メインコンテンツへスキップ
       

mintsで閲覧等制限を申し立てる方法|秘密記載文書・マスキング文書・申立時期別の提出先(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 この記事の対象

本記事は,令和8年5月21日以後に提起された民事訴訟で,民事訴訟法92条1項の閲覧等制限をmintsから申し立てる場面を対象とする。
閲覧等制限申立書,疎明資料,秘密記載文書及びマスキング文書は,内容だけでなく提出先も異なるため,原則として四つのファイルを分けて準備する必要がある。
秘密記載部分が文書等の全部である場合は,マスキング文書を提出しない例外がある。
住所又は氏名等を相手方にも知らせない当事者間秘匿,個別事件における閲覧等制限の要件該当性及び知的財産訴訟の秘密保持命令は,本記事の対象外である。

2 申立時期別の提出先

知的財産高等裁判所,東京地方裁判所知的財産権部及び大阪地方裁判所知的財産権部が公表した電子提出の手順は,次のとおりである。
秘密記載文書は【閲覧制限対象ファイル提出用】と表示された事件情報へ,第三者が閲覧できるマスキング文書は基本の事件情報へ提出する。

申立ての場面閲覧等制限申立書・疎明資料秘密記載文書マスキング文書(全部秘密の場合を除く)
訴えの提起と同時新規申立てフォームの「訴え提起」の添付書類裁判所による事件情報の作成後,【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報の「記録一覧」裁判所による事件情報の作成後,基本の事件情報の「記録一覧」
訴訟係属中の初回申立てで,自ら提出する文書等が対象申立て前に担当部へ連絡した上で,基本の事件情報の「記録一覧」担当部が作成した【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報の「記録一覧」基本の事件情報の「記録一覧」
訴訟係属中の2回目以降の申立てで,自ら提出する文書等が対象基本の事件情報の「記録一覧」(公表資料上,事前連絡は不要)既存の【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報の「記録一覧」基本の事件情報の「記録一覧」
相手方又は裁判所がアップロードした文書等が対象基本の事件情報の「記録一覧」新たな提出なし基本の事件情報の「記録一覧」

訴訟係属中に提出するときのファイル種別は,閲覧等制限申立書が「関連事件の申立て」,疎明資料が「その他」であり,秘密記載文書及びマスキング文書は対象文書に対応する同じ種別である。
もっとも,この振分けは上記の裁判所及び知的財産権部が公表した運用であり,法令が二つの事件情報の名称又は全国一律の画面操作を定めたものではない。

第2 閲覧等制限の要件と効力

1 対象となる秘密

民事訴訟法92条1項1号の対象は,当事者の私生活についての重大な秘密であり,第三者が閲覧等をすると,その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある情報である。
同項2号の対象は,当事者が保有する不正競争防止法2条6項の営業秘密であり,申立人は,対象部分を特定した上で,いずれかの要件に該当することを疎明する必要がある。

要件の疎明があった場合,裁判所は,決定により,訴訟記録中の秘密記載部分について閲覧,謄写,正本・謄本・抄本の交付又は複製を請求できる者を当事者に限ることができる。
閲覧等制限は,秘密を含む文書全体を当然に非公開とする制度ではなく,決定で特定された秘密記載部分に効力が及ぶ制度である。

2 相手方には秘密にならないこと

閲覧等制限は,第三者による閲覧等を制限する制度であり,原則として相手方当事者から秘密記載部分を隠す制度ではない。
住所又は氏名等を相手方にも知らせないための民事訴訟法133条及び133条の2の制度とは対象及び効果が異なるため,必要な場合は「mintsにおける当事者間秘匿―秘匿事項届出書面・誤提出・PDFのマスキング」を参照されたい。

3 提出時の申立てと暫定的な制限

当事者が自ら提出する文書等について申し立てる場合,民事訴訟規則34条2項により,その文書等を提出する際に申立てをしなければならない。
秘密記載文書を通常の提出先へ先にアップロードし,後で申立てをすればよいという取扱いではない。

申立てがあると,申立てについての裁判が確定するまで,第三者は秘密記載部分の閲覧等を請求できない(民事訴訟法92条2項)。
この暫定的な効力を確実に発生させるためにも,申立書,疎明資料,秘密記載文書及びマスキング文書を同じ提出作業の中で正しい提出先へ振り分ける必要がある。

4 審理,不服申立て及び手数料

東京地方裁判所知的財産権部は,必要に応じて相手方の意見を聴き,相手方から意見書等が提出されたときは申立人に反論を求めることがあると案内している。
申立てを却下する決定に対しては即時抗告をすることができる(民事訴訟法92条4項)。

申立手数料は,民事訴訟費用等に関する法律3条及び同法別表により500円である。
東京・大阪両地方裁判所の知的財産権部は,申立書1通につき500円と案内している。

第3 申立てに必要な四つのファイル

1 閲覧等制限申立書

申立ては書面で行い,秘密記載部分を特定しなければならない(民事訴訟規則34条1項)。
裁判所ウェブサイトには,申立ての趣旨を一文で記載する形式と箇条書きで記載する形式の二つのWord書式が掲載されている。

申立書の別紙目録では,「甲第○号証のうち,別紙のマスキング部分」又は「原告準備書面1の○頁○行目から○頁○行目まで」のように,対象箇所を位置によって特定する。
秘密そのものを申立書又は目録へ再記載すると,申立書自体に秘密が含まれるため,秘密の内容ではなく記載位置を指定する。
電子提出時のファイル名は「閲覧等制限申立書」とする。

2 疎明資料

申立書とは別に,対象情報が民事訴訟法92条1項1号又は2号の要件を満たすことを疎明する資料を準備する。
私生活上の秘密については,秘密の性質と第三者による閲覧等が社会生活上の著しい支障を生じさせるおそれを,営業秘密については,不正競争防止法2条6項の営業秘密に当たることを,それぞれ対象情報に即して説明する。
訴訟係属中にmintsで提出するときのファイル種別は「その他」である。

3 秘密記載文書

秘密記載文書は,閲覧等制限を求める情報が記載されたマスキング前の文書である。
事件番号の右側に【閲覧制限対象ファイル提出用】と表示された事件情報を開き,事件情報画面でも同じ表示があることを確認してから「記録一覧」へ提出する。

申立ての対象が書証又は電磁的証拠の一部だけである場合,対象外の証拠と同じファイルにまとめない。
証拠番号及びファイル名の一般的な付け方は,「mintsの証拠番号とファイル名の付け方|甲001・枝番・複数当事者の記載例」を参照されたい。

4 マスキング文書

秘密記載部分が文書等の一部である場合,その部分を除いたマスキング文書も提出しなければならない(民事訴訟規則34条3項本文)。
秘密記載部分が文書等の全部である場合は,同項ただし書によりマスキング文書の提出を要しない。

マスキング文書は,第三者による閲覧等の対象となる基本の事件情報へ提出する。
ファイル名の冒頭には「(マスキング)」と表示し,ファイル種別は秘密記載文書と同じものを選択する。

申立てを認容する決定で特定された秘密記載部分が申立ての対象と異なる場合,申立人は,決定に対応した新しいマスキング文書を遅滞なく提出しなければならない(民事訴訟規則34条5項)。
申立てと決定で特定された秘密記載部分が同一である場合は,改めて提出する必要はない。

第4 訴えの提起と同時に申し立てる方法

閲覧等制限申立書及び疎明資料は,新規申立てフォームの申立種別「訴え提起」の添付書類として提出する。
通常の訴え提起の入力と添付書類は,「mintsで訴訟を提起する方法|新規申立て・添付書類・手数料納付・証拠提出の流れ」を参照されたい。

訴状の受付後,裁判所が基本の事件情報と【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報を作成すると,mintsからファイルをアップロードできる旨のメールが届き,ホーム画面の新着情報にも当事者又は代理人に設定された旨が表示される。
通知後,秘密記載文書は【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報へ,マスキング文書は基本の事件情報へ,それぞれの「記録一覧」から提出する。

秘密記載文書又はマスキング文書は,新規申立てフォームの通常の添付書類へ提出しない。
裁判所が二つの事件情報を作成した後に,表示を確認して提出先を分ける。

第5 訴訟係属中に申し立てる方法

1 初回の申立て

自ら提出する準備書面又は証拠について,訴訟係属中に初めて閲覧等制限を申し立てるときは,提出前に担当部へ連絡する。
担当部が【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報を作成し,mintsのメール又は新着情報による通知が届いてから提出する。

秘密記載文書は【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報へ提出する。
閲覧等制限申立書,疎明資料及びマスキング文書は,基本の事件情報へ提出する。

2 2回目以降の申立て

2回目以降は既に【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報があるため,前記の裁判所及び知的財産権部の公表資料では事前連絡は不要とされている。
提出先及びファイル種別は初回と同じである。

前の閲覧等制限決定は,その決定で特定された秘密記載部分だけを対象とし,後に提出する別の文書に同じ秘密が記載されていても当然には及ばない。
後の文書についても閲覧等制限が必要であれば,その都度,新たな申立てをする。

3 相手方又は裁判所がアップロードした文書を対象とする場合

相手方又は裁判所が既にアップロードした文書を対象とするときは,申立人が新しい秘密記載文書を提出する場面ではない。
閲覧等制限申立書,疎明資料及び必要なマスキング文書を,基本の事件情報の「記録一覧」へ提出する。

既に閲覧等制限された情報と同じ情報が判決書に記載されても,従前の決定が判決書へ当然に及ぶわけではない。
東京地方裁判所知的財産権部は,判決書について制限を求める場合,判決書の交付を受けた後,直ちに改めて申し立てる必要があると案内している。

第6 マスキングと誤アップロードの注意点

1 文字情報自体を削除すること

PDF上に黒い図形又はマーカーを重ねただけでは,下の文字情報が残り,コピー,検索又は編集によって読み取られることがある。
PDF編集ソフトの墨消し機能等を用いて文字情報自体を削除し,保存後のファイルに秘密が残っていないことを確認する。
確認時は,保存後のファイルを開き直し,表示だけでなく,検索,コピー又はテキスト抽出によって秘密部分を読み取れないことを点検する。

2 対象となる証拠を別ファイルにすること

申立ての対象が書証又は電磁的証拠の一部だけである場合,対象外の証拠とファイルを分ける。
例えば,甲1の1から甲1の4までのうち甲1の4だけが対象であれば,甲1の4を別ファイルとし,甲1の1から甲1の3までを一つのファイルにまとめることは差し支えないと大阪地方裁判所知的財産権部は案内している。

3 基本の事件情報へ誤って提出した場合

秘密記載文書を基本の事件情報へ誤って提出すると,第三者の閲覧等の対象となることがあるため,直ちに担当部へ連絡する。
大阪地方裁判所知的財産権部の案内では,裁判所が当該ファイルを消去し,【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報への再アップロードを求める取扱いが示されている。

提出者がmints上で提出済みファイルを自由に削除できるわけではない。
消去の法的要件,正しい版の追加提出及び書類種別の訂正の違いは,「mintsで誤アップロードした場合|消去要件・差替え・全員同意・秘匿情報の緊急対応」を参照されたい。

第7 旧法事件と裁判所ごとの運用

1 令和8年5月21日前後の区分

東京・大阪両地方裁判所の知的財産権部は,令和8年5月21日より前に提起された事件の申立てを紙の書面で行い,同日以後に提起された事件では電子提出の案内に従う取扱いを公表している。
知的財産高等裁判所は,控訴事件及び抗告事件について,原審事件が申し立てられた日を基準として新旧の取扱いを分けている。

2 公表運用の射程

二つの事件情報への振分け,初回申立て前の連絡及び2回目以降の事前連絡不要という手順は,知的財産高等裁判所並びに東京・大阪両地方裁判所の知的財産権部が公表した運用である。
公表資料が一致していても,それだけで全ての地方裁判所,高等裁判所及び担当部に同じ画面運用が適用されるとは断定できない。
知的財産権部以外の事件を含め,提出前に係属裁判所の最新案内及び担当部の指示を確認する。

大阪地方裁判所知的財産権部は,mintsへアップロードできない秘密記載文書について,マスキング文書の提出を要する場合にはこれとともに,郵送又は窓口で提出する取扱いを案内している。
アップロードできない事情がある場合は,秘密記載文書を通常の事件情報へ代わりに提出せず,担当部へ提出方法を確認する。

第8 提出前チェックリスト

①秘密記載部分が民事訴訟法92条1項1号又は2号のいずれに該当するかを確認したか。
②申立書に秘密そのものを書かず,文書名,頁及び行等によって対象箇所を特定したか。
③疎明資料を申立書と分けて準備したか。
④秘密記載文書とマスキング文書を取り違えていないか。
⑤秘密記載部分が文書等の全部であり,マスキング文書を提出しない場合に当たるかを確認したか。
⑥一部の証拠だけを対象とするとき,対象外の証拠とファイルを分けたか。
⑦マスキング後のPDFから秘密の文字情報を読み取れないことを確認したか。
⑧秘密記載文書の提出先に【閲覧制限対象ファイル提出用】と表示されているか。
⑨訴訟係属中の初回申立てでは,提出前に担当部へ連絡したか。
⑩提出後,秘密記載文書とマスキング文書が正しい事件情報へ記録されたことを確認したか。

第9 関連記事

①「mintsにおける当事者間秘匿―秘匿事項届出書面・誤提出・PDFのマスキング
②「mintsで訴訟を提起する方法|新規申立て・添付書類・手数料納付・証拠提出の流れ
③「mintsの証拠番号とファイル名の付け方|甲001・枝番・複数当事者の記載例
④「mintsで誤アップロードした場合|消去要件・差替え・全員同意・秘匿情報の緊急対応
⑤「民事事件記録の閲覧・謄写手続―誰が閲覧・謄写できるか,費用,窓口,閲覧制限

出典・参考資料

1 法令・最高裁判所規則

e-Gov法令検索「民事訴訟法(平成8年法律第109号)」92条
e-Gov法令検索「民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)」3条1項・2項,別表第一17項イ及び別表第二13項イ
最高裁判所「民事訴訟規則(平成8年最高裁判所規則第5号,令和8年5月21日現在)」33条の5及び34条(資料上10頁~11頁)

2 裁判所の解説・運用資料・書式

大阪地方裁判所第21民事部・第26民事部「閲覧等制限申立書の電子提出に関するご案内」(令和8年5月21日,1頁~3頁)
大阪地方裁判所「閲覧等制限の申立てについて」(大阪地方裁判所知的財産権部の手続案内)
東京地方裁判所知的財産権部「閲覧制限等の申立てについて」(平成20年12月,令和8年5月改訂)
東京地方裁判所知的財産権部「閲覧等制限申立書の電子提出に関するご案内」(1頁~4頁)
知的財産高等裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)の利用について」(閲覧等制限申立書の提出に関する注意点)
最高裁判所「改正民訴法等に関する参考資料」(閲覧等制限申立書2形式,令和8年3月27日更新)
最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(5G,令和8年6月19日,39頁)