目次
- 第1 事件単位の「提出経路台帳」
- 第2 アカウント台帳は事件台帳と分ける
- 第3 弁護士と事務職員の確認点を分ける
- 第4 公開マニュアルの版と画面を保存する
- 第5 先行導入前後の確認手順
- 第6 mintsのアカウントや事件データが自動移行するとは限らない
- 第7 関連記事
- 出典・参考資料
TreeeSの限定先行導入後は,裁判所,事件の種類,申立日又は係属時点により,紙,mints又はTreeeSのいずれを使うかが異なる可能性がある。
移行を「事務所全体で切り替える一日」として管理すると,事件ごとの違いを取りこぼす。
事件単位で判定できる形にしておくことが,過誤防止につながる。
本記事では,移行に備えて作っておくとよい二つの台帳と,先行導入前後の確認手順を説明する。
第1 事件単位の「提出経路台帳」
事件ごとに,少なくとも次の一〇項目を記録することが考えられる。
①裁判所
②事件番号
③手続の種類
④適用法の区分(新法事件か旧法事件か)
⑤現在の提出経路(紙・mints・TreeeS)
⑥次回期限
⑦システム送達の届出状況
⑧担当弁護士
⑨担当事務職員
⑩根拠とした公式案内の確認日
TreeeSの切替えを事務所全体の一日だけで管理せず,事件単位で判定する。
新法事件か旧法事件かの判定は,mintsの新法事件と旧法事件の見分け方で説明している。
第2 アカウント台帳は事件台帳と分ける
アカウント台帳には,弁護士・事務職員ごとに,次を記録することが考えられる。
①mintsの登録メールアドレス
②TreeeSで予定するメールアドレス
③GビズIDの利用方針
④GビズIDの種別・管理者・有効期限
⑤二要素認証端末
⑥復旧担当者
事件の受任・終結と,人の入退所・権限変更は別の時点で生じる。
そのため,事件台帳とアカウント台帳を一つの表へ混在させない方が管理しやすい。
GビズIDの種類と有効期限は,裁判所システムTreeeSとGビズIDで説明している。
第3 弁護士と事務職員の確認点を分ける
弁護士は,提出書面の内容,提出先,法的期限,電子申立て義務,送達の効力及び閲覧権限を確認する。
事務職員は,弁護士の指示の下で,ファイル名・添付順序,入力内容,アカウント,通知,受付結果及び記録保存を確認する。
最終提出操作を誰が行う場合でも,法律上の提出責任と事務所内の補助作業を曖昧にしない運用が必要である。
事務職員については,提出,事件記録の常時閲覧及びシステム送達の受領を分けて管理する必要がある。
この区分とGビズIDメンバー,サポーター及びシステム送達受取人との関係は,「TreeeSで事務職員ができること-GビズIDメンバー,サポーター及びシステム送達受取人の違い」で整理している。
第4 公開マニュアルの版と画面を保存する
TreeeSの正式な操作資料が公開されたときは,資料名,版番号,公表日,取得URL及び取得日を記録する。
提出又は送達に関係する画面が更新された場合は,旧版との変更点を確認し,事務所内手順書の根拠となる画面又は該当頁を保存することが考えられる。
調達資料に記載された予定だけで手順書を完成させず,本番画面で確認した事実と区別して管理する必要がある。
第5 先行導入前後の確認手順
先行導入地域で新たな事件を扱うときは,提出前に次の順序で確認する。
①裁判所公式ページでTreeeSの稼働開始日,対象事件及び利用時間を確認する。
②当該事件がTreeeS,mints又は紙のいずれの経路に該当するかを確認する。
③使用するアカウント,代理人・サポータ・送達受取人等の役割及び事件への関連付け方法を確認する。
④提出ファイル,入力項目,手数料,受付結果及び送達設定を公式マニュアルで確認する。
⑤提出後は,裁判所への到達を示す表示,受付番号,時刻及び提出物を事件記録へ保存する。
第6 mintsのアカウントや事件データが自動移行するとは限らない
TreeeSはmintsとは別のシステムである。
mintsのアカウントや事件データが自動的に移行するとは限らない。
現時点で公開されている資料は調達仕様書等であり,最終的な移行手順は正式な案内で確認する必要がある。
TreeeSとmintsの違い,導入時期及び対象裁判所は,TreeeS(ツリーズ)とはで説明している。
第7 関連記事
①TreeeS(ツリーズ)とは―mintsとの違い,導入時期,アカウント及び法律事務所の準備
②裁判所システムTreeeSとGビズID
③mintsの新法事件と旧法事件の見分け方
④最高裁判所が開発しているmints,RoootS及びTreeeS
⑤mintsを安全に使うための事務所内チェックリスト
出典・参考資料
①最高裁判所事務総局「TreeeSの先行導入に関する調達仕様書」(令和8年4月3日付)
②裁判所「民事裁判手続のデジタル化」
③デジタル庁GビズIDの公式案内