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令和9年度概算要求-裁判所職員101人の定員合理化と家裁調査官の増員の有無(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 対象,基準日及び資料の範囲

この記事は,最高裁判所が公表した令和9年度概算要求について,裁判所職員101人の定員合理化と公表資料上における家庭裁判所調査官の増員の有無を,令和8年度までの定員措置,国会答弁及び事件統計と照合するものである。
調査の基準日は令和8年9月13日であり,令和9年度予算は概算要求の段階にあるため,政府予算案,成立予算又は令和9年度末の確定定員を扱うものではない。

本記事は生成AIを用いて公表資料を照合し,確認できた事実と資料からの推測を区別して整理したものである。
裁判所書記官の減員人数並びに家庭裁判所調査官の職種別定員の増減及びその理由を直接説明する最高裁判所の公表文書は確認できなかったため,公表資料で確認できる範囲を超えて理由を断定しない。

2 結論

令和9年度概算要求書から直接確認できるのは,①新規増員は0人,②下級裁判所の定員合理化は101人,③判事補の減員は20人,④下級裁判所から最高裁判所への振替は71人,⑤裁判所全体の差引きは121人減という内容である。
101人について示されているのは俸給表及び級別の内訳であり,裁判所書記官,家庭裁判所調査官又は裁判所事務官という官職別の内訳ではない。

令和8年度概算要求書には「速記官から家裁調査官へ振替 10人」と明記されている一方,令和9年度概算要求書には同様の職種間振替の記載がない。したがって,公表された令和9年度概算要求書からは家裁調査官の増員を確認できない。
もっとも,この記載の違いだけで,最高裁判所が家裁調査官の追加増員を「見送った」とする政策判断又はその理由まで確定することはできない。

第2 令和9年度概算要求の定員

1 裁判所全体で121人減の要求である

令和9年度一般会計歳出概算要求書等の資料上73頁(PDF77頁)によれば,令和8年度末の予算定員2万5366人に対し,新規増員0人,定員合理化101人減,判事補20人減及び組織間振替を反映した令和9年度末の要求定員は2万5245人である。
最高裁判所は71人増の1254人となる一方,下級裁判所は定員合理化,判事補減員及び最高裁判所への振替によって192人減の2万3991人となる。

71人の振替は,営繕組織の見直し,裁判所共済組合の組織統合及び給与等事務の集約並びに共済組合の執務機構整備に伴うものである。
これは裁判所全体の定員を増減させる措置ではないが,下級裁判所から最高裁判所へ定員を移す措置であるため,現場側と中央側の配置を分けて読む必要がある。

2 101人は俸給表及び級別にしか示されていない

同概算要求書の資料上42頁(PDF46頁)は,101人の内訳を,行政職俸給表(一)4級5人,同2級30人,同1級48人及び行政職俸給表(二)2級18人と記載している。
しかし,同頁には官職名が書かれていないため,行政職俸給表(一)2級の30人をそのまま裁判所書記官30人と読み替えることはできない。

したがって,令和9年度概算要求が「裁判所書記官を何人減らす要求」であるかは,公開された概算要求書だけでは確認できない。
本記事では,裁判所書記官の減員を含むという情報の当否と人数を確定せず,公式資料で確認できる「裁判所職員101人の定員合理化」を起点に検討する。

第3 予算額は要求と要望を分けて読む必要がある

1 概算要求本体は前年度予算を下回る

令和9年度概算要求書の総表によれば,概算要求本体は3487億4938万4000円であり,令和8年度予算3494億7380万5000円より7億2442万1000円少ない。
これに対し,令和9年度概算要求の概要が示す3776億3300万円は,要望56億9600万円及び「強く豊かな日本」投資枠231億8800万円を加えた要求・要望額である。

そのため,令和9年度の裁判所予算について,「前年度より8.1%増の概算要求である」とだけ説明すると,要求本体と二つの要望枠を混同することになる。
裁判所の令和8年度予算-概算要求,暫定予算,当初予算及び補正予算の突合で説明したとおり,要求額と要求・要望額は分母を明示して比較する必要がある。

2 家裁関係経費とデジタル関係経費は増額要求である

要求・要望額の内訳では,家庭裁判所の充実強化関連経費は69億800万円で前年度より9億3900万円増え,裁判手続等のデジタル化関連経費は387億4300万円で前年度より207億9500万円増えている。
したがって,令和9年度概算要求は家庭裁判所政策又は裁判所全体の支出を一律に縮小する内容ではなく,人員を純減させる一方で,家庭裁判所関係経費及びデジタル関係経費を増やす配分である。

ただし,予算額の増加は人員配置が十分であることを示さず,デジタル関係経費の増加も職員の作業時間が101人分減ることを示すものではない。
公表資料には,デジタル化による官職別の削減可能時間又は庁別の必要人員を示す試算は掲載されていない。

第4 令和9年度概算要求書で家裁調査官の増員を確認できない背景として考えられる事情

1 直前2年間に合計15人を増員している

令和8年4月14日の衆議院法務委員会会議録において,最高裁判所は,改正家族法への準備及び検討のため令和7年度に家庭裁判所調査官5人を増員し,運用を全国に定着させる支援等のため令和8年度に10人を増員したと説明している。
令和8年度一般会計歳出概算要求書等の資料上64頁(PDF68頁)によれば,令和8年度の10人は速記官から家庭裁判所調査官への振替であり,裁判所職員全体の純増ではない。

裁判所データブック2026の裁判所職員22頁によれば,令和8年度の職種別定員は,裁判所書記官9878人,裁判所速記官180人,家庭裁判所調査官1613人,裁判所事務官9317人及びその他552人である。
これらは定員であって,欠員,休職その他を反映した実働人員ではなく,個々の裁判所への配置人数でもない。

2 既存人員の事務分担を見直している

同日の国会答弁で最高裁判所は,家裁調査官の関与の度合いが大きい少年事件が長期的に大幅な減少傾向にあることを踏まえ,各裁判所が事務分担を見直して家事事件の処理体制を整備してきたと説明している。
また,令和7年度及び令和8年度の増員によって,改正家族法の趣旨及び内容を踏まえた安定的な事件処理を確保できるとの認識も示している。

令和7年度及び令和8年度の15人増と既存人員の再配分は,令和9年度の体制を検討する際の関連事情である。
もっとも,令和9年度概算要求書及び令和8年4月14日の国会答弁は,これらの事情を理由として追加増員要求をしなかったとは述べていない。

3 改正家族法施行後の事件動向を見極める段階であった

父母の離婚後等の子の養育に関する改正法は令和8年4月1日に施行された。
最高裁判所は同月14日の国会答弁で,施行後の事件動向には増加要因と減少要因があり,施行直後の時点で具体的に予測することは困難であると説明し,事件動向及び運用状況を注視する方針を示している。

令和9年度概算要求の作成時点では,改正法施行後の通年統計は存在しなかった。
これは令和9年度以降の体制整備を検討する際の資料上の制約であるが,最高裁判所が通年統計を待つために家裁調査官の追加増員要求をしなかったかどうかは確認できず,需要予測又は人員算定式も公表されていない。

第5 事件統計から増員不要とは断定できない

1 家事事件は件数だけでも増加要因がある

裁判所データブック2026の家事事件及び人事訴訟事件62頁~63頁によれば,家事審判事件の新受件数は令和元年の90万7798件から令和7年の106万379件へ増加し,未済件数は令和6年の7万4472件から令和7年の8万732件へ増加している。
家事調停事件は,令和7年の新受件数が12万9993件,未済件数が7万2901件である。

もっとも,家事審判事件には成年後見関係事件その他の多様な事件が含まれ,全件に家庭裁判所調査官が関与するわけではない。
したがって,家事事件全体の件数は需要の方向を検討する資料にはなるが,家裁調査官の必要人数を直接算出できる指標ではない。

2 少年事件は長期減少と直近増加の双方を見る必要がある

裁判所データブック2026の少年事件66頁によれば,少年保護事件の新受人員は平成20年の17万2995人から令和4年の4万4629人まで長期的に減少した一方,令和5年は5万2642人,令和6年は5万6259人,令和7年は6万2565人へ増加している。
最高裁判所の「長期的には大幅な減少傾向」という説明は長期系列には対応するが,直近3年間の増加を理由に家事部門への再配分余地が今後も同じ規模で続くとまではいえない。

また,事件数だけでは,一件当たりの調査時間,複雑性,面接回数,出張時間及び家事事件と少年事件の担当配分を測れない。
家裁調査官の必要人数を検証するには,官職別定員に加えて,これらの業務量指標が必要である。

3 203支部のうち調査官配置支部は113支部である

令和8年4月14日の国会答弁によれば,全国の家庭裁判所には本庁50庁,支部203庁及び出張所77庁があり,家裁調査官が配置されている支部は113庁で,支部全体の約55%である。
最高裁判所は,配置のない庁では近隣庁の調査官が出向くなどして事件を担当し,事件数,交通事情,事件の種別及び事件処理状況を総合的に踏まえて体制を整備していると説明している。

一方,同じ国会審議では,調査官が常駐しない支部について,調査率及び出張対応の負担に関する問題提起もあった。
全国一律の配置率だけで不足を断定することはできないが,出張時間,調査開始までの期間及び庁別の調査官関与率が公表されなければ,出向対応で支障がないという説明を外部から検証することも難しい。

第6 公表資料から導ける説明とその限界

1 最も説明力のある三つの事情

(1) 直前の増員と再配置

公表資料からは,①令和7年度及び令和8年度に合計15人を増員したこと,②少年事件の長期的減少を踏まえて事務分担を見直したこと,③改正家族法について既存の増員で全国的な運用を支援する方針を採ったことが確認できる。
この三点は令和9年度の体制を検討する際の関連事情であるが,家裁調査官の追加増員をしなかった理由を直接証明するものではない。

(2) 施行後データの不足

令和9年度概算要求の時点では,改正家族法施行後の通年の事件数及び事件処理状況が存在せず,最高裁判所は令和8年4月14日の国会答弁で,令和9年度以降も審理運用の状況,事件動向及び事件処理状況を踏まえて必要な体制整備に努めると説明していた。
令和9年度概算要求書には,令和8年度の「速記官から家裁調査官へ振替 10人」に相当する職種間振替は記載されていないが,その理由は公表資料から確認できない。

2 定員合理化の官職別理由はなお分からない

(1) 確認できる事務の集約

令和9年度概算要求書は,営繕組織の見直し,共済組合事務の中央集約及び執務機構整備に伴う71人の振替を明記している。
また,要求・要望額ではデジタル関係経費を大きく増やしており,最高裁判所が事務の集約及びデジタル化を重視していることは確認できる。

(2) 確認できない職種別の算定

他方,101人の定員合理化については,官職別内訳,庁別内訳及び削減可能な事務量が公表されていない。
そのため,デジタル化によって裁判所書記官の減員が可能になった,事件数が落ち着いたため特定の官職を減らした,又は家裁調査官を増員する余地がなかったという因果関係は,公式資料だけでは確定できない。

第7 今後の検証に必要な資料

1 令和9年度の最終定員を確認する資料

概算要求は,最高裁判所が内閣へ提出する予算編成過程の資料であり,成立予算ではない。
令和9年度の定員を確定するには,政府予算案,成立予算,裁判所職員定員法改正案及び成立後の職種別定員を確認する必要がある。

裁判所予算が決まるまでの手続は,裁判所の予算は誰が決めているのか-二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったことで扱っている。
予算書と決算書の数値の違いは,予算・決算の数値をどこから取るか-概算要求書,予算書,各目明細書,決算書及び決算検査報告の使い分けを参照されたい。

2 家裁調査官の必要人数を検証する資料

家裁調査官の必要人数を検証するには,①改正家族法施行後の事件類型別件数,②調査官関与率,③一件当たりの調査時間,④庁間出張の時間,⑤欠員及び長期休業を除いた実働人員,⑥平均処理期間及び未済事件の経過期間が必要である。
これらが庁別又は事件類型別に公表されなければ,令和8年度までの15人増で足りるとの評価も,直ちに追加増員すべきであるとの評価も,全国統計だけから確定することはできない。

裁判所書記官及び家庭裁判所調査官の職務と令和8年度の職種別定員は,裁判所における一般職の職員-職種・身分・定員・採用で整理している。
本記事は,その職務又は採用制度を重ねて説明せず,令和9年度概算要求の定員判断に対象を絞ったものである。

第8 出典・参考資料

1 公文書・国会会議録

①最高裁判所「令和9年度予算」。
②最高裁判所「令和9年度概算要求の概要」1頁。
③最高裁判所「令和9年度一般会計歳出概算要求書等」資料上42頁及び73頁(PDF46頁及び77頁)。
④最高裁判所「令和8年度一般会計歳出概算要求書等」資料上64頁及び107頁(PDF68頁及び111頁)。
⑤衆議院「第221回国会法務委員会第3号」(令和8年4月14日)。
⑥法務省「父母の離婚後等の子の養育に関する民法等改正」。

2 統計・データ

①最高裁判所「裁判所データブック2026」。
②最高裁判所「裁判所職員」22頁。
③最高裁判所「家事事件及び人事訴訟事件」62頁~65頁。
④最高裁判所「少年事件」66頁~67頁。