目次
- 第1 被告は処分行政庁ではなく国又は公共団体である
- 第2 例外的な当事者入力の類型
- 第3 「事件種別」欄と「被告の数」欄
- 第4 「申立ての趣旨」欄・「申立ての理由」欄
- 第5 仮の救済の申立てを同時にする場合の添付書類
- 第6 被告の表示を誤った場合の訴状訂正
- 第7 関連記事
- 出典・参考資料
行政事件訴訟をmintsで提起する場合,通常訴訟にはない入力上の留意点がある。
被告として入力するのは処分をした行政庁ではなく国又は公共団体であること,「事件種別」欄の選び方,代表者が請求ごとに異なる場合の「被告の数」の数え方,及び仮の救済の申立てを同時にする場合の添付書類の提出先である。
これらの点は,最高裁判所事務総局行政局・民事局が公表した「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」に整理されている。
本記事では,この留意事項及びmintsのQ&A・操作マニュアルに基づいて,行政訴訟の新規申立てで確認すべき事項を説明する。
新規申立ての一般的な流れは,mintsで訴訟を提起する方法を参照されたい。
第1 被告は処分行政庁ではなく国又は公共団体である
1 抗告訴訟の被告適格
取消訴訟などの抗告訴訟で被告となるのは,処分をした行政庁そのものではない。
その行政庁が所属する国又は公共団体である(行政事件訴訟法第11条第1項)。
したがって,mintsの「当事者・代理人情報」タブで被告として入力するのも,国又は公共団体である。
2 国を被告とする場合の入力
国が被告であるときは,属性を「本人(法人)」とし,名称を「国」,法人番号を「1000012030001」(法務省の法人番号),代表者を「法務大臣」等と入力する。
○○県が被告であるときは,属性を「本人(法人)」とし,名称を「○○県」,代表者を「○○県知事」と入力する。
法人番号は国税庁が指定する13桁の番号であり,登記簿に記載されている12桁の会社法人等番号とは別の番号体系である。
確認方法は,mintsで法人を当事者として入力する方法を参照されたい。
3 処分行政庁は訴状の法定記載事項として書く
処分をした行政庁(処分行政庁)は,訴状に記載しなければならない(行政事件訴訟法第11条第4項)。
例えば,被告を「国」,代表者を「法務大臣」と記載した上で,法定記載事項として「処分行政庁 ○○国税局長」と記載する。
処分行政庁そのものは当事者ではない。
そのため,当事者として別に入力するのではなく,「当事者・代理人情報」タブには国又は公共団体を入力し,処分・裁決行政庁は「申立ての理由」欄及び添付する申立ての趣旨・理由のPDFで明らかにする。
第2 例外的な当事者入力の類型
行政事件の被告類型は,国と,長が代表者となる地方公共団体の2類型に尽きるものではない。
裁判所が公表する留意事項では,次の類型が挙げられている。
1 地方公共団体で長以外の者が代表者となる場合
属性は「本人(法人)」とし,名称は地方公共団体名,法人番号は当該地方公共団体の法人番号を入力する。
代表者肩書は直接入力し(代表者が委員会等の組織であるときは,当該組織の代表者の肩書まで入力する),代表者氏名は申立て時点の代表者の氏名を入力する。
例えば,被告が○○県で,代表者が○○県公安委員会(委員長△△△△)であるときは,代表者肩書欄に「○○県代表者○○県公安委員会代表者委員長」,代表者氏名欄に「△△△△」と入力する。
2 特許庁長官・海難審判所長等が当事者となる場合
この類型は,当該行政庁の長自体を当事者として扱う特則によるものである。
属性は「本人(法人)」ではなく「本人(個人)」を選び,氏名又は名称欄に当事者名(例えば「特許庁長官」)を入力する。
3 合議制の行政庁が当事者となる場合
公正取引委員会など合議制の行政庁が当事者となる場合は,属性を「本人(法人)」とし,氏名又は名称欄に当事者名を,法人番号欄に当該組織の法人番号を入力する。
合議制の行政庁については法人番号が付与されていないこともあり,その場合は「0000000000000」と入力する。
代表者肩書は直接入力し,代表者氏名には申立て時点の代表者の氏名を入力する。
4 住民訴訟で執行機関又は職員が当事者となる場合
住民訴訟(地方自治法第242条の2第1項第1号・第3号・第4号)で執行機関又は職員が当事者となる場合は,属性を「本人(個人)」とし,氏名又は名称欄に当事者名を入力する。
5 共通の確認事項
いずれの類型でも,郵便番号,住所又は所在地及び電話番号は,当事者又は当事者が所属する組織のホームページ等で確認する。
法人番号がある類型については,国税庁法人番号公表サイトで確認する。
第3 「事件種別」欄と「被告の数」欄
1 事件種別の選び方
「申立内容」タブの「事件種別」欄は,次のように選択する。
| 提起する事件 | 選択する事件種別 |
|---|---|
| 処分取消訴訟等の行政事件 | 行政 |
| 国家賠償請求事件のみ | 通常 |
| 行政事件と国家賠償請求事件を併合して提起する場合 | 行政 |
国家賠償請求を含むことだけを理由に「通常」を選ばない。
2 「被告の数」は代表者の別で数えない
行政事件では,被告が同じ国又は地方公共団体でありながら,請求によって代表者が異なる場合がある。
例えば,同じ○○県を被告としつつ,一部の請求では知事,別の請求では公安委員会が代表者となる場合である。
この場合,「当事者・代理人情報」タブでは代表者ごとに分けて記載する一方,「被告の数」欄は代表者の別で区別せず,被告(国・地方公共団体)そのものの数として数える。
なお,「被告の数」欄は手数料計算のための数であって,被告を当事者として登録するものではない。
被告は必ず「当事者・代理人情報」タブで入力する。
第4 「申立ての趣旨」欄・「申立ての理由」欄
既にされた処分・裁決の取消し等を求める行政訴訟の場合は,処分の通知書などを参考に,処分日,処分をした行政庁,処分を受けた者,処分の名称及び処分を特定する番号等を「申立ての趣旨」欄に記載する。
非申請型の義務付けの訴え又は差止めの訴えの場合は,処分をする行政庁,処分を受けることになる者,処分の根拠規定及び処分の内容等を同欄に記載する。
「申立ての理由」欄では,処分・裁決行政庁(行政事件訴訟法第11条第4項)が明確になるように記載する。
両欄を入力した後,処分通知書等の表示と照合し,処分日,処分名,処分番号,処分行政庁及び処分の名宛人に食い違いがないかを確認する。
第5 仮の救済の申立てを同時にする場合の添付書類
仮の救済の申立て(執行停止など)を本案の訴えと同時にする場合は,新規申立て時に添付する資料と,事件への関連付け後に提出する本案の証拠を分けて準備する。
| 書類・資料 | 提出時期・提出先 |
|---|---|
| 執行停止等の申立書,仮の救済申立て事件の委任状等 | 本案と同時に新規申立てフォームの「添付書類」タブへ添付する |
| 仮の救済の疎明資料・疎明資料説明書 | 同じく新規申立て時に「添付書類」タブへ添付する。関連付け後まで提出を待つ資料ではない |
| 本案事件の証拠・証拠説明書 | 本案事件との関連付け後に,事件情報の記録一覧から提出する |
例えば,同じ処分通知書を執行停止の疎明資料と本案の証拠の双方に用いる場合でも,仮の救済の添付として提出したことだけで,本案事件への証拠提出まで済んだとは扱わない。
それぞれの事件で提出先と提出状況を確認する。
申立書のファイル名は,仮の救済申立てをしていることが明確に分かる名称(例えば「執行停止申立書」)とする。
1週間以内に申立てを認める決定がないと申立ての利益がなくなると考えられるなど,特に急ぐべき事情があるときは,mintsによる申立てに加えて,申立先の裁判所へ個別に連絡することも検討したい。
申立書には,処分予定日など,急ぐべき事情の具体的な説明を記載する。
第6 被告の表示を誤った場合の訴状訂正
行政事件訴訟では,被告の表示が訴状訂正の典型例となる。
当事者の表示に被告(国又は公共団体)を記載していなかったときは,訴状訂正によって補う。
立件後に被告を当事者として記録に登録する処理は裁判所書記官が行うため,訴状訂正申立書の提出とあわせて,担当書記官に被告の当事者登録を依頼するのが確実である。
訴状訂正申立書の記載例,提出場所及びファイル種別は,mintsの訴状訂正・補正の方法を参照されたい。
第7 関連記事
①mintsで訴訟を提起する方法-新規申立て・添付書類・手数料納付・証拠提出の流れ
②mintsで法人を当事者として入力する方法
③mintsの訴状訂正・補正の方法
④mintsを利用できる裁判所と対象事件
⑤mintsに関する弁護士向けQ&A
法人番号と会社法人等番号の違い及び確認方法は,法人番号(13桁)と会社法人等番号(12桁)の違いで詳しく説明している。
出典・参考資料
①行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)11条
②地方自治法(昭和22年法律第67号)242条の2
③最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」1頁~3頁
④mints「mintsご利用に関するQ&A」
⑤mints「mints操作マニュアル」
⑥裁判所「民事裁判手続のデジタル化に関する準備の手引」
⑦国税庁法人番号公表サイト