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mintsで訴えを取り下げる方法|取下書・相手方の同意・2週間のみなし同意・手数料還付(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和8年5月21日以後に提起された民事訴訟について,原告又はその訴訟代理人がmintsで訴えの全部又は一部を取り下げる方法を扱う。
取下書及び取下同意書は,mintsで対象事件を開き,記録一覧のアップロード画面から,ファイル種別を「その他」として提出する。

相手方の同意は常に必要なのではなく,相手方が本案について準備書面を提出し,弁論準備手続で申述をし,又は口頭弁論をした後に必要となる。
同意が必要な場合でも,取下書の送達を受けた日から2週間以内に相手方が異議を述べなければ,同意したものとみなされるが,mintsへアップロードした日から一律に2週間を数えるわけではない。

最初にすべき口頭弁論期日の終了前に取り下げた場合は手数料還付の対象となり得るものの,令和8年5月21日施行後の還付額は常に半額ではなく,4,000円の最低控除額がある。
取下げの効力発生時期と手数料還付の要件は別々に確認する必要がある。

第2 訴えを取り下げられる時期と範囲

1 判決が確定するまで全部又は一部を取り下げられる

民事訴訟法261条1項により,訴えは,判決が確定するまで,その全部又は一部を取り下げることができる。
一部取下げをする場合は,「請求のうち○円を超える部分」又は「被告○○に対する請求」など,どの請求又は当事者との関係を取り下げるのかを一義的に特定する必要がある。

2 和解に伴う取下げは履行条件を先に確認する

裁判外の和解に基づいて取り下げる場合,実務上は,①取下げの対象,②相手方の同意,③支払その他の履行を確認してから取り下げるのか,④訴訟費用を誰が負担するのかを和解条項と照合してから提出するのが安全である。
「和解成立時に取り下げる」のか「入金確認後に取り下げる」のかが曖昧なまま提出すると,未履行が残っても係属状態を元に戻せないおそれがある。

第3 相手方の同意が必要となる場合

1 本案について応訴した後は同意が必要である

民事訴訟法261条2項本文により,相手方が本案について①準備書面を提出し,②弁論準備手続で申述をし,又は③口頭弁論をした後の取下げは,相手方の同意を得なければ効力を生じない。
したがって,第1回口頭弁論期日の前であっても,相手方が本案について答弁書その他の準備書面を既に提出していれば,同意を要する場合がある。

反対に,訴状送達後であっても,相手方がこれらの本案行為をまだしていなければ,同意を要せず,2週間のみなし同意を待つ必要もない。
なお,本訴が取り下げられた後に反訴を取り下げる場合は,同項ただし書により相手方の同意を要しない。

2 同意を要しない場合は裁判所書記官が通知する

相手方の同意を要しない取下げについては,民事訴訟規則162条3項により,裁判所書記官が相手方へ訴えの取下げがあった旨を通知する。
これは同意を得るための送達ではないため,通知後2週間の経過が取下げの効力要件になるものではない。

3 取下同意書を同時提出できる

相手方の同意が必要であり,既に同意を得ている場合は,取下書と取下同意書を同時に提出すれば,2週間のみなし同意を待つ必要はない。
取下同意書には,事件番号,当事者,提出先,日付及び「本件訴えの取下げに同意する」旨を記載し,誰がどの取下げに同意するのかを特定する。

第4 mintsで取下書及び同意書を提出する手順

1 取下書をPDFで作成する

裁判所ウェブサイトの「民事訴訟で使う書式」には,訴え取下書のWord書式及び記載例が掲載されている。
取下書には,通常,①原告及び被告の氏名又は名称,②裁判所名,事件番号及び事件名,③全部取下げ又は一部取下げの範囲,④作成日,⑤提出者を記載する。

mintsによる電子提出では,裁判所の書式案内上,書式への押印は不要である。
紙提出用記載例にある押印欄や被告人数分の副本提出の注意を,そのままmints提出に持ち込む必要はない。

2 記録一覧から「その他」としてアップロードする

最高裁判所事務総局民事局の「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」は,取下書及びこれに対する同意書の提出場所を,対象事件の「記録一覧のアップロード画面」,ファイル種別を「その他」としている。
弁護士などの委任を受けた訴訟代理人は,民事訴訟法132条の11第1項により,原則として電子情報処理組織を使用して提出しなければならない。

具体的には,①mintsへサインインし,②事件一覧から対象事件を開き,③記録一覧のアップロード画面へ進み,④取下書のPDFを選択し,⑤ファイル種別を「その他」とし,⑥事件番号,書類名及びファイル内容を再確認して提出する。
取下同意書も同じ提出場所及びファイル種別を用い,実務上は,どの取下書に対する同意書かが分かるファイル名にするのがよい。

3 アップロード完了と取下げの効力発生を区別する

同意を要しない取下げでは,電子提出された情報が裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへ記録された時に,裁判所へ到達したものとみなされる。
同意を要する取下げでは,取下書をアップロードしただけではまだ効力が生じず,相手方の明示の同意又は2週間の経過によるみなし同意が必要である。

同意が必要な取下書は,民事訴訟法261条5項により裁判所から相手方へ送達される。
mintsのアップロード完了表示又は記録閲覧の通知だけを見て,2週間の起算日を確定してはならない。

期日が迫っている事件では,取下書の提出後,担当部に取下げの範囲,同意書の有無及び期日の取扱いを確認するのが安全である。
担当部への確認は,取下書の提出又は相手方の同意に代わるものではない。

第5 2週間のみなし同意の数え方

1 書面で取り下げた場合

相手方の同意を要する取下げが書面でされた場合,相手方が取下書の送達を受けた日から2週間以内に異議を述べなければ,取下げに同意したものとみなされる(民事訴訟法261条6項)。
相手方がシステム送達を受ける場合も,起算点は法令上の送達日であり,原告が取下書をアップロードした日又はmintsの通知メールが届いた日と当然に一致するわけではない。

システム送達の効力発生日の確認方法は,「mintsのシステム送達と期限管理―応訴・通知メール・電子判決書・控訴期間」で説明している。
個別事件では,mints上の送達関係表示又は裁判所から示された送達日を期限台帳へ記録する必要がある。

2 期日に口頭で取り下げた場合

口頭弁論,弁論準備手続又は和解の期日に口頭で取り下げ,相手方がその期日に出頭していた場合は取下げの日から2週間を数える。
相手方が欠席していた場合は,取下げが記録された電子調書の送達日から2週間を数える(民事訴訟法261条4項~6項)。

2週間のみなし同意は,明示の同意書がない場合の仕組みである。
既に取下同意書を提出できる事件でまで,2週間の経過を待つ必要はない。

第6 訴えを取り下げた後の効果

1 訴訟は初めから係属しなかったものとみなされる

民事訴訟法262条1項により,訴訟は,取り下げた部分について初めから係属していなかったものとみなされる。
ただし,本案について終局判決があった後に取り下げた者は,同条2項により同一の訴えを再び提起できないため,判決後の取下げでは再訴の必要性を先に検討する必要がある。

2 消滅時効は別に確認する

裁判上の請求が確定判決等による権利確定なしに終了した場合,民法147条1項により,時効は終了時から6か月を経過するまで完成しない。
これは元の時効期間が一律に6か月延長されるという意味ではないため,再提訴又は別手続を予定するときは,対象債権の時効期間,起算点及び他の完成猶予・更新事由を別に確認する必要がある。

3 訴訟費用の負担と手数料還付は別問題である

取下げにより裁判又は和解によらず訴訟が完結した場合,民事訴訟法73条1項により,申立てを受けた第一審裁判所が決定で訴訟費用の負担を命じ,その決定が執行力を生じた後に裁判所書記官が負担額を定める。
相手方との和解で「訴訟費用は各自の負担とする」などの合意をしているか,費用負担の申立てが必要かという問題と,国から納付済み手数料の一部を受け戻す還付手続とは区別する必要がある。

第7 手数料還付の要件・金額・手続

1 最初の口頭弁論期日の終了前であること

民事訴訟費用等に関する法律9条2項1号により,訴えを最初にすべき口頭弁論期日の終了前に取り下げた場合,申立てにより手数料の一部が還付される。
条文上の基準は「最初の口頭弁論期日の前」ではなく「その期日の終了前」である。

もっとも,相手方の同意を要する事件では,取下書を提出しただけでは取下げの効力が生じない。
取下書の提出が期日終了前であっても,同意又はみなし同意が期日終了後となる場合に同号の還付要件を満たすかは,確認した公開資料から明らかでない。
還付を予定するときは,可能であれば期日終了前に取下同意書も提出して取下げの効力発生時点を明確にし,担当部へ確認するのが安全である。

2 現行法の還付額は常に半額ではない

納付額と納めるべき手数料額が同じ全部取下げの単純な場合,還付額は,納付済み手数料から「納めるべき手数料額の2分の1」と「4,000円」のいずれか高い方を控除した金額である。
例えば,納付済み手数料が6,000円の場合は,その半額3,000円ではなく,4,000円を控除するため,還付額は2,000円となる。

納付済み手数料控除額還付額
6,000円4,000円2,000円
10,000円5,000円5,000円
20,000円10,000円10,000円

このため,「早期取下げなら印紙代又は手数料の半額が戻る」とだけ説明すると,納めるべき手数料額の半額が4,000円未満となる事件では正確でない。
一部取下げの場合は,既納手数料が残った請求についても納付されたものと扱われる範囲では還付されないため,取下げ前後の訴額と手数料を再計算する必要がある。

訴え提起時の手数料の構成及びPay-easyによる納付は,「mintsの手数料をPay-easyで納付する方法|金額確認・郵便費用相当額・納付期限・還付」で説明している。
同記事の「還付」は納付後に金額調整が生じる場面も含むため,本記事では訴えの取下げによる費用法9条2項の還付に範囲を絞っている。

3 還付申立てと還付金請求を分けて処理する

手数料は取下げにより自動的に返金されるのではなく,民事訴訟費用等に関する法律9条2項に基づく還付申立てが必要であり,申立期間は還付事由が生じた日から5年である。
現行法では裁判所書記官が還付処分をし,その処分への異議は告知を受けた日から1週間の不変期間内に申し立てる。

還付が認められた後は,実際の振込みを受けるための還付金請求書が必要となる場合がある。
例えば京都地方裁判所は,令和8年5月21日以後に申し立てた民事訴訟事件について,金額,事件番号,請求者及び振込先を記載する手数料還付請求書を公開している。

最高裁判所の現行「準備の手引」の提出場所一覧は,取下書及び同意書のmints提出場所を示す一方,通常事件の手数料還付申立ての提出画面までは示していない。
還付申立てのmints上の提出方法及び処分後の請求書提出先は,係属裁判所の担当部が案内する最新方法を確認する必要がある。

第8 提出前の確認事項

取下書を提出する前に,少なくとも次の事項を確認する必要がある。

① 全部取下げか一部取下げか,取下げの対象を特定したか。
② 相手方が本案について答弁書等を提出し,又は期日で本案の申述・口頭弁論をしたか。
③ 同意が必要な場合,取下同意書を同時提出できるか。
④ mintsの対象事件,事件番号,PDF及びファイル種別「その他」を照合したか。
⑤ 同意擬制を利用する場合,裁判所による送達日を期限台帳へ記録したか。
⑥ 和解金その他の履行確認,訴訟費用の負担及び再訴の必要性を確認したか。
⑦ 最初の口頭弁論期日の終了前か,手数料還付の対象額があるかを確認したか。
⑧ 還付申立てと処分後の還付金請求について,係属裁判所の最新様式及び提出方法を確認したか。

第9 関連記事

① 訴え提起から事件への関連付けまでの流れは,「mintsで訴訟を提起する方法|新規申立て・添付書類・手数料納付・証拠提出の流れ」参照。
② mintsの機能全般及び障害時対応は,「mintsの実務解説 弁護士向けQ&A―電子申立て・証拠提出・送達・障害対応」参照。

第10 出典・参考資料

1 法令

① e-Gov法令検索・民事訴訟法73条,132条の10,132条の11,261条及び262条(2026年8月28日確認)
② e-Gov法令検索・民事訴訟費用等に関する法律9条(2026年8月28日確認)
③ e-Gov法令検索・民法147条(2026年8月28日確認)

2 最高裁判所規則

① 最高裁判所「民事訴訟規則」162条,資料上43頁(PDF43頁)
② 最高裁判所「民事訴訟費用等に関する規則」4条の4及び4条の5,資料上6頁(PDF6頁)

3 裁判所の運用資料・書式

① 最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(令和8年6月19日・5G)資料上41頁(PDF41頁)
② 最高裁判所「民事訴訟で使う書式」及び「訴え取下書記載例」(2026年8月28日確認)
③ 知的財産高等裁判所「提出書面等のお願い」(取下書の送達及び取下同意書の書式,2026年8月28日確認)
④ 京都地方裁判所「裁判手続を利用する方へ」及び「手数料還付請求書記載例」(令和8年5月21日以後に申し立てた民事訴訟事件の還付金請求手続,2026年8月28日確認)