その他裁判所関係

裁判官の兼職

目次
1 総論
2 裁判官の兼職許可申請に関する答申(平成29年9月6日付)
3 関連資料
4 関連記事その他

1 総論
(1) 最高裁判所は,裁判官が他人の業務に従事する行為に限らず,自ら一定の業務の主体となる行為であっても,裁判所法52条2号の「報酬のあるほかの職務に従事すること」に該当するものとして許可申請の対象となることを前提に,その従事しようとする職務が裁判官としての職務の遂行に支障がないと認められる場合その他裁判所法の精神に反しないと認められる場合に限り,裁判所法52条2号の許可を出しています。
(2) 裁判所法52条の条文は以下のとおりです。
(政治運動等の禁止)
第五十二条 裁判官は、在任中、左の行為をすることができない。
一 国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。
二 最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること。
三 商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。

2 裁判官の兼職許可申請に関する答申(平成29年9月6日付)
・ 最高裁判所行政不服審査委員会が出した,平成29年度答申第1号(平成29年9月6日答申)「兼職許可申請不許可処分に関する件」には,裁判所法52条2号と3号の関係等に関する一般論として以下の記載があります(ナンバリング及び改行を行っています。)。
1(1) 本件不許可処分の適法性及び妥当性を検討するに当たっては,その前提として,裁判所法52条2号と3号の関係や,これと兼職通達との関係を整理する必要があるので,以下において検討を加えることとする。
   裁判所法52条は,裁判官が在任中することができない行為として,「最高裁判所の許可のある場合を除いて,報酬のある他の職務に従事すること」(同条2号),「商業を営み,その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと」(同条3号)を規定しているところ,処分庁は,裁判官の兼職許可の運用について,「他の職務に従事すること」(同条2号)とは他人の業務に従事する行為には限られず,裁判官が自ら一定の業務の主体となる行為も同号の許可申請の対象となると解した上で,そのように一定の業務の主体となる行為が「商業を営み,その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと」(同条3号)に該当する場合には,同条2号の規定に基づく兼職許可をすることができないという関係にあるものとして解釈運用しているものと認められる(審査庁の説明書面)。
(2)   そこで,このような処分庁の解釈運用につき検討する。
ア   処分庁の上記解釈運用は,裁判官が自ら一定の業務の主体となる行為の全てが直ちに禁止されることにはならず,在任中に行うことが許される業務行為もあり得るものとして,そのような業務行為も裁判所法52条2号が規定する「報酬のある他の職務に従事すること」に含まれ,同号の規定に基づく許可をすることがあり得るというものである。
イ   裁判所法52条2号及び3号の文言を見れば,「他の職務に従事すること」(2号)は他人の業務に従事する行為の意と解し,一方で裁判官が自ら一定の業務の主体となる行為は全て「商業を営み,その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと」(3号)に該当して全面的に禁止されるという解釈も採り得るところではある。
   しかし,このように解した場合には,裁判官が相続等により取得した賃貸不動産や転補により居住できなくなる自宅を維持・管理することを目的とする不動産賃貸などは全面的に禁止となり,あまりに厳しい結果となることが想定されるところである。
   そこで,第2の解釈として,裁判所法52条2号の定める「報酬のある他の職務」が,他人の業務に従事する行為に限られず,裁判官が自ら一定の業務の主体となる行為を含むと解釈することも,文理上許容できないとはいえないものである。このように解する場合には,上記のとおりの裁判官の不動産賃貸などについて,実情に応じて柔軟に対応することが可能となる。
   処分庁の上記解釈運用も,同様の観点から,裁判所法の文理及び趣旨に反しない範囲で,裁判官の一定の経済的活動の必要性にも配慮しようとするものとみることができる。
   つまり,処分庁による許可の処理状況を見ると,裁判官の兼職許可申請(ただし,兼職通達第1の2及び第2に掲げる場合の許可に係る申請を除く。以下同じ。)の件数が年間五十数件程度であり,そのうちのほとんどが,上記のとおりの裁判官による不動産賃貸の例であり,裁判官が自ら一定の業務の主体となる行為を対象とするものであるという実情(審査庁の説明書面(3項),審査庁の提出資料)が認められるところ,処分庁の上記解釈運用はこうした実情に配慮した対応を図るものということができる。
ウ   そうすると,処分庁の上記解釈運用は,一定の合理性があるものとして是認することができ,これを違法又は不当ということはできない。
2(1)   次に,兼職通達は,裁判所法52条2号の規定による許可は,その従事しようとする職務が裁判官としての職務の遂行に支障がないと認められる場合その他裁判所法の精神に反しないと認められる場合に限り行う旨を定めるところ,処分庁は,同条3号に該当するかどうかの判断においても,兼職通達の適用があるものとしているので(審査庁の説明書面),この点について検討を加える。
(2)   裁判所法52条3号の規定は,公務員は全体の奉仕者(憲法15条2項)として常に公共の利益のみを指針として行動しなければならないところ,特に裁判官は,各自独立して各種の争訟事件を審理し,法律を解釈適用して,国家としての判断を示すことをその職務とするものであるから,その職務の性質上,最も公正かつ廉潔であることが求められ,裁判官が私的利益にいざなわれているかのような印象を国民に与える行動があれば,その裁判官による裁判,ひいては裁判制度に対する国民の信頼を失わせることにもなりかねないため,このような事態を生じさせないように,同号が規定する業務を行うことを絶対的に禁止したものと解される。
   同号に該当するかどうかの判断において,従事しようとする職務が裁判官としての職務の遂行に支障がないと認められる場合その他裁判所法の精神に反しないと認められるかどうかを基準とする兼職通達を適用しても,同号が規定する業務を絶対的不許可事由とした法の趣旨を踏まえたものということができるから,同号の該当性の判断において兼職通達を適用することが違法であるとか,不当であるとは認められないものと考えられる。
(3)   なお,審査請求人は,前記のとおり,本件計画の内容を検討するに当たり,人事院規則14-8の規定ないし趣旨に違反しないように配慮したことがうかがわれるが(前記前提となる事実,審査請求書),裁判官には同人事院規則の適用はないことは審査請求人も認めるとおり(審査請求書)であるし,一般職員に比べ裁判官の職務に上記の特性があることからすれば,
   裁判所法52条の規定による許可の判断基準と同人事院規則の判断基準とを同一と解すべき理由も見当たらないものであり,上記判断を左右するものではない。


3 関連資料
・ 裁判官が他の職務に従事する場合の許可等について(平成3年12月27日付の最高裁判所事務総長通達)
→ 略称は「兼職通達」です。
・ 裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の兼業の許可等について(平成4年6月26日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 下級裁判所の裁判官の倫理の保持に関する申合せ(平成12年6月15日付の高等裁判所長官申合せ)
・ 平成29年9月6日付の最高裁判所行政不服審査委員会平成29年度答申第1号(兼職許可申請不許可処分に関する件)
・ 平成29年10月25日付の最高裁判所の裁決書

4 関連記事その他
(1) 最高裁が平成29年10月に不許可とした男性裁判官によるアパート経営(居室は12室)については,元々採算の合うものではなかったという指摘があります(楽待HP「【実践大家コラム】裁判官のアパート経営をシミュレーション!」参照)。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容
・ 司法修習生の兼業・兼職の禁止
・ 司法修習生の兼業の状況

地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会

目次
1 総論
2 司法制度改革審議会答申の記載
3 根拠となる最高裁判所規則
4 関連記事その他

1 総論
(1) 地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会は,裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるために設置されています。
(2) 地方裁判所委員会は平成15年8月1日に新たに設置され,従前の家庭裁判所委員会は同日に再出発しました。
(3) 委員の任期は2年であり,再任されることができ,非常勤です。

2 司法制度改革審議会答申の記載
・ 平成13年6月12日付の司法制度改革審議会答申「Ⅲ 司法制度を支える法曹の在り方」には以下の記載があります。
    裁判所運営に国民の健全な常識を反映させていくことは、裁判所に対する国民の理解と信頼を高め、司法の国民的基盤を強化することにつながる。
    現在、各家庭裁判所に家庭裁判所委員会(委員は、法曹三者以外に地方公共団体の職員や学識経験者から選任される。)が設置され、家庭裁判所の運営全般について意見を聴取することとされている。この制度の充実を図ることを含め、地方裁判所においても家庭裁判所委員会と同様の機関を新設することなど、裁判所運営について、広く国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みを導入すべきである。

3 根拠となる最高裁判所規則
① 地方裁判所委員会規則(平成15年4月2日最高裁判所規則第9号)
② 家庭裁判所委員会規則(平成15年4月2日最高裁判所規則第10号)

4 関連記事その他
(1) 大阪の場合,大阪地方裁判所委員会及び大阪家庭裁判所委員会に議事概要等が載っています。
(2) 日弁連HPの「市民の声を裁判所に!活かそう裁判所委員会-地方裁判所委員会・家庭裁判所委員会Q&A-」が参考になります。
(3) 日弁連委員会ニュース2024年5月号6頁及び7頁に「裁判官制度改革・地域司法計画推進本部ニュース28号」として裁判所委員会のことが書いてあります。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所に設置されている委員会等

ハンセン病患者の裁判に関する謝罪の記者会見

1   平成28年4月25日のハンセン病患者の裁判に関する謝罪の記者会見に際して作成し,又は取得した文書のうち,裁判所HPに掲載されているもの以外は,同月27日までに廃棄されました(平成28年度(最情)答申第33号(平成28年10月24日答申))。

2 答申には以下の記載があります。なお,本件開示申出文書というのは,平成28年4月25日のハンセン病患者の裁判に関する謝罪の記者会見に際して作成し,又は取得した文書のことです。
   最高裁判所事務総長は,本件開示申出文書に該当する可能性がある文書としては,①記者会見の日時・場所等を記載した文書,②取材の集合時間・注意事項等を記載した文書,③配布資料があったとした上で,①及び②については,いずれも報道機関に配布することでその目的を果たすことから,報道機関に配布するための部数しか作成しておらず,報道機関等からの問合せがあった際に確認するための控えについても,記者会見終了時点において,事務処理上使用することが予定されておらず,保有する必要がないため,短期保有文書として随時廃棄しており,本件開示申出の時点において存在しないと説明している。
   そこで検討すると,①及び②の文書は,いずれも記者会見の準備のための事務に用いられるものであると考えられるから,その内容が軽微かつ簡易な司法行政文書であるということができる。そうすると,これらについて,保存期間を1年以上にする必要がない短期保有文書として扱っていることは,前記1の各通達に沿った取扱いであり,相当である。そして,①及び②の文書が上記のような文書であることからすると,記者会見の日の2日後である本件開示申出の時点において,①及び②の文書が,いずれも廃棄済みであって存在しないとする説明は合理的であり,これを覆すに足りる事情はない。したがって,これらはいずれも廃棄済みであると認められる。

  また,③の配布資料については,いずれも裁判所ウェブサイトに掲載されたものであるとする最高裁判所事務総長の説明が不合理であるとする事情も見当たらない。したがって,本件開示申出の内容に照らすと,これは,本件開示申出文書に当たらないと認められる。

* 自由と正義2021年8月号の「ひと筆」として,「ハンセン病訴訟から学んだもの」(筆者は大分県弁護士会の徳田靖之弁護士)が載っています。

憲法週間における最高裁判所判事の視察

目次
1 総論
2 憲法週間の視察日程関係文書の取扱い
3 憲法週間の視察時の概況説明資料
4 元裁判所職員が説明するところの,最高裁判事及び高裁長官の視察
5 最高裁判所事務総局の局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと
6 関連記事その他

1 総論
(1) 最高裁判所判事は,毎年5月,憲法週間における最高裁判所判事の視察として,全国各地の下級裁判所を視察しています。
   ただし,最高裁判所事務総局秘書課が視察基本日程(案)を作成する際に使用している事務処理要領等の文書は存在しません(平成27年度(最情)答申第7号(平成28年2月23日答申))。
(2) 平成28年度の日程が書いてある,「憲法週間における最高裁判所判事の視察について」(平成28年2月26日付の最高裁判所事務総局秘書課長の通知)を掲載しています。
(3) 最高裁判所裁判官の旅行命令簿(平成27年度分)を掲載しています。

2 憲法週間の視察日程関係文書の取扱い
(1) 最高裁判所が受領した,平成28年度憲法週間における岡部喜代子最高裁判事の視察に関する文書の大部分(視察基本日程,視察詳細日程,座談会の出席者名簿及び座談会席図,庁内巡視の順番が分かる文書,最高裁判事との懇親会の出席者名簿)は,視察終了直後に廃棄されました(平成28年度(最情)答申第31号(平成28年10月24日答申))。
(2) 神戸地裁の場合,視察終了後2ヶ月以内に,最高裁判所判事の視察に関する文書の大部分(視察基本日程,視察詳細日程,座談会の出席者名簿及び座談会席図,庁内巡視の順番が分かる文書,最高裁判事との懇親会の出席者名簿)が廃棄されました(平成27年度(情)答申第2号(平成28年2月18日答申))。
(3) 視察先の下級裁判所が保管している視察基本日程及び視察詳細日程については,従前はほぼ全て開示されていましたが,現在は全く開示されなくなりました(平成28年度(情)答申第14号(平成28年10月24日答申))。
(4) 最高裁判所事務総長の説明によれば,最高裁判所判事の視察に関する文書は,内容が軽微かつ簡易であって保存期間を1年以上とする必要のない短期保有文書として取り扱われているそうです。


3 憲法週間の視察時の概況説明資料
(1) 憲法週間における最高裁判所判事の視察では,視察先の高等裁判所が,最高裁判所判事に対し,当該高裁及びその管内に関する概況説明資料を提供することがあります。
   しかし,最高裁判所判事に提供された概況説明資料は,最高裁判所の司法行政文書に該当しません(平成28年度(最情)答申代19号(平成28年6月28日答申))。
(2) 大阪高裁において平成29年度最高裁判所判事視察に用いた説明資料は,平成29年7月3日までに廃棄されました(平成29年10月17日付の司法行政文書不開示通知書)。
(3) 深山最高裁判事の名古屋高等裁判所視察時の資料(平成30年度分)を掲載しています。

4 元裁判所職員が説明するところの,最高裁判事及び高裁長官の視察
・ 日本裁判官ネットワークHPには,2004年6月1日付で,「60歳代 男性 元裁判所職員」からのメールが掲載されていますところ,その内容は以下のものがあります。

  山崎豊子原作「白い巨塔」が再びドラマ化された。ドラマでは,浪速大学病院の教授回診のシーンがたびたび登場する。白衣を着た教授が殿様のように,助教授・講師・インターンを引き連れて病室を練り歩くのだ。あのシーンを見るたびに,裁判所で行われている最高裁判事や高裁長官の視察を思い出し,気が滅入る。
  庁内の図面を広げ,どこをどう歩き,誰が先導するかを1週間もかけて協議する。長官や最高裁判事にお出しするお茶の銘柄は何がよいか,お茶菓子は何がよいかを話し合う。出す弁当の箱は朱塗りの箱がよいか,お吸い物を温めるタイミングはどうか,そんなことまで決めるのである。

   視察コースにドアがあると大変である。ドアを開けておく必要があるというのである。手はどうしたのか,怪我でもされたのかと言いたいところであるが,誰もそうしたことを指摘できる雰囲気ではない。結局,60個近いドアストッパーが集められ,視察コースのドアというドアはすべて開け放たれるのである。そして,先導,そのまた先導,誘導などという形で何人もの職員が動員される。見苦しいという理由で,当事者案内のために職員がパソコンで作りドアに貼り付けた図面は外され,廊下は「特別清掃」で掃き清められる。
   そして,視察が始まり,何事もなかったかのように終わる。そうした視察では,裁判所内にどれだけドアがあり,一般当事者がどれほど不自由をしているかを実感することはできない。また,どれほど,庁内が来庁者にとってわかりにくいかを実感することもできない。
   視察が終わるとドアストッパーは一カ所に集められ,どこかにしまい込まれるのである。長官や最高裁判事のために開け放たれたドアは,一般来庁者に向けては閉ざされる。それがたとえ車椅子の方であろうと・・・  
   そう,教授回診の際の何気ない一言で,助教授や講師が身を固くするのと同様,長官や最高裁判事の視察の際の何気ない一言で,職員は連日の残業を強いられることなるのである。そのため,「視察」は何にもまして優先して取り組む課題となるのだ。「白い巨塔」は大学病院に限ったことではない。

5 最高裁判所事務総局の局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと
・ 令和元年6月13日付の理由説明書には以下の記載があります。
   最高裁判所は,我が国唯一の最上級裁判所として裁判手続及び司法行政を行う機関であり,最高裁判所判事や事務総局の各局課館長は,裁判所の重大な職務を担う要人として,襲撃の対象となるおそれが高く,その重大な職務が全うされるように,最高裁判所の庁舎全体に極めて高度なセキュリティを確保する必要がある。そのため,最高裁判所では,各門扉に警備員を配し,一般的に公開されている法廷等の部分を除き,許可のない者の入構を禁止している。
   この点,本件対象文書中,原判断において不開示とした部分は,各門における入構方法に関する具体的な運用が記載されており, この情報を公にすると警備レベルの低下を招くことになり,警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすことになるから, 当該部分は,行政機関情報公開法第5条第6号に定める不開示情報に相当する。
   よって,原判断は相当である。

6 関連記事その他
(1) 「司法の可能性と限界と-司法に役割を果たさせるために-」(講演者は31期の井戸謙一 元裁判官)には以下の記載があります(法と民主主義2019年12月号20頁)。
    長年、日弁連推薦枠から最高裁判事になった方々は、有能で人格的にも立派な弁護士として、多くの人から尊敬されていた人たちだったと思いますが、最近はそういう人がいないという感じがします。これには最高裁判事の選任手続の問題があると思いますが、これはまたあとで申し上げます。
(2) 法務省HPに「憲法週間を迎えて」が載っていて,裁判所HPに「憲法週間について」が載っています。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 憲法週間における最高裁判所判事の視察について(平成28年2月26日付の最高裁判所秘書課長通知)
・ 大谷直人最高裁判所判事の広島高裁管内の視察関係文書(平成27年5月)
・ 那須弘平最高裁判事の前橋地家裁視察に関する文書(平成23年5月17日実施分)
イ 以下の記事も参照してください。
 最高裁判所長官任命の閣議書
 最高裁判所判事任命の閣議書
・ 最高裁判所裁判官の任命に関する各種説明
 高等裁判所長官任命の閣議書 

最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領

目次
第1 最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領
第2 関連記事その他

第1 最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領
・ 「最高裁判所における法廷内カメラ取材について(通知)」(平成2年12月6日付の最高裁判所広報課長通知)によれば,平成3年1月1日から,裁判所又は裁判長が相当と認める事件につき,以下の運用要領でカメラ取材が認められるようになっています。

運用要領

1    許可申請
   法廷内力メラ取材を希望する社は,取材希望事件の開廷期日のおおむね2日(休日及び土曜日を除く。)前までに,広報課に許可申請をする。
2   取材人員
   カメラ取材のため入廷できる人員は,1社1人とする。
3   撮影機材
   1社が使用できる撮影機材は, 1人で操作できる携帯用小型のビデオカメラ(1台)又はスチールカメラとし,ビデオ撮影用照明機材,録音機材,中継機材等の補助機材は使用できない。
4   撮影時期・時間
   撮影は,裁判官の入廷開始時からとし,裁判官全員の着席後で開廷宣告前の間における2分以内とし,その開始及び終了は裁判長の命を受けた裁判所職員の合図による。
5   撮影位置
   撮影位置は,傍聴席後部の裁判長が指定する場所とする。
6   撮影対象
   撮影対象は,入廷中の裁判官並びに裁判官席及び当事者席とし(傍聴席が付随的に入ることは可),次に掲げる撮影は認めない。
(1) 音声を録音すること。
(2)   特定の人物(裁判官を除く。)の拡張・拡大写真を撮影すること (トリミング等の方法により,これらの特定人物を際立たせることを含む。)。
(3)   傍聴席にいる特定の者を個別的に撮影対象とすること。
(4)   弁護人,代理人又は傍聴人が宣伝的行為や法廷の秩序を乱す行為に出た場合に,これを撮影対象とすること(退廷命令の執行を撮影対象とすることを含む。)。
7   撮影中止
   取材要員は,裁判長又はその命を受けた裁判所職員から撮影中止の指示があった場合には,直ちに撮影を中止し,退廷しなければならない。
8   条件違反の取材に対する措置
   この要領又は裁判長の命じた事項に違反する取材が行われた場合には,裁判長の権限に基づく処置,一定期間の取材停止その他必要な措置を執ることがある。
9   例外的運用
   事件の性質に応じ,裁判所又は裁判長の判断により,この要領よりも制限的に運用することがある。

第2 関連記事その他
1 最高裁判所とともに(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官)106頁には以下の記載があります。
   この法廷内メモ解禁(山中注:最高裁大法廷平成元年3月8日判決によるもの)に先立つ昭和六二年、最高裁は全国の裁判所を代表する形で、報道機関に対し法廷内写真、ムービーの撮影を、裁判の冒頭開廷宣告前に限って認めた。かねて日本新聞協会を通じてあった要請に応じたものである。この規制も戦後の一時的、報道各社の取材合戦が高じてカメラマンが開廷中の法壇に駆け上がり、被告人や証人を撮影するといった無秩序な事態があったことに対応してできたものだった。
2 以下の記事も参照してください。
・ 法廷内写真撮影
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)
・ 司法修習生による,司法研修所構内の写真撮影禁止に関する文書は存在しないこと
・ 最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領
・ 寺田逸郎最高裁判所長官の就任に伴う写真取材の要領

期日情報等のウェブサイトへの掲載

裁判所HPに最高裁判所開廷期日情報等が掲載されていますところ,平成28年3月29日付の最高裁判所事務総局会議資料によれば,期日情報等のウェブサイトへの掲載は,以下のとおりとなっています。

1 最高裁判所の係属事件の期日情報
(1) 掲載対象
最高裁判所の係属事件で弁論期日・判決期日の指定がされたもの
(2)  掲載情報
期日等・開廷時刻・事件番号・事件名・弁論と判決の別・開廷場所
(3)  掲載場所等
期日指定の際,最高裁判所のウェブサイトに広報課が掲載する。
(4)  掲載開始時期
平成28年4月1日

2   各地方裁判所の裁判員裁判事件の期日情報
(1)  掲載対象
裁判員裁判事件で裁判員等選任手続期日呼出状を発送した事件
(例外)わいせつ事犯,警備上の支障がある事件などは掲載しない。
(2)  掲載情報
事件名・事件番号・期日等・開廷時刻・公判回数等・開廷場所
(3)  掲載場所等
各庁のウェブサイトに各庁で掲載する。
(4)  掲載開始時期
平成28年5月2日

3   知的財産高等裁判所に係属中の事件の事件情報及び終局結果
(1)  掲載対象
特許権・実用新案権に係る審決取消訴訟
(2)  掲載情報
事件番号・事件名・特許番号・判決言渡期日・担当部
+終局日・終局結果(判決など)・上訴の有無・上訴の結果(上告棄却など)
(3)  掲載場所等
知的財産高等裁判所のウェブサイトに掲載する。
(4)  掲載開始時期
平成28年4月1日

裁判所の庁舎等の管理に関する規程及びその運用

目次
1 規程及び通達
2 裁判所の庁舎等の管理に関する規程12条
3 関連記事

1 規程及び通達
① 裁判所の庁舎等の管理に関する規程の運用について(昭和43年6月10日付の最高裁判所事務総長通達)
→ 別紙として,「裁判所の庁舎等の管理に関する規程」(昭和43年6月10日最高裁判所規程第4号)が添付されています。
② 裁判所の庁舎等の管理に関する規程の運用について(昭和60年12月28日付の最高裁判所事務総局経理局長通達)
③ 法廷秩序維持等のための警備状況の報告について(平成4年12月24日付の最高裁判所刑事局長通達)

2 裁判所の庁舎等の管理に関する規程12条
・ 「裁判所構内における注意事項」(リンク先は那覇地家裁のものです。)の根拠条文となっている,裁判所の庁舎等の管理に関する規程12条は以下のとおりです。
    管理者は、庁舎等において次の各号の一に該当する者に対し、その行為若しくは庁舎等への立入りを禁止し、又は退去を命じなければならない。ただし、管理者が第九号又は第十号に該当する者に対し、庁舎等の管理に支障がないものと認め、その行為を許可した場合は、この限りでない。
一 銃器、凶器、爆発物その他の危険物を持ち込み、又は持ち込もうとする者
二 職員に面会を強要した者
三 立入りを禁止した区域に立ち入り、又は立ち入ろうとする者
四 放歌高唱し、若しくはねり歩き、又はこれらの行為をしようとする者
五 宣伝カーを持ち込み、又は持ち込もうとする者
六 座り込み若しくは通行の妨害になるような行為をし、又はしようとする者
七 寄付を強要し、又は押売りをする者
八 裁判所の禁止に反し写真機、録音機その他これらに類する物を持ち込み、又は持ち込もうとする者
九 旗、のぼり、プラカード、拡声器その他これらに類する物を持ち込み、又は持ち込もうとする者
十 はちまき、ゼツケン、腕章その他これらに類する物を着用する者
十一 前各号に掲げる者のほか、庁舎等の管理に支障がある行為をし、又はしようとする者
2 管理者は、庁舎等の管理のため必要があると認めるときは、庁舎等において、文書、図画、びらその他これらに類する物を頒布し、又は頒布しようとする者に対し、その行為若しくは庁舎等への立入りを禁止し、又は退去を命じなければならない。
3 第九条の規定は、第一項ただし書の許可をする場合に準用する。

3 関連記事
・ 司法修習生による,司法研修所構内の写真撮影禁止に関する文書は存在しないこと
・ 最高裁判所庁舎
・ 最高裁判所庁舎新営審議会答申(昭和41年8月31日付)
・ 最高裁判所庁舎の敷地において,小型無人機等の飛行禁止区域が分かる図面
・ 庁舎の沿革及び現況説明書(最高裁判所)
・ 最高裁判所庁舎の中長期保全計画(平成31年4月26日作成)
・ 最高裁判所庁舎の修繕履歴(平成29年4月から平成31年3月まで)
・ 平成に入り大法廷が使用された訴訟(平成29年12月6日現在)
 裁判所の所持品検査
 全国の下級裁判所における所持品検査の実施状況

法廷における弁護士の起立問題

目次
1 法廷における弁護士の起立問題
2 関連記事その他

1 法廷における弁護士の起立問題
・ 「法廷における弁護士の起立問題について」(昭和27年11月29日付の最高裁判所総務局長事務取扱通知)には,以下の記載があります。

   法廷において事件の当事者および関係人が発言に際して起立することは,久しきにわたって確立された慣行であり,今日まできわめて自然に励行されているところであります。
  そして,この慣行は,法廷の品位を保ち,手続が秩序正しく,かつ,円滑に行われる上によい効果をもたらすものであり,いまにわかにこれを改めねばならぬ理由はないものと思料します。ただ証人尋問に際して手控をとる場合等着席のままの発言が便宜である場合,発言者が裁判長の承認のもとに着席して発言することを妨げないことは申すまでもありません。
   なお,さきにこの問題について当方から口頭をもって連絡しましたところも,右と全く同じ趣旨であり,従って各弁護士会あてに発せられた昭和27年11月18日付日弁連総第189号に記載されたところは,当方の趣旨とするところと著しく相違するものであることを,念のため,申し添えます。

2 関連記事その他
(1) 石山豊太郎 京都地裁判事の「法廷礼法の在り方」では,「法廷における弁護士の起立問題について」(昭和27年11月29日付の最高裁判所総務局長事務取扱通知)について言及されています(昭和33年6月15日付の判例タイムズ81号40頁)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 司法研修所弁護教官の業務は弁護士業務でないものの,破産管財人として行う業務は弁護士業務であること

裁判所に設置されている委員会等

目次
第1 裁判所に設置されている委員会等
第2 関連記事

第1 裁判所に設置されている委員会等
・ 裁判所HPの「各種委員会」からの引用ですが,司法行政を担うものとして,裁判所には以下の委員会等が設置されています(括弧内は根拠法令です。)。

1 最高裁判所に設置されている委員会
(1) 民事規則制定諮問委員会(最高裁判所規則)
(2) 刑事規則制定諮問委員会(最高裁判所規則)
(3) 家庭規則制定諮問委員会(最高裁判所規則)
(4) 一般規則制定諮問委員会(最高裁判所規則)
(5) 裁判所書記官制度調査委員会(最高裁判所規則)
(6) 裁判所経費審査委員会(最高裁判所規則)
(7) 最高裁判所統計委員会(最高裁判所規則)
(8) 最高裁判所図書館委員会(最高裁判所規則)
(9) 司法修習生考試委員会(最高裁判所規則)
(10) 司法修習委員会(最高裁判所規則)
(11) 簡易裁判所判事選考委員会(最高裁判所規則)
(12) 医事関係訴訟委員会(最高裁判所規則)
(13) 建築関係訴訟委員会(最高裁判所規則)
(14) 下級裁判所裁判官指名諮問委員会(最高裁判所規則)
(15) 判例委員会(最高裁判所規程)
(16) 裁判所書記官等試験委員会(最高裁判所規程)
(17) 家庭裁判所調査官試験委員会(最高裁判所規程)
(18) 裁判所職員倫理審査会(国家公務員倫理法,裁判所職員臨時措置法,最高裁判所規則)
(19) 裁判所職員再就職等監視委員会(国家公務員法,裁判所職員臨時措置法,最高裁判所規則)
(20) 明日の裁判所を考える懇談会
(21) 裁判員制度の運用等に関する有識者懇談会
(22) 裁判の迅速化に係る検証に関する検討会
(23) 裁判官の人事評価の在り方に関する研究会
(24) 裁判員制度広報企画評価等検討会
(25) 最高裁判所長官公邸の整備に関する有識者委員会
(26) 情報公開・個人情報保護審査委員会
(27) ハンセン病を理由とする開廷場所指定の調査に関する有識者委員会
(28) 最高裁判所行政不服審査委員会(最高裁判所規則)

2 高等裁判所に設置されている委員会等
(1) 下級裁判所裁判官指名諮問委員会地域委員会(最高裁判所規則)

3 地方裁判所に設置されている委員会等
(1) 簡易裁判所判事推薦委員会(最高裁判所規則)
(2) 地方裁判所委員会(最高裁判所規則)

4 家庭裁判所に設置されている委員会等
(1) 家庭裁判所委員会(最高裁判所規則)

第2 関連記事
・ 地方裁判所委員会及び家庭裁判所委員会

東京地裁の幹部連絡会及び裁判官会議終了後に行われる概況説明

目次
1 東京地裁の幹部連絡会
2 東京地裁の裁判官会議終了後に行われる概況説明
3 関連記事その他

1 東京地裁の幹部連絡会
・ 東京地裁の幹部連絡会は,通達等に開催根拠がある会合ではないものの,所長,所長代行者(立川支部長を含む。),首席書記官,次席書記官,事務局長,東京簡易裁判所事務部長及び同首席書記官が参加し,各部署の懸案事項,事務処理態勢やその運用状況及び行事予定等の現状を情報共有するために行われている連絡会としての会合であり,この会合で組織として意思決定を行うものではありません。

2 東京地裁の裁判官会議終了後に行われる概況説明
(1) 裁判官会議終了後に行われる概況説明は,通達等にその実施について定めがあるものではないものの,定例裁判官会議後,必ず行われている説明です。
(2) 参加者は,定例裁判官会議出席者と同様,所長,所長代行者(立川支部長を含む。),判事,判事の権限を有する判事補,判事の権限を有しない判事補,事務局長,首席書記官,東京第一検察審査会事務局長,総務課長及び総務課庶務第一係長であり,同人らが各部署の事件動向等について情報共有し,庁全体の現状を把握するために行われる連絡会としての会合であり,この会合で組織としての意思決定を行うものではありません。

3 関連記事その他
(1) 東京地裁の幹部連絡会の報告資料及び裁判官会議終了後に行われる概況説明の資料は, 報告又は説明終了直後に廃棄されていました(平成28年度(情)答申第12号(平成28年10月24日答申))。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 東京高裁裁判官会議の概況説明資料
・ 東京修習の情報
・ 東京地裁裁判官会議の概況説明資料

下級裁判所の裁判官会議に属するとされる司法行政事務

目次
1 下級裁判所の裁判官会議に属するとされる司法行政事務
2 関連記事その他

1 下級裁判所の裁判官会議に属するとされる司法行政事務
(1) 規則の制定・改廃(憲法77条3項)
(2) 裁判事務に関する事項
① 裁判事務の分配・裁判官の配置・裁判事務の代理順序(下級裁判所事務処理規則6条1項)
② 開廷日割(下級裁判所事務処理規則9条)
③ 裁判官及び書記官についての回避の許可(民事訴訟規則12条,13条)
④ 簡易裁判所の事務移転(裁判所法38条)
(3) 裁判官に関する事項
① 分限の申立て(裁判官分限法6条)
② 裁判官の監督(裁判所法80条3号)
③ 管内の簡裁判事の職務代行の発令(裁判所法36条1項)
④ 司法行政事務の代理順序(下級裁判所事務処理規則22条)
⑤ 調停主任裁判官の指定(民事調停法7条)
⑥ 執行官監督官・同補佐官の指名(執行官規則4条)
(4) 一般職員に関する事項
① 最高裁及び高裁が権限を有する以外の自庁の及び管内簡裁の書記官,事務官,技官及び執行官の任免(裁判所法64条)
② ①の書記官,事務官,技官及び執行官の勤務裁判所の指定(裁判所法65条,裁判官以外の裁判所職員の任免等に関する規則4条)
③ 自庁の職員の監督(裁判所法80条3号)
(5) その他の事項
① 司法委員の選任(民事訴訟法279条3項)
② 鑑定委員の選任(借地借家法44条2項1号)

2 関連記事その他
(1)ア 東京地裁及び大阪地裁についても,①事務分配・裁判官の配置・裁判事務の代理順序並びに②開廷日割は裁判官会議の必要的決議事項です(東京地裁司法行政事務処理規程7条1項2号及び3号,大阪地裁司法行政事務処理規程6条1項2号及び3号)。
イ 裁判所構成法22条3項は,裁判事務の分配は,司法大臣の定める通則(裁判所構成法22条1項参照)に従い,所長,部長及び上席判事の会議において多数決で定めるとしていました。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 司法行政を担う裁判官会議,最高裁判所事務総長及び下級裁判所事務局長
・ 下級裁判所の裁判官会議から権限を委任された機関

平成29年7月1日施行の裁判所会計事務規程及び関連通達

目次
1 裁判所会計事務規程及び関連通達
2 関連記事その他

1 裁判所会計事務規程及び関連通達
・ 平成29年7月1日施行の裁判所会計事務規程及び関連通達を以下のとおり掲載しています。

① 裁判所会計事務規程(平成29年3月15日最高裁判所規程第4号)
② 用途廃止等の承認申請を必要としない場合について(平成29年6月29日付の最高裁判所事務総長依命通達)
③ 経理計画について(平成29年6月29日付の最高裁判所経理局長通達)
④ 裁判所会計事務規程に基づく指定等について(平成29年6月29日付の最高裁判所事務総長依命通達)
⑤ 裁判所会計事務規程に基づく検査員の任命方法等に関する取扱いについて(平成29年6月29日付の最高裁判所経理局長通達)
⑥ 裁判所会計事務規程等に規定する保管金等の処理に関する書類及び帳簿諸票の様式について(平成7年3月29日付の最高裁判所事務総長依命通達)
⑦ 会計検査の実施に関する事務の取扱いについて(平成7年3月30日付の最高裁判所経理局長依命通達)
⑧ 保管金事務処理システムを利用した保管金に関する事務処理の運用について(平成29年3月31日付の最高裁判所経理局長通達)
⑨ 裁判所会計事務規程に基づく日計の検閲等に関する取扱いについて(平成30年9月18日付の最高裁判所経理局長の通達)
⑩ 裁判所会計事務規程に基づく日計の検閲等に関する取扱いについて(令和3年11月30日付けの最高裁判所経理局監査課長の事務連絡)

2 関連記事その他
(1) ①修習資金貸与要綱4条等の支出負担行為担当官,及び②修習資金貸与要綱16条2項等の歳入徴収官は,最高裁判所事務総局経理局長のことです(裁判所会計事務規程別表第二参照)。
(2) 法廷の椅子の管理者は告訴権を有します(最高裁昭和29年7月14日決定)。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 歴代の最高裁判所経理局長
・ 最高裁判所事務総局経理局の事務分掌
・ 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
・ 最高裁判所庁舎
・ 最高裁判所裁判官等の公用車
・ 会計検査院第1局司法検査課の実地検査日程表

司法行政の監督権

目次
1 司法行政の監督権
2 司法行政の監督権の限界
3 裁判所の事務の取扱い方法に対する不服
4 一般職の管理職の権限は裁判官等の権限に影響を及ぼすことはないこと
5 関連記事

1 司法行政の監督権
(1)   司法行政の監督権は,以下のとおり行われています(裁判所法80条)。
①   最高裁判所は,最高裁判所の職員並びに下級裁判所及びその職員を監督します。
②   各高等裁判所は,その高等裁判所の職員並びに管轄区域内の下級裁判所及びその職員を監督します。
③   各地方裁判所は,その地方裁判所の職員並びに管轄区域内の簡易裁判所及びその職員を監督します。
④   各家庭裁判所は,その家庭裁判所の職員を監督します。
⑤   簡易裁判所司法行政事務掌理裁判官(裁判所法37条)は、その簡易裁判所の裁判官以外の職員を監督します。
(2)ア 司法行政の監督権の主体は組織体としての裁判所であって,長官又は所長ではありません。
   そのため,最高裁判所,高等裁判所,地方裁判所及び簡易裁判所における司法行政の監督権は,原則として裁判官会議の決議に基づいて行われています。
イ 明治憲法下の裁判所構成法135条では,司法行政の監督権の主体は司法大臣,大審院長,控訴院長及び地方裁判所長とされていました。

2 司法行政の監督権の限界
(1) 司法行政の監督権は,裁判官の裁判権に影響を及ぼし,又はこれを制限することはできません(裁判所法81条)。
(2) 裁判所構成法143条は「此ノ編ニ掲ケタル前各條ノ規程ハ裁判上執務スル判事ノ裁判權ニ影響ヲ及ホシ又ハ之ヲ制限スルコトナシ」と定めており,裁判所法81条と同趣旨のことを定めていました。

3 裁判所の事務の取扱い方法に対する不服
(1) 裁判所の事務の取扱い方法に対して申し立てられた不服は,司法行政の監督権により処分されます(裁判所法82条))(「裁判官の職務に対する苦情申告方法」参照)。
(2) 裁判所構成法140条は「司法事務取扱ノ方法ニ對スル抗告殊ニ或ル事務ノ取扱方ニ對シ又ハ取扱ノ延滞若ハ拒絶ニ對スル抗告ハ此ノ編ニ掲ケタル司法行政ノ職務及監督權ニ依リ之ヲ處分ス」と定めており,裁判所法82条と同趣旨のことを定めていました。

4 一般職の管理職の権限は裁判官等の権限に影響を及ぼすことはないこと
・ 大法廷首席書記官等に関する規則に定める大法廷首席書記官,小法廷首席書記官,訟廷首席書記官,首席書記官,知的財産高等裁判所首席書記官,次席書記官,総括主任書記官,主任書記官,主任速記官,訟廷管理官,裁判員調整官及び速記管理官の権限は,裁判所法その他の法令に定める裁判官,裁判所書記官及び裁判所速記官の権限に影響を及ぼし,又はこれを制限することはありません(大法廷首席書記官等に関する規則8条)。


5 関連記事
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)
・ 司法行政を担う裁判官会議,最高裁判所事務総長及び下級裁判所事務局長
・ 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
 裁判所の指定職職員
 裁判所の指定職職員の名簿(一般職)
・ 最高裁判所事務総局の組織に関する法令・通達

裁判所職員の病気休職

目次
1 裁判所職員の病気休職に関する国会答弁
2 過労自殺と使用者の安全配慮義務
3 裁判所における公務災害の認定手続
4 休職者数等に関して最高裁判所に存在しない文書
5 裁判所職員に対する,精神疾患による休職発令数
6 当事者の不当要求等の内容
7 精神疾患に関するメモ書き
8 関連記事その他

1 裁判所職員の病気休職に関する国会答弁
 裁判所職員の病気休職に関して,平成25年11月26日の参議院法務委員会において以下の質疑応答がありました。
○仁比聡平君 今、御答弁の中で政府の計画に協力をしてという御発言もあったんですけれども、言わばこれまでの裁判所内部でのそうした切り詰めといいますかね、もう私、限界だと思います。
 人は城という言葉がありますけれども、裁判の手続あるいは裁判所の運営というのは、建物が人を裁いているんじゃなくて、裁判所職員に支えられて裁判官、裁判体がそうした適正な手続を進めていくわけですから、この人を減らしてしまうというやり方は裁判所を壊すことになりかねないわけですよね。
 実際、裁判所職員の病気休職、中でも精神疾患による病休が大変増えています。私がちょっと資料を先にいただいて、御紹介をしますと、この平成二十年から二十四年度の五年間を見たときに、全体で二百六十五名の書記官が精神疾患による病休を取っておられるわけですけれども、この数字というのは、例えば平成二十四年度、二〇一二年度の五十七名というのは、全体の書記官の中に占める割合というのは〇・六%に上るんです。その前の年度は〇・六五%に上っているわけですよね。
 これ、大臣あるいは副大臣や政務官も、学校の教員のメンタルヘルス、中には自殺というような深刻な事態が社会問題化していることも御存じかと思いますけれども、この教員の精神疾患による休職者率というのは平成二十三年度で〇・五七%なんですね。教員のメンタルヘルスによる休職者率に匹敵するというよりも更に多い裁判所職員が精神疾患によって休職をしていると。もちろんこれは休職に至っているというのはよほどのことなのでありまして、氷山の一角だと見るべきだと思うんですね。
 最高裁としては、こうした職員の疾病の状況についてどんなふうに認識をしておられますか。


最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 裁判所職員の病気休職者の原因の中には、内科系疾患や委員御指摘のメンタルヘルス系のものなど様々ございます。そのうち、メンタルヘルス疾患の職員につきましては、職場環境をめぐる問題のほか、自身の健康面での不安や家庭事情等を原因とするものもあったりいたしまして、その原因は様々で、かつ各種要因が複合していることも多く、プライバシーにわたる部分などがありまして、メンタルヘルス疾患の原因分析というのはなかなか容易でないところがございます。
 しかしながら、裁判所といたしましても、これまでも全ての職員が心身共に健康で職務に精励できるよう職員の健康保持に取り組んできたところではありますけれども、このメンタルヘルス対策を含め、引き続き職員の健康保持に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。


○仁比聡平君 分からないとか本人の事情だというふうに、職員の側に言わば責任を全部押し付けてしまうようなやり方では問題が解決しないというのは、もう大前提で考えておられるのだろうと思うんですけれども。そういう中で、やっぱり負担増が、現実に事件数も増えている、複雑だと。これ、事件にちゃんと向き合うとか当事者に向き合うというためには、その職員自身が健康でなきゃいけないというのはこれ当然のことだと思うんですね。
 そこで大臣、定数が減らされてそれが職員の負担増に直結して裁判所の機能低下につながるようなことは万が一にもあってはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私のところ、法務省は裁判所職員定員法というのも所管しております。ただ、裁判所の要するに人的充実といいますか人的構成をどうしていくかというのは、すぐれて司法権の問題ですから、最高裁判所において適切な判断をされると思うんです。それで、私どもはその裁判所の意向を踏まえて、この法律所管しておりますから、やっていくと、こういうことだろうと思っております。


2 過労自殺と使用者の安全配慮義務
(1)ア 49期の石村智 京都地裁判事が執筆した「労災民事訴訟に関する諸問題について」(-過労自殺に関する注意義務違反,安全配慮義務違反と相当因果関係を中心として-)を掲載している判例タイムズ1425号(平成28年7月25日発売)45頁には以下の記載があります。
    客観的業務過重性が認められる場合には,業務の過重性についての予見可能性と労働者の心身健康を損なう危険についての(抽象的)予見可能性さえあれば(使用者側は,客観的にみて過重な業務を課しているのであるから,通常は,これが否定されることはない。),義務違反及び相当因果関係が肯定される関係にあり,その意味で,この場合においては,精神障害の発症や自殺についての予見がないとの使用者側の主張については,ほぼ失当に近いことになる。しかも,電通事件最判や東芝事件最判の判示によれば,当事者側の事情が過失相殺ないしは素因減額とされる場面はかなり限定され,その適用範囲が審理の中心となるということになろう。
イ 最高裁判所とともに(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官)59頁には以下の記載があります。
     私の経験からいって、特に民事の場合、一方に全面的な落ち度のある事件はきわめてまれであり、判決が法理論を貫くものであるかぎり、細かいニュアンスを出すことは難しい。だから私は、しゃくし定規な「悪しき隣人」とならないために「和解」という解決方法を重視してきた。

(2) 退職の強要は,労災認定の対象となる精神障害の発症原因です「過労自殺の労災認定」参照)。


3 裁判所における公務災害の認定手続
(1) 公務が原因で心の病を発症したと最高裁判所事務総長(国家公務員災害補償法3条の実施機関です。)に認定してもらえた場合,同法に基づく補償(人事院HPの「国家公務員災害補償制度の仕組み」参照)があります。
(2)   公務災害の認定に関する最高裁判所事務総長の措置に不服がある場合,最高裁判所に対して審査の申立てをすることができます。
   この場合,最高裁判所は,災害補償審査委員会の審理に付し,同委員会が作成した調書に基づき,審査の申立てを棄却するかどうかを判定します(人事院規則13-3(災害補償の実施に関する審査の申立て等)参照)。
(3) ①平成15年3月3日に自殺した大阪高裁の裁判官(27期)の場合,公務災害が認められていませんし(外部HPの「「ある裁判官の自殺」に思う」参照),②42期の花村良一民事裁判上席教官は,平成28年9月29日に死亡しましたところ,死亡した月の出勤状況が分かる文書は存在しないことになっています平成28年11月4日付の司法行政文書不開示通知書平成28年12月2日付の最高裁判所事務総長の理由説明書及び平成28年度(最情)答申第42号(平成29年1月26日答申)参照)から,最高裁判所事務総長による認定はあまり期待できないかも知れません。


4 休職者数等に関して最高裁判所に存在しない文書
(2) 平成31年4月24日付の司法行政文書不開示通知書によれば,「最高裁判所及び全国の下級裁判所ごとに,精神疾患による休職者数が書いてある文書」は存在しません。
(2) 令和元年10月17日付の司法行政文書不開示通知書によれば,「裁判官の休職手続について書いてある文書」は存在しません。



5 裁判所職員に対する,精神疾患による休職発令数
(1)ア 令和元年8月7日付の司法行政文書の開示についての通知書によれば,裁判所職員に対する,精神疾患による休職発令数は以下のとおりです。
平成21年度: 96人
平成22年度:117人
平成23年度:121人
平成24年度:111人
平成25年度: 86人
平成26年度: 98人
平成27年度: 94人
平成28年度: 97人
平成29年度:120人
イ 令和4年11月17日の参議院法務委員会の国会答弁資料によれば,精神疾患により90日以上の長期病休を取得していた人の数は以下のとおりです。
平成30年: 90人
平成31年: 87人
令和 2年:105人
令和 3年: 86人
令和 4年:123人
(2) 平成30年度以降,精神疾患による休職発令数が裁判所別に書いてある文書は存在しません(令和3年2月15日付の不開示通知書(平成30年度分及び平成31年度分)参照)。


6 当事者の不当要求等の内容
・ 全司法新聞2319号(2019年10月発行)には「不当要求、居座り、脅迫、ネットでの誹謗中傷…裁判所でも」として以下の記載があります。
    裁判所においても、当事者の不当要求や居座り、長時間の電話拘束に苦労しているケースが多く見られます。
    大声で怒鳴りつけられた、「バカ」など罵倒する言葉を投げかけられた、開き直って「警察を呼べ」と叫ばれた、意に沿わないと感じるや急に床に伏せて詐病を演じ、救急車の派遣を強要されたといった事例も報告されています。その影響は、罵声を気にして外部(当事者)に電話がかけられない、受付手続案内に支障があるといった執務遂行に及んだり、自分に対してのものであればもちろん、同僚への暴言であってもストレスが大きく、仕事に集中できない、イライラする、仕事が嫌になるなど精神的な負担も大きくなっています。
    また、対応の間に当事者の言動がエスカレートし、誹謗中傷や暴言に及んだり、脅迫まがいの行為を受けることもあります。実際、勤務時間中に「今、裁判所に来ている。今から外に出てこい」と電話があったり、インターネット動画サイトで庁名や実名を晒して誹謗中傷されたというケースもあります。その動画においては、家族に危害を加えるような発言もありました。


7 精神疾患に関するメモ書き
(1) 精神障害に対する薬物療法
・ 杉浦こころのクリニックHP「精神障害に対する薬物療法の意義と役割について」には以下の記載があります。
精神疾患の成因や病像形成には、生物学的(脳科学的)要因、心理的要因および社会的要因の3つの要因が関与しています。精神科の治療方法は、これらの3要因に対応して、生物学的(脳科学的)要因に働きかける薬物療法や電気療法、心理的要因に働きかけるカウンセリングなどの精神療法、そして社会的要因に働きかけるリハビリテーションや社会復帰プログラムなどの社会的治療法があります。
(2) 双極性障害
ア 大阪メンタルクリニックHP「躁うつ病 (双極性感情障害)」には以下の記載があります。
双極性障害は、あまり馴染みのない病名かも知れませんが、実は「躁うつ病」と呼ばれていた病気のことです。日本では躁うつ病と呼んでいましたが、用語を世界的に統一しようという流れのなかで、名称が変更され、双極性障害となりました。この双極性障害は、統合失調症(以前は精神分裂病と言われていた)と並んで二大精神疾患の一つで、気分障害のひとつでもあります。
イ 双極性障害の主な治療薬は抗精神病薬(作用機序での主要物質はドーパミンです。),気分安定薬(例えば,バルプロ酸ナトリウム)及び睡眠薬です。なお,気分安定薬及び睡眠薬うつ病治療でも使われます。
ウ 「双極性障害」には,激しい躁状態とうつ状態のある「双極Ⅰ型」と,軽い躁的な状態(軽躁状態)とうつ状態のある「双極Ⅱ型」があります(健達ねっとHP「双極性障害のⅡ型とは?Ⅰ型やうつ病との違いについても徹底解説!」参照)。
エ こころシェアHP「うつ病と見分けが難しい双極性障害」には以下の記載があります。
双極性障害は、躁(そう)状態で始まることもあれば、うつ状態で始まることもあり、人によって異なります。そのため、明らかな躁状態で受診した場合は、双極性障害という診断がつく一方、うつ状態で受診した場合、多くの場合うつ病と診断されます。なぜなら、双極性障害はうつ状態と躁状態の両方があらわれる病気であり、躁状態がない以上、現在のうつ状態からうつ病が疑われるからです。
実際、うつ病と診断されていた患者さんの10人1人2人は最終的に双極性障害に診断が変わるといわれています。
双極性障害は正しい診断がつくまで時間を要する病気で、正しい診断に行き着くまで、平均して4~10年ほどかかっているといわれています。
(3) うつ病
ア すまいるナビゲーターうつ病「お薬について 治療に使われているお薬についての簡単な解説です。」には以下の記載があります。
    うつ病の治療において、もっとも重要なのは休養です。ただし、ゆっくり体を休めるだけでも数日~1週間ほどで回復が期待できる風邪などとは違って、うつ病は治療に時間がかかる病気で、少しよくなったと思っても再発しやすいのが特徴です。薬で治療することに抵抗のある方もいらっしゃいますが、うつ病は脳の病気ですから、糖尿病や高血圧などの病気と同じように適切な薬物治療を行う必要があります。
イ うつ病治療の主な治療薬は抗うつ薬ですが,気分安定薬(例えば,バルプロ酸ナトリウム),睡眠薬及び抗不安薬も使われます。
(4) 双極性障害及びうつ病の治療薬
ア 抗精神病薬は双極性障害の治療でのみ使用されるのに対し,抗うつ薬はうつ病の治療でのみ使用されると思います。
    例えば,こころみクリニックHP「双極性障害に抗うつ薬は効果があるのか」には「抗うつ薬は双極性障害の治療においては使われるべきではない」と書いてあります。
イ 気分安定薬及び睡眠薬は双極性障害の治療及びうつ病の治療の両方で使われます。
(5) 統合失調症
ア 統合失調症(以前は「精神分裂病」という名前でした。)の症状は①陽性症状,②陰性症状及び③認知機能障害がありますところ,①陽性症状としては妄想,幻覚及び思考障害があり,②陰性症状としては感情鈍麻,思考の貧困,意欲の欠如及び自閉(社会的引きこもり)があり,③認知機能障害としては記憶力の低下,注意・集中力の低下及び判断力の低下があります(すまいるナビゲーター統合失調症HP「統合失調症ABC」参照)。
イ おおた心療内科医院HPの「統合失調症」には「統合失調症は病気自体に致死性を持たず慢性の経過をたどりますが経過中に数割が自殺願望を持ち数%程度が最終的に自殺を遂げるため一般人口に比べて8倍以上の死亡率を有することが知られています。」と書いてあります。


8 関連記事その他
(1) 平成24年度初任行政研修「事務次官講話」「明日の行政を担う皆さんへ」と題する講演(平成24年5月15日実施)において,西川克行法務事務次官は以下の発言をしています(リンク先のPDF16頁)。
    次は心身の健康です。これも言うまでもないことですが、役人の条件は、心が頑丈なことと体が丈夫なことの二点です。あとは、多少頭が悪くてもなんとかなるという乱暴な言い方をよくしております。心の健康のほうですが、まじめな方が多いせいか、ほとんどの場合に問題となるのはうつ病です。責任を感じる余りうつ状態になってしまう。うつ状態になった段階で、ほとんど働くことが困難な状態になるようですので、その段階で休んでいただくということになるわけですが、その前になんとか食い止めたいというふうに常日ごろ思っております。
(2)ア 人事院HPの「ハラスメント防止について」「職員は、ハラスメントをしてはならない。」と題するリーフレットが載っています。
イ  最高裁平成10年4月9日判決は,労働者が疾病のためその命じられた義務のうち一部の労務の提供ができなくなったことから直ちに債務の本旨に従った労務の提供をしなかったものと断定することはできないとされた事例です。
(3) 二弁フロンティア2021年5月号に「病気休職・復職に関する近時の 裁判例の動向と分析(前編)」が載っていて,二弁フロンティア2021年6月号に「病気休職・復職に関する近時の 裁判例の動向と分析(後編)」が載っています。
(4) 受傷のため付添看護を必要とした被害者は,付添看護をした者が近親者であるため,現実に看護料の支払をせずまたはその支払請求を受けていない場合であっても,近親者としての付添看護料相当額の損害を被つたものとして,加害者に対しその賠償請求をすることができます(最高裁昭和46年6月29日判決)。
(5)ア 厚労省HPに「「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました!」(令和4年2月25日付)が載っています。
イ 厚労省HPに「自殺未遂による傷病に係る保険給付等について」(平成22年5月21日付)が載っています。
(6)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判所職員の災害補償について(平成28年3月28日付の最高裁判所事務総長決定)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 全司法本部の中央執行委員長が裁判所職員の定員に関して国会で述べた意見
・ 退官発令日順の元裁判官の名簿(平成29年8月10日時点)
・ 叙位の対象となった裁判官(平成31年1月以降の分)
・ 裁判所関係者及び弁護士に対する叙勲の相場
・ 弁護士の自殺者数の推移(平成18年以降)
・ 裁判官の死亡退官






平成31年3月20日発生の,東京家裁前の殺人事件に関する国会答弁

目次
第1 平成31年3月22日の衆議院法務委員会における質疑応答
第2 平成31年3月26日の衆議院法務委員会における質疑応答
第3 関連記事その他

第1 平成31年3月22日の衆議院法務委員会における質疑応答
・ 村田最高裁判所長官代理者は,42期の村田斉志最高裁判所総務局長であり,階猛(しなたけし)は平成19年7月29日から衆議院議員をしている人です。

○階委員 国民民主党の階猛です。
(中略)最近の東京家裁前の殺人事件、これはちょうど、三月二十日、私どもが理事懇に入った三時二十分ごろの事件だというんですね。白昼堂々と、堂々とかどうかは知りませんけれども、でも、東京家裁の前ですよ、そこで殺人事件、しかも事件の当事者の間で起きている。とんでもないことだと思っています。
 裁判所として警備面等で反省すべき点はないのかどうか、最高裁、お答えください。
村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 三月二十日午後三時過ぎ、委員御指摘のとおり、東京家庭裁判所におきまして、家事調停事件の当事者が刃物で刺され、病院に搬送された後に死亡するという事件が発生いたしました。
 多くの国民の方が来庁される裁判所におきましてこのような重大な事件が生じたということは極めて深刻な事態であるというふうに受けとめておりまして、亡くなられた被害者の方、またその御遺族の方には心よりお悔やみを申し上げたいというふうに思います。
 東京家庭裁判所におきましては、入庁時に所持品検査を実施していたところではございますけれども、今回の事件の発生状況や経緯につきましては、警察による捜査が進められているところでございまして、裁判所としては、警察の捜査に引き続き可能な協力をするとともに、事実関係の把握に努めまして、それを踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
 反省すべき点があるかないかというところでございますけれども、裁判所内の安全の確保は極めて重要なことであると認識しております。
 現段階では、事実関係が十分把握できておりませんので、警備面等での不備の有無、こういったことについては十分にお答えができないというところでございまして、今後、事実関係の把握に努めまして、それを踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
○階委員 これは重大な問題だと思いますよ。法の支配を貫徹するべき裁判所で、力の支配のようなことが行われるということはあってはならないと思います。これは、徹底的に事実を明らかにした上で、この場で反省と再発防止のための見解をしっかり述べてください。これも後日、取り上げます。

第2 平成31年3月26日の衆議院法務委員会における質疑応答
○階委員 最高裁、この間の家庭裁判所での殺人事件について、警備体制に不備があったのではないかという問題意識をお伝えしたと思います。
   不備があったかどうかという前に、事実関係ですね、警備の人員がこれまでどうなってきたのか。同じ質問ですので繰り返しませんが、ファクトだけ、まず教えてください。
○村田最高裁判所長官代理者 まず、警備業務に従事する守衛の減少数でございます。
   前回、平成二十九年から平成三十年にかけての守衛の減少数、十六人とお答えしたんですけれども、これは下級裁の人数でございまして、このほかに最高裁の減少もございましたので、平成二十九年度から平成三十年度にかけての全国の守衛の減少数は十八でございました。このうち、東京地裁、東京家裁管内はいずれも減少なしでございました。
   その上で、委員の御質問であるところの平成二十一年度から平成三十年度にかけての全国の守衛の減少数ですが、下級裁判所で百三十七人、最高裁判所分を含めますと全国で百四十五人の守衛の減少となっております。
   このうち、東京地裁管内を担当する守衛は十一の減少でございまして、東京家裁管内を担当する守衛は六人の減少でございました。(階委員「ちょっと、まだ質問通告されていますよね、ほかの数字もありました」と呼ぶ)
   その場合の外部委託の予算額でございますけれども、守衛の削減分と直接の対応関係がないので、そこだけ切り出せないというのは前回申し上げたとおりでございますが、外部委託費を申し上げますと、平成二十一年度は約七億円でございました。平成三十年度が約十四億円、平成三十一年度が約十五億円となっております。
   東京高裁及び東京地家裁管内の予算額につきましては、平成二十一年度が約一・八億円、平成三十年度が約二・四億円になってございます。
○階委員 今のような数字で、警備業務の人数は定員減少に伴ってかなり減っているということがわかりました。
   その上で、今回の事件に関して、裁判所として警備面等で反省すべき点はないのか、お答えください。
○村田最高裁判所長官代理者 御指摘の件につきまして、亡くなられた被害者と御遺族の方には改めてお悔やみを申し上げます。
   その上で、現段階で把握している事実関係でございますけれども、東京家庭裁判所においては入庁時に所持品検査を実施しているところでございますが、今回の事件は、被害者の方が東京家庭裁判所に来庁した、建物に入ろうとした際に、庁舎の外にいた加害者が走り寄ってきて、所持品検査場より手前、被害者が玄関の中に入ろうか入るまいかという、その玄関入り口付近において加害行為があって、その後、加害者は直ちに建物の外といいますか敷地外に逃走したというふうなところまで、客観的な事実としては確認ができております。
   更に詳細な発生状況、経緯につきましては、なお関係者から事情聴取するなどして、更に詳細な事実関係の把握に努めておりますので、なお、まだちょっと十分に把握できていないところがございまして、警備面等での不備の有無については、きょうの時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、引き続き警察の捜査に可能な協力をするとともに、さらなる事実関係の把握に努めて、それを踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
○階委員 今の事実関係だけでも反省すべき点は明らかになっていると思いますよ。
   というのは、入り口のところに入るか入らないか、ドアを通るか通らないかのところで事件が起きたわけでしょう。もう家庭裁判所の敷地内に入っていますよね。皆さんの管理権ですよ。そこで事件が起きたんだから、皆さんに警備の責任はあるでしょう。その警備の責任を果たせなかった、このことについてはどう考えているんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 敷地内で発生した事件であるというのは御指摘のとおりでございます。
   ただ、何かあらかじめ手だてを講ずることによってこれが防げたのかどうか、そういう意味で落ち度があったかなかったか、このことについては、詳細な事実関係を把握した上で検討してまいりたいというふうに考えております。
○階委員 私も弁護士なので、家庭裁判所とか何度も入ったことはありますけれども、いつも守衛さんが入り口のところに立っているじゃないですか。あの人たちは何をしていたんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 当時立哨をしていた警備員は中にも外にもおったんですけれども、これらの者からの事情は聴取をしております。おりますが、まだそれで十分かどうかというところで、分析の途中でございます。
ですので、そこに何か落ち度があったかなかったか、この辺については、更に詳細を検討して分析してまいりたいと考えております。

○階委員 前回質問して、次、質問しますよと言って、もう四、五日たっているわけですよ。それで何も責任について言えないというのはおかしいでしょう。大体、どういう事件が起きたのか、その重大性を認識しているんですか。とんでもないことですよ。
   法の支配を貫徹すべき裁判所で力の支配が行われた。これは、前回言いましたけれども、あってはならないことなんですよ。そういう重大なことが起きたという問題意識があれば、今のような答弁はないはずです。そんなんじゃ、質疑を続けられませんよ。真面目に答えてください。時間は十分与えたはずですから。お願いします。
○村田最高裁判所長官代理者 当時の目撃状況等、詳細は分析中でございます。いろいろ残っておる証拠等から、先ほど申し上げたような事実経過、加害者が駆け寄り、そして加害行為に及んで逃走するまで約十秒でございました。
   この間、何ができたのか、できることがあったのかなかったのか、これは更に検討してまいりたいというふうに考えております。

○階委員 何のために守衛があそこに立って、いつも見張っているか。私、弁護士バッジがないと入れてもらえないんですよ。あそこを通してもらえないんですよ。そういうことは事細かにチェックしているのに、刃物を持っていた人はフリーパスですか。おかしいでしょう。
   明らかに、私は、警備に問題があった。その背景に人員を減らしたことが影響あったのかどうか、そこはわかりませんけれども、警備体制に問題があったという反省はあってしかるべきではないですか。反省の弁はないんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 外におりました守衛、中にもおりました守衛、いずれからも事情聴取をしておりますが、その中で見落としのようなもの、あるいはそもそも体制として不備であったかどうかというのは、もう少し分析をして、評価をさせていただきたいと思います。お時間をいただきたいと思います。
○階委員 全然、皆さんには、裁判所に対する信頼が揺らぐことへの危機感とか、そういうのが感じられないんですよ。もっと危機感を持っていただきたいし、もっと迅速に対応していただきたい。これは何なんですか。人が一人死んでいるんですよ、裁判所の入り口で。とんでもないことが起きていますよ。
   私も、家庭裁判所の前で、多分離婚調停を終えた御夫婦なのか離婚した方なのか、トラブルになっている姿を見たことがありますよ。そういうときに、警備員が、ここは裁判所だからやめてくださいと割って入ってとめた、そういう光景も見たことがあります。今回、刃物を持って走って入ってきた人を、何でとめられないんですか。
ちなみに、その警備員は外部委託なのか、それとももともとの職員なのか、この点は把握していますでしょう。
○村田最高裁判所長官代理者 申しわけございません、警備員の属性については把握しておりません。(階委員「だめだ、そんなんじゃだめだ、質問できないよ、いいかげんですよ」と呼ぶ)
○葉梨委員長 村田局長、現時点ではなかなか調査し切れていないという答弁なんだけれども、早急にちゃんと、大事な事件ですから、やりますということをちゃんと言ってください。
○村田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、大変重大な結果をもたらした事件であるということは我々としても受けとめておるところでございます。ですので、慎重に検討をさせていただいておるところでございまして、もう少しお時間をいただきまして、分析の後、また御報告させていただきたいというふうに思います。
○階委員 では、しっかりした文書の形で、証拠に基づいて説明をして、そして、反省すべき点があれば反省すべき点もちゃんと記載していただいて、再発防止策もちゃんと記載していただいて、そうしたものがきっちりそろわなければ、裁判所への信頼は回復できないと思いますよ、安全面の信頼は。そこは重々肝に銘じてください。
 時間が無駄になってしまいました。その責任も感じてください。

第3 関連記事その他
1 大阪高裁平成27年1月22日判決(裁判長は30期の森宏司裁判官)は,
   平成19年「5月24日」,兵庫県龍野高校のテニス部の練習中に発生した高校2年生の女子の熱中症事故(当日の最高気温は27度)について,
   兵庫県に対し,「元金だけで」約2億3000万円の支払を命じ,平成27年12月15日に兵庫県の上告が棄却されました(CHRISTIAN TODAY HP「龍野高校・部活で熱中症,当時高2が寝たきりに 兵庫県に2億3千万円賠償命令確定」参照)。
   その結果,兵庫県は,平成27年12月24日,3億3985万5520円を被害者代理人と思われる弁護士の預金口座に支払いました(兵庫県の情報公開文書を見れば分かります。)。
2 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判所の敷地内において加害行為が発生した際の留意点について(平成28年8月23日付の最高裁判所総務局参事官の事務連絡)
・ 平成31年3月20日に東京家裁で発生した殺人事件に関して東京家裁が作成し,又は取得した文書
3 以下の記事も参照してください。
 裁判所の所持品検査
 全国の下級裁判所における所持品検査の実施状況
・ 平成5年4月27日発生の,東京地裁構内の殺人事件に関する国会答弁
・ 裁判所の庁舎等の管理に関する規程及びその運用