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訴訟手数料の還付―取下げ・過納の場合の金額,申立期限及び異議(AI作成)

目次

訴えを取り下げても,納付済みの手数料が自動的に返金されるわけではない。
還付を受けるには,民事訴訟費用等に関する法律9条に基づく申立てが必要であり,還付される金額も「納付額の半額」と決まっているわけではない。

さらに,裁判所書記官の還付処分を受けることと,実際に指定口座へ振り込んでもらうこととは別の手続であり,提出先も分かれる。

本記事では,過納の場合と取下げ等の場合に分けて,還付の要件,金額の計算方法,申立期間及び処分に対する異議の期間を説明する。

第1 還付には二つの場面がある

場面根拠還付される額
納付額が納めるべき手数料額を超えるとき(過納)民事訴訟費用等に関する法律9条1項超過額
口頭弁論を経ない却下が確定したとき,最初にすべき口頭弁論期日の終了前に訴えを取り下げたとき等同条2項納付済み額から,納めるべき手数料額の2分の1と4,000円のいずれか高い額を控除した額

いずれもPay-easyの運営主体又は金融機関に決済の取消しを求めるのではなく,事件を担当する裁判所の還付手続を利用する。

第2 過納による還付

納付額が納めるべき手数料額を超える場合,申立てによって裁判所書記官から超過額の還付を受けることができる(同法9条1項)。

複数請求が同一利益か,付帯請求を訴額へ算入するかといった裁判所の判断によって,申立人の計算より手数料が少なくなり,過納が生じる場合がある。

納付前に裁判所の登録額を確認することが過納防止の基本であるが,既に納付した場合は事件係へ還付申立ての方法を確認する。

第3 取下げ等による還付

1 「最初にすべき口頭弁論期日の終了前」であること

同法9条2項1号により,訴えを最初にすべき口頭弁論期日の終了前に取り下げた場合,申立てにより手数料の一部が還付される。
条文上の基準は「最初の口頭弁論期日の前」ではなく「その期日の終了前」である。

もっとも,相手方の同意を要する事件では,取下書を提出しただけでは取下げの効力が生じない。
取下書の提出が期日終了前であっても,同意又はみなし同意が期日終了後となる場合に同号の還付要件を満たすかは,確認した公開資料から明らかでない。

還付を予定するときは,可能であれば期日終了前に取下同意書も提出して取下げの効力発生時点を明確にし,担当部へ確認するのが安全である。

2 還付額は常に半額ではない

納付額と納めるべき手数料額が同じ全部取下げの単純な場合,還付額は,納付済み手数料から「納めるべき手数料額の2分の1」と「4,000円」のいずれか高い方を控除した金額である。

納付済み手数料控除額還付額
6,000円4,000円2,000円
10,000円5,000円5,000円
20,000円10,000円10,000円

例えば,納付済み手数料が6,000円の場合は,その半額3,000円ではなく,4,000円を控除するため,還付額は2,000円となる。

このため,「早期取下げなら印紙代又は手数料の半額が戻る」とだけ説明すると,納めるべき手数料額の半額が4,000円未満となる事件では正確でない。

3 一部取下げの場合

一部取下げの場合は,既納手数料が残った請求についても納付されたものと扱われる範囲では還付されない。
そのため,取下げ前後の訴額と手数料を再計算する必要がある。

複数請求の一部だけを取り下げた場合等には,同条3項による調整がある。

第4 申立期間と異議期間

還付申立ては,還付事由が生じた日から5年以内にしなければならない。
共同申立人が納付した場合は各申立人が還付を申し立てることができるが,実際の申立人及び振込口座の扱いは裁判所の書式で確認する。

裁判所書記官の還付処分に対する異議は,処分の告知を受けた日から1週間の不変期間内である。

5年は還付を求める期間,1週間は処分内容へ異議を述べる期間であり,両者を混同しない。

第5 還付処分と支払請求を分けて処理する

1 二段階の手続である

還付では,まず事件を担当する部・係へ還付を申し立て,裁判所書記官の還付処分を受ける。
その後,会計担当へ還付請求書その他の必要書類を提出して,指定口座への支払を請求する。

東京地方裁判所の窓口案内も,手数料還付申立ては担当部,還付決定後の請求書提出は出納担当への問合せとして分けている。

2 還付請求書の記載事項

京都地方裁判所の還付請求書は,還付額,裁判所名,事件番号,請求者,連絡先及び振込口座の記載欄を設け,旧法事件では還付決定正本又は処分正本の添付を求める。

必要書類,新法事件における処分書面の扱い及び提出先は裁判所により案内が異なり得るため,事件係の還付処分と会計担当の支払請求を一つの提出で終わると考えない。

3 mints上の提出方法

最高裁判所の現行「準備の手引」の提出場所一覧は,取下書及び同意書のmints提出場所を示す一方,通常事件の手数料還付申立ての提出画面までは示していない。
還付申立てのmints上の提出方法及び処分後の請求書提出先は,係属裁判所の担当部が案内する最新方法を確認する必要がある。

第6 手数料再使用証明との違い

民事訴訟費用等に関する法律10条の手数料再使用証明は,収入印紙により納付した手数料の制度である。
Pay-easyによる現金納付を別事件へそのまま振り替える制度ではない。

第7 確認の手順

①還付の根拠が過納(9条1項)か取下げ等(同条2項)かを確定する。
②取下げ等であれば,最初にすべき口頭弁論期日の終了前であるかを確認する。
③相手方の同意を要する事件では,同意又はみなし同意の時点を確認する。
④納めるべき手数料額を計算し,控除額(半額と4,000円の高い方)を確定する。
⑤還付事由が生じた日から5年以内に,担当部へ還付を申し立てる。
⑥還付処分を受けた後,会計担当へ還付請求書を提出する。
⑦処分内容に不服があれば,告知を受けた日から1週間以内に異議を申し立てる。

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還付の可否が訴額の算定によって変わった最高裁判例は,訴額の算定に関する最高裁判例で紹介している。

出典・参考資料

民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)9条・10条
②裁判所「民事裁判手続のデジタル化に関する準備の手引
東京地方裁判所の窓口案内
京都地方裁判所の手数料還付請求書