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受任前に招待キーで訴訟記録を閲覧してよいか―mintsと弁護士の職務上の注意(AI作成)

目次

被告代理人になるかもしれない弁護士が,受任するかどうかを決める目的だけで招待キーを入力し,自分のアカウントから事件記録をダウンロードした後に受任を断る。
このような利用は,原則として避けるべきである。

招待キーを使用すると,単に閲覧用URLが開くのではなく,そのアカウントが事件の当事者として関連付けられるからである。
さらに,裁判所が送達対象として置いたファイルの表示又はダウンロードが,送達の効力発生の有無を判断する事実になり得る。

本記事では,受任前の招待キー使用が避けるべきものとされる理由,受任後に辞任する場合との違い,及び誤って受任前にアクセスしてしまった場合の対応を説明する。
招待キーの使い方そのものは,mintsで被告訴訟代理人が招待キーを使う方法を参照されたい。

第1 招待キーは受任審査用の閲覧手段ではない

1 公表資料が想定する利用者

裁判所の公表資料は,紙送達後については「被告から委任を受けた被告訴訟代理人」を,訴状送達前については受任意思と訴状の送達を受ける意思を確認した弁護士を,招待キーの利用者として予定している。

受任するかどうかを決めるために閲覧する者を,招待キーの利用者として予定しているわけではない。

2 関連付けが生じる

招待キーを使用すると,単に閲覧用URLが開くのではなく,そのアカウントが事件の当事者として関連付けられる。

mints利用規約も,裁判手続の電子提出及び期限管理等の目的を超える利用を制限し,不正なアクセス及びアカウントの第三者利用を禁止している。

3 送達の効力に影響し得る

事件の処理状況によっては,裁判所が送達対象として置いたファイルの表示又はダウンロードが,送達の効力発生の有無を判断する事実になり得る。

受任判断だけのつもりで行った操作が被告の手続上の期間に影響するおそれも,受任前の利用を避けるべき理由となる。

4 明文の規定はない

もっとも,公開されている法令,裁判所マニュアル及び利用規約には,「受任前に招待キーを使って閲覧した後,受任を断った」という事例の許否や法的効果を直接定めた規定は見当たらない。

そのため,個別の行為を直ちに違法又は規約違反と断定することはできない。
しかし,技術的に閲覧できることと,受任審査の方法として許容されることは区別しなければならない。

第2 受任前に記録を検討する安全な順序

受任前の利益相反,事件内容及び費用の検討は,まず被告本人から訴状,証拠及び送達書類の紙又はPDFの提供を受けて行う。

受任が成立した後に,招待キーで事件へ関連付けるのが安全な順序である。

招待キーには有効期限があり,招待メールに記載して交付されたものは発行日から7日間,書面に記載して交付されたものは発行日から50日間である。
一度使用したキーは再使用できないため,受任の可否を検討する期間と有効期限との関係も確認しておきたい。

第3 受任後に辞任する場合は別に考える

1 当初から受任意思がない場合との違い

依頼者との間で受任が成立した後,記録を確認した結果,新たな利益相反その他の事情が判明して辞任する場合は,当初から受任意思がないまま閲覧だけをした場合とは異なる。

2 辞任の手続

委任契約は民法第651条により各当事者が解除できる。
もっとも,訴訟代理権の消滅は,相手方へ通知しなければ効力を生じず,民事訴訟規則第23条第4項に基づく裁判所への届出も必要となる。

辞任する弁護士は,依頼者及び裁判所に連絡し,必要な通知・届出,答弁期限その他の緊急対応並びにmints上の関連付けの取扱いを確認する。

3 関連付けは自動では解除されない

最高裁判所の「民事裁判書類電子提出システム(mints)に関するよくある質問」は,訴訟代理人の交代後も交代前の事件情報を引き続き利用でき,それまでにアップロードされたデータを参照できると説明している。
しかし,辞任した代理人の関連付けがいつ解除されるかまでは示していない。

辞任届を提出しただけでmints上の関連付けが直ちに解除されたと判断せず,担当書記官に確認する必要がある。

第4 受任前に誤ってアクセスした場合

1 まず記録する

受任前に誤って招待キーを入力した場合は,それ以上の閲覧又はダウンロードを止め,次の事項を記録する。
①アカウント
②事件番号
③入力時刻
④閲覧又は保存したファイル
⑤委任状及びシステム送達の届出の提出有無

2 担当書記官へ連絡する

その上で,担当書記官へ直ちに連絡し,誤った関連付けの解除方法,送達の効力発生の有無及び未使用の招待キーの取扱いを確認する。

3 取得した記録の取扱い

既にダウンロードした記録については,第三者へ送信せず,依頼者との関係及び裁判所の指示を確認して取り扱う。

アクセスの事実をなかったことにするために履歴やファイルを処分するのではなく,確認に必要な情報を保全して対応する必要がある。

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出典・参考資料

①民法(明治29年法律第89号)651条
②民事訴訟規則23条
③mints「mints利用規約
④mints「mintsご利用に関するQ&A」12頁
⑤裁判所「民事裁判手続のデジタル化に関する準備の手引」20頁・21頁
⑥大阪地方裁判所が作成した操作説明資料②(情報公開請求により取得した文書)18頁・23頁