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女性弁護士の収入・働き方・育児-2025年日弁連追加アンケートで分かることと分からないこと(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

この記事は,日本弁護士連合会が令和8年9月5日に開催した第24回弁護士業務改革シンポジウムの第8分科会資料を基に,女性弁護士の収入,働き方及び出産・育児に関する2025年追加アンケートの読み方を整理するものである。
第8分科会は予定どおり実施されたが,本記事が確認対象とするのは公表された配布資料であり,当日の発言録ではない。

結論として,公表資料は,回答者標本の中で,性別,勤務形態,事務所規模,取扱分野,地域,労働時間,顧問先,経営上の地位及び業務中断等と収入又は所得との間に関連があることを示している。
他方で,回答率は2.9%であり,回答者の自己選択,欠測及び交絡の可能性があるため,表示された割合を弁護士全体の母数値とみなし,又は特定の要因が収入差を生じさせたと断定することはできない。

したがって,本資料は,「女性弁護士は一律に不利である」と結論づけるための資料ではなく,案件配分,顧客関係,休暇前後の引継ぎ,復帰後の担当,評価及び収入をどの順に点検すべきかを示す質問票として用いるのが適切である。

第2 2025年追加アンケートの調査設計

公表資料によれば,2025年追加アンケートの対象者は弁護士45,091人であり,回答者は1,307人,回答率は2.9%である(第8分科会資料5頁~53頁)。
ウェブ方式による任意回答であるため,仕事,収入又は育児に強い関心を持つ者が回答しやすかった可能性と,繁忙又は育児負担のため回答できなかった者がいた可能性の双方がある。

このような調査では,表に記載された回答者数を分母として回答者標本内の割合を計算することはできる。
もっとも,回答しなかった約97%の状況が同じであるとは限らず,単純な回答割合を弁護士全体の割合へそのまま一般化することはできない。

資料中の記述統計は,観測された差の所在を見つけるのに有用である。
しかし,収入,所得及び売上は異なる概念であり,表ごとに対象者,分母,無回答及び集計単位を確認する必要がある。

第3 出産・育児と収入及び働き方

資料番号1は,配偶者の職業,家事及び育児の分担,出産育児に伴う休暇の取得期間,労働時間並びに収入への影響を男女別に集計している(第8分科会資料5頁~53頁)。
回答者標本では,これらの項目について男女差が報告されている。

例えば,配偶者が弁護士である回答者について,「収入が下がった」とした者は女性155人中56人(36.1%)であったのに対し,男性は50人中0人であった。
これは差の大きい集計であるが,無回答の取扱いその他の分母が表だけでは十分に明らかでない箇所もあり,出産又は育児が収入を減少させた因果的効果を直接測定したものではない。

また,資料の設問名は「出産育児に伴う休暇」である。
休暇の法的根拠及び就業上の取扱いが回答者ごとに同一であることは確認できないため,これを法令上の「育児休業」と当然に読み替えてはならない。

実務上は,休暇制度の有無だけでなく,①休暇前に顧客関係を誰へ引き継ぐか,②進行中の案件をどの基準で再配分するか,③復帰後に主担当へ戻れるか,④評価期間をどのように調整するか,⑤収入又は報酬配分へどのように反映するかを確認する必要がある。

第4 法律事務所と企業内弁護士の比較

資料番号2は,法律事務所に所属する弁護士と企業内弁護士の働き方及び経済状態を比較し,事務所規模,労働時間,月額10万円以上の顧問先,経営上の地位及び業務中断等と収入又は所得との関係を検討している(第8分科会資料54頁~66頁)。
この分析からは,「法律事務所」又は「企業内」という勤務形態の名称だけで収入及び働き方が決まるのではなく,各勤務先の規模,地位及び業務設計を見る必要があることが分かる。

法律事務所については,個人の売上,事務所の売上,経費控除後の所得及び報酬分配後の手取りを区別する必要がある。
企業内弁護士についても,給与だけでなく,労働時間,役職,評価,配置,福利厚生及び中断後の処遇を併せて確認しなければならない。

公表資料には分析に用いたすべての回帰表及び欠測処理の詳細が収録されているわけではない。
したがって,勤務形態ごとの平均差が示されていても,勤務形態そのものの効果と断定することはできない。

第5 地域・事務所規模・取扱分野

資料番号3は,地域,取扱分野,事務所規模及び修習期等と収入又は所得との関係を分析している(第8分科会資料67頁~76頁)。
単純集計でみられる東京又は大阪と他地域との差の一部は,事務所規模及び取扱分野等を考慮すると小さくなると報告されている。

この結果は,地域差が全くないことを意味しない。
所在地だけで所得を説明するのではなく,その地域で扱う依頼者層,案件単価,事件数,顧問先,事務所規模,経費,経験及び業務時間を分けて検討すべきことを示している。

また,取扱分野と所得との関連には,案件の需要及び単価だけでなく,その分野を選択できる経歴,紹介経路,事務所内の地位及び長時間労働が影響している可能性がある。
特定分野を選択すれば所得が増えるという職業選択上の因果関係へ直ちに読み替えることはできない。

第6 因果関係とパネル討議の限界

アンケートは,ある時点の回答を中心とする観察調査である。
例えば,長時間労働と高収入に関連があっても,長時間労働が高収入を生んだのか,高収入の案件が長時間労働を必要としたのか,第三の要因が双方に影響したのかは,単純集計だけでは区別できない。

資料番号6(第8分科会資料98頁~101頁)に収録されているのは,パネルディスカッションの登壇者及び討議テーマである。
当日の発言録,合意内容,結論又は具体的提言は収録されていないため,第8分科会が予定どおり実施されたことをもって,パネルが特定の政策を採択したと認定することはできない。

本記事では,配布資料に記載された調査結果を「資料の記載」として扱い,そこから導く実務上の点検項目を「本記事の整理」として区別している。
法令上の義務又は裁判例上の規範を示す記事ではなく,本記事の作成に当たり判例秘書及び裁判所ウェブサイトで裏付けるべき裁判例は用いていない。

第7 弁護士業務に生かす確認事項

個々の法律事務所又は勤務先を点検する場合は,次の事項を記録するのが有用である。
①案件の配分件数及び報酬見込額,②主担当又は補助担当の別,③顧客との直接接点,④困難案件又は高評価案件への参加,⑤休暇前後の引継ぎ,⑥復帰後の案件配分,⑦評価及び昇進,⑧収入又は報酬配分への反映である。

集計は,個人の印象だけでなく,一定期間の実績に基づいて行う必要がある。
他方で,件名,依頼者名及び機微な事件情報を不必要に共有せず,目的に必要な最小限の項目へ限定しなければならない。

家族との時間を確保するための受任・勤務設計については,弁護士が家族との時間を確保するための業務設計-専門分野より重要な8つの確認事項(AI作成)を参照されたい。
収入と依頼者類型,事件価値及び支払原資の関係については,弁護士の財力は依頼人と事件の財力を反映するか(AI作成)を参照されたい。

第8 出典

日本弁護士連合会「第24回弁護士業務改革シンポジウム第8分科会資料」5頁~101頁(令和8年9月6日確認)
日本弁護士連合会「第24回弁護士業務改革シンポジウム」(令和8年9月6日確認)