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胸腰椎圧迫骨折の後遺障害逸失利益-11級7号の喪失率・期間と裁判例(AI作成)

第1 胸腰椎圧迫骨折の逸失利益で先に確認すること

1 この記事の対象と結論

本記事は,交通事故による胸椎又は腰椎の圧迫骨折について,「脊柱に変形を残すもの」として後遺障害等級第11級7号が認定された後の逸失利益を扱うものである。
法令,行政資料及び裁判例の調査基準日は令和8年9月13日である。
医学文献については,令和8年9月14日の追加調査に基づき,研究対象と限界を明示して補充した。
裁判例については,令和8年9月14日に判例秘書で追加調査し,第4を裁判年月日順の紹介に改めた。
資料収集と整理には生成AIを用いたが,法令,行政基準及び掲載裁判例の判断内容は原典で照合した。

第11級の労働能力喪失率表は20%であるが,民事上の逸失利益が常に20%,就労可能期間全部で認められるわけではない。
他方,変形障害であることや現実の減収がないことだけから,逸失利益を直ちに否定することもできない。
画像上の変形,痛み等の原因と経過,具体的な仕事への支障,将来の改善可能性及び収入維持の理由を対応させて評価する必要がある。

2 等級認定と逸失利益は判断対象が異なる

後遺障害等級は,症状固定時に残った身体障害を自動車損害賠償保障法施行令別表第二へ当てはめるものである。
これに対し,後遺障害逸失利益は,後遺障害によって将来の収入獲得能力又は家事労働能力にどの程度の経済的不利益が生じるかを評価する損害項目である。

したがって,第11級7号の認定は重要な出発点であるが,20%という率と喪失期間を個別事情から切り離して固定する根拠にはならない。
争点は,変形そのものの存在だけでなく,それに伴う痛み,姿勢保持の限界,運搬・前屈・長時間運転等の制限が,実際の仕事にどう影響するかにある。

第2 第11級7号と20%の位置付け

1 第11級7号は画像上確認できる脊柱変形を対象とする

自動車損害賠償保障法施行令別表第二第11級7号は,「脊柱に変形を残すもの」と定め,保険金額を331万円としている。
この331万円は自賠責保険における後遺障害損害の限度額であり,逸失利益だけの金額でも,民事訴訟で認められる賠償額の上限でもない。

自賠責の支払基準は,等級認定を原則として労災保険の障害等級認定基準に準じて行うとしている。
厚生労働省の認定基準は,「脊柱に変形を残すもの」について,①脊椎圧迫骨折等が残り,エックス線写真等で確認できるもの,②脊椎固定術が行われたもの,③3個以上の脊椎について椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもののいずれかとしている。

2 20%は率表の基準値である

厚生労働省の労働能力喪失率表では,第11級の喪失率は100分の20,第12級は100分の14,第14級は100分の5である。
自賠責の支払基準も,年間収入額に該当等級の喪失率と就労可能年数に対応するライプニッツ係数を乗じる計算方法を採っている。

この表は等級ごとの標準的な計算を可能にするが,胸腰椎圧迫骨折を負った個人の職務能力を測定した結果ではない。
民事上の評価では,20%を出発点としつつ,より低い率,期間を区切った率又は段階的に低下する率が採用されることがある。

3 基本式を四つの要素に分ける

後遺障害逸失利益の基本式は,基礎収入の年額×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数である。
ただし,期間の途中で喪失率又は基礎収入が変わると認定する場合は,期間を区切って計算する。

計算では,①事故がなければ得られたと考えられる基礎収入,②胸腰椎の障害が仕事等へ及ぼす喪失率,③その支障が続く喪失期間,④中間利息を控除するライプニッツ係数を分ける必要がある。
基礎収入,家事従事者,自営業者及びライプニッツ係数の一般的な確認方法は,交通事故の後遺障害逸失利益-減収のない会社員・家事従事者・自営業者の立証と計算で扱っている。

第3 喪失率と喪失期間を左右する事情

1 変形の程度と機能的な支障を分けて確認する

第11級7号の等級認定に必要な画像所見と,仕事上の制限の大きさは同じ問題ではない。
圧壊の部位・程度,後弯等の配列変化,固定術の範囲,神経学的所見及び可動域制限を確認した上で,痛みや疲労との医学的な対応を検討する。

胸腰椎は体幹を支えるため,中腰,前屈,重量物の運搬,立位・座位の持続,振動を伴う運転等で支障が表れ得る。
もっとも,同じ画像所見がある全員に同じ作業制限が生じるとは限らず,事故前後の実際の作業を比較する必要がある。

2 現在の減収だけで判断しない

給与又は売上げが維持されていても,本人の特別な努力,同僚の代替,残業の削減,配置上の配慮,昇進・転職機会への影響があれば,将来の経済的不利益を基礎付ける事情となり得る。
反対に,事故前と同じ作業を同じ時間・能率で続け,医学的にも将来の支障が具体化しない場合は,率又は期間を限定する方向に働く。

事故後の減収があっても,その全てが圧迫骨折によるものとは限らない。
景気,退職,事業利益,既往症その他の原因を分け,障害による労働能力低下との因果関係を示す必要がある。

3 将来の改善可能性は期間又は逓減の問題となる

骨性変形が残ることと,痛みや職務上の支障が同じ強さで続くことも同一ではない。
治療経過,症状固定後の推移,筋力・柔軟性,医師の予後意見及び仕事内容を基に,支障が長期に続くか,時間の経過とともに軽減するかを検討する。

長期転帰には幅があり,医学的知見に照らしても,集団の復職率から個人の労働能力喪失率又は喪失期間を決めることはできない。
復職には軽作業への変更,勤務時間短縮又は職場の配慮を伴う場合があり,復職の有無だけで経済的不利益の有無を判断することもできない。
骨折型,神経障害,治療方法,追跡期間及び復職の定義を区別した研究の読み方は,第5の4で述べる。

第4 判例秘書で確認した裁判例の認定内容

令和8年9月14日,判例秘書で「圧迫骨折」「11級7号」「逸失利益」をAND検索し,検索結果149件の判決本文を確認した。
以下では,胸腰椎の骨折・変形に関する逸失利益の判断を含む126件を裁判年月日順に並べ,事案,認定結果,判断理由及び出典を同じ項目で紹介する。
頸椎のみの事案や,責任の有無だけで請求を退けて逸失利益を判断しなかった事案等は含めていない。

11級の変形障害単独の事案に加え,他の障害との併合,8級等への評価の変更,既存障害,事故との因果関係又は後遺障害の残存を否定した事案も含む。
これらは判断の前提が異なるため,認定結果だけを切り離して比較することはできない。
以下の医学的評価は各判決の証拠関係に基づく判断の紹介であり,現在の医学一般の結論を示すものではない。

1 平成17年以前の裁判例

(1) 京都地裁昭和60年10月30日判決

事案:腰椎圧迫骨折の主張。
追突事故後の腰部症状について11級7号の逸失利益が請求された。

認定結果:事故による受傷・逸失利益を否定。
判断理由:画像の骨硬化等から第1腰椎骨折は陳旧性と判断し,第2腰椎の新たな骨折は後日の別の出来事によるものと認定した。
事故による11級障害を認めた上での0%の例ではない。

事件番号:昭和58年(ワ)第959号。
出典:判例秘書(判例番号L04050626),判例タイムズ579号74頁。
確認箇所:判決理由二・三。
判例タイムズ579号74頁。

(2) 大阪地裁平成12年8月29日判決

事案:第5腰椎圧迫骨折後の運動障害等。
腰椎部運動障害8級と他の障害の併合7級が認められた。
症状固定時59歳。

認定結果:56%・8年間。
判断理由:被告の脊柱変形11級にとどまるとの主張に対し,診療所見・神経所見等から運動障害との因果関係を認めた。
率は併合7級の障害全体についてのもので,11級変形のみの率ではない。

事件番号:平成9年(ワ)第6341号。
出典:判例秘書(判例番号L05550867),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第三・二,三の3。

(3) 東京地裁平成13年4月11日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
不動産業に従事する若年者に頸部・腰部の運動障害と疼痛が残った。

認定結果:10%・40年間(67歳まで)。
判断理由:事故後の収入増は,経験の蓄積と特別の努力によると評価した。
将来の運転を伴う業務への支障も考慮し,率が逓減する証拠はないとした。

事件番号:平成10年(ワ)第6771号。
出典:判例秘書(判例番号L05630551),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の逸失利益の判断ア~ウ。

(4) 大阪地裁平成13年7月19日判決

事案:第1腰椎の陳旧性変化と事故後の疼痛。
新鮮圧迫骨折の有無には疑問を残したが,事故が陳旧性変化を悪化させ疼痛を発症させたと認定。
固定時33歳。

認定結果:20%・34年間。
その後,素因による3割減額。
判断理由:建設作業等の就労歴と治療・画像経過を踏まえた。
労働能力喪失率20%と,別途行った素因減額を区別する必要がある。

事件番号:平成11年(ワ)第10530号。
出典:判例秘書(判例番号L05651042),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3・1,3(6)。

(5) 大阪地裁平成13年9月18日判決

事案:脊柱変形11級7号。
数十分同じ姿勢を保つと背部痛・しびれが生じ,デスクワークに支障があった。
症状固定時65歳。

認定結果:20%・約9年間。
判断理由:従前の給与水準への復帰は特段の努力の結果と認定した。
役員報酬のうち労働対価部分を基礎収入とし,就労可能期間を通じて算定した。

事件番号:平成12年(ワ)第6132号。
出典:判例秘書(判例番号L05651046),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益の項。

(6) 東京地裁平成15年2月28日判決

事案:胸椎骨折に伴う背部痛等。
オートバイ便に従事していた者に脊柱変形のほか右肩関節痛,右下腿のしびれ等が残り,併合10級とされた。
固定時32歳。

認定結果:当初10年間20%,その後10年間14%。
判断理由:複数の疼痛・しびれによる職業選択と作業能率への支障を総合評価した。
胸椎骨折由来の背部痛の持続性と,若年者としての回復・軽減の可能性を併せて考慮した。

事件番号:平成12年(ワ)第19956号。
出典:判例秘書(判例番号L05830881),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益(1)~(3)。

(7) 東京地裁平成15年9月24日判決

事案:第12胸椎骨折と骨盤・足関節障害。
脊柱変形11級,骨盤変形・足関節機能障害各12級の併合10級。
肉体労働から守衛業務へ変更。

認定結果:27%・11年間(67歳まで)。
判断理由:守衛業務は昇級・昇格・残業がなく減収した上,収入維持には職場の配慮と本人の努力を要した。
率は併合障害全体の評価であり,60歳前後で基礎収入を分けている。

事件番号:平成13年(ワ)第21981号。
出典:判例秘書(判例番号L05833860),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額(8)。

(8) 名古屋地裁平成15年11月5日判決

事案:脊椎圧迫骨折後の腰痛。
脊柱変形11級7号とされたが,機能障害は乏しく,症状固定時26歳であった。

認定結果:当初10年間14%,その後67歳まで10%。
判断理由:実質的な就労支障を腰痛による神経症状として評価した。
症状が将来も残ることを認めつつ,治療経過・症状・年齢から一定の改善可能性を考慮した。

事件番号:平成14年(ワ)第2338号,平成15年(ワ)第1382号。
出典:判例秘書(判例番号L05851246),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益(エ)・(オ)。

(9) 東京地裁平成16年8月25日判決

事案:第5腰椎圧迫骨折と左肘等の障害。
自賠責では脊柱変形11級のほか歯牙・頸部・左肘の障害を併合して10級とされた。

認定結果:整形外科的障害全体で5%・5年間。
判断理由:軽度の安定した腰椎変形による就労への影響は認めず,左肘痛を基礎に評価した。
したがって,脊柱変形11級単独を5%と評価した事案ではない。

事件番号:平成15年(ワ)第4905号,平成15年(ワ)第8854号。
出典:判例秘書(判例番号L05933382),自保ジャーナル1603号9頁。
確認箇所:判決の後遺障害・逸失利益の判断。

(10) 東京地裁平成17年4月25日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折とされた椎体変形。
自賠責では11級7号とされたが,訴訟では事故と変形・症状との因果関係が争われた。

認定結果:後遺障害逸失利益を否定。
判断理由:診療した医師の回答,MRI所見,後遺障害診断書作成医の説明等から,今回の事故による骨折・後遺障害とは認めなかった。
11級7号の障害を事故によるものと認めた上で喪失率を0%にした事案ではない。

事件番号:平成15年(ワ)第6161号。
出典:判例秘書(判例番号L06031638),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3・1及び後遺障害逸失利益の項。

2 平成18年~平成22年の裁判例

(1) 東京地裁平成18年3月29日判決

事案:第3腰椎圧迫骨折と左膝靱帯損傷。
自動二輪車の同乗者が負傷し,保険会社の代位請求で逸失利益が判断された。

認定結果:当初10年間20%,その後32年間14%を用いた請求額を認容。
判断理由:判決は保険会社の請求原因記載の算定を引用して採用した。
脊柱の11級と膝の12級を伴う被害者の算定であり,同じ事故で死亡した運転者の逸失利益と混同してはならない。

事件番号:平成17年(ワ)第4929号,平成17年(ワ)第18964号,平成17年(ワ)第20209号。
出典:判例秘書(判例番号L06130551),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決乙事件の請求原因(4)ク及び理由の損害額(8)。

(2) 広島地裁平成18年5月29日判決

事案:第10ないし第12胸椎圧迫骨折。
事故時26歳の大学院生で,米国で医師として就業することを予定していた。
長時間の立位・座位等に腰背部痛があった。

認定結果:平成19年から10年間20%,その後10年間14%,以後67歳まで5%。
判断理由:症状を抱えて研究・就労を続ける努力を認める一方,年齢,治療・運動療法による改善見通し等を考慮して率を逓減した。
将来の米国での医師収入を推計した事案である。

事件番号:平成17年(ワ)第150号。
出典:判例秘書(判例番号L06150141),自保ジャーナル1656号20頁。
確認箇所:自保ジャーナル1656号20頁。
判決第3・4。
裁判所公開判決も参照。

(3) 神戸地裁平成18年11月1日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折と左肩機能障害。
脊柱変形11級と肩関節機能障害12級の併合10級。
事故時無職だったが,溶接工の資格・職歴があった。

認定結果:27%・11年間。
判断理由:就労を妨げる身体的事情が事故前にはなかったことと資格等から将来収入を認めた。
率は併合障害を前提とする。

事件番号:平成17年(ワ)第1779号。
出典:判例秘書(判例番号L06150965),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3の後遺症逸失利益ア~ウ。

(4) 大阪地裁平成18年11月7日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
同じ事故で2名が受傷し,そのうち胸椎圧迫骨折を負った原告の損害が問題となった事案である。

認定結果:20%・10年間の係数を用いて算定した。
判断理由:判決の当該原告についての理由付けは簡潔である。
同時に判断された別の原告の上肢等の障害に対する79%・38年間とは区別する必要がある。

事件番号:平成17年(ワ)第894号。
出典:判例秘書(判例番号L06150831),交通事故民事裁判例集39巻6号1535頁。
確認箇所:判例秘書本文・原告X2の損害額(6)の算式

(5) 仙台地裁平成19年2月9日判決

事案:脊柱障害と重い腹部臓器等の障害。
複数の重篤な障害が残った女性について,併合4級として算定された。

認定結果:92%・22年間。
判断理由:長期にわたる腹痛等と改善の見込みの乏しさを前提とする障害全体の評価であり,11級変形のみの率ではない。

事件番号:平成18年(ワ)第707号。
出典:判例秘書(判例番号L06250787),自保ジャーナル1740号19頁。
確認箇所:判決の損害額(7)。
自保ジャーナル1740号19頁。

(6) 大阪地裁平成19年4月26日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
腰椎の楔状変形と持続的な腰部症状が残り,11級7号相当とされた。
症状固定時58歳であった。

認定結果:20%・11年間。
判断理由:11級相当の障害と実収入を前提に算定した。
喪失期間は67歳までの9年間ではなく,判決が認定した就労可能年数11年間である。

事件番号:平成18年(ワ)第4751号。
出典:判例秘書(判例番号L06250623),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3・逸失利益(5)。

(7) 名古屋地裁平成19年5月30日判決

事案:第3腰椎圧迫骨折と尾骨骨折。
自賠責では脊柱変形11級と尾骨痛12級の併合10級とされた。

認定結果:尾骨痛について14%・12年間。
脊柱変形による喪失は否定。
判断理由:残存腰痛の主因を事故によらない椎間板変性等と判断し,脊柱変形のみから喪失を認めなかった。
尾骨痛の影響は別に認めており,両者を分けて読む必要がある。

事件番号:平成17年(ワ)第2769号。
出典:判例秘書(判例番号L06250655),交通事故民事裁判例集40巻3号741頁。
確認箇所:判決の損害額(7)ア~ウ。

(8) 東京地裁平成19年6月20日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折。
骨折部の違和感・痛み,疲労感や集中力低下を訴え,勤務中に姿勢を変えるなどして就労していた。
事故後の収入は増加していた。

認定結果:症状固定後10年間14%,その後10年間7%。
判断理由:収入が増えていることだけで喪失を否定せず,就労上の支障を考慮した。
他方,変形が軽度で安定し,長期的な馴化による症状軽減の可能性があることから逓減した。

事件番号:平成17年(ワ)第25538号。
出典:判例秘書(判例番号L06232686),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の逸失利益に関する『労働能力喪失率及び喪失期間』の項。

(9) 名古屋地裁平成19年6月22日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
症状固定時32歳の消防職員・救急救命士で,腰背部の疼痛と運動時痛のため救急救命士としての救助活動が困難となり,配置換えを受けていた。

認定結果:20%・35年間(67歳まで)。
判断理由:勤務継続や通常勤務可能との診断だけでは実際の救助活動が可能とはいえないとし,具体的な職務制限,将来の配置換え・転職上の不利益,努力や忍耐を考慮した。
症状が改善するとの証拠も不十分とした。

事件番号:平成18年(ワ)第1888号。
出典:判例秘書(判例番号L06250638),交通事故民事裁判例集40巻3号782頁。
確認箇所:交通事故民事裁判例集40巻3号782頁。
判決の後遺障害逸失利益の項。

(10) 東京地裁平成19年7月20日判決

事案:腰痛と右母指・右膝等の障害。
バイオ製剤の調合・販売等に従事し,併合9級相当の複数の障害が問題となった。

認定結果:30%・10年間(60歳から70歳まで)。
判断理由:顕微鏡の調整などの細かな作業,排水溝設備の設置等への具体的支障を評価した。
脊柱変形のみについての率ではない。

事件番号:平成17年(ワ)第25154号。
出典:判例秘書(判例番号L06233161),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額キ(ア)・(イ)。

(11) 名古屋地裁平成19年10月26日判決

事案:第7胸椎圧迫骨折。
症状固定時45歳の会社役員で,脚立・はしごの昇降や前かがみでハンマーを使う作業等に支障があった。
役員報酬は事故後に増えていた。

認定結果:20%・22年間(67歳まで)。
判断理由:本人の労務提供に依存する会社の実態,症状に耐えて働く努力,将来の業績や転職上の不利益を考慮して逸失利益を肯定した。
症状の軽減・消滅を認める証拠がなく,率・期間の引下げも認めなかった。

事件番号:平成18年(ワ)第1649号。
出典:判例秘書(判例番号L06250642),交通事故民事裁判例集40巻5号1386頁。
確認箇所:交通事故民事裁判例集40巻5号1386頁。
判決の後遺障害逸失利益の項。

(12) 東京地裁平成20年1月23日判決

事案:胸椎・腰椎の圧迫骨折の主張。
自動車と歩行者の事故後,胸椎・腰椎の圧迫骨折等による後遺障害が主張された。

認定結果:後遺障害逸失利益を否定。
判断理由:圧迫骨折が事故により生じたことを認めず,腰部挫傷・打撲以外の主張された障害についても証拠が足りないとした。
認定済み11級7号一般の喪失率を示した判決ではない。

事件番号:平成17年(ワ)第14361号。
出典:判例秘書(判例番号L06330255),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の事故による受傷・後遺障害の判断及び損害額(7)。

(13) 名古屋地裁平成20年2月27日判決

事案:胸腰椎の変形・運動障害。
自賠責では脊柱障害について11級7号とされ,運動障害は認められなかったが,裁判所はその判断を採用しなかった。
症状固定時59歳であった。

認定結果:45%・11年間。
判断理由:脊柱の運動障害,腰背部痛による重量物の取扱い・長時間座位・歩行の困難,事故後に稼働していないことを考慮した。
変形障害11級のみを前提とする20%の事案とは障害評価が異なる。

事件番号:平成20年(ワ)第422号。
出典:判例秘書(判例番号L06350982),自保ジャーナル1786号14頁。
確認箇所:自保ジャーナル1786号14頁。
判決の損害額(6)。

(14) 横浜地裁平成20年4月17日判決

事案:第5頸椎破裂骨折と第2胸椎圧迫骨折。
頸椎固定術後の脊柱障害11級と四肢の神経症状12級の併合10級。

認定結果:20%・31年間。
判断理由:長時間勤務を保てず,休養を挟む必要性や職種制限,固定隣接部への影響を認定した。
胸椎だけでなく頸椎固定術とその症状を含めた判断である。

事件番号:平成19年(ワ)第911号。
出典:判例秘書(判例番号L06350971),自保ジャーナル1747号19頁。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益(4)。
自保ジャーナル1747号19頁。

(15) 東京地裁平成20年9月4日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折。
自動車事故で胸椎圧迫骨折等を負い,11級7号と認定された。
症状固定時52歳であった。

認定結果:20%・15年間(67歳まで)。
判断理由:11級7号の認定,症状固定時の年齢及び事故前年の収入を踏まえて算定した。
率・期間に関する詳細な対立の検討は示されていない。

事件番号:平成20年(ワ)第2193号。
出典:判例秘書(判例番号L06332623),交通事故民事裁判例集41巻5号1202頁。
確認箇所:交通事故民事裁判例集41巻5号1202頁。
判決の損害額・逸失利益の項。

(16) 東京地裁平成21年5月26日判決

事案:第11胸椎圧迫骨折。
症状固定時32歳で,会社員として働く一方,二輪車のプロレーサーとして活動していた。
頚肩痛等の14級障害もあり,併合11級であった。

認定結果:会社員収入について10%・35年間。
レーサー収入について100%・8年間。
判断理由:会社員としては減収が大きくなく,事故後のレース出場状況も考慮した。
他方,高速走行を伴う競技で事故前と同様の能力を発揮できず,プロレーサーとして活動できなくなったとして,収入の種類ごとに評価を分けた。

事件番号:平成20年(ワ)第7188号。
出典:判例秘書(判例番号L06430192),自保ジャーナル1796号8頁。
確認箇所:自保ジャーナル1796号8頁。
判決の逸失利益の項。

(17) さいたま地裁平成21年6月24日判決

事案:示談後に明らかとなった脊柱等の後遺障害。
従前の併合10級による示談後,併合7級相当の障害による追加損害が問題となった。

認定結果:56%から既払評価27%を控除。
後の固定から69歳までを算定。
判断理由:新たな障害の評価と既に示談で補償された部分を区別し,当初固定からの中間利息も控除した。
11級単独の率・期間の事案ではない。

事件番号:平成19年(ワ)第1012号。
出典:判例秘書(判例番号L06451376),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益の項。

(18) 横浜地裁平成21年11月12日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折。
症状固定時38歳の専業主婦で,事故から4年後も腰背部痛が続き,家事や日常生活に支障があった。

認定結果:14%・29年間(67歳まで)。
判断理由:疼痛の訴え自体は認めたが,痛みの原因を脊柱変形とは別の筋・筋膜性腰痛と評価した。
事故との因果関係や長期の支障は認め,20%の機械的適用と5%・数年間への限定の双方を採らなかった。

事件番号:平成20年(ワ)第2597号。
出典:判例秘書(判例番号L06451432),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益・労働能力喪失率と期間の項。

(19) 東京地裁平成21年12月22日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
人身傷害保険金を支払った保険会社の求償事件である。
被害者は症状固定時53歳で,勤務を継続し,業務の約7割がデスクワークであった。

認定結果:12%・10年間。
判断理由:11級7号の障害,年齢,勤務継続及び職務内容を考慮した。
判決が採った率は12%であり,12級の率表に対応する14%とは異なる。

事件番号:平成21年(ワ)第12118号。
出典:判例秘書(判例番号L06430644),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3・損害額(7)後遺障害逸失利益。

(20) 名古屋地裁平成22年7月30日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
症状固定時50歳の給与所得者で,受傷後に休業し,その後退職した。
ブラジル国籍で日本の定住資格を有していた。

認定結果:20%・17年間(67歳まで)。
判断理由:11級7号相当の脊柱変形,年齢及び実収入を基礎に算定した。
日本での居住資格や家族との生活状況から,67歳まで国内で働いた蓋然性を認めた。

事件番号:平成21年(ワ)第250号。
出典:判例秘書(判例番号L06551328),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益の項。

(21) 東京地裁平成22年8月26日判決

事案:脊柱障害を含む身体障害。
高次脳機能障害の主張とは別に,身体障害について併合9級相当と評価された。
固定時52歳。

認定結果:35%・15年間(67歳まで)。
判断理由:身体障害の内容・程度を併せて算定した。
率は複数の障害全体の評価であり,脊柱変形のみの率として引用できない。

事件番号:平成17年(ワ)第17789号。
出典:判例秘書(判例番号L06530412),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の原告X1の逸失利益(ウ)。

(22) さいたま地裁平成22年9月24日判決

事案:脊柱変形11級とPTSD。
看護師に精神障害9級相当と脊柱変形が残り,症状固定時31歳であった。

認定結果:当初12年間45%,その後67歳まで20%。
判断理由:精神障害の改善可能性を考慮してその期間を限定する一方,脊柱変形の障害はその後も残るものとして分けて評価した。

事件番号:平成20年(ワ)第2273号。
出典:判例秘書(判例番号L06550936),交通事故民事裁判例集43巻5号1212頁。
確認箇所:判決の損害額(9)イ・ウ。

3 平成23年~平成27年の裁判例

(1) 神戸地裁平成23年6月1日判決

事案:腰椎圧迫骨折の主張と事故後の疼痛。
タクシー運転者が追突事故による腰椎骨折を主張した。

認定結果:14級相当として5%・5年間。
判断理由:事故による圧迫骨折は認めなかったが,事故後の神経症状は14級相当と評価した。
11級の変形障害を認めた上での減率とは異なる。

事件番号:平成21年(ワ)第742号。
出典:判例秘書(判例番号L06651091),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3及び損害額(9)。

(2) 東京地裁平成23年7月4日判決

事案:第3・第4腰椎圧迫骨折。
症状固定時47歳で,郵便配達や軽貨物運送等に従事していた。
復職後も荷物の上げ下ろしやバイク運転等に支障があった。

認定結果:20%・20年間(67歳まで)。
判断理由:腰痛だけでなく脊柱の機能低下による具体的な就労支障,事務職に転じる難しさ,事故後3年間の症状の持続を考慮し,率を逓減しなかった。

事件番号:平成22年(ワ)第31174号。
出典:判例秘書(判例番号L06630278),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額・後遺障害逸失利益の項。

(3) 大阪地裁平成23年7月13日判決

事案:脊柱変形とうつ症状。
競輪選手の逸失利益について,選手として活動する期間と引退後の一般就労を区別した。

認定結果:当初1年間35%,その後67歳まで32年間20%。
判断理由:初期は競輪選手という職務の特殊性と賞金収入の減少を考慮した。
その後は変形の程度・疼痛・精神症状の改善可能性を併せて一般就労への影響を評価した。

事件番号:平成20年(ワ)第15940号。
出典:判例秘書(判例番号L06650890),交通事故民事裁判例集44巻4号908頁。
確認箇所:判決の損害額(8)ア・イ。

(4) 大阪地裁平成23年9月1日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
症状固定時38歳で,管理本部総務部人事に配属されていた。
椎体上縁の圧潰は比較的軽く,その後の圧迫の進行はなかった。

認定結果:10%・29年間。
判断理由:変形の程度と職務内容から10%とした。
一方,診察をしていない医師の『労働能力に支障を来さない』との意見は,そのまま採用しなかった。

事件番号:平成21年(ワ)第16418号。
出典:判例秘書(判例番号L06651102),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額・後遺障害逸失利益の項。

(5) 仙台地裁平成23年9月30日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
症状固定時58歳の家事専業者で,腰背部の重苦感や圧痛があった。

認定結果:20%・15年に対応する係数10.3796で算定。
判断理由:11級7号及び20%という率に争いがない事案であり,主として家事労働の基礎収入が検討された。
期間については計算に用いた係数を示し,判決中の平均余命に関する記載から一般的な余命を導かない。

事件番号:平成22年(ワ)第2221号。
出典:判例秘書(判例番号L06651279),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額(7)後遺障害による逸失利益。

(6) 東京地裁平成23年11月30日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折。
保険会社等による求償金等の請求事件で,脊柱変形について11級7号とされた。

認定結果:20%・9年間。
判断理由:実収入,20%及び固定日から9年間を用いた逸失利益額が前提事実として認定され,主たる争点は事故態様と過失割合であった。
率・期間の是非を詳細に論じた事案とは区別して読む必要がある。

事件番号:平成23年(ワ)第15242号。
出典:判例秘書(判例番号L06630526),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第2の前提事実(3)及び第3。

(7) 大阪地裁平成23年12月13日判決

事案:椎体高減少と後弯。
自転車で転倒した家事従事者に脊柱の変形が残り,固定時72歳であった。

認定結果:10級相当として27%・6年間。
判断理由:前方椎体高の減少と後弯を評価し,少なくとも原告主張の10級相当とした。
生活保護受給中でも家事労働の財産的価値を認めており,11級のみの評価ではない。

事件番号:平成21年(ワ)第18900号。
出典:判例秘書(判例番号L06651103),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額カ。

(8) 東京地裁平成24年7月20日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折。
水道設備施工に従事していた。
腰痛で中腰姿勢の継続が難しく,歩行や勤務中の休憩にも支障があり,症状固定時36歳であった。

認定結果:20%・31年間(67歳まで)。
判断理由:20%の率と基礎収入には当事者間で争いがなく,障害の内容・程度から期間を認定した。
率が争われた事件と同じ意味で20%の理由を詳しく判示した例ではない。

事件番号:平成23年(ワ)第16353号・平成24年(ワ)第3023号。
出典:判例秘書(判例番号L06730310),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額(6)後遺障害逸失利益。

(9) 京都地裁平成24年9月5日判決

事案:第2腰椎破裂骨折・第5腰椎圧迫骨折等。
腰椎固定術後の脊柱変形と背部痛が残った。
事故当時32歳で求職中であり,コンピュータグラフィックスを学び,関連する職歴があった。

認定結果:20%・33年間。
判断理由:11級相当の変形障害として算定した。
基礎収入は過去の職歴・収入等を踏まえて男性平均賃金の6割とされ,率・期間とは別に収入の蓋然性が検討されている。

事件番号:平成23年(ワ)第3122号・第4289号。
出典:判例秘書(判例番号L06751226),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額・逸失利益の項。

(10) 横浜地裁平成24年10月31日判決

事案:第4腰椎圧迫骨折。
事故後に年間約30%の収入減少が生じ,症状固定時38歳であった。

認定結果:20%・29年間(67歳まで)。
判断理由:障害の内容・程度と実際の収入減少を考慮した。
症状固定前の収入減少は休業損害,固定後は逸失利益として区分している。

事件番号:平成23年(ワ)第1023号。
出典:判例秘書(判例番号L06751292),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額・症状固定後の逸失利益の項。

(11) 神戸地裁平成25年1月28日判決

事案:第11胸椎圧迫骨折。
症状固定時34歳の警察官で,復職後は軽易な内勤業務に限られ,疼痛で横になって休むことがあった。
減収も生じていた。

認定結果:20%・33年間(67歳まで)。
判断理由:RSDや8級2号の運動障害の主張は認めなかったが,11級7号の変形障害による減収,職務制限及び将来の昇級への不利益を考慮した。

事件番号:平成22年(ワ)第3920号。
出典:判例秘書(判例番号L06850771),自保ジャーナル1895号86頁。
確認箇所:自保ジャーナル1895号86頁。
判決第3・2(4)。

(12) 東京地裁平成25年2月27日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折。
保険会社の求償事件である。
被害者は症状固定時39歳で内装工事関係の業務に従事し,咀嚼機能障害や瘢痕を含めて併合9級とされていた。

認定結果:20%・28年間(67歳まで)。
判断理由:咀嚼機能障害と瘢痕は職種に照らして労働能力への直接的影響を認める証拠がないとし,残る脊柱変形を踏まえて20%とした。
併合等級の率をそのまま適用した例ではない。

事件番号:平成23年(ワ)第29121号。
出典:判例秘書(判例番号L06830079),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3・2(1)エ。

(13) 名古屋地裁平成25年4月19日判決

事案:腰椎骨折等の既往と事故後の神経症状。
従前事故の後遺障害があり,今回の事故については両下肢のしびれ等を14級と評価した。

認定結果:5%・5年間。
判断理由:本件では11級変形の率を減じたのではなく,14級の神経症状を前提とした。
無職期間等を考慮しつつ,将来就労の可能性を全く否定せず逸失利益を認めた。

事件番号:平成22年(ワ)第8655号。
出典:判例秘書(判例番号L06851324),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額(3)。

(14) 東京地裁平成25年4月26日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折と右手関節障害。
脊柱変形11級と右尺骨・手関節の障害12級を伴う会社員。
固定時42歳。

認定結果:20%・25年間(67歳まで)。
判断理由:腰痛による重量物運搬・座位への支障を12級相当と評価し,右手関節障害と併せて20%とした。
脊柱障害単独の20%ではなく,60歳前後で基礎収入も分けている。

事件番号:平成24年(ワ)第10348号,平成25年(ワ)第3082号。
出典:判例秘書(判例番号L06830214),交通事故民事裁判例集46巻2号577頁。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益ウ・エ。

(15) 福岡地裁平成25年7月5日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折。
手すりの欠陥による事故で高齢の一人暮らしの無職者が負傷した。
交通事故以外の参考例である。

認定結果:後遺障害逸失利益を否定。
判断理由:他人のための家事労働に従事しておらず,年齢等から将来の就業の現実的可能性も認めなかった。
変形の機能的影響の有無のみを理由とする否定ではない。

事件番号:平成23年(ワ)第3302号。
出典:判例秘書(判例番号L06850400),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額キ・ク。

(16) 東京地裁平成25年8月6日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折と神経症状。
脊柱変形11級と右下肢痛・頸部痛等14級を残した同乗者につき,保険代位請求がされた。

認定結果:14%・10年間。
判断理由:胸腰椎部の可動域制限と腰痛を認め,女性平均賃金を基礎に算定した。

事件番号:平成24年(ワ)第24834号,平成25年(ワ)第10917号。
出典:判例秘書(判例番号L06830484),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の同乗者Aの損害額(8)。

(17) 東京地裁平成25年9月18日判決

事案:脊柱変形と背部痛。
同乗者に背部痛を含む11級7号の後遺障害が残った。

認定結果:14%・10年間。
判断理由:変形それ自体から直ちに喪失を認めることは困難としつつ,残った背部痛を頑固な神経症状として評価した。
同判決の別の原告の5%・5年間と区別する。

事件番号:平成24年(ワ)第35797号。
出典:判例秘書(判例番号L06830547),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の原告X2の後遺障害逸失利益(イ)。

(18) 大阪地裁平成25年9月19日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折と左鎖骨変形。
家事に従事する女性につき脊柱変形11級・鎖骨変形12級の併合10級とされた。

認定結果:14%・11年間。
判断理由:腰椎の変形は軽微で,鎖骨側の制限も疼痛や外固定による関節拘縮と評価し,障害全体の就労影響を平均14%とした。
同事故の死亡者の逸失利益とは別の判断である。

事件番号:平成23年(ワ)第15037号,平成23年(ワ)第15583号。
出典:判例秘書(判例番号L06850850),自保ジャーナル1913号80頁。
確認箇所:判決の原告X1の後遺障害及び逸失利益。
自保ジャーナル1913号80頁。

(19) 東京地裁平成25年10月2日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折。
病院に勤務する医師に疼痛を伴う11級7号の障害が残った。
固定時53歳。

認定結果:14%・14年間(67歳まで)。
判断理由:就労への影響は主に疼痛と判断した。
配置転換がなく,事故前の昇進により収入も増えた事情を考慮しつつ,本人の努力を認め,期間は就労可能年齢までとした。

事件番号:平成24年(ワ)第15583号。
出典:判例秘書(判例番号L06830670),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益ア。

(20) 大阪地裁平成25年10月29日判決

事案:脊柱変形と左膝痛。
腰痛と左膝の器質的変化に基づく神経症状が複合して就労に影響した。

認定結果:当初10年間20%,その後14年間14%。
判断理由:疼痛への代償行動等による影響軽減を考慮した一方,複合する症状の影響が短期で消滅するとは認めなかった。

事件番号:平成24年(ワ)第817号。
出典:判例秘書(判例番号L06850929),交通事故民事裁判例集46巻5号1424頁。
確認箇所:判決の全体的な労働能力喪失率・喪失期間ウ。

(21) 大阪地裁平成25年12月3日判決

事案:第3腰椎の脊柱変形。
自損事故の保険金請求で,8級運動障害の主張を退け,11級相当として算定した。

認定結果:20%・9年間で算定。
ただし追加の保険金請求は棄却。
判断理由:運動障害・常時コルセット装用の必要性を認めなかった。
人身傷害保険の算定と,既に成立した保険金支払協定による支払義務の消滅を分けている。

事件番号:平成24年(ワ)第2920号。
出典:判例秘書(判例番号L06850909),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決第3・人身傷害保険金算定カ及び支払協定の判断。

(22) 名古屋地裁平成26年1月15日判決

事案:第3・第4胸椎の変形と背部痛。
警察官等の体力を要する職への就職を断念した若年者。

認定結果:固定後10年間20%,次の10年間10%,その後8年間5%。
判断理由:軽度の変形と疼痛を中心に評価し,若年者としての筋力回復等を見込んだ。
初期3年間のアルバイト収入と大学卒業後25年間の収入を分けて算定している。

事件番号:平成24年(ワ)第1166号。
出典:判例秘書(判例番号L06951411),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額(6)。

(23) 東京地裁平成26年1月29日判決

事案:腰椎圧迫骨折後の変形。
運送トラックの運転・荷物の積み下ろしに従事していた者。
固定時39歳。

認定結果:20%・28年間(67歳まで)。
判断理由:椎体の圧潰は必ずしも軽度でなく,従前業務を継続する困難と再就職の難しさ,将来の症状変化を考慮した。
線維筋痛症の診断に基づく別の後遺障害の主張は採用していない。

事件番号:平成24年(ワ)第37015号。
出典:判例秘書(判例番号L06930040),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益キ(ア)・(イ)。

(24) 大阪地裁平成26年1月31日判決

事案:胸椎圧迫骨折後の変形。
立ち仕事や前かがみの動作を要する美容師に腰背部痛が残った。
固定時28歳。

認定結果:17%・39年間(67歳まで)。
判断理由:美容師として見込まれる収入,疼痛の業務への影響,デスクワーク等への転職可能性を合わせ,経済的不利益率を17%と評価した。

事件番号:平成24年(ワ)第4221号,平成24年(ワ)第5658号。
出典:判例秘書(判例番号L06950829),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益(ア)~(エ)。

(25) 京都地裁平成26年3月7日判決

事案:第3腰椎圧迫骨折後の変形と左肩痛。
青果市場勤務と家事に従事する女性に併合11級の障害が残った。
固定時62歳。

認定結果:20%・13年間。
判断理由:伝票の運搬や袋詰め,家事への具体的支障を認めた。
減給がないのは努力と職場の配慮によるとし,平均余命の約半分を期間とした。

事件番号:平成24年(ワ)第4064号。
出典:判例秘書(判例番号L06951082),自保ジャーナル1927号142頁。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益イ・ウ。

(26) 大阪地裁平成26年3月26日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折と中心性頸髄損傷。
車いす生活となり,上肢も実用的な作業能力に乏しい状態として併合2級とされた。

認定結果:全労働能力の喪失を前提に,休業損害と逸失利益を事故時36歳から67歳まで一括算定。
判断理由:建築業の収入資料等を踏まえ年440万円の損失として計算した。
31年間は症状固定後だけの期間ではなく,11級変形単独の評価でもない。

事件番号:平成23年(ワ)第4975号。
出典:判例秘書(判例番号L06950881),交通事故民事裁判例集47巻2号431頁。
確認箇所:判決の後遺障害の判断及び損害額(7)。

(27) 東京地裁平成26年3月26日判決

事案:第2腰椎椎体骨折。
肉体作業に一定の支障があり,昇給査定にも影響が認められた。

認定結果:14%・10年間。
判断理由:椎体後壁の損傷や麻痺がなく,圧潰進行・骨癒合にも問題がないことから疼痛を中心に評価した。
減収が全就労期間にわたるとの主張は採用しなかった。

事件番号:平成25年(ワ)第12821号。
出典:判例秘書(判例番号L06930154),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益イ。

(28) 名古屋地裁平成26年4月22日判決

事案:脊柱変形11級。
元夫・子の世話をする家事従事者。
線維筋痛症等による1級相当の主張は採用されなかった。

認定結果:20%・16年間。
既払金控除後の請求は棄却。
判断理由:脊柱変形に基づく家事労働の制限を認め,固定時56歳の平均余命の半分を期間とした。
請求棄却は逸失利益を否定したことを意味しない。

事件番号:平成21年(ワ)第3634号。
出典:判例秘書(判例番号L06951407),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額(8)及び結論。

(29) 大阪地裁平成26年5月21日判決

事案:第12胸椎・第1腰椎圧迫骨折等。
脊柱変形11級のほか,鎖骨等の変形・神経症状・難聴を伴い,併合10級とされた。
固定時43歳。

認定結果:27%・24年間。
判断理由:圧迫骨折から高度な運動障害が生じたとの主張は認めず,確認された複数の障害全体を評価した。

事件番号:平成23年(ワ)第13061号。
出典:判例秘書(判例番号L06951419),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害の認定及び損害額(8)。

(30) 横浜地裁平成26年10月20日判決

事案:脊柱変形と腰痛。
家事従事者につき,症状固定時63歳の障害を評価した。

認定結果:20%・12年間。
判断理由:変形の影響が軽微にとどまる証拠はなく,年齢も考慮すると影響が大きいと判断した。
器質的損傷で症状軽減も見込み難いとして,平均余命の約半分まで認めた。

事件番号:平成25年(ワ)第2535号,平成25年(ワ)第4214号。
出典:判例秘書(判例番号L06951431),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額(6)ア・イ。

(31) 東京地裁平成26年12月15日判決

事案:脊柱変形と腰痛。
家事従事者の脊柱変形に伴う疼痛を評価。
固定時56歳。

認定結果:14%・11年間。
判断理由:家事労働への影響を主に疼痛として評価した。
逸失利益は認定されたが,過失相殺と既払金控除後には損害が填補済みとなり,請求自体は棄却された。

事件番号:平成25年(ワ)第27276号。
出典:判例秘書(判例番号L06930834),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益及び結論。

(32) 横浜地裁平成27年1月22日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折と左膝痛。
脊柱変形11級と膝痛14級の併合11級。
事故後に子会社へ転籍。
固定時50歳。

認定結果:20%・17年間(67歳まで)。
判断理由:変形が明らかに軽度である証拠はなく,支持性・運動性と就労への影響が小さいともいえないとした。
転籍前3年間の平均収入を基礎に算定した。

事件番号:平成25年(ワ)第4065号。
出典:判例秘書(判例番号L07051497),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益ア~ウ。

(33) 神戸地裁平成27年1月29日判決

事案:脊柱変形と背部痛等。
同乗の家事従事者に11級7号が認められ,骨癒合は完成していた。
固定時55歳。

認定結果:14%・12年間(67歳まで)。
判断理由:変形に関連する神経症状を中心に評価し,その持続性を認めた。
同判決の別の原告の14%・8年間とは異なる。
本文には脊柱と鎖骨の表記の混在があるため,個別医学的説明の一般化には注意を要する。

事件番号:平成25年(ワ)第427号。
出典:判例秘書(判例番号L07051427),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の原告X2の損害額(6)。

(34) 大阪地裁平成27年3月3日判決

事案:腰椎圧迫骨折。
夫の介護と家事に従事する高齢者がバスから転落して負傷した。

認定結果:14%・5年間。
別途5%の素因減額。
判断理由:軽微な変形と良好な骨癒合を認め,就労への影響は腰背部痛とそれに伴う運動制限として評価した。
喪失率と素因減額を混同しないことが必要である。

事件番号:平成25年(ワ)第10139号。
出典:判例秘書(判例番号L07050824),交通事故民事裁判例集48巻2号279頁。
確認箇所:判決の後遺障害の評価(8)及び損害算定。

(35) 横浜地裁平成27年3月12日判決

事案:第11胸椎圧迫骨折の主張。
低髄液圧症候群等とともに胸椎骨折・脊柱変形が主張された。

認定結果:14級の神経症状として5%・5年間。
判断理由:事故による胸椎圧迫骨折・脊柱変形を認めなかった。
認められた14級障害について逸失利益を算定したが,既払金控除後の請求は棄却した。

事件番号:平成25年(ワ)第1215号。
出典:判例秘書(判例番号L07051510),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の受傷・後遺障害及び損害額カ。

(36) 横浜地裁平成27年4月13日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
症状固定時58歳の薬剤師で,家事にも従事していた事案である。

認定結果:20%・15年間とした。
判断理由:疼痛による就労・家事への支障を認め,変形が極めて軽微であることや将来の改善を認めるに足りる事情がないとして評価した。

事件番号:平成26年(ワ)第959号。
出典:判例秘書(判例番号L07051581),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(37) 福井地裁平成27年4月13日判決

事案:第3腰椎圧迫骨折。
長時間の座位や自動車運転に支障があり,腰椎の局所後弯等が残っていた。

認定結果:14%・22年間(67歳まで)。
判断理由:明確な可動域制限を認めず,疼痛を中心とする支障として率を評価した。
他方,骨性変形が残存することを踏まえて長期間の喪失を認めた。

事件番号:平成25年(ワ)第51号・第310号。
出典:判例秘書(判例番号L07050172),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:裁判所公開判決PDF28頁~30頁。
裁判所公開判決も参照。

(38) 名古屋地裁平成27年7月22日判決

事案:第12胸椎・第4腰椎圧迫骨折,運動障害等。
運転手に胸腰椎部運動障害と右膝痛が残り,第2腰椎の既存変形もあった。
固定時54歳。

認定結果:59%・14年間。
判断理由:複数の障害・既存障害を含めた評価であり,11級の単純な変形障害の率ではない。
固定後のバス運転勤務実績,可動域制限の程度と既存変形の影響を考慮した。

事件番号:平成24年(ワ)第3184号,平成25年(ワ)第2649号。
出典:判例秘書(判例番号L07051274),交通事故民事裁判例集48巻4号875頁。
確認箇所:判決の後遺障害逸失利益イ~エ。
本文及び計算式とも59%。

(39) 横浜地裁平成27年8月31日判決

事案:第4腰椎圧迫骨折,下腿の醜状及び手のしびれ(併合10級)。
症状固定時23歳で,接客業に従事し,その後婚姻して家事にも従事した事案である。

認定結果:当初10年間20%,次の10年間10%,さらに10年間5%とした。
判断理由:脊柱の変形は軽度で支持・運動機能への影響が乏しく,疼痛の推移と下腿の醜状が職業選択に与える影響等を併せて評価した。
脊柱変形単独の認定ではない。

事件番号:平成26年(ワ)第2024号。
出典:判例秘書(判例番号L07051580),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(40) 静岡地裁平成27年9月25日判決

事案:脊柱変形11級。
会社の全株式を保有する者が,事故後の給与減少を理由に逸失利益を請求した。

認定結果:後遺障害逸失利益を否定。
判断理由:給与と配当の推移から,従前の給与は実質的に配当の性質を有すると判断した。
11級の障害は認めており,給与名目の減少がそのまま労働収入の喪失を示すわけではないとした例である。

事件番号:平成23年(ワ)第636号。
出典:判例秘書(判例番号L07051466),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の休業損害・後遺障害逸失利益イ。

(41) 神戸地裁平成27年11月27日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折の主張と頸腰部の神経症状。
症状固定時50歳の事案である。

認定結果:14級の神経症状について5%・5年間とした。
判断理由:継続的な画像検査等から事故による胸椎圧迫骨折を認めなかった。
11級の脊柱変形を認めた上で率を減じた事案とは区別する必要がある。

事件番号:平成25年(ワ)第2603号,平成27年(ワ)第132号。
出典:判例秘書(判例番号L07051571),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・骨折及び後遺障害逸失利益の判断

(42) 東京地裁平成27年12月22日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折。
家事労働に支障を来す腰背部痛が残り,画像上の圧潰進行も認められた。

認定結果:当初10年間14%,次の5年間5%。
判断理由:家事への支障は主に疼痛によるとし,治療経過,変形・症状の状態と将来の改善見込みを総合して段階的に評価した。

事件番号:平成26年(ワ)第31862号。
出典:判例秘書(判例番号L07031339),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判決の損害額オ。

4 平成28年~平成30年の裁判例

(1) 大阪地裁平成28年1月19日判決

事案:第5腰椎骨折と既存の胸椎骨折等。
事故前から脊柱の障害があった事案である。

認定結果:現存障害45%から既存障害20%を控除し,さらに事故寄与度50%を乗じ,8年間の算定をした。
判断理由:既存障害と今回事故による増悪を区別した。
11級の新規骨折について単純に低い喪失率を採用した例ではない。

事件番号:平成26年(ワ)第10178号。
出典:判例秘書(判例番号L07150269),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・既存障害及び逸失利益算式

(2) 横浜地裁平成28年1月21日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折及び脊柱変形の主張。
骨粗鬆症と複数の既存骨折があり,事故前後の画像比較が問題となった事案である。

認定結果:事故による後遺障害を認めず,逸失利益を否定した。
判断理由:事故後の画像が当初は事故前と変わらず,その後に新たな骨折像を示したこと等から,事故との因果関係を認めなかった。
11級認定後の喪失率0%という事案ではない。

事件番号:平成25年(ワ)第2692号。
出典:判例秘書(判例番号L07151688),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・脊柱変形及び逸失利益の判断

(3) 横浜地裁平成28年3月14日判決

事案:胸椎圧迫骨折による脊柱変形と左膝痛(併合10級)。
症状固定時56歳で,船上での業務や将来の船長としての勤務が問題となった事案である。

認定結果:27%・13年間とした。
判断理由:船上での立ち仕事に対する膝痛と背腰部痛の影響,乗船勤務への制約を考慮した。
13年未満に期間を限定せず,他方で35%の主張は採用しなかった。

事件番号:平成26年(ワ)第622号。
出典:判例秘書(判例番号L07151420),自保ジャーナル1975号164頁。
確認箇所:判例秘書本文・後遺症逸失利益の判断

(4) 神戸地裁平成28年3月17日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折,下肢痛及び外貌醜状(併合8級)。
塗装工・電気工として稼働した事案である。

認定結果:14%・15年間とした。
判断理由:重量物運搬等への疼痛の影響と事故後の就労状況を併せて評価した。
既存の腰椎分離症による素因減額は行わず,最終的には既払金等による填補を理由に請求を棄却した。

事件番号:平成26年(ワ)第97号。
出典:判例秘書(判例番号L07151504),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益及び素因減額の判断

(5) 大阪地裁平成28年3月24日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折,股関節痛及び外貌醜状(併合8級)。
症状固定時32歳の建設作業従事者の事案である。

認定結果:当初10年間14%,その後67歳までの25年間10%とした。
判断理由:実際の作業への支障や比較的軽い脊柱の症状等を検討し,外貌醜状については当該職務での労働能力への影響を認めなかった。

事件番号:平成26年(ワ)第8054号。
出典:判例秘書(判例番号L07150502),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(6) 神戸地裁平成28年6月22日判決

事案:腰部と下肢の後遺障害(併合11級)。
高齢の家事従事者の事案である。

認定結果:20%・7年間とし,別途10%の素因減額をした。
判断理由:平均余命の約2分の1を期間とし,年齢に応じた家事労働の基礎収入を採用した。
認知機能や骨粗鬆症等の既往事情も別途考慮した。

事件番号:平成25年(ワ)第1947号。
出典:判例秘書(判例番号L07151267),交通事故民事裁判例集49巻3号755頁。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益及び素因減額の判断

(7) 金沢地裁平成28年7月20日判決

事案:圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
症状固定時31歳で,大学で学んでおり,精神疾患の既往と将来の就労可能性が争われた事案である。

認定結果:当初10年間14%,次の10年間5%とした。
判断理由:機能障害のないことと慢性痛を併せて考慮し,若年者の症状への順応を見込んだ。
就労可能性を否定せず,既往症等を基礎収入の評価で考慮した。

事件番号:平成27年(ワ)第18号。
出典:判例秘書(判例番号L07151505),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(8) 横浜地裁平成28年10月13日判決

事案:事故による脊柱変形の主張と頸腰部等の神経症状。
脳脊髄液減少症や事故前の症状との関係も争われた事案である。

認定結果:事故による脊柱変形を認めず,併合14級の神経症状について5%・5年間とした。
判断理由:画像等から既往症とは別の変形障害を認めるに足りないとした。
11級の変形障害を認めた上での減額例とは異なる。

事件番号:平成26年(ワ)第2153号。
出典:判例秘書(判例番号L07151561),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(9) 東京地裁平成28年11月1日判決

事案:第2腰椎変形,腓骨変形,嗅覚障害等。
症状固定時47歳で,事故後も就労し,収入が増加していた事案である。

認定結果:20%・20年間とした。
判断理由:本人の努力や職場の配慮によって収入を維持していたことを考慮した。
後に発症した別疾患の影響と,事故による障害を区別して判断した。

事件番号:平成26年(ワ)第33080号。
出典:判例秘書(判例番号L07132586),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(10) 東京地裁平成28年12月14日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折等の主張と頸腰部の神経症状。
事故から約1年後の別医療機関での診断等が提出された事案である。

認定結果:事故による圧迫骨折等を認めず,併合14級の神経症状について5%・5年間とした。
判断理由:継続的に受診していた医療機関での診断や画像所見等と照合して骨折の主張を退けた。
11級を認定した上で5%とした例ではない。

事件番号:平成27年(ワ)第16324号。
出典:判例秘書(判例番号L07133852),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・骨折及び後遺障害逸失利益の判断

(11) 横浜地裁平成29年1月25日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
症状固定時48歳で,事務職への復帰等が問題となった事案である。

認定結果:20%・19年間とした。
判断理由:椎体変形と,日常生活において腰への過度の負担を避ける必要等を考慮し,運動制限がなければ喪失はないとする主張を退けた。

事件番号:平成26年(ワ)第5266号。
出典:判例秘書(判例番号L07251416),交通事故民事裁判例集50巻1号53頁。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(12) 大阪地裁平成29年1月31日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
家事従事者が自転車同士の事故で受傷した事案である。

認定結果:14%・10年間とした。
判断理由:腰部痛等による家事への支障と症状固定時の年齢を考慮し,女性60~64歳の平均賃金を基礎収入とした。

事件番号:平成26年(ワ)第12037号。
出典:判例秘書(判例番号L07250033),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(13) 神戸地裁平成29年2月8日判決

事案:第11胸椎圧迫骨折。
症状固定時63歳のマッサージ師で,疼痛により長時間の施術が困難となり,事故前年から約16.2%の収入減少があった。

認定結果:14%・10年間。
判断理由:疼痛を中心とする就労支障の性質や施術時間の制約,現実の収入減少を評価した。
収入減少がないという理由で逸失利益を否定した例ではない。

事件番号:平成27年(ワ)第1235号。
出典:判例秘書(判例番号L07250076),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:裁判所公開判決PDF32頁~33頁。
裁判所公開判決も参照。

(14) 東京地裁平成29年3月13日判決

事案:第2胸椎圧迫骨折による脊柱変形と顔面不全麻痺(併合10級)。
症状固定時38歳で,高次脳機能障害等の有無も争われた事案である。

認定結果:27%・29年間とした。
判断理由:主張された重度の障害は認めず,併合10級を前提に算定した。
既払金等で損害が填補されていたため,最終的な請求は棄却された。

事件番号:平成27年(ワ)第16217号。
出典:判例秘書(判例番号L07231258),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(15) 福島地裁郡山支部平成29年3月16日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折と上肢の障害(併合10級)。
同乗者の症状固定時年齢が74歳であった事案である。

認定結果:27%・8年間とした。
判断理由:腰部について8級相当とするには証拠が足りず11級とし,上肢障害と併合した。
期間は平均余命の約2分の1によった。

事件番号:平成27年(ワ)第318号,平成28年(ワ)第105号。
出典:判例秘書(判例番号L07251226),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・同乗者の後遺障害及び逸失利益の判断

(16) 大阪地裁平成29年3月29日判決

事案:第4腰椎破裂骨折による脊柱変形(11級)。
運送業務に自ら従事する会社役員の事案である。

認定結果:14%・19年間とした。
判断理由:良好な骨癒合,運送業務で悪化する腰痛,復職状況及び役員報酬の増加を総合した。
報酬全額を労務対価とせず,他の事業収入と区別した。

事件番号:平成27年(ワ)第12947号。
出典:判例秘書(判例番号L07250406),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(17) 大阪地裁堺支部平成29年9月28日判決

事案:第3腰椎圧迫骨折の主張と腰部・足関節の神経症状。
自転車と自動車の事故において画像所見が争われた事案である。

認定結果:圧迫骨折を認めず,併合14級について5%・5年間とした。
判断理由:X線及びMRIから骨折を認めなかった。
損害算定後,過失相殺と既払金による填補を理由に請求を棄却した。

事件番号:平成27年(ワ)第144号。
出典:判例秘書(判例番号L07251378),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(18) 福岡地裁平成29年10月17日判決

事案:腰椎骨折による脊柱変形と下腿のしびれ等(併合11級)。
訪問ヘルパーとして就労し,家事にも従事していた事案である。

認定結果:14%・23年間とした。
判断理由:圧潰が比較的軽度で運動障害がなく就労制限もされていないことから率を調整した。
他方,症状の継続と年齢等から長期の影響を認めた。

事件番号:平成27年(ワ)第1909号。
出典:判例秘書(判例番号L07251417),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・逸失利益の判断

(19) 東京地裁平成30年1月31日判決

事案:第3・第4腰椎圧迫骨折による胸腰椎運動障害(8級2号)。
症状固定時57歳の会社役員が共済金を請求した事案である。

認定結果:45%・13年間とした。
判断理由:可動域制限と実務への支障,減収を認めた。
期間は人身傷害の約款上の基準による。
11級の変形障害単独についての認定ではない。

事件番号:平成27年(ワ)第12596号。
出典:判例秘書(判例番号L07330232),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・運転者の後遺障害及び逸失利益の判断

(20) 東京地裁平成30年2月21日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折後の脊柱障害及び腰痛(11級)。
保険金を支払った保険会社による求償の事案である。

認定結果:20%・10年間とした。
判断理由:保険約款上の平均給与を基礎に算定した。
判決の主な争点は運行供用者責任であり,喪失率・期間についての理由付けは簡潔である。

事件番号:平成29年(ワ)第10766号。
出典:判例秘書(判例番号L07330948),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・求償対象損害の逸失利益算定

(21) 東京地裁平成30年4月10日判決

事案:第2・第3腰椎圧迫骨折による後弯と非器質性精神障害(併合8級)。
症状固定時44歳の外国語教師の事案である。

認定結果:35%・23年間とした。
判断理由:立位・前屈等の支障と,良好な骨癒合や運動状況等を併せて評価した。
11級を上回る変形と精神症状を含む認定である。

事件番号:平成27年(ワ)第19077号,平成28年(ワ)第9759号。
出典:判例秘書(判例番号L07331192),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(22) 東京地裁平成30年4月17日判決

事案:腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
症状固定時16歳で,義足を使用し,パラサイクル競技や大学進学後の活動をしていた事案である。

認定結果:症状固定後10年間は14%,その後67歳まで5%とし,金額算定は大学卒業予定の22歳以降について行った。
判断理由:歩行時の支障と軽度の変形,競技成績,若年であること等を考慮した。
14%の率の評価期間と実際の収入を見込む期間は異なる。

事件番号:平成29年(ワ)第12194号。
出典:判例秘書(判例番号L07331196),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断及び算式

5 平成31年・令和元年~令和3年の裁判例

(1) 大阪地裁平成31年1月25日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折及び脊柱変形の主張。
骨折が新鮮か陳旧性かについて画像の評価が争われた事案である。

認定結果:事故による骨折・後遺障害を認めず,逸失利益を否定した。
判断理由:事故後のX線診断だけでなく,その診断の留保とMRI等を検討した。
11級認定後の喪失率0%という例ではない。

事件番号:平成29年(ワ)第12199号。
出典:判例秘書(判例番号L07450037),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(2) 札幌地裁苫小牧支部平成31年1月28日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折(先行する単独事故と後続事故)。
大型車の単独事故後に別車両が衝突し,どちらの事故で骨折したかが争われた事案である。

認定結果:後続事故との因果関係を認めず,逸失利益を含む請求を棄却した。
判断理由:先行事故の態様や衝撃等から,先行事故による骨折の相当程度の可能性を認めた。
率・期間について原告の主張を採用した判決ではない。

事件番号:平成29年(ワ)第8号。
出典:判例秘書(判例番号L07451823),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・骨折の因果関係及び損害の判断

(3) 東京地裁平成31年3月12日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
定年後に電気施設の調査員となり,脚立を用いた点検や車の乗降等に従事した事案である。

認定結果:9%・13年間とした。
判断理由:減収がなくフルマラソン等も可能であったが,腰部の鈍痛・可動域制限により頻繁な前屈を要する職務に具体的な支障があることを認めた。

事件番号:平成27年(ワ)第26969号。
出典:判例秘書(判例番号L07432505),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(4) 名古屋地裁平成31年3月27日判決

事案:既存の腰椎圧迫骨折と今回事故による腰椎横突起骨折等。
前件事故による障害との区別が問題となった事案である。

認定結果:今回事故による後遺障害の残存を認めず,逸失利益を否定した。
判断理由:前件事故の圧迫骨折の経過を踏まえた判断である。
後遺障害の等級を認定した上で率だけを0%とした例ではない。

事件番号:平成29年(ワ)第75号。
出典:判例秘書(判例番号L07451465),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(5) 東京地裁令和元年8月27日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
症状固定時79歳で,実収入を基礎に請求した事案である。

認定結果:20%・4年間とした。
判断理由:年齢及び障害の内容・程度を考慮した。
判決の率・期間の理由付けは簡潔である。

事件番号:平成30年(ワ)第38961号。
出典:判例秘書(判例番号L07432095),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(6) 神戸地裁令和元年9月12日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
症状固定時30歳で,医療法人で勤務し,その後経営を引き継いだ事案である。

認定結果:10%・37年間とした。
判断理由:勤務日数の減少や訪問診察の休止を認め,増収は増員・診療体制の改善等によるものと評価した。
運動制限の因果関係を否定しつつ,加齢後の影響も考慮した。

事件番号:平成30年(ワ)第926号。
出典:判例秘書(判例番号L07451765),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(7) 大阪地裁令和元年10月7日判決

事案:腰椎圧迫骨折等の主張と頸部の後遺障害。
貨物自動車同士の事故で複数部位の受傷が争われた事案である。

認定結果:腰椎骨折との因果関係を否定し,頸部の神経症状について14%・10年間とした。
判断理由:認定された11級の変形は頸椎の手術に関するものである。
胸腰椎圧迫骨折を認めて14%とした事案ではない。

事件番号:平成28年(ワ)第12225号。
出典:判例秘書(判例番号L07451155),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・受傷及び逸失利益の判断

(8) 大阪地裁令和元年10月16日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折と上肢関節等の障害(併合7級)。
胸腰椎の既往所見を有する被害者の事案である。

認定結果:56%・20年間とし,別途30%の素因減額をした。
判断理由:上肢等も含む障害全体を評価し,胸腰椎の既往が症状の重症化等に寄与したと判断した。
11級の脊柱変形単独の認定ではない。

事件番号:平成30年(ワ)第2931号。
出典:判例秘書(判例番号L07451157),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・逸失利益及び素因減額の判断

(9) 東京地裁令和元年12月4日判決

事案:胸椎圧迫骨折による脊柱変形と頭痛・頸部痛等。
症状固定時44歳の事案である。

認定結果:14%・23年間とした。
判断理由:変形は軽度であるが支持機能への影響を否定できず,他の神経症状も考慮した。
器質的損傷と年齢・業務内容から,期間を10年に限定する主張を退けた。

事件番号:平成31年(ワ)第4385号。
出典:判例秘書(判例番号L07430702),自保ジャーナル2069号57頁。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(10) 東京地裁令和元年12月25日判決

事案:腰椎骨折による脊柱変形(複数の被害者)。
清掃業従事者と,獣医師資格を有し衛生指導等に従事する県職員の被害が問題となった事案である。

認定結果:清掃業従事者は20%・22年間,県職員は20%・11年間とした。
判断理由:前者は第5腰椎の変形の大きさと腰への負担,後者は立ち仕事への影響と年齢を考慮した。
後者の基礎収入は65歳を境に変更した。

事件番号:平成29年(ワ)第42628号,平成30年(ワ)第15701号,平成30年(ワ)第17044号。
出典:判例秘書(判例番号L07430766),自保ジャーナル2066号130頁。
確認箇所:判例秘書本文・各被害者の後遺障害逸失利益の判断

(11) 岡山地裁令和2年2月25日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級相当)。
病院内の乾燥機等の転倒により受傷した高齢者の事案である。

認定結果:20%・2年間とした。
判断理由:腰椎の前後の高さの差による変形を認め,年齢を考慮して期間を定めた。
基礎収入は採用した平均賃金の7割とした。

事件番号:平成30年(ワ)第800号。
出典:判例秘書(判例番号L07550340),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・逸失利益の判断及び算式

(12) 大阪地裁令和2年3月10日判決

事案:第1・第2腰椎圧迫骨折による中程度の変形(8級相当)。
ソフトウェア開発等に従事し,座位の継続や残業に支障が生じた事案である。

認定結果:25%・28年間とした。
判断理由:障害の程度,業務への影響及び現実の減収を総合した。
11級の軽い変形に関する認定ではない。

事件番号:平成30年(ワ)第11642号。
出典:判例秘書(判例番号L07550247),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(13) 京都地裁令和2年6月17日判決

事案:既存の第1腰椎圧迫骨折が事故後に増悪した事案(8級相当)。
人身傷害保険の請求で,事故前の腰痛・変形と転職後の減収が問題となった事案である。

認定結果:事故直前の状態との比較で5%・17年間とした。
判断理由:胸腰部痛の増強による追加の影響を評価した。
既存障害や約款上の限定支払条項を含む算定であり,新たな11級障害単独を5%とした例ではない。

事件番号:平成30年(ワ)第717号。
出典:判例秘書(判例番号L07551433),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・労働能力喪失率及び期間の判断

(14) 横浜地裁令和3年2月24日判決

事案:第1腰椎骨折,右膝機能障害及び既存の腰椎圧迫骨折。
事故時82歳で,夫婦で老人ホームに入居し,家事労働の実態が争われた事案である。

認定結果:後遺障害は認めたが,逸失利益の発生を否定した。
判断理由:家事の実態を自らの生活のための日常的活動と評価し,就労の蓋然性も認めなかった。
障害の医学的な軽重だけで逸失利益を否定したものではない。

事件番号:平成30年(ワ)第1919号。
出典:判例秘書(判例番号L07651460),自保ジャーナル2093号59頁。
確認箇所:判例秘書本文・休業損害及び逸失利益の判断

(15) 東京地裁令和3年4月21日判決

事案:第2腰椎圧迫骨折による脊柱変形と腰痛(11級)。
症状固定時74歳で,シルバー人材センターの受託業務に従事した事案である。

認定結果:14%・6年間とした。
判断理由:業務への疼痛の影響を認め,圧潰の進行がないことや既存の脊柱管狭窄症等を考慮した。
期間は平均余命の約2分の1によった。

事件番号:令和元年(ワ)第12757号,令和元年(ワ)第32252号,令和2年(ワ)第17314号。
出典:判例秘書(判例番号L07631521),交通事故民事裁判例集54巻2号551頁。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(16) 東京地裁令和3年7月14日判決

事案:腰椎破裂・圧迫骨折後の多椎間固定と運動制限等。
症状固定時20歳の大学生で,その後医療ソーシャルワーカーとなった事案である。

認定結果:22歳から67歳まで20%・45年間とした。
判断理由:多椎間固定,残存する可動域制限,長時間の立位・座位での疼痛等を考慮し,率の逓減や30年間への限定を退けた。
慰謝料の等級と逸失利益の率を区別して判断した。

事件番号:令和2年(ワ)第1814号。
出典:判例秘書(判例番号L07631951),自保ジャーナル2107号58頁。
確認箇所:判例秘書本文・逸失利益の判断

(17) 神戸地裁令和3年9月30日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折等による脊柱変形と足指機能障害等。
症状固定時33歳で,しゃがみ込みや高所作業等を要する職務に従事した事案である。

認定結果:労働能力への影響を8級相当と評価し,45%・34年間とした。
判断理由:足指の機能障害,下肢の神経症状及び脊柱変形を併せて評価した。
症状への順応により数年後に20%へ減じるとの主張は退けた。

事件番号:令和元年(ワ)第1672号。
出典:判例秘書(判例番号L07651687),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

6 令和4年以降の裁判例

(1) 横浜地裁令和4年1月27日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折等の主張と神経症状。
原付自転車と自転車の事故で,双方が損害賠償を請求した事案である。

認定結果:胸椎圧迫骨折の因果関係を否定し,その主張者の神経症状について5%・5年間とした。
判断理由:事故後の症状申告と診断・画像所見等を照合した。
11級の変形障害を認めて5%とした例ではない。

事件番号:令和元年(ワ)第1833号,令和2年(ワ)第4766号。
出典:判例秘書(判例番号L07750901),交通事故民事裁判例集55巻1号78頁。
確認箇所:判例秘書本文・原告の受傷及び後遺障害逸失利益の判断

(2) 札幌地裁令和4年2月28日判決

事案:第11胸椎圧迫骨折による脊柱変形と右足関節痛(併合10級)。
症状固定時55歳の運行管理主任者で,現場対応等を同僚に代替してもらっていた事案である。

認定結果:20%・12年間とした。
判断理由:減収がないのは本人の努力や職場の配慮によると認めた。
他方,変形の程度や事務主体の業務等から,実際の影響を併合11級相当と評価した。

事件番号:令和3年(ワ)第1004号。
出典:判例秘書(判例番号L07751461),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・逸失利益の判断

(3) 神戸地裁伊丹支部令和4年3月17日判決

事案:第11胸椎骨折による変形,頸部痛及び前腕の症状(併合11級)。
事故後に就労を続け,収入も増えていた事案である。

認定結果:11級の後遺障害と慰謝料を認めたが,逸失利益は否定した。
判断理由:診療録上の症状の軽快,復職状況等から労働能力の低下を認めず,特別の努力・職場の配慮による収入維持という主張も採用しなかった。

事件番号:令和元年(ワ)第224号。
出典:判例秘書(判例番号L07751478),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(4) 仙台地裁令和4年5月20日判決

事案:第1腰椎破裂骨折後の脊柱変形・運動障害(8級相当)。
症状固定時50歳の潜水士で,潜水・重量物作業から陸上業務等へ移った事案である。

認定結果:40%・17年間とした。
判断理由:重い骨折,可動域制限,潜水業務の著しい制約及び職場の配慮等を考慮した。
60歳以降は基礎収入を8割に変更した。
同時に判断された別の被害者の15%とは区別する必要がある。

事件番号:令和元年(ワ)第1339号。
出典:判例秘書(判例番号L07751529),自保ジャーナル2131号63頁。
確認箇所:判例秘書本文・原告X2の後遺障害逸失利益の判断及び算式

(5) 名古屋地裁令和4年7月20日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
塗装業の一人親方が脚立から転落して受傷した事案である。

認定結果:後遺障害を認めたが,逸失利益を否定した。
判断理由:機能障害を伴わず疼痛の影響も限定的で,復職後の事業収入・所得に減少がなく,追加経費等も認められないことを考慮した。

事件番号:令和3年(ワ)第2917号。
出典:判例秘書(判例番号L07751567),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(6) 京都地裁令和4年9月15日判決

事案:第7・第12胸椎圧迫骨折による中程度の変形(8級相当)。
バス運転業務に復帰したが,時間外手当等が減少した事案である。

認定結果:20%とした。
期間の具体的数値は確認した判決本文部分には示されていない。
判断理由:運動・神経障害の有無,実収入,長時間運転への支障等を総合した。
損害額の詳細は別紙損害一覧表に委ねられており,本文の率の判断を紹介する。

事件番号:令和3年(ワ)第328号。
出典:判例秘書(判例番号L07751537),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・争点2及び争点3(別紙の期間数値は未確認)

(7) 神戸地裁令和4年11月1日判決

事案:第1腰椎椎体骨折後の脊柱変形(11級)。
症状固定時19歳で,家事労働等の実態と就労可能性が問題となった事案である。

認定結果:当初10年間14%,その後67歳までの38年間10%とした。
判断理由:症状固定時の軽い疼痛等と若年であることから段階的に率を下げた。
他方,器質的な変形が残るため期間をさらに短縮する主張は退けた。

事件番号:令和2年(ワ)第1159号。
出典:判例秘書(判例番号L07751687),交通事故民事裁判例集55巻6号1457頁。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害及び逸失利益の判断

(8) 名古屋地裁令和5年6月5日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折による脊柱変形(11級)。
重量物の運搬,中腰での取付け・解体等に従事し,事故後に収入を回復した事案である。

認定結果:当初15年間20%,その後67歳までの10年間14%とした。
判断理由:収入維持は休日勤務等の努力と職場の配慮によると認め,配置転換の難しさも考慮した。
物理的制約を伴わない疼痛の影響について将来の順応を見込んだ。

事件番号:令和3年(ワ)第4322号。
出典:判例秘書(判例番号L07851793),交通事故民事裁判例集56巻3号630頁。
確認箇所:判例秘書本文・労働能力喪失率及び期間の判断

(9) 神戸地裁令和5年10月19日判決

事案:第1腰椎圧迫骨折と第11・第12胸椎圧迫骨折(2名の被害者)。
一方は兼業の家事従事者,他方は製造現場で力仕事・不安定な場所での作業等に従事した事案である。

認定結果:前者は14%・12年間,後者は20%・21年間とした。
判断理由:職務及び障害の内容に応じて率を分け,いずれも67歳までとした。
器質的損傷,年齢・生活状況等から,数年後に5%へ減じる主張を退けた。

事件番号:令和3年(ワ)第1590号,令和3年(ワ)第1871号。
出典:判例秘書(判例番号L07851606),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・各原告の後遺障害逸失利益の判断

(10) 仙台地裁令和5年10月31日判決

事案:第12胸椎圧迫骨折による脊柱変形と右手関節障害(併合10級)。
症状固定時56歳の公務員で,配置転換と定年後の再就職への影響が問題となった事案である。

認定結果:60歳までの4年間20%,その後9年間27%とした。
判断理由:実際の業務上の支障,昇進・再就職の制約等を考慮した。
定年を境に基礎収入も変更しており,将来の身体症状の悪化だけを理由に率を上げたものではない。

事件番号:令和2年(ワ)第1473号。
出典:判例秘書(判例番号L07851660),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・逸失利益の判断

(11) 大阪地裁令和6年8月23日判決

事案:第4腰椎圧迫骨折による脊柱変形及び腰痛(11級)。
症状固定時61歳の軌道整備士で,元の職場への復帰がかなわず転職した事案である。

認定結果:20%・10年間(71歳まで)とした。
判断理由:疼痛自体を重いとは評価しなかったが,従前業務への支障,復職希望,転職後の減収と年齢を考慮した。
65歳以降は基礎収入を7割に変更した。

事件番号:令和4年(ワ)第11223号。
出典:判例秘書(判例番号L07951082),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(12) 神戸地裁令和7年2月20日判決

事案:第11・第12胸椎圧迫骨折後の脊柱変形(11級)。
症状固定時36歳で,大型機械等の操作に従事し,元の職場へ復帰した事案である。

認定結果:14%・31年間とした。
判断理由:治療後の機能回復,運動障害の記載の有無,収入・就労状況及び同僚の援助等を総合した。
変形に由来する影響については67歳まで認めた。

事件番号:令和4年(ワ)第2014号。
出典:判例秘書(判例番号L08051081),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・後遺障害逸失利益の判断

(13) 東京地裁令和7年11月26日判決

事案:第9・第12胸椎骨折等と脊柱変形の主張。
通院終了から約6年後に後遺障害診断書が作成された被害者の事案である。

認定結果:骨折の受傷は認めたが,変形障害の残存を認めず逸失利益を否定した。
判断理由:事故当初の画像で骨折を確認できることと,その後の後遺障害の残存は別問題であるとした。
同時に判断された別人の外貌醜状とは区別する必要がある。

事件番号:令和4年(ワ)第30729号,令和5年(ワ)第10259号,令和5年(ワ)第23437号。
出典:判例秘書(判例番号L08033270),LLI/DB 判例秘書登載。
確認箇所:判例秘書本文・被告Y1の逸失利益の判断

7 裁判例を比較するときの注意

(1) 喪失率・期間と判断の前提

各判決の率と期間を読むときは,①事故による骨折・後遺障害の残存を認めたか,②変形障害単独か他の障害との併合か,③既存障害の控除や素因減額があるか,④実際の職務と支障は何か,⑤収入維持の理由と将来の見通しは何かを確認する。
等級認定を受けたことと,裁判所が同じ等級・喪失率を認めたことは区別する必要がある。
また,逸失利益を認定していても,過失相殺や既払金によって追加の請求が棄却されることがある。

(2) 検索結果と認定割合の限界

今回の検索結果は,上記の検索語によって得られた判決群であり,関連裁判例全体の網羅を保証するものではない。
表記違いによる検索漏れやデータベースの収録範囲があり,率・期間について争いのない事案も含む。
掲載例の件数分布を,交通事故被害者全体の認定確率や,個別事件の相場に置き換えることはできない。

平成26年から令和2年3月までの交通事故裁判例64件を分析した研究では,脊柱変形11級の33件について20%以上と20%未満の認定の双方が報告されている。
これは二つの判例データベースから抽出し,逸失利益が争われていない事案を除いた研究であり,今回の検索結果とは対象・選定方法が異なる(第8の4①)。

第5 医学文献から分かることと分からないこと

以下では,令和8年9月14日の医学文献追加調査に基づき,外傷性胸腰椎骨折を中心とする知見とその限界を整理する。
医学文献が示すのは診断,機能制限及び予後等の一般的知見であり,日本の後遺障害等級に対応する喪失率や個別事件の喪失期間を直接算出するものではない。

1 骨折型・安定性・神経障害を区別する

「胸腰椎圧迫骨折」という病名だけでは,重症度及び長期予後を評価できない。
AO Spine胸腰椎分類では,A型は圧迫損傷,B型は前方又は後方の張力帯(脊柱を前後から支える構造)の損傷,C型は転位・回旋損傷である。
A1は単一終板の楔状圧迫で後壁損傷を伴わず,A3は一つの終板と後壁,A4は両終板と後壁を含む破裂骨折であり,同じ「圧迫骨折」と呼ばれても病態は異なる。

個別事件では,①受傷機転,②骨折椎体とAO分類,③椎体後壁・脊柱管内骨片,④後方靱帯複合体(PLC),⑤神経根・脊髄円錐・馬尾を含む神経学的所見,⑥骨粗鬆症,びまん性特発性骨増殖症・強直性脊椎炎,腫瘍又は感染等の骨質・病的骨折要因,⑦多発外傷を区別する必要がある。
神経障害のないA1骨折の研究結果を,A3・A4,B・C型又は神経障害例へそのまま当てはめることはできない。

2 エックス線・CT・MRIの役割と限界

単純エックス線は椎体高,局所後弯及び全体配列の把握に用い,CTは骨折線,終板,後壁,脊柱管内への骨片突出,椎弓根・椎弓・関節突起及びPLC損傷を示唆する間接所見の評価に優れる。
MRIは骨髄浮腫,椎間板,PLC,脊髄・神経根及び軟部組織を評価する。
受傷時期不明の圧迫変形では,T1低信号かつT2・STIR高信号の骨髄浮腫は急性・亜急性を支持し,浮腫がなく脂肪髄信号を示す所見は陳旧性を支持するが,単独所見で受傷日や症状原因を確定できない(急性脊椎外傷におけるMRIのレビュー)。

PLC画像診断の系統的レビューでは,CTの診断精度は研究により68~90%で,複数のCT所見を組み合わせて判定する方法が検討されている。
他方,MRIも高信号だけを損傷とすると過大診断が生じ得て,棘上靱帯や黄色靱帯の低信号帯の断裂の方が特異的とされる。
読影者間一致にも幅があるため,CT又はMRIの一所見だけで安定性,疼痛原因又は予後を断定してはならない。
これらの精度は研究対象と判定基準に左右され,手術所見を基準とする研究は重症例へ偏りやすいため,個別患者に同じ確率を当てはめることはできない。

また,無症候者3110人の画像所見を調べた系統的レビューでは,椎間板変性は20歳で37%,80歳で96%,椎間板膨隆は20歳で30%,80歳で84%に認められた。
既往変性が画像にあることだけで事故後症状を既往症へ帰属させることも,事故によるものとすることもできず,事故前画像,症状発現時期,部位の整合性及び経過を照合する必要がある。

保存療法と画像評価に関する医学的知見を踏まえると,経時画像を比較するときは椎体高や後弯角の測定法と体位をそろえる必要がある。
立位エックス線と仰臥位CTの差や測定誤差を考慮し,画像上の改善と疼痛・機能の改善を区別する。

3 画像上の変形と痛み・機能は一対一ではない

2024年の系統的レビューは,1616件から採用した6研究について,受傷時のCobb角等の脊柱配列指標と最終的な疼痛,障害,生活の質又は就労との有意な相関を確認できなかった。
ただし,主たる研究課題へ直接答えた研究は1件にとどまり,研究数が少なく異質性も大きい。
したがって,「変形が大きいほど必ず職務制限が大きい」とも,「変形は機能と無関係である」とも断定できない。

他方,臨床・画像上の予後因子を整理した医学的提言は,追跡時の後弯矯正損失と強い背部痛・術後機能障害との関連にも言及している。
受傷時の角度と最終転帰の関係,術後の矯正損失と症状の関係は同じ問いではなく,重度変形,靱帯損傷及び神経障害を伴う個別例での影響を否定することはできない。

神経障害のないA型骨折の5年追跡研究では,年齢・性別で補正した動的挙上能力が正常下限未満であった者は37%,運動負荷能力が正常下限未満であった者は40.9%であった。
他方,質問票の平均値は比較的良好であり,受傷前に就労していた21人のうち,10%が就労を中止し,24%が仕事の種類・強度・時間を変更し,14%が背部症状を理由に転職していた。
一般的な生活の質又は「復職した」という事実だけで,重量物運搬等の個別の作業制限を否定できない。
ただし,参加者は選定された81人中33人(回答率41%)と少なく,個人の能力は別に確認する必要がある。

胸腰椎骨折の後方固定術後には体幹筋の収縮機能低下が残り得るが,超音波で体幹筋を評価した前向き研究では,筋の収縮機能と患者が回答する疼痛・機能尺度との明確な相関は確認されなかった。
筋力,画像及び可動域はいずれも重要な資料であるが,単独で疼痛又は就労能力を決める指標ではない。

前方固定術後の長期調査でも,座位,前屈,挙上,立位,歩行等の活動別の制限が報告されている。
ただし,回答者63人の手術後集団の知見であり,すべての圧迫骨折や特定術式の優越性を説明するものではない。

職業運転者の研究では長時間座位や全身振動と腰痛等との関連が示されるが,胸腰椎骨折後に限定した研究ではない。
運転・振動は個別に確認する症状誘発動作の例であり,骨折後の職務制限の大きさをこの研究から計算することはできない。

4 長期予後と復職研究の読み方

2026年の復職に関するスコーピングレビューは,脊髄損傷を伴わない外傷性胸腰椎骨折31研究を対象とし,追跡期間は3~226か月,復職率は手術群25~100%,非手術群38~100%,治療法を区別しない平均は追跡1年未満の研究で84%,1年以上の研究で76%と推定された。
しかし,骨折型,治療選択,社会保障制度及び復職の定義が大きく異なり,胸腰椎骨折に特有の復職遅延・不能の予測因子を報告した採用研究はなかった。

復職には,受傷前と同一の仕事,同一業種の軽作業,勤務時間短縮又は部分復職を含む研究がある。
したがって,集団の復職率を個人の労働能力喪失率へ置き換えることはできない。
個別事件では,仕事へ戻ったかだけでなく,勤務時間,作業強度,休憩,欠勤,配置転換,同僚の代替及び本人の特別な努力を確認する必要がある。

神経障害のないA型骨折を非手術治療した50例の長期追跡研究では,約4年から約10年まで集団平均は概ね安定し,明らかに悪化した者は6%であった。
他方,A3・A4骨折の2026年研究では,回答者97例,追跡中央値4.5年で,年齢・性別に対応する一般人口の基準値の95%信頼区間下限に達しない割合が,筋骨格系の機能評価尺度の各領域で63~76%,健康関連の生活の質の尺度で47%であった。
これは研究独自の基準を満たさなかった割合であり,骨折患者全体の未治癒率でも,日本の労働能力喪失率でもない。
後者には神経障害例が含まれ,質問票の回答率は37%であり,治療選択の偏りもあるため,両研究の数値差は骨折型,対象,評価尺度等の違いを踏まえて解釈すべきである。

5 手術・装具・リハビリ・薬物療法

神経障害のない破裂骨折を対象とした2012年のメタ解析及び2013年の系統的レビューでは,手術は後弯を矯正する可能性があるものの,長期の疼痛,機能又は復職で一貫した優位性は示されず,合併症,再手術及び費用が増える傾向にあった。
採用研究は少数でバイアスリスクがあり,「手術したから重い後遺障害が残る」又は「画像が整復されたから機能障害がない」という推論はいずれも適切でない。
2023年のA3・A4前向き観察研究でも,保存療法群と手術群はいずれも改善し,疼痛,機能,生活の質又は復職に有意差を認めなかったが,無作為化試験ではない。

装具療法の系統的レビューでは,二つの無作為化比較試験,計119人について,装具による後弯進行又は疼痛の明確な改善は示されなかった。
これは一部の神経障害のない破裂骨折に関する小規模証拠であり,すべての圧迫骨折について装具が不要であることを意味しない。

外傷性胸腰椎骨折の保存療法に関する2018年の系統的レビューは,早期離床・機能的治療の重要性を示す一方,鎮痛薬を直接比較した採用可能研究を見いだせず,同レビューの比較研究に基づく特定薬の推奨はできないとした。
処方歴は症状経過及び治療負荷を示す一資料であるが,薬剤の種類又は服用期間だけで疼痛の強さ,事故との因果関係又は労働能力喪失率を証明しない。

2024年のネットワークメタ解析では,カルシトニン及び非ステロイド性抗炎症薬に急性骨粗鬆症性椎体圧迫骨折の活動時痛を軽減する可能性が示されたが,大部分の結果は,証拠の確実性が低い又は非常に低いと評価されている。
骨粗鬆症性脆弱性骨折の薬物研究を,若年者の高エネルギー外傷性骨折,慢性期又は症状固定後へ直接外挿してはならない。

処方歴を確認するときは,処方された事実と実際の服用,鎮痛効果及び副作用を分ける。
中断は改善だけでなく副作用や通院中断でも起こり得るため,処方中断だけで症状の消失を断定しない。
運転等への影響が問題となる場合も,薬剤名から一律に決めず,診療録等で眠気・めまいの実際の発現と職務への影響を確認する。

6 医学意見書で明らかにすべき事項

医学意見書では,少なくとも,①事故前の症状・画像,②受傷機転と骨折型,③急性期画像及び神経所見,④治療と画像の推移,⑤症状固定時の骨性変形と変化し得る疼痛の区別,⑥職務動作ごとの制限,⑦休息・代償動作・周囲の配慮,⑧予後を支持又は否定する医学的根拠,⑨既往変性・併存損傷等の代替原因,⑩判断できない事項を明示する必要がある。

結論は,「画像上変形があるから20%が続く」「可動域が正常だから支障がない」「復職したから逸失利益がない」「骨性変形が戻らないから疼痛も生涯同じである」という推論を避けるべきである。
画像,症状,客観的機能検査,職務内容及び経過がどの程度整合するかを示し,医学的な機能制限と,裁判上の喪失率・喪失期間の評価を分けて記載することが重要である。

整形外科の意見では診断,機能制限,治療経過及び予後を,放射線科の意見では画像の急性度,骨折形態,靱帯・神経所見及び経時変化を明確にすると,職務資料との対応を検討しやすい。
読影報告書に加えて画像本体(DICOM),撮影日・体位・撮像条件,手術・固定範囲,リハビリで達成した可動域・挙上能力・持久力をそろえ,確認済みの事実,医学的推論及び資料不足で判断できない点を分けて記載する。

第6 被害者側が準備する資料

1 医学資料は変形・症状・予後を対応させる

(1) 画像と診断書

まず,事故直後から症状固定までのエックス線,CT又はMRIの画像と読影結果を時系列でそろえる。
骨折椎体,圧壊の程度,後弯等の配列変化,固定術の有無,神経学的所見及び既往変性を区別し,後遺障害診断書の記載と対応させる。

(2) 症状の経過と予後

診療録,リハビリテーション記録及び処方歴から,痛みが出る姿勢・時間・動作,休息による回復,症状の改善又は悪化を確認する。
将来の改善可能性が争点になる場合は,医師に結論だけを求めるのではなく,骨性変形,疼痛の機序,治療可能性及び職務制限との関係を確認する。

2 仕事の資料は作業単位で整理する

(1) 事故前後の職務比較

職名だけでなく,①重量物の重さと回数,②前屈・中腰・ひねり動作の時間,③連続して立つ又は座る時間,④運転時間と振動,⑤休憩の追加,⑥同僚に代わってもらった作業を事故前後で比較する。
勤務表,業務日報,電子メール,チャット,手帳及び写真等のうち,通常の業務で既に作成されている資料から始める。

(2) 減収がない理由と将来の不利益

給与が維持されている場合は,賃金台帳だけで終わらせず,本人の努力,勤務先の配慮,作業免除,残業減少,昇進・配置・転職への影響を具体化する。
勤務先資料は本人が当然に取得できるとは限らないため,まず必要な期間と事実を絞って説明又は証明を求め,得られなければ本人の手元にある資料と診療記録を対応させる。

3 追加調査は結論を変える争点に絞る

(1) 低負担の初期確認

初期段階では,後遺障害等級認定票,後遺障害診断書,画像・読影結果,症状固定前後の診療録,事故前後の収入資料及び職務内容の記録を照合する。
この段階で,喪失率,喪失期間又は基礎収入のどこが争われているのかを特定する。

(2) 専門家意見へ進む条件と停止基準

主治医への照会又は専門家意見は,画像と症状の因果関係,予後又は職務制限について資料だけでは解けない具体的な争点が残り,回答によって率又は期間が変わり得る場合に検討する。
既存画像と診療録で必要な事実が確認でき,追加意見が同じ説明を繰り返すだけである場合,又は結論を左右しない場合は,高負担の調査を広げない。

第7 示談案を確認する順序

1 保険会社側の主張を分解する

(1) 変形だけで機能障害がないとの主張

変形障害は外形上の認定にすぎず,明らかな運動障害がないという主張に対しては,等級と逸失利益の判断対象を区別した上で,変形に伴う疼痛や姿勢保持の限界が具体的な仕事へ及ぼす影響を示す。
ただし,可動域が正常であることや画像上の改善所見も評価資料となるが,可動域,疼痛,持久力及び職務負荷は異なる指標である。
これらの所見だけで喪失率又は期間を当然に限定せず,不利な所見を含む全資料を総合する。

(2) 減収がない又は症状が軽減するとの主張

減収がないとの主張に対しては,収入が維持された理由と,代替作業・配慮・特別な努力の有無を示す。
将来軽減するとの主張に対しては,固定した骨性変形と変化し得る疼痛を分け,治療経過と医学的根拠に基づいて期間又は逓減の当否を検討する。

2 提示額より採用された前提を確認する

示談案では総額だけでなく,①基礎収入,②喪失率,③喪失期間,④ライプニッツ係数,⑤既払金,⑥過失相殺の各前提を確認する。
第11級7号なのに20%未満であっても直ちに誤りとはいえず,反対に20%を用いていても期間又は基礎収入が不当に限定されていれば逸失利益は低くなる。

身体を害する不法行為による損害賠償請求権には消滅時効があり,事故時期による適用法及び起算点の確認を要する。
資料収集や後遺障害認定に時間を要する場合も,時効の管理は別に行う必要がある。

第8 出典・参考資料

1 法令・告示

e-Gov法令検索「民法」417条の2,709条,722条,724条及び724条の2(令和8年9月13日現在施行中の条文を確認)。
e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」2条及び別表第二第11級7号。
③金融庁・国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)第3。

2 所管行政機関の認定基準・運用資料

①厚生労働省「脊柱及びその他の体幹骨,上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準について」(平成16年6月4日基発第0604003号)第1の1(2)オ。
②厚生労働省「民事損害賠償が行われた際の労災保険給付の支給調整に関する基準について」(昭和56年6月12日発基第60号)別表第2。
③国土交通省「限度額と補償内容」。

3 裁判例

第4の各判決は,判例秘書の判決本文を参照し,裁判所名,裁判年月日,事件番号,判例番号及び掲載誌を各紹介に記載した。
以下の3件については,裁判所ウェブサイトの公開判決も参照できる。

広島地方裁判所平成18年5月29日判決(平成17年(ワ)第150号,裁判所ウェブサイト。PDF9頁~11頁)。
福井地方裁判所平成27年4月13日判決(平成25年(ワ)第51号・第310号,裁判所ウェブサイト。PDF28頁~30頁)。
神戸地方裁判所平成29年2月8日判決(平成27年(ワ)第1235号,裁判所ウェブサイト。PDF32頁~33頁)。

4 その他の文献

①堺正仁「交通外傷における脊椎圧迫骨折の逸失利益算定に関する考察」損害保険研究84巻1号(2022年)167頁~190頁。
胸椎・腰椎骨折の長期機能予後に関する2018年の医学研究(PubMed抄録を参照。追加調査ではPMC全文を確認できず,中核根拠から区別した。)。
胸椎・腰椎骨折後の就労に関する2025年の長期追跡研究(従前記事の参考文献。今回のPMC19文献の対象外。)。

以下は,追加調査で参照したPMC収録の医学文献である。
外傷性骨折を対象とする研究と,骨粗鬆症性骨折又は職業運転者一般を対象とする補助資料とを区別して読む必要がある。

外傷性胸腰椎骨折後の復職に関するscoping review(2026年,PMCID PMC12908126)。

脊柱配列と機能障害の関係に関するsystematic review(2024年,PMC11365384)。

非手術A型骨折の中長期機能予後(2009年,PMC2898974)。

非手術A型骨折の5年機能予後(2006年,PMC3489326)。

外傷性A3・A4骨折の長期機能・QOL(2026年,PMC12982316)。

神経障害のないburst fractureの手術・非手術meta-analysis(2012年,PMC3254755)。

同骨折の手術・非手術Cochrane review(2013年,PMC12091996)。

A3・A4骨折の手術・保存療法前向き観察研究(2023年,PMC10038708)。

外傷性胸腰椎骨折の保存療法systematic review(2018年,PMC6280041)。

装具療法のsystematic review(2014年,PMC4085907)。

PLC損傷のCT・MRI画像診断systematic review(2023年,PMC10240601)。

急性脊椎外傷におけるMRIのレビュー(2016年,PMC4957861)。

無症候者の脊椎変性画像所見systematic review(2015年,PMC4464797)。

胸腰椎骨折転帰に関するWFNS recommendations(2021年,PMC8752690)。

胸腰椎骨折前方固定後の長期患者報告アウトカム(2026年,PMC13117920)。

後方固定後の体幹筋と臨床転帰の前向き研究(2018年,PMC5968479)。

急性有痛性骨粗鬆症性椎体圧迫骨折の保存療法network meta-analysis(2024年,PMC11380106)。

AO胸腰椎分類の解説(2020年,PMC7438146)。

職業運転と筋骨格系障害のsystematic review(2022年,PMC9180502。胸腰椎骨折後に限定した研究ではない)。