第1 法務・検察幹部名簿の掲載範囲
人事情報を調べるときは,名簿の基準日と発令の効力発生日を区別する。検察庁の役割・種類については検察庁とはを参照されたい。
| 資料 | 分かること | 確認する点 |
|---|---|---|
| 幹部名簿 | 特定の基準日における幹部の役職・氏名。 | 対象となる庁・役職と基準日。その後の異動は別に確認する。 |
| 検事期別名簿 | その名簿の基準日における検事の掲載情報。 | 名簿の掲載対象と基準日。役職を調べる場合は原本の記載と照合する。 |
| 人事異動の発令資料 | 特定の日付の任命・異動等。 | 対象者,発令日・効力発生日,旧職と新職。同日の資料の掲載範囲。 |
基準日の新しい名簿を調べる場合は,令和8年10月1日現在の法務・検察幹部名簿を確認する。同記事にも掲載範囲と基準日後の人事の確認方法がある。過去のPDFは当時の名簿として利用する。
本記事は,法務省作成の法務・検察幹部名簿について,平成24年4月から令和5年1月までの13基準日の掲載資料を案内するものである。
幹部の氏名・役職等を過去の基準日で調べる場合は第2の資料,平成31年4月17日又は令和2年7月17日現在の文字情報を探す場合は第3のテキスト版を参照できる。
名簿の基準日は掲載・更新日とは別であり,過去の名簿にある年齢や役職を現在の情報として読むことはできない。
名簿で開示される項目,幹部略歴を公表する対象職,人事文書の決裁者も,それぞれの文書の作成時点と対象を分けて確認する必要がある。
この形式の名簿の掲載資料は令和5年1月10日現在までである。
より後の基準日の幹部名簿を探す場合は,政官要覧編集者に提供している法務・検察幹部名簿及び法務省本省幹部一覧(令和8年8月12日版)を参照できる。両者は本記事の名簿と対象や掲載項目が同一とは限らない。
第2 基準日別の掲載資料
新しい基準日から順に掲載している。リンクが添付資料ページへ移動する場合は,そのページにあるPDFを開くことができる。
| 基準日 | 掲載資料 |
|---|---|
| 令和5年1月10日現在 | 名簿を開く |
| 令和4年4月11日現在 | 名簿を開く |
| 令和3年4月9日現在 | 名簿を開く |
| 令和2年7月17日現在 | 名簿を開く |
| 令和2年1月9日現在 | 名簿を開く |
| 平成31年4月17日現在 | 名簿を開く |
| 平成30年4月11日現在 | 名簿を開く |
| 平成29年4月17日現在 | 名簿を開く |
| 平成28年4月11日現在 | 名簿を開く |
| 平成27年4月15日現在 | 名簿を開く |
| 平成26年4月11日現在 | 名簿を開く |
| 平成25年4月10日現在 | 名簿を開く |
| 平成24年4月10日現在 | 名簿を開く |
第3 テキスト版でポスト・生年月日・修習期を調べる
令和8年10月1日現在の役職と生年月日又は生年月・修習期を調べる場合は,法務・検察幹部名簿(令和8年10月1日現在)―ポスト・生年月日・修習期で探す(AI作成)を参照できる。法務省本省等に加え,検事総長・次長検事,8高検の検事長・次席検事及び50地検の検事正・次席検事を掲載し,ポスト順の表に生年月日順・修習期順の索引を付けている。掲載範囲と各項目の出典は同記事の第1・第6に示している。
同じ基準日のポスト順,生年月日順及び修習期・生年月日順の3記事は,同じ人物・項目を並べ替えたものである。
現在は基準日ごとの1記事に,全項目のポスト順の表と,生年月日順・修習期順の索引をまとめている。
令和2年7月17日現在の法務・検察幹部名簿(107人)
平成31年4月17日現在の法務・検察幹部名簿(111人)
平成31年・令和2年のテキスト版には氏名,修習期,生年月日,年齢,現職就任日,現職及び前職を掲載している。
収録人数は当該テキスト版の人数であり,検察官全員の人数ではない。
法務省作成の検事期別名簿は,司法修習期を手掛かりに検事を調べる別系列の資料である。
検事の修習期・生年月日の開示と幹部略歴の公表では,不開示判断の対象文書・情報と,公表通知の対象職を区別して整理している。
第4 人事文書の決裁区分と幹部略歴の公表
1 平成30年掲載版の大臣決裁
法務省行政文書取扱規則(平成30年12月17日版)のPDF31頁・32頁は,当該掲載版の任免及び懲戒処分の文書施行名義者・決裁者を示している。
現在の決裁区分を確定するには,その後の改正を確認する必要がある。任命権者と文書の内部決裁者は,同じ意味の用語ではない。
同掲載版の表の7には,次の検察官を含む職員の任免及び懲戒処分について,文書施行名義者・決裁者をともに大臣とする区分がある。
① 検事総長
② 次長検事
③ 検事長
④ 最高検察庁検事
⑤ 高等検察庁次席検事及び部長(東京及び大阪に限る。)
⑥ 検事正
⑦ 地方検察庁次席検事(東京,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,名古屋及び福岡に限る。)
⑧ 地方検察庁支部長(立川,川崎,小田原,沼津,堺,姫路,岡崎及び小倉に限る。)
2 事務次官決裁の範囲と免職の例外
表の8は,大臣の任命権に属する職員のうち表の7に掲げる者を除く職員について,任免(分限免職を除く。)及び懲戒処分(免職を除く。)の決裁者を事務次官,文書施行名義者を大臣としている。
したがって,全ての任免・懲戒処分を一括して事務次官決裁と説明することはできない。
3 幹部略歴の公表通知との違い
上記の決裁区分と,平成19年6月15日付の幹部略歴公表通知による公表対象職は一致しない。
例えば,公表通知の支部長は八王子,川崎,沼津,堺,姫路,岡崎及び小倉であり,平成30年版の決裁区分とは名称・範囲が異なる。
通知当時の対象職,生年月日の公表及び名簿の開示判断は,検事の修習期・生年月日の開示と幹部略歴の公表を参照できる。
第5 人事・給与・検察制度の関連記事
1 任命・職務・人事管理
検事総長,次長検事及び検事長任命の閣議書:検事総長・次長検事・検事長の任命に関する閣議書を掲載している。
検事総長,次長検事及び検事長が認証官となった経緯:認証官である検察官の任命に関する資料を探す参照先である。
「補する」「充てる」「命ずる」「指名する」の違い―裁判官・検察官の人事の発令文言,根拠条文及び立法時の説明:任官・補職等の発令文言を読むための解説である。
検察官の人事評価―検察官調査表の評価項目,評点,弁護人対応及び保存期間:人事評価の規則・評価方法を整理している。
裁判官と検察官の人事交流:判検交流に関する制度・資料を扱っている。
2 給与と身分保障
判検事トップの月収―報酬・俸給月額と行政機関の主な特別職との比較:幹部の給与水準を他の特別職と比較するための資料である。
裁判官・検察官の給与月額表―最新版と平成30年以降の過去資料:給与月額表を参照する記事である。
検事一級と検事二級の違い(法務省文書に基づくAI解説):検事の級・号俸等を調べる際の関連記事である。
検察官の身分保障:身分保障,分限,適格審査等の論点を扱っている。
平成14年5月以降の,検察官の懲戒処分事例:検察官の懲戒処分を扱っている。
3 指揮監督・独立性・処分の審査
検察庁法14条に基づく法務大臣の指揮権―一般的指揮と個別事件の指揮:法務大臣の指揮監督権と個別事件への指揮の論点を扱っている。
検察官同一体の原則-独任制官庁,指揮監督及び検察権の独立:検察官相互の指揮監督・事務の移転等を調べる参照先である。
検察権の独立(行政権,立法権との関係):司法権との違いを踏まえた検察の独立性を扱っている。
検察権行使の機関(検察官の独任制官庁と検察官同一体の原則):検察権の行使に関する資料・説明を掲載している。
交通事故事件における検察審査会への審査申立て――申立適格,申立書の記載事項,公訴時効及び裁判例:交通事故事件について検察審査会への申立てを検討する際の解説である。
4 捜査照会と弁護士の職務
検察庁による身上調査照会-法的根拠,照会事項及び前科照会との違い:検察庁の身上照会等の資料を探す参照先である。
防犯カメラ映像を警察・弁護士に提供するとき―捜査関係事項照会,弁護士会照会,第三者の映り込みと提供範囲:防犯カメラ映像を警察・弁護士へ提供する場面の検討に対応する。
弁護士職務基本規程とは―現行条文・条文別索引・主要論点:弁護士職務基本規程の条文と関連記事の参照口である。
刑事弁護人の基本義務―弁護士職務基本規程46条・47条・48条と最善の弁護:刑事弁護の基本的義務等を整理している。
弁護士の委任契約書はいつ必要か―弁護士職務基本規程30条,記載事項,例外及び中途終了時の清算:委任契約書を作成する場面を扱っている。
第6 年次回顧と人事に関する歴史資料
1 検察月報「回顧と展望」
検察月報「回顧と展望」―平成23年から平成26年の掲載資料一覧に,4年分の対象年と掲載号,原資料のPDF及び目次の読み方をまとめている。
第706号(平成28年1月)の表紙・目次には「平成27年の回顧と展望」は掲げられておらず,同号を平成27年分の回顧資料とすることは適切でない。別の号・別の文書に存在しないという意味ではない。
2 事務次官講話
検事の処遇・人事を調べる歴史資料として,大野恒太郎法務事務次官による平成22年10月4日の講話「問題意識、丈夫な頭、健康」がある。
人事院の平成22年度3年目フォローアップ研修の事務次官講話のアーカイブ及び講話PDFが参照先である。
本省勤務と現場勤務について調べる歴史資料として,西川克行法務事務次官による平成24年5月15日の講話「明日の行政を担う皆さんへ」がある。
人事院の平成24年度初任行政研修の事務次官講話のアーカイブ及び講話PDFが参照先である。
当時の講話と現在の人事制度・運用は区別して参照する必要がある。
3 検察の活動を監視する仕組みに関する平成21年の答弁書
平成21年4月10日付の内閣答弁書は,令状による司法的な審査,公開の法廷での審理,不起訴処分についての検察審査会の審査,法務大臣の指揮監督権を挙げている。
また,適格審査会が平成12年・平成15年・平成18年の定時審査で行った議決について説明している。この答弁は当時の期間・制度に関するものであり,その後の全ての審査結果を示すものではない。
第7 幹部の経歴と個別事件・弁護士倫理の資料を読む際の注意
1 検察官経験と弁護活動に関する懲戒事例
『自由と正義』平成27年10月号89頁には,検事正及び最高検察庁総務部長を経験した弁護士の戒告事例が掲載されている。
本ブログで紹介してきた理由の要旨には,委任契約書・報酬説明,被疑者本人の意思確認,示談への関与,検察幹部との面会により刑事処分の公正に疑惑を抱かせる行為等が挙げられている。
掲載された違反条項には弁護士職務基本規程29条・30条・46条があり,裁判官・検察官等との私的関係の不当利用を扱う77条は挙げられていない。
これだけで77条違反が認定されたと説明したり,同条が適用されなかった理由まで推測したりすることはできない。個別の懲戒理由と一般的な規程の解説は区別する必要がある。
関連する報道の参照先は,神奈川新聞・カナロコの平成27年11月12日付の記事である。規程・委任契約・刑事弁護の一般的な論点は,第5・4の関連記事を参照できる。
2 大阪地検検事正経験者の刑事事件に関する報道
この刑事事件については,初公判の報道だけを根拠に,有罪が確定した事実として扱うことはできない。
関西テレビの令和8年10月5日付の報道は,被告人が初公判で起訴内容を認めた後,無罪主張へ転じたと伝えている。
これは報道された公判経過の紹介であり,行為の認定や有罪・無罪を示す判決の紹介ではない。名簿に掲載された役職・経歴の事実と,個別事件の主張・認定は分けて読む必要がある。
第8 出典
名簿の出典は第2の各基準日の法務省作成資料,決裁区分の出典は第4の平成30年12月17日版の法務省行政文書取扱規則である。
幹部略歴公表通知・開示判断は第3・第4にリンクした解説の原資料,年次回顧は第6・1の各掲載号,歴史資料は第6・2・3の講話と内閣答弁書を参照できる。
弁護士の懲戒事例と刑事事件の報道は,第7に示した誌面・報道の作成時点と範囲に即して読む必要がある。