第1 この記事の範囲と結論
本記事は,令和8年9月2日現在の公開資料に基づき,司法修習生が病気又はけがで修習を欠席するときの連絡,欠席承認,診断書及び修習終了への影響を整理するものである。
病気又はけがによる欠席は会社員の年次有給休暇とは異なり,欠席の必要が生じた時点で担当者へ連絡し,正当な理由がある欠席として承認を受けることが基本となる。
第2 欠席時の連絡と承認
1 連絡先と連絡時期
欠席の必要が分かった時点で,司法研修所又は現在の修習単位を担当する配属庁会の担当者へ連絡する必要がある。
申請先,連絡方法,提出期限及び様式は修習段階によって異なり得るため,後日まとめて申請することを前提にせず,まず当日の取扱いを確認するのが安全である。
2 診断書その他の資料
司法修習ハンドブック(2024年1月)は,5日以上連続して欠席する場合,医師の証明書その他修習できない理由を十分に明らかにする書面の提出を求めている。
短い欠席で常に診断書が不要であるという意味ではなく,感染症,入院,通院又は安静の指示があるときは,担当者から求められた資料と提出時期を確認すべきである。
第3 欠席日数と修習終了
1 通算45日の基準
司法修習生に関する規則6条は,病気その他の正当な理由により修習しなかった45日以内の期間を修習した期間とみなす。
これは45日まで自由に休める制度ではなく,個々の欠席に正当な理由と承認があることを前提とする修習期間の取扱いである。
2 各修習単位の2分の1基準
通算日数とは別に,各修習単位で修習を要する日の2分の1を超えて欠席した場合,その単位の成績が原則として不可となる旨が公開資料で説明されている。
したがって,通算45日以内でも,短い修習単位に欠席が集中すれば修習終了に重大な影響が生じ得る。
第4 欠席が長期化する場合
病気又はけがが短期間で回復する見込みでないときは,診断書の提出だけでなく,復帰見込み,医師の指示,現在の修習単位の残日数,代替可能な修習及び通算欠席見込みを早めに整理する必要がある。
心身の故障により修習を継続することが困難となる場合には,裁判所法68条1項に基づく罷免の問題となり得るが,長期欠席から直ちに自動的に罷免されるという意味ではなく,個別の履修状況と継続可能性の確認が必要である。
病気による承認欠席は,非違行為を理由とする修習停止とは法的性質が異なる。
そのため,「病気のときは修習停止になる」と説明するのは正確でない。
第5 修習給付金への影響
司法修習生の修習給付金の給付に関する規則は,通常の承認欠席それ自体を基本給付金及び住居給付金の日割り事由として列挙していない。
一方,修習停止期間等は日割り計算の対象となるため,承認欠席,修習停止,罷免及び再採用を区別する必要がある。
第6 実際に確認する事項
① 欠席日と欠席理由を担当者へ直ちに連絡すること。
② 欠席承認申請書,診断書その他の資料及び提出期限を確認すること。
③ 通算欠席日数と現在の修習単位における欠席割合を別々に確認すること。
④ 長期化する場合は,復帰時期,代替修習及び修習給付金への影響を確認すること。
第7 関連記事
欠席制度の全体像については,司法修習生の欠席・休暇・修習停止―病気,妊娠・出産,忌引,就職活動及び修習給付金への影響(AI作成)を参照されたい。
欠席承認の原資料については,司法修習生の欠席承認の基準を参照されたい。
身分上の制度については,司法修習生の罷免を参照されたい。
給付金については,司法修習生に給料はあるか―修習給付金の支給額・手取り,税金,国保・年金及び扶養判定(AIリライト)を参照されたい。
出典
① e-Gov法令検索「裁判所法」68条。
② 司法研修所「司法修習ハンドブック(2024年1月)」17頁~27頁。
③ 司法研修所長「司法修習生の欠席承認に関する運用基準について」(平成30年4月3日付)。
④ 最高裁判所「司法修習生の修習給付金について」。