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軍人恩給はなぜ停止され,いつ復活したのか――GHQ指令と昭和28年改正(AI作成)

第1 この記事が答える問い

軍人恩給は,どの措置により停止され,どの法律により復活したのか。
また,その停止はポツダム宣言とどう関係するのか。

結論を先に述べる。
停止は,1945年11月24日の占領軍指令を受けた昭和21年勅令第68号によるものであり,この勅令は法形式としていわゆるポツダム勅令であった。
復活は昭和28年法律第155号による。
すなわち「軍人恩給の停止はポツダム宣言受諾に伴う措置であった」という理解は,法形式としても当時の関係者の認識としても正確である。

第2 停止――GHQ指令と勅令

1 1945年11月24日の指令

GHQは1945年11月24日付のSCAPIN-338「PENSIONS AND BENEFITS」により,恩給等の支給停止を指令した。

2 昭和21年勅令第68号による廃止

日本政府はこれを受け,1946年2月1日,「恩給法の特例に関する件」(昭和21年勅令第68号)により,傷病恩給を除く旧軍人・旧軍属及びその遺族の恩給を廃止した。

3 文官恩給は存続した

この措置の対象は旧軍人・旧軍属に限られ,文官の恩給は存続した。
すなわち,恩給制度そのものが廃止されたのではなく,軍人に関する部分が切り出して廃止された。

第3 停止は「ポツダム勅令」によって行われた

1 法形式としてのポツダム勅令

昭和21年勅令第68号は,昭和20年9月20日勅令第542号(いわゆるポツダム緊急勅令)に基づく命令である。
占領軍の指令を国内で実施するために,法律によらず命令で措置がとられた。

この仕組みは「日本国憲法外で法的効力を有していたポツダム命令」で扱っている。

2 当時の関係者もそう認識していた

1953年の衆議院公聴会では,元恩給局長が「ポツダム宣言に基く勅令によりまして,軍人の恩給並びに扶助料廃止の措置をとらざるを得なかつた」と証言している。
また,日本傷痍軍人会の関係者も「ポツダム宣言の受諾に伴う臨時特例,いわゆる勅令第六八号」と述べている。

3 もっとも,第9項の文言と結び付けた資料はない

恩給停止がポツダム宣言受諾に伴う一連の措置の一つであったことと,それが第9項の「平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会」という文言に反するかどうかは,別の問題である。
後者を正面から論じた一次資料は,確認した範囲では見当たらない。

恩給の復活に慎重な立場から,軍隊を解消したことは平和憲法を制定した国民感情と相通じるという趣旨の議論がされた例はあるが,これも第9項の文言そのものへの言及ではない。

第4 7年間の空白

停止は1946年から1953年まで続いた。
この間の受給者及び遺族の困窮は,新聞紙上の討論や国会での論戦で繰り返し取り上げられた。
1952年7月には,恩給復活の是非を問う新聞の紙上討論に646通の投書が寄せられている。

第5 復活――昭和28年法律第155号

1 復活の法律

1953年8月1日,「恩給法の一部を改正する法律」(昭和28年法律第155号)により,軍人恩給が復活した。

2 「150号」という表記は誤りである

インターネット上には法律番号を「150号」とする記述が散見されるが,確認した範囲では誤りである。
本記事では155号を採る。

第6 恩給をめぐる裁判例

1 国籍要件に関する最高裁判決

恩給法9条1項3号の国籍要件に関する最高裁判所第二小法廷平成13年11月16日判決(平成12年(行ツ)第106号,集民203号479頁)の全文を確認したが,ポツダム宣言への言及は一切ない。
判断の枠組みは,憲法14条,平和条約,日韓請求権協定及び立法裁量論である。

2 別系列の下級審判決は第9項を引用している

これに対し,同じく恩給法9条1項3号の国籍要件が争われた別の事件の控訴審である大阪高等裁判所平成12年2月23日判決(平成10年(行コ)第22号。原審は京都地方裁判所)は,ポツダム宣言第9項を逐語で引用している。

なお,前記の最高裁判決の原審は東京高等裁判所平成11年12月27日判決であり,この大阪高裁判決とは別系列の事件である。同種の争点でありながら別々に進行した事件であることに注意を要する。

すなわち,第9項は下級審の判決理由には現れるが,最高裁の判断枠組みには用いられていない。
裁判例に言及する際は,裁判所ウェブサイトで実在と判示を確認した上で記載する。

第7 出典・参考資料

1 法令・占領指令

①恩給法
②SCAPIN-338「PENSIONS AND BENEFITS」(1945年11月24日)
③昭和21年勅令第68号「恩給法の特例に関する件」(1946年2月1日)
④昭和20年勅令第542号
⑤恩給法の一部を改正する法律(昭和28年法律第155号,1953年8月1日)

2 裁判例

①最高裁判所第二小法廷平成13年11月16日判決(平成12年(行ツ)第106号,集民203号479頁。恩給請求棄却処分取消請求事件)
https://www.courts.go.jp/hanrei/62473/detail2/index.html
②大阪高等裁判所平成12年2月23日判決(平成10年(行コ)第22号,損害賠償等・恩給請求棄却処分取消請求控訴事件)
https://www.courts.go.jp/hanrei/15907/detail5/index.html
※いずれも裁判所ウェブサイトの裁判例検索で実在・書誌・判示を確認した。

3 国会会議録・その他

①第16回国会衆議院公聴会(1953年)における公述
②新聞紙上の討論(1952年7月)