歳 2018年2月26日 大阪地検検事正 ( 最高検刑事部長 )
57 畝本毅 41 期 1960年7月17日 58 歳 2017年6月23日 大阪地検次席検事 ( 金沢地検検事正 )
58 田中素子 40 期 1958年4月22日 60 歳 2018年2月26日 京都地検検事正 ( 水戸地検検事正 )
59 鈴木眞理子 44 期 1963年2月19日 56 歳 2018年7月19日 京都地検次席検事 ( 大阪地検公判部長 )
60 杉山治樹 37 期 1959年3月6日 60 歳 2018年1月22日 神戸地検検事正 ( 最高検検事 )
61 勝山浩嗣 44 期 1965年1月1日 54 歳 2018年4月11日 神戸地検次席検事 ( 大阪地検公安部長 )
62 山口英幸 43 期 1963年10月2日 55 歳 2018年1月9日 奈良地検検事正 ( 横浜地検次席検事 )
63 吉池浩嗣 40 期 1961年12月11日 57 歳 2018年1月9日 大津地検検事正 ( 高知地検検事正 )
64 山本幸博 43 期 1964年12月4日 54 歳 2018年6月25日 和歌山地検検事正 ( 東京地検立川支部長 )
65 林眞琴 35 期 1957年7月30日 61 歳 2018年1月9日 名古屋高検検事長 ( 法務省刑事局長 )
66 河瀬由美子 41 期 1961年9月4日 57 歳 2018年1月22日 名古屋高検次席検事 ( 最高検検事 )
67 片岡弘 37 期 1958年4月8日 61 歳 2018年2月26日 名古屋地検検事正 ( 千葉地検検事正 )
68 築雅子 46 期 1964年12月14日 54 歳 2019年3月11日 名古屋地検次席検事 ( 横浜地検公判部長 )
69 松本裕 43 期 1964年9月12日 54 歳 2019年1月18日 津地検検事正 ( 法務省大臣官房秘書課長 )
70 原島肇 40 期 1960年1月1日 59 歳 2018年6月25日 岐阜地検検事正 ( 広島高検次席検事 )
71 秋山仁美 41 期 1960年11月20日 58 歳 2018年7月25日 福井地検検事正 ( 東京法務局長 )
72 森脇尚史 43 期 1959年9月26日 59 歳 2018年10月30日 金沢地検検事正 ( 福岡地検小倉支部長 )
73 新田智昭 44 期 1962年10月12日 56 歳 2019年3月11日 富山地検検事正 ( 名古屋地検次席検事 )
74 稲川龍也 35 期 1956年9月13日 62 歳 2018年1月9日 広島高検検事長 ( 高松高検検事長 )
75 小野正弘 42 期 1962年2月4日 57 歳 2018年6月25日 広島高検次席検事 ( 和歌山地検検事正 )
76 片山巌 40 期 1960年7月10日 58 歳 2019年4月17日 広島地検検事正 ( 前橋地検検事正 )
77 矢本忠嗣 41 期 1960年1月13日 59 歳 2018年7月19日 山口地検検事正 ( 佐賀地検検事正 )
78 畑野隆二 40 期 1960年4月14日 59 歳 2018年4月11日 岡山地検検事正 ( 高松高検次席検事 )
79 植村誠 42 期 1963年1月7日 56 歳 2018年2月26日 鳥取地検検事正 ( 神戸地検姫路支部長 )
80 佐藤光代 42 期 1960年1月7日 59 歳 2018年4月11日 松江地検検事正 ( 静岡地検沼津支部長 )
81 榊原一夫 36 期 1958年8月6日 60 歳 2018年2月26日 福岡高検検事長 ( 大阪地検検事正 )
82 佐藤隆文 42 期 1962年1月14日 57 歳 2019年3月11日 福岡高検次席検事 ( 富山地検検事正 )
83 堀嗣亜貴 37 期 1960年5月4日 58 歳 2018年1月22日 福岡地検検事正 ( 仙台地検検事正 )
84 小弓場文彦 44 期 1964年3月1日 55 歳 2019年1月28日 福岡地検次席検事 ( 大阪高検刑事部長 )
85 恒川由理子 43 期 1961年7月15日 57 歳 2018年7月19日 佐賀地検検事正 ( 京都地検次席検事 )
86 仁田良行 40 期 1960年2月4日 59 歳 2018年2月26日 長崎地検検事正 ( 鳥取地検検事正 )
87 永幡無二雄 43 期 1963年8月30日 55 歳 2019年1月28日 大分地検検事正 ( 最高検検事 )
88 木村泰昌 42 期 1961年9月11日 57 歳 2019年1月28日 熊本地検検事正 ( 大分地検検事正 )
89 古谷伸彦 43 期 1961年11月26日 57 歳 2018年10月30日 鹿児島地検検事正 ( さいたま地検次席検事 )
90 加藤俊治 44 期 1966年7月26日 52 歳 2019年3月11日 宮崎地検検事正 ( 最高検検事 )
91 中村孝 42 期 1962年7月31日 56 歳 2018年6月25日 那覇地検検事正 ( 東京高検刑事部長 )
92 大谷晃大 36 期 1957年5月7日 61 歳 2018年7月25日 仙台高検検事長 ( 横浜地検検事正 )
93 佐藤美由紀 42 期 1960年8月30日 58 歳 2019年4月17日 仙台高検次席検事 ( 盛岡地検検事正 )
94 森本和明 41 期 1963年12月30日 55 歳 2019年3月11日 仙台地検検事正 ( 福岡高検次席検事 )
95 早川幸伸 42 期 1962年8月8日 56 歳 2019年3月11日 福島地検検事正 ( 宮崎地検検事正 )
96 吉田久 43 期 1961年4月26日 57 歳 2018年7月25日 山形地検検事正 ( 最高検検事 )
97 飯島泰 44 期 1966年4月30日 52 歳 2019年4月17日 盛岡地検検事正 ( 最高検検事 )
98 木村匡良 42 期 1962年5月16日 56 歳 2018年1月22日 秋田地検検事正 ( 横浜地検小田原支部長 )
99 西村尚芳 42 期 1960年6月19日 58 歳 2018年4月11日 青森地検検事正 ( 東京地検刑事部長 )
100 井上宏 37 期 1957年6月17日 61 歳 2018年2月26日 札幌高検検事長 ( 名古屋地検検事正 )
101 高橋久志 42 期 1962年12月6日 56 歳 2018年10月30日 札幌高検次席検事 ( 甲府地検検事正 )
102 小澤正義 40 期 1959年1月3日 60 歳 2018年2月26日 札幌地検検事正 ( 福島地検検事正 )
103 山本真千子 43 期 1963年10月9日 55 歳 2018年6月25日 函館地検検事正 ( 大阪地検特別捜査部長 )
104 長谷川保 43 期 1963年6月30日 55 歳 2018年7月25日 旭川地検検事正 ( 横浜地検川崎支部長 )
105 尾崎寛生 43 期 1961年2月10日 58 歳 2018年10月30日 釧路地検検事正 ( 名古屋地検岡崎支部長 )
106 小川新二 36 期 1957年3月27日 62 歳 2018年1月9日 高松高検検事長 ( 最高検公安部長 )
107 廣瀬勝重 41 期 1962年7月8日 56 歳 2018年4月11日 高松高検次席検事 ( 青森地検検事正 )
108 千田恵介 39 期 1958年8月12日 60 歳 2018年6月25日 高松地検検事正 ( 法務総合研究所国際協力部長 )
109 互敦史 43 期 1959年11月1日 59 歳 2018年6月25日 徳島地検検事正 ( 千葉地検次席検事 )
110 山西宏紀 41 期 1964年9月6日 54 歳 2018年9月3日 高知地検検事正 ( 内閣府大臣官房独立公文書管理監 )
111 白木功 42 期 1963年11月30日 55 歳 2018年7月19日 松山地検検事正 ( 東京高検公判部長 )

歴代の水戸地裁所長

1 長井澄(ながい・きよし) 高輪2期 東大
在任期間:昭和50年7月15日~昭和51年6月27日(在官中死亡)
2 西村宏一(にしむら・こういち) 1期 東大
在任期間:昭和51年7月7日~昭和53年4月9日
3 船田三雄(ふなだ・みつお) 2期 東北大
在任期間:昭和53年4月10日~昭和55年4月30日
4 森綱郎(もり・つなお) 2期 東大
在任期間:昭和55年5月1日~昭和57年7月14日
5 可部恒雄(かべ・つねお) 4期 東大
在任期間:昭和57年7月15日~昭和59年2月19日
6 中島一郎(なかじま・いちろう) 3期 京大
在任期間:昭和59年2月20日~昭和60年11月4日
7 横山長(よこやま・ひさし) 4期 東大
在任期間:昭和60年11月5日~昭和62年11月24日
8 梅田晴亮(うめだ・せいりょう) 8期 京大
在任期間:昭和62年11月25日~平成元年8月24日
9 吉丸眞(よしまる・まこと) 10期 東大
在任期間:平成元年8月25日~平成3年1月4日
10 横田安弘(よこた・やすひろ) 11期 東大
在任期間:平成3年1月5日~平成4年3月9日
11 三宅弘人(みやけ・ひろと)13期 国際基督教大
在任期間:平成4年3月10日~平成5年11月30日
12 荒井史男(あらい・ふみお) 14期 京大
在任期間:平成5年12月1日~平成7年11月6日
13 筧康生(かけひ・やすお) 16期 京大
在任期間:平成7年11月7日~平成9年6月29日
14 木谷明(きたに・あきら) 15期 東大
在任期間:平成9年6月30日~平成11年2月14日
15 中込秀樹(なかごめ・ひでき) 19期 東大
在任期間:平成11年2月15日~平成12年1月30日
16 原田國男(はらだ・くにお) 21期 東大
在任期間:平成12年1月31日~平成13年9月15日
17 白木勇(しらき・いさむ) 22期 東大
在任期間:平成13年9月15日~平成14年11月14日
18 佐藤久夫(さとう・ひさお) 23期 中央大
在任期間:平成14年11月15日~平成16年5月26日
19 小林克己(こばやし・かつみ) 22期 東大
在任期間:平成16年5月27日~平成17年12月22日
20 一宮なほみ(いちみや・なほみ) 26期 中央大
在任期間:平成17年12月23日~平成19年5月6日
21 加藤新太郎(かとう・しんたろう) 27期 名古屋大
在任期間:平成19年5月7日~平成21年4月19日
22 市村陽典(いちむら・ようすけ) 28期 一橋大
在任期間:平成21年4月20日~平成22年7月6日
23 小池裕(こいけ・ひろし) 29期 東大
在任期間:平成22年7月7日~平成24年3月11日
24 菅野博之(かんの・ひろゆき)32 期 東北大
在任期間:平成24年3月12日~平成26年3月31日
25 栃木力(とちぎ・つとむ) 33期 東大
在任期間:平成26年4月1日~平成27年3月29日
26 今崎幸彦(いまさき・ゆきひこ) 35期 京大
在任期間:平成27年3月30日~平成28年4月6日
27 垣内正(かきうち・ただし) 38期 大阪大
在任期間:平成28年4月7日~平成29年9月2日
28 中里智美(なかざと・ともみ) 37期 中央大
在任期間:平成29年9月3日~平成30年9月9日
29 中村慎(なかむら・まこと) 40期 京大
在任期間:平成30年9月12日~令和元年9月1日
30 渡部勇次(わたなべ・ゆうじ) 40期 京大
在任期間:令和元年9月2日~令和3年8月1日
31 松本利幸(まつもと・としゆき) 42期 早稲田大
在任期間:令和3年8月2日~令和5年2月25日
32 福井章代(ふくい・あきよ) 42期 早稲田大
在任期間:令和5年2月26日~令和6年9月24日
33 河本雅也(かわもと・まさや) 44期 東大
在任期間:令和6年9月25日~

*0 裁判所HPに「水戸地方裁判所長」が載っています。
*1 最後の職が最高裁裁判官である人は赤文字表記とし,最後の職が高裁長官である人は紫文字表記としています。
*2 裁判所ぶらり旅HP「水戸」が載っています。
*3 水戸地裁の裁判官配置等を以下のとおり掲載しています。
平成25年平成31年令和7年
*4 水戸地裁の民事事件数を以下のとおり掲載しています。
(民事刑事共通)
平成23年ないし平成25年平成27年平成28年平成29年平成30年
(民事)
平成26年
令和元年
令和2年令和3年令和4年令和5年
令和6年令和7年
(刑事)
令和元年令和2年令和3年令和4年令和5年
令和6年令和7年
*5 以下の資料を掲載しています。
・ 令状に関する宿直又は日直担当者が使用している水戸地裁のマニュアル及び説明会資料(令和7年8月の開示文書)
・ 水戸地裁の平成30年度法曹三者協議会関係文書
・ 水戸地裁の平成28年度管財人等協議会 協議結果要旨
・ 平成24年度水戸地裁の執行官事務査察
・ 吉戒修一東京高裁長官の水戸地家裁の視察関係書類(平成24年9月26日実施分)
 水戸地裁司法行政事務処理規程(昭和63年3月22日制定)

自賠責保険の支払基準(令和2年4月1日以降の交通事故に適用されるもの)

目次
第1部 自賠責保険の支払基準
第2部 支払基準の改正経緯等
第3部 関連記事その他

第1部 自賠責保険の支払基準
・ 令和元年12月12日金融庁告示・国土交通省告示第3号による改正後の,自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(令和2年4月1日以降の交通事故に適用されるもの)は以下のとおりです(改正部分は赤文字表記です。また,自賠責保険の支払基準の根拠は自賠法16条の3です。)。
・ 平成14年4月から令和2年3月までに発生した交通事故の場合,休業損害は1日につき5700円であり,通院慰謝料は1日につき4200円となります。

第1 総則
1 自動車損害賠償責任保険の保険金等の支払は、自動車損害賠償保障法施行令(昭和30年政令第286号)第2条並びに別表第1及び別表第2に定める保険金額を限度としてこの基準によるものとする。
2 保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者1人につき、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める額とする。ただし、複数の自動車による事故について保険金等を支払う場合は、それぞれの保険契約に係る保険金額を合算した額を限度とする。

第2 傷害による損害
   傷害による損害は、積極損害(治療関係費、文書料その他の費用)、休業損害及び慰謝料とする。
1 積極損害
(1) 治療関係費
① 応急手当費
    応急手当に直接かかる必要かつ妥当な実費とする。
② 診察料
    初診料、再診料又は往診料にかかる必要かつ妥当な実費とする。
③ 入院料
    入院料は、原則としてその地域における普通病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。ただし、被害者の傷害の態様等から医師が必要と認めた場合は、上記以外の病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。
④ 投薬料、手術料、処置料等
    治療のために必要かつ妥当な実費とする。
⑤ 通院費、転院費、入院費又は退院費
    通院、転院、入院又は退院に要する交通費として必要かつ妥当な実費とする。
⑥ 看護料
ア  入院中の看護料
     原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に1日につき4,200円とする。
イ 自宅看護料又は通院看護料
     医師が看護の必要性を認めた場合に次のとおりとする。ただし、12歳以下の子供の通院等に近親者等が付き添った場合には医師の証明は要しない。
(ア) 厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介による者
    立証資料等により必要かつ妥当な実費とする。
(イ) 近親者等
    1日につき2,100円とする。
ウ 近親者等に休業損害が発生し、立証資料等により、ア又はイ(イ)の額を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。
⑦ 諸雑費
     療養に直接必要のある諸物品の購入費又は使用料、医師の指示により摂取した栄養物の購入費、通信費等とし、次のとおりとする。
ア  入院中の諸雑費
   入院1日につき1,100円とする。立証資料等により1日につき1,100円を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。
イ 通院又は自宅療養中の諸雑費
   必要かつ妥当な実費とする。
⑧ 柔道整復等の費用
   免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。
(山中注)整骨院の保険外施術費は支払対象外です。

⑨ 義肢等の費用
ア 傷害を被った結果、医師が身体の機能を補完するために必要と認めた義肢、歯科補てつ、義眼、眼鏡(コンタクトレンズを含む。)、補聴器、松葉杖等の用具の制作等に必要かつ妥当な実費とする。
イ アに掲げる用具を使用していた者が、傷害に伴い当該用具の修繕又は再調達を必要とするに至った場合は、必要かつ妥当な実費とする。
ウ ア及びイの場合の眼鏡(コンタクトレンズを含む。)の費用については、50,000円を限度とする。
⑩ 診断書等の費用
   診断書、診療報酬明細書等の発行に必要かつ妥当な実費とする。
(山中注)警察用の診断書作成にかかった費用は支払対象外です。

(2) 文書料
   交通事故証明書、被害者側の印鑑証明書、住民票等の発行に必要かつ妥当な実費とする。
(3) その他の費用
(1) 治療関係費及び(2)文書料以外の損害であって事故発生場所から医療機関まで被害者を搬送するための費用等については、必要かつ妥当な実費とする。


2 休業損害
(1) 休業損害は、休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に1日につき原則として6,100円とする。ただし、家事従事者については、休業による収入の減少があったものとみなす。
(2) 休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とする。
(3) 立証資料等により1日につき6,100円を超えることが明らかな場合は、自動車損害賠償保障法施行令第3条の2に定める金額を限度として、その実額とする。
3 慰謝料
(1) 慰謝料は、1日につき4,300円とする。
(2) 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。
(山中注)「慰謝料の対象となる日数」につき,治療期間(事故から完治日又は症状固定日まで)の全日数と,実通院日数(入院日数+実際に通院した日数)の二倍のいずれか少ない方の数値が対象となります(交通事故サポートセンターHP「自賠責保険のしくみと慰謝料計算方法」参照)から,2日に1回以下の通院ペースの場合,1回につき8600円が自賠責保険基準の通院慰謝料となります。
(3) 妊婦が胎児を死産又は流産した場合は、上記のほかに慰謝料を認める。


第3 後遺障害による損害
    後遺障害による損害は、逸失利益及び慰謝料等とし、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める等級に該当する場合に認める。
    等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。
1 逸失利益
    逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額に該当等級の労働能力喪失率(別表Ⅰ)と後遺障害確定時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ-1)を乗じて算出した額とする。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額(別表Ⅲ)の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。
(1) 有職者
    事故前1年間の収入額と後遺障害確定時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。ただし、次の者については、それぞれに掲げる額を収入額とする。
① 35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者
    事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の
年相当額のいずれか高い額。
② 事故前1年間の収入額を立証することが困難な者
ア 35歳未満の者
    全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
イ 35歳以上の者
    年齢別平均給与額の年相当額。
③ 退職後1年を経過していない失業者(定年退職者等を除く。)
    以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは、「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。
(2) 幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
    全年齢平均給与額の年相当額とする。ただし、59歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額とする。
(3) その他働く意思と能力を有する者
    年齢別平均給与額の年相当額とする。ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。


2 慰謝料等
(1) 後遺障害に対する慰謝料等の額は、該当等級ごとに次に掲げる表の金額とする。
① 自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合
第1級      第2級
1,650万円 1,203万円
② 自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合
第1級       第2級     第3級      第4級      第5級
1,150万円 998万円 861万円 737万円 618万円
第6級             第7級         第8級         第9級          第10級
512万円    419万円 331万円 249万円 190万円
第11級        第12級    第13級    第14級
136万円   94万円    57万円    32万円
(2)① 自動車損害賠償保障法施行令別表第1の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1,850万円とし、第2級については1,373万円とする。
② 自動車損害賠償保障法施行令別表第2第1級、第2級又は第3級の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1,350万円とし、第2級については1,168万円とし、第3級については1,005万円とする。
(3) 自動車損害賠償保障法施行令別表第1に該当する場合は、初期費用等として、第1級には500万円を、第2級には205万円を加算する。


第4 死亡による損害
    死亡による損害は、葬儀費、逸失利益、死亡本人の慰謝料及び遺族の慰謝料とする。
    後遺障害による損害に対する保険金等の支払の後、被害者が死亡した場合の死亡による損害について、事故と死亡との間に因果関係が認められるときには、その差額を認める。
1 葬儀費
   葬儀費は、100万円とする。
2 逸失利益
(1) 逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ-1)を乗じて算出する。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額(別表Ⅲ)の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。
① 有職者
    事故前1年間の収入額と死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。ただし、次に掲げる者については、それぞれに掲げる額を収入額とする。
ア 35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者
    事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
イ 事故前1年間の収入額を立証することが困難な者
(ア) 35歳未満の者
    全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
(イ) 35歳以上の者
    年齢別平均給与額の年相当額。
ウ 退職後1年を経過していない失業者(定年退職者等を除く。)
    以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは、「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。
②  幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
    全年齢平均給与額の年相当額とする。ただし、59歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額とする。
③  の他働く意思と能力を有する者
    年齢別平均給与額の年相当額とする。ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。
(2) (1)にかかわらず、年金等の受給者の逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ-1)を乗じて得られた額と、年金等から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における平均余命年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ-2)から死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を差し引いた係数を乗じて得られた額とを合算して得られた額とする。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額(別表Ⅲ)の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。
    年金等の受給者とは、各種年金及び恩給制度のうち原則として受給権者本人による拠出性のある年金等を現に受給していた者とし、無拠出性の福祉年金や遺族年金は含まない。
① 有職者
    事故前1年間の収入額と年金等の額を合算した額と、死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、35歳未満の者については、これらの比較のほか、全年齢平均給与額の年相当額とも比較して、いずれか高い額とする。
② 幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
    年金等の額と全年齢平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、59歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額とする。
③ その他働く意思と能力を有する者
    年金等の額と年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を上回る場合は、全年齢平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額とする。
(3) 生活費の立証が困難な場合、被扶養者がいるときは年間収入額又は年相当額から35%を、被扶養者がいないときは年間収入額又は年相当額から50%を生活費として控除する。
3 死亡本人の慰謝料
    死亡本人の慰謝料は、400万円とする。
4 遺族の慰謝料
    慰謝料の請求権者は、被害者の父母(養父母を含む。)、配偶者及び子(養子、認知した子及び胎児を含む。)とし、その額は、請求権者1人の場合には550万円とし、2人の場合には650万円とし、3人以上の場合には750万円とする。
    なお、被害者に被扶養者がいるときは、上記金額に200万円を加算する。

第5 死亡に至るまでの傷害による損害
    死亡に至るまでの傷害による損害は、積極損害〔治療関係費(死体検案書料及び死亡後の処置料等の実費を含む。)、文書料その他の費用〕、休業損害及び慰謝料とし、「第2 傷害による損害」の基準を準用する。ただし、事故当日又は事故翌日死亡の場合は、積極損害のみとする。

第6 減額
1 重大な過失による減額
    被害者に重大な過失がある場合は、次に掲げる表のとおり、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合には保険金額から減額を行う。ただし、傷害による損害額(後遺障害及び死亡に至る場合を除く。)が20万円未満の場合はその額とし、減額により20万円以下となる場合は20万円とする。
減額適用上の 減 額 割 合
被害者の過失割合    後遺障害又は死亡に係るもの   傷害に係るもの
7割未満                      減額なし                                         減額なし
7割以上8割未満              2割減額             2割減額
8割以上9割未満        3割減額                                   2割減額
9割以上10割未満           5割減額            2割減額
2 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合の減額被害者が既往症等を有していたため、死因又は後遺障害発生原因が明らかでない場合等受傷と死亡との間及び受傷と後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合は、死亡による損害及び後遺障害による損害について、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合には保険金額から5割の減額を行う。

附 則
    この告示は、平成十四年四月一日から施行し、同日以後に発生する自動車の運行による事故に係る自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払から適用する。
附 則 (平成二十二年金融庁・国土交通省告示第一号)
    この告示は、平成二十二年四月一日から施行し、同日以後に発生する自動車の運行による事故に係る自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払から適用する。
附 則 (令和元年金融庁・国土交通省告示第三号)
    この告示は、令和二年四月一日から施行し、同日以後に発生する自動車の運行による事故に係る自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払から適用する。


第2部 支払基準の改正経緯
1 改正内容の概要については,令和元年11月2日締切のパブリックコメントに際して掲載された,「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準の一部を改正する告示案について」のとおりであって,リンク先によれば,改正の背景は以下のとおりです(年3%の法定利率は民法404条2項で定められています。)。
    自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(平成 13 年金融庁・国土交通省告示第1号。以下「支払基準」という。)は、自動車損害賠償保障法(昭和 30 年法律第 97 号)第 16 条の3第1項(第 23 条の3第1項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、定められている。
    民法の一部を改正する法律(平成 29 年法律第 44 号)の施行(令和2年4月1日)により、法定利率が年5パーセントから年3パーセントとなる。支払基準においては、現行の法定利率(年5パーセント)を前提としたライプニッツ係数(※)を用いているところ、法定利率の変更に合わせて、同係数を変更する必要がある。
   また、平均余命年数、物価水準及び賃金水準の変動や近年の保険金等の支払の実態を支払基準に反映させる必要がある。
※ ライプニッツ係数:逸失利益の現在価額を算定するため中間利息を控除する係数。
2(1) 自賠責保険の支払基準の改正案につき,令和元年11月2日締切のパブリックコメントで提出された意見は1件だけでしたから,改正案に対する修正はありませんでした(「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準の一部を改正する告示案に係る意見募集の結果について」参照)。
(2) 重次法律事務所HP「自賠責保険の支払基準改正の告示(2019.10.4)」では,自賠責保険の支払基準の改正案の内容について詳しく説明されています。


第3部 関連記事その他
1(1) 国土交通省HPの「統計情報」に,自賠責保険(共済)の損害別支払保険金(共済金)の推移(会計年度)等が載っています。
(2) 金融庁HPの「自動車損害賠償責任保険審議会」に,自賠責保険審議会の議事録・資料等が載っています。
(3) 日本損害保険協会HPに「自動車損害賠償責任保険約款」が載っています。
(4) 交通事故トラブル解決ガイド「ライプニッツ係数・ホフマン係数(年2%~5%の利率別)」が載っています。
2 損害保険料率算出機構HP「刊行物」に,自賠責保険(共済)損害調査のしくみ,自動車保険の概況,火災保険・地震保険の概況,傷害保険の概況とかが載っています。
3(1) 国民健康保険の被保険者である交通事故の被害者が,保険者から療養の給付を受けるのに先立って、自動車損害賠償保障法16条1項の規定に基づき損害賠償額の支払を受けた場合には,保険会社が支払に当たって算定した損害の内訳のいかんにかかわらず,右被保険者の第三者に対する損害賠償請求権は右支払に応じて消滅し,右保険者は,国民健康保険法64条1項の規定に基づき,療養の給付の時に残存する額を限度として損害賠償請求権を代位取得します(最高裁平成10年9月10日判決)。
(2) 療養の給付とは,保険証を持って医療機関等にかかった際に,現物給付(窓口負担分以外のお金を窓口で支払わなくても受けられる医療)を受けることをいいます(東京都後期高齢者医療広域連合HP「療養の給付と療養費の違いはなんですか?」参照)。
5 不法行為に基づく一個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求されている場合に,過失相殺をするにあたっては,損害の全額から過失割合による減額をし,その残額が請求額をこえないときは右残額を認容し,残額が請求額をこえるときは請求の全額を認容することができます(最高裁昭和48年4月5日判決)。
6 交通事故による後遺症のために身体的機能の一部を喪失した場合においても,後遺症の程度が比較的軽微であって,しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないときは,特段の事情のない限り,労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害は認められません(最高裁昭和56年12月22日判決)。
7 車両損傷を理由とする損害と身体傷害を理由とする損害とは,これらが同一の交通事故により同一の被害者に生じたものであっても,被侵害利益を異にするものであり,車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権は,身体傷害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権とは異なる請求権です(最高裁令和3年11月2日判決)。
7 あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項は,憲法22条1項に違反しません(最高裁令和4年2月7日判決 )。
8 国土交通省HPの「「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」の報告書を公表します!」(平成30年3月20日付)に,研究会報告書(概要版全体版)が載っています。
9 以下の記事も参照してください。
・ 「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)
・ 昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書(交通事故損害賠償に関するもの)
・ 交通事故でも健康保険を利用できること
 損益相殺
 東京地裁民事第27部(交通部)
 弁護士費用特約

司法修習生の服装及び判例六法について定めた文書は存在しないこと

目次
第1 司法修習生の服装について定めた文書は存在しないこと

1 導入修習期間中
2 実務修習期間中
3 集合修習期間中
第2 司法修習生が使用すべき判例六法について定めた文書は存在しないこと
第3 関連記事その他

第1 司法修習生の服装について定めた文書は存在しないこと
1 導入修習期間中

2 実務修習期間中

3 集合修習期間中

第2 司法修習生が使用すべき判例六法について定めた文書は存在しないこと

第3 関連記事その他
1 令和への改元直後,エクセルで作成した司法行政文書開示請求書の年を手動で「令和元年」にしていたところ,令和2年になった後も変更するのを忘れていました。
2 以下の記事も参照してください。
・ 導入修習カリキュラムの概要
・ 導入修習の日程予定表及び週間日程表
 集合修習カリキュラムの概要
 集合修習の日程予定表及び週間日程表
・ 司法修習等の日程

森崎英二裁判官(41期)の経歴

生年月日 S37.1.5
出身大学 大阪大
定年退官発令予定日 R9.1.5
R4.6.6 ~ 大阪高裁8民部総括(知財集中部)
R2.12.15 ~ R4.6.5 高知地家裁所長
R2.4.5 ~ R2.12.14 神戸地家裁姫路支部長
H30.4.1 ~ R2.4.4 大阪高裁13民判事
H27.4.1 ~ H30.3.31 大阪地裁21民部総括(知財部)
H24.4.1 ~ H27.3.31 広島地裁2民部総括
H19.4.1 ~ H24.3.31 大阪地裁21民判事
H16.7.1 ~ H19.3.31 岡山地家裁倉敷支部長
H15.4.1 ~ H16.6.30 岡山家地裁倉敷支部判事
H12.4.1 ~ H15.3.31 大阪地裁判事
H11.4.11 ~ H12.3.31 熊本地家裁天草支部判事
H9.4.1 ~ H11.4.10 熊本地家裁天草支部判事補
H6.4.1 ~ H9.3.31 東京地裁判事補
H3.4.1 ~ H6.3.31 静岡地家裁判事補
H1.4.11 ~ H3.3.31 大阪地裁判事補

*1 以下の記事も参照して下さい。
・ 高裁の部総括判事の位置付け
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
・ 運行管理者の労務提供能力等が争われた大阪高裁令和7年3月25日判決(AI作成の判例評釈)→担当裁判官は神戸地裁の冨上智子,並びに大阪高裁の森崎英二,奥野寿則及び山口敦士
→ 精神障害者手帳2級を取得しているが,運行管理者としての就労能力があると主張している一審原告の診断書に対する文書提出命令の申立ては口頭で却下されました。
*2 令和8年1月22日発生の内閣府公用車による多重衝突事故につき,zak Ⅱの「内閣府公用車「薬押収」「130キロ」「赤信号→68秒後」「ノーブレーキ」の謎」(2026年2月6日付)には「捜査関係者によると、自宅からは運転免許証のほか、服用していたとみられる薬が押収されたという。」と書いてあります。

東京高検検事長の勤務延長問題

目次
第1 黒川弘務東京高検検事長の勤務延長(令和2年2月8日から同年8月7日まで)等
第2 検察官を含む一般職の国家公務員に関する定年の定め
第3 検察官の勤務延長に関する政府答弁の要約,及び内閣又は法務大臣による懲戒処分の実例等
第4 検察官の勤務延長に関する法務大臣の答弁
第5 検察官の勤務延長に関する内閣法制局長官の答弁
第6 検察庁法22条及び32条の2に関する法務大臣等の答弁
第7 勤務延長に関す総理府人事局及び人事院の答弁
第8 黒川弘務東京高検検事長を検事総長に任命することは法的に可能であること
第9 黒川弘務東京高検検事長の勤務延長に関する弁護士会の反対意見
第10 選挙により選ばれた公職者がその職務上行った行為が弁護士会の懲戒対象となる場合
第11 河野克俊統合幕僚長の勤務延長(平成28年11月29日から平成31年4月1日まで)
第12 国会答弁資料
第13 関連記事

第1 黒川弘務東京高検検事長の勤務延長(令和2年2月8日から同年8月7日まで)等
1(1) 検事長の任命権者である内閣(検察庁法15条1項)は,令和2年1月31日,下記の理由により,国家公務員法81条の3第1項に基づき,同年2月8日に63歳の定年を迎える黒川弘務東京高検検事長の勤務を半年間延長するという閣議決定を行いました(首相官邸HPの「令和2年1月31日(金)定例閣議案件」参照)。

   東京高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するためには,同高等検察庁検事長黒川弘務の検察官としての豊富な経験・知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が不可欠であり,同人には,当分の間,引き続き同検事長の職務を遂行させる必要がある。



(2) 黒川弘務東京高検検事長(平成31年1月18日就任)が検事長就任前に検察官として捜査公判に対応していたのは以下の時期だけですから,合計で11年10ヶ月半ぐらいです。
① 1983年4月7日から1991年7月24日までの約8年4ヶ月半
・ 東京地検検事,福島地検郡山支部検事,新潟地検検事,東京地検検事及び名古屋地検検事をしていました。
② 1995年7月20日から1998年10月6日までの約3年3ヶ月半
・ 青森地検弘前支部長及び東京地検検事をしていました。
③ 2010年8月10日から同年10月24日までの約2ヶ月半
・ 松山地検検事正をしていました。
・ 2010年9月21日から報道されるようになった大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件に対応するため,同年10月25日,法務省大臣官房付となりました。
(3)ア 黒川弘務東京高検検事長の定年退職は,「業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき」(人事院規則11-8(職員の定年)7条3号)に該当するため,勤務延長されました(令和2年3月6日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁参照)。
イ 「重大かつ複雑困難な事件の捜査」が何であるかについては,捜査機関の活動内容及びその体制に関する事柄でもあることから,国会答弁でも明らかにされませんでした令和2年3月6日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁参照)。

(4) 内閣は,令和2年2月7日以前に検察官の勤務延長がなされた実例を把握していません(衆議院議員奥野総一郎君提出東京高検検事長の定年が半年間延長された件に関する質問に対する答弁書(令和2年2月18日付)参照)。
(5) 勤務延長は定年延長ともいわれます。
2(1) 35期の黒川弘務と林眞琴のどちらが検事総長となるかについて,法と経済ジャーナルHPに以下の記事が載っています(ログインしない限り,途中までしか読めませんが,途中まででも読み応えのある記事です。)。
・ 官邸の注文で覆った法務事務次官人事  「検事総長人事」に影響も(2016年11月22日付)
・ 法務・検察人事に再び「介入」した官邸 高まる緊張(2017年9月17日付)
・ 上川法相が林刑事局長の次官昇格を拒否か、検事総長人事は?(2018年1月18日付)
・ 「次の検事総長は黒川氏」で決まりなのか、検察の論理は(2019年1月24日付)
・ 稲田検事総長が退官拒絶、後任含みで黒川氏に異例の定年延長(2020年1月31日付)
(2) 林眞琴は,2014年1月9日から2018年1月8日までの間,法務省刑事局長をしていました。
(3) 黒川弘務は,2011年8月26日から2016年9月4日までの間,法務省大臣官房長をしていて,2016年9月5日から2019年1月17日までの間,法務事務次官をしていました。
(4) 「法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)」も参照してください。
(5) 黒川弘務東京高検検事長は,賭け麻雀問題により,令和2年5月22日に依願退官しました(「黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀問題」参照)。
3 exciteニュースの「”真っ黒”な甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか? 官邸と癒着した法務省幹部の”捜査潰し”全内幕」(2016年6月3日付)には以下の記載があります。
   「官房長という役職自体が、予算や人事の折衝をする役割で、政界とつながりが深いのですが、とくに黒川氏は小泉政権下で法務大臣官房参事官をつとめて以降、官房畑を歩んでおり、自民党、清和会にと非常に太いパイプをもっている。官房長になったのは民主党政権下の2011年なんですが、このときも民主党政権には非協力的で、自民党と通じているといわれていました。そして、第二次安倍政権ができると、露骨に官邸との距離を縮め、一体化といっていいくらいの関係を築くようになった。とくに菅官房長官、自民党の佐藤勉国対委員長とは非常に親しく、頻繁に会っているところを目撃されています」(前出・司法担当記者)
4 以下の閣議書を掲載しています。
① 黒川弘務東京高検検事長の勤務延長に関して法務省が作成し,又は取得した文書
② 黒川弘務 東京高検検事長の勤務延長に関する閣議書(令和2年1月31日付)
→ 略歴書が付いています。
③ 黒川弘務 東京高検検事長任命の閣議書(平成31年1月8日付)
→ 詳細な履歴書が付いています。
④ 林眞琴 名古屋高検検事長及び小川新二 高松高検検事長任命の閣議書(平成29年12月26日付)


第2 検察官を含む一般職の国家公務員に関する定年の定め
1 検察庁法
(1) 検察官の定年退官を定める検察庁法22条は以下のとおりです。
   検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。
(2) 検察庁法32条の2は以下のとおりです。
   この法律第十五条、第十八条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十五条の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。
2 国家公務員法
(1) 定年による退職を定める国家公務員法81条の2第1項は以下のとおりです。
   職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
(2) 定年による退職の特例を定める国家公務員法81の3は以下のとおりです。
① 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。
② 任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、人事院の承認を得て、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。
(3) 国家公務員法81条の2及び81条の3は,国家公務員法の一部を改正する法律(昭和56年6月11日法律第77号)によって追加されました条文であり,昭和60年3月31日に施行されました。
3 人事院規則
・ 人事院規則11-8(職員の定年)のうち,勤務延長を定める6条ないし10条は以下のとおりです。
第六条 法第八十一条の三に規定する任命権者には、併任に係る官職の任命権者は含まれないものとする。
第七条 勤務延長は、職員が定年退職をすべきこととなる場合において、次の各号の一に該当するときに行うことができる。
一 職務が高度の専門的な知識、熟達した技能又は豊富な経験を必要とするものであるため、後任を容易に得ることができないとき。
二 勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その職員の退職により生ずる欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な障害が生ずるとき。
三 業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき。
第八条 任命権者は、勤務延長を行う場合及び勤務延長の期限を延長する場合には、あらかじめ職員の同意を得なければならない。
第九条 任命権者は、勤務延長の期限の到来前に当該勤務延長の事由が消滅した場合は、職員の同意を得て、その期限を繰り上げることができる。
第十条 任命権者は、勤務延長を行う場合、勤務延長の期限を延長する場合及び勤務延長の期限を繰り上げる場合において、職員が任命権者を異にする官職に併任されているときは、当該併任に係る官職の任命権者にその旨を通知しなければならない。
4 人事院の文書
・ 定年制度の実施等について(昭和59年12月25日付の人事院事務総局任用局企画課長の文書)のうち,勤務延長に関する部分は以下のとおりです。
1 規則11―8第7条の各号には、例えば、次のような場合が該当する。
(中略)

  (3) 第3号
 定年退職予定者が大型研究プロジェクトチームの主要な構成員であるため、その者の退職により当該研究の完成が著しく遅延するなどの重大な障害が生ずる場合
 重要案件を担当する本府省局長である定年退職予定者について、当該重要案件に係る国会対応、各種審議会対応、外部との折衝、外交交渉等の業務の継続性を確保するため、引き続き任用する特別の必要性が認められる場合
 2 勤務延長を行う場合及び勤務延長の期限を延長する場合の期限は、当該勤務延長の事由に応じた必要最少限のものでなくてはならない。
3 任命権者は、勤務延長職員の勤務延長の事由となった職務の遂行に支障がないと認められる場合以外は併任を行うことができない。

4 勤務延長を行う場合及び勤務延長の期限を延長する場合の職員の同意は、定年退職日又はその期限の到来の日に近接する適切な時期に書面により得るものとする。

第3 検察官の勤務延長に関する政府答弁の要約等,及び内閣又は法務大臣による懲戒処分の実例等

1 検察官の勤務延長に関する政府答弁の要約等
(1) 検察官の勤務延長に関する法務大臣及び内閣法制局長官の答弁を要約すれば,以下のとおりになると思います(私独自の要約です。)。
   一般法たる国家公務員法の懲戒,服務等の諸規定については,特に読替規定を置くこともなく,当然に検察官にも適用されているのであって,例えば,任命権者から懲戒処分を受けた職員は人事院に不服申立てを行ってその審査を受けることができるものとされているところ、これは内閣が任命する検事長についても変わらない。
  また,公務員の中の新陳代謝を図りながら,きちっとした年齢まで働けるということを前提に,安心して人生設計をさせて,しっかり職務に当たらせるという定年制度の意義自身は,同じ国家公務員たる検察官と一般の公務員とで同じであるから,そこのところについて何か検察官の特殊性がどうこうという議論は基本的にはない。
   さらに,検察庁法32条の2は,その職務執行の公正が直接刑事裁判の結果に重大な影響を及ぼすという検察官の職務と責任の特殊性は国家公務員法施行後も変わらないことから,検察庁法中,検察官の任免に関する規定を国家公務員法の特例としたというものであり,他の一般の国家公務員についても定年が定められた昭和56年の国家公務員法改正後において検察官に特別の定年が定められているのは,その職務と責任に特殊性があることによるものと解される。
   ところで,昭和55年10月の総理府人事局作成の想定問答には,検察官の場合,勤務延長が認められないと記載されているものの,その理由は必ずしも明らかではないし,大学の教員についても勤務延長が認められない理由が職務の特殊性によるものかどうかも明らかではないし,当時と比べて色々検察行政が複雑化しているといった情勢の変化からすれば,行政府の判断として責任を持って解釈変更をするのであれば問題はない。
また,司法大臣の決定により最大で3年間,引き続き検事は在職できるとしていた裁判所構成法80条ノ2と同趣旨の規定が検察庁法で定められなかった理由について帝国議会議事録等でも特段触れられていないため,その理由は必ずしも明らかではない。

   そのため,国家公務員が定年により退職するという規範そのものは,検察官であっても一般法たる国家公務員法によっているというべきであって,検察官の定年による退職は,検察庁法22条により定年年齢及び退職時期について修正された国家公務員法81条の2第1項に基づくものと解される。
   よって,前条第1項の規定により退職した場合に適用される国家公務員法81条の3は検察官にも適用されるものと解される。
(2)ア 検事総長,次長検事及び検事長の任免権者は内閣であり(検察庁法15条1項),検事及び副検事の任免権者は法務大臣であり(国家公務員法55条1項),検事及び副検事の免職権者は法務大臣です(国家公務員法61条)。
イ 検事長,検事及び副検事の補職権者は法務大臣です(検察庁法16条1項)。
(3) 検察官の勤務延長について(2020年1月16日作成の法務省刑事局のメモ)を掲載しています。
2 内閣又は法務大臣による懲戒処分の実例等
(1) 平成22年9月に発覚した「大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件」では,任命権者である内閣又は法務大臣による懲戒処分(検察庁法25条ただし書・国家公務員法84条1項)が実施されましたところ,衆議院議員浅野貴博君提出懲戒処分を受けた検察官の処遇等に関する質問に対する答弁書(平成24年6月29日付)には以下の記載があります。
 お尋ねの検察官の行為の中には、刑法(明治四十年法律第四十五号)などの法令に違反するものが含まれているところ、このうち、前田恒彦検事は、平成二十一年七月に、公判の紛糾及び上司からの叱責を避けるため、公判係属中の事件の証拠であるフロッピーディスクに記録された文書データを変造したものであり、この行為は、刑法第百四条の証拠隠滅罪に該当し、大坪弘道検事及び佐賀元明検事は、平成二十二年二月に、前田恒彦検事が証拠隠滅の罪を犯したことを知りながら、これを知った他の検事に他言を禁じ、前田恒彦検事に対し、当該データの改変は過誤によるものとして説明するよう指示するなどした上、当該データが過誤によって改変された可能性はあるが改変の有無を確定できず、改変されていたとしても過誤にすぎない旨事実をすり替えて捜査を行わず、また、次席検事及び検事正に対しても、虚偽の報告をし、検事正らをして、捜査は不要と誤信させることにより、証拠隠滅罪の犯人である前田恒彦検事を隠避させたものであり、この行為は、同法第百三条の犯人隠避罪に該当し、また、三浦正晴検事長については、前田恒彦検事による前記証拠隠滅の事実につき、同検事に対する指導監督が不適正であったものであるが、これら四名以外の行為については、法務省として、職員に対する懲戒処分の公表に当たっては、「懲戒処分の公表指針について」(平成十五年十一月十日付け総参-七八六人事院事務総長通知)を踏まえ、個人が識別されない内容のものとすることを基本としており、お尋ねの「詳しい経緯」を明らかにすることにより、特定の個人が識別されるおそれがあることなどから、お答えすることは差し控えたい。
(2) 原田明夫検事総長は,平成14年4月22日に逮捕された三井環大阪高検公安部長の収賄・詐欺事件の監督責任を問われ,同年,戦後初めて検事総長として戒告処分を受けました(産経ニュースHPの「元検事総長の原田明夫氏死去」(2017年4月7日付)参照)。
(3) 裁判官の場合,行政機関が懲戒処分を行うことはできません(憲法78条後段)。

近藤裕之検事(46期の裁判官)に対する懲戒免職の処分説明書

第4 検察官の勤務延長に関する法務大臣の答弁
1 令和2年2月25日の衆議院予算委員会第三分科会における森まさこ法務大臣の答弁
   検察官の定年による退職の特例は、定年年齢と退職時期の二点でございまして、国家公務員が定年により退職するという規範そのものは、検察官であっても一般法たる国家公務員法によっているというべきでございますので、結局、検察官の定年による退職は、検察庁法二十二条により定年年齢と退職時期につき修正された国家公務員法八十一条の二第一項に基づくものと解されます。
   したがって、前条第一項の規定により退職した場合に適用される同法八十一条の三の規定は検察官にも適用されるものと解しております。

2 令和2年3月5日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁
① 法務省においては、国家公務員一般の定年の引上げに関する検討の一環として検察官についても検討を進める過程で、昨年のうちから現行の国家公務員法と検察庁法の関係について必要な検討を行っていたところ、検察官の勤務延長について判断したものでございます。
 その上で、令和二年一月十七日から同月二十四日にかけて関係省庁と協議を行い、異論はない旨の回答を得て、最終的に結論を得たものでございます。
② 委員がお示しになりました一月十六日付けの法務省の文書でございますが、国会にももう提出をしておりますが、こちらで、先ほど委員がお示しになりました、「(本来であれば、国公法に定年制度が導入された時点で、検察庁法に必要な読替規定を置くことが望ましかったとも言えるが、)」の後に、一般法たる国公法の諸規定、懲戒、服務等については、特に読替規定を置くこともなく、当然に検察官にも適用していることからも明らかなとおり、解釈上、検察官が同法八十二条の三に規定する勤務延長制度の対象となる職員と考えることに問題はなく、その結果、検察官に同制度を適用することについても問題はないと考えられると記載されておりますとおり、他の読替規定を置くこともなく、検察官に適用されている懲戒、服務等を引きまして、そしてまた、解釈上、勤務延長制度の対象となる職員と考えることに趣旨等から問題はないというふうに考えて、ここに書いてありますとおり、結果として適用をするというふうに結論付け、そしてこの翌日の一月十七日から二十一日までの法制局との協議については、その旨記載した文書で臨んでいるということでございます。
③ 国家公務員法上、例えば懲戒処分については、任命権者から懲戒処分を受けた職員について、人事院に不服申立てを行ってその審査を受けることができるものとされておりますが、これは、内閣が任命する検事長についてもその点は変わらないところでございます。
3 令和2年3月6日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁
① 東京高等検察庁管内でおいて遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するためには、黒川検事長の管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠であり、職務を遂行、引き続き勤務させることとしたものでございます。
② (山中注:重大かつ複雑困難な事件の捜査は何であるかという質問に対し,)個別の事件に関しましては、捜査機関の活動内容やその体制に関わる事柄でもあることから、お答えを差し控えさせていただきます。
③ 黒川検事長につきましては、東京高検、検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するための管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠ということで、人事院規則一一―八との関係では、七条三号の業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるときに該当するところでございます。
④ 委員お示しの大正十年の衆議院の委員会におけるこの裁判所構成法の提案理由におきましては、第八十条の二を設けて検事の定年を定めた理由については、後進のために進路を開いて、新進の者をしてその位置を進めしめ、もって司法事務の改善を図るということの目的のためなどと説明されております。
 しかしながら、同条ただし書において在職期間の延長を定めた理由については、必ずしもつまびらかではございません。
⑤ お尋ね(山中注:裁判所構成法で認められていた検察官の定年延長が,昭和22年5月3日の日本国憲法の施行と同時になくなった理由)については、検察庁法が定められた昭和二十二年の帝国議会議事録等についても特段触れられておらず、理由はつまびらかではございません。
⑥ 委員の御意見のようなこと(山中注:「司法大臣が場合によっては定年延長することができるとしていたために、行政権の司法権、検察に対する行政介入が起こることができたわけです。これをさせてはならない、司法権の独立、検察の独立、中立でなくちゃいけない、だからこれを除外したんです」という意見)が記載されている資料もなく、昭和二十二年の趣旨が、必ずしもその理由はつまびらかではございません。




第5 検察官の勤務延長に関する内閣法制局長官の答弁

1 令和2年2月25日の衆議院予算委員会第三分科会における近藤正春内閣法制局長官の答弁
① 基本的には検察庁法と国家公務員法の改正の問題ですので、その内容については法務省の方で御検討されるということで私ども聞いておりまして、当時と比べていろいろ検察行政が複雑化しておって、そういった中で勤務延長という制度の趣旨を考えたときに、それを検察官に適用しないということではないのではないかということで、まさしくその後の検察行政をめぐる情勢の変化ということが今回の解釈変更の前提であるというふうにお聞きをしております。
② 国会で制定されました法律について、政府は誠実に執行していく義務を憲法上持っておりまして、その執行をしっかりやっていくということでございますけれども、その執行していく段階で、ある程度、いろいろな議論をして、解釈の変更をせざるを得ないと、これはいろいろなものがあると思います、細かいものから大きなものまであるのかもしれませんけれども、それにつきましては、あくまでも行政府の判断として責任を持ってやっていくということで、問題はないというふうに思っております。
③ ちょっと答弁の仕方が悪かったかもしれませんけれども、(山中注:昭和55年10月の総理府人事局作成の想定問答集によれば,検察官の場合,勤務の延長が)除外されるということは当時判断をされて除外をしたんです、そこの理由は必ずしもつまびらかではないと。今の時点で解釈を考えると、当時はそういう配慮をしました。ただ、そのほかにも、教育公務員なんかも適用除外にしていまして、それも勤務の特殊性なのかどうかはわかりません。

 そういう意味では、その後、教育公務員については、定年延長も、制度が認められたりしなかったりという議論、また、して、しないとかいう議論をしておりますけれども、そういう意味では、当時除外をしたというのはもう確定した解釈、当時、総理府部内でそういう解釈をしていたということではあると思いますけれども、今の段階で適用をもう一度考えた場合に、そこに、先ほど申し上げたような、検察官だからひとえに勤務延長はできないということにはならないというふうに私どもも考えたということでございます。
2 令和2年3月5日の参議院予算委員会における近藤正春内閣法制局長官の答弁
① 今回の国家公務員法の定年引上げに関する法案の検討作業は、昨年のもう夏過ぎ、秋頃からずっとやっておりまして、その段階で、検察庁法についてもどういう対応をするかは、法務省の方で御検討されながら徐々に審査を進めていったわけでございますけれども、当初は私どもも、適用が今ないというところから、現在、検察官に対して勤務延長制度は適用がないという従来の解釈は当然承知しておりましたので、その上でどういうふうにしていくのかという議論を当初していったものと思っております。その上で、ずっと議論はしてきたということでございます。
 法務省においては、そういう理解、当然、両省庁の担当者、刑事局と私どもの二部では同じ共通の認識でずっと審査をしてきたということだと思います。
② 先ほどもお答えしましたように、ずっと昨年から続けておりました審査の過程で、現在の国家公務員法と検察庁法の関係についての解釈について新しい解釈を取りたいということで一月十七日に御相談があり、担当者も、前提が変わりましたので、いろんな審査の前提が変わりますので、その段階で私まできちっと上げて、一度了解をした上で新しい審査に入る必要があるということでそういう応接録を作り、私にも報告をし、私も了解の回答をしたということでございます。
   今や国家公務員に定年も入り、定年によってやめるという規範は、一般公務員も、検察官も一般公務員ですから、そこは同じ思想のもとで、職務の特殊性等で年齢、定年の延長が一般職もいろいろ変わっておりますけれども、その中の一つとして検察官も従来規定がされておりまして、その定年と定年延長ということ自身と個々の職務の内容のどうこうということはとりあえず関係のない制度、つまり、一般的な職務、ある程度、公務員の中の新陳代謝を図りながら、きちっとした年齢まで働けるということを前提に、安心して人生設計をさせて、しっかり職務に当たらせるという定年制度の意義自身は、同じ国家公務員たる検察官も、一般の公務員、一般職の全体は同じ意味だと思いまして、そこのところについて何か検察官の特殊性がどうこうという議論は基本的にはないものというふうに考えます。

第6 検察庁法22条及び32条の2に関する法務大臣等の答弁
1 昭和24年5月11日の参議院法務委員会における高橋一郎法務庁検局長の答弁

 第三十二條の二は、檢察官は、刑事訴訟法により、唯一の公訴提起機関として規定せられております。從つて、檢察官の職務執行の公正なりや否やは、直接刑事裁判の結果に重大な影響を及ぼすものであります。
 このような職責の特殊性に鑑み、從來檢察官については、一般行政官と異り、裁判官に準ずる身分の保障及び待遇を與えられていたのでありますが、國家公務員法施行後と雖も、この檢察官の特殊性は何ら変ることなく、從つてその任免については、尚一般の國家公務員とは、おのずからその取扱を異にすべきものであります。
 よつて、本條は、國家公務員法附則第十三條の規定に基き、檢察廳法中、檢察官の任免に関する規定を國家公務員法の特例を定めたものとしたのであります。
2 令和2年3月5日の参議院予算委員会における森まさこ法務大臣の答弁
① 先ほど引用いたしました伊藤元検事総長の新版検察庁法逐条解説によりますと、二十二年の定年の趣旨(山中注:昭和22年制定の検察庁法22条で定年を定めた趣旨)は、検察自体の老化を、検察全体の老化を防ぎ後進に就任の機会を与えるためと考えられてきたが、その後、昭和五十六年の国家公務員法の改正により他の一般の国家公務員についても定年が定められた以後の趣旨については、検察官にはその特別の定年、つまり年齢が六十歳よりも高い年齢が定められているのは、その職務と責任に特殊性があるものによるものと解さなくてはならないということになろうなどと記載されております。
② 昭和二十四年の参議院法務委員会における逐条説明では、同条(山中注:検察庁法32条の2)について、検察官は、刑事訴訟法により、唯一の公訴機関、公訴提起機関と規定されており、その職務執行の公正が直接刑事裁判の結果に重大な影響を及ぼす、このような職責の特殊性に鑑み、従来検察官については、一般行政官と異なり、裁判官に準ずる身分の保障及び待遇を与えられた、与えられていたものである、この特殊性は、国家公務員法施行後も変わらないことから、検察庁法中、検察官の任免に関する規定を国家公務員法の特例としたなどと説明をされております。

第7 勤務延長に関する総理府人事局及び人事院の答弁
1 総理府人事局の答弁
・ 昭和56年6月2日の参議院地方行政委員会における森卓也総理府人事局次長の答弁
 今日まで、国家公務員制度のもとでは、大学の教官とか、あるいは検察官等の職員を除きましては、定年制は設けられていなかったわけでございますが、これは職員の年齢構成が比較的若かったこと。後進に道を譲るという伝統もありまして、勧奨によりますところの退職が比較的円滑に行われて新陳代謝が働いていたという事情があったために、特に定年制を必要としなかったということでございます。
2 人事院の答弁
(1) 昭和56年4月28日の衆議院内閣委員会における斧誠之助人事院任用局長の答弁
 検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。
(2) 昭和56年5月7日の衆議院内閣委員会における斧誠之助人事院任用局長の答弁
① 退職の特例でございますが、通称勤務延長と言っておりますので、勤務延長と言わしていただきますが、勤務延長につきましては、この法案に示されておるところによりますと、延長することについての第一次の判断者は任命権着ということにいたしております。したがいまして、第一回目の勤務延長を行う権限者は任命権者でございます。この場合は人事院の承認を要するということにはなっておりません。これは、ここにも書いてありますように、「その職員の職務の特殊性」――「職務の特殊性」として例示的に申し上げますと、非常に端的に言いますと名人芸、たとえば通産省あたりにはレンズをみがく非常に名人芸の方もおりますし、植物園で高山植物を栽培するのに非常にたけておるような職員もございます。そういうものがわかりやすいから例示いたしますが、要するに、その者の有する知識、技能、経験、そういうものが職務遂行上不可欠で、しかも代替者が直ちに得られないというようなケース、それからいま現にその職員が担当しております業務がある一定期間継続性がありまして、その職員を欠きますと、その業務の遂行に支障が生ずる、つまり業務の連続性がある、しかも非常に緊急な業務であるというような職務についておる職員、そういうことを例示として考えております。
 第二回目以降は、人事院の承認に係らしめておるわけですが、これはまさに特例でございますので、これが乱にわたるというようなことがあっては定年制の趣旨が損なわれるということになりますので、人事院で審査を必要としておるわけでございます。この場合は、当初においてその者を勤務延長した事情の説明、それが継続しているかどうかの証拠資料、そういうものを取り寄せて審査する予定にしてございます。
② 勤務延長につきましては、公務上の必要性ということが原則でございまして、属人的な要素で勤務延長を行うということは考えてございません。
③ 再任用につきましては、一たん定年退職した者をその者の技能とか経験、それが公務に非常に有用であるということで再採用しようという制度でございます。これも任命権者の裁量によって再任用を行うことができるという規定になっております。
 この場合、人事院規則で定めるのは、その基準を定めるわけでございますが、第一点は、その職員の能力、技能が公務に活用できるというその職員の経歴とか持っておる特殊技能の証明、そういうものが第一点、それから勤務実績が良好であるという証明、それから再任用する場合の官職は定年退職前の官職と同等以下の官職に限りますという、そういう三つの基準を設けまして、あとは再任用の手続などを定める予定でございます。
④ 現在の職員の在職状況から見ますと、いま先生御指摘のような将来に対する不安が生じてまいります。そういうこともありますので、今回意見を申し上げるに際しまして、準備期間を五年程度置けばよろしいという意見を申し上げておるわけでございまして、その間にそういうことも含めて長期的な人事計画あるいは要員計画というものを各省に立ててもらう、人事院と総理府はそういう各省の計画について指導をしたり援助をしたりするということで、円滑な定年制の実施を確保するようにという趣旨でございます。
 それから、なお申し上げますと、そういうことで余人をもってかえがたいような人が発生しました場合は、先ほど来申し上げております勤務延長とか再任用で業務に支障のないような措置をとっていただく、こういうことになろうかと思っております。
(3) 昭和56年5月28日の参議院内閣委員会における斧誠之助人事院任用局長の答弁
 いまおっしゃいましたのは、勤務延長と再任用の関係であろうかと思いますが、勤務延長と申しますのは、役所側の要請でなお職にとどまってもらいたいという場合でございまして、再任用の場合は、その職員が希望して、そしてその職員の能力、技能、技術、そういうものが公務に非常に有用であるというそういう場合にもう一回再採用で役所に来てもらおうと、こういうことでございまして、違いは役所側が積極的に要請して延長するか、職員が希望して、その希望者に対していろいろ能力評価をした上で有用であるという認定のもとに再任用をするか、そのところの違いでございます。
(4) 令和2年3月6日の参議院予算委員会における松尾恵美子人事院給与局長の答弁

① 国家公務員法上、勤務延長は、職員の職務の特殊性又は職員の職務の遂行上の特別の事情から見てその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときに、定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定めて行うことができるものとされております。
 詳細につきましては人事院規則一一―八第七条第一号から第三号までに規定しておりまして、職務が高度の専門的な知識、熟達した技能又は豊富な経験を必要とするものであるため、後任を容易に得ることができないとき、二番目といたしまして、勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その職員の退職により生ずる欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な障害が生ずるとき、三番目といたしまして、業務の性質上、その職員の退職による担当者の交替が当該業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるときに勤務延長を行うことができるものとされております。
② これは任用局企画課長通知というのに定められておりまして、例えば次のような場合が該当するということで、先ほど説明申し上げた第一号に該当する場合として、定年退職予定者がいわゆる名人芸的技能等を要する職務に従事しているため、その者の後継者が直ちに得られない場合、例えば第二号に該当する場合として、定年退職予定者が離島その他のへき地官署等に勤務しているため、その者の退職による欠員を容易に補充することができず、業務の遂行に重大な支障が生ずる場合、第三号に該当する場合の例といたしまして、定年退職予定者が大型研究プロジェクトチームの主要な構成員であるため、その者の退職により当該研究の完成が著しく遅延するなどの重大な障害が生ずる場合、重要案件を担当する本府省局長である定年退職予定者について、当該重要案件に係る国会対応、各種審議会対応、外部との折衝、外交交渉等の業務の継続性を確保するため、引き続き任用する特別の必要性が認められる場合というふうに規定されております。



第8 黒川弘務東京高検検事長を検事総長に任命することは法的に可能であること

1   衆議院議員奥野総一郎君提出東京高検検事長の定年が半年間延長された件に関する質問に対する答弁書(令和2年2月18日付)には以下の記載があります。
① 黒川弘務検事長の勤務期間の延長は、検察庁における業務遂行上の必要性に基づくものであるところ、検察官も一般職の国家公務員であるから、一般職の国家公務員に適用される国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十一条の三第一項の規定により、任命権者である内閣において閣議決定して行ったものである。
② 検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第十九条第一項に定める資格を有し、かつ、国家公務員法第三十八条及び検察庁法第二十条に定める欠格事由に該当しない日本国籍を有する者については、年齢が六十五年に達していない限り、検事総長に任命することは可能である。
2(1) 東京高検検事長の定年が半年間延長された件に関する質問に対する答弁書(令和2年2月18日付)に関する内閣法制局の開示文書を掲載しています。
(2) 質問主意書関係事務の手引き~はじめて主意書を担当する方へ~(法務省)を掲載しています。
3 衆議院議員加藤公一君提出質問主意書に対する内閣の答弁書の効力に関する質問に対する答弁書(平成12年12月5日付)には以下の記載があります。
 一般職の国家公務員は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十八条第一項の規定により、その職務を遂行するについて法令及び上司の職務上の命令に従わなければならないこととされており、質問主意書に対する答弁書の中に法令の解釈が示されているような場合には、当該解釈に従い法令を執行する義務を負うものである。

第9 黒川弘務東京高検検事長の勤務延長に関する弁護士会の反対意見
1 検事長の定年延長に関する閣議決定の撤回を求める会長声明(令和2年3月13日付の大阪弁護士会の会長声明)の記載

 検察庁法は、検察官の定年について「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」と定め(同法第22条)、国家公務員法との関係については、「検察庁法第15条、第18条乃至第20条及び第22条乃至第25条の規定は、国家公務員法(昭和22年法律第120号)附則第13条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。」と定めている(同法32条の2)。これは、定年を定める検察庁法第22条が一般法である国家公務員法の特例をなすので、国家公務員法の適用を受けないことを定めたものである。したがって、本閣議決定は検察庁法に違背する。
 また、1981年(昭和56年)に国家公務員法が改正され、国家公務員の定年とその延長の制度が導入されたが、同法案を審議した当時の衆議院内閣委員会で、人事院事務総局任用局長は、「今回の法案では、別に法律で定められている者を除くことになっている。検察官については、国家公務員法の定年延長を含む定年制は検察庁法により適用除外されている。」旨を答弁しており、本閣議決定まで30年近く、1981年(昭和56年)の答弁を否定する取扱いはされてこなかった。
 検察庁法第22条が国家公務員法の適用を受けないのは、検察官が、公益の代表者として 刑事事件の捜査・起訴等の検察権を行使する権限が付与されており、準司法的職務を行うことから、行政権の一部に属しながらも、他の行政権力からの独立が要請されるためである。検察官は独任制の機関とされ、訴追などの検察権の行使を公正に行うために身分保障が与えられている。
 本閣議決定は、憲法の基本原理である権力の監視・抑制の理念に沿い、長年にわたり築かれてきた検察組織の政権からの独立を侵し、憲法の精神に違背することになる。
2 検事長の勤務延長に関する閣議決定の撤回を求め、国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明(令和2年4月6日付の日弁連の会長声明)の記載
   検察官の定年退官は、検察庁法第22条に規定され、同法第32条の2において、国公法附則第13条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基づいて、同法の特例を定めたものとされており、これまで、国公法第81条の3第1項は、検察官には適用されていない。
   これは、検察官が、強大な捜査権を有し、起訴権限を独占する立場にあって、準司法的作用を有しており、犯罪の嫌疑があれば政治家をも捜査の対象とするため、政治的に中立公正でなければならず、検察官の人事に政治の恣意的な介入を排除し、検察官の独立性を確保するためのものであって、憲法の基本原理である権力分立に基礎を置くものである。
   したがって、国公法の解釈変更による本件勤務延長は、解釈の範囲を逸脱するものであって、検察庁法第22条及び第32条の2に違反し、法の支配と権力分立を揺るがすものと言わざるを得ない。

第10 選挙により選ばれた公職者がその職務上行った行為が弁護士会の懲戒対象となる場合
1 令和元年7月8日付の日弁連懲戒委員会の議決書は,以下の判断を含む原弁護士会の決定を相当であると判断しました(2019年弁護士懲戒事件議決例集(第22集)102頁,103頁及び112頁)。
   弁護士は「職務の内外を問わず,弁護士としての品位を害する非行」があった場合は弁護士会が懲戒をなすものとされているところ,選挙により選ばれた公職者がその職務上行った行為については,選挙民がその当否を判断するのが民主主義の本筋であることからすると,かかる行為については,犯罪を構成する場合,行為の違法性が重大である場合,あるいは,違法行為と知って故意に行うといった悪質性が高い場合に,弁護士としての品位を害するものとして懲戒の対象とするのが相当である。
2 令和2年4月5日現在,森まさこ法務大臣は福島県弁護士会所属の弁護士(47期)でありますところ,東京高検検事長の勤務延長を決定した閣議決定は,「憲法の基本原理である権力の監視・抑制の理念に沿い、長年にわたり築かれてきた検察組織の政権からの独立を侵し、憲法の精神に違背することになる。」(大阪弁護士会の会長声明)ものであったり,「検察庁法第22条及び第32条の2に違反し、法の支配と権力分立を揺るがすもの」(日弁連の会長声明)であったりするわけですから,当該閣議決定を求めた法務大臣の行為の違法性は重大であるのかも知れません。




3 私は,弁護士会の懲戒基準を理解する能力を有していないことを付言しておきます「弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)」参照)。

第11 河野克俊統合幕僚長の勤務延長(平成28年11月29日から平成31年4月1日まで)
1(1) 1954年11月28日生まれの河野克俊統合幕僚長(海上自衛隊出身)は,平成26年(2014年)10月14日付で第5代・統合幕僚長に就任し,平成28年(2016年)11月28日に62歳の定年を迎えたものの,自衛隊法45条3項及び4項に基づき3度の勤務延長を経て,平成31年(2019年)4月1日付で退官しました(退官時の年齢は64歳4ヶ月余りです。)。
(2) Wikipediaの「河野克俊」には以下の記載があります。
   自衛隊最高指揮官である安倍晋三内閣総理大臣が最も信頼する自衛官といわれ、歴代の防衛大臣からも厚い信頼を得ていることから、法令(自衛隊法施行令)で定める定年年齢(62歳)を越えた後も3度の定年延長を経て統合幕僚長の地位に留まり、初代統合幕僚会議議長の林敬三に次いで歴代第二位の在職(統合幕僚長としては最長)となった。
2 自衛隊法45条は以下のとおりです。
(自衛官の定年及び定年による退職の特例)
第四十五条 自衛官(陸士長等、海士長等及び空士長等を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、定年に達したときは、定年に達した日の翌日に退職する。
② 前項の定年は、勤務の性質に応じ、階級ごとに政令で定める。
③ 防衛大臣は、自衛官が定年に達したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、当該自衛官が定年に達した後も引き続いて自衛官として勤務させることができる。
④ 防衛大臣は、前項の期間又はこの項の期間が満了する場合において、前項の事由が引き続き存すると認めるときは、当該自衛官の同意を得て、一年以内の期間を限り、引き続いて自衛官として勤務させることができる。ただし、その期間の末日は、当該自衛官が定年に達した日の翌々日から起算して三年を超えることができない。
3(1) 参議院議員古賀之士君提出統合幕僚長の定年延長に関する質問に対する答弁書(平成29年6月13日付)には以下の記載があります。
   平成二十八年十一月二十八日に発令された自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十五条第三項の規定による河野克俊統合幕僚長の勤務期間の延長は、我が国を取り巻く安全保障環境等を踏まえ、自衛隊の各種任務を適切に遂行するために防衛大臣が判断し行ったものであり、同様の事由が引き続き存することから、今般、同条第四項の規定により、その勤務期間を延長したものである。
(2) 参議院議員古賀之士君提出統合幕僚長の定年延長に関する再質問に対する答弁書(平成29年6月27日付)には以下の記載があります。
① お尋ねの「我が国を取り巻く安全保障環境等」とは、我が国周辺を含むアジア太平洋地域における安全保障上の課題や不安定要因がより深刻化しており、周辺国による軍事力の近代化・強化や軍事活動等の活発化の傾向がより顕著となっていること等を念頭に置いたものである。
② お尋ねの「各種任務」とは、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三条に規定する任務である。
③ お尋ねの「自衛隊の統合幕僚長の適格者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、河野克俊統合幕僚長の勤務期間の延長については、先の答弁書(平成二十九年六月十三日内閣参質一九三第一一九号)においてお答えしたとおりである。
4(1) 内閣の答弁書からすれば,「我が国を取り巻く安全保障環境等を踏まえ、自衛隊の各種任務を適切に遂行するため」であれば,自衛隊法45条3項の「自衛官が定年に達したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるとき」に該当することとなります。
(2) 例えば,「令和元年版防衛白書の刊行に寄せて」(防衛白書の発行日は令和元年10月25日)には以下の記載がありますから,中国及び北朝鮮といった周辺国の活動が劇的に緩和しない限り,常に自衛隊法45条3項の事由が存在することとなる気がします。
   わが国を取り巻く安全保障環境は、かつて想定していたよりもはるかに速いスピードで厳しさと不確実性を増しております。とくに顕著な変化は、宇宙・サイバー・電磁波といった領域の軍事利用が急速に拡大していることです。近年の技術革新により、これらの領域は陸・海・空という従来の領域と並ぶ重要性を持ち始めました。また、地域に目を向けると、中国は周辺海空域における活動を拡大・活発化させており、日本海さらには太平洋に進出する戦闘機や爆撃機の飛行も増加しつつあります。北朝鮮は依然としてわが国全域を射程におさめる弾道ミサイルを数百発保有、実戦配備しております。5月以降、相次いでいる日本海への短距離弾道ミサイルなどの発射は、北朝鮮が、3度に亘る米朝首脳の会談や面会の後も、関連技術の高度化を図っていることを示すものであり、わが国として看過することはできません。

第12 国会答弁資料
① 令和2年2月    3日から同年3月2日までの分
② 令和2年3月    9月の参議院予算委員会(質問者は小西洋之)→大臣官房人事課作成分刑事局作成分
③ 令和2年3月11日の衆議院法務委員会(質問者は山尾志桜里)→大臣官房人事課作成分刑事局作成分

第13 関連記事
① 検事総長,次長検事及び検事長任命の閣議書
② 勤務延長制度(国家公務員法81条の3)の検察官への適用に関する法務省及び人事院の文書(文書の作成時期に関する政府答弁を含む。)
③ 国家公務員法81条の3に基づき,検察官の勤務延長が認められる理由
④ 令和2年の検察庁法改正案及び検察官俸給法改正案に関する法案審査資料
⑤ 最高裁判所長官任命の閣議書
⑥ 最高裁判所判事任命の閣議書
⑦ 各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書
⑧ 黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀問題

新型コロナウイルス感染症に準用されている検疫法の条文

検疫法34条及び36条の6に基づき制定された,
   新型コロナウイルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として指定する等の政令(令和2年2月13日政令第28号)(ただし,リンク先は制定当時の条文です。)によれば,
   令和2年2月14日以降,新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)(以下「新型コロナウィルス」といいます。)について準用されている検疫法の条文は以下のとおりです。
○新型コロナウイルス感染症は,無症状病原体保有者であっても患者とみなす(検疫法2条の2第3項の準用)という点では一類感染症と同じ扱いであるのに対し,隔離及び停留はやむを得ない理由がないときであっても宿泊施設又は船舶で行える(検疫法15条及び16条2項の準用)という点では二類感染症と同じ扱いであるという意味では,患者に不利な準用方法となっています。

新型コロナウィルス感染症に準用される検疫法の条文

(疑似症及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)
第二条の二 前条第一号に掲げる感染症の疑似症を呈している者については、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
(2項の準用はなし。)
3 前条第一号に掲げる感染症の病原体を保有している者であつて当該感染症の症状を呈していないものについては、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
第二章 検疫
(入港等の禁止)
第四条 次に掲げる船舶又は航空機(以下それぞれ「外国から来航した船舶」又は「外国から来航した航空機」という。)の長(長に代つてその職務を行う者を含む。以下同じ。)は、検疫済証又は仮検疫済証の交付(第十七条第二項の通知を含む。第九条を除き、以下同じ。)を受けた後でなければ、当該船舶を国内(本州、北海道、四国及び九州並びに厚生労働省令で定めるこれらに附属する島の区域内をいう。以下同じ。)の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させてはならない。ただし、外国から来航した船舶の長が、検疫を受けるため当該船舶を第八条第一項に規定する検疫区域若しくは同条第三項の規定により指示された場所に入れる場合若しくは次条ただし書第一号の確認を受けた者の上陸若しくは同号の確認を受けた物若しくは第十三条の二の指示に係る貨物の陸揚のため当該船舶を港(第八条第一項に規定する検疫区域又は同条第三項の規定により指示された場所を除く。)に入れる場合又は外国から来航した航空機の長が、検疫所長(検疫所の支所又は出張所の長を含む。以下同じ。)の許可を受けて当該航空機を着陸させ、若しくは着水させる場合は、この限りでない。
一 外国を発航し、又は外国に寄航して来航した船舶又は航空機
二 航行中に、外国を発航し又は外国に寄航した他の船舶又は航空機(検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けている船舶又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだ船舶又は航空機
(交通等の制限)
第五条 外国から来航した船舶又は外国から来航した航空機(以下「船舶等」という。)については、その長が検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人も、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けて、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出すとき。
二 第十三条の二の指示に従つて、当該貨物を陸揚げし、又は運び出すとき。
三 緊急やむを得ないと認められる場合において、検疫所長の許可を受けたとき。
(検疫前の通報)
第六条 検疫を受けようとする船舶等の長は、当該船舶等が検疫港又は検疫飛行場に近づいたときは、適宜の方法で、当該検疫港又は検疫飛行場に置かれている検疫所(検疫所の支所及び出張所を含む。以下同じ。)の長に、検疫感染症の患者又は死者の有無その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
(検疫区域)
第八条 船舶の長は、第十七条第二項の通知を受けた場合を除くほか、検疫を受けようとするときは、当該船舶を検疫区域に入れなければならない。
2 外国から来航した航空機の長は、当該航空機を最初に検疫飛行場に着陸させ、又は着水させたときは、直ちに、当該航空機を検疫区域に入れなければならない。
3 前二項の場合において、天候その他の理由により、検疫所長が、当該船舶等を検疫区域以外の場所に入れるべきことを指示したときは、船舶等の長は、その指示に従わなければならない。
4 第一項及び第二項の検疫区域は、厚生労働大臣が、国土交通大臣と協議して、検疫港又は検疫飛行場ごとに一以上を定め、告示する。
(検疫信号)
第九条 船舶の長は、検疫を受けるため当該船舶を検疫区域又は前条第三項の規定により指示された場所に入れた時から、検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けるまでの間、厚生労働省令の定めるところにより、当該船舶に検疫信号を掲げなければならない。船舶が港内に停泊中に、第十九条第一項の規定により仮検疫済証が失効し、又は同条第二項の規定により仮検疫済証が失効した旨の通知を受けた場合において、その失効又は失効の通知の時から、当該船舶を港外に退去させ、又は更に検疫済証若しくは仮検疫済証の交付を受けるまでの間も、同様とする。
(検疫の開始)
第十条 船舶等が検疫区域又は第八条第三項の規定により指示された場所に入つたときは、検疫所長は、荒天の場合その他やむを得ない事由がある場合を除き、すみやかに、検疫を開始しなければならない。但し、日没後に入つた船舶については、日出まで検疫を開始しないことができる。
(書類の提出及び呈示)
第十一条 検疫を受けるに当つては、船舶等の長は、検疫所長に船舶等の名称又は登録番号、発航地名、寄航地名その他厚生労働省令で定める事項を記載した明告書を提出しなければならない。但し、仮検疫済証の失効後に受ける検疫にあつては、検疫所長から求められた場合に限る。
2 検疫所長は、船舶等の長に対して、第一号から第三号までに掲げる書類の提出並びに第四号及び第五号に掲げる書類の呈示を求めることができる。
一 乗組員名簿
二 乗客名簿
三 積荷目録
四 航海日誌又は航空日誌
五 その他検疫のために必要な書類
(質問)
第十二条 検疫所長は、船舶等に乗つて来た者及び水先人その他船舶等が来航した後これに乗り込んだ者に対して、必要な質問を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
(診察及び検査)
第十三条 検疫所長は、検疫感染症につき、前条に規定する者に対する診察及び船舶等に対する病原体の有無に関する検査を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
2 検疫所長は、前項の検査について必要があると認めるときは、死体の解剖を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。この場合において、その死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔の地に居住する等の理由により遺族の諾否が判明するのを待つていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族の承諾を受けることを要しない。
(陸揚等の指示)
第十三条の二 検疫所長は、船舶等に積載された貨物について当該船舶等において前条第一項の検査を行なうことが困難であると認めるときは、同項の検査を行なうため、当該船舶等の長に対して、当該貨物を検疫所長の指示する場所に陸揚し、又は運び出すべき旨を指示することができる。
(汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等についての措置)
第十四条 検疫所長は、検疫感染症が流行している地域を発航し、又はその地域に寄航して来航した船舶等、航行中に検疫感染症の患者又は死者があつた船舶等、検疫感染症の患者若しくはその死体、又はペスト菌を保有し、若しくは保有しているおそれのあるねずみ族が発見された船舶等、その他検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等について、合理的に必要と判断される限度において、次に掲げる措置の全部又は一部をとることができる。
一 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者を隔離し、又は検疫官をして隔離させること。
二 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、又は検疫官をして停留させること(外国に当該各号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに限る。)。
三 検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物若しくは場所を消毒し、若しくは検疫官をして消毒させ、又はこれらの物であつて消毒により難いものの廃棄を命ずること。
四 墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)の定めるところに従い、検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある死体(死胎を含む。)の火葬を行うこと。
五 検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物若しくは場所の使用を禁止し、若しくは制限し、又はこれらの物の移動を禁止すること。
六 検疫官その他適当と認める者をして、ねずみ族又は虫類の駆除を行わせること。
七 必要と認める者に対して予防接種を行い、又は検疫官をしてこれを行わせること。
2 検疫所長は、前項第一号から第三号まで又は第六号に掲げる措置をとる必要がある場合において、当該検疫所の設備の不足等のため、これに応ずることができないと認めるときは、当該船舶等の長に対し、その理由を示して他の検疫港又は検疫飛行場に回航すべき旨を指示することができる。
(隔離)
第十五条 前条第一項第一号に規定する隔離は、次の各号に掲げる感染症ごとに、それぞれ当該各号に掲げる医療機関に入院を委託して行う。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、当該各号に掲げる医療機関以外の病院又は診療所であつて検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託して行うことができる。
一 第二条第一号に掲げる感染症 特定感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する特定感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)又は第一種感染症指定医療機関(同法に規定する第一種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)
二 第二条第二号に掲げる感染症 特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関又は第二種感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する第二種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)
2 検疫所長は、前項の措置をとつた場合において、第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該隔離されている者の隔離を解かなければならない。
3 第一項の委託を受けた病院又は診療所の管理者は、前条第一項第一号の規定により隔離されている第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
4 前条第一項第一号の規定により隔離されている者又はその保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)は、検疫所長に対し、当該隔離されている者の隔離を解くことを求めることができる。
5 検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該隔離されている第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
(停留)
第十六条(1項の準用はなし。)
2 第十四条第一項第二号に規定する停留は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関若しくは第二種感染症指定医療機関若しくはこれら以外の病院若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものに入院を委託し、又は宿泊施設の管理者の同意を得て宿泊施設内に収容し、若しくは船舶の長の同意を得て船舶内に収容して行うことができる。
3 前二項の期間は、第二条第一号に掲げる感染症のうちペストについては百四十四時間を超えてはならず、ペスト以外の同号又は同条第二号に掲げる感染症については五百四時間を超えない期間であつて当該感染症ごとにそれぞれの潜伏期間を考慮して政令で定める期間を超えてはならない。
4 検疫所長は、第一項又は第二項の措置をとつた場合において、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該停留されている者の停留を解かなければならない。
5 第一項又は第二項の委託を受けた病院又は診療所の管理者は、第十四条第一項第二号の規定により停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
6 第十四条第一項第二号の規定により停留されている者又はその保護者は、検疫所長に対し、当該停留されている者の停留を解くことを求めることができる。
7 検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
(審査請求の特例)
第十六条の二 第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えるもの又はその保護者は、当該隔離について文書又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の審査請求があつたときは、当該審査請求があつた日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る隔離されている者が同号の規定により隔離された日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
4 厚生労働大臣は、第二項の裁決又は前項の裁決(隔離の期間が三十日を超える者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
5 第三項の審査請求(隔離の期間が三十日を超えない者に係るものに限る。)については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。
(検疫済証の交付)
第十七条 検疫所長は、当該船舶等を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、検疫済証を交付しなければならない。
2 検疫所長は、船舶の長が第六条の通報をした上厚生労働省令で定めるところにより厚生労働省令で定める事項を通報した場合において、これらの通報により、当該船舶を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、あらかじめ、当該船舶の長に対して、検疫済証を交付する旨の通知をしなければならない。
(仮検疫済証の交付)
第十八条 検疫所長は、検疫済証を交付することができない場合においても、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、一定の期間を定めて、仮検疫済証を交付することができる。
2 前項の場合において、検疫所長は、検疫感染症(第二条第二号に掲げる感染症を除く。)の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券の提示を求め、当該者の国内における居所、連絡先及び氏名並びに旅行の日程その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、同項の規定により定めた期間内において当該者の体温その他の健康状態について報告を求め、若しくは質問を行い、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。
3 検疫所長は、前項の規定による報告又は質問の結果、健康状態に異状を生じた者を確認したときは、当該者に対し、保健所その他の医療機関において診察を受けるべき旨その他検疫感染症の予防上必要な事項を指示するとともに、当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長とする。第五項及び第二十六条の三において同じ。)に当該指示した事項その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
4 第一項の場合において、検疫所長は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、第二項に規定する旅券の提示を求め、若しくは当該者の国内における居所、連絡先及び氏名並びに旅行の日程その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、又は検疫官をしてこれらを求めさせることができる。
5 検疫所長は、前項の規定により報告された事項を同項に規定する者の居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。
(仮検疫済証の失効)
第十九条 仮検疫済証の交付を受けた船舶等に、前条第一項の規定により定められた期間内に、検疫感染症の患者又は検疫感染症による死者が発生したときは、当該仮検疫済証は、その効力を失う。この場合においては、当該船舶等の長は、直ちに、その旨を最寄りの検疫所長に通報しなければならない。
2 仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等について更に第十四条第一項各号に掲げる措置をとる必要があると認めたときは、前条第一項の規定により定めた期間内に限り、当該仮検疫済証の効力を失わしめることができる。この場合においては、当該検疫所長は、直ちに、その旨を当該船舶等の長に通知しなければならない。
3 前二項の規定により仮検疫済証が失効した場合において、当該船舶が港内に停泊中であり、又は当該航空機が国内の場所(港の水面を含む。)に停止中であるときは、第一項の通報を受けた検疫所長又は当該仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等の長に対し、当該船舶等を検疫区域若しくはその指示する場所に入れ、又は当該船舶を港外に退去させ、若しくは当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させるべき旨を命ずることができる。
(証明書の交付)
第二十条 検疫所長は、第十四条第一項各号の一に掲げる措置又は同条第二項の指示をした場合において、当該船舶等の長その他の関係者から求められたときは、その旨の証明書を交付しなければならない。
(検疫港以外の港における検疫)
第二十一条 次に掲げる要件のすべてを満たしている船舶の長は、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れることができる。ただし、あらかじめその港の最寄りの検疫所の長の許可を受けた場合に限る。
一 検疫感染症が現に流行し、又は流行するおそれのある地域として厚生労働省令で指定する外国の地域を発航し、又はその地域に寄航して来航したものでないこと。
二 航行中に、前号に規定する外国の地域を発航し又はその地域に寄航した他の船舶又は航空機(検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けている船舶又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだものでないこと。
三 航行中に検疫感染症の患者が発生しなかつたこと。
四 医師又は外国の法令によりこれに相当する資格を有する者が船医として乗り組んでいること。
五 ねずみ族の駆除が十分に行われた旨又はねずみ族の駆除を行う必要がない状態にあることを確認した旨を証する証明書(検疫所長又は外国のこれに相当する機関が六箇月内に発行したものに限る。)を有すること。
2 船舶の長は、前項ただし書の許可を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項を通報して申請しなければならない。
3 検疫所長は、第一項ただし書の許可の申請を受けたときは、すみやかに、許可するかどうかを決定し、これを当該船舶の長に通知しなければならない。
4 第一項の船舶の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れたときは、直ちに、当該船舶をその港の区域内の検疫所長が指示する場所に入れなければならない。
5 第九条及び第十条の規定は、第一項の船舶が前項の規定により指示された場所に入つた場合に準用する。
6 検疫所長は、第一項の船舶が検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれがあると認めるとき、又は当該船舶を検疫港に回航させた上更に第十三条に規定する診察若しくは検査を行う必要があると認めるときは、当該船舶の長に対し、その理由を示して、その港における検疫を打ち切ることができる。
7 前項の規定により検疫港以外の港における検疫が打ち切られたときは、当該船舶の長は、直ちに、当該船舶を港外に退去させなければならない。
8 第二十条の規定は、検疫所長が第六項の規定により検疫を打ち切つた場合に準用する。
(第四条第二号に該当する船舶等に関する特例)
第二十二条 第四条第二号に該当する船舶又は航空機(同時に同条第一号にも該当する船舶又は航空機を除く。)の長は、当該船舶又は航空機の性能が長距離の航行に堪えないため、又はその他の理由により、検疫港又は検疫飛行場に至ることが困難であるときは、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させることができる。
2 前項の船舶又は航空機の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させたときは、直ちに、最寄りの保健所長に、検疫感染症の患者の有無、第四条第二号に該当するに至つた日時及び場所その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。ただし、当該船舶又は航空機の長が、あらかじめ、最寄りの検疫所長にこれらの事項を通報した場合は、この限りでない。
3 前項の通報を受けた保健所長は、当該船舶又は航空機について、検査、消毒その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
4 第一項の船舶又は航空機については、第五条ただし書第三号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
5 第一項の船舶又は航空機であつて、当該船舶又は航空機を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがない旨の保健所長の確認を受けたものについては、第四条及び第五条の規定を適用しない。
6 第九条及び第十条の規定は第一項の船舶の長が第二項ただし書の通報をした後当該船舶を検疫港以外の港に入れた場合に、同条の規定は第一項の航空機の長が第二項ただし書の通報をした後当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、又は着水させた場合に準用する。
(緊急避難)
第二十三条 検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶等を国内の港に入れ、又は検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させた場合において、その急迫した危難が去つたときは、直ちに、当該船舶を検疫区域若しくは検疫所長の指示する場所に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させなければならない。
2 前項の場合において、やむを得ない理由により当該船舶を検疫区域等に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させることができないときは、船舶等の長は、最寄りの検疫所長、検疫所がないときは保健所長に、検疫感染症の患者の有無、発航地名、寄航地名その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた検疫所長又は保健所長は、当該船舶等について、検査、消毒その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
4 第二項の船舶等については、第五条ただし書第三号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
5 第二項の船舶等であつて、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどない旨の検疫所長又は保健所長の確認を受けたものについては、当該船舶等がその場所にとどまつている限り、第五条の規定を適用しない。
6 前四項の規定は、国内の港以外の海岸において航行不能となつた船舶等について準用する。
7 検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機から離れ、若しくは物を運び出した者があるときは、直ちに、最寄りの保健所長又は市町村長に、検疫感染症の患者の有無その他厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。
(協力の要請)
第二十三条の二 検疫所長は、当該検疫所における検疫業務を円滑に行うため必要があると認めるときは、船舶等の所有者若しくは長又は検疫港若しくは検疫飛行場の管理者に対し、第十二条の規定による質問に関する書類の配付、検疫の手続に関する情報の提供その他必要な協力を求めることができる。
第四章 雑則
(検疫官)
第二十八条 この法律に規定する事務に従事させるため、厚生労働省に検疫官を置く。
(立入権)
第二十九条 検疫所長及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うため必要があるときは、船舶、航空機又は第二十七条第一項及び第二項に規定する施設、建築物その他の場所に立ち入ることができる。
(権限の解釈)
第三十条 この法律の規定による検疫所長及び検疫官の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(制服の着用及び証票の携帯)
第三十一条 検疫所長及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うときは、制服を着用し、且つ、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを呈示しなければならない。
2 検疫所長及び検疫官の服制は、厚生労働大臣が定める。
(実費の徴収)
第三十二条 検疫所長は、左に掲げる場合においては、船舶等の所有者又は長から、政令の定めるところにより、その実費を徴収しなければならない。
一 第十四条第一項第三号、第四号又は第六号に規定する措置をとつたとき。
二 船舶等の乗組員に対して第十四条第一項第一号又は第二号に規定する措置をとつたとき。
2 検疫所長は、前項の規定により実費を負担しなければならない者が、経済的事情により、その実費の全部又は一部を負担することが困難であると認められる場合においては、同項の規定にかかわらず、その全部又は一部を徴収しないことができる。
3 前二項の規定は、第二十二条第三項又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により、検疫所長又は保健所長が必要な措置をとつた場合に準用する。
(費用の支弁及び負担)
第三十三条 第二十二条第三項又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により保健所長がとる措置に要する費用は、当該保健所を設置する都道府県、市又は特別区が支弁し、国庫は、政令の定めるところにより、これを負担しなければならない。
   
(省令委任)
第四十一条 この法律で政令に委任するものを除く外、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

*0 罰則について定める検疫法35条ないし40条は,新型コロナウイルス感染症について政令で準用することはできません(検疫法34条参照)。
   ただし,検体採取,採取後の指定した場所での追加の問診等,検査の結果の伝達までの一連の行為は検疫法13条の診察として実施されますから,検査の結果が判明する前に,待機要請に従わず,航空機及び検疫場所を離れた者については,同条に基づく診察を忌避した者として同条違反となり,検疫法36 条の罰則(6月以下の懲役又は50 万円以下の罰金)の対象となりえます(令和2年3月22日付の厚生労働省健康局結核感染症課等の事務連絡)。
   
*1 検疫法施行令の一部を改正する政令(令和2年1月28日政令第11号)及び検疫法の一部を改正する政令の一部を改正する政令(令和2年1月31日政令第23号)に基づき,令和2年2月1日,新型コロナウイルス感染症は指定感染症となりました(検疫法2条3号・検疫法施行令1条)。
   そのため,検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けている場合等を除き,検疫済証又は仮検査済証の交付を受けない限り,外国から来航した船舶から上陸し,又は外国から来航した航空機の検疫場所から離れることができなくなりました。
   ただし,新型コロナウイルス感染症は検疫法2条1項1号又2号の感染症ではありませんでしたから,法的に隔離又は停留を行うことができなかった(検疫法14条1項1号及び2号参照)のであって,法的に隔離又は停留を行うためには検疫法34条の感染症の種類として定める必要がありました。*2 新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者の停留は336時間(14日間)を超えることはできません(新型コロナウィルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として定める等の政令(令和2年2月13日政令第28号)3条の表法16条3項の項)。
   
*3 新型コロナウィルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として定める等の政令(令和2年2月13日政令第28号)が施行された令和2年2月14日以降,新型コロナウイルス感染症は,無症状病原体保有者であっても患者とみなされますし,隔離及び停留はやむを得ない理由がないときであっても宿泊施設又は船舶で行えるようになりました。
   
*4 湖北省に在留する方々の帰国のために合計5回のチャーター便が武漢空港に派遣され,令和2年1月29日から同年2月17日にかけて羽田空港に到着しました(NHK HPに「武漢退避!その舞台裏」が載っています。)。
       
*5 令和2年2月3日夜から横浜港大黒埠頭に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号の場合,同日から翌日にかけて検疫官による健康診断が行われ,2月5日早朝から船内での行動が制限されるようになり,WHOの健康観察期間が終了した2月19日から21日にかけて陰性と判定された乗客の下船が行われました。
   
*6 検疫所長は,新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し,旅券の提示を求めるほか,当該者の国内における居所及び連絡先,氏名,年齢,性別,国籍,職業並びに旅行の日程並びに当該者が新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したことが疑われる場所について報告を求め,又は検疫官をしてこれらを求めさせることができます(検疫法18条2項・検疫法施行規則6条の2)。
    また,検疫所長は,新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないもののうち,検疫法18条2項の規定による報告又は質問の結果,健康状態に異状を生じた者を確認したときは,当該者に対し,保健所その他の医療機関において診察を受けるべき旨その他新型コロナウイルス感染症の予防上必要な事項を指示するとともに,当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事又は保健所設置市に当該指示した事項その他の厚生労働省令で定める事項(当該者の国内における居所及び連絡先、氏名、年齢、性別、国籍、職業並びに旅行の日程並びに当該者が検疫感染症の病原体に感染したことが疑われる場所)を通知しなければなりません(検疫法18条3項・検疫法施行規則6条の3)。
   さらに,検疫所長は,新型コロナウィルス感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものから報告された事項を都道府県知事に通知しなければなりません(検疫法18条5項)。
   
*7 以下の資料を掲載しています。
・ 予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案 説明資料(令和2年10月の厚生労働省健康局の文書)
・ 新型コロナウイルス感染症を検疫法第34条の感染症の種類として指定する等の政令案 内閣法制局説明資料(令和2年2月の厚生労働省健康局結核感染症課の文書)
・ 新型コロナウイルス感染症発生国からの入国者に対する検疫対応に関する,厚生労働省健康局結核感染症課等の事務連絡(令和2年1月7日から同年5月25日までの分)
・ 検疫法の手引(平成25年10月28日付で全国検疫所長協議会が作成し,厚生労働省健康局結核感染症課が監修した文書)
・ 新型コロナウイルス感染症発生国からの入国者に対する検疫対応について(流行地域の追加)(令和2年4月2日付の厚生労働省健康局結核感染症課等の事務連絡)