ハンセン病患者の裁判に関する謝罪の記者会見


1   平成28年4月25日のハンセン病患者の裁判に関する謝罪の記者会見に際して作成し,又は取得した文書のうち,裁判所HPに掲載されているもの以外は,同月27日までに廃棄されました(平成28年度(最情)答申第33号(平成28年10月24日答申))。

2 答申には以下の記載があります。なお,本件開示申出文書というのは,平成28年4月25日のハンセン病患者の裁判に関する謝罪の記者会見に際して作成し,又は取得した文書のことです。
   最高裁判所事務総長は,本件開示申出文書に該当する可能性がある文書としては,①記者会見の日時・場所等を記載した文書,②取材の集合時間・注意事項等を記載した文書,③配布資料があったとした上で,①及び②については,いずれも報道機関に配布することでその目的を果たすことから,報道機関に配布するための部数しか作成しておらず,報道機関等からの問合せがあった際に確認するための控えについても,記者会見終了時点において,事務処理上使用することが予定されておらず,保有する必要がないため,短期保有文書として随時廃棄しており,本件開示申出の時点において存在しないと説明している。
   そこで検討すると,①及び②の文書は,いずれも記者会見の準備のための事務に用いられるものであると考えられるから,その内容が軽微かつ簡易な司法行政文書であるということができる。そうすると,これらについて,保存期間を1年以上にする必要がない短期保有文書として扱っていることは,前記1の各通達に沿った取扱いであり,相当である。そして,①及び②の文書が上記のような文書であることからすると,記者会見の日の2日後である本件開示申出の時点において,①及び②の文書が,いずれも廃棄済みであって存在しないとする説明は合理的であり,これを覆すに足りる事情はない。したがって,これらはいずれも廃棄済みであると認められる。

  また,③の配布資料については,いずれも裁判所ウェブサイトに掲載されたものであるとする最高裁判所事務総長の説明が不合理であるとする事情も見当たらない。したがって,本件開示申出の内容に照らすと,これは,本件開示申出文書に当たらないと認められる。

* 自由と正義2021年8月号の「ひと筆」として,「ハンセン病訴訟から学んだもの」(筆者は大分県弁護士会の徳田靖之弁護士)が載っています。


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