第1 高須順一最高裁判所判事の基本情報
1 現在の役職・任命日・定年
高須順一最高裁判所判事は,昭和34年10月9日生まれ,法政大学法学部卒業,司法修習第40期の弁護士出身の最高裁判所判事である。
令和7年3月27日に就任し,第二小法廷に所属している。
裁判所法50条は,最高裁判所の裁判官が年齢70年に達した時に退官すると定めている。
年齢計算ニ関スル法律1項及び民法143条により,昭和34年10月9日生まれの高須判事が70歳に達する日は令和11年10月8日であるため,裁判所法50条上の定年による退官日は同日となる。
2 本記事の対象と資料の範囲
本記事は,令和8年8月28日現在の裁判所,内閣,法政大学その他の公開資料に基づき,経歴,専門分野,公表発言及び主要判決を整理するものである。
裁判官としての判断は個別事件の意見等によって確認し,限られた発言から将来の結論や政治的立場を推測しない。
第2 経歴
1 司法修習・弁護士登録
裁判所公式プロフィール及び任命関係の閣議書によれば,主な経歴は次のとおりである。
| 年月 | 主な経歴 |
|---|---|
| 昭和57年 | 法政大学法学部卒業 |
| 昭和61年 | 司法修習生 |
| 昭和63年 | 東京弁護士会に弁護士登録 |
| 平成2年 | 法政大学法学部兼任講師 |
| 平成16年 | 法政大学大学院法務研究科教授 |
| 平成21年 | 法制審議会民法(債権関係)部会幹事 |
| 平成30年 | 東京弁護士会法制委員会委員長,法政大学大学院法務研究科長等 |
| 令和元年 | 日本弁護士連合会司法制度調査会委員長 |
| 令和2年 | 京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了,博士(法学) |
| 令和2年 | 日本弁護士連合会民事裁判手続に関する委員会幹事及び民事裁判手続のIT化ワーキンググループ委員 |
| 令和2年 | 最高裁判所民事規則制定諮問委員会委員 |
| 令和7年3月27日 | 最高裁判所判事 |
2 教育・民法改正・民事裁判手続への関与
法政大学法科大学院の公表によれば,平成16年4月に同法科大学院に着任し,平成30年から6年間にわたり研究科長を務めた。
裁判所公式プロフィールには,法制審議会民法(債権関係)部会,日本弁護士連合会の民事裁判手続関係の委員会,最高裁判所民事規則制定諮問委員会での役職が掲載されている。
これらの公表経歴からは,法科大学院での教育に加え,民法(債権関係)の改正と民事裁判手続の制度設計に継続して関与したことが確認できる。
もっとも,各委員会の役職だけから,個別の法的論点に関する見解を推定することはできない。
3 最高裁判所判事への就任
令和7年2月14日付けの閣議書は,高須順一を最高裁判所判事に任命する人事を記録し,その任命説明資料に経歴を収録している。
最高裁判所の公表ページによれば,実際の就任日は同年3月27日である。
第3 専門分野と公表論考
1 民法(債権関係)と詐害行為取消権
高須判事は,法制審議会民法(債権関係)部会幹事として,債権法改正の立法作業に関与した。
新日本法規WEBサイトには,高須判事が執筆した「民法改正と新しい詐害行為取消権制度」が平成27年4月10日付けで掲載されている。
同論考は,詐害行為取消権に関する判例法理の明文化と修正,及び倒産法上の否認権との整合性を解説する執筆者による論考である。
法令や裁判例そのものではなく,民法改正の参考となる個人執筆資料として位置付ける。
2 民事裁判手続のIT化
裁判所公式プロフィールによれば,令和2年に日本弁護士連合会の民事裁判手続のIT化ワーキンググループ委員及び最高裁判所民事規則制定諮問委員会委員に就任した。
就任記者会見では,後者の委員として民事訴訟手続のデジタル化のための新たな訴訟規則の制定に関わったと説明している。
第4 就任記者会見で述べた司法観
1 法改正後の解釈論と最高裁判所の役割
高須判事は,就任記者会見において,改正法が役割を果たすためには充実した解釈論の構築が必要であり,そこで最高裁判所が大きな役割を果たすとの趣旨を述べた。
これは債権法改正の立法作業に関与した経験を踏まえた就任時の抱負であり,個別事件の結論を先に示したものではない。
2 司法DX・判決データ・AI
同会見では,民事訴訟のデジタル化,判決データの利活用及び司法分野でAIが一定の役割を担うことにも言及した。
その上で,デジタル化された社会における司法固有の役割は今後の課題であるとし,法的正義の追求と国民に利用しやすい司法という視点を挙げた。
もっとも,高須判事は,司法が司法であり続けるために何が必要かについて定見を有しているわけではないとも明言した。
したがって,この発言はAIの利用方法や可否に関する確定的な方針ではなく,今後の検討課題を示した発言にとどまる。
3 性の多様性に関する発言とその射程
高須判事は,性の多様性に関する質問に対し,重要な問題であると述べた上で,裁判官として具体的な事件を通じ,多くの意見を聴きながら考える趣旨を述べた。
この回答は,特定の法律問題について結論を示したものではなく,それだけから今後の個別事件の判断や政治的立場を推測することはできない。
第5 最高裁判所判事として関与した主要判決
1 裁判所公表の主要判決と氏名検索の違い
裁判所の高須判事別のページは,「主要な裁判」として選別された事件を年別に掲載している。
したがって,そのページは高須判事が関与した全裁判例の一覧ではない。
また,本記事の下部に自動表示される判例一覧は,裁判所ウェブサイトの氏名検索によるため,最高裁判所判事就任前に訴訟代理人として氏名が記載された裁判例を含む。
最高裁判所判事として関与した裁判例と,弁護士として関与した裁判例は区別して読む必要がある。
2 個別意見等を付した主な事件
裁判所が高須判事の主要な裁判として掲載する事件のうち,高須判事の個別意見等が明示された主なものは次のとおりである。
| 裁判年月日・事件番号 | 主な争点 | 高須判事の意見等 |
|---|---|---|
| 最高裁判所第二小法廷令和7年9月26日判決・令和7年(行ツ)第155号 | 令和6年衆議院議員総選挙の小選挙区区割り | 全員一致の判決に意見を付加 |
| 最高裁判所第二小法廷令和8年1月9日判決・令和6年(受)第1046号 | 国家公務員宿舎の明渡請求権の代位行使 | 多数意見に加わり意見を付加 |
| 最高裁判所第二小法廷令和8年1月26日判決・令和5年(行ヒ)第339号 | 宗教法人所有地の境内地該当性と固定資産税 | 裁判長として反対意見 |
| 最高裁判所大法廷令和8年2月18日判決・令和5年(オ)第360号・同年(受)第445号 | 旧警備業法の被保佐人欠格条項と憲法14条1項・22条1項 | 反対意見 |
表は,裁判所の本人別ページと各裁判例の個別ページに基づく。
各判決の法的内容を確認するときは,多数意見と高須判事の意見等を分けて判決原文を読む必要がある。
第6 関連資料・関連記事
1 最高裁判所の人事・国民審査
①令和8年2月8日執行の第27回最高裁判所裁判官国民審査
②最高裁判所判事任命の閣議書
③最高裁判所判事の任命手続
2 任命資料・第二小法廷・判断方法
①最高裁判所第二小法廷の裁判官
②親任式及び認証官任命式
③憲法週間における最高裁判所判事の視察
④一票の格差に関する最高裁判決
⑤最高裁判決における意見表示
第7 出典・参考資料
1 法令
①e-Gov法令検索「裁判所法」50条(定年)
②e-Gov法令検索「年齢計算ニ関スル法律」1項(出生の日からの起算)
③e-Gov法令検索「民法」143条(暦による期間の計算)
2 裁判例
①最高裁判所第二小法廷令和7年9月26日判決(令和7年(行ツ)第155号,民集79巻6号2676頁)
②最高裁判所第二小法廷令和8年1月9日判決(令和6年(受)第1046号,裁判所ウェブサイト)
③最高裁判所第二小法廷令和8年1月26日判決(令和5年(行ヒ)第339号,裁判所ウェブサイト)
④最高裁判所大法廷令和8年2月18日判決(令和5年(オ)第360号・同年(受)第445号,裁判所ウェブサイト)
3 裁判所・内閣の公表資料
①最高裁判所「最高裁判所の裁判官(高須順一)」(人物経歴及び主要な裁判)
②最高裁判所「令和7年3月27日 高須最高裁判事就任記者会見の概要」(令和7年3月27日)
③内閣作成「高須順一最高裁判事及び小林宏司広島高裁長官任命の閣議書」(令和7年2月14日付,資料上の頁番号なし,PDF1頁・3頁~5頁。小林宏司裁判官(41期)の経歴参照)
④最高裁判所「令和7年主要な裁判」及び「令和8年主要な裁判」(高須判事別ページ)
4 大学・執筆者の公表資料
①法政大学法科大学院「高須順一教授が最高裁判所判事に任命されることが決まりました」(令和7年2月14日)
②高須順一「民法改正と新しい詐害行為取消権制度」(新日本法規WEBサイト,平成27年4月10日。執筆者による解説)
高須順一 最高裁判所判事(40期)の経歴・専門分野・主要判決(AIリライト)が関与した公開判例 (裁判所HPの判例検索で 19 件ヒット)
| 裁判所 | 裁判年月日 | 事件番号・事件名 | 全文 | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和8年 7月10日 |
令和7(さ)1
性的姿態等撮影未遂被告事件に係る略式命令 に対する非常上告事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和8年 6月5日 |
令和7(受)933
損害賠償請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷決定 | 令和8年 5月27日 |
令和8(し)416
接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に 対する特別抗告事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷決定 | 令和8年 5月27日 |
令和8(行フ)1
難民審査請求棄却裁決効力停止決定に対する 抗告棄却決定に対する許可抗告事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和8年 4月24日 |
令和7(受)356
不正競争行為差止等請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷決定 | 令和8年 4月1日 |
令和8(し)235
勾留の裁判に対する準抗告棄却決定に対する 特別抗告事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷決定 | 令和8年 2月24日 |
令和5(し)155
再審開始決定に対する即時抗告棄却決定に対 する特別抗告事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 大法廷判決 | 令和8年 2月18日 |
令和5(オ)360
地位確認等請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和8年 2月13日 |
令和6(受)2399
労働契約法20条違反による損害賠償請求事 件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和8年 1月26日 |
令和5(行ヒ)339
固定資産税及び都市計画税賦課決定処分取消 請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和8年 1月9日 |
令和6(受)1046
建物明渡等請求本訴、損害賠償請求反訴事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷決定 | 令和7年 12月23日 |
令和6(あ)504
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及 び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反 、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不 良行為等の防止に関する条例違反、公衆に著 しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に 関する条例(昭和38年兵庫県条例第66号 )違反被告事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和7年 9月26日 |
令和7(行ツ)117
選挙無効請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和7年 9月26日 |
令和7(行ツ)128
選挙無効請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和7年 9月26日 |
令和7(行ツ)156
選挙無効請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷判決 | 令和7年 9月26日 |
令和7(行ツ)155
選挙無効請求事件 | 最高裁判例 | |
| 最高裁判所 第二小法廷決定 | 令和7年 6月23日 |
令和7(医へ)16
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決 定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件 | 最高裁判例 | |
| 東京地方裁判所 | 平成24年 3月28日 |
平成21(ワ)5848
損害賠償請求事件 | 知的財産裁判例 | |
| 最高裁判所 第一小法廷判決 | 平成15年 6月12日 |
平成14(受)689
土地賃料改定請求事件 | 最高裁判例 |
出典: 裁判所HPの判例検索(高須順一) / 名寄せは姓名一致による自動取得のため、同姓同名の他裁判官の判例が含まれる場合があります / 任官前・退官後の判決 (上告代理人等の誤検出) は在任期間で自動除外しています / 最終取得: 2026.08.28