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日弁連の司法シンポジウムの歴史――第1回から第30回までの開催一覧(AI作成)

第1 1973年に始まった司法シンポジウム

日弁連の司法シンポジウムは,1973年12月1日に大阪で開かれた第1回に始まる。
第1回のテーマは「裁判の現状はこれでよいか」であり,その後,裁判官不足,法曹養成,弁護士自治,国民の司法参加,裁判員制度などが取り上げられてきた。
2026年8月30日現在,日弁連の公式開催一覧には,2024年11月2日の第30回までが掲載されている。

『日弁連五十年史』は,臨時司法制度調査会の意見書への対応を通じた司法制度研究の蓄積を述べた上で,1973年の司法シンポジウム創設と『司法白書』発刊を,司法改革へと活動を展開する文脈に位置付けている。
これは日弁連の活動を振り返った編纂史の説明である(日弁連創立五〇周年記念行事実行委員会編『日弁連五十年史』日本弁護士連合会,1999年,183頁~184頁)。

本記事は,日弁連が回次を付して開催してきた司法シンポジウムの全30回の開催記録と,議論の変遷をたどるものである。
弁護士業務改革シンポジウムや国際知財司法シンポジウムは別の行事であり,以下の回数には含めていない。

第2 第1回から第30回までの開催一覧

各回のリンク先は,日弁連の公式開催一覧の該当箇所である。
開催地とテーマは同一覧に基づき,数字・読点の表記及び改行・空白を整理した。

回次開催年月日開催地テーマ
第1回1973年12月1日大阪裁判の現状はこれでよいか
第2回1974年11月30日名古屋裁判官不足の現状とその対策 -公正・迅速な裁判を実現するために-
第3回1975年11月29日仙台簡易裁判をめぐる諸問題 -庶民の裁判所をめざして-
第4回1976年11月27日福岡法曹養成 -国民のための法曹をめざして-
第5回1978年3月11日東京法曹養成 -国民のための法曹をめざして-
第6回1979年3月10日京都最高裁判所 -国民の人権保障を全うするために-
第7回1980年3月8日東京国民のための弁護士自治 -その危機と課題-
第8回1981年6月27日仙台国民のための弁護士自治(2) -弁護活動をめぐって-
第9回1982年11月27日大阪国民のための弁護士自治(3) -会内合意形成のあり方-
第10回1984年9月22日広島国民の裁判を受ける権利 -民事紛争解決の現状-
第11回1986年9月13日東京国民の裁判を受ける権利 -民事裁判の現状と課題-
第12回1988年12月3日名古屋国民の裁判を受ける権利 -法曹のあり方-
第13回1990年11月17日東京裁判の現状と改革の展望 -国民の司法への参加を考える-
第14回1992年11月27日福岡司法改革の課題と実践 -国民の司法をめざして-
第15回1994年9月30日札幌市民と司法改革 -市民とともに取り組む課題と実践-
第16回1996年11月29日大宮市民のための司法へ -法曹のあり方と法曹人口-
第17回1998年11月6日高松市民のための司法へ -法曹一元の実現をめざす司法改革の実践- 国民のための裁判官任用制度を!
第18回2000年11月17,18日東京市民と築くあすの司法 -法曹一元・陪参審の実現に向けて-
第19回2002年11月15日東京裁判官制度改革に向けた実践 -弁護士任官と判事補の他の法律専門職経験を中心に- 国民の目線で判断できる優れた裁判官を安定的に確保する 準備を整えました
第20回2003年7月19日東京あるべき裁判員制度の実現に向けて -考えよう市民の目から裁判を
第21回2005年6月24日大阪21世紀の裁判所のあり方-市民が求める裁判官,裁判所-
第22回2007年6月22日福岡市民のための弁護士をめざして -いま,弁護士・弁護士会に求められるもの-
第23回2008年11月8日東京カウントダウン!みんなで築こう裁判員制度
第24回2010年9月11日東京司法による市民の権利確立を目指して -担い手としての法曹の強化-
第25回2012年9月15日東京震災復興と司法の役割
第26回2014年9月20日東京市民にとって本当に身近で利用しやすい司法とは─民事裁判と家庭裁判所の現場から─
第27回2016年11月5日東京いま,司法が果たすべき役割とは―法の支配の確立をめざして―
第28回2018年9月29日東京司法における国民的基盤の確立をめざして―司法を強くする4つの取組から考える―
第29回2021年10月30日東京民事裁判手続のIT化とこれからの司法
第30回2024年11月2日東京司法制度改革の到達点とこれからの課題

第3 開催間隔・開催地・参加方法の変化

1 開催年の並びと直近の間隔

第1回から第4回までは1973年から1976年まで毎年開催され,次の第5回は1978年3月である。
1978年から1982年までも毎年開催され,その後は2002年の第19回まで2年ごとの開催が続いた。

その後は2003年,2005年,2007年という奇数年にも開催されている。
2008年から2018年までは2年ごとであり,直近の開催年は2018年,2021年,2024年であるため,全期間を一律に「偶数年開催」と説明することはできない(公式開催一覧)。

直近の開催年には3年の間隔があるものの,恒久的に3年周期へ変更したことを示す決定資料や,第31回の開催日・開催地・テーマは確認できていない。
第29回の報告は感染症の状況を踏まえたオンライン配信について説明しているが,それだけで前回からの開催間隔が広がった理由まで確定することはできない(第29回司法シンポジウム報告,1頁)。

2 地方開催と会場

開催地には大阪,名古屋,仙台,福岡,京都,広島,札幌,大宮,高松などが含まれ,東京だけで開催されてきたわけではない。
例えば,1994年の第15回は札幌,1996年の第16回は大宮,1998年の第17回は高松である(公式開催一覧)。

会場についても,2003年の第20回は日比谷公会堂,2005年の第21回は大阪市中央公会堂ほかで開催されている。
「弁護士会館で開催される」という説明は,全回に共通する事実ではない(第20回司法シンポジウム報告,1頁,第21回司法シンポジウム報告,1頁)。

3 遠隔参加の広がり

2016年の第27回では,分科会方式を採らず,同じ会場で各部の討議を連続して行った。
各地の弁護士会館とのテレビ会議も行われ,遠隔地からの参加を可能にしたことが報告されている(第27回司法シンポジウム報告,1頁)。

2021年の第29回は,新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえてオンライン配信された。
2024年の第30回もオンライン参加者を含む形で開催されており,会場に集まる方法に加えて遠隔参加の方法が用いられている(第29回司法シンポジウム報告,1頁,第30回司法シンポジウム報告,1頁)。

第4 テーマからたどる議論の変遷

以下では,全体テーマと開催報告に表れた議論の重点を,五つに分けて整理する。
日弁連による公式の時代区分ではなく,それぞれの論点には時期をまたぐ重なりがある。

1 裁判の担い手と弁護士自治――第1回~第9回

初期には,裁判の現状,裁判官不足,簡易裁判,法曹養成,最高裁判所という,裁判の仕組みと担い手に関わるテーマが並ぶ。
第4回と第5回は法曹養成を続けて取り上げている(第1回~第6回の公式記録)。

第7回から第9回は弁護士自治を共通の主題とし,危機と課題,弁護活動,会内合意形成という異なる側面を扱っている。
本記事では,裁判制度への問題提起とともに,その改革を担う法曹や弁護士会自身のあり方も問い直した時期と整理する(第7回~第9回の公式記録)。

2 裁判を受ける権利と市民参加――第10回~第18回

第10回から第12回では「国民の裁判を受ける権利」が共通の主題となり,民事紛争の解決,民事裁判,法曹のあり方へと検討対象が移っている。
第13回以降は,国民の司法参加,市民と司法改革,法曹人口,法曹一元などが全体テーマに現れる(第10回~第18回の公式記録)。

『日弁連五十年史』によれば,第13回から第15回までは国民の司法参加が続けて取り上げられ,会員・弁護士会のアンケートや模擬陪審などを通じた検討も行われた。
この時期には,市民参加を理念として掲げるだけでなく,その具体的な形を検討する活動が行われていたことが分かる(前掲書,220頁~221頁)。

3 弁護士任官と裁判員制度の実践――第19回~第23回

2002年の第19回は,弁護士任官を中心とする裁判官制度改革を扱った。
2005年の第21回報告も,裁判官についての情報提供や弁護士任官の呼びかけなど,開催前の活動を含めた「実践型」の取組として説明している(第19回司法シンポジウム報告,1頁,第21回司法シンポジウム報告,1頁)。

裁判員制度を扱った2003年の第20回は,主催者報告で市民参加型の企画とされ,映画を通じた周知も行われた。
2008年の第23回では,ドラマ,模擬評議,高校生の模擬裁判などの企画が組まれ,市民が裁判を理解・体験する方法が取り入れられている(第20回司法シンポジウム報告,1頁,第23回司法シンポジウム報告,1頁)。

一方,2007年の第22回では,弁護士の地域的な偏在や,専門的知識,職業倫理,公益性という弁護士側の課題を扱った。
この時期の議論は裁判官や裁判員の制度に限らず,司法を利用する市民に弁護士がどう応えるかにも向けられていた(第22回司法シンポジウム報告,1頁)。

4 震災復興・利用者・司法の基盤――第24回~第28回

2010年の第24回の全体テーマは,市民の権利確立と,その担い手としての法曹の強化である(第24回の公式記録)。

2012年の第25回報告は,東日本大震災と原発事故を受けて「震災復興と司法の役割」を共通テーマにしたと説明している。
復興に向けた弁護士の役割・立法提言と,地域司法の充実が検討された(第25回司法シンポジウム報告,1頁)。

2014年の第26回では,利用者・弁護士へのアンケート等を踏まえた検討が行われた。
民事裁判の費用・時間などの問題や,家庭裁判所に求められる役割が扱われている(第26回司法シンポジウム報告,1頁)。

2016年の第27回では,権利の実現と憲法の番人という観点から司法の役割が論じられた。
2018年の第28回報告は,前回の議論を踏まえて司法の国民的基盤を共通テーマにしたと説明している(第27回司法シンポジウム報告,1頁,第28回司法シンポジウム報告,1頁~2頁)。

第28回で扱われた四つの取組は,弁護士任官,裁判員制度を通じた市民の司法参加,法教育,市民と司法をつなぐ報道である。
司法の制度や担い手とともに,それを支える社会の理解・参加が検討の対象になっている(第28回司法シンポジウム報告,1頁~2頁)。

5 IT・AIを含む司法の再検討――第29回・第30回

2021年の第29回では,民事裁判手続のIT化を中心に,利便性だけでなく,ITの利用が難しい人への支援や司法へのアクセスの問題も扱われた。
技術の導入を,司法を利用する人の立場から検討した点に特徴がある(第29回司法シンポジウム報告,1頁~2頁)。

2024年の第30回は「司法制度改革の到達点とこれからの課題」をテーマとし,裁判官制度,少子高齢化,行政訴訟,AIを扱う四つの部会を設けた。
AI部会については,活用と限界を検討し,人による判断の役割にも言及したことが報告されている(第30回司法シンポジウム報告,1頁~2頁)。

第30回でも裁判官制度や行政訴訟が扱われていることから,技術の問題が従来の司法改革課題を置き換えたわけではない。
本記事では,過去の課題を引き継ぎながら,技術や社会の変化に応じて司法の役割を再検討してきたものと整理する。

第5 司法改革との接点と成果の継承

1 国会質疑・裁判所の検討資料での利用

1974年12月18日の衆議院法務委員会では,横山利秋委員が第2回司法シンポジウムの討議資料を紹介し,裁判官不足について質問している。
シンポジウムの資料が国会質疑で用いられたことを示す具体例である(第74回国会・衆議院法務委員会第1号,発言049)。

最高裁判所の裁判の迅速化に係る検証に関する検討会第3回の配布資料目録には,第15回に関係する福岡県弁護士会の「地方からの司法改革」報告書34頁~73頁が,日弁連配布資料として挙げられている。
当該ページは目録のみの掲載であり,報告書本文や,提案がどのように採用されたかまで示すものではない(同検討会第3回の資料一覧,日弁連配布資料・資料1)。

2 議論の継続と成果を評価する際の限界

第27回から第28回へのつながりは,主催者自身が前回の討議を踏まえたと説明する例である。
開催ごとの議論が独立して終わるだけでなく,次回の企画に引き継がれた関係を確認できる(第28回司法シンポジウム報告,1頁)。

一方,松森彬は2016年の論評で,同年のシンポジウムを意義のある会議と評価しつつ,確認されたテーマを日常の弁護士会の委員会活動で必ずしも生かせていないという課題を指摘している。
個人の評価であり,全国的な活動実態を実証した調査ではないが,討議の継続と成果の定着を同じものとして扱えないことを考える材料となる(松森彬日弁連の「司法シンポジウム」 ーいま,司法が果たすべき役割,第2段落・末尾段落)。

以上の記録は,資料の外部利用や議論の継続という具体的な接点を示している。
ただし,それだけで個々の制度改正に対する寄与の程度や,司法シンポジウムが制度改正の単独の原因であったことまで確定するものではない。

第6 関連記事

日弁連の総会,代議員会,人権擁護大会,弁護士業務改革シンポジウム,司法シンポジウム及び国選弁護シンポジウム――日弁連の行事全般を確認するための記事である。
日弁連の弁護士業務改革シンポジウムの歴史――別の行事である業務改革シンポジウムの開催記録とテーマの変遷を扱っている。

第7 出典・参考資料

1 日弁連の開催一覧・開催報告

以下は主催者による行事の記録であり,日弁連の規程や正式決議とは区別される。
開催一覧は全30回を対象とする一方,開催報告は下記の該当箇所を参照しており,全回の基調報告書や発言録を網羅したものではない。
PDF報告の頁数は,PDFファイル内の頁順を示す。

①日本弁護士連合会「司法シンポジウム」(過去の開催一覧,2026年8月30日確認)。
②日本弁護士連合会「第19回司法シンポジウム報告」(2002年11月15日開催),PDF1頁。
③日本弁護士連合会「第20回司法シンポジウム報告」(2003年7月19日開催),PDF1頁。
④日本弁護士連合会「第21回司法シンポジウム報告」(2005年6月24日開催),PDF1頁。
⑤日本弁護士連合会「第22回司法シンポジウム報告」(2007年6月22日開催),PDF1頁。
⑥日本弁護士連合会「第23回司法シンポジウム報告」(2008年11月8日開催),PDF1頁。
⑦日本弁護士連合会「第25回司法シンポジウム報告」(2012年9月15日開催),PDF1頁。
⑧日本弁護士連合会「第26回司法シンポジウム報告」(2014年9月20日開催),PDF1頁。
⑨日本弁護士連合会「第27回司法シンポジウム報告」(2016年11月5日開催),PDF1頁。
⑩日本弁護士連合会「第28回司法シンポジウム報告」(2018年9月29日開催),PDF1頁~2頁。
⑪日本弁護士連合会「第29回司法シンポジウム報告」(2021年10月30日開催),PDF1頁~2頁。
⑫日本弁護士連合会「第30回司法シンポジウム報告」(2024年11月2日開催),PDF1頁~2頁。

2 国会会議録・裁判所の資料目録

第74回国会・衆議院法務委員会第1号(1974年12月18日),横山利秋委員の発言049。
②最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する検討会(第3回)配布資料」,日弁連配布資料・資料1(目録のみ,2026年8月30日確認)。

3 団体の編纂史

日弁連創立五〇周年記念行事実行委員会編『日弁連五十年史』(日本弁護士連合会,1999年),183頁~184頁,220頁~221頁。
この頁数は冊子に印刷された頁であり,PDF頁とは異なる。

4 個人の論評

松森彬日弁連の「司法シンポジウム」 ーいま,司法が果たすべき役割(西天満総合法律事務所ウェブサイト,2016年12月26日公表),第2段落・末尾段落。
シンポジウムの意義と継承に関する執筆者個人の評価として参照したものである。