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PDFのマスキング(黒塗り)の正しい方法―文字情報の削除と「黒く見えるだけ」の失敗(AI作成)

目次

PDF上に黒い図形又はマーカーを重ねただけでは,下の文字情報が残る。
コピー,検索又は編集によって読み取られることがある。

裁判所へ提出する文書に,第三者の氏名や住所等,マスキングをすべき情報が含まれる場合は,表示を隠すのではなく,文字情報そのものを削除しなければならない。

本記事では,正しいマスキングの手順,確認の方法,マスキング文書を提出する場面,及び誤って黒塗り前の文書を提出した場合の対応を説明する。

第1 「黒く見える」と「読めない」は違う

PDF編集ソフトのマーカー機能(黄色いハイライト等)や,黒い四角形を重ねる方法では,マーカーの下の文字情報が完全には削除されない。
相手方がテキストのコピーや検索によって読み取れてしまうことがある。

マスキングをするときは,文字情報そのものを消去する墨消し(黒塗り)機能を用いる。
提出前に,実際に文字情報が読み取れなくなっているかを確認する。

第2 確認の手順

保存後のファイルを開き直し,次の四点を点検する。

①画面表示で対象部分が見えないこと。
②テキスト検索で対象の語がヒットしないこと。
③対象部分をドラッグしてコピーしても文字が取得できないこと。
④ページを画像として書き出しても文字が現れないこと。

表示だけを見て確認を終えない。
検索とコピーの二つを必ず試す。

第3 マスキング文書を提出する場面

1 閲覧等制限の申立てに伴うもの

秘密記載部分が文書等の一部である場合,その部分を除いたマスキング文書も提出しなければならない(民事訴訟規則34条3項本文)。
秘密記載部分が文書等の全部である場合は,同項ただし書によりマスキング文書の提出を要しない。

マスキング文書は,第三者による閲覧等の対象となる基本の事件情報へ提出する。
ファイル名の冒頭には「(マスキング)」と表示し,ファイル種別は秘密記載文書と同じものを選択する。

申立てを認容する決定で特定された秘密記載部分が申立ての対象と異なる場合,申立人は,決定に対応した新しいマスキング文書を遅滞なく提出しなければならない(同規則34条5項)。
申立てと決定で特定された秘密記載部分が同一である場合は,改めて提出する必要はない。

2 対象となる証拠を別ファイルにする

申立ての対象が書証又は電磁的証拠の一部だけである場合,対象外の証拠とファイルを分ける。

例えば,甲1の1から甲1の4までのうち甲1の4だけが対象であれば,甲1の4を別ファイルとし,甲1の1から甲1の3までを一つのファイルにまとめることは差し支えないと,大阪地方裁判所知的財産権部は案内している。

3 当事者間秘匿の場合

秘匿事項届出書面は,書面(紙媒体)で提出しなければならない。
ファクシミリによる提出も,mintsへのアップロードもできない。

秘匿決定を受けた事項が記載されたマスキングなしの書面をどこへ提出するかは,事件情報の作り方の問題になる。
通常の事件情報の記録一覧へそのままアップロードしてはならない。

第4 誤って提出した場合

秘密記載文書を基本の事件情報へ誤って提出すると,第三者の閲覧等の対象となることがあるため,直ちに担当部へ連絡する。

大阪地方裁判所知的財産権部の案内では,裁判所が当該ファイルを消去し,【閲覧制限対象ファイル提出用】の事件情報への再アップロードを求める取扱いが示されている。
提出者がmints上で提出済みファイルを自由に削除できるわけではない。

誤ったPDFを消去できたとしても,同じ不完全な黒塗りのPDFを再提出すれば秘密情報は再び露出する。

再提出前には,表示,テキスト検索,コピー及びページ画像を改めて点検する。

第5 提出前のチェックリスト

①マーカー又は図形を重ねただけになっていないか。
②墨消し機能で文字情報自体を削除したか。
③保存後のファイルを開き直し,検索とコピーで読めないことを確認したか。
④対象外の証拠と同じファイルにまとめていないか。
⑤マスキング文書のファイル名の冒頭に「(マスキング)」を付けたか。
⑥提出先の事件情報(基本の事件情報か,閲覧制限対象ファイル提出用か)を確認したか。
⑦秘匿事項届出書面をmintsへアップロードしていないか。

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訴訟記録の誤提出と個人情報漏えい
mints提出用PDFの作り方

出典・参考資料

民事訴訟法(平成8年法律第109号)92条・133条・133条の2
②民事訴訟規則33条の5・34条
③裁判所「民事裁判手続のデジタル化に関する準備の手引」39頁
④mints「mintsご利用に関するQ&A」7頁
⑤大阪地方裁判所知的財産権部の公開案内