目次
- 第1 事件区分・直送方法別の受領確認
- 第2 直送と送達は別の手続である
- 第3 新法事件のシステム直送では別紙受領書を提出しない
- 第4 新法事件でも紙・出力書面・記録媒体の直送には受領書が必要である
- 第5 旧法事件ではmints上で受領書を提出する
- 第6 相手方がmintsを利用していない場合と直送が困難な場合
- 第7 提出前の確認事項
- 第8 関連記事
- 出典・参考資料
準備書面は,裁判所へ提出するだけでなく,相手方へ直送する。
令和8年5月21日の全面施行後は,この直送の方法と,受領書を提出するかどうかが,事件の新旧と直送の手段によって四通りに分かれることになった。
「電子データで送ったから受領書は不要である」という理解は正しくない。
受領書を不要とするのは,新法事件で裁判所のシステムを用いて直送し,閲覧又は端末への記録を裁判所のファイルに記録する仕組みを利用した場合である。
本記事では,直送と送達の違いを整理した上で,事件区分と直送方法の組合せごとに受領書の要否を説明する。
第1 事件区分・直送方法別の受領確認
| 事件区分 | 直送の方法 | 受領の確認方法 |
|---|---|---|
| 新法事件 | mintsによるシステム直送 | 閲覧又は端末への記録が裁判所のファイルに記録される。別紙の受領書は提出しない |
| 新法事件 | 紙・出力書面・記録媒体 | 原則として受領書が必要である |
| 旧法事件 | mintsによる受領 | 受領書作成画面から受領書を提出する |
| 旧法事件 | 紙・ファクシミリ | 従前どおり受領書による |
事件の新旧の判定方法は,mintsの新法事件と旧法事件の見分け方を参照されたい。
第2 直送と送達は別の手続である
民事訴訟規則79条は,相手方が準備するのに必要な期間をおいて準備書面を裁判所へ提出することを求め,同規則83条は,同じ期間をおいて相手方へ直送することを求める。
直送された場合,送達すべきときを除き,裁判所書記官が同じ書面を改めて送付する必要はない。
準備書面は通常は当事者間で直送するが,送達を要する文書は裁判所書記官が送達する。
mintsのシステム送達と期限管理の取扱いと混同してはならない。
第3 新法事件のシステム直送では別紙受領書を提出しない
新法事件でmintsを通じて準備書面を直送した場合,受領者は,システムを通じてファイルを閲覧し,又は端末へ記録した旨を裁判所のファイルへ記録する措置を取る。
民事訴訟規則47条の2第5項はこの記録を求め,民事訴訟法161条3項3号は,同法91条の2による相手方の閲覧又は複写を,相手方が在廷しない場合に準備書面記載事実を主張できる要件の一つとする。
したがって,新法事件のシステム直送では,旧式の受領書を別途提出しない。
受領確認そのものを省略するのではなく,紙の受領書に代えて閲覧又は端末への記録の履歴を用いる制度である。
第4 新法事件でも紙・出力書面・記録媒体の直送には受領書が必要である
1 紙で直送した場合
新法事件であっても,紙の準備書面を郵送又はファクシミリで直送した場合,受領者は,受領した旨を記載した書面を送信者へ直送し,裁判所へ提出するのが原則である。
送信者が,相手方による受領の記載がある同じ準備書面を裁判所へ提出したときは,別紙の受領書を要しない。
2 受領書面自体をどの方法で提出するか
新法事件で訴訟代理人等が受領書面を裁判所へ提出する場合,知的財産高等裁判所の案内は,受領書面をmintsで提出する取扱いを示している。
受領書面が必要かどうかと,必要となった受領書面を裁判所へどの方法で提出するかは,別に確認する。
3 記録媒体で直送した場合
電磁的記録を出力した書面又は記録媒体で直送した場合にも,原則として受領書が必要である。
出力書面には同じ書面への受領記載による例外があるが,記録媒体について民事訴訟規則47条の2第4項は同じ例外を定めていない。
このため,「電子データを送ったから受領書は不要である」とは限らない。
第5 旧法事件ではmints上で受領書を提出する
改正民訴法の施行日前に提起された事件についても,改修後のmints上で当事者ファイルを受領したときは,受領者が受領書作成画面を開き,受領対象ファイルを選択して受領書を提出する。
別のシステムが並存しているのではなく,同じmints上で,事件の新旧により受領書の要否が分かれる仕組みである。
大阪地方裁判所が作成した操作説明資料③(令和8年3月18日時点。情報公開請求により取得した文書)8頁が引用するmintsの通知メールも,「mintsにサインインしてファイルを確認し、改正法施行前の事件においては、受領書を提出してください。なお、記録外の場合及び改正法施行後の事件においては受領書の提出は不要です。」と案内している。
mints操作マニュアルによる手順は,①基点となる受領対象ファイルを1件選ぶ,②同じアップロード単位の候補を確認する,③対象外のファイルがあれば除外する,④プレビューを確認する,⑤受領書を送信するという順序である。
一つの受領書で,別々のアップロードに含まれる任意のファイルを自由に組み合わせることはできない。
受領書を送信すると関係当事者へ通知されるため,事件及び対象ファイルをプレビューで確認してから提出する。
第6 相手方がmintsを利用していない場合と直送が困難な場合
相手方がmintsを利用しておらずシステム直送を受けられない場合,mintsへの正式提出だけで相手方への直送が完結するとは限らない。
知的財産高等裁判所の提出案内は,この場合にmintsから出力した書面を郵送又はファクシミリで直送する取扱いを示しており,受領書の要否も紙直送の規律に従う。
民事訴訟規則47条の2第2項は,直送が困難なとき,当事者が裁判所書記官に準備書面の送付又は送達を申し出ることを認めている。
裁判所が当然に代行するものではないため,相手方の利用状況,困難な理由及び担当部の指示を確認する。
第7 提出前の確認事項
①事件が新法事件か旧法事件かを確認する。
②直送の手段(システム直送・紙・出力書面・記録媒体)を確定する。
③その組合せで受領書が必要かを第1の表で確認する。
④受領書が必要な場合,受領書面自体の提出方法を担当部の案内で確認する。
⑤システム直送をした場合は,相手方ごとに直送の完了を確認する。
⑥相手方が欠席する見込みのときは,閲覧・複写又は受領書の状況を期日前に確認する。
第8 関連記事
①mintsで準備書面を提出する方法-「主張」・記録外・直送・受領書の新旧法別ルール
②mintsの新法事件と旧法事件の見分け方
③mintsのシステム送達と期限管理
④mintsから届く通知メールの種類と読み方
⑤mintsの「記録」と「記録外」の違い
出典・参考資料
①民事訴訟法(平成8年法律第109号)91条の2・161条
②民事訴訟規則47条の2・79条・83条
③mints「mints操作マニュアル」
④知的財産高等裁判所のmintsに関する案内
⑤大阪地方裁判所が作成した操作説明資料③(令和8年3月18日時点。情報公開請求により取得した文書)8頁・9頁