第1 この記事の範囲と結論
本記事は,令和8年9月2日現在の公開資料に基づき,司法修習中の妊娠・出産に伴う欠席承認,修習単位,修習終了及び修習給付金への影響を整理するものである。
妊娠・出産に伴う欠席は,労働基準法上の産前産後休業をそのまま適用する問題ではなく,司法修習における正当な理由のある欠席として扱われる。
第2 妊娠・出産と欠席承認
1 産前産後休業との違い
司法修習は労働の提供と本質的に異なると説明されているため,司法修習生を労働者として産前産後休業の日数だけで処理することはできない。
もっとも,司法研修所の公開文書は,国家公務員の特別休暇の例を参照し,出産前後に必要な欠席を承認する運用を示している。
2 公開されている運用基準
平成30年4月25日施行の欠席承認運用基準は,出産予定日の6週間前,多胎妊娠の場合は14週間前からの申出及び出産した場合を掲げている。
実際の承認期間,申請書及び疎明資料は,出産予定日,医師の指示及び修習日程を示して担当者へ確認する必要がある。
第3 修習単位と修習終了への影響
1 通算45日の基準
司法修習生に関する規則6条による45日以内のみなしは,45日分を自由に休める制度ではなく,正当な理由がある承認欠席を前提とする。
出産前後の欠席が45日を超える見込みであるときは,超過部分の履修,復帰時期及び修習終了の見通しを個別に確認すべきである。
2 各修習単位の2分の1基準
通算日数とは別に,各修習単位で修習を要する日の2分の1を超えて欠席すると,その単位の成績が原則として不可となる旨が公開資料で説明されている。
出産予定日が導入修習,集合修習,合同修習又は短期間の実務修習と重なる場合には,欠席の集中が修習終了へ及ぼす影響を早い段階で確認する必要がある。
第4 いつ何を相談するか
妊娠・出産の見込みが分かった段階で,司法研修所又は配属庁会の担当者へ連絡し,出産予定日,医師の指示,欠席見込み及び現在の修習単位を共有するのが望ましい。
体調変化の程度は個人差が大きいため,必要な配慮,通院日,移動又は着席の制限その他の事情も,可能な範囲で具体的に伝えるべきである。
提出を求められる書類や連絡経路は修習段階によって異なり得る。
公開資料だけで個別の承認結果を予測せず,担当者から示された最新の様式と期限を確認する必要がある。
第5 修習給付金への影響
司法修習生の修習給付金の給付に関する規則は,妊娠・出産による通常の承認欠席それ自体を基本給付金及び住居給付金の日割り事由として列挙していない。
一方,罷免,再採用又は修習期間の変更が生じる場合には身分と給付期間の確認が必要となるため,長期化が見込まれるときは給付担当窓口にも確認すべきである。
第6 確認事項
① 出産予定日及び現在の修習単位を確認すること。
② 欠席開始の見込み,通院日及び医師の指示を担当者へ伝えること。
③ 必要な申請書,診断書等及び提出期限を確認すること。
④ 通算欠席日数と各修習単位の欠席割合を別々に確認すること。
⑤ 復帰時期,代替修習及び修習給付金への影響を確認すること。
第7 関連記事
欠席制度の全体像については,司法修習生の欠席・休暇・修習停止―病気,妊娠・出産,忌引,就職活動及び修習給付金への影響(AI作成)を参照されたい。
欠席承認の原資料については,司法修習生の欠席承認の基準を参照されたい。
給付金については,司法修習生に給料はあるか―修習給付金の支給額・手取り,税金,国保・年金及び扶養判定(AIリライト)を参照されたい。
出典
① e-Gov法令検索「裁判所法」68条。
② 司法研修所「司法修習ハンドブック(2024年1月)」17頁~27頁。
③ 司法研修所長「司法修習生の欠席承認に関する運用基準について」(平成30年4月3日付)。
④ 最高裁判所「司法修習生の修習給付金について」。